照明装置及び撮影装置
【課題】面発光固体素子を光源として用い、小型でありながらも、高い光の利用効率と良好な配光特性が得られるようにした照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置5は、曲面形状を有する面発光固体素子6と、少なくとも反射面を備え、該面発光固体素子からの光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材7とを有する。また、照明装置305は、可撓性を有する面発光固体素子46と、該面発光固体素子の形状を変化させる機構50とを有する。
【解決手段】照明装置5は、曲面形状を有する面発光固体素子6と、少なくとも反射面を備え、該面発光固体素子からの光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材7とを有する。また、照明装置305は、可撓性を有する面発光固体素子46と、該面発光固体素子の形状を変化させる機構50とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置等に搭載される照明装置に関し、特に有機および無機EL(エレクトロルミネセンス)素子等の面発光固体素子を光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のデジタルスチルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ等の撮影装置に搭載される照明装置において、有機および無機EL素子といった自発光型の面発光固体素子を光源として用いることが考えられている。
【0003】
例えば、有機EL素子は、一般に発光層を含む有機層(蛍光性有機化合物を含む有機化合物からなる薄膜)を陽極と陰極との電極で挟んだ構成を有し、該電極間に電流を供給することにより発光する素子である。具体的には、有機蛍光体中に外部から電子とホール(正孔)を注入し、それらの再結合エネルギーによって発光中心を励起し、光を発生する。このような有機EL素子では、高輝度(10万cd/m2以上)・高効率(10lm/W以上)での発光が可能な青、緑、赤色の三種の発光層を積層することにより、高輝度白色発光をすることができる。
【0004】
したがって、このような薄膜の有機EL素子を光源として利用すると、照明装置の薄型化や小型化を図ることができ、ひいては撮影装置の小型軽量化を実現することができる。
【0005】
特許文献1には、有機EL素子に、通常では1秒以下で破壊するほどの大電流を瞬間的に流して短時間だけ強く発光させ、被写体を照明するようにしたフラッシュ装置が開示されている。
【0006】
また、有機EL素子は、その形状がフレキシブルであるフィルム状に形成することもできる。特許文献2には、有機EL素子を曲面形状に形成し、発せられた光束を前方の一点に集光させて、仮想の単一点光源を形成した照明装置(スポットライト)が開示されている。このスポットライトでは、有機EL素子と光学部材との間隔を変化させることにより、光の照射角度を可変としている。
【特許文献1】特開2004−109430号公報(段落0018、図1等)
【特許文献2】特開2001−307502号公報(段落0034、0028、図8(b)および図4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にて開示されたフラッシュ装置では、光源である有機EL素子の前側(光照射側又は被写体側)に、該有機EL素子からの光に対する集光作用を持った光学部材が配置されていない。このため、有機EL素子からの光を必要な光照射範囲に効率良く集光することができず、所望の配光特性が得られないおそれがある。
【0008】
また、特許文献2にて開示されたスポットライトでは、光源である有機EL素子の前側に集光作用を有する光学部材として平凸レンズやフレネルレンズを配置している。しかしながら、有機EL素子上の各発光点から拡散状態で発する光のうち光学部材に入射しない光を利用できないため、充分に光の利用効率が高い照明装置とは言えない。しかも、有機EL素子と光学部材との間隔を変化させて光の照射角度を変更する構成では、照射角度の変化量に対して該間隔を大きく変化させる必要があり、装置が大型化するという問題がある。
【0009】
本発明は、面発光固体素子を光源として用い、小型でありながらも、高い光の利用効率と良好な配光特性が得られるようにした照明装置を提供することを目的の1つとしている。また、本発明は、面発光固体素子を光源として用い、小型でありながらも、照射角度を変更可能な照明装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願第1の発明の一側面である照明装置は、曲面形状を有する面発光固体素子と、少なくとも反射面を備え、該面発光固体素子からの光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本願第2の発明の他の側面である照明装置は、可撓性を有する面発光固体素子と、該面発光固体素子の形状を変化させる機構とを有することを特徴とする。
【0012】
なお、上記各照明装置を備えた撮影装置も本発明の他の側面を構成する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、曲面形状を有する面発光固体素子からの光を、少なくとも反射面を有する光学部材によって光照射範囲に集光状態で照射することにより、光の利用効率が高く、所望の配光特性が得られる小型の照明装置を実現できる。
【0014】
また、第2の発明によれば、面発光固体素子の形状を変化させる機構を設けることにより、面発光固体素子の位置をほとんど変えることなく照射角度を変更可能な小型の照明装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1には、本発明の実施例1である照明装置を搭載したデジタルスチルカメラの構成を示している。1はカメラ本体である。2は撮影レンズ鏡筒であり、不図示の撮影レンズを保持している。
【0017】
3は光学ファインダであり、撮影構図を決める際に撮影者がこれを通して被写体を観察する。4はレリーズボタンである。このカメラには、撮影レンズにより形成された被写体像を光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等により構成された撮像素子(図示せず)が内蔵されている。
【0018】
5は照明装置であり、カメラ本体1の右上部に内蔵されている。本実施例の照明装置は、後述するように、光源として、有機EL素子や無機EL素子等の面発光固体素子(電界固体面発光素子と称される場合もある)を用い、さらに該面発光固体素子からの光を効率良く集光する光学部材を用いている。面発光固体素子は、発光面のほぼ全体から光を発するものであり、ランプ等の点光源や放電管等の線光源とは異なる。
【0019】
なお、本実施例では、デジタルスチルカメラについて説明するが、本発明の照明装置はこれに限らず、フィルムカメラやビデオカメラの照明装置にも適用できる。
【0020】
次に、図2を用いて、有機EL素子の構造について説明する。図2には、有機EL素子の基本的な構成を模式的に示している。
【0021】
有機EL素子6は、ガラス等により形成された透明基板10上に、透明電極(陽極)11、発光層を含む有機層(有機化合物薄膜)12、および反射電極(陰極)13をこの順序で積層した構成を有する。
【0022】
透明基板10は、ガラス、プラスチック等の光透過率が70%以上の透明性を有する基板であり、例えば、ガラス、石英等のソリッド基板として形成される。また、以下の材料を用いて、透明基板10をフレキシブル基板としてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を用いることができる。さらに、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(CTA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を用いることもできる。
【0023】
透明電極11は、例えば、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、金、酸化錫、酸化亜鉛等の導電材料により形成される。仕事関数が4eV以上で、光透過率が60%以上の材料で構成することが好ましい。
【0024】
有機層12は、発光層を含む数nm〜μmの有機化合物若しくは錯体の単層又は複数層からなる。フッ化リチウム層や無機金属塩の層又はそれらを含有する層が任意の位置に配置されていてもよい。
【0025】
反射電極13は、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、銀、カルシウム等の金属材料により形成される。仕事関数が4eV未満で、反射率が70%以上の材料で形成することが好ましい。
【0026】
有機EL素子6は、透明電極11と反射電極13に電源15から供給される電流によって、有機層12を構成する1層以上の発光層において電子および正孔が結合し、蛍光又は燐光に由来して発光する。
【0027】
本実施例の有機EL素子6において、透明電極11と反射電極13はそのいずれか一辺において電気的に繋がった共通電極としての形態を持つ。但し、個々の有機層に対応した電極の形態を採用してもよい。これらのいずれの形態においても、透明電極11と反射電極13が有機層を挟んで積層されているものとして扱う。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0028】
なお、有機EL素子6は、透明電極11と反射電極13の位置を入れ替えたトップエミッション構造としてもよい。
【0029】
また、有機化合物は、水分や大気中の酸素による劣化が激しいため、窒素等の不活性ガスの雰囲気下において、透明基板10上で金属管やガラス管等を用いて有機層12を覆って封止し、外部雰囲気から遮蔽している。但し、図2では、封止膜を省略して示している。
【0030】
次に、本実施例の照明装置5の構成および光学作用について図3〜図7を用いて説明する。
【0031】
図3は、照明装置5の主要部品を前方(光照射範囲側又は被写体側)から見て示す斜視図であり、図4は、該照明装置5の主要部品を前方から見て示す分解斜視図である。なお、これらの図では、各主要部品を保持する保持部材や有機EL素子に接続されているリード線は示していない。このことは、以下に説明する他の実施例の図でも同じである。
【0032】
図3および図4に示すように、本実施例の有機EL素子6および光学部材7はそれぞれ、該照明装置5の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。照射光軸AXLは、有機EL素子6の発光面の中心から光学部材7の入射面7aおよび射出面7cの中心を通って延びる仮想軸である。
【0033】
有機EL素子6は、前方に向かって凹となる曲面形状を有する。有機EL素子6は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0034】
本実施例では、有機EL素子6として、フレキシブルな構造であるプラスチックフィルムを透明基板10として用い、青、緑、赤色の3つの発光層を積層することにより、高輝度白色光を発する。なお、2つの電極に挟時された有機層12の発光波長を、例えば、青、黄色の二種の発光層として同時に発光させることにより白色化する形態を採用してもよい。これらのことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0035】
光学部材7は、有機EL素子6に対して前方に配置され、有機EL素子6から発せられた光束を直接取り込んで所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。言い換えれば、有機EL素子6から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有し、この作用によって光照射範囲での配光を制御する。放電管等を光源とする場合に、該光源から後方に射出された光を光源に戻すための集光作用を有する反射傘は不要である。光学部材7は、光アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料又はガラス材料で形成されている。
【0036】
ここで、フレキシブルな構造の有機EL素子6を曲面形状とすることで、光源としての有機EL素子6の見かけ上の面積を小さくすることができる。このため、照明装置5を正面から見たときに、照明装置5の投影面積も小さくすることができる。したがって、照明装置5をカメラに搭載した際に、カメラのデザインの自由度が増すという利点がある。
【0037】
照明装置5を備えたカメラにおいて、例えば、「ストロボオートモード」に設定されている場合に、ユーザーによりレリーズボタン4が半押し操作されると、不図示の測光ユニットで外光(被写体)の明るさが測定される。測光結果はカメラ本体1内に配置された不図示の中央演算処理ユニットに送られる。中央演算処理ユニットは、測光結果と撮像素子(フィルムカメラの場合はフィルム)の感度とによって、照明装置5を発光させるか否かを判断する。
【0038】
「照明装置を発光させる」と判断した場合には、中央演算処理ユニットは、レリーズボタン4の全押し操作に応じて照明装置5に発光信号を出力し、これに応じて有機EL素子6が発光する。
【0039】
有機EL素子6から発せられた光は、光学部材7の入射面7aから該光学部材7内に直接入射し、所定の配光特性を有する光に変換された後、被写体側に照射される。
【0040】
図5は、照明装置5をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。なお、図5には、有機EL素子6の中心付近から発せられた光線のトレース図を付記している。
【0041】
図に示すように、被写体側に凹となる曲面形状を有する有機EL素子6に対し、光学部材7は、有機EL素子6の該曲面形状に沿った、すなわち被写体側に向かって凹となる曲面形状の入射面7aを有する。光学部材7の入射面7aは、有機EL素子6の各発光点から拡散して発せられた光がほぼすべて入射面7aに入射するように、有機EL素子6に近接して配置されている。なお、これらが近接するほど光の利用効率は上がるが、物理的な条件から0.2mm以上離すことが望ましい。
【0042】
図5に示す光線トレース図から分かるように、有機EL素子6の中心付近から発せられた光束は、入射面7aからその正の屈折力による集光作用を受ける。入射面7aで屈折した光束のうち照射光軸AXLに対して所定角度θより小さい角度で進む光束成分は、直接射出面7cから射出する。また、入射面7aで屈折した光束のうち照射光軸AXLに対して所定角度θより大きい角度で進んだ光束成分は、反射面7bで反射された後、射出面7cから射出する。
【0043】
反射面7bは、射出面7cに向かって照射光軸AXLに対して広がる方向に傾斜した平面又は緩やかな曲面として形成されている。射出面7cは、被写体側に向かって凸となる形状を有し、主として反射面7bで反射した光束をより照射光軸AXL側に屈折させる作用を有する。
【0044】
光学部材7は、これら入射面7a、反射面7bおよび射出面7cにより、有機EL素子6から発せられた光束を、効率良く、被写体側にて集光する光束に変換する作用を持つ。
【0045】
なお、本実施例では、光学部材7の入射面7aを正の屈折力を有する曲面形状としているが、本発明における光学部材はこれに限らない。例えば、図6に示すように、入射面7a′を平面として形成してもよい。さらに言えば、光学部材7の各面は、最終的に光学部材7から射出される光束が、所望の光照射範囲に向かって集光する光束に変換される形状であればよい。
【0046】
図7には、図5と同じ断面において、有機EL素子6の周辺部分から発せられた光線のトレース図を示している。
【0047】
図7において、有機EL素子6の周辺部分から発せられた光束は、その主たる進行方向が照射光軸AXL上の1点に向っている。これは、光学部材7の入射面7aに入射しやすくなる方向である。したがって、曲面形状の有機EL素子6から発せられた光束は、平面形状の有機EL素子に比べて、より多くが光学部材7の入射面7aに入射する。これにより、光の利用効率が高い照明装置5を実現できる。
【実施例2】
【0048】
図8〜図11には、本発明の実施例2である照明装置の構成を示している。本実施例の照明装置も、実施例1の図1にて示したカメラに搭載される。
【0049】
図8は、本実施例の照明装置105の主要部品を前方から見て示す組み立て状態での斜視図であり、図9は、該照明装置105の主要部品を前方から見て示す分解斜視図である。なお、これらの図では、各主要部分を保持する保持部材やリード線を省略している。
【0050】
図8および図9に示すように、本実施例の有機EL素子26および光学部材27はそれぞれ、該照明装置105の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。
【0051】
有機EL素子26は、前方に向かって凸となる曲面形状を有する。有機EL素子26は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0052】
光学部材27は、有機EL素子26に対して前方に配置され、有機EL素子26から発せられた光束を直接取り込んで所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。言い換えれば、有機EL素子26から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有し、この作用によって光照射範囲での配光を制御する。本実施例でも、光源から後方に射出された光を光源に戻すための集光作用を有する反射傘は不要である。光学部材27は、光アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料又はガラス材料で形成されている。
【0053】
ここで、フレキシブルな構造の有機EL素子26を曲面形状とすることで、光源としての有機EL素子26の見かけ上の面積を小さくすることができる。このため、照明装置105を正面から見たときに、照明装置105の投影面積も小さくすることができる。したがって、照明装置105をカメラに搭載した際に、カメラのデザインの自由度が増すという利点がある。
【0054】
一般に、図10(a)に示すように、ガラス等の平面に構成された有機EL素子20は、主光線の発光方向は照射光軸AXLに平行な方向となる。一方、図10(b)に示すように、基板としてプラスチックフィルムを用いたフレキシブルな構造の有機EL素子21を被写体側に向かって凹となる曲面形状とすることで、主光線の発光方向を照射光軸AXL上の一点に向かわせることができる。これにより、仮想の単一点光源を形成することができる(特許文献2参照)。これに対し、本実施例の照明装置105では、有機EL素子26を、被写体側に向かって凸となる曲面形状に形成し、主光線が発散方向に発せられるようにしている。ここにいう主光線は、有機EL素子の発光面に対して垂直な方向に向かって発せられる光線である。
【0055】
図11は、本実施例の照明装置105をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。また、図11には、有機EL素子26から発せられた主光線のトレース図を付記している。
【0056】
光学部材27は、有機EL素子26の凸形状とは反対向きに凸となる(被写体側に凹となる)曲面形状を有する第1の入射面27Rと、該第1の入射面27Rの上下に配置された平面形状の第2の入射面27Cとを有する。
【0057】
光線トレース図から分かるように、有機EL素子から発せられた主光線のうち照射光軸AXLに対して第1の角度θ1より小さい角度で発せられた主光線は、光学部材27の第1の入射面27Rに入射する。これらの主光線は、第1の入射面27Rから正の屈折力を受けて照射光軸AXLにほぼ平行な光線となり、そのまま平面形状を有する射出面27Hから射出する。この第1の入射面27Rは、双曲面で形成されるのが好ましい。
【0058】
また、有機EL素子から発せられた主光線のうち照射光軸AXLに対して第1の角度θ1より大きい角度で発せられた主光線は、光学部材27の第2の入射面27Cに入射する。これらの主光線は、第2の入射面27Cにて屈折し、反射面27TRに向かう。そして、反射面27TRでほぼ全反射されることにより、照射光軸AXLにほぼ平行な光線となり、そのまま射出面27Hから射出する。ここで、第2の入射面27Cで屈折した主光線は、反射面27TRに対する入射角度が小さくなる方向(垂直に近くなる方向)に曲げられるので、反射面27TRの大きさ、つまりは光学部材27を小さくすることができる。
【0059】
なお、反射面27TRの形状は、入射した光線のほとんどを全反射面し、かつ反射後の光線の平行度を良好に保つために、放物面あるいは放物面に近いシリンドリカル非球面形状とするのが好ましい。
【0060】
光学部材27は、これら入射面27R,27Cおよび反射面27TRにより、有機EL素子26から発せられたすべての光束を、効率良く、被写体側にて集光する平行光束に変換する作用を持つ。特に、有機EL素子26から照射光軸AXLに対して大きい角度で発せられた光線も有効に利用するため、光の利用効率の高い照明装置とすることができる。
【0061】
なお、本実施例では、光学部材27を平行光束を射出するようにその形状を設定した場合について説明した。しかし、図12に示すように、有機EL素子26の位置と光学部材27′の第1および第2の入射面27R,27Cの形状や反射面27TRの形状などを本実施例と異ならせることによって、射出光束の指向特性を任意に設定することができる。
【実施例3】
【0062】
図13および図14には、本発明の実施例3である照明装置の構成を示している。本実施例の照明装置も、実施例1の図1にて示したカメラに搭載される。
【0063】
図13は、本実施例の照明装置205の主要部品を前方から見て示す組み立て状態での斜視図である。なお、図13では、各主要部分を保持する保持部材やリード線を省略している。
【0064】
上述した実施例1,2では、有機EL素子の前方に、入射面、反射面および射出面を有する光学部材を配置した場合について説明したが、本実施例では、有機EL素子36の後方(光照射範囲又は被写体側とは反対側)に反射部材(光学部材)37を配置している。
【0065】
図13に示すように、本実施例の有機EL素子36および反射部材37はそれぞれ、該照明装置205の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。
【0066】
有機EL素子36は、前方に向かって凹となる曲面形状を有する。有機EL素子36は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0067】
反射部材37は、有機EL素子36に対して後方に配置され、有機EL素子36から後方に発せられた光束を前方に反射して所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。言い換えれば、有機EL素子36から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有し、この作用によって光照射範囲での配光を制御する。反射部材37は、一次元方向に曲率を有し、金属の内面反射を利用した反射鏡として構成されている。
【0068】
図14は、本実施例の照明装置205をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。また、図14には、有機EL素子36から発せられた主光線のトレース図を付記している。
【0069】
反射部材37は、有機EL素子36の凹形状と同じ向きに凹となる(前方に向かって凹となる)曲面形状を有する。
【0070】
反射部材37の反射面は、放物面として形成されている。有機EL素子36から発せられた主光線の仮想の発光点は、該反射部材37の放物面の焦点にほぼ一致する。このような形状に設定すると、有機EL素子36から発せられたすべての主光線は、反射部材37で反射して、平行光束として被写体側に射出される。
【0071】
反射部材37は、その反射面により、有機EL素子36から発せられた光束を、効率良く被写体側にて集光する光束に変換する作用を持つ。また、有機EL素子36から発せられたすべての主光線を平行光束とすることで、配光特性を狭い角度範囲に設定することができる。
【0072】
なお、有機EL素子36から発せられた主光線のうち照射光軸AXLに対して小さな角度で反射部材37に向かった主光線は、反射部材37で反射した後、再び有機EL素子36に戻る。そして、有機EL素子36の反射電極13で反射して有機EL素子36から発せられ、反射部材37に向かう。この際又はこれを繰り返すうちに、照射光軸AXLに対する角度が大きくなり、最終的に被写体側に射出される。したがって、光の利用効率の高い照明装置とすることができる。
【0073】
なお、本実施例では、反射部材37で反射した光束を平行光束とする場合について説明したが、有機EL素子と反射部材の位置関係や反射部材の反射面形状を楕円形状などに変化させることによって、射出光束の指向特性を任意に設定することができる。
【実施例4】
【0074】
図15〜図17には、本発明の実施例4である照明装置の構成を示している。本実施例の照明装置も、実施例1の図1にて示したカメラに搭載される。
【0075】
図15は、本実施例の照明装置305の主要部品を前方から見て示す組み立て状態での斜視図である。なお、この図では、各主要部分を保持する保持部材やリード線を省略している。
【0076】
図15に示すように、本実施例の有機EL素子46および光学部材47はそれぞれ、該照明装置305の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。
【0077】
有機EL素子46は、そのフレキシブルな構造を利用して、前方に向かって凹となる曲面形状と平面形状との間で形状が変化する。有機EL素子46は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0078】
光学部材47は、有機EL素子46に対して前方に配置され、有機EL素子46から発せられた光束を直接取り込んで所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。本実施例では、有機EL素子46の形状の変化と、該有機EL素子46から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材47との相互作用によって、光照射範囲での配光を制御する。
【0079】
本実施例でも、実施例1,2と同様に、光源から後方に射出された光を光源に戻すための集光作用を有する反射傘は不要である。光学部材47は、光アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料で形成されている。
【0080】
本実施例では、光学部材47をフレネルレンズとして形成している。フレネルレンズは、平凸レンズの曲面を分割して平面上に寄せ集めたものであり、平凸レンズよりも軽量に形成することができる。なお、本実施例の光学部材47は、上記実施例1〜3のよう反射面を持たない。
【0081】
図16(a),(b)は、本実施例の照明装置305をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。また、図16(a),(b)には、有機EL素子46の周辺部から発せられた主光線のトレース図を付記している。
【0082】
なお、図16(a)には、有機EL素子46を被写体側に凹となる曲面形状にした場合であって、照明装置305からの射出光束が最も集光された場合を示している。また、図16(b)には、有機EL素子46を平面形状にした場合であって、照明装置305からの射出光束が最も発散する場合を示している。
【0083】
図16(a)の状態では、凹曲面形状の有機EL素子46から発せられた主光線はフレネルレンズとしての光学部材47が持つ固有の焦点に集光され、仮想の単一点光源を形成する。そして、該光学部材47によって、照射光軸AXLに対してほぼ平行な光束に集光された状態で被写体側に照射される。
【0084】
一方、図16(b)の状態では、平面形状の有機EL素子46から照射光軸AXLに対してほぼ平行な主光線が発せられる。このため、該主光線は、仮想の単一点光源を形成せず、光学部材47の作用によって一旦照射光軸AXL上に収斂した後、発散光束として被写体側に照射される。
【0085】
このように、本実施例では、有機EL素子46の形状を制御することで、照明装置305から射出される光の指向特性(照射角度範囲)を任意に変化させることができる。
【0086】
なお、光学部材47の上下の高さは、有機EL素子46の形状にかかわらず(すなわち、高さが最小となる図16(a)の状態でも高さが最大となる図16(b)の状態でも)、有機EL素子46の高さよりも十分に大きい。これにより、有機EL素子46から発せられた主光線以外の発散光線もすべて光学部材47に入射し、集光される。したがって、光の利用効率の高い照明装置とすることができる。
【0087】
図17には、有機EL素子46の形状を変化させる機構の構成を示している。図17(a)は、有機EL素子46を曲面形状にしたときの該機構の状態を示し、図17(b)は有機EL素子46を平面形状にしたときの該機構の状態を示している。
【0088】
この図において、有機EL素子46の中央部に設けられたピン46aは、カム板50の中央に形成された直進溝50aに係合し、かつ不図示の固定枠に固定されている。また、有機EL素子46の両端部に設けられたピン46b,46cは、カム板50の両端部に形成されたカム溝50b,50cに係合している。
【0089】
カム板50が図の左右方向に移動すると、中央部が固定された有機EL素子46の両端部がカム板50の移動に伴うカム溝50b,50cの作用により左右に移動する。これにより、有機EL素子46は、曲面形状と平面形状との間で変形する。
【0090】
なお、図17に示した機構は例にすぎず、有機EL素子を曲面形状と平面形状との間で変形させるものであれば、どのような機構を用いてもよい。
【0091】
なお、上記各実施例では、有機EL素子および光学部材を正面視において長方形となるように形成した場合について説明したが、照射光軸AXLを中心とした回転対称形状に形成してもよい。
【0092】
また、上記各実施例では、有機EL素子に対して電流を1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ流して、静止画撮影用の瞬間的な閃光を発光させる場合について説明した。しかし、ビデオカメラ等による動画撮影時に、短時間通電の場合よりも低い電圧で長時間通電することにより、長時間にわたって定常光を発光させるように構成することも可能である。
【0093】
さらに、上記各実施例では、撮影装置への搭載に適した照明装置について説明したが、本発明の照明装置は、室内照明や液晶表示装置のバックライト等にも応用が可能である。
【0094】
なお、各実施例に示した構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは単なる例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施例1である照明装置を搭載したカメラの斜視図。
【図2】有機EL素子の基本的な構成を説明するための模式図。
【図3】実施例1の照明装置の斜視図。
【図4】実施例1の照明装置の分解斜視図。
【図5】実施例1の照明装置の断面図。
【図6】実施例1の照明装置の変形例を示す断面図。
【図7】実施例1の照明装置の断面図および有機EL素子の周辺部から発せられた光線のトレース図。
【図8】本発明の実施例2である照明装置の斜視図。
【図9】実施例2の照明装置の分解斜視図。
【図10】有機EL素子の形状と発光された光線の様子を示す模式図。
【図11】実施例2の照明装置の断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図12】実施例2の照明装置の変形例を示す断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図13】本発明の実施例3である照明装置の斜視図。
【図14】実施例3の照明装置の断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図15】本発明の実施例4である照明装置の斜視図。
【図16】実施例4の照明装置の断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図17】実施例4において有機EL素子を変形させる機構の概略図。
【符号の説明】
【0096】
1 カメラ本体
2 撮影レンズ鏡筒
3 ファインダ
4 レリーズボタン
5,105,205,305 照明装置
6,20,26,36,46 有機EL素子
7,27,37,47 光学部材
10 透明基板
11 透明電極
12 有機層
13 反射電極
50 カム板
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置等に搭載される照明装置に関し、特に有機および無機EL(エレクトロルミネセンス)素子等の面発光固体素子を光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のデジタルスチルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ等の撮影装置に搭載される照明装置において、有機および無機EL素子といった自発光型の面発光固体素子を光源として用いることが考えられている。
【0003】
例えば、有機EL素子は、一般に発光層を含む有機層(蛍光性有機化合物を含む有機化合物からなる薄膜)を陽極と陰極との電極で挟んだ構成を有し、該電極間に電流を供給することにより発光する素子である。具体的には、有機蛍光体中に外部から電子とホール(正孔)を注入し、それらの再結合エネルギーによって発光中心を励起し、光を発生する。このような有機EL素子では、高輝度(10万cd/m2以上)・高効率(10lm/W以上)での発光が可能な青、緑、赤色の三種の発光層を積層することにより、高輝度白色発光をすることができる。
【0004】
したがって、このような薄膜の有機EL素子を光源として利用すると、照明装置の薄型化や小型化を図ることができ、ひいては撮影装置の小型軽量化を実現することができる。
【0005】
特許文献1には、有機EL素子に、通常では1秒以下で破壊するほどの大電流を瞬間的に流して短時間だけ強く発光させ、被写体を照明するようにしたフラッシュ装置が開示されている。
【0006】
また、有機EL素子は、その形状がフレキシブルであるフィルム状に形成することもできる。特許文献2には、有機EL素子を曲面形状に形成し、発せられた光束を前方の一点に集光させて、仮想の単一点光源を形成した照明装置(スポットライト)が開示されている。このスポットライトでは、有機EL素子と光学部材との間隔を変化させることにより、光の照射角度を可変としている。
【特許文献1】特開2004−109430号公報(段落0018、図1等)
【特許文献2】特開2001−307502号公報(段落0034、0028、図8(b)および図4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にて開示されたフラッシュ装置では、光源である有機EL素子の前側(光照射側又は被写体側)に、該有機EL素子からの光に対する集光作用を持った光学部材が配置されていない。このため、有機EL素子からの光を必要な光照射範囲に効率良く集光することができず、所望の配光特性が得られないおそれがある。
【0008】
また、特許文献2にて開示されたスポットライトでは、光源である有機EL素子の前側に集光作用を有する光学部材として平凸レンズやフレネルレンズを配置している。しかしながら、有機EL素子上の各発光点から拡散状態で発する光のうち光学部材に入射しない光を利用できないため、充分に光の利用効率が高い照明装置とは言えない。しかも、有機EL素子と光学部材との間隔を変化させて光の照射角度を変更する構成では、照射角度の変化量に対して該間隔を大きく変化させる必要があり、装置が大型化するという問題がある。
【0009】
本発明は、面発光固体素子を光源として用い、小型でありながらも、高い光の利用効率と良好な配光特性が得られるようにした照明装置を提供することを目的の1つとしている。また、本発明は、面発光固体素子を光源として用い、小型でありながらも、照射角度を変更可能な照明装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願第1の発明の一側面である照明装置は、曲面形状を有する面発光固体素子と、少なくとも反射面を備え、該面発光固体素子からの光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本願第2の発明の他の側面である照明装置は、可撓性を有する面発光固体素子と、該面発光固体素子の形状を変化させる機構とを有することを特徴とする。
【0012】
なお、上記各照明装置を備えた撮影装置も本発明の他の側面を構成する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、曲面形状を有する面発光固体素子からの光を、少なくとも反射面を有する光学部材によって光照射範囲に集光状態で照射することにより、光の利用効率が高く、所望の配光特性が得られる小型の照明装置を実現できる。
【0014】
また、第2の発明によれば、面発光固体素子の形状を変化させる機構を設けることにより、面発光固体素子の位置をほとんど変えることなく照射角度を変更可能な小型の照明装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1には、本発明の実施例1である照明装置を搭載したデジタルスチルカメラの構成を示している。1はカメラ本体である。2は撮影レンズ鏡筒であり、不図示の撮影レンズを保持している。
【0017】
3は光学ファインダであり、撮影構図を決める際に撮影者がこれを通して被写体を観察する。4はレリーズボタンである。このカメラには、撮影レンズにより形成された被写体像を光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等により構成された撮像素子(図示せず)が内蔵されている。
【0018】
5は照明装置であり、カメラ本体1の右上部に内蔵されている。本実施例の照明装置は、後述するように、光源として、有機EL素子や無機EL素子等の面発光固体素子(電界固体面発光素子と称される場合もある)を用い、さらに該面発光固体素子からの光を効率良く集光する光学部材を用いている。面発光固体素子は、発光面のほぼ全体から光を発するものであり、ランプ等の点光源や放電管等の線光源とは異なる。
【0019】
なお、本実施例では、デジタルスチルカメラについて説明するが、本発明の照明装置はこれに限らず、フィルムカメラやビデオカメラの照明装置にも適用できる。
【0020】
次に、図2を用いて、有機EL素子の構造について説明する。図2には、有機EL素子の基本的な構成を模式的に示している。
【0021】
有機EL素子6は、ガラス等により形成された透明基板10上に、透明電極(陽極)11、発光層を含む有機層(有機化合物薄膜)12、および反射電極(陰極)13をこの順序で積層した構成を有する。
【0022】
透明基板10は、ガラス、プラスチック等の光透過率が70%以上の透明性を有する基板であり、例えば、ガラス、石英等のソリッド基板として形成される。また、以下の材料を用いて、透明基板10をフレキシブル基板としてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を用いることができる。さらに、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(CTA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を用いることもできる。
【0023】
透明電極11は、例えば、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、金、酸化錫、酸化亜鉛等の導電材料により形成される。仕事関数が4eV以上で、光透過率が60%以上の材料で構成することが好ましい。
【0024】
有機層12は、発光層を含む数nm〜μmの有機化合物若しくは錯体の単層又は複数層からなる。フッ化リチウム層や無機金属塩の層又はそれらを含有する層が任意の位置に配置されていてもよい。
【0025】
反射電極13は、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、銀、カルシウム等の金属材料により形成される。仕事関数が4eV未満で、反射率が70%以上の材料で形成することが好ましい。
【0026】
有機EL素子6は、透明電極11と反射電極13に電源15から供給される電流によって、有機層12を構成する1層以上の発光層において電子および正孔が結合し、蛍光又は燐光に由来して発光する。
【0027】
本実施例の有機EL素子6において、透明電極11と反射電極13はそのいずれか一辺において電気的に繋がった共通電極としての形態を持つ。但し、個々の有機層に対応した電極の形態を採用してもよい。これらのいずれの形態においても、透明電極11と反射電極13が有機層を挟んで積層されているものとして扱う。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0028】
なお、有機EL素子6は、透明電極11と反射電極13の位置を入れ替えたトップエミッション構造としてもよい。
【0029】
また、有機化合物は、水分や大気中の酸素による劣化が激しいため、窒素等の不活性ガスの雰囲気下において、透明基板10上で金属管やガラス管等を用いて有機層12を覆って封止し、外部雰囲気から遮蔽している。但し、図2では、封止膜を省略して示している。
【0030】
次に、本実施例の照明装置5の構成および光学作用について図3〜図7を用いて説明する。
【0031】
図3は、照明装置5の主要部品を前方(光照射範囲側又は被写体側)から見て示す斜視図であり、図4は、該照明装置5の主要部品を前方から見て示す分解斜視図である。なお、これらの図では、各主要部品を保持する保持部材や有機EL素子に接続されているリード線は示していない。このことは、以下に説明する他の実施例の図でも同じである。
【0032】
図3および図4に示すように、本実施例の有機EL素子6および光学部材7はそれぞれ、該照明装置5の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。照射光軸AXLは、有機EL素子6の発光面の中心から光学部材7の入射面7aおよび射出面7cの中心を通って延びる仮想軸である。
【0033】
有機EL素子6は、前方に向かって凹となる曲面形状を有する。有機EL素子6は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0034】
本実施例では、有機EL素子6として、フレキシブルな構造であるプラスチックフィルムを透明基板10として用い、青、緑、赤色の3つの発光層を積層することにより、高輝度白色光を発する。なお、2つの電極に挟時された有機層12の発光波長を、例えば、青、黄色の二種の発光層として同時に発光させることにより白色化する形態を採用してもよい。これらのことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0035】
光学部材7は、有機EL素子6に対して前方に配置され、有機EL素子6から発せられた光束を直接取り込んで所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。言い換えれば、有機EL素子6から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有し、この作用によって光照射範囲での配光を制御する。放電管等を光源とする場合に、該光源から後方に射出された光を光源に戻すための集光作用を有する反射傘は不要である。光学部材7は、光アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料又はガラス材料で形成されている。
【0036】
ここで、フレキシブルな構造の有機EL素子6を曲面形状とすることで、光源としての有機EL素子6の見かけ上の面積を小さくすることができる。このため、照明装置5を正面から見たときに、照明装置5の投影面積も小さくすることができる。したがって、照明装置5をカメラに搭載した際に、カメラのデザインの自由度が増すという利点がある。
【0037】
照明装置5を備えたカメラにおいて、例えば、「ストロボオートモード」に設定されている場合に、ユーザーによりレリーズボタン4が半押し操作されると、不図示の測光ユニットで外光(被写体)の明るさが測定される。測光結果はカメラ本体1内に配置された不図示の中央演算処理ユニットに送られる。中央演算処理ユニットは、測光結果と撮像素子(フィルムカメラの場合はフィルム)の感度とによって、照明装置5を発光させるか否かを判断する。
【0038】
「照明装置を発光させる」と判断した場合には、中央演算処理ユニットは、レリーズボタン4の全押し操作に応じて照明装置5に発光信号を出力し、これに応じて有機EL素子6が発光する。
【0039】
有機EL素子6から発せられた光は、光学部材7の入射面7aから該光学部材7内に直接入射し、所定の配光特性を有する光に変換された後、被写体側に照射される。
【0040】
図5は、照明装置5をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。なお、図5には、有機EL素子6の中心付近から発せられた光線のトレース図を付記している。
【0041】
図に示すように、被写体側に凹となる曲面形状を有する有機EL素子6に対し、光学部材7は、有機EL素子6の該曲面形状に沿った、すなわち被写体側に向かって凹となる曲面形状の入射面7aを有する。光学部材7の入射面7aは、有機EL素子6の各発光点から拡散して発せられた光がほぼすべて入射面7aに入射するように、有機EL素子6に近接して配置されている。なお、これらが近接するほど光の利用効率は上がるが、物理的な条件から0.2mm以上離すことが望ましい。
【0042】
図5に示す光線トレース図から分かるように、有機EL素子6の中心付近から発せられた光束は、入射面7aからその正の屈折力による集光作用を受ける。入射面7aで屈折した光束のうち照射光軸AXLに対して所定角度θより小さい角度で進む光束成分は、直接射出面7cから射出する。また、入射面7aで屈折した光束のうち照射光軸AXLに対して所定角度θより大きい角度で進んだ光束成分は、反射面7bで反射された後、射出面7cから射出する。
【0043】
反射面7bは、射出面7cに向かって照射光軸AXLに対して広がる方向に傾斜した平面又は緩やかな曲面として形成されている。射出面7cは、被写体側に向かって凸となる形状を有し、主として反射面7bで反射した光束をより照射光軸AXL側に屈折させる作用を有する。
【0044】
光学部材7は、これら入射面7a、反射面7bおよび射出面7cにより、有機EL素子6から発せられた光束を、効率良く、被写体側にて集光する光束に変換する作用を持つ。
【0045】
なお、本実施例では、光学部材7の入射面7aを正の屈折力を有する曲面形状としているが、本発明における光学部材はこれに限らない。例えば、図6に示すように、入射面7a′を平面として形成してもよい。さらに言えば、光学部材7の各面は、最終的に光学部材7から射出される光束が、所望の光照射範囲に向かって集光する光束に変換される形状であればよい。
【0046】
図7には、図5と同じ断面において、有機EL素子6の周辺部分から発せられた光線のトレース図を示している。
【0047】
図7において、有機EL素子6の周辺部分から発せられた光束は、その主たる進行方向が照射光軸AXL上の1点に向っている。これは、光学部材7の入射面7aに入射しやすくなる方向である。したがって、曲面形状の有機EL素子6から発せられた光束は、平面形状の有機EL素子に比べて、より多くが光学部材7の入射面7aに入射する。これにより、光の利用効率が高い照明装置5を実現できる。
【実施例2】
【0048】
図8〜図11には、本発明の実施例2である照明装置の構成を示している。本実施例の照明装置も、実施例1の図1にて示したカメラに搭載される。
【0049】
図8は、本実施例の照明装置105の主要部品を前方から見て示す組み立て状態での斜視図であり、図9は、該照明装置105の主要部品を前方から見て示す分解斜視図である。なお、これらの図では、各主要部分を保持する保持部材やリード線を省略している。
【0050】
図8および図9に示すように、本実施例の有機EL素子26および光学部材27はそれぞれ、該照明装置105の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。
【0051】
有機EL素子26は、前方に向かって凸となる曲面形状を有する。有機EL素子26は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0052】
光学部材27は、有機EL素子26に対して前方に配置され、有機EL素子26から発せられた光束を直接取り込んで所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。言い換えれば、有機EL素子26から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有し、この作用によって光照射範囲での配光を制御する。本実施例でも、光源から後方に射出された光を光源に戻すための集光作用を有する反射傘は不要である。光学部材27は、光アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料又はガラス材料で形成されている。
【0053】
ここで、フレキシブルな構造の有機EL素子26を曲面形状とすることで、光源としての有機EL素子26の見かけ上の面積を小さくすることができる。このため、照明装置105を正面から見たときに、照明装置105の投影面積も小さくすることができる。したがって、照明装置105をカメラに搭載した際に、カメラのデザインの自由度が増すという利点がある。
【0054】
一般に、図10(a)に示すように、ガラス等の平面に構成された有機EL素子20は、主光線の発光方向は照射光軸AXLに平行な方向となる。一方、図10(b)に示すように、基板としてプラスチックフィルムを用いたフレキシブルな構造の有機EL素子21を被写体側に向かって凹となる曲面形状とすることで、主光線の発光方向を照射光軸AXL上の一点に向かわせることができる。これにより、仮想の単一点光源を形成することができる(特許文献2参照)。これに対し、本実施例の照明装置105では、有機EL素子26を、被写体側に向かって凸となる曲面形状に形成し、主光線が発散方向に発せられるようにしている。ここにいう主光線は、有機EL素子の発光面に対して垂直な方向に向かって発せられる光線である。
【0055】
図11は、本実施例の照明装置105をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。また、図11には、有機EL素子26から発せられた主光線のトレース図を付記している。
【0056】
光学部材27は、有機EL素子26の凸形状とは反対向きに凸となる(被写体側に凹となる)曲面形状を有する第1の入射面27Rと、該第1の入射面27Rの上下に配置された平面形状の第2の入射面27Cとを有する。
【0057】
光線トレース図から分かるように、有機EL素子から発せられた主光線のうち照射光軸AXLに対して第1の角度θ1より小さい角度で発せられた主光線は、光学部材27の第1の入射面27Rに入射する。これらの主光線は、第1の入射面27Rから正の屈折力を受けて照射光軸AXLにほぼ平行な光線となり、そのまま平面形状を有する射出面27Hから射出する。この第1の入射面27Rは、双曲面で形成されるのが好ましい。
【0058】
また、有機EL素子から発せられた主光線のうち照射光軸AXLに対して第1の角度θ1より大きい角度で発せられた主光線は、光学部材27の第2の入射面27Cに入射する。これらの主光線は、第2の入射面27Cにて屈折し、反射面27TRに向かう。そして、反射面27TRでほぼ全反射されることにより、照射光軸AXLにほぼ平行な光線となり、そのまま射出面27Hから射出する。ここで、第2の入射面27Cで屈折した主光線は、反射面27TRに対する入射角度が小さくなる方向(垂直に近くなる方向)に曲げられるので、反射面27TRの大きさ、つまりは光学部材27を小さくすることができる。
【0059】
なお、反射面27TRの形状は、入射した光線のほとんどを全反射面し、かつ反射後の光線の平行度を良好に保つために、放物面あるいは放物面に近いシリンドリカル非球面形状とするのが好ましい。
【0060】
光学部材27は、これら入射面27R,27Cおよび反射面27TRにより、有機EL素子26から発せられたすべての光束を、効率良く、被写体側にて集光する平行光束に変換する作用を持つ。特に、有機EL素子26から照射光軸AXLに対して大きい角度で発せられた光線も有効に利用するため、光の利用効率の高い照明装置とすることができる。
【0061】
なお、本実施例では、光学部材27を平行光束を射出するようにその形状を設定した場合について説明した。しかし、図12に示すように、有機EL素子26の位置と光学部材27′の第1および第2の入射面27R,27Cの形状や反射面27TRの形状などを本実施例と異ならせることによって、射出光束の指向特性を任意に設定することができる。
【実施例3】
【0062】
図13および図14には、本発明の実施例3である照明装置の構成を示している。本実施例の照明装置も、実施例1の図1にて示したカメラに搭載される。
【0063】
図13は、本実施例の照明装置205の主要部品を前方から見て示す組み立て状態での斜視図である。なお、図13では、各主要部分を保持する保持部材やリード線を省略している。
【0064】
上述した実施例1,2では、有機EL素子の前方に、入射面、反射面および射出面を有する光学部材を配置した場合について説明したが、本実施例では、有機EL素子36の後方(光照射範囲又は被写体側とは反対側)に反射部材(光学部材)37を配置している。
【0065】
図13に示すように、本実施例の有機EL素子36および反射部材37はそれぞれ、該照明装置205の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。
【0066】
有機EL素子36は、前方に向かって凹となる曲面形状を有する。有機EL素子36は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0067】
反射部材37は、有機EL素子36に対して後方に配置され、有機EL素子36から後方に発せられた光束を前方に反射して所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。言い換えれば、有機EL素子36から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有し、この作用によって光照射範囲での配光を制御する。反射部材37は、一次元方向に曲率を有し、金属の内面反射を利用した反射鏡として構成されている。
【0068】
図14は、本実施例の照明装置205をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。また、図14には、有機EL素子36から発せられた主光線のトレース図を付記している。
【0069】
反射部材37は、有機EL素子36の凹形状と同じ向きに凹となる(前方に向かって凹となる)曲面形状を有する。
【0070】
反射部材37の反射面は、放物面として形成されている。有機EL素子36から発せられた主光線の仮想の発光点は、該反射部材37の放物面の焦点にほぼ一致する。このような形状に設定すると、有機EL素子36から発せられたすべての主光線は、反射部材37で反射して、平行光束として被写体側に射出される。
【0071】
反射部材37は、その反射面により、有機EL素子36から発せられた光束を、効率良く被写体側にて集光する光束に変換する作用を持つ。また、有機EL素子36から発せられたすべての主光線を平行光束とすることで、配光特性を狭い角度範囲に設定することができる。
【0072】
なお、有機EL素子36から発せられた主光線のうち照射光軸AXLに対して小さな角度で反射部材37に向かった主光線は、反射部材37で反射した後、再び有機EL素子36に戻る。そして、有機EL素子36の反射電極13で反射して有機EL素子36から発せられ、反射部材37に向かう。この際又はこれを繰り返すうちに、照射光軸AXLに対する角度が大きくなり、最終的に被写体側に射出される。したがって、光の利用効率の高い照明装置とすることができる。
【0073】
なお、本実施例では、反射部材37で反射した光束を平行光束とする場合について説明したが、有機EL素子と反射部材の位置関係や反射部材の反射面形状を楕円形状などに変化させることによって、射出光束の指向特性を任意に設定することができる。
【実施例4】
【0074】
図15〜図17には、本発明の実施例4である照明装置の構成を示している。本実施例の照明装置も、実施例1の図1にて示したカメラに搭載される。
【0075】
図15は、本実施例の照明装置305の主要部品を前方から見て示す組み立て状態での斜視図である。なお、この図では、各主要部分を保持する保持部材やリード線を省略している。
【0076】
図15に示すように、本実施例の有機EL素子46および光学部材47はそれぞれ、該照明装置305の照射光軸AXLに対して直交する方向(水平方向)を長手方向とする、被写体側から見る正面視において長方形となる形状を有する。
【0077】
有機EL素子46は、そのフレキシブルな構造を利用して、前方に向かって凹となる曲面形状と平面形状との間で形状が変化する。有機EL素子46は、不図示の電気回路から供給された電力を受けて、1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ発光する。
【0078】
光学部材47は、有機EL素子46に対して前方に配置され、有機EL素子46から発せられた光束を直接取り込んで所定形状に集光し、撮影に必要な光照射範囲に効率良く照射する。本実施例では、有機EL素子46の形状の変化と、該有機EL素子46から発せられた光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材47との相互作用によって、光照射範囲での配光を制御する。
【0079】
本実施例でも、実施例1,2と同様に、光源から後方に射出された光を光源に戻すための集光作用を有する反射傘は不要である。光学部材47は、光アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料で形成されている。
【0080】
本実施例では、光学部材47をフレネルレンズとして形成している。フレネルレンズは、平凸レンズの曲面を分割して平面上に寄せ集めたものであり、平凸レンズよりも軽量に形成することができる。なお、本実施例の光学部材47は、上記実施例1〜3のよう反射面を持たない。
【0081】
図16(a),(b)は、本実施例の照明装置305をその照射光軸AXL上で切断した断面図である。また、図16(a),(b)には、有機EL素子46の周辺部から発せられた主光線のトレース図を付記している。
【0082】
なお、図16(a)には、有機EL素子46を被写体側に凹となる曲面形状にした場合であって、照明装置305からの射出光束が最も集光された場合を示している。また、図16(b)には、有機EL素子46を平面形状にした場合であって、照明装置305からの射出光束が最も発散する場合を示している。
【0083】
図16(a)の状態では、凹曲面形状の有機EL素子46から発せられた主光線はフレネルレンズとしての光学部材47が持つ固有の焦点に集光され、仮想の単一点光源を形成する。そして、該光学部材47によって、照射光軸AXLに対してほぼ平行な光束に集光された状態で被写体側に照射される。
【0084】
一方、図16(b)の状態では、平面形状の有機EL素子46から照射光軸AXLに対してほぼ平行な主光線が発せられる。このため、該主光線は、仮想の単一点光源を形成せず、光学部材47の作用によって一旦照射光軸AXL上に収斂した後、発散光束として被写体側に照射される。
【0085】
このように、本実施例では、有機EL素子46の形状を制御することで、照明装置305から射出される光の指向特性(照射角度範囲)を任意に変化させることができる。
【0086】
なお、光学部材47の上下の高さは、有機EL素子46の形状にかかわらず(すなわち、高さが最小となる図16(a)の状態でも高さが最大となる図16(b)の状態でも)、有機EL素子46の高さよりも十分に大きい。これにより、有機EL素子46から発せられた主光線以外の発散光線もすべて光学部材47に入射し、集光される。したがって、光の利用効率の高い照明装置とすることができる。
【0087】
図17には、有機EL素子46の形状を変化させる機構の構成を示している。図17(a)は、有機EL素子46を曲面形状にしたときの該機構の状態を示し、図17(b)は有機EL素子46を平面形状にしたときの該機構の状態を示している。
【0088】
この図において、有機EL素子46の中央部に設けられたピン46aは、カム板50の中央に形成された直進溝50aに係合し、かつ不図示の固定枠に固定されている。また、有機EL素子46の両端部に設けられたピン46b,46cは、カム板50の両端部に形成されたカム溝50b,50cに係合している。
【0089】
カム板50が図の左右方向に移動すると、中央部が固定された有機EL素子46の両端部がカム板50の移動に伴うカム溝50b,50cの作用により左右に移動する。これにより、有機EL素子46は、曲面形状と平面形状との間で変形する。
【0090】
なお、図17に示した機構は例にすぎず、有機EL素子を曲面形状と平面形状との間で変形させるものであれば、どのような機構を用いてもよい。
【0091】
なお、上記各実施例では、有機EL素子および光学部材を正面視において長方形となるように形成した場合について説明したが、照射光軸AXLを中心とした回転対称形状に形成してもよい。
【0092】
また、上記各実施例では、有機EL素子に対して電流を1μ秒以上100μ秒以下の短時間だけ流して、静止画撮影用の瞬間的な閃光を発光させる場合について説明した。しかし、ビデオカメラ等による動画撮影時に、短時間通電の場合よりも低い電圧で長時間通電することにより、長時間にわたって定常光を発光させるように構成することも可能である。
【0093】
さらに、上記各実施例では、撮影装置への搭載に適した照明装置について説明したが、本発明の照明装置は、室内照明や液晶表示装置のバックライト等にも応用が可能である。
【0094】
なお、各実施例に示した構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは単なる例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施例1である照明装置を搭載したカメラの斜視図。
【図2】有機EL素子の基本的な構成を説明するための模式図。
【図3】実施例1の照明装置の斜視図。
【図4】実施例1の照明装置の分解斜視図。
【図5】実施例1の照明装置の断面図。
【図6】実施例1の照明装置の変形例を示す断面図。
【図7】実施例1の照明装置の断面図および有機EL素子の周辺部から発せられた光線のトレース図。
【図8】本発明の実施例2である照明装置の斜視図。
【図9】実施例2の照明装置の分解斜視図。
【図10】有機EL素子の形状と発光された光線の様子を示す模式図。
【図11】実施例2の照明装置の断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図12】実施例2の照明装置の変形例を示す断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図13】本発明の実施例3である照明装置の斜視図。
【図14】実施例3の照明装置の断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図15】本発明の実施例4である照明装置の斜視図。
【図16】実施例4の照明装置の断面図および有機EL素子から発せられた光線のトレース図。
【図17】実施例4において有機EL素子を変形させる機構の概略図。
【符号の説明】
【0096】
1 カメラ本体
2 撮影レンズ鏡筒
3 ファインダ
4 レリーズボタン
5,105,205,305 照明装置
6,20,26,36,46 有機EL素子
7,27,37,47 光学部材
10 透明基板
11 透明電極
12 有機層
13 反射電極
50 カム板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面形状を有する面発光固体素子と、
少なくとも反射面を備え、前記面発光固体素子からの光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記面発光固体素子は、光照射範囲に向かって凹となる曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記面発光固体素子は、光照射範囲に向かって凸となる曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光学部材は、入射面と、該入射面からの光を反射する反射面と、前記入射面および前記反射面からの光を射出する射出面とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項5】
前記光学部材は、前記面発光固体素子から該照明装置の照射光軸に対して第1の角度より小さい角度で発せられた光が入射する第1の入射面と、前記第1の角度より大きな角度で発せられた光が入射する第2の入射面と、前記第2の入射面からの光を反射する反射面と、前記第1の入射面からの光および前記反射面からの光を射出する射出面とを有することを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記面発光固体素子から前記光照射範囲とは反対方向に発せられた光を前記光照射範囲に向けて反射する反射部材であることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項7】
可撓性を有する面発光固体素子と、
前記面発光固体素子の形状を変化させる機構とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
前記面発光固体素子からの光に対して、光照射範囲への集光作用を有する光学部材を有することを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学部材は、前記面発光固体素子の形状にかかわらず、該面発光固体素子よりも大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の照明装置を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項1】
曲面形状を有する面発光固体素子と、
少なくとも反射面を備え、前記面発光固体素子からの光に対する光照射範囲への集光作用を有する光学部材とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記面発光固体素子は、光照射範囲に向かって凹となる曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記面発光固体素子は、光照射範囲に向かって凸となる曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光学部材は、入射面と、該入射面からの光を反射する反射面と、前記入射面および前記反射面からの光を射出する射出面とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項5】
前記光学部材は、前記面発光固体素子から該照明装置の照射光軸に対して第1の角度より小さい角度で発せられた光が入射する第1の入射面と、前記第1の角度より大きな角度で発せられた光が入射する第2の入射面と、前記第2の入射面からの光を反射する反射面と、前記第1の入射面からの光および前記反射面からの光を射出する射出面とを有することを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記面発光固体素子から前記光照射範囲とは反対方向に発せられた光を前記光照射範囲に向けて反射する反射部材であることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項7】
可撓性を有する面発光固体素子と、
前記面発光固体素子の形状を変化させる機構とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
前記面発光固体素子からの光に対して、光照射範囲への集光作用を有する光学部材を有することを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学部材は、前記面発光固体素子の形状にかかわらず、該面発光固体素子よりも大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の照明装置を備えたことを特徴とする撮影装置。
【図3】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−163876(P2007−163876A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360604(P2005−360604)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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