説明

照明装置及びこれを備えた表示装置

【課題】広範囲に均一な高輝度の発光面を効率よく構成し得る照明装置を提供すること。
【解決手段】表示パネル3の背面側に設けられたバックライトシャーシ11内を長辺方向又は短辺方向に2分割し、これら分割した領域にそれぞれ放電ランプ7,8を分割方向に対して直交する方向に並列させると共に、並列されて隣り合う2本の放電ランプ7,8を組としたそれぞれの一方の電極7b,8bを共通接続し、他方の電極7a,8aをインバータ回路に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などの表示装置に好適に用いられる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置の例として、たとえば液晶表示パネルを備える液晶表示装置などは、一般的に液晶表示パネルの背面側に照明装置が配置される。この照明装置には、通常、光源として冷陰極型放電ランプが備えられており、この放電ランプから発せられる光の特性が調整されて表示パネルの背面側に照射される。照射された光は、表示パネルを透過することにより、この表示パネルの前面側に画像が表示される。
【0003】
図5は、従来一般的に用いられる液晶表示装置の構造の要部を示した分解斜視図である。図示される液晶表示装置31は、ベゼル32、表示パネル33、及び照明装置34を備える。ベゼル32は表示パネル33の額縁となる部材で、表示パネル33は、2枚のガラスを貼り合わせてその間に液晶を封止したものである。
【0004】
図示される照明装置34は、フレーム35、光学シート類36、放電ランプ37、反射板40、バックライトシャーシ41、サイドホルダー42及びインバータ回路基板43から構成される。フレーム35は、額縁形状を有しており、光学シート類36をバックライトシャーシ41及びサイドホルダー42の載置面に固定するためのものである。光学シート類36は、放電ランプ37から表示パネル33に入射する光の特性を調整するためのものである。
【0005】
放電ランプ37の下側に布設される反射板40は、放電ランプ37から発せられる光を表示パネル33側に反射させるためのものである。バックライトシャーシ41とサイドホルダー42は放電ランプ37を複数並列に収容する放電ランプ収容部を形成するための部材である。
【0006】
そして、バックライトシャーシ41の裏面には、放電ランプ37を駆動する高圧パルス電圧を発生させるインバータ回路基板43が設けられている。尚、表示パネル33を制御するコントロール回路基板44もバックライトシャーシ41の裏面に設けられている。
【0007】
このような照明装置34において、光源である放電ランプ37の駆動は、図6に示すように、インバータ回路51により一方の電極を高圧側、他方の電極を低圧側とする片側高圧駆動方式が採られており、通常、金属製のバックライトシャーシ41はグランド電位となっている。この構成で放電ランプ37を駆動すると、バックライトシャーシ41が近接導体となって、放電ランプ37とバックライトシャーシ41との間に浮遊容量Csが発生する。そのため、放電ランプ37に流れている電流の一部は、近接導体であるバックライトシャーシ41へ漏れ電流isとして流れる。この漏れ電流isは放電ランプ37が長くなればなるほど増加するため、高圧側と低圧側の電流差により、高圧側から低圧側に向かって暗くなるという輝度勾配が発生することが知られている。
【0008】
近年、液晶テレビなどに用いられる液晶表示装置の大画面化に伴い光源としての放電ランプも長くなってきており、このような放電ランプの輝度勾配が、例えば表示画面の左右において明るさの違いとなって表れてしまうという問題があった。
【0009】
また、放電ランプの低圧側をリターン線で戻す一般的な接続形態では、リターン線用の基板を必要とすることから、この基板が照明装置の小型化の障害となっていた。更に、リターン線を放電ランプの高圧側に配置されているインバータ回路基板にまで延設する作業も煩雑であった。
【0010】
そこで、図7に示すようなで2本の放電ランプ37,38を低圧側37b,38bで連結し、それぞれの放電ランプ37,38の高圧側37a,38aにインバータ回路52から交互に逆位相の高電圧Va,Vbを印加する方法が提案されている。これによって、上述した輝度勾配が緩和されると共に、放電ランプのリターン線が不要となる。尚、本発明に関連する先行技術文献として下記特許文献1〜3が挙げられる。
【0011】
【特許文献1】特開平10−143089号公報
【特許文献2】特開2002−278471号公報
【特許文献3】特開2004−325671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このようなU字形状に2本直列の放電ランプの両端電極に交互に逆位相の高電圧を印加することで放電ランプを点灯する方法においても、更なる液晶表示装置の大画面化に伴う放電ランプの長尺化により、高圧側から低圧側に向かって暗くなるという輝度勾配の問題が顕著になってきていた。
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、広範囲に均一な高輝度の発光面を効率よく構成し得る照明装置及びこれを備えた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る表示装置用照明装置は、表示パネルの背面側に設けられたバックライトシャーシ内に複数本の放電ランプが配された照明装置であって、前記バックライトシャーシ内を長辺方向又は短辺方向に少なくとも2分割し、これら分割した領域にそれぞれ前記放電ランプを分割方向に対して直交する方向に並列させると共に、並列されて隣り合う少なくとも2本の前記放電ランプを組としたそれぞれの一方の電極を共通接続し、他方の電極をインバータ回路に接続することを要旨とするものである。
【0015】
この場合、前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの電極が、共通接続された電極同士又はインバータ回路に接続された電極同士である構成にすると良い。
【0016】
また、前記分割した領域の境界線近傍の前記放電ランプの組の共通接続された電極又はインバータ回路に接続された電極が、前記分割した領域の境界線に対して千鳥状に配置されている構成にすると良い。更に、前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの共通接続された電極同士が更に共通接続されている構成であると良い。そして、このような照明装置を備えている表示装置である構成にすると良い。
【発明の効果】
【0017】
上記構成を有する照明装置によれば、バックライトシャーシ内を長辺方向又は短辺方向に少なくとも2分割し、これら分割した領域にそれぞれ放電ランプを分割方向に対して直交する方向に並列させると共に、並列されて隣り合う少なくとも2本の放電ランプを組としたそれぞれの一方の電極を共通接続し、他方の電極をインバータ回路に接続するという構成なので、従来技術よりも用いる放電ランプの長さを短くすることができ、放電ランプの高圧側から低圧側に向かって暗くなるという輝度勾配を小さくすることが可能になる。これにより、広範囲に均一な高輝度の発光面を形成することができる。
【0018】
この場合、前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの電極が、共通接続された電極同士又はインバータ回路に接続された電極同士である構成にすれば、バックライトシャーシ内に配置された放電ランプへの配線作業を効率よく行うことができる。特に、共通接続された電極同士が分割した領域の境界線において隣り合う場合は、互いに低圧側であることから、絶縁距離を小さくすることができるので、その分、電極同士を近づけて放電ランプの未発光部分による暗部を小さくすることができる。
【0019】
また、前記分割した領域の境界線近傍の前記放電ランプの組の共通接続された電極又はインバータ回路に接続された電極が、前記分割した領域の境界線に対して千鳥状に配置されている構成にすれば、放電ランプの未発光部分が他の放電ランプの発光部分で補完されるので、広範囲に均一な高輝度の発光面を形成することができる。更に、前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの共通接続された電極同士が更に共通接続されている構成にすれば、放電ランプへの配線を簡略化することで可能になる。そして、このような照明装置を組み込んで表示装置とすれば、例えば表示画面の左右において明るさの違いとなって表れてしまうようなことが防止される、
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の係る表示装置の実施の形態ついて、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置の構造の要部を模式的に示した分解斜視図である。図2は、図1に示される低圧側電極同士が共通接続され、U字形状に2本直列の放電ランプ7,8の高圧側電極に高電圧を印加して駆動する回路構成と、バックライトシャーシ11内での放電ランプ7,8を組としたランプ群の配置構成を示した図である。
【0021】
図1に示される液晶表示装置1は、ベゼル2、表示パネル3、及び照明装置4を備える。ベゼル2は表示パネル3の額縁となる部材で、表示パネル3は、2枚のガラスを貼り合わせてその間に液晶を封止したものである。
【0022】
照明装置4は、フレーム5、光学シート類6、対になった放電ランプ7,8、反射板10、バックライトシャーシ11、サイドホルダー12及びインバータ回路基板13,13から構成される。フレーム5は、額縁形状を有しており、光学シート類6をバックライトシャーシ11及びサイドホルダー12の載置面に固定するためのものである。光学シート類6は、放電ランプ7,8から表示パネル3に入射する光の特性を調整するためのもので、例えば、拡散シート、レンズシート、偏光反射シート、拡散板等から構成される。
【0023】
図2に示されるように、バックライトシャーシ11内を左右方向に分割境界線18によって2分割し、これら分割した領域18a,18bにそれぞれ放電ランプ7,8を分割方向に対して直交する上下方向に並列させている。そして、並列されて隣り合う2本の放電ランプ7,8を組としたそれぞれの一方の電極7b,8bが共通接続され、他方の電極7a,8aがインバータ回路22を備えたインバータ回路基板13に接続されている。
【0024】
図示されるように、放電ランプ7,8は、インバータ回路基板13によって高圧駆動される高圧側7a,8aの端部に電極部ホルダ15,16が装着されて、バックライトシャーシ11に固定される。また、放電ランプ7,8の高圧側7a,8aとは反対側の低圧側7b,8bの電極は共通接続されて連結部9が形成されている。
【0025】
放電ランプ7,8の下側に布設される反射板10は、放電ランプ7,8から発せられる光を表示パネル3側に反射させるためのものである。バックライトシャーシ11とサイドホルダー12は対になった放電ランプ7,8を複数並列に収容する放電ランプ収容部を形成するための部材である。この場合、バックライトシャーシ11は、金属製板材の板金加工により略箱形状に形成されたもので、放電ランプ収容部の底部と長辺側の側壁部を構成する。サイドホルダー12は、白色の樹脂製部材で、同じく放電ランプ収容部の短辺側の側壁部を構成している。
【0026】
また、バックライトシャーシ11の裏面には、放電ランプ7,8を駆動する高圧パルス電圧を発生させるインバータ回路基板13,13と、このインバータ回路基板13,13を覆うインバータ回路基板カバー13a,13aが設けられている。尚、表示パネル3を制御するコントロール回路基板14と、このコントロール回路基板14を覆うコントロール回路基板カバー14aもバックライトシャーシ11の裏面に設けられている。
【0027】
次に、このような構成の2本直列の放電ランプ7,8の両端電極に、交互に逆位相の高電圧を印加して駆動する図2のインバータ回路22について説明する。インバータ回路基板13に備えられたインバータ回路22は、U字形状に2本直列の放電ランプ7,8の両端電極に交互に逆位相の高電圧を印加するためのもので、外部から入力される直流電源(例えば、12V)をスイッチングして交流のパルス電圧に変換する電力駆動部22bと、この電力駆動部22bのスイッチング動作を制御する発振制御部22aと、電力駆動部22bから出力された交流のパルス電圧を数百ボルト(V)以上の高電圧に昇圧し、それを放電ランプ7,8に供給する電源変換部22cとから構成されている。
【0028】
図2に示すように、バックライトシャーシ11内を左右に2分割し、これら分割した領域18a,18bにそれぞれ放電ランプ7,8を分割方向に対して直交する上下方向に並列させると共に、並列されて隣り合う少なくとも2本の放電ランプ7,8を組としたそれぞれの一方の電極7b,8bを共通接続し、他方の電極7a,8aをインバータ回路22に接続する構成により、従来技術よりも用いる放電ランプの長さを短くすることができ、放電ランプの高圧側から低圧側に向かって暗くなるという輝度勾配を小さくすることが可能になる。これにより、広範囲に均一な高輝度の発光面を形成することができる。
【0029】
この場合、分割境界線18を挟んで隣り合う放電ランプ7,8の組が有する共通接続された電極7b,8b同士、つまり連結部9,9が、図示されるように分割境界線18を挟んで隣り合う場合は、互いに低圧側であることから、絶縁距離を小さくして、その分、電極同士を近づけて放電ランプの未発光部分による暗部を小さくすることが可能である。尚、図3に示すように、図2の連結部9,9を更に共通接続して新たな連結部19として構成すれば、放電ランプ7,8の電極7b,8bへの配線を簡略化することができる。
【0030】
また、図4に示すように、分割境界線18近傍において、左の分割領域18aの放電ランプ7,8の組の共通接続された連結部9と、右の分割領域18bの放電ランプ7,8の組の共通接続された連結部9が、それぞれ分割境界線18に対して千鳥状に配置されている構成にすれば、放電ランプの未発光部分が他の放電ランプの発光部分で補完されるので、広範囲に均一な高輝度の発光面を形成することができる。この場合の放電ランプ7,8は、図示されるように短いもの同士と長いもの同士の組となっている。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、上記実施の形態では図1に示したようにバックライトシャーシ11内を長辺方向に2分割して放電ランプを配置した構成について説明したが、3分割、4分割、5分割、・・・しても良く、また短辺方向に分割しても良く、上記実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示される対に放電ランプのバックライトシャーシ内での配置構成と、各放電ランプに高電圧を印加する電源の概略構成を示した図である。
【図3】図2に示した放電ランプの接続構成の変形例を示した図である。
【図4】図2に示した放電ランプの配置構成の変形例を示した図である。
【図5】従来用いられてきた表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示した放電ランプを片側高圧駆動させた場合の軸方向の輝度分布を示した図である。
【図7】従来技術に係る2本直列の放電ランプの両端電極に交互に逆位相の高電圧を印加する点灯方法の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0033】
1 液晶表示装置
2 ベゼル
3 表示パネル
4 照明装置
5 フレーム
6 光学シート類
7 放電ランプ
7a 高圧側
7b 低圧側
8 放電ランプ
8a 高圧側
8b 低圧側
9 連結部
10 反射板
11 バックライトシャーシ
12 サイドホルダー
13 インバータ回路基板
13a インバータ回路基板カバー
14 コントロール基板
14a コントロール基板カバー
15,16 電極部ホルダ
18 分割境界線
18a,18b 分割領域
19 連結部
22 インバータ回路
22a 発振制御部
22b 電力駆動部
22c 電源変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの背面側に設けられたバックライトシャーシ内に複数本の放電ランプが配された照明装置であって、前記バックライトシャーシ内を長辺方向又は短辺方向に少なくとも2分割し、これら分割した領域にそれぞれ前記放電ランプを分割方向に対して直交する方向に並列させると共に、並列されて隣り合う少なくとも2本の前記放電ランプを組としたそれぞれの一方の電極を共通接続し、他方の電極をインバータ回路に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの電極が、共通接続された電極同士又はインバータ回路に接続された電極同士であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記分割した領域の境界線近傍の前記放電ランプの組の共通接続された電極又はインバータ回路に接続された電極が、前記分割した領域の境界線に対して千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの共通接続された電極同士が更に共通接続されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の照明装置を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
表示パネルの背面側に設けられたバックライトシャーシ内に複数本の放電ランプが配された照明装置であって、前記バックライトシャーシ内を長辺方向又は短辺方向に2分割し、これら分割した領域にそれぞれ前記放電ランプを分割方向に対して直交する方向に並列させると共に、並列されて隣り合う2本の前記放電ランプを組としたそれぞれの一方の電極を共通接続し、他方の電極をインバータ回路に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの電極が、共通接続された電極同士又はインバータ回路に接続された電極同士であることを特徴する請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記分割した領域の境界線近傍の前記放電ランプの組の共通接続された電極又はインバータ回路に接続された電極が、前記分割した領域の境界線に対して千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記分割した領域の境界線を挟んで隣り合う前記放電ランプの組が有するそれぞれの共通接続された電極同士が更に共通接続されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれかに記載の照明装置を備えていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−177016(P2008−177016A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8916(P2007−8916)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】