説明

照明装置を備えるサンプリングゾンデ

【課題】接近するのが困難で、照明の悪い環境でのサンプリングゾンデの取り扱いを改善する。
【解決手段】漏れガスを検出するためのサンプリングゾンデ(11)であって、ガス流入開口部(22)を有する手持ち操作部(14)を備える形式のサンプリングゾンデにおいて、照手持ち操作部(14)には、ガス流入開口部(22)の末端にある領域を、測定状態で照明するために照明装置(25)が設けられており、サンプリングゾンデ(11)には限界値スイッチ(34)が配属されており、該限界値スイッチは照明装置(25)を、漏れガスが濃度限界値を上回るときに照明が変化するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏れガスを検出するための、手持ち操作部を備えるサンプリングゾンデに関する。
【背景技術】
【0002】
サンプリングゾンデはガス漏れ個所、例えば車両または建物のエアコン装置または冷房装置の冷却回路からのガス漏れ個所の検出に使用される。ゾンデ−手持ち操作部はそのためにガス流入開口部を有し、これを通して連続的に環境ガスが吸入され、この環境ガスが被検ガスについて検査される。被検ガスが濃度限界値を上回る場合、このことがサンプリングゾンデに接続された検出装置から例えば音響的にシグナリングされる。
【0003】
サンプリングゾンデは、しばしば接近するのが困難であり、照明が悪いか、または照明されない環境、例えば車両のエンジンルーム、建物の縦坑等で使用される。ここでは検査すべき管路および容器を迅速に正確に辿り、識別し、また漏れ個所を正確に位置特定することが困難である。しばしば懐中電灯の使用が必要であるが、このことは面倒くさい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して本発明の課題は、接近するのが困難で、照明の悪い環境でのサンプリングゾンデの取り扱いを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明により請求項1の構成によって解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明のサンプリングゾンデは、手持ち操作部に照明装置を有する。この照明装置によって、ユーザが所望する場合にはサンプリングゾンデの環境が照明される。照明装置によってサンプリングゾンデによる作業が、アクセスが困難で照明の悪い領域でも格段に簡素化される。懐中電灯の使用に対して、手持ち操作部に設けられた照明装置は、常に確実に手持ち操作部の環境が照明され、ユーザの手が自由であるという利点を提供する。
【0007】
有利には照明装置は、末端領域だけが、すなわちガス流入開口部の軸方向前方だけが照明されるように構成される。ガス流入開口部前方の領域だけを照明することにより、サンプリングゾンデがガス漏れを検出できる領域だけが照明される。これによりユーザは、サンプリングゾンデを被検個所の近傍に案内し、漏れガスを被検個所で実際にサンプリングゾンデによって吸入し、検出することができる。さらに照明装置によってユーザが幻惑されることが回避される。
【0008】
有利には所定の条件の下で漏れガスを検出することのできるガス流入開口部の前方領域だけが照明される。例えばこのことは、吸入円錐形にほぼ相当する光円錐形を照射する照明装置によって行うことができる。
【0009】
有利な構成によれば、光はガス流入開口部の領域から出射する。これによりユーザの幻惑がほぼ回避され、ガス流入開口部の末端領域だけが照明される。
【0010】
有利には照明装置は光源としてLEDを有し、このLEDにより有利には白色光、すなわち近似的に無色光が照射される。LEDとして構成された光源は、電力消費が小さく、熱発生も比較的小さいことを特徴とする。しかし基本的に光源として白熱照明またはガス放電照明を使用することもできる。
【0011】
光源はソンデ開口部の領域に配置することができる。択一的に光源は光出射部から離れた、サンプリングゾンデの別の個所に配置することができ、この場合、光は光源からサンプリングゾンデに配置された光導体によって光出射部に達する。
【0012】
光源はゾンデ開口部の領域に配置することができる。択一的に光源は光出射部から離れた、サンプリングゾンデの別の個所に配置することができ、この場合、光は光源からサンプリングゾンデに配置された光導体によって光出射部に達する。光出射部は例えばガス流入開口部の周囲にリング状に配置することができる。これにより影発生が緩和されるか、または除外される。
【0013】
有利な実施形態によれば、サンプリングゾンデには測定モードスイッチが配属されており、このスイッチはサンプリングゾンデが測定モード中であるときに照明装置をスイッチオンし、サンプリングゾンデが測定モードでないときに照明装置をスイッチオフする。これにより、サンプリングゾンデが測定モードでないときに、ユーザが間違って測定モードと勘違いして、ガス漏れが存在しないと考えることが回避できる。
【0014】
有利な構成によればサンプリングゾンデには限界値スイッチが配属されている。このスイッチは照明装置を、漏れガスが濃度限界値を上回るときに照明が変化するように制御する。これにより直接ユーザに光学的に、濃度限界値を上回っている、ないしは下回っていることが指示される。例えば限界値スイッチは漏れガス限界値を上回るときに、照明の色を白から赤に変化することができる。同じように漏れガス限界値を上回ることを、照明装置の点滅によって指示することもできる。
【0015】
測定モードスイッチも、限界値スイッチも別個の検出装置に配置することができるが、有利にはゾンデ手持ち操作部自体に配置し、検出装置から相応に制御することができる。検出装置もゾンデ手持ち操作部に配置するか、これに組み込むことができる。
【0016】
以下図面を参照して、本発明の2つの実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ガス流入開口部の領域に配置された光源を備えるサンプリングゾンデ手持ち操作部の第1実施例を示す。
【図2】ガス流入開口部から離れて配置された光源を備えるサンプリングゾンデ手持ち操作部の第2実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1にはサンプリングゾンデ装置10が示されており、この装置は実質的にサンプリングゾンデ11と、別個の検出装置12からなる。図2にはサンプリングゾンデ11′の第2実施例が示されている。
【0019】
サンプリングゾンデ装置10は、漏れガスが流出するガス漏れ個所の位置検出に用いられる。サンプリングゾンデ装置はとりわけ、自動車エアコン装置、冷蔵庫等の冷却回路での漏れを見つけ出すために使用される。
【0020】
サンプリングゾンデ11は実質的に手持ち操作部14とフレキシブルな接続管16からなり、接続管は手持ち操作部14を検出装置12と接続する。手持ち操作部14はさらにグリップ18からなり、グリップにはサンプリング管20が同軸に取り付けられている。接続管16は1〜20mの長さを有し、グリップ18は約20cm、サンプリング管20は5〜50cmの長さである。
【0021】
サンプリング管20の末端部前方にはガス流入開口部22が配置されており、この開口部を通して環境ガスが吸引される。環境ガスは検出装置12にある相応のポンプによって吸引され、サンプリングゾンデ20、グリップ18および接続管16にあるガス細管を通って検出装置12のガス検出器24に達する。ガス検出器24では、ガス流入開口部22を通して吸引された環境ガスが漏れガスを含んでいるか否か、ないしはいくつの漏れガスが成分として吸引された環境ガスに含まれているかが検出される。
【0022】
サンプリングゾンデ11はソケット15により、解離可能に検出装置12と接続されている。
【0023】
ガス流入開口部22を有する、サンプリング管20の自由端部には、照明装置25の光源16としてLEDが設けられており、光出射部28がサンプリング管20の末端部に設けられている。光出射部28から、光源26により形成された光が光円錐体30の形態で出射し、この光円錐体は軸に対して例えば10°の円錐角を有する。
【0024】
検出装置12は制御装置31を有し、この制御装置によってサンプリングゾンデ装置10のすべてのエレメントと過程が制御され、コントロールされる。制御装置31は、ガス検出器24並びに測定モードスイッチ32および限界値スイッチ34と接続されている。
【0025】
測定モードスイッチ32は制御装置31から測定モード信号を、サンプリングゾンデ装置10が測定状態であるときに受け取り、非測定モード信号を、サンプリングゾンデ装置10が測定状態にないとき、例えばスイッチオンフェーズ中または制御装置31により故障が検出された場合に受け取る。測定モード信号が存在するときに、測定モードスイッチ32は照明装置25をスイッチオンし、非測定モード信号が存在するときに再びスイッチオフする。これによりユーザには、サンプリングゾンデ装置10が測定モードであるか否かが明瞭に指示される。このようにして、ユーザがサンプリングゾンデ装置10の非測定モード中に、測定モードが存在しており、環境ガスに漏れガスが含まれていないと思い込むことが回避される。
【0026】
限界値スイッチ34は、漏れガスの濃度が限界値を上回る、ないしは下回ると直ちに照明装置25を別のモードに切り替える。例えば限界値を上回ると、光源26は別の色の光、例えば白ではなく赤の光を放射することができる。択一的にまたはこれに補充的に、光源から放射される光を間欠的に放射し、漏れガス限界値を下回る際には連続的に放射することもできる。これにより限界値を下回ることが、ユーザが覗き込み、ガス漏れをおそらく探している個所で可視となる。
【0027】
図2のサンプリングゾンデ11′は図1のサンプリングゾンデ11とは、照明装置40においてだけ異なる。図2のサンプリングゾンデ11′の手持ち操作部14′にある照明装置40は実質的に光源42と管状の光導体44からなる。光源42はグリップ18の末端部ないしはサンプリング管20の近位端部に配置されており、光導体44はサンプリング管20の周囲に同心に配置されている。光導体44はその末端部にリングディスク状の光出射部46を有し、この光出射部を通って約10°の円錐角を有する光円錐体48が出射する。光源42は1つまたは複数のLEDから構成することができる。1つまたは複数のLEDの代わりに白熱ランプを光源として用いることもできる。光導体44はプラスチック、例えばプレキシガラスからなる。
【0028】
サンプリング管20と光導体44は剛性または可撓性に構成することができる。
【0029】
照明装置をサンプリング管20の末端部に設けることによって、ガス漏れを探索する領域が良好に照明される。これにより検査すべき対象物、例えば管、パッキン、接続部等を良好に識別することができる。測定対象物全体を照明する必要はない。光出射部がサンプリング管の末端部にあることにより、ユーザはサンプリング管ないしガス流入開口部から光円錐体にある被検個所までの間隔および正確な配向を、投影に基づいて良好に識別し、推定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏れガスを検出するためのサンプリングゾンデ(11)であって、ガス流入開口部(22)を有する手持ち操作部(14)を備える形式のサンプリングゾンデにおいて、
照手持ち操作部(14)には、ガス流入開口部(22)の末端にある領域を、測定状態で照明するために照明装置(25)が設けられており、
サンプリングゾンデ(11)には限界値スイッチ(34)が配属されており、該限界値スイッチは照明装置(25)を、漏れガスが濃度限界値を上回るときに照明が変化するように制御する、ことを特徴とするサンプリングゾンデ。
【請求項2】
請求項1記載のサンプリングゾンデ(11)において、
照明装置(25)は、ガス流入開口部(22)の前方の末端領域だけが照明されるように構成されているサンプリングゾンデ。
【請求項3】
請求項1または2記載のサンプリングゾンデ(11)において、
照明装置(25;40)の光出射部(28)はガス流入開口部(22)の領域に配置されているサンプリングゾンデ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項記載のサンプリングゾンデ(11)において、
照明装置(25)は光源(26;42)としてLEDを有するサンプリングゾンデ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項記載のサンプリングゾンデ(11)において、
照明装置(25)の光源(26;42)は白色光を放射するサンプリングゾンデ。
【請求項6】
請求項1,2,4または5のいずれか一項記載のサンプリングゾンデ(11)において、
光源(42)はガス流入開口部(22)から離れて配置されており、光導体(44)が設けられており、該光導体の光出射部(46)はガス流入開口部(22)の領域に配置されているサンプリングゾンデ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項記載のサンプリングゾンデ(11)において、
サンプリングゾンデ(11)には測定モードスイッチ(32)が配属されており、
該測定モードスイッチは、測定状態が存在するときに照明装置(25)をスイッチオンするサンプリングゾンデ。
【請求項8】
請求項1記載のサンプリングゾンデ(11)において、
照明装置(25)は、漏れガス限界値を上回るときに、照射される光の色が変化するように構成されているサンプリングゾンデ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−32550(P2010−32550A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257799(P2009−257799)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【分割の表示】特願2007−518566(P2007−518566)の分割
【原出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(500469855)インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (43)
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D−50968 Koeln, Germany
【Fターム(参考)】