説明

照明装置及び内視鏡

【課題】管腔の内面を均一に照明し得る内視鏡用の照明装置を提供する。
【解決手段】撮像ユニット(20)を有する内視鏡(1)に設けられる照明装置(5)は、光源(7)と、透光性を有する導光部材(8)を備える。前記導光部材(8)が、光の拡散効果を有する第一面(11)と、前記第一面と対向して内部からの光を透過して射出する第二面(12)と、前記第一面と前記第二面の間に位置して前記光源(7)からの光を前記導光部材の内部に取り込む第三面(13)と、を備える。前記第二面(12)が、前記導光部材の外側に凸な曲面であり、前記撮像ユニット(20)の光軸(26)と前記第二面とが略平行になるように前記導光部材が前記内視鏡内において配置されており、前記光軸の方向に見た場合に、前記導光部材(8)の断面が、内視鏡先端の輪郭内に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、及び、照明装置を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、液晶表示装置用の導光部材照明装置が開示されている(特許文献1参照)。この照明装置では、光を射出する半円筒状射出面の軸が、光源からの光の入射方向と垂直な方向に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3706594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、この従来技術の照明装置は、管腔内に挿入して使用する内視鏡に用いる場合、光を射出する円筒状射出面と管腔内面の形状が適合しないため、管腔内面に照明の斑(むら)が生じてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みて、管腔の内面を均一に照明し得る内視鏡用の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る照明装置は、撮像ユニットを有する内視鏡に設けられる照明装置であって、光源と、透光性を有する導光部材を備える。前記導光部材が、光の拡散効果を有する第一面と、前記第一面と対向し、内部からの光を透過して射出する第二面と、前記第一面と前記第二面の間に位置し、前記光源からの光を透過する透過面を含み、前記光源に対向して前記光源からの光を前記導光部材の内部に取り込む第三面と、を備える。前記第二面が、前記導光部材の外側に凸な曲面であり、前記撮像ユニットの光軸と前記第二面とが略平行になるように前記導光部材が前記内視鏡内において配置されており、前記光軸の方向に見た場合に、前記導光部材の断面が、内視鏡先端の輪郭内に含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明装置は、内視鏡が挿入される略円筒状の管腔の内面を略均一に照明できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】照明装置を搭載した内視鏡を示す概略図である。点線は、内視鏡内部の撮像ユニットとライトガイドを示す。導光部材については、側面から見た様子を示す。
【図2】導光部材の概略斜視図である。
【図3】内視鏡を先端側から見た端面図である。点線は、導光部材の位置を示す。
【図4】(a)導光部材の数が2個である場合の内視鏡の端面図である。(b)導光部材の数が3個である場合の内視鏡の端面図である。(c)導光部材の数が4個である場合の内視鏡の端面図である。
【図5】(a)ライトガイドと導光部材を示す端面図である。(b)ライトガイドと導光部材を示す側面図である。
【図6】(a)ライトガイドと導光部材の一例を示す端面図である。(b)ライトガイドと導光部材の他の一例を示す端面図である。(c)ライトガイドと導光部材の更なる他の一例を示す端面図である。
【図7】(a)第三面の回折格子パターンの一例を示す図である。(b)第三面の回折格子パターンの他の例を示す図である。(c)第三面の回折格子を通過する光を示す図である。
【図8】(a)第四面の回折格子パターンの一例を示す図である。(b)第四面の回折格子パターンの他の例を示す図である。(c)第四面の回折格子からの光を示す図である。(d)第四面の回折格子からの光を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
図1を参照して、第一実施形態に係る照明装置5について説明する。この照明装置5は、内視鏡1に設けられるものである。内視鏡1は、照明装置5と撮像ユニット20を有する。
【0010】
照明装置5は、光源7と導光部材8とを備える。光源7は、外部光源からの光を導光するライトガイド7a(例えば、光ファイババンドル)からなる二次光源である。導光部材8は、光源7からの光に対して透光性を有する。導光部材8の材料は、例えば、透明な樹脂材料又は透光性を有する樹脂材料であり、ポリカーボネート材料やアクリル樹脂であってよい。
【0011】
導光部材8は、内視鏡1の略円筒状の側面30において、その一部(後述する第二面)が内視鏡外部に露出している。これにより、照明装置5は、光を内視鏡1の側面30から射出でき、内視鏡1が挿入される管腔の内面60を照明できる(図1、図3参照)。内視鏡1の先端面28から光を射出する照明レンズ32を有する通常の照明装置では、内視鏡1が挿入される管腔の内面60をよく照明できないため、照明装置5が設けられている。
【0012】
撮像ユニット20は、撮像レンズ22からなる光学系や、撮像素子24等を有する。撮像レンズ22は、内視鏡外部から取り込んだ光を撮像素子24に結像する。撮像素子24は、光電変換によって、光学系により撮像素子24に結像された光学像を電気信号に変換する。撮像ユニット20の光軸26(即ち、光学系の光軸26)は、内視鏡1の略円状の先端面28に垂直であり、内視鏡1の略円筒状の側面30に平行である。
【0013】
図2に、導光部材8の斜視図を示す。導光部材8は、第一面11、第二面12、第三面13、第四面14、第五面15、第六面16を有する。第一面11と第二面12が対向し、第三面13と第四面14が対向し、第五面15と第六面16が対向する。第三面13、第四面14、第五面15、第六面16は、第一面11と第二面12の間に位置する。
【0014】
導光部材8の第一面11には、導光部材8に導入された光を散乱する複数の光散乱体(例えば、凹みや突起)が形成されている。これにより、導光部材8に入射した入射光を第一面11で散乱・拡散させ、第一面11に対向する第二面12から内部の光を管腔の内面60に向けて射出することができる。
【0015】
第二面12は、光を透過する透過面である。第二面12は、導光部材8の外側に凸な曲面である。本実施形態では、第二面12は、第三面13に垂直な軸(光軸26に平行な軸)を有する円筒状曲面の一部からなり、第三面13に垂直な方向に沿って延在する。第二面12が円筒状曲面の一部からなるため、大きな角度で第二面に向かう光が第二面で全反射することが防止される。ここでは第二面12は、半円筒状(シリンダー形状)の曲面である。なお、第二面12は、所定の割合(例えば、70%)以上の領域(面積)が円筒状曲面の一部となっているものでよい。
【0016】
ライトガイド7aの出口端面は、第三面13上に位置する。第三面13において、ライトガイド7aの出口端面に対向する部分が、光を透過する透過面13aになっている。これにより、ライトガイド7a(光入射手段)から導光部材8に光が入射する。図2では、透過面13aは、第三面13の長手方向中央部付近に位置するが、これに限定されるものではない。
【0017】
第四面14は、第三面13と同様の形状であるが、第四面14において、第一面11と第二面12との離間距離(高さ)が、第三面13より小さくなっている。
【0018】
第四面14、第五面15と、第六面16は、何れも反射面である。第四面14、第五面15と、第六面16は、第一面11を規定する3つの辺から、第一面11に対して同じ側に延びる。このように導光部材8を反射面で囲むことにより、所望の方向(第二面12)から光を射出することができる。第一面11と第二面12との離間距離が、第三面13から第四面14に向かうにつれて小さくなる。これにより導光部材8への入射光の光軸に対して第一面11が傾き、光が第一面11に衝突する確率が向上し、発光効率が上昇する。なお、発光効率は、導光部材8に単位時間当たりに入る光量と導光部材8から単位時間当たりに出る光量の比率である。
【0019】
次に、図3を参照して、導光部材8の内視鏡1内部での配置を説明する。図3は、内視鏡1を先端側から見た端面図である。
【0020】
撮像ユニット20の光軸26と、導光部材8の外側に凸な第二面12とが略平行になるように、導光部材8は、内視鏡内において配置されている(図1も参照)。このため、照明装置5は、内視鏡1が挿入される管腔の内面60を均一に照明できる。これは、第二面12と内視鏡1が挿入される管腔の内面60の一部が、相似的となり、形状的に適合し易くなるためである。
【0021】
光軸26の方向に見た場合に、導光部材8の断面が、内視鏡1の先端(又は先端面)の輪郭内に含まれる。なお、光軸26の方向に見た場合に、導光部材8の断面は、導光部材8を除いた内視鏡1の側面30の輪郭内にも含まれることとなる。これにより、導光部材8が、この導光部材を除いた内視鏡1の側面30から突出せず、内視鏡1が管腔内でスムーズに移動できる。
【0022】
さらに、本実施形態では、光軸26の方向に見た場合に、第二面12が内視鏡1の先端(又は先端面)の輪郭に接している。これにより、照明装置5は、最大限の照度で管腔の内面60を照明できる。
【0023】
作用効果
第一実施形態において、撮像ユニット20を有する内視鏡1に設けられる照明装置5は、光源7と導光部材8を有する。導光部材8は、光の拡散効果を有する第一面11と、第一面11と対向して内部からの光を射出する第二面12と、第一面11と第二面12の間で光源7からの光を導光部材8の内部に取り込む第三面と、を備える。
【0024】
第二面12が、導光部材8の外側に向かって膨らんだ凸な曲面であり、撮像ユニット20の光軸26と第二面12とが略平行になるように導光部材8が内視鏡内において配置されている。このため、照明装置5が撮像ユニット20の光軸26から大きく傾いた方向を照明する際、光射出面(第二面12)から被照明面(管腔の内面60)間の距離が照明部分によって異なることに起因する照明ムラを低減できる。即ち、照明装置5は、内視鏡1が挿入される略円筒状の管腔の内面60を略均一に照明できる。
【0025】
第二面12が、第三面13に垂直な方向に沿って延在するため、更に管腔内面を均一照明でき、また、導光部材8が作製しやすくなる。光軸26の方向に見た場合に、第二面12が内視鏡先端の輪郭に接するため、照明装置5は、最大限に明るく管腔の内面60を照明できる。
【0026】
また、撮像ユニット20の光軸26の方向に見た場合に、導光部材8の断面が、内視鏡先端の輪郭内に含まれる。これにより、導光部材8が、この導光部材を除いた内視鏡側面30から突出せず、内視鏡1が管腔内でスムーズに移動できる。
【0027】
第二面12が、第三面13に垂直な軸(又は光軸に平行な軸)を有する円筒状曲面の一部からなるため、照明装置5は、更に内視鏡1が挿入される管腔の内面60を均一に照明できる。第二面12が円筒状曲面の一部からなるため、大きな角度で第二面に向かう光が第二面で全反射することが防止され、照明装置10は広範囲を照明することができる。
【0028】
[第二実施形態]
第二実施形態において、照射装置5は、複数の導光部材8を含んでいる。他の特徴は、第一実施形態と同様である。
【0029】
図4(a)−(c)は、それぞれ、導光部材8の数が2個、3個、4個である場合の内視鏡の端面図を示す。図5(a)と図5(b)のように、光を一本のライトガイド7aから複数の導光部材8に入射させることができる。この際に、導光部材8に光を入射しやすくするために、各々の導光部材8の第三面13が略同一平面上にあるように配置される。
【0030】
各々の導光部材8の第二面12(円筒状曲面の一部)が同一の円筒35に接するように配置される(図4参照)。これにより、内視鏡1の周囲を周方向において広範囲に照明できる。本実施形態では、図4(a)−(c)のように、同一の円筒35は、内視鏡1の側面と対応するものである。なお、図5(a)と図5(b)では、ライトガイド7aは、円筒状(リング)の形状を有する。
【0031】
なお、図6(a)−(c)のように、導光部材8に光を入射させるライトガイド7aの数は、導光部材8の個数以下であれば、1本に限られない。図6(a)では、二個の導光部材8に一本のライトガイド7aから光が入射する。図6(b)では、三個の導光部材8に二本のライトガイド7aから光が入射する。図6(c)では、四個の導光部材8に二本のライトガイド7aから光が入射する。これらの場合においても、導光部材8に光を入射しやすくするために、各々の導光部材8の第三面13が略同一平面上に位置するように配置される。
【0032】
作用効果
第二実施形態において、各々の導光部材8の第三面13が略同一平面上に位置するため、導光部材8に光を入射させるライトガイド7aの数が導光部材8の個数以下であっても、導光部材8に光が入射しやすくなる。
【0033】
各々の導光部材8の第二面12が同一の円筒35に接するように配置されることにより、内視鏡1の周囲を周方向において広範囲に照明できる。
【0034】
[第三実施形態]
第三実施形態において、第三面13及び/又は第四面14に回折格子が形成されている。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0035】
図7(a)(b)に、第三面13の回折格子31のパターン(グレーティングパターン)が示される。図7(a)は、同心円状のグレーティングパターンを示す。図7(b)は、平行な直線状のグレーティングパターンを示す。これらのグレーティングパターンは、図7(c)のように第一面11に向けて光を集光する。
【0036】
図7(a)のグレーティングパターンでは、第一面11の中心軸近傍に光を集光することができる。一方、図7(b)のグレーティングパターンは、図7(a)のグレーティングパターンより形成が容易である。
【0037】
図8(a)(b)に、第四面14の回折格子33のパターン(グレーティングパターン)が示される。図8(a)は、同心円状のグレーティングパターンを示す。図8(b)は、平行な直線状のグレーティングパターンを示す。これらのグレーティングパターンは、図8(c)のように第二面12に向けて光を拡散するため発光効率を向上させる。或いは、これらのグレーティングパターンは、図8(d)のように第一面11に向けて光を集光するものでもよい。この場合、第一面11は、第四面14からの光を再度第二面12に向けて拡散する。
【0038】
なお、第三実施形態において、光が回折しやすくなるように、光源7は、単色光を生じるものであることが好ましい。
【0039】
作用効果
第三実施形態において、導光部材8の第三面13が、第一面11に光を集光する効果を持つ面であるため、導光部材8の発光効率が向上する。導光部材8の第四面14が、光を第一面11又は第二面12へ向けて拡散する効果を持つ面であるため、導光部材8の発光効率が向上する。
【0040】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0041】
1 内視鏡
5 照明装置
7 光源
7a ライトガイド(光入射手段)
8 導光部材
11 第一面
12 第二面
13 第三面
13a 透過面
14 第四面
15 第五面
20 撮像ユニット
26 光軸
31、33 回折格子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像ユニットを有する内視鏡に設けられる照明装置であって、
光源と、透光性を有する導光部材を備え、
前記導光部材が、
光の拡散効果を有する第一面と、
前記第一面と対向し、内部からの光を透過して射出する第二面と、
前記第一面と前記第二面の間に位置し、前記光源からの光を透過する透過面を含み、前記光源に対向して前記光源からの光を前記導光部材の内部に取り込む第三面と、
を備え、
前記第二面が、前記導光部材の外側に凸な曲面であり、
前記撮像ユニットの光軸と前記第二面とが略平行になるように前記導光部材が前記内視鏡内において配置されており、
前記光軸の方向に見た場合に、前記導光部材の断面が、内視鏡先端の輪郭内に含まれることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光軸の方向に見た場合に、前記第二面が前記内視鏡先端の輪郭に接することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第二面が、前記第三面に垂直な方向に沿って延在することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第二面が、前記第三面に垂直な軸を有する円筒状曲面の一部からなることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記導光部材を少なくとも三つ以上備え、各々の導光部材の第二面が同一の円筒に接するように配置されたことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光部材を少なくとも二つ以上備え、各々の導光部材の前記第三面が略同一平面上にあるように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記導光部材の前記第三面が、前記第一面に光を集光する効果を持つ面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項8】
前記導光部材が、前記第一面と前記第二面の間に位置して前記第三面に対向する第四面を備え、
前記導光部材の前記第四面が、光を前記第一面へ向けて集光又は前記第二面へ向けて拡散する効果を持つ面であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載の照明装置を備える内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−120817(P2011−120817A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282807(P2009−282807)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】