照明装置及び電子機器
【課題】寿命を向上させることができる照明装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】陽極35から陰極37の方向に流れる順方向電流により発光する複数の発光素子31と、直流電源50と、直流電源50から複数の発光素子31に電力を供給する陽極配線51及び陰極配線52と、を少なくとも備え、陽極配線51から分岐した第1陽極配線51aに陽極35を接続した複数の発光素子31からなる第1発光素子群31a’と、陽極配線51から分岐した第2陽極配線51bに陽極35を接続した複数の発光素子31からなる第2発光素子群31b’と、第1発光素子群31a’、及び第2発光素子群31b’における複数の発光素子31の陰極37に共通に接続される、陰極配線52から分岐した共通の陰極配線52とからなる発光ユニットを複数有する。
【解決手段】陽極35から陰極37の方向に流れる順方向電流により発光する複数の発光素子31と、直流電源50と、直流電源50から複数の発光素子31に電力を供給する陽極配線51及び陰極配線52と、を少なくとも備え、陽極配線51から分岐した第1陽極配線51aに陽極35を接続した複数の発光素子31からなる第1発光素子群31a’と、陽極配線51から分岐した第2陽極配線51bに陽極35を接続した複数の発光素子31からなる第2発光素子群31b’と、第1発光素子群31a’、及び第2発光素子群31b’における複数の発光素子31の陰極37に共通に接続される、陰極配線52から分岐した共通の陰極配線52とからなる発光ユニットを複数有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの表示面上に配置して表示面を照明する照明装置であるフロントライトが知られている。一般的に、フロントライトは、反射型の表示パネルに用いられており、外光が十分にある場合には消灯して透明板となり、透明板状態のフロントライトを透過して、外光による反射表示を行うものが多い。このため、透過型の表示パネルに多用されており、外光の有無に拘わらず点灯しているバックライトよりも、消費電力を低減することができると言われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射型液晶表示装置の上方に、ITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる陽極と、陽極上に設けられた有機EL層と、有機EL層上に設けられたアルミニウム等の金属からなる陰極(反射膜)とを有する有機EL素子を光源として備えたフロントライトが示されている。
【0004】
また、図16は、従来のフロントライトの電気的な構成を示す等価回路図である。フロントライト501は、直流電源502の陽極と接続された陽極配線503と、陰極と接続された陰極配線504とを有する。陽極配線503と陰極配線504とは、複数に分岐されており、それぞれの陽極配線503aと陰極配線504aとの間に、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の発光素子505が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−17720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のフロントライトでは、有機EL素子を光源としているため、十分な寿命を確保することが困難であるという課題があった。詳しくは、有機EL材料は、未だ開発途上の材料であり、輝度寿命が短いという問題があった。
【0007】
また、点灯時および消灯時のいずれにおいても、フロントライト自体を透過して表示面を観察する構成であるため、反射膜(陰極)を有し、遮光部となる有機EL素子のサイズは、表示に影響を及ぼさないように(発光面積が)小さく形成されていた。このため、所期の輝度を得るためには、大電流を流さなければならず、これにより、有機EL素子の温度が上昇してしまい、有機EL素子が劣化してしまうという問題があった。つまり、発光素子の劣化を抑制することが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る照明装置は、第1端子から第2端子方向に流れる順方向電流により発光する複数の発光素子と、直流電源と、前記直流電源から前記複数の発光素子に電力を供給する陽極配線及び陰極配線と、を少なくとも備え、前記陽極配線から分岐した第1陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、前記陽極配線から分岐した第2陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、前記第1発光素子群、及び第2発光素子群における複数の前記発光素子の前記第2端子に共通に接続される、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線とからなる発光ユニットを複数有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1発光素子群と第2発光素子群とが共通陰極配線に接続されているので、共通の陰極の領域をつくることができる。よって、それぞれの発光素子群が陰極及び陰極共通配線を有する構成と比較して、陰極の面積を小さくすることが可能となり、陰極の領域以外の光が通過する領域の面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流の量を少なくすることができる。その結果、発光素子が発熱することを抑え、発光素子が劣化することを抑えることができ、寿命を延ばすことができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る照明装置において、前記陽極配線と、前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線との間の接続を排他的に切り替えるスイッチをさらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、スイッチを用いることにより、第1陽極配線と接続された第1発光素子群と、第2陽極配線と接続された第2発光素子群とを、交互に発光させることが可能となるので、例えば、一方の発光素子群の輝度が下限の閾値の輝度に低下するまで連続して発光させ、その後、他方の発光素子群に切り替えて連続して発光させることにより、1つのみの発光素子群を連続して発光させる場合と比較して、発光時間を延ばすことができる。その結果、照明装置の寿命を延ばすことができる。加えて、どちらか一方の発光素子群に不具合が生じた場合、他方の発光素子群を用いて発光させることができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る照明装置において、前記発光素子の輝度又は前記発光素子の両端の電圧を検出する検出部を備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、検出部によって発光素子の輝度又は電圧を検出するので、例えば、下限の閾値となる輝度まで発光させることができる(下限の閾値となる輝度より低下させることを防ぐことができる)。また、スイッチと併用することにより、下限の閾値となる輝度まで低下したら一方の発光素子による発光と、他方の発光素子による発光とを切り替えて使うことが可能となり、下限の閾値となる輝度より高い輝度を長時間維持することができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に係る照明装置において、前記スイッチは、前記検出部によって検出された輝度又は電圧に応じて、前記陽極配線と前記陽極配線から分岐した前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線とを電気的に接続することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、輝度又は電圧に応じて第1陽極配線又は第2陽極配線に電力を印加するので、例えば、下限の閾値となる輝度まで一方の発光素子を発光させ、その後、他方の発光素子に自動で切り替えて発光させることができる。また、例えば、ある輝度に達したら、どちらかの発光素子の発光に切り替え、更にある輝度まで達したら、どちらかの発光素子の発光に切り替えるような、段階的に輝度を低下させていくこともできる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に係る照明装置において、前記検出部は、光センサーであることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、光センサーで輝度を検出するので、ある輝度まで低下したら一方の発光素子から他方の発光素子に切り替えることにより、所定以上の輝度を維持することができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る照明装置において、前記複数の発光素子が配置された発光領域を有し、前記発光領域の周囲に検出用発光素子が更に設けられ、前記検出部は、前記検出用発光素子が放つ光の輝度を検出することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、検出用発光素子が発光領域の周囲に設けられているので、発光領域において必要な輝度を低下させることなく、発光素子の輝度を検出することができる。
【0021】
[適用例7]本適用例に係る照明装置は、透明基板と、前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、前記陽極配線から分岐した第1陽極配線と第2陽極配線とが、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線の両隣りに形成され、前記第1陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、前記第2陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、共通陰極配線を用いて、第1発光素子群と第2発光素子群とを透明基板上に設けるので、平面的に共通の陰極領域をつくることができる。よって、それぞれの発光素子群が別々の陰極配線を用いる構成と比較して、陰極の面積を小さくすることが可能となり、陰極の領域以外の光が通過する領域の面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流の量を少なくすることができる。その結果、発光素子が発熱することを抑え、発光素子が劣化することを抑えることができ、寿命を延ばすことができる。
【0023】
[適用例8]上記適用例に係る照明装置において、液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、フロントライトとして液晶パネルの表示面上に配置されるので、反射型の液晶パネルにおいて、外光が十分に得られない場合でも、フロントライトから光を供給することが可能となり、表示品質を向上させることができる。
【0025】
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記した照明装置を備えることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、発光素子が劣化することが抑えられ、高寿命の電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態の照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図。
【図2】図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図。
【図3】照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】有機EL装置の構造を示す模式平面図。
【図5】図4に示す有機EL装置のB部を拡大して示す模式拡大図。
【図6】図5に示す有機EL装置のC−C'線に沿う模式断面図。
【図7】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図8】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図9】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図10】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図11】第2実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図12】第3実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図13】有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図。
【図14】変形例1の有機EL装置の構成を電気的に示す等価回路図。
【図15】時間と輝度との関係、及び、時間と電圧との関係を示すグラフ。
【図16】従来のフロントライトの電気的な構成を示す等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0029】
(第1実施形態)
<照明装置を有する反射型液晶装置の構成>
図1は、照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図である。図2は、図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図である。以下、反射型液晶装置及び有機EL装置の構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0030】
反射型液晶装置10は、反射型の液晶パネル11と、液晶パネル11の表示面上に配置される照明装置(フロントライト)としての有機EL装置12とを組み合わせた装置である。具体的には、反射型液晶装置10は、観察者14側から照射される外光(後述する有機EL装置12(フロントライト)内で生じる光)を反射して、観察者14にカラー画像を表示することができる。
【0031】
反射型の液晶パネル11は、素子基板15と、対向基板16と、素子基板15と対向基板16との間に挟持された液晶層17とを有する。素子基板15の液晶層17側(以下、「上側」あるいは「上層」と称する。)には、TFT(Thin Film Transistor)18と、各々のTFT18に対応する画素電極19が規則的に形成されている。
【0032】
画素電極19の上層には、第1配向膜21が形成されている。液晶層17は、第1配向膜21と後述する第2配向膜22とによって挟持されている。なお、反射型の液晶パネル11であるので、素子基板15は、透明性を要しない。よって、プラスチック等の不透明材料からなる基板を用いることもできる。
【0033】
画素電極19は、反射性を有しており、液晶層17側から照射される光を反射光Rとして液晶層17の方向に反射する。なお、かかる反射性は、画素電極19自体を反射性材料で形成してもよく、また、ITO等の透明導電性材料で形成された画素電極19と、アルミニウム等からなる反射層とを組み合わせてもよい。
【0034】
TFT18と画素電極19とは、層間絶縁層23で隔てられており、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、TFT18は、周辺回路(図示せず)で制御されており、対応する画素電極19に任意の電圧を印加することができる。
【0035】
対向基板16は、ガラス等の透明性材料からなる基板である。対向基板16は、シール材(図示せず)を介して、素子基板15と平行、すなわち全域で等間隔となるように配置されている。対向基板16の液晶層17側の面には、カラーフィルター層24と、対向電極25と、第2配向膜22とが、対向基板16側から順に配置されている。そして、対向基板16における液晶層17側と反対側の面には、偏光板26が配置されている。
【0036】
カラーフィルター層24は、平面視で画素電極19に対応するカラーフィルター24aと、隣り合うカラーフィルター24a間に形成された遮光層(ブラックマトリクス)24bとを有する。本実施形態のカラーフィルター層24は、赤色カラーフィルターと、緑色カラーフィルターと、青色カラーフィルターとを備えている。また、対向電極25は、ITO等の透明導電材料からなる。
【0037】
このような構成の反射型液晶装置10は、液晶パネル11の表示面上に有機EL装置12(フロントライト)が配置されているので、液晶パネル11に充分な光を照射することができる。なお、フロントライトは、表示に影響を及ぼさないように発光素子の面積が小さく形成されている(発光素子が反射膜を有するため)。このため、所定の輝度を得るためには大電流を流す必要がある。以下、このような照明装置(フロントライト:有機EL装置12)の構造を簡単に説明する。
【0038】
照明装置としての有機EL装置12は、図1及び図2に示すように、複数の発光素子31が透明基板32の面上に配列された構成となっている。詳述すると、有機EL装置12は、透明基板32と、透明基板32の上層(観察者14側)に設けられた発光素子31と、発光素子31の上方に設けられた封止構造33とを備えている。
【0039】
詳述すると、図2に示すように、発光素子31は、陽極35と、陽極35上に設けられた発光機能層36と、発光機能層36上に設けられた陰極37とを有する。なお、陰極37としては、アルミニウム(Al)等の反射導電性を有する材料が用いられる。具体的には、陰極37の反射性により、発光機能層36内で生じるEL光Lが液晶パネル11の方向に照射される。そして、このEL光Lが個々の画素電極19で反射されることにより、観察者14に対する画像が形成される。なお、図2に示す領域が発光領域であり、その周囲に反射光Rを透過する透過領域が設けられている。
【0040】
発光機能層36は、陽極35側から順に、正孔注入層41と、正孔輸送層42と、発光層43と、電子輸送層44と、電子注入層45とを有して積層されている。
【0041】
正孔注入層41は、陽極35からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。正孔輸送層42は、陽極35から正孔注入層41を介して注入された正孔を発光層43まで輸送する機能を有するものである。
【0042】
発光層43は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。陽極35と陰極37との間に電圧を印加することによって、発光層43には、正孔輸送層42から正孔が、また、電子輸送層44から電子が注入され、発光層43においてこれらが再結合したときに発光が行われる。本実施形態では、白色光を発光する。
【0043】
電子輸送層44は、陰極37から電子注入層45を介して注入された電子を発光層43に輸送する機能を有するものである。電子注入層45は、陰極37からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
【0044】
また、発光機能層36と封止構造33との間には、陰極37と、透明層46と、半透過反射層47とからなる光干渉層48が設けられている。透明層46は、例えば、フッ化リチウム(LiF)等からなる。半透過反射層47は、例えば、アルミニウム(Al)等からなる。この光干渉層48により、例えば、外光が反射した反射光を低減している。
【0045】
上記した陰極37の反射性は、周辺光、すなわちEL光L以外の観察者14側から照射される光に対しても発揮される。周辺光がある場合、陰極37による反射光(画素電極19による反射光R以外の反射光)が、画像を形成する光とは別の光として観察者14側に照射される。本実施形態では、発光素子31の観察者14側に光干渉層48が設けられているので、外部からの反射光(反射光R以外の反射光)が低減される。
【0046】
封止構造33は、外部からの水分等の浸入を抑制して、発光素子31を保護するために設けられたものである。封止構造33の材料としては、シリコン酸窒化膜(SiON)、シリコン窒化膜(SiN)等の耐水性を有するものが挙げられる。また、封止構造33として、樹脂材料を用いてもよく、更には、最外面にガラス基板等が接着されていてもよい。
【0047】
<照明装置の構成>
図3は、照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図3を参照しながら説明する。
【0048】
図3に示すように、有機EL装置12は、直流電力を供給する直流電源50を電源とする。また、有機EL装置12は、直流電源50の陽極と接続された陽極配線51と、直流電源50の陰極と接続された陰極配線52とを有する。陽極配線51は、第1陽極配線51aと第2陽極配線51bとに分岐されている。陰極配線52は、複数の陰極配線52(共通陰極配線)に分岐されている。
【0049】
第1陽極配線51aと陰極配線52との間には、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第1発光素子31aが設けられている。なお、これらの第1発光素子31aを、第1発光素子群31a’と称する。また、第2陽極配線51bと陰極配線52との間には、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第2発光素子31bが設けられている。なお、これらの第2発光素子31bを、第2発光素子群31b’と称する。更に、第1発光素子群31a’及び第2発光素子群31b’を発光ユニットと称する。なお、第1発光素子31a及び第2発光素子31bは、等価的にダイオードとみなすことができる。
【0050】
詳述すると、並列に接続された複数の第1発光素子31aは、陽極35(アノード:第1端子)が第1陽極配線51aと接続され、陰極37(カソード:第2端子)が陰極配線52と接続され、陽極35と陰極37との間に発光機能層36が設けられている。並列に接続された複数の第2発光素子31bは、陽極35(アノード)が第2陽極配線51bと接続され、陰極37(カソード)が陰極配線52と接続され、陽極35と陰極37との間に発光機能層36が設けられている。
【0051】
そして、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とは、発光領域53において交互に配置されている。このように、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とは、2つの陽極配線51a,51bと、1つの陰極配線52とによって接続されている。つまり、陰極配線52は、第1発光素子群31a’及び第2発光素子群31b’と共通に使用される。
【0052】
次に、図3を参照しながら、有機EL装置12の動作について説明する。まず、直流電源50がオン状態になると、直流電源50から陽極配線51に電力(正極の電力)が供給され、そして、第1陽極配線51a及び第2陽極配線51bを介して順方向接続された第1発光素子31a及び第2発光素子31bが発光する。第1発光素子31a及び第2発光素子31bは、発光機能層36に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
【0053】
図4は、有機EL装置の構造を示す模式平面図である。図5は、図4に示す有機EL装置のB部を拡大して示す模式拡大図である。図6は、図5に示す有機EL装置のC−C'線に沿う模式断面図である。なお、図5は、光干渉層、封止構造等の図示は省略する。以下、有機EL装置の構造を、図4〜図6を参照しながら説明する。
【0054】
図4に示すように、有機EL装置12は、発光素子31が所定の間隔をもって規則的に配置されている発光領域53と、発光領域53の周囲の領域である周辺領域54とを有している。
【0055】
発光領域53は、液晶パネル11に対してEL光Lを照射する領域であり、液晶パネル11において画像が形成される領域に対応する領域である。発光領域53内には、帯状の陽極配線51と、帯状の陰極配線52とが、略平行に配置されている。
【0056】
具体的には、共通に使用される陰極配線52に対して、その両側に第1陽極配線51aと第2陽極配線51bとが配置される。陽極配線51と陰極配線52との双方は、共に透明導電性材料であるITOで形成されており、液晶パネル11において形成される画像の視認性には影響を及ぼさない。
【0057】
図5及び図6に示すように、発光素子31は、第1陽極配線51aと平面視で重なる領域に発光機能層36aが形成された第1発光素子31aと、第2陽極配線51bと平面視で重なる領域に発光機能層36bが形成された第2発光素子31bとを有する。
【0058】
発光素子31は、第1発光素子31aと第2発光素子31bとが対になって、第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52が延在する第1方向、かつ、第1方向と直交する第2方向に、複数設けられている(図4参照)。言い換えれば、一対の第1発光素子31a及び第2発光素子31bが、発光領域53内においてマトリクス状に設けられている。
【0059】
詳述すると、第1発光素子31aは、透明基板32上の第1陽極配線51a上の一部に、平面視で島状(パッド状)の発光機能層36aが設けられている。発光機能層36aの周囲は、絶縁膜55が設けられている。一方、第2発光素子31bは、透明基板32上の第2陽極配線51b上の一部に、平面視で島状(パッド状)の発光機能層36bが設けられている。発光機能層36bの周囲は、絶縁膜55が設けられている。
【0060】
そして、図6に示すように、発光機能層36a上から発光機能層36b上に亘る領域には、陰極配線52と電気的に接続されたアルミニウム(Al)等からなる陰極37が設けられている。第1陽極配線51a、陰極配線52、第2陽極配線51bは、絶縁膜55によって電気的に絶縁されている。このように、1組の第1発光素子31a及び第2発光素子31bは、陰極37(陰極配線52)が共通に用いられる。
【0061】
このような構成において、陽極配線51(第1陽極配線51a、第2陽極配線51b)が直流電源50のプラス極と接続され、陰極配線52が直流電源50のマイナス極と接続されているので、直流電源50がオン状態になると、直流電源50から陽極配線51に電力(正極の電力)が供給され、陽極配線51(第1陽極配線51a、第2陽極配線51b)側から陰極配線52側に電流が流れる。そして、順方向接続された第1発光素子31a及び第2発光素子31bが発光する。
【0062】
上記したように、第1発光素子31a及び第2発光素子31bにおいて、陰極37から陰極配線52にコンタクトをとる部分の領域を共通化するので(共通の領域37a)、第1発光素子31aと第2発光素子31bとが別々の陰極配線52を用いる従来の構成と比較して、発光領域53に占める陰極37の領域を小さくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流量を少なくすることができる。よって、発光素子31が高温になることを抑え、発光素子31が劣化することを抑えることができる。その結果、有機EL装置12(フロントライト)の寿命を延ばすことができる。
【0063】
なお、図4に示すような有機EL装置12において、発光領域53は矩形であり、発光素子31は発光領域53内において規則的に配置されているが、この態様に限定されるものではない。発光領域53は、円形等(不定形を含む)の形状でもよく、発光素子31の配置もランダムでも構わない。以下、上記した有機EL装置12の製造方法について説明する。
【0064】
図7〜図10は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図である。詳述すると、有機EL装置を構成する第1発光素子及び第2発光素子を中心とする製造方法を工程順に示す模式断面図である。以下、有機EL装置(第1発光素子、第2発光素子)の製造方法を、図7〜図10を参照しながら説明する。
【0065】
まず、図7に示すように、透明基板32上に第1陽極配線51a、陰極配線52、第2陽極配線51bを形成する。透明基板32としては、ガラス基板等が挙げられる。なお、第1発光素子31aにおいて、第1陽極配線51aが陽極35として用いられる。一方、第2発光素子31bにおいて、第2陽極配線51bが陽極35として用いられる。
【0066】
また、陰極配線52は、陰極37(図6参照)との接続に用いられる。第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52は、例えば、ITO等の光透過性を有する金属酸化物導電膜からなる。また、第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52、また以下に述べる各層は、例えば、公知の真空蒸着法を用いて順次形成することができる。
【0067】
次に、図8に示すように、発光部56及びコンタクト部57の領域が開口するように、透明基板32上及び配線(第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52)上の一部の領域に絶縁膜55を形成する。絶縁膜55は、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂などにより形成される。
【0068】
次に、図9に示すように、発光機能層36a,36bを形成する。詳述すると、第1発光素子31a側の第1陽極配線51a上及び絶縁膜55上の一部と、第2発光素子31b側の第2陽極配線51b上及び絶縁膜55上の一部に、発光機能層36a,36bを形成する。発光機能層36a,36bは、上記したように、正孔注入層41、正孔輸送層42、発光層43、電子輸送層44、電子注入層45が順に積層されている(図9では1層で図示)。
【0069】
次に、図10に示すように、陰極37を形成する。具体的には、発光機能層36a,36b上、陰極配線52上、及び絶縁膜55上に亘って陰極37を形成する。
【0070】
このように形成することにより、一対の第1発光素子31a及び第2発光素子31bにおいて、陰極配線52を共通で用いることができる。また、第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52、また他の各層がそれぞれ同じ工程で形成できるので、かかる工程を少なくすることが可能となると共に、極性に差のない第1発光素子31a及び第2発光素子31bを形成することができる。
【0071】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0072】
(1)第1実施形態によれば、第1発光素子31aと第2発光素子31bとが共通のコンタクト部57(図8参照)を介して陰極配線52に接続されているので、共通で使用できる領域(共通の領域37a)をつくることができる。よって、陰極37の面積を小さくすることが可能となり、陰極37の領域以外の反射光Rが通過する領域(開口部)の面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流の量を少なくすることができる。その結果、発光素子31a,31bが発熱することを抑え、発光素子31a,31bが劣化することを抑えることができ、寿命を延ばすことができる。
【0073】
(2)第1実施形態によれば、膜を蒸着法で形成する場合など、蒸着範囲を変えるだけで第1発光素子31a及び第2発光素子31bを形成することが可能となり、同一プロセスで形成することができるので、比較的簡単に製造することができる。
【0074】
(第2実施形態)
<照明装置の構成>
図11は、第2実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図11を参照しながら説明する。
【0075】
第2実施形態の有機EL装置112は、スイッチ61を用いて第1発光素子群31a’又は第2発光素子群31b’に電流を流して交互に(又はどちらか一方の発光素子群が寿命に達したら他方の発光素子群に切り替えて)発光させる点が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成部材には同一符号を付し、ここではそれらの説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図11に示すように、第2実施形態の有機EL装置112は、直流電源50の一方と接続された陽極配線51と、直流電源50の他方と接続された陰極配線52とを有する。陽極配線51は、第1陽極配線151aと第2陽極配線151bとに分岐されている。そして、第1陽極配線151a又は第2陽極配線151bのどちらかに電流を流すためのスイッチ61が、陽極配線51と第1陽極配線151a及び第2陽極配線151bとの間に設けられている。
【0077】
第1陽極配線151aと陰極配線52との間には、第1実施形態と同様に、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第1発光素子31aが設けられている。一方、第2陽極配線151bと陰極配線52との間には、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第2発光素子31bが設けられている。
【0078】
詳述すると、第2実施形態の有機EL装置112は、直流電源50がオン状態になると、第1実施形態のように、第1陽極配線51a及び第2陽極配線51bの両方に電流が流れる場合と異なり、第1陽極配線151a又は第2陽極配線151bのどちらか一方のみに電流が流れる。よって、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とが、スイッチ61の切り替えによって、交互に発光する。スイッチ61の好適例としては、2回路1接点のアナログスイッチを用いることができる。
【0079】
なお、第1実施形態と同様に、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とは、2つの陽極配線151a,151bと、1つの陰極配線52とによって接続されている。つまり、陰極配線52は、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とにおいて共通に用いられる。
【0080】
このように、第1発光素子31aの陰極37と第2発光素子31bの陰極37とが共通のコンタクト部57(図8参照)を介して陰極配線52に接続されているので、共通となる陰極37の領域(共通の領域37a)をつくることができる。よって、発光領域53における陰極37の面積を小さくすることが可能となり、反射光Rが通過する面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流量を少なくすることができる。その結果、発光素子31が高温になることを抑え、発光素子31が劣化することを抑えることができる。
【0081】
以上詳述したように、第2実施形態によれば、上記した第1実施形態の(1)、(2)の効果に加えて、以下に示す効果が得られる。
【0082】
(3)第2実施形態によれば、スイッチ61を用いて、第1陽極配線151aと接続された第1発光素子31aと、第2陽極配線151bと接続された第2発光素子31bとを、交互に発光させることが可能となるので、例えば、一方の発光素子(例えば、第1発光素子31a)の輝度が下限の閾値の輝度に低下するまで連続して発光させ、その後、他方の発光素子(例えば、第2発光素子31b)に切り替えて連続して発光させることにより、1つのみの発光素子を連続して発光させる場合と比較して、発光時間を延ばすことができる。その結果、照明装置(有機EL装置112)の寿命を延ばすことができる。加えて、どちらか一方の発光素子に不具合(異常)が生じた場合、他方の発光素子を用いて発光させることができる。
【0083】
(4)第2実施形態によれば、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とを交互に発光させることが可能となるので、一方の発光素子群が発光している間は、他方の発光素子群が発光しないため他方の発光素子群を冷却させることが可能となる。その結果、発光素子31a,31bが高温になって発光素子31a,31bが劣化することを抑え、1つの発光素子を連続して発光させた場合と比較して、輝度が低下する(表示品質が劣化する)時間を延ばすことが可能となり、寿命を向上させることができる。
【0084】
(第3実施形態)
<照明装置の構成>
図12は、第3実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図12を参照しながら説明する。
【0085】
第3実施形態の有機EL装置212は、第1発光素子31a及び第2発光素子31bの輝度を検出するための検出用発光素子131及び検出部(光センサー211)を備えている点が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成部材には同一符号を付し、ここではそれらの説明を省略又は簡略化する。
【0086】
図12に示すように、第3実施形態の有機EL装置212は、第2実施形態と同様に、直流電源50の一方と接続された陽極配線51と、直流電源50の他方と接続された陰極配線52とを有する。そして、陽極配線51は、スイッチ61を介して、第1陽極配線151aと第2陽極配線151bとに電気的に接続することが可能となっており、流れる電流の方向を切り替えることができる。
【0087】
このような有機EL装置212において、第3実施形態の特徴部分としては、陽極配線151a,151bと陰極配線52との間に、輝度を検出するために用いる検出用発光素子131(131a,131b)が設けられている。具体的には、検出用発光素子131は、第1陽極配線151a側に電流が流れた際に発光する第1検出用発光素子131aと、第2陽極配線151b側に電流が流れた際に発光する第2検出用発光素子131bとを有する。つまり、発光領域53に設けられた第1発光素子31aを発光させた場合に、第1検出用発光素子131aも同時に発光する。一方、発光領域53内に設けられた第2発光素子31bを発光させた場合に、第2検出用発光素子131bも同時に発光する。
【0088】
また、2つの検出用発光素子131(131a,131b)に隣接して輝度を検出する検出部としての光センサー211が設けられている。光センサー211としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスター、CSD等を用いることができる。このように、検出用発光素子131を介して輝度を検出することにより、発光領域53内の第1発光素子31a及び第2発光素子31bの輝度を検出することが可能となっている。そして、光センサー211による輝度の検出結果に応じて(例えば、輝度が低下して下限の閾値に達した場合)、スイッチ61の接続状態を切り替える。
【0089】
具体的には、まず、陽極配線51が第1陽極配線151aと電気的に接続された場合の動作について説明する。直流電源50がオン状態になると、第1陽極配線151a側に電流が流れ、第1発光素子群31a’が発光すると共に第1検出用発光素子131aが発光する。このとき、光センサー211によって第1検出用発光素子131aの輝度を検出する。そして、輝度が下限の閾値に達した場合(所定の輝度まで低下した場合)、例えば、第1発光素子群31a’の発光から第2発光素子群31b’の発光に切り替える。
【0090】
次に、陽極配線51が第2陽極配線151bと電気的に接続された場合の動作について説明する。直流電源50がオン状態になると、第2陽極配線151b側に電流が流れ、第2発光素子群31b’が発光すると共に第2検出用発光素子131bが発光する。このとき、光センサー211によって第2検出用発光素子131bの輝度を検出する。そして、輝度が下限の閾値に達した場合、例えば、新しい有機EL装置212と交換する。
【0091】
なお、光センサー211の検出値に応じて、スイッチ61の接続状態を切り替える切替機構213が設けられていることが好ましい。具体的には、光センサー211とスイッチ61とが、切替機構213を介して連動するように設けられている。
【0092】
より具体的には、まず最初に、第1発光素子群31a’を発光させる。そして、光センサー211によって第1検出用発光素子131aの輝度が下限の閾値となる輝度まで低下したと判断した場合、切替機構213に信号を送ることによって、スイッチ61の接続状態が変わり、第1発光素子群31a’の発光から第2発光素子群31b’の発光に切り替わる。これにより、下限の閾値より輝度が低下することなく、更に、自動で切り替えることができる。
【0093】
また、検出用発光素子131は、有機EL装置212の発光領域53より外側の周辺領域54に設けられていることが好ましい。発光領域53内に光センサー211を配置しないので、発光領域53に必要な輝度を低下させることなく、輝度を検出することができる。また、周辺領域54に2つの発光素子31(31a,31b)に対応する第1検出用発光素子131a及び第2検出用発光素子131bが設けられているので、この2つ発光状態を確認することにより、どちらの発光素子31(31a,31b)が発光しているか判断することができる。
【0094】
以上詳述したように、第3実施形態によれば、上記した実施形態の(1)〜(4)の効果に加えて、以下に示す効果が得られる。
【0095】
(5)第3実施形態によれば、光センサー211が備えられているので、第1発光素子31a及び第2発光素子31bの輝度を確認することが可能となる。よって、目視で輝度を判断して発光素子を切り替える方法と比較して、正確に一方の発光素子から他方の発光素子に切り替えることが可能となる。更に、光センサー211で輝度を検出しているので、常に輝度の下限の閾値より高い輝度で発光させることができる。
【0096】
(6)第3実施形態によれば、切替機構213が設けられているので、光センサー211による検出結果に基づいてスイッチ61の接続状態を自動で切り替えることができる。これにより、例えば、下限の閾値となる輝度まで一方の発光素子を発光させ、その後、他方の発光素子に自動で切り替えて発光させることができる。
【0097】
(7)第3実施形態によれば、検出用発光素子131a,131bが発光領域53の周囲である周辺領域54に設けられているので、発光領域53において必要な輝度を低下させることなく、発光素子31a,31bの輝度を検出することができる。
【0098】
(第4実施形態)
<電子機器の構成>
図13は、上記した有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図である。以下、有機EL装置を備えた携帯電話機の構成を、図13を参照しながら説明する。
【0099】
図13に示すように、携帯電話機71は、表示部72及び操作ボタン73を有している。表示部72は、内部に組み込まれた有機EL装置12,112,212によって、発光時間を向上させることができる等、高品位な表示を行うことができる。なお、上記した有機EL装置12,112,212は、上記携帯電話機71の他、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
【0100】
以上詳述したように、第4実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0101】
(8)第4実施形態によれば、発光素子31a,31bが劣化することが抑えられ、高寿命の電子機器を提供することができる。
【0102】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0103】
(変形例1)
上記した第3実施形態のように、光センサー211を用いて第1発光素子31a又は第2発光素子31bの輝度を検出することに限定されず、例えば、図14に示すように、電圧値から輝度を求めるようにしてもよい。図14は、変形例1の有機EL装置312の構成を電気的に示す等価回路図である。図15(a)は、時間と輝度の関係を示すグラフである。図15(b)は、時間と電圧の関係を示すグラフである。
【0104】
まず、図15(a)に示すように、発光素子31を一定電流密度で駆動すると、発光素子31の特性として、時間と共に輝度が低下していく。また、図15(b)に示すように、輝度が低下していくと、時間と共に電圧が上がっていく。
【0105】
このような特性を利用して、図14に示すように、陽極配線51(151a,151b)と陰極配線52との間に配置された検出部としての電圧計311が、輝度の下限の閾値となる電圧値を検出したら(閾値となる輝度まで低下したら)、スイッチ61を切り替えて、例えば、第1発光素子群31a’の発光から第2発光素子群31b’の発光に変えるようにする。なお、スイッチ61は、手動で切り替えてもよいし、切替機構213(図12参照)を用いて自動で切り替えるようにしてもよい。これによれば、下限の閾値より輝度が低下することなく、所定の輝度を維持することができる。また、一方の発光素子群のみで発光させる場合と比較して、長い時間に亘って発光させることができる。また、光を直接検出しなくても、駆動電圧で輝度を判定することができる。
【0106】
(変形例2)
上記した第2実施形態、第3実施形態、変形例1に記載のように、第1発光素子31aの輝度がある下限の閾値に低下するまで連続して発光させ、その後、第2発光素子31bに切り替えて連続して発光させることに代えて、以下のようにしてもよい。例えば、一方の発光素子(例えば、第1発光素子31a)と他方の発光素子(例えば、第2発光素子31b)との輝度を段階的に落としていくようにしてもよい。具体的には、光センサー211又は電圧計311を用いて、一方の発光素子の輝度が所定の輝度まで低下したら他方の発光素子の発光に切り替え所定の輝度まで低下させる。その後、一方の発光素子に切り替えて、更に低い輝度まで発光させていく。これを、輝度の下限の閾値になるまで段階的に繰り返す。これによれば、段階的に少しずつ輝度が低下していくので、急激に特性が変化することを抑えることができる。
【0107】
(変形例3)
上記したように、第1発光素子31a及び第2発光素子31bが白色を発光することに限定されず、例えば、異なる色の発光層を塗り分けて、第1発光素子31aは赤色を発光し、第2発光素子31bは緑色を発光するようにしてもよい。これによれば、流す電流の配線を変えることにより、赤色の照明、又は緑色の照明をつくることができる。また、例えば、赤色の照明、緑色の照明をフィールドシーケンシャル駆動として用いるようにしてもよい。この場合、緑色の照明を加えることが好ましい。
【0108】
(変形例4)
上記したように、有機EL装置12,112,212,312は、ボトムエミッション型に限定されず、トップエミッション型として適用するようにしてもよい。
【0109】
(変形例5)
上記したように、照明装置を液晶表示装置のフロントライトとして用いることに限定されず、例えば、一般的な照明として用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…反射型液晶装置、11…液晶パネル、12,112,212,312…照明装置(フロントライト)としての有機EL装置、14…観察者、15…素子基板、16…対向基板、17…液晶層、18…TFT、19…画素電極、21…第1配向膜、22…第2配向膜、23…層間絶縁層、24…カラーフィルター層、24a…カラーフィルター、24b…遮光層、25…対向電極、26…偏光板、31…発光素子、31a…第1発光素子、31b…第2発光素子、32…透明基板、33…封止構造、35…陽極、36,36a,36b…発光機能層、37…陰極、37a…共通の領域、41…正孔注入層、42…正孔輸送層、43…発光層、44…電子輸送層、45…電子注入層、46…透明層、47…半透過反射層、48…光干渉層、50…直流電源、51…陽極配線、51a,151a…第1陽極配線、51b,151b…第2陽極配線、52…陰極配線、53…発光領域、54…周辺領域、55…絶縁膜、56…発光部、57…コンタクト部、61…スイッチ、71…携帯電話機、72…表示部、73…操作ボタン、131…検出用発光素子、131a…第1検出用発光素子、131b…第2検出用発光素子、211…検出部としての光センサー、213…切替機構、311…検出部としての電圧計。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの表示面上に配置して表示面を照明する照明装置であるフロントライトが知られている。一般的に、フロントライトは、反射型の表示パネルに用いられており、外光が十分にある場合には消灯して透明板となり、透明板状態のフロントライトを透過して、外光による反射表示を行うものが多い。このため、透過型の表示パネルに多用されており、外光の有無に拘わらず点灯しているバックライトよりも、消費電力を低減することができると言われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射型液晶表示装置の上方に、ITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる陽極と、陽極上に設けられた有機EL層と、有機EL層上に設けられたアルミニウム等の金属からなる陰極(反射膜)とを有する有機EL素子を光源として備えたフロントライトが示されている。
【0004】
また、図16は、従来のフロントライトの電気的な構成を示す等価回路図である。フロントライト501は、直流電源502の陽極と接続された陽極配線503と、陰極と接続された陰極配線504とを有する。陽極配線503と陰極配線504とは、複数に分岐されており、それぞれの陽極配線503aと陰極配線504aとの間に、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の発光素子505が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−17720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のフロントライトでは、有機EL素子を光源としているため、十分な寿命を確保することが困難であるという課題があった。詳しくは、有機EL材料は、未だ開発途上の材料であり、輝度寿命が短いという問題があった。
【0007】
また、点灯時および消灯時のいずれにおいても、フロントライト自体を透過して表示面を観察する構成であるため、反射膜(陰極)を有し、遮光部となる有機EL素子のサイズは、表示に影響を及ぼさないように(発光面積が)小さく形成されていた。このため、所期の輝度を得るためには、大電流を流さなければならず、これにより、有機EL素子の温度が上昇してしまい、有機EL素子が劣化してしまうという問題があった。つまり、発光素子の劣化を抑制することが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る照明装置は、第1端子から第2端子方向に流れる順方向電流により発光する複数の発光素子と、直流電源と、前記直流電源から前記複数の発光素子に電力を供給する陽極配線及び陰極配線と、を少なくとも備え、前記陽極配線から分岐した第1陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、前記陽極配線から分岐した第2陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、前記第1発光素子群、及び第2発光素子群における複数の前記発光素子の前記第2端子に共通に接続される、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線とからなる発光ユニットを複数有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1発光素子群と第2発光素子群とが共通陰極配線に接続されているので、共通の陰極の領域をつくることができる。よって、それぞれの発光素子群が陰極及び陰極共通配線を有する構成と比較して、陰極の面積を小さくすることが可能となり、陰極の領域以外の光が通過する領域の面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流の量を少なくすることができる。その結果、発光素子が発熱することを抑え、発光素子が劣化することを抑えることができ、寿命を延ばすことができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る照明装置において、前記陽極配線と、前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線との間の接続を排他的に切り替えるスイッチをさらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、スイッチを用いることにより、第1陽極配線と接続された第1発光素子群と、第2陽極配線と接続された第2発光素子群とを、交互に発光させることが可能となるので、例えば、一方の発光素子群の輝度が下限の閾値の輝度に低下するまで連続して発光させ、その後、他方の発光素子群に切り替えて連続して発光させることにより、1つのみの発光素子群を連続して発光させる場合と比較して、発光時間を延ばすことができる。その結果、照明装置の寿命を延ばすことができる。加えて、どちらか一方の発光素子群に不具合が生じた場合、他方の発光素子群を用いて発光させることができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る照明装置において、前記発光素子の輝度又は前記発光素子の両端の電圧を検出する検出部を備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、検出部によって発光素子の輝度又は電圧を検出するので、例えば、下限の閾値となる輝度まで発光させることができる(下限の閾値となる輝度より低下させることを防ぐことができる)。また、スイッチと併用することにより、下限の閾値となる輝度まで低下したら一方の発光素子による発光と、他方の発光素子による発光とを切り替えて使うことが可能となり、下限の閾値となる輝度より高い輝度を長時間維持することができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に係る照明装置において、前記スイッチは、前記検出部によって検出された輝度又は電圧に応じて、前記陽極配線と前記陽極配線から分岐した前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線とを電気的に接続することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、輝度又は電圧に応じて第1陽極配線又は第2陽極配線に電力を印加するので、例えば、下限の閾値となる輝度まで一方の発光素子を発光させ、その後、他方の発光素子に自動で切り替えて発光させることができる。また、例えば、ある輝度に達したら、どちらかの発光素子の発光に切り替え、更にある輝度まで達したら、どちらかの発光素子の発光に切り替えるような、段階的に輝度を低下させていくこともできる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に係る照明装置において、前記検出部は、光センサーであることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、光センサーで輝度を検出するので、ある輝度まで低下したら一方の発光素子から他方の発光素子に切り替えることにより、所定以上の輝度を維持することができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る照明装置において、前記複数の発光素子が配置された発光領域を有し、前記発光領域の周囲に検出用発光素子が更に設けられ、前記検出部は、前記検出用発光素子が放つ光の輝度を検出することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、検出用発光素子が発光領域の周囲に設けられているので、発光領域において必要な輝度を低下させることなく、発光素子の輝度を検出することができる。
【0021】
[適用例7]本適用例に係る照明装置は、透明基板と、前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、前記陽極配線から分岐した第1陽極配線と第2陽極配線とが、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線の両隣りに形成され、前記第1陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、前記第2陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、共通陰極配線を用いて、第1発光素子群と第2発光素子群とを透明基板上に設けるので、平面的に共通の陰極領域をつくることができる。よって、それぞれの発光素子群が別々の陰極配線を用いる構成と比較して、陰極の面積を小さくすることが可能となり、陰極の領域以外の光が通過する領域の面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流の量を少なくすることができる。その結果、発光素子が発熱することを抑え、発光素子が劣化することを抑えることができ、寿命を延ばすことができる。
【0023】
[適用例8]上記適用例に係る照明装置において、液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、フロントライトとして液晶パネルの表示面上に配置されるので、反射型の液晶パネルにおいて、外光が十分に得られない場合でも、フロントライトから光を供給することが可能となり、表示品質を向上させることができる。
【0025】
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記した照明装置を備えることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、発光素子が劣化することが抑えられ、高寿命の電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態の照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図。
【図2】図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図。
【図3】照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】有機EL装置の構造を示す模式平面図。
【図5】図4に示す有機EL装置のB部を拡大して示す模式拡大図。
【図6】図5に示す有機EL装置のC−C'線に沿う模式断面図。
【図7】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図8】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図9】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図10】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図11】第2実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図12】第3実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図13】有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図。
【図14】変形例1の有機EL装置の構成を電気的に示す等価回路図。
【図15】時間と輝度との関係、及び、時間と電圧との関係を示すグラフ。
【図16】従来のフロントライトの電気的な構成を示す等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0029】
(第1実施形態)
<照明装置を有する反射型液晶装置の構成>
図1は、照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図である。図2は、図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図である。以下、反射型液晶装置及び有機EL装置の構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0030】
反射型液晶装置10は、反射型の液晶パネル11と、液晶パネル11の表示面上に配置される照明装置(フロントライト)としての有機EL装置12とを組み合わせた装置である。具体的には、反射型液晶装置10は、観察者14側から照射される外光(後述する有機EL装置12(フロントライト)内で生じる光)を反射して、観察者14にカラー画像を表示することができる。
【0031】
反射型の液晶パネル11は、素子基板15と、対向基板16と、素子基板15と対向基板16との間に挟持された液晶層17とを有する。素子基板15の液晶層17側(以下、「上側」あるいは「上層」と称する。)には、TFT(Thin Film Transistor)18と、各々のTFT18に対応する画素電極19が規則的に形成されている。
【0032】
画素電極19の上層には、第1配向膜21が形成されている。液晶層17は、第1配向膜21と後述する第2配向膜22とによって挟持されている。なお、反射型の液晶パネル11であるので、素子基板15は、透明性を要しない。よって、プラスチック等の不透明材料からなる基板を用いることもできる。
【0033】
画素電極19は、反射性を有しており、液晶層17側から照射される光を反射光Rとして液晶層17の方向に反射する。なお、かかる反射性は、画素電極19自体を反射性材料で形成してもよく、また、ITO等の透明導電性材料で形成された画素電極19と、アルミニウム等からなる反射層とを組み合わせてもよい。
【0034】
TFT18と画素電極19とは、層間絶縁層23で隔てられており、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、TFT18は、周辺回路(図示せず)で制御されており、対応する画素電極19に任意の電圧を印加することができる。
【0035】
対向基板16は、ガラス等の透明性材料からなる基板である。対向基板16は、シール材(図示せず)を介して、素子基板15と平行、すなわち全域で等間隔となるように配置されている。対向基板16の液晶層17側の面には、カラーフィルター層24と、対向電極25と、第2配向膜22とが、対向基板16側から順に配置されている。そして、対向基板16における液晶層17側と反対側の面には、偏光板26が配置されている。
【0036】
カラーフィルター層24は、平面視で画素電極19に対応するカラーフィルター24aと、隣り合うカラーフィルター24a間に形成された遮光層(ブラックマトリクス)24bとを有する。本実施形態のカラーフィルター層24は、赤色カラーフィルターと、緑色カラーフィルターと、青色カラーフィルターとを備えている。また、対向電極25は、ITO等の透明導電材料からなる。
【0037】
このような構成の反射型液晶装置10は、液晶パネル11の表示面上に有機EL装置12(フロントライト)が配置されているので、液晶パネル11に充分な光を照射することができる。なお、フロントライトは、表示に影響を及ぼさないように発光素子の面積が小さく形成されている(発光素子が反射膜を有するため)。このため、所定の輝度を得るためには大電流を流す必要がある。以下、このような照明装置(フロントライト:有機EL装置12)の構造を簡単に説明する。
【0038】
照明装置としての有機EL装置12は、図1及び図2に示すように、複数の発光素子31が透明基板32の面上に配列された構成となっている。詳述すると、有機EL装置12は、透明基板32と、透明基板32の上層(観察者14側)に設けられた発光素子31と、発光素子31の上方に設けられた封止構造33とを備えている。
【0039】
詳述すると、図2に示すように、発光素子31は、陽極35と、陽極35上に設けられた発光機能層36と、発光機能層36上に設けられた陰極37とを有する。なお、陰極37としては、アルミニウム(Al)等の反射導電性を有する材料が用いられる。具体的には、陰極37の反射性により、発光機能層36内で生じるEL光Lが液晶パネル11の方向に照射される。そして、このEL光Lが個々の画素電極19で反射されることにより、観察者14に対する画像が形成される。なお、図2に示す領域が発光領域であり、その周囲に反射光Rを透過する透過領域が設けられている。
【0040】
発光機能層36は、陽極35側から順に、正孔注入層41と、正孔輸送層42と、発光層43と、電子輸送層44と、電子注入層45とを有して積層されている。
【0041】
正孔注入層41は、陽極35からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。正孔輸送層42は、陽極35から正孔注入層41を介して注入された正孔を発光層43まで輸送する機能を有するものである。
【0042】
発光層43は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。陽極35と陰極37との間に電圧を印加することによって、発光層43には、正孔輸送層42から正孔が、また、電子輸送層44から電子が注入され、発光層43においてこれらが再結合したときに発光が行われる。本実施形態では、白色光を発光する。
【0043】
電子輸送層44は、陰極37から電子注入層45を介して注入された電子を発光層43に輸送する機能を有するものである。電子注入層45は、陰極37からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
【0044】
また、発光機能層36と封止構造33との間には、陰極37と、透明層46と、半透過反射層47とからなる光干渉層48が設けられている。透明層46は、例えば、フッ化リチウム(LiF)等からなる。半透過反射層47は、例えば、アルミニウム(Al)等からなる。この光干渉層48により、例えば、外光が反射した反射光を低減している。
【0045】
上記した陰極37の反射性は、周辺光、すなわちEL光L以外の観察者14側から照射される光に対しても発揮される。周辺光がある場合、陰極37による反射光(画素電極19による反射光R以外の反射光)が、画像を形成する光とは別の光として観察者14側に照射される。本実施形態では、発光素子31の観察者14側に光干渉層48が設けられているので、外部からの反射光(反射光R以外の反射光)が低減される。
【0046】
封止構造33は、外部からの水分等の浸入を抑制して、発光素子31を保護するために設けられたものである。封止構造33の材料としては、シリコン酸窒化膜(SiON)、シリコン窒化膜(SiN)等の耐水性を有するものが挙げられる。また、封止構造33として、樹脂材料を用いてもよく、更には、最外面にガラス基板等が接着されていてもよい。
【0047】
<照明装置の構成>
図3は、照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図3を参照しながら説明する。
【0048】
図3に示すように、有機EL装置12は、直流電力を供給する直流電源50を電源とする。また、有機EL装置12は、直流電源50の陽極と接続された陽極配線51と、直流電源50の陰極と接続された陰極配線52とを有する。陽極配線51は、第1陽極配線51aと第2陽極配線51bとに分岐されている。陰極配線52は、複数の陰極配線52(共通陰極配線)に分岐されている。
【0049】
第1陽極配線51aと陰極配線52との間には、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第1発光素子31aが設けられている。なお、これらの第1発光素子31aを、第1発光素子群31a’と称する。また、第2陽極配線51bと陰極配線52との間には、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第2発光素子31bが設けられている。なお、これらの第2発光素子31bを、第2発光素子群31b’と称する。更に、第1発光素子群31a’及び第2発光素子群31b’を発光ユニットと称する。なお、第1発光素子31a及び第2発光素子31bは、等価的にダイオードとみなすことができる。
【0050】
詳述すると、並列に接続された複数の第1発光素子31aは、陽極35(アノード:第1端子)が第1陽極配線51aと接続され、陰極37(カソード:第2端子)が陰極配線52と接続され、陽極35と陰極37との間に発光機能層36が設けられている。並列に接続された複数の第2発光素子31bは、陽極35(アノード)が第2陽極配線51bと接続され、陰極37(カソード)が陰極配線52と接続され、陽極35と陰極37との間に発光機能層36が設けられている。
【0051】
そして、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とは、発光領域53において交互に配置されている。このように、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とは、2つの陽極配線51a,51bと、1つの陰極配線52とによって接続されている。つまり、陰極配線52は、第1発光素子群31a’及び第2発光素子群31b’と共通に使用される。
【0052】
次に、図3を参照しながら、有機EL装置12の動作について説明する。まず、直流電源50がオン状態になると、直流電源50から陽極配線51に電力(正極の電力)が供給され、そして、第1陽極配線51a及び第2陽極配線51bを介して順方向接続された第1発光素子31a及び第2発光素子31bが発光する。第1発光素子31a及び第2発光素子31bは、発光機能層36に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
【0053】
図4は、有機EL装置の構造を示す模式平面図である。図5は、図4に示す有機EL装置のB部を拡大して示す模式拡大図である。図6は、図5に示す有機EL装置のC−C'線に沿う模式断面図である。なお、図5は、光干渉層、封止構造等の図示は省略する。以下、有機EL装置の構造を、図4〜図6を参照しながら説明する。
【0054】
図4に示すように、有機EL装置12は、発光素子31が所定の間隔をもって規則的に配置されている発光領域53と、発光領域53の周囲の領域である周辺領域54とを有している。
【0055】
発光領域53は、液晶パネル11に対してEL光Lを照射する領域であり、液晶パネル11において画像が形成される領域に対応する領域である。発光領域53内には、帯状の陽極配線51と、帯状の陰極配線52とが、略平行に配置されている。
【0056】
具体的には、共通に使用される陰極配線52に対して、その両側に第1陽極配線51aと第2陽極配線51bとが配置される。陽極配線51と陰極配線52との双方は、共に透明導電性材料であるITOで形成されており、液晶パネル11において形成される画像の視認性には影響を及ぼさない。
【0057】
図5及び図6に示すように、発光素子31は、第1陽極配線51aと平面視で重なる領域に発光機能層36aが形成された第1発光素子31aと、第2陽極配線51bと平面視で重なる領域に発光機能層36bが形成された第2発光素子31bとを有する。
【0058】
発光素子31は、第1発光素子31aと第2発光素子31bとが対になって、第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52が延在する第1方向、かつ、第1方向と直交する第2方向に、複数設けられている(図4参照)。言い換えれば、一対の第1発光素子31a及び第2発光素子31bが、発光領域53内においてマトリクス状に設けられている。
【0059】
詳述すると、第1発光素子31aは、透明基板32上の第1陽極配線51a上の一部に、平面視で島状(パッド状)の発光機能層36aが設けられている。発光機能層36aの周囲は、絶縁膜55が設けられている。一方、第2発光素子31bは、透明基板32上の第2陽極配線51b上の一部に、平面視で島状(パッド状)の発光機能層36bが設けられている。発光機能層36bの周囲は、絶縁膜55が設けられている。
【0060】
そして、図6に示すように、発光機能層36a上から発光機能層36b上に亘る領域には、陰極配線52と電気的に接続されたアルミニウム(Al)等からなる陰極37が設けられている。第1陽極配線51a、陰極配線52、第2陽極配線51bは、絶縁膜55によって電気的に絶縁されている。このように、1組の第1発光素子31a及び第2発光素子31bは、陰極37(陰極配線52)が共通に用いられる。
【0061】
このような構成において、陽極配線51(第1陽極配線51a、第2陽極配線51b)が直流電源50のプラス極と接続され、陰極配線52が直流電源50のマイナス極と接続されているので、直流電源50がオン状態になると、直流電源50から陽極配線51に電力(正極の電力)が供給され、陽極配線51(第1陽極配線51a、第2陽極配線51b)側から陰極配線52側に電流が流れる。そして、順方向接続された第1発光素子31a及び第2発光素子31bが発光する。
【0062】
上記したように、第1発光素子31a及び第2発光素子31bにおいて、陰極37から陰極配線52にコンタクトをとる部分の領域を共通化するので(共通の領域37a)、第1発光素子31aと第2発光素子31bとが別々の陰極配線52を用いる従来の構成と比較して、発光領域53に占める陰極37の領域を小さくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流量を少なくすることができる。よって、発光素子31が高温になることを抑え、発光素子31が劣化することを抑えることができる。その結果、有機EL装置12(フロントライト)の寿命を延ばすことができる。
【0063】
なお、図4に示すような有機EL装置12において、発光領域53は矩形であり、発光素子31は発光領域53内において規則的に配置されているが、この態様に限定されるものではない。発光領域53は、円形等(不定形を含む)の形状でもよく、発光素子31の配置もランダムでも構わない。以下、上記した有機EL装置12の製造方法について説明する。
【0064】
図7〜図10は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図である。詳述すると、有機EL装置を構成する第1発光素子及び第2発光素子を中心とする製造方法を工程順に示す模式断面図である。以下、有機EL装置(第1発光素子、第2発光素子)の製造方法を、図7〜図10を参照しながら説明する。
【0065】
まず、図7に示すように、透明基板32上に第1陽極配線51a、陰極配線52、第2陽極配線51bを形成する。透明基板32としては、ガラス基板等が挙げられる。なお、第1発光素子31aにおいて、第1陽極配線51aが陽極35として用いられる。一方、第2発光素子31bにおいて、第2陽極配線51bが陽極35として用いられる。
【0066】
また、陰極配線52は、陰極37(図6参照)との接続に用いられる。第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52は、例えば、ITO等の光透過性を有する金属酸化物導電膜からなる。また、第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52、また以下に述べる各層は、例えば、公知の真空蒸着法を用いて順次形成することができる。
【0067】
次に、図8に示すように、発光部56及びコンタクト部57の領域が開口するように、透明基板32上及び配線(第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52)上の一部の領域に絶縁膜55を形成する。絶縁膜55は、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂などにより形成される。
【0068】
次に、図9に示すように、発光機能層36a,36bを形成する。詳述すると、第1発光素子31a側の第1陽極配線51a上及び絶縁膜55上の一部と、第2発光素子31b側の第2陽極配線51b上及び絶縁膜55上の一部に、発光機能層36a,36bを形成する。発光機能層36a,36bは、上記したように、正孔注入層41、正孔輸送層42、発光層43、電子輸送層44、電子注入層45が順に積層されている(図9では1層で図示)。
【0069】
次に、図10に示すように、陰極37を形成する。具体的には、発光機能層36a,36b上、陰極配線52上、及び絶縁膜55上に亘って陰極37を形成する。
【0070】
このように形成することにより、一対の第1発光素子31a及び第2発光素子31bにおいて、陰極配線52を共通で用いることができる。また、第1陽極配線51a、第2陽極配線51b、陰極配線52、また他の各層がそれぞれ同じ工程で形成できるので、かかる工程を少なくすることが可能となると共に、極性に差のない第1発光素子31a及び第2発光素子31bを形成することができる。
【0071】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0072】
(1)第1実施形態によれば、第1発光素子31aと第2発光素子31bとが共通のコンタクト部57(図8参照)を介して陰極配線52に接続されているので、共通で使用できる領域(共通の領域37a)をつくることができる。よって、陰極37の面積を小さくすることが可能となり、陰極37の領域以外の反射光Rが通過する領域(開口部)の面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流の量を少なくすることができる。その結果、発光素子31a,31bが発熱することを抑え、発光素子31a,31bが劣化することを抑えることができ、寿命を延ばすことができる。
【0073】
(2)第1実施形態によれば、膜を蒸着法で形成する場合など、蒸着範囲を変えるだけで第1発光素子31a及び第2発光素子31bを形成することが可能となり、同一プロセスで形成することができるので、比較的簡単に製造することができる。
【0074】
(第2実施形態)
<照明装置の構成>
図11は、第2実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図11を参照しながら説明する。
【0075】
第2実施形態の有機EL装置112は、スイッチ61を用いて第1発光素子群31a’又は第2発光素子群31b’に電流を流して交互に(又はどちらか一方の発光素子群が寿命に達したら他方の発光素子群に切り替えて)発光させる点が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成部材には同一符号を付し、ここではそれらの説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図11に示すように、第2実施形態の有機EL装置112は、直流電源50の一方と接続された陽極配線51と、直流電源50の他方と接続された陰極配線52とを有する。陽極配線51は、第1陽極配線151aと第2陽極配線151bとに分岐されている。そして、第1陽極配線151a又は第2陽極配線151bのどちらかに電流を流すためのスイッチ61が、陽極配線51と第1陽極配線151a及び第2陽極配線151bとの間に設けられている。
【0077】
第1陽極配線151aと陰極配線52との間には、第1実施形態と同様に、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第1発光素子31aが設けられている。一方、第2陽極配線151bと陰極配線52との間には、並列に接続されると共に順方向電流により発光する複数の第2発光素子31bが設けられている。
【0078】
詳述すると、第2実施形態の有機EL装置112は、直流電源50がオン状態になると、第1実施形態のように、第1陽極配線51a及び第2陽極配線51bの両方に電流が流れる場合と異なり、第1陽極配線151a又は第2陽極配線151bのどちらか一方のみに電流が流れる。よって、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とが、スイッチ61の切り替えによって、交互に発光する。スイッチ61の好適例としては、2回路1接点のアナログスイッチを用いることができる。
【0079】
なお、第1実施形態と同様に、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とは、2つの陽極配線151a,151bと、1つの陰極配線52とによって接続されている。つまり、陰極配線52は、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とにおいて共通に用いられる。
【0080】
このように、第1発光素子31aの陰極37と第2発光素子31bの陰極37とが共通のコンタクト部57(図8参照)を介して陰極配線52に接続されているので、共通となる陰極37の領域(共通の領域37a)をつくることができる。よって、発光領域53における陰極37の面積を小さくすることが可能となり、反射光Rが通過する面積を大きくすることができる。これにより、開口率を向上させることが可能となり、必要な光量にするための電流量を少なくすることができる。その結果、発光素子31が高温になることを抑え、発光素子31が劣化することを抑えることができる。
【0081】
以上詳述したように、第2実施形態によれば、上記した第1実施形態の(1)、(2)の効果に加えて、以下に示す効果が得られる。
【0082】
(3)第2実施形態によれば、スイッチ61を用いて、第1陽極配線151aと接続された第1発光素子31aと、第2陽極配線151bと接続された第2発光素子31bとを、交互に発光させることが可能となるので、例えば、一方の発光素子(例えば、第1発光素子31a)の輝度が下限の閾値の輝度に低下するまで連続して発光させ、その後、他方の発光素子(例えば、第2発光素子31b)に切り替えて連続して発光させることにより、1つのみの発光素子を連続して発光させる場合と比較して、発光時間を延ばすことができる。その結果、照明装置(有機EL装置112)の寿命を延ばすことができる。加えて、どちらか一方の発光素子に不具合(異常)が生じた場合、他方の発光素子を用いて発光させることができる。
【0083】
(4)第2実施形態によれば、第1発光素子群31a’と第2発光素子群31b’とを交互に発光させることが可能となるので、一方の発光素子群が発光している間は、他方の発光素子群が発光しないため他方の発光素子群を冷却させることが可能となる。その結果、発光素子31a,31bが高温になって発光素子31a,31bが劣化することを抑え、1つの発光素子を連続して発光させた場合と比較して、輝度が低下する(表示品質が劣化する)時間を延ばすことが可能となり、寿命を向上させることができる。
【0084】
(第3実施形態)
<照明装置の構成>
図12は、第3実施形態の照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図12を参照しながら説明する。
【0085】
第3実施形態の有機EL装置212は、第1発光素子31a及び第2発光素子31bの輝度を検出するための検出用発光素子131及び検出部(光センサー211)を備えている点が、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と同じ構成部材には同一符号を付し、ここではそれらの説明を省略又は簡略化する。
【0086】
図12に示すように、第3実施形態の有機EL装置212は、第2実施形態と同様に、直流電源50の一方と接続された陽極配線51と、直流電源50の他方と接続された陰極配線52とを有する。そして、陽極配線51は、スイッチ61を介して、第1陽極配線151aと第2陽極配線151bとに電気的に接続することが可能となっており、流れる電流の方向を切り替えることができる。
【0087】
このような有機EL装置212において、第3実施形態の特徴部分としては、陽極配線151a,151bと陰極配線52との間に、輝度を検出するために用いる検出用発光素子131(131a,131b)が設けられている。具体的には、検出用発光素子131は、第1陽極配線151a側に電流が流れた際に発光する第1検出用発光素子131aと、第2陽極配線151b側に電流が流れた際に発光する第2検出用発光素子131bとを有する。つまり、発光領域53に設けられた第1発光素子31aを発光させた場合に、第1検出用発光素子131aも同時に発光する。一方、発光領域53内に設けられた第2発光素子31bを発光させた場合に、第2検出用発光素子131bも同時に発光する。
【0088】
また、2つの検出用発光素子131(131a,131b)に隣接して輝度を検出する検出部としての光センサー211が設けられている。光センサー211としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスター、CSD等を用いることができる。このように、検出用発光素子131を介して輝度を検出することにより、発光領域53内の第1発光素子31a及び第2発光素子31bの輝度を検出することが可能となっている。そして、光センサー211による輝度の検出結果に応じて(例えば、輝度が低下して下限の閾値に達した場合)、スイッチ61の接続状態を切り替える。
【0089】
具体的には、まず、陽極配線51が第1陽極配線151aと電気的に接続された場合の動作について説明する。直流電源50がオン状態になると、第1陽極配線151a側に電流が流れ、第1発光素子群31a’が発光すると共に第1検出用発光素子131aが発光する。このとき、光センサー211によって第1検出用発光素子131aの輝度を検出する。そして、輝度が下限の閾値に達した場合(所定の輝度まで低下した場合)、例えば、第1発光素子群31a’の発光から第2発光素子群31b’の発光に切り替える。
【0090】
次に、陽極配線51が第2陽極配線151bと電気的に接続された場合の動作について説明する。直流電源50がオン状態になると、第2陽極配線151b側に電流が流れ、第2発光素子群31b’が発光すると共に第2検出用発光素子131bが発光する。このとき、光センサー211によって第2検出用発光素子131bの輝度を検出する。そして、輝度が下限の閾値に達した場合、例えば、新しい有機EL装置212と交換する。
【0091】
なお、光センサー211の検出値に応じて、スイッチ61の接続状態を切り替える切替機構213が設けられていることが好ましい。具体的には、光センサー211とスイッチ61とが、切替機構213を介して連動するように設けられている。
【0092】
より具体的には、まず最初に、第1発光素子群31a’を発光させる。そして、光センサー211によって第1検出用発光素子131aの輝度が下限の閾値となる輝度まで低下したと判断した場合、切替機構213に信号を送ることによって、スイッチ61の接続状態が変わり、第1発光素子群31a’の発光から第2発光素子群31b’の発光に切り替わる。これにより、下限の閾値より輝度が低下することなく、更に、自動で切り替えることができる。
【0093】
また、検出用発光素子131は、有機EL装置212の発光領域53より外側の周辺領域54に設けられていることが好ましい。発光領域53内に光センサー211を配置しないので、発光領域53に必要な輝度を低下させることなく、輝度を検出することができる。また、周辺領域54に2つの発光素子31(31a,31b)に対応する第1検出用発光素子131a及び第2検出用発光素子131bが設けられているので、この2つ発光状態を確認することにより、どちらの発光素子31(31a,31b)が発光しているか判断することができる。
【0094】
以上詳述したように、第3実施形態によれば、上記した実施形態の(1)〜(4)の効果に加えて、以下に示す効果が得られる。
【0095】
(5)第3実施形態によれば、光センサー211が備えられているので、第1発光素子31a及び第2発光素子31bの輝度を確認することが可能となる。よって、目視で輝度を判断して発光素子を切り替える方法と比較して、正確に一方の発光素子から他方の発光素子に切り替えることが可能となる。更に、光センサー211で輝度を検出しているので、常に輝度の下限の閾値より高い輝度で発光させることができる。
【0096】
(6)第3実施形態によれば、切替機構213が設けられているので、光センサー211による検出結果に基づいてスイッチ61の接続状態を自動で切り替えることができる。これにより、例えば、下限の閾値となる輝度まで一方の発光素子を発光させ、その後、他方の発光素子に自動で切り替えて発光させることができる。
【0097】
(7)第3実施形態によれば、検出用発光素子131a,131bが発光領域53の周囲である周辺領域54に設けられているので、発光領域53において必要な輝度を低下させることなく、発光素子31a,31bの輝度を検出することができる。
【0098】
(第4実施形態)
<電子機器の構成>
図13は、上記した有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図である。以下、有機EL装置を備えた携帯電話機の構成を、図13を参照しながら説明する。
【0099】
図13に示すように、携帯電話機71は、表示部72及び操作ボタン73を有している。表示部72は、内部に組み込まれた有機EL装置12,112,212によって、発光時間を向上させることができる等、高品位な表示を行うことができる。なお、上記した有機EL装置12,112,212は、上記携帯電話機71の他、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
【0100】
以上詳述したように、第4実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0101】
(8)第4実施形態によれば、発光素子31a,31bが劣化することが抑えられ、高寿命の電子機器を提供することができる。
【0102】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0103】
(変形例1)
上記した第3実施形態のように、光センサー211を用いて第1発光素子31a又は第2発光素子31bの輝度を検出することに限定されず、例えば、図14に示すように、電圧値から輝度を求めるようにしてもよい。図14は、変形例1の有機EL装置312の構成を電気的に示す等価回路図である。図15(a)は、時間と輝度の関係を示すグラフである。図15(b)は、時間と電圧の関係を示すグラフである。
【0104】
まず、図15(a)に示すように、発光素子31を一定電流密度で駆動すると、発光素子31の特性として、時間と共に輝度が低下していく。また、図15(b)に示すように、輝度が低下していくと、時間と共に電圧が上がっていく。
【0105】
このような特性を利用して、図14に示すように、陽極配線51(151a,151b)と陰極配線52との間に配置された検出部としての電圧計311が、輝度の下限の閾値となる電圧値を検出したら(閾値となる輝度まで低下したら)、スイッチ61を切り替えて、例えば、第1発光素子群31a’の発光から第2発光素子群31b’の発光に変えるようにする。なお、スイッチ61は、手動で切り替えてもよいし、切替機構213(図12参照)を用いて自動で切り替えるようにしてもよい。これによれば、下限の閾値より輝度が低下することなく、所定の輝度を維持することができる。また、一方の発光素子群のみで発光させる場合と比較して、長い時間に亘って発光させることができる。また、光を直接検出しなくても、駆動電圧で輝度を判定することができる。
【0106】
(変形例2)
上記した第2実施形態、第3実施形態、変形例1に記載のように、第1発光素子31aの輝度がある下限の閾値に低下するまで連続して発光させ、その後、第2発光素子31bに切り替えて連続して発光させることに代えて、以下のようにしてもよい。例えば、一方の発光素子(例えば、第1発光素子31a)と他方の発光素子(例えば、第2発光素子31b)との輝度を段階的に落としていくようにしてもよい。具体的には、光センサー211又は電圧計311を用いて、一方の発光素子の輝度が所定の輝度まで低下したら他方の発光素子の発光に切り替え所定の輝度まで低下させる。その後、一方の発光素子に切り替えて、更に低い輝度まで発光させていく。これを、輝度の下限の閾値になるまで段階的に繰り返す。これによれば、段階的に少しずつ輝度が低下していくので、急激に特性が変化することを抑えることができる。
【0107】
(変形例3)
上記したように、第1発光素子31a及び第2発光素子31bが白色を発光することに限定されず、例えば、異なる色の発光層を塗り分けて、第1発光素子31aは赤色を発光し、第2発光素子31bは緑色を発光するようにしてもよい。これによれば、流す電流の配線を変えることにより、赤色の照明、又は緑色の照明をつくることができる。また、例えば、赤色の照明、緑色の照明をフィールドシーケンシャル駆動として用いるようにしてもよい。この場合、緑色の照明を加えることが好ましい。
【0108】
(変形例4)
上記したように、有機EL装置12,112,212,312は、ボトムエミッション型に限定されず、トップエミッション型として適用するようにしてもよい。
【0109】
(変形例5)
上記したように、照明装置を液晶表示装置のフロントライトとして用いることに限定されず、例えば、一般的な照明として用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…反射型液晶装置、11…液晶パネル、12,112,212,312…照明装置(フロントライト)としての有機EL装置、14…観察者、15…素子基板、16…対向基板、17…液晶層、18…TFT、19…画素電極、21…第1配向膜、22…第2配向膜、23…層間絶縁層、24…カラーフィルター層、24a…カラーフィルター、24b…遮光層、25…対向電極、26…偏光板、31…発光素子、31a…第1発光素子、31b…第2発光素子、32…透明基板、33…封止構造、35…陽極、36,36a,36b…発光機能層、37…陰極、37a…共通の領域、41…正孔注入層、42…正孔輸送層、43…発光層、44…電子輸送層、45…電子注入層、46…透明層、47…半透過反射層、48…光干渉層、50…直流電源、51…陽極配線、51a,151a…第1陽極配線、51b,151b…第2陽極配線、52…陰極配線、53…発光領域、54…周辺領域、55…絶縁膜、56…発光部、57…コンタクト部、61…スイッチ、71…携帯電話機、72…表示部、73…操作ボタン、131…検出用発光素子、131a…第1検出用発光素子、131b…第2検出用発光素子、211…検出部としての光センサー、213…切替機構、311…検出部としての電圧計。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子から第2端子方向に流れる順方向電流により発光する複数の発光素子と、
直流電源と、
前記直流電源から前記複数の発光素子に電力を供給する陽極配線及び陰極配線と、
を少なくとも備え、
前記陽極配線から分岐した第1陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、
前記陽極配線から分岐した第2陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、
前記第1発光素子群、及び第2発光素子群における複数の前記発光素子の前記第2端子に共通に接続される、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線とからなる発光ユニットを複数有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記陽極配線と、前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線との間の接続を排他的に切り替えるスイッチをさらに備えることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、
前記発光素子の輝度又は前記発光素子の両端の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置であって、前記スイッチは、前記検出部によって検出された輝度又は電圧に応じて、前記陽極配線と前記陽極配線から分岐した前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線とを電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の照明装置であって、
前記検出部は、光センサーであることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の照明装置であって、
前記複数の発光素子が配置された発光領域を有し、
前記発光領域の周囲に検出用発光素子が更に設けられ、
前記検出部は、前記検出用発光素子が放つ光の輝度を検出することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、
順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、
前記陽極配線から分岐した第1陽極配線と第2陽極配線とが、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線の両隣りに形成され、
前記第1陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、
前記第2陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の照明装置は、
液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の照明装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1端子から第2端子方向に流れる順方向電流により発光する複数の発光素子と、
直流電源と、
前記直流電源から前記複数の発光素子に電力を供給する陽極配線及び陰極配線と、
を少なくとも備え、
前記陽極配線から分岐した第1陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、
前記陽極配線から分岐した第2陽極配線に前記第1端子を接続した複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、
前記第1発光素子群、及び第2発光素子群における複数の前記発光素子の前記第2端子に共通に接続される、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線とからなる発光ユニットを複数有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記陽極配線と、前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線との間の接続を排他的に切り替えるスイッチをさらに備えることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、
前記発光素子の輝度又は前記発光素子の両端の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置であって、前記スイッチは、前記検出部によって検出された輝度又は電圧に応じて、前記陽極配線と前記陽極配線から分岐した前記第1陽極配線又は前記第2陽極配線とを電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の照明装置であって、
前記検出部は、光センサーであることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の照明装置であって、
前記複数の発光素子が配置された発光領域を有し、
前記発光領域の周囲に検出用発光素子が更に設けられ、
前記検出部は、前記検出用発光素子が放つ光の輝度を検出することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、
順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、
前記陽極配線から分岐した第1陽極配線と第2陽極配線とが、前記陰極配線から分岐した共通陰極配線の両隣りに形成され、
前記第1陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第1発光素子群と、
前記第2陽極配線から前記共通陰極配線の方向に流れる順方向電流により発光する複数の前記発光素子からなる第2発光素子群と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の照明装置は、
液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の照明装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−60574(P2011−60574A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208982(P2009−208982)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]