照明装置
【課題】実装コストを下げつつ複数のLEDの最適な発光制御を実現すると共に高い輝度で発光しても発光素子の熱を放出できる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置1は、実装基板2と、実装基板2にベアチップ状態で実装される複数の発光素子3と、実装基板2上に設けられ、複数の発光素子3の周囲を囲む封止枠4と、封止枠4内部に充填され、発光素子と接触しつつ発光素子を封止する封止材5と、封止材5内部に設けられ、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材50と、を備える。
【解決手段】本発明の照明装置1は、実装基板2と、実装基板2にベアチップ状態で実装される複数の発光素子3と、実装基板2上に設けられ、複数の発光素子3の周囲を囲む封止枠4と、封止枠4内部に充填され、発光素子と接触しつつ発光素子を封止する封止材5と、封止材5内部に設けられ、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材50と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアチップ状態のLED(Light Emitting Diode)を始めとする発光素子を実装するのに必要な封止枠や封止材を利用しつつ、発光素子から生じる熱を放出できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光灯や白熱電球に代わる新しい光源としてLEDを始めとする発光素子が照明装置に用いられることが多くなっている。LEDを始めとする半導体を利用した発光素子は、小型であること、消費電力が小さいことおよび発光色や発光パターンを容易に制御できること、などのメリットを提供できる。
【0003】
従来においては、単数のLEDであってパッケージに封止されたLEDが、樹脂等で外形を施されて発光を制御することが行なわれている(例えば特許文献1参照)。加えて、液晶画面のバックライトに用いるLEDを、液晶画面に集光させる技術を開示する文献もある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方で、様々な発光色や発光パターンを容易に生成するためには、複数のLEDをまとめて実装するほうが都合がよい。単数のLEDを個々に封止した発光ユニットを配列する場合には、個々のLEDの封止状態のばらつきによって、制御側が想定する通りの発光パターンや発光色が得られないデメリットがあるからである。
【0005】
近年では、多くのLEDを配列し、コンピュータープログラムによって複雑な発光色や発光パターンを制御することが行なわれており、個別にパッケージ化されて封止されたLEDを配列する場合には、封止ばらつきによる悪影響が生じる。これらは、特に、信号装置などの分野で顕著である。
【0006】
このため、複数のLEDを実装し、実装された複数のLEDをまとめて封止することおよび封止した複数のLEDの発光を制御することが求められていた。特に、実装コストおよび封止コストを低減するために、複数のLEDを封止すると共にLEDの光を制御することを同時に実現することが求められていた。
【0007】
このような状況下において、複数の発光素子を実装する技術が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。また、発光素子を実装しつつ発光素子からの熱を排出する技術も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−88098号公報
【特許文献2】特開2006−100575公報
【特許文献3】特開平11−162232号公報
【特許文献4】特開2007−227679号公報
【特許文献5】特開2005−311170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2は、単数のLEDを封止する技術を開示する。特許文献1は、単数のLEDを砲弾型のケースによって封止する技術を開示する。砲弾型のケースを樹脂やレンズを用いて構成する技術を開示するが、砲弾型ケースは単数のLEDにしか適用できず、複数のLEDの封止を行なうことは困難である。
【0010】
また、特許文献2は、単数のLEDの前方に凹レンズを設けて、LEDからの光を液晶画面に集光させる技術を開示する。この技術も、複数のLEDを封止しつつ集光を制御することに適用することは困難である。
【0011】
特許文献3は、複数のベアチップ状態であるLEDを実装し、実装されたLEDに樹脂の封止材とマイクロレンズを形成する技術を開示する。特許文献1は、樹脂による封止材で複数のLEDを実装するとの解決と、複数のLED素子のそれぞれに対応する位置に配置されるレンズ群(レンズ群がマイクロレンズとなる)を配置することで、個々のLEDの発光を外部に導くという解決を図っている。
【0012】
しかしながら、マイクロレンズの個々のレンズが複数のLEDのそれぞれのLEDに対応して光を制御するため、制御のばらつきが生じる問題がある。信号や集魚灯などのように、複数のLED全体に基づく発光色や発光パターンを生成する必要性に対しては、個々のレンズのばらつきが悪影響を及ぼす問題がある。
【0013】
加えて、マイクロレンズを用いることでコストが上昇する問題がある。
【0014】
特許文献3は、LEDを封止する機構と光を制御する機構とを別々に捉えており、光の制御のばらつきやコスト上昇といった問題に対処できない。
【0015】
特許文献4は、複数のLEDを封止する大型のレンズ板を基礎に、レンズ板の内部においてLEDと接触する部分に樹脂を充填して、この樹脂がLEDを保護する構成を開示する。
【0016】
しかしながら、特許文献4の技術は、レンズ板を基準にして複数のLEDを封止するので、LEDの発光制御がレンズ板の精度に依存する問題がある。加えて、LEDの封止もレンズ板の大きさや耐久性に依存する問題があり、多くのLEDをまとめて封止しつつ発光を制御することには適していない問題がある。
【0017】
特許文献5は、発光素子を封止する樹脂内部に金属メッシュを配置して、発光素子の熱を排出する技術を開示する。
【0018】
しかしながら、他の特許文献と同様に、発光素子を封止する機構と光を制御する機構とが別々であって、光の制御がばらつく問題を有している。加えて、金属メッシュが発光素子からの熱を外部に排出する機構を有しておらず、排熱は不十分である問題がある。加えて、封止枠に金属メッシュから熱を伝えても、その熱を排出する必要があるが、特許文献5は、これらの機構を開示していない。仮に封止枠の表面から排熱する場合には、封止枠が大型化して、発光素子の発行制御に悪影響を与えるなどの問題も生じる。
【0019】
以上のように、従来技術の照明装置は、複数のLEDを封止する機構と光を制御する機構とを別々に構成しており、光の制御がばらついたりコストが上昇したりする問題を有している。特に、信号装置や集魚灯などのように複数のLED全体で照明を制御する場合には、複数のLEDをまとめて封止しつつ複数のLEDの発光をばらつきなく制御することが求められる。従来技術は、このような要請に対応できない問題がある。
【0020】
また、複数のLEDを封止して照明装置とする場合には、信号装置、工事用照明機械や集魚灯などのように、高い輝度を必要とする装置に適用されることが求められる。
【0021】
このように照明装置が高い輝度を持つ光を発する場合には、そのLEDの個数の多さと相まって、非常な高熱を発する。LEDは、実装されている実装基板と封止している封止材との両方に熱を伝える。この内、実装基板に伝導される熱は、熱伝導を可能とする実装基板が放出できる。実装基板は、その素材や構造上、熱を放出することが可能だからである。
【0022】
一方で、LEDが発光面である封止材側に伝える熱は、放出されるのが困難である。封止材は、LEDを封止する構造やその素材(樹脂であることが多い)の特性上、熱を放出することが難しいからである。
【0023】
以上のように、従来技術の照明装置は、複数のLEDをまとめて封止しつつ発光をばらつきなく制御できないだけでなく、複数のLEDが発する熱を放出できない問題があった。熱を放出できない場合には、高い輝度でLEDを発光させることが困難であり、LEDを用いた照明装置の用途が限られる問題があった。
【0024】
本発明は、以上の課題に鑑み、信号装置や集魚灯などに最適であって、実装コストを下げつつ複数のLEDの最適な発光制御を実現すると共に高い輝度で発光しても発光素子の熱を放出できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の照明装置は、実装基板と、実装基板にベアチップ状態で実装される複数の発光素子と、実装基板上に設けられ、複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、封止枠内部に充填され、発光素子と接触しつつ発光素子を封止する封止材と、封止材内部に設けられ、発光素子および封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を備え、封止材は、透明もしくは半透明であると共にその上面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有し、封止材は、発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行ない、熱伝導部材は、封止枠に熱を伝導する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の照明装置は、封止枠、封止材およびレンズ板によって、ベアチップ状態である発光素子を封止することと発光素子からの光を制御することとを両立させることができる。この結果、発光素子の実装コストを低減できる。封止に必要な要素と発光制御に必要な要素とを兼用したことによって、封止と発光制御を両立させつつコスト削減も実現できる。特に、実装工程が簡略化されるので、実装コスト削減が更に進む。
【0027】
また、本発明の照明装置は、封止枠、封止材およびレンズ板によって、複数の発光素子の光を一体的に制御できるので、発光状態のばらつきを生じさせず、信号装置や集魚灯などに最適に適用できる。
【0028】
また、封止材が備える熱伝導部材が、発光素子の発光面等から封止材に伝導する熱を外部に伝導して放出できる。
【0029】
加えて、複数の発光素子をまとめて封止することによって生じうる発熱を、封止枠を通じて外部に放出できる。この結果、発光素子に対して高い電力を付与できるので、本発明の照明装置は高い輝度の光を用いることができる。
【0030】
特に、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械や集魚灯に最適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における照明装置の発熱制御を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における照明装置の製造工程図である。
【図8】本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。
【図10】本発明の実施の形態3における照明装置の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態3における照明装置の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態4における信号装置30のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の発明に係る照明装置は、実装基板と、実装基板にベアチップ状態で実装される複数の発光素子と、実装基板上に設けられ、複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、封止枠内部に充填され、発光素子と接触しつつ発光素子を封止する封止材と、封止材内部に設けられ、発光素子および封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を備え、封止材は、透明もしくは半透明であると共にその上面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有し、封止材は、発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行ない、熱伝導部材は、封止枠に熱を伝導する。
【0033】
この構成により、照明装置は、複数の発光素子を一つの封止枠および封止材で一体的に封止すると共に、封止枠および封止材によって、複数の発光素子からの光を集光もしくは拡散できる。このため、製造コストが下がると共にばらつきがなくなって、高い輝度の光を得ることができる。また、熱伝導部材が、発光素子から封止材に伝わる熱を、封止枠に伝導させて外部に放出できる。この結果、発光素子は高い輝度で発光できる。
【0034】
本発明の第2の発明に係る照明装置では、第1の発明に加えて、封止材の上層に積層されるレンズ板を更に備え、封止材およびレンズ板は、透明もしくは半透明であって、封止材およびレンズ板の積層は、発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。
【0035】
この構成により、照明装置は、レンズ板と封止材とによって、発光素子からの光を集光したり拡散したりできる。
【0036】
本発明の第3の発明に係る照明装置では、第1又は第2の発明に加えて、封止枠の高さおよび面積の少なくとも一方は、発光素子の個数に応じて定まる。
【0037】
この構成により、封止枠および封止材は、発光素子からの光を最適に外部に照射できる。
【0038】
本発明の第4の発明に係る照明装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、レンズ板が凸レンズであって、封止材のレンズ板との積層面は凹形状である。
【0039】
この構成により、照明装置は、複数の発光素子の光を集光しつつ外部に照射できる。
【0040】
本発明の第5の発明に係る照明装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、レンズ板が凹レンズであって、封止材のレンズ板との積層面は、凸形状である。
【0041】
この構成により、照明装置は、複数の発光素子の光を拡散しつつ外部に照射できる。
【0042】
本発明の第6の発明に係る照明装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、封止材とレンズ板との積層面は、空隙を有する封止材とレンズ板との積層面は、空隙を有する。
【0043】
この構成により、照明装置は、発光素子の光を乱反射させて、より様々な発光パターンを形成できる。また、照明装置は、発光素子の光を均一に外部に照射できる。
【0044】
本発明の第7の発明に係る照明装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、封止材とレンズ板のそれぞれの透過率および屈折率の少なくとも一部が異なる。
【0045】
この構成により、照明装置は、発光素子の光を乱反射させて、より様々な発光パターンを形成できる。また、照明装置は、発光素子の光を均一に外部に照射できる。
【0046】
本発明の第8の発明に係る照明装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、封止枠の側面は、レンズ板側から実装基板側にかけて傾斜する傾斜面を有し、傾斜面は、発光素子の光を反射する。
【0047】
この構成により、照明装置は、傾斜面を利用して発光素子からの光を外部に反射させて、発光素子の発する光の大半を効率的に外部への照射に用いることができる。
【0048】
本発明の第9の発明に係る照明装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、複数の発光素子のそれぞれの光は、隣接する発光素子の側面で反射する。
【0049】
この構成により、照明装置は、隣接する発光素子での反射を利用して、発光素子が発する光の大半を、効率的に外部へ照射できる。
【0050】
本発明の第10の発明に係る照明装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、熱伝導部材は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有する。
【0051】
この構成により、熱伝導部材は、封止材内部の熱を、効率よく封止枠に伝導できる。
【0052】
本発明の第11の発明に係る照明装置では、第10の発明に加えて、熱伝導部材は、金属もしくは合金製のメッシュ形状を有する。
【0053】
この構成により、熱伝導部材は、封止材内部の熱を効率よく封止枠に伝導できると共に、発光素子からの光の照射を妨げない。
【0054】
本発明の第12の発明に係る照明装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、熱伝導部材は、封止枠に熱的に接触する。
【0055】
この構成により、熱伝導部材は、封止枠に熱を伝導できる。
【0056】
本発明の第13の発明に係る照明装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、封止枠は、熱伝導部材からの熱を放出する放熱機構を更に備える。
【0057】
この構成により、照明装置は、熱伝導部材から伝わる熱を、効率的に外部に放出できる。結果として、発光素子に付与できる電流値や電圧値を上げることができ、発光素子が発する光の輝度を増加させることができる。
【0058】
本発明の第14の発明に係る照明装置では、第13の発明に加えて、放熱機構は、封止枠の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィンを含む。
【0059】
この構成により、照明装置は、発光素子や封止材の熱を、効率的に外部に放出できる。
【0060】
本発明の第15の発明に係る照明装置では、第14の発明に加えて、放熱フィンは、封止枠と一体で形成されている。
【0061】
この構成により、放熱フィンと封止枠との間の熱抵抗が小さくなり、放熱フィンは、効率よく熱を放出できる。
【0062】
本発明の第16の発明に係る照明装置では、第13から第15のいずれかの発明に加えて、熱伝導部材および放熱機構は、発光素子が発光面において発する熱を、外部に放出する。
【0063】
この構成により、照明装置は、発光素子の発熱を抑制できる。結果として、高い輝度での光の照射を可能とする。
【0064】
(実施の形態1)
【0065】
実施の形態1について説明する。
【0066】
(全体概要)
【0067】
まず、図1を用いて、実施の形態1における照明装置の全体概要を説明する。
【0068】
図1は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。図1は、照明装置を側面から見た状態を示しており、封止枠や封止材の内部に存在する発光素子を可視状態にして示している。また、図2は、照明装置を上から見た状態を示しており、封止枠や封止材の内部に存在する発光素子を可視状態にして示している。
【0069】
照明装置1は、実装基板2と、実装基板2にベアチップ状態で実装される複数の発光素子3と、複数の発光素子3の周囲を囲む封止枠4と、封止枠4内部で発光素子3と接触しつつ発光素子3を封止する封止材5と、封止材5内部に設けられた熱伝導部材50、を備える。
【0070】
また、封止材5は、透明もしくは半透明であって、封止材5の表面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有する。この構成によって、封止材5は、発光素子3の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。この構成によって、照明装置1は、発光素子を封止する部材を活用して、ベアチップ状態で実装された複数の発光素子3が発する光を、適切に外部に照射できる。
【0071】
また、封止材5内部に熱伝導部材50が備えられている。熱伝導部材50は、封止材5内部に封止されている状態である。例えば、封止材5を形成する溶融樹脂が封止枠4内部に充填される際に、予め熱伝導部材50が設置されて、熱伝導部材50がそのまま封止材5内部で封止されることで、熱伝導部材50が封止材5内部に設けられれば良い。
【0072】
熱伝導部材50は、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を、封止枠4に伝導する。この結果、熱伝導部材50は、発光素子3からの熱およびこの発光素子3からの熱を蓄積している封止材5からの熱を、外部に放出できる。
【0073】
結果として、照明装置1は、その発熱を抑えることができるので、発光素子3に対して高い電流値や電圧値を与えることができるようになり、高い輝度で外部を照射できる。
【0074】
(照明装置の発光)
【0075】
発光素子3の発光と照明装置1による光の照射について説明する。
【0076】
複数の発光素子3は、実装基板2にワイヤボンディングやボールグリッドによって実装されている。この実装によって、発光素子3には、電力が供給される。この供給される電力によって、発光素子3は、発光する。また、複数の発光素子3のそれぞれは、青色、赤色、緑色などの固有色を有している。それぞれの固有色を有する発光素子3に電力が供給されることで、複数の発光素子3は、青色、赤色、緑色、混合色の光を発する。
【0077】
複数の発光素子3の周囲には封止枠4が設けられており、この封止枠4内部には樹脂などを素材とする封止材5が投入される。封止材5は、複数の発光素子3の表面や側面と接触した上で、複数の発光素子3を封止する。この封止によって、封止材5は、発光素子3を保護する。また、封止枠4が設置された上で、封止材5が投入されるので、封止材5は、封止枠4の形状、大きさに応じた形状や大きさを有する。
【0078】
封止材5の表面(上面)は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有することで、複数の発光素子3からの光を集光および拡散の少なくとも一方を行ないながら、外部に発する。すなわち、封止材5は、発光素子3の発光制御機能を発揮して、発光素子3からの光を外部に照射する。
【0079】
封止枠4、封止材5は、ベアチップ状態である発光素子3を外部露出から保護するための封止機能を持っており、本来的には、この封止機能が封止枠4などの役割である。しかし、封止枠4や封止材5は、封止機能に加えて、封止枠4、封止材5は、複数の発光素子3が発する光の集光や拡散を制御する機能を備える。
【0080】
すなわち、余分な部材を追加することなく、封止と発光を実現できるので、照明装置1は、余分なコストを必要としない。加えて、照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて封止した上で発光を制御できるので、発光素子3毎に発光や封止のばらつきが生じない。加えて、封止と発光制御とが同時に同一の部材で実現できるので、封止と発光制御とがアンバランスになることが無くなり、発光のばらつきも防止される。特に、複数の発光素子3をまとめて封止することがそのまま発光制御につながるので、照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて発光させた上で集光や拡散を実現できる。
【0081】
また、照明装置1は、封止材5の上にレンズ板6を積層する構成を有してもよい。レンズ板6を有することで、封止材5とレンズ板6とが、より確実に複数の発光素子3からの光を集光したり拡散したりできるようになる。結果として、照明装置1は、複数の発光素子3による外部への照射をより確実に制御できる。
【0082】
図2は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。図2は、封止材5の上にレンズ板6が積層されている構成を示している。
【0083】
図2に示されるようにレンズ板6は、封止材5の上に積層される。レンズ板6は、凸レンズや凹レンズ形状を有しており、封止材5の積層面において、レンズ板6のカーブに応じた形状で積層される。封止材5は、封止枠4に投入される際には、溶融樹脂などであるので、レンズ板6の形状に応じて、封止材5の積層面の形状が容易に対応できる。この結果、封止材5とレンズ板6とは、スムーズな曲面で接触する。
【0084】
封止材5およびレンズ板6は、半透明もしくは透明であって、発光素子3からの光を透過させる。このとき、封止材5およびレンズ板6が形成する屈折カーブに従って、発光素子3は、発する光を外部に照射する。このとき、封止材5およびレンズ板6は、カーブ形状に従って、発光素子3の光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。すなわち照明装置1は、複数の発光素子3の光を一つの集光機能や拡散機能によってまとめた上で、外部に照射する。
【0085】
すなわち、封止材5とレンズ板6とが合わさって、複数の発光素子3の光を制御して外部に照射させる。封止材5だけの場合よりも、レンズ板6が合わさることで、より精細な発光制御が可能となる。
【0086】
加えて、レンズ板6が封止材5の上層に積層されることで、レンズ板6は、封止材5を保護する役割も果たす。これらの結果、封止材5およびレンズ板6によって、照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて封止すると共にまとめて発光制御して、外部へ光を照射できる。
【0087】
図3を用いて、照明装置1の上面(正面)から見た状態での照明装置1による光の照射を説明する。図3は、本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。図3は、照明装置を上から見た状態を示しており、封止枠4や封止材4の内部に存在する発光素子3を可視状態にして示している。
【0088】
図3に示される照明装置1では、封止枠4が複数の発光素子3を一体とした周囲を囲む。ここで、封止枠4は、上面から見た際に略円形を有している。略円形の封止枠4の内部に複数の発光素子3が実装されているので、複数の発光素子3が発する光は、略円形から拡散したり集光したりすることになり、照明装置1は、発光方向や発光角度を調整しやすくなる。もちろん、封止枠4は、略楕円形状や多角形状を有していてもよい。
【0089】
また、上面から見た場合には、レンズ板6、封止材5、発光素子3の順に積層されているが、レンズ板6および封止材5が半透明若しくは透明であるので、発光素子3が透過して見える。この結果、発光素子3の発する光は、レンズ板6および封止材5を透過して外部に照射される。このとき、レンズ板6および封止材5によって形成されるカーブによって、発光素子3の発する光は拡散したり集光したりする。
【0090】
また、実装基板2に封止枠4からレンズ板6までが実装された状態で照明装置1が構成されるので、照明装置1は、可搬性に優れており、一つのユニットとして様々な機器に組み込まれる。
【0091】
照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて封止すると共にまとめてその発光を制御するので、信号装置や集魚灯などの詳細な画像を示すよりも、発光量や発光パターンを必要とする機器に最適に組み込まれる。
【0092】
以上のように、実施の形態1の照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて一つの封止枠4内部に封止することで、封止における発光素子3ごとのばらつきを防止できる。また、封止枠4内部に封止材5とレンズ板6とが積層されることで、複数の発光素子3の発する光をまとめて制御できる。特に、封止枠4、封止材5およびレンズ板6とがそれぞれ接触した(物理的に厳密な接触を必要とするのではなく、明らかに離隔している状態ではないことを示す)状態であることによって、封止枠4、封止材5およびレンズ板6は、複数の発光素子3を封止するという機能と発光を制御するという機能を両立させる。
【0093】
以上より、照明装置1は、発光素子3の封止機能と発光制御機能を、少ない部材で実現できる。結果としてコストも低減できる。
【0094】
なお、図1〜図3においては、図の明瞭を確保するために、複数の発光素子のうち一つの発光素子に符号「3」を付している。
【0095】
(発光素子の発熱制御)
【0096】
次に、照明装置1における発光素子3の発熱制御について、図4も参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態1における照明装置の発熱制御を示す説明図である。図4は、照明装置の側面を示しており、内部を透視状態として示している。また、矢印51、52は、熱の伝導経路を示す。
【0097】
照明装置1は、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械および集魚灯などに適用されることが求められる。このため、発光素子3が高い輝度で発光を行なうために、発光素子3には、高い電流値や高い電圧値が付与される。このような高い輝度での発光によって、発光素子3は、高い熱を発生させる。
【0098】
複数の発光素子3は、実装面、発光面および側面から、熱を発する。
【0099】
発光素子3が発するこれらの熱の内、実装面から発せられる熱は、実装基板2を通じて外部に放出される。複数の発光素子3は、実装基板2にワイヤボンディングやボールグリッド等によって実装されており、発光素子3の実装面と実装基板2とは、熱的に接触しているからである。矢印51は、発熱素子3の実装面から実装基板2に伝導する熱の状態を示している。
【0100】
一方、発光素子3が発するこれらの熱の内、発光面および側面から発する熱は、封止材5に伝導する。封止材5は、発光素子3の発光面および側面を封止することで、発光素子3の発光面および側面と熱的に接触するからである。このため、封止材5は、発光素子3からの熱を受けることになる。
【0101】
また、封止材5は、発光素子3を封止する目的上、溶融樹脂などが用いられる。溶融樹脂などは、金属などに比較して熱伝導性が悪いので、封止材5は、発光素子3からの熱を蓄積してしまうことが多い。封止材5が発光素子3からの熱を蓄積してしまうと、照明装置1は、誤動作を生じさせたり、損傷や故障を生じさせたりする。このような問題を回避するためには、発光素子3へ与える電流値や電圧値を下げる必要がある。しかし、発光素子3へ与える電流値や電圧値を下げると、発光素子3の発光輝度が低くなり、照明装置1を、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械および集魚灯などに適用することが難しくなる。
【0102】
熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられており封止枠4と熱的に接触する。このため、熱伝導部材50は、封止材5からの熱を(すなわち発光素子3からの熱を)封止枠4に伝導できる。封止枠4は、外部に露出されており、熱伝導部材50から受け取った熱を、外部に放出できる。特に、封止枠4は、金属、合金あるいは熱伝導性の高い樹脂などで形成されるので、封止枠4は、伝導された熱を外部に放出できる。この結果、発光素子3の発光面および側面の少なくとも一部から発せられる熱は、封止材5内部に蓄積することなく、熱伝導部材50および封止枠4を経由して外部に放出される。これは、図4における矢印52によって示される。
【0103】
矢印52は、発光素子3から封止材5に伝導した熱が、熱伝導部材50を通じて封止枠4に伝導する状態を示している。また、封止枠4は、伝導された熱を、外部に放出する。
【0104】
このように、熱伝導部材50は、熱の溜まりやすい封止材5内部の熱を、効率的に外部に放出できる。
【0105】
発光素子3の発する熱の内、発光面および側面からの熱が、外部に放出されることで、照明装置1の発熱が抑えられる。この結果、発光素子3には、高い電流値や電圧値を与えることが可能となり、発光素子3は(すなわち照明装置1は)、高い輝度で光を照射できる。
【0106】
なお、信号装置、工事用照明機械および集魚灯は、照明装置1が適用される機器の一例であり、これに限られるものではない。
【0107】
次に、各部の詳細について説明する。
【0108】
(実装基板)
【0109】
まず、実装基板について説明する。
【0110】
実装基板2は、複数の発光素子3を実装する。実装基板2は、ガラスエポキシ基板のように、汎用に電子部品や半導体集積回路を実装できる基板であって、電気信号のやり取りを行なえる配線層を備えているものであればよい。
【0111】
実装基板2は、照明装置1として利用される複数の発光素子3のみを実装しても良いし、発光素子3以外の電子部品や半導体集積回路を実装しても良い。例えば、実装基板2は、制御機能やプロセッシング機能を有する半導体集積回路と必要な電子部品を実装しており、これ等以外の領域において複数の発光素子3を実装しても良い。
【0112】
また、実装基板2は、発光素子3をワイヤボンディング、フリップチップあるいはボールグリッドなどによって電気的に実装し、実装基板2の内外に設けられる他の回路からの電気信号を、発光素子3に与えることができる。
【0113】
すなわち、実装基板2は、照明装置1の基本形状を形成すると共に、複数の発光素子3に電気信号を与える。実装基板2の形状や大きさは、複数の発光素子3の個数に応じてもよいし、照明装置1として使用される状態に応じてもよい。また、実装基板2は、発光素子3に加えて封止枠4を実装できるような接着面を有していることも好適である。
【0114】
(発光素子)
【0115】
次に、発光素子3について説明する。
【0116】
発光素子3は、電気信号を受けて光を発する素子である。電気信号を受けて発光する機能を有する素子であればなんでもよいが、実装や制御の容易性から、LEDが用いられるのが好適である。LEDは、付与される電気信号の電流・電圧によって、発光状態を制御でき、青色、赤色、緑色などの固有色を有することで、発光色のパターンを容易に制御できるメリットを有するからである。
【0117】
複数の発光素子3が、実装基板2に実装される。発光素子3の個数は、照明装置1の仕様に応じて適宜定められれば良く、数個から数百個(あるいは数千個)の発光素子3が実装基板2に実装される。発光素子3は、実装基板2に対して、ワイヤボンディングやボールグリッドによって実装され、実装基板2に対して(更には、実装基板2に実装されている他の電子部品に対して)電気的に接続される。この電気的な接続によって、発光素子3は、電気信号を受けて発光する。
【0118】
発光素子3は、受ける電気信号の電流値・電圧値や、信号の波形パターンに応じて発光し、発光素子3が備えている固有色に基づいた発光を行なう。これらの発光変化に基づいて、発光素子3は、種々の発光パターンを実現する。実装基板2もしくは実装基板2とは別に設けられた制御機能に基づいて、発光素子3は、色、発光レベル、発光間隔などの様々な基準に応じた発光を実現する。
【0119】
発光素子3のそれぞれは、ベアチップ状態で実装基板2に実装される。ベアチップ状態で実装されることで、発光素子3のコストや体積が削減でき、照明装置1のコストや体積を削減できる。加えて、発光素子3がベアチップ状態で実装されることで、発光素子3の発する光を、封止材5およびレンズ板6が直接受け取ることができ、余分な発光制御が不要となる。このため、発光素子3は、ベアチップ状態で実装されることが好適である。
【0120】
また、発光素子3がベアチップ状態であることで、発光素子3は、表面、裏面および側面を有することになる。裏面は、実装基板2との実装面になり、表面および側面の少なくとも一部から、光を発する。また、実装基板2に複数の発光素子3が実装されるので、発光素子3は、隣接する発光素子との間での光の反射を生じさせることもある。
【0121】
なお、発光素子3は、それぞれに固有色を有しており、加えられる電流値および電圧値に応じて発光する。固有色の同じ発光素子3がまとめられて配列されても良いし、異なる固有色毎に配列されても良い。また、複数の発光素子3のそれぞれは、並列接続されても良いし直列接続されても良い。もちろん、並列接続と直列接続とが混在した状態で、複数の発光素子3が電気的に接続されても良い。
【0122】
このように、実装基板2に複数の発光素子3がベアチップ状態で実装されることにより、複数の発光素子3は、様々な発光色、発光レベル、発光パターンを作り出せる。
【0123】
(封止枠)
次に、封止枠4について説明する。
【0124】
封止枠4は、実装基板2上において実装される複数の発光素子3の周囲を囲む。図2に示されるように、封止枠4は、実装される複数の発光素子3の周囲をぐるりと囲んでいる。封止枠4は、略円形、略楕円形を形成しつつ発光素子3の周囲を囲むことが好ましいが、方形や多角形を形成しつつ発光素子3の周囲を囲んでもよい。
【0125】
封止枠4は、照明装置1の外形を形成する。すなわち、照明装置1は、封止枠4、封止材5およびレンズ板6によって、発光素子3の集光や拡散を実行する。封止枠4は、この集光や拡散を実行する機構の基本的な外形を形成する。このため封止枠4は、複数の発光素子3の集光や拡散の仕様に応じた形状や外形を有する。
【0126】
また、封止枠4の高さおよび開口面積の少なくとも一方は、発光素子3の個数に応じて定まる。発光素子3の個数が多ければ封止枠4の外周は大きくなるので、封止枠4の開口面積は大きくなる。加えて、発光素子3の個数が多ければ発光素子3からの発光量が多くなるので、多くの光を反射させるために封止枠4の高さが高くなる。
【0127】
封止枠4には封止材5が投入されるので、封止枠4の外周は、閉鎖されていることが好ましい。封止材5は、溶融樹脂であることが多く、投入される溶融樹脂が封止枠4の外部にもれ出ることを防止するためである。このため、封止枠4は、枠材であって、この枠材が実装基板2上に設置されればよい。
【0128】
封止枠4は、樹脂、金属、合金などで形成されれば良く、実装基板2上に接着あるいは溶着される。接着においては接着剤が用いられれば良い。封止枠4は、熱伝導部材50から伝導される熱を外部に放出するので、熱伝導性の高い素材で形成されるのが好適である。
【0129】
封止枠4は、透明もしくは半透明でも良いが、発光素子3からの光を封止材5やレンズ板6に反射させるために光を反射可能なように非透明であることも好ましい。封止枠4は、封止材5を投入する際の枠となると共に発光素子3が発する光の反射部位となるからである。
【0130】
封止枠4が設置されると、この封止枠4で囲われた領域に、封止材5(溶融された樹脂など)が流し込まれる。
【0131】
(封止材)
【0132】
封止材5は、封止枠4で囲まれた領域を充填する。封止材5は、溶融された樹脂などで構成されており、溶融された樹脂が流し込まれて凝固することで、封止枠4内部に封止材5が形成される。
【0133】
例えば、封止枠4が設置された後で、溶融した樹脂が封止枠4の内部に流し込まれる。流し込みの際には、空気層や空気泡が生じないように、自動投入装置が用いられる。流し込まれた後で、温度の低下によって、溶融した樹脂は凝固し、封止枠4の外形に合わせて固体の封止材5が形成される。
【0134】
また、封止材5は、熱伝導部材50が予め設置された後で、充填されてもよい。封止材5が、封止枠4に充填される溶融樹脂である場合には、予め熱伝導部材50が設置された後で溶融樹脂が充填されれば、凝固することによって封止材5が発光素子3を封止すると共に熱伝導部材50を封止するからである。
【0135】
もちろん、熱伝導部材50を封止した状態の封止材5を封止枠4内部に充填(あるいは設置)することで、封止材5が形成されても良い。
【0136】
封止材5は単体でもしくは封止枠4およびレンズ板6と合わせて、発光素子3の光を集光したり拡散したりする。このため、封止材5は、発光素子3の光の集光や拡散をさせる基本的な部材となる。
【0137】
封止材5は、透明もしくは半透明であり、透明もしくは半透明であることで、発光素子3が発する光を透過させる。透過した光は、後述のレンズ板6の集光もしくは拡散作用によって外部に放射され、複数の発光素子3からの光が外部に放射される。封止材5は、このように発光素子3の光を透過させることによって、照明装置1が光を出力する機能を実現する。
【0138】
封止材5は、凹形状もしくは凸形状の上面(表面)を有する。複数の発光素子3からの光を集光および拡散のいずれかを行なうためである。封止材5の上面が、凹形状である場合には、封止材5は、発光素子3の光を集光する。逆に、封止材5の上面が凸形状である場合には、封止材5は、発光素子3の光を拡散する。
【0139】
あるいは、後述のレンズ板6の形状に合わせて上層面の形状が定まってもよい。レンズ板6が封止材5の上層に積層される場合には、このレンズ板6の形状によって封止材5の上面形状が定まるからである。
【0140】
レンズ板6が積層される場合には、封止材5は、レンズ板6の形状に合わせてその形状が定まる。このレンズ板6の形状と封止材5の形状とによって、照明装置1は、発光素子3の光を集光させるか拡散させるかを切り分けることができる。
【0141】
(熱伝導部材)
【0142】
次に、熱伝導部材50について説明する。
【0143】
熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられる。熱伝導部材50は、発光素子3から封止材5に伝わる熱を、封止枠4に伝導させる。封止枠4に伝導した熱は、封止枠4から外部に放出される。
【0144】
熱伝導部材50は、封止材5内部に存在する熱を封止枠4に伝導するため、封止枠4と熱的に接触する。このため、例えば熱伝導部材50の端部は、封止枠4と接触していることも好適である。
【0145】
熱伝導部材50は、発光素子3から封止材5に伝わる熱を、封止枠4に伝導させるので、熱伝導性の高い素材で形成されることが好ましい。例えば、金属、合金などである。一例として、熱伝導部材50は、銅、アルミニウム、銀、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレスなどの熱伝導率の高いあるいは防錆性(あるいは耐久性)の高い金属で形成されることが好ましい。
【0146】
また、熱伝導部材50は、封止材5の熱を封止枠4に伝導する機能を担うが、発光素子3からの光が外部に照射されるのを阻害することは不都合である。このため、熱伝導部材50は、図3に示されるように熱伝導性の素材で形成された格子形状を有することも好適である。例えば、熱伝導部材50は、金属、合金もしくは熱伝導性の高い樹脂で形成されたメッシュ形状を有することでもよい。
【0147】
熱伝導部材50が、格子形状を有することで、封止材5の熱を封止枠4に伝導できると共に発光素子3からの光を阻害することがない。発光素子3からの光は、格子形状の空き領域をもれ出て行くからである。特に、発光素子3に高い電流値や電圧値が付与されて、高い輝度で発光素子3が発光する場合には、格子形状の熱伝導部材50は、発光における阻害とはなりにくい。特に、照明装置1が信号装置、工事用照明機械および集魚灯などのように、輝度を要求するが高精細な発光や発色を要求しない機器に用いられる場合には、熱伝導部材50は、発光素子3からの光の阻害要因とはなりにくい。
【0148】
なお、熱伝導部材50が格子形状を有する場合には、発光素子3の個数、発光素子3の配列間隔に合わせた格子形状を有すればよい。例えば、格子形状における空き領域の個数や面積は、発光素子3の配列間隔に合わせることも好適である。
【0149】
また、熱伝導部材50は、方形の枠からなる格子形状以外であっても、円形、楕円形、多角形等の枠からなる格子形状を有してもよい。もちろん、封止材5の熱を伝導できると共に発光素子3からの光の照射を阻害しない形状であれば、どのような形状を有してもよい。
【0150】
熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられれば良いが、封止材5において、発光素子3と上面との間のいずれかの位置において設けられればよい。例えば、発光素子3と上面とのおよそ中間位置において、熱伝導部材50が封止材5内部において設けられればよい。
【0151】
以上のように、熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられて、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を、封止枠4に伝導する。
【0152】
(レンズ板)
【0153】
次に、レンズ板6について説明する。レンズ板6は、必要に応じて封止材5の上層に積層される。あるいは、レンズ板6は、封止材5の表面形状を形成するために、照明装置1の製造時に使用される。
【0154】
レンズ板6は、封止材5の上層に積層される。レンズ板6は、封止枠4および封止材5と合わせて、複数の発光素子3からの光を集光させたり拡散させたりする。レンズ板6の形状および構造が、発光素子3からの光を制御する。
【0155】
レンズ板6は、ガラスや樹脂などで構成される。レンズ板6は、透明もしくは半透明であって、封止材5と共に、発光素子3の光を透過させる。この光の透過の過程において、封止材5およびレンズ板6の形状によって、照明装置1は、発光素子3の光を集光もしくは拡散させて外部に出力する。
【0156】
レンズ板6は、封止枠4の外周に合わせた外周を有してもよいし、封止枠4の外周より小さい外周を有していてもよい。但し、レンズ板6は、封止枠4の外周に合わせた形状を有することで、封止材5は、封止枠4とレンズ板6とに封止されるので、照明装置1の耐久性や強度が向上するメリットがある。
【0157】
レンズ板6は、封止材5の上層に積層されるので、レンズ板6の形状によって、封止材5の形状(封止材5のレンズ板6との積層面の形状)が定まる。また、レンズ板6と封止材5とが合わさった形状によって、複数の発光素子3の光は、集光されるか拡散されるかが決まる。
【0158】
例えば、レンズ板6が凸レンズである場合には、封止材5のレンズ板6との積層面は、凹形状となる。図5は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【0159】
図5は、レンズ板6が凸レンズであって、封止材5のレンズ板6との積層面が凹形状である形態を示している。図5中の矢印は、発光素子3の光の進む向きを示している。発光素子3の光は、透明もしくは半透明である封止材5内部を直進する。直進した光は、封止材5からレンズ板6に到達する。レンズ板6は、凸レンズであるので、矢印の通り、光はレンズ板6によって集光される。集光されることで、複数の発光素子3からの光が所定領域に集められることになり、非常に高い輝度を所定領域に実現できる。
【0160】
例えば、遠くからでも光を視認しやすいことが求められる照明装置に適用される。例えば信号装置や集魚灯などに、図5に示される照明装置1は、適用される。
【0161】
また、図5では、レンズ板6は、凸レンズであって、これに合わせて封止材5の積層面は凹形状となっているが、レンズ板6は、上面のみが凸形状を有し積層面は平坦である形状でも良い。このような形状によって、照明装置1は、発光素子3の光を緩やかに集光させることができる。
【0162】
あるいは、レンズ板6は、平坦形状を有しており、封止材5の積層面も平坦形状であってもよい。この場合には、照明装置1は、発光素子3の光をほぼ直進させることができる。
【0163】
また、レンズ板6は、図6に示されるように凹レンズであって、封止材5のレンズ板6との積層面は、凸形状であってもよい。図6は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。また、図6中の矢印は、発光素子3からの光の進行方向を示している。
【0164】
レンズ板6は、凹レンズであって、この形状に合わせて封止材5のレンズ板6との積層面は凸形状となっている。図6の矢印に示されるように、発光素子3の光は封止材5を透過してレンズ板6に到達する。レンズ板6が凹レンズであるので、矢印に示されるようにレンズ板6は、発光素子3の光を拡散させる。この拡散によって、照明装置1は、発光素子3の光を広い範囲に照射することが可能となる。
【0165】
例えば、様々な角度からでも光を視認しやすいことが求められる照明装置に適用される。夜間の作業において、広い範囲を均一に明るくする必要がある機器などに適用される。
【0166】
また、封止枠4は、封止材5を進む光の進行方向を調整する機能を有しているので、封止枠4とレンズ板6との形状の組み合わせによっても、発光素子3の光の進行方向は調整される。
【0167】
レンズ板6は、封止枠4および封止材5と共に、発光素子3の光を透過させつつ、集光もしくは拡散させる。また、封止材5は、本来的にはベアチップ状態で実装される発光素子3を保護する機能を有しており、レンズ板6との積層によって、保護に加えて光の照射方向を制御する機能を有する。このように、封止材5およびレンズ板6は、複数の機能を少ない部材で実現できる。結果として、照明装置1の製造工程が簡略化されて、製造コストも低減できる。
【0168】
以上のように、照明装置1は、発光素子3の光を集光させたり拡散させたりしつつ、外部に多くの光を照射させる。
【0169】
加えて、複数の発光素子3が一つの封止枠4および封止材5で封止されているので、耐久性に優れると共にばらつきがなく、高い電流値や高い電圧値を、発光素子3に付与できる。この結果、発光素子3は、高い輝度で発光できる。
【0170】
(製造工程)
次に、照明装置1の製造工程を説明する。
【0171】
図7は、本発明の実施の形態1における照明装置の製造工程図である。
【0172】
図7は、上から順に各工程を示している。なお、図7は、レンズ板6を積層する場合を示しているが、レンズ板6を積層しない場合には、最終工程を省略して把握すればよい。あるいは、レンズ板6を封止材5に押し当てた後で、レンズ板6を取り外して、封止材5の表面形状を成型する工程が追加されても良い。
【0173】
まず、実装基板2が設置される。
【0174】
次いで、実装基板2に、ベアチップ状態である複数の発光素子3が実装される。実装においては、ワイヤボンディングなどで、発光素子3に電気的な接続が実現される。複数の発光素子3の個数や種類は、照明装置1の仕様に応じて定められる。
【0175】
更に、実装された複数の発光素子3の周囲を囲むように、封止枠4が実装される。封止枠4は、接着や溶着によって、実装基板2に設置される。
【0176】
次に、封止枠4内部に熱伝導部材50が設置される。
【0177】
熱伝導部材50は、発光素子3より上であって、封止材5によって覆われる程度の高さに設置されることが適当である。封止枠4は、予め熱伝導部材50を設置する位置に切り込みを有しており、熱伝導部材50は、この切り込みに合わせて設置されることでもよい。こうすると、熱伝導部材50の設置が確実になるだけでなく、熱伝導部材50が封止枠4と熱的に接触できるからである。
【0178】
次いで、封止枠4の内部に溶融した樹脂などが充填される。溶融した樹脂は、封止材5として、ベアチップ状態である発光素子3を保護し、熱伝導部材50を封止する。封止材5は、透明もしくは半透明の素材で形成され、固化することで、発光素子3の光を透過させつつ外部に照射させることができる。
【0179】
封止材5が充填されると、封止材5は、発光素子3と熱伝導部材50とを合わせて封止する。
【0180】
更に、封止材5の上層にレンズ板6が積層される。レンズ板6が積層されることで、封止材5の表面形状が定まる。更には、レンズ板6と封止材5との積層によって、照明装置1は、発光素子3の光を外部に出力できる。更に、封止材5とレンズ板6の形状および積層構造に基づいて、照明装置1は、発光素子3の光を集光もしくは拡散できる。
【0181】
このように、照明装置1は、それぞれの部材が順次組み合わされることで、製造される。
【0182】
以上のように、実施の形態1の照明装置1は、複数の発光素子3を封止する要素だけで複数の発光素子の発光を一括して制御する。合わせて、照明装置1は、発光素子3の発光面や側面からの熱であって封止材5に伝わる熱を、封止枠4に効率的に伝導させて外部に放出できる。このように照明装置1は、熱伝導部材50によって発光素子3(および照明装置1そのもの)の発熱を制御できるので、発光素子3には高い電流値や電圧値を与えることができ、照明装置1は、高い輝度で光を照射できる。
(実施の形態2)
【0183】
次に、実施の形態2について説明する。
【0184】
実施の形態2では、封止材5およびレンズ板6の形態によって、発光素子3からの光を更に細かく制御する照明装置を説明する。
【0185】
(封止材とレンズ板との積層面に空隙が存在する態様)
【0186】
図8は、本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。図1と同じ符号を付しているものは、実施の形態1で説明した場合と同様の構成や機能を有する。
【0187】
図8においては、照明装置1は、封止材5とレンズ板6との積層面に空隙10を有する。空隙10は、封止材5とレンズ板6との積層の段階において形成されても良いし、封止材5が予め隙間となるような形状を有していることで形成されても良い。
【0188】
封止材5とレンズ板6との積層面が、空隙10を備えていることで、発光素子3からの光は、この空隙10において乱反射する。この乱反射によって、照明装置1は、発光素子3からの光をより拡散できるようになる。
【0189】
照明装置1は、信号装置や集魚灯に好適に用いられる。信号装置や集魚灯は、広い角度に渡って出力することが望まれる。空隙10において、発光素子3からの光が乱反射することで、レンズ板6を透過して出力される光は、より広い範囲にわたって拡散されることになる。この結果、照明装置1から出力される光は、広い範囲を照らすことができる。
【0190】
また、空隙10において発光素子3からの光が乱反射することで、照明装置1は、艶やかな光を発することができる。特に、空隙10の形状によって、発光素子3からの光の乱反射が様々に制御されることになり、照明装置1は、様々な発光を実現できる。
【0191】
このような空隙10が封止材5とレンズ板6との間に設けられると、熱伝導性の悪い空気層が、封止材5とレンズ板6との間に形成されることになる。このため、封止材5からレンズ板6へ熱が伝導しにくくなるので、発光素子3の発光面や側面からの熱が、封止材5内部に留まりやすくなってしまう。
【0192】
このような場合にも、熱伝導部材50が封止材5の内部に設けられることで、熱伝導部材50が封止材5内部に蓄積される熱を受け取って、封止枠4に伝導させることができる。
【0193】
なお、空隙10は、空気層となってもよいが、封止材5と異なる素材の充填材が充填されても良い。例えば、封止材5と屈折率や透過率の異なる充填材が充填されることで、発光素子3からの光は、封止材5、充填材、レンズ板6の順序で透過する。この際に、それぞれで異なる屈折率や透過率に応じて光の進行方向が定められることで、照明装置1は、更に種々の発光を実現できる。
【0194】
(封止材とレンズ板との透過率)
【0195】
また、封止材5とレンズ板6との透過率および屈折率の少なくとも一方が異なる照明装置1も好適である。
【0196】
封止枠4の内部に封止材5およびレンズ板6が積層される場合には、発光素子3の光は、封止材5を透過して次いでレンズ板6を透過する。すなわち、発光素子3の光は、2つの部材を連続して透過することになる。
【0197】
このため、発光素子3からの光は、封止材5およびレンズ板6の透過率や屈折率に従って、外部に出力することになる。言い換えると、照明装置1は、封止材5およびレンズ板6の透過率や屈折率に基づいて、外部に光を照射する。
【0198】
このとき、封止材5とレンズ板6のそれぞれの透過率および屈折率の少なくとも一方が異なる場合には、発光素子3の光の集光や拡散にバリエーションが広がる。
【0199】
このバリエーションの広がりによって、照明装置1は、均一に光を拡散したり、不均一に光を拡散したりできる。あるいは、このバリエーションの広がりによって、照明装置1は、光を特定の領域に集光したり、集光と拡散とをバランスよく行なったりすることもできる。
【0200】
照明装置1は、信号装置や集魚灯に最適に用いられるので、信号装置や集魚灯に必要となる仕様に対応した発光を実現できることが好ましい。発光素子3からの光の進行方向は、封止材5とレンズ板6との形状によって定まるが、それぞれの透過率や屈折率が異なることによっても定まる。すなわち、封止材5とレンズ板6の透過率や屈折率のアンバランスを調整することで、発光素子3からの光の進行方向は、様々に調整される。
【0201】
(封止枠に基づく反射)
【0202】
封止枠4の側面が、レンズ板6から実装基板2側にかけて傾斜する傾斜面11を備えることも好適である。図9は、本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。図9では、封止枠4は、傾斜面11を有している。
【0203】
封止枠4は、複数の発光素子3の周囲を囲んで設置される。このため、封止枠4の内側には、複数の発光素子3が並ぶことになる。このため、発光素子3からの光の一部は、封止枠4に衝突する。
【0204】
このとき、封止枠4が実装基板2に対して略垂直である場合には、発光素子3からの光は、衝突しても封止材5内部に反射される。このため、発光素子3の光の一部が照明装置1の外部に出力できないことになる。照明装置1が十分な発光量を確保する必要がある場合には、発光素子3の光の一部が照明装置1内部に留まることはデメリットである。
【0205】
これに対して、封止枠4が傾斜面11を有する場合には、図9中の矢印12のように、発光素子3からの光が傾斜面11で反射しつつレンズ板6を通じて外部に出力する。すなわち、発光素子3からの光が傾斜面11での反射を利用して、照明装置1の外部に出力できる。
【0206】
複数の発光素子3は、配置される位置によっては、発する光の大半は、封止材5およびレンズ板6を直接透過して外部に出力する。一方、複数の発光素子3の内、封止枠4に近接して配置される発光素子3の光は、その一部が封止枠4に衝突する。傾斜面11は、この衝突する光を、照明装置1の外部に出力できる。
【0207】
また、発光素子3の光は、隣接する発光素子3において反射する可能性もある。この他の発光素子3によって反射した光も、封止枠4に衝突する可能性がある。このようにして封止枠4に衝突した光も、傾斜面11によって、封止材5内部ではなく、封止材5やレンズ板6を透過して外部に出力されるようになる。
【0208】
封止枠4が備える傾斜面11によって、複数の発光素子3からの光の大半が、照明装置1の外部に出力されるようになる。結果として、照明装置1は、複数の発光素子3が発することのできる発光能力を、十分に活用して光を照射できる。照明装置1は、高い輝度での照射を実現できる。
【0209】
また、複数の発光素子3のそれぞれが発する光は、隣接する発光素子3の側面において反射して、照明装置1の外部に出力する。
【0210】
図9における矢印13は、隣接する発光素子3の側面において反射する発光素子3からの光である。隣接する発光素子3の側面が、隣接する発光素子3からの光を反射させることで、発光素子3からの光の大半が、照明装置1の外部に出力できるようになる。この場合にも、照明装置1は、複数の発光素子3が発光できる発光能力を最大限活用した光の照射を実現できる。
【0211】
なお、複数の発光素子3は、隣接する発光素子3からの光をその側面において反射させることができるような距離間隔で配置されることが好ましい。例えば、隣接する発光素子3同士の間隔は、発光素子3のサイズ以下となるようにするなどである。
【0212】
以上のように、実施の形態2における照明装置1は、複数の発光素子3の発光能力を最大限に活用して、外部に高い輝度の光を照射できる。
【0213】
(実施の形態3)
【0214】
次に、実施の形態3に付いて説明する。
【0215】
実施の形態3では、封止枠4が、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を放出する放熱機構を備える場合を説明する。この放熱機構は、熱伝導部材50から封止枠4に伝導した熱を、外部に効率よく放出できる。
【0216】
封止枠4は、熱伝導性の高い素材で形成されているので、封止枠4はそれ自体が伝導された熱を外部に放出できる。しかしながら、封止枠4が複数の発光素子3の周囲を囲む形状のみを有している場合では、封止枠4は、熱を十分に放出できないこともある。放熱機構は、封止枠4の放熱を促進させる。
【0217】
発光素子3に、電流や電圧が加えられることによって、発光素子3が発光する。照明装置1は、高い輝度を必要とする信号装置や集魚灯に好適に用いられる。このため、発光素子3には、高い電流値や電圧値が付与される。高い電流値や電圧値によって、発光素子3の輝度が高まるからである。
【0218】
このように、発光素子3に高い電流値や電圧値が加わる場合には、発光素子3は、高い熱を生じさせる。発光素子3は、付与された電流値や電圧値の一部を熱エネルギーに変えるからである。この熱エネルギーによって、発光素子3は、高い熱を生じさせる。
【0219】
照明装置1は、発光素子3を封止する封止材5を備え、発光素子3が発する熱の一部は、発光素子3の発光面や側面から封止材5に伝導する。すなわち、発光素子3および封止材5は、熱を有することになる。この熱が高くなりすぎると、発光素子3の実装に悪影響が生じたり、照明装置1に悪影響が生じたりする。たとえば、発光素子3の実装が外れたり、発光素子3そのものが故障したりする。
【0220】
この発光素子3の発光面や側面からの熱は、封止材5に伝導する。封止材5は、熱伝導部材50を備えており、この熱伝導部材50は、封止材5内部の熱(発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱)を受け取る。更に、熱伝導部材50は、受け取った熱を封止枠4に伝導する。
【0221】
封止枠4の放熱機構は、封止枠4に伝導された熱を効率的に外部に放出する。この結果、照明装置1の故障や劣化を未然に防止できるようになる。
【0222】
放熱機構は、種々の形態を有することが考えられるが、一例を図10に示す。
【0223】
図10は、本発明の実施の形態3における照明装置の側面図である。
【0224】
図10に示されるとおり、封止枠4は、その側面および表面の少なくとも一部に、放熱フィン20、21を備える。また、熱伝導部材50が封止枠4と熱的に接触しており、熱伝導部材50が封止材5内部の熱(すなわち発光素子3の発光面や側面からの熱)を、封止枠4に伝導させる。放熱フィン20、21は、この熱伝導部材50から封止枠4に伝導した熱を、外部に放出する。
【0225】
放熱フィン20は、封止枠4の側面から突出しており、放熱フィン21は、封止枠4の表面から突出している。なお、図10では、放熱フィン20および放熱フィン21が表示されているが、実際の照明装置1は、放熱フィン20および放熱フィン21のいずれか一方だけを備えても良いし、両方を備えても良い。また、放熱フィン20は、封止枠4の側面の少なくとも一部から突出しても良い。
【0226】
図11は、図10に示される照明装置1を正面から見た状態を示す。図11は、本発明の実施の形態3における照明装置の正面図である。放熱フィン20は、図11に示されるように、封止枠4の両サイドから突出してもよい。このような形状により、実装基板2の大きさや形状を小さくできるメリットがある。もちろん、封止枠4の側面の全体に渡って放熱フィン20が設けられても良い。
【0227】
放熱フィン20は、熱伝導部材50から封止枠4に伝導した熱を外部に放出する。封止枠4は、封止材5の外周を覆っており、熱伝導部材50は、格子形状を有することで、封止枠4の内周の多くの位置において、封止枠4と熱的に接触できる。このため、熱伝導部材50は、封止材5から受け取った発光素子3の熱を、広い範囲にわたって封止枠4に伝導できる。
【0228】
この結果、封止枠4と放熱フィン20、21は、効率的に外部に熱を放出できる。封止枠4への熱伝導に偏りが少ないからである。特に、封止枠4の側面に、熱伝導部材50からの熱が到達しやすいので、封止枠4の側面から突出する放熱フィン20が、外部に熱を放出しやすい。
【0229】
放熱フィン20は、その表面積が大きいことによって、その表面から外部に熱を伝えることで熱を放出できる。加えて、放熱フィン20の柱状部材同士の間において熱の対流を生じさせることで、外部に熱を放出できる。放熱フィン20は、このように伝導や対流によって、外部に熱を放出できる。また、必要に応じて、放熱フィン20に風を送る送風ファンを更に備えることで、放熱フィン20による放熱能力が更に高まる。
【0230】
このため、放熱フィン20は、棒状部材であってもよいし板状部材であっても良いし、これらの部材が混在した状態でも良い。
【0231】
放熱フィン21は、封止枠4の表面から突出する。
【0232】
放熱フィン21は、封止枠4から突出することで、封止枠4の表面に到達する熱を放出すると共に、封止枠4の側面から表面に伝導する熱を放出する。封止枠4は、複数の発光素子3の周囲を囲むので、封止枠4の側面に伝導する熱量が大きい。このため、側面から突出する放熱フィン20による放熱効果が高いが、表面から突出する放熱フィン21は、放熱フィンを形成する部材同士の間で生じさせる対流を生じさせやすい。
【0233】
この対流によって、放熱フィン21は、熱伝導部材50から伝導される熱を、効率的に放出できる。
【0234】
このように、封止枠4の側面より突出する放熱フィン20と封止枠4の表面より突出する放熱フィン21とが組み合わさって設けられることで、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱が、効率的に放出される。放熱フィン21は、棒状部材であってもよいし板状部材であってもよい。
【0235】
また、放熱フィン20および放熱フィン21の少なくとも一部は、封止枠4と一体で形成されても良い。一体で形成されることで、封止枠4から放熱フィン20、21への熱伝導の際の熱抵抗が小さくなり、放熱フィン20、21による熱の放出効率が高まるからである。
【0236】
もちろん、放熱フィン20および放熱フィン21の少なくとも一部は、封止枠4と別体で形成されても良い。製造コストが低減するからである。
【0237】
以上のように、封止枠4は、放熱フィン20、放熱フィン21などの放熱機構を備えることで、熱伝導部材50から伝導する熱を放出できる。この結果、発光素子3や照明装置1そのものでの発熱の問題が解消されて、照明装置1は、その発光素子3に高い電流値や電圧値を加えることができ、より高い輝度の照射を実現できる。
【0238】
このような照明装置1は、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械および集魚灯に最適に適用される。
【0239】
なお、放熱フィン20、21は、放熱機構の一例であるが、放熱フィン以外でも、放熱機構は、液冷機構や強制空冷機構などを含む。
【0240】
(実施の形態4)
【0241】
次に、図12を用いて実施の形態4について説明する。
【0242】
実施の形態4では、実施の形態1〜3で説明した照明装置1と、照明装置1を格納する筐体32と、照明装置1に電力を供給する電力供給部31と、を備える信号装置30について説明する。
【0243】
図12は、本発明の実施の形態4における信号装置30のブロック図である。図12は、筐体32に照明装置1が格納されている状態を模式的に表している。
【0244】
照明装置1は、筐体32に格納されると共に、電力供給部31より電力の供給を受ける。電力供給部31は、バッテリーや蓄電池などの電力を供給できる機能に合わせて、発光素子3に対して所定の電流値や電圧値を与える制御機能を有している。この電力供給部31からの電力を受けて、発光素子3は光を発し、照明装置1は、封止枠4、封止材5およびレンズ板6によって、外部に光を照射する。もちろん、レンズ板6を用いない場合には、照明装置1は、封止枠4および封止材5によって、発光素子3の光を外部に照射する。
【0245】
また、熱伝導部材50が封止材5内部に設けられ、発光素子3の発光面や側面から封止材5に伝わる熱を受け取って、封止枠4に伝導させる。
【0246】
発光素子3は、電力供給部31より与えられる電力の変化パターンに応じた発光パターンで発光可能である。このような電力供給部31による制御によって、照明装置1は、様々な発光パターンで光を外部に照射できる。また、照明装置1は、実施の形態1〜3で説明したように、低コストで製造されるので、信号装置30のコストも低減できる。特に、複数の発光素子3の封止と集光などの制御が一体的に行なわれるので、発光素子3ごとのばらつきが少なくなり、照明装置1全体での発光が最適に制御される。
【0247】
加えて、熱伝導部材50を通じて、発光素子3の発光面や側面からの熱が外部へ放出されるので、発熱が抑制される。加えて、封止枠4が備える放熱機構が、外部への放熱を更に促進する。この結果、発光素子3には高い電流値や電圧値を与えることができるので、照明装置1は、高い輝度で光を照射できる。
【0248】
照明装置1全体での発光が一体的に制御できることで、信号装置30は、最適な発光パターンを形成できる。当然ながら、高い輝度で発光できるので、信号装置30は、様々な用途に適用される。
【0249】
以上、実施の形態1〜4で説明された照明装置および信号装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0250】
1 照明装置
2 実装基板
3 発光素子
4 封止枠
5 封止材
6 レンズ板
10 空隙
11 傾斜
12、13 矢印
20、21 放熱フィン
30 信号装置
31 電力供給部
32 筐体
50 熱伝導部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアチップ状態のLED(Light Emitting Diode)を始めとする発光素子を実装するのに必要な封止枠や封止材を利用しつつ、発光素子から生じる熱を放出できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光灯や白熱電球に代わる新しい光源としてLEDを始めとする発光素子が照明装置に用いられることが多くなっている。LEDを始めとする半導体を利用した発光素子は、小型であること、消費電力が小さいことおよび発光色や発光パターンを容易に制御できること、などのメリットを提供できる。
【0003】
従来においては、単数のLEDであってパッケージに封止されたLEDが、樹脂等で外形を施されて発光を制御することが行なわれている(例えば特許文献1参照)。加えて、液晶画面のバックライトに用いるLEDを、液晶画面に集光させる技術を開示する文献もある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方で、様々な発光色や発光パターンを容易に生成するためには、複数のLEDをまとめて実装するほうが都合がよい。単数のLEDを個々に封止した発光ユニットを配列する場合には、個々のLEDの封止状態のばらつきによって、制御側が想定する通りの発光パターンや発光色が得られないデメリットがあるからである。
【0005】
近年では、多くのLEDを配列し、コンピュータープログラムによって複雑な発光色や発光パターンを制御することが行なわれており、個別にパッケージ化されて封止されたLEDを配列する場合には、封止ばらつきによる悪影響が生じる。これらは、特に、信号装置などの分野で顕著である。
【0006】
このため、複数のLEDを実装し、実装された複数のLEDをまとめて封止することおよび封止した複数のLEDの発光を制御することが求められていた。特に、実装コストおよび封止コストを低減するために、複数のLEDを封止すると共にLEDの光を制御することを同時に実現することが求められていた。
【0007】
このような状況下において、複数の発光素子を実装する技術が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。また、発光素子を実装しつつ発光素子からの熱を排出する技術も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−88098号公報
【特許文献2】特開2006−100575公報
【特許文献3】特開平11−162232号公報
【特許文献4】特開2007−227679号公報
【特許文献5】特開2005−311170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2は、単数のLEDを封止する技術を開示する。特許文献1は、単数のLEDを砲弾型のケースによって封止する技術を開示する。砲弾型のケースを樹脂やレンズを用いて構成する技術を開示するが、砲弾型ケースは単数のLEDにしか適用できず、複数のLEDの封止を行なうことは困難である。
【0010】
また、特許文献2は、単数のLEDの前方に凹レンズを設けて、LEDからの光を液晶画面に集光させる技術を開示する。この技術も、複数のLEDを封止しつつ集光を制御することに適用することは困難である。
【0011】
特許文献3は、複数のベアチップ状態であるLEDを実装し、実装されたLEDに樹脂の封止材とマイクロレンズを形成する技術を開示する。特許文献1は、樹脂による封止材で複数のLEDを実装するとの解決と、複数のLED素子のそれぞれに対応する位置に配置されるレンズ群(レンズ群がマイクロレンズとなる)を配置することで、個々のLEDの発光を外部に導くという解決を図っている。
【0012】
しかしながら、マイクロレンズの個々のレンズが複数のLEDのそれぞれのLEDに対応して光を制御するため、制御のばらつきが生じる問題がある。信号や集魚灯などのように、複数のLED全体に基づく発光色や発光パターンを生成する必要性に対しては、個々のレンズのばらつきが悪影響を及ぼす問題がある。
【0013】
加えて、マイクロレンズを用いることでコストが上昇する問題がある。
【0014】
特許文献3は、LEDを封止する機構と光を制御する機構とを別々に捉えており、光の制御のばらつきやコスト上昇といった問題に対処できない。
【0015】
特許文献4は、複数のLEDを封止する大型のレンズ板を基礎に、レンズ板の内部においてLEDと接触する部分に樹脂を充填して、この樹脂がLEDを保護する構成を開示する。
【0016】
しかしながら、特許文献4の技術は、レンズ板を基準にして複数のLEDを封止するので、LEDの発光制御がレンズ板の精度に依存する問題がある。加えて、LEDの封止もレンズ板の大きさや耐久性に依存する問題があり、多くのLEDをまとめて封止しつつ発光を制御することには適していない問題がある。
【0017】
特許文献5は、発光素子を封止する樹脂内部に金属メッシュを配置して、発光素子の熱を排出する技術を開示する。
【0018】
しかしながら、他の特許文献と同様に、発光素子を封止する機構と光を制御する機構とが別々であって、光の制御がばらつく問題を有している。加えて、金属メッシュが発光素子からの熱を外部に排出する機構を有しておらず、排熱は不十分である問題がある。加えて、封止枠に金属メッシュから熱を伝えても、その熱を排出する必要があるが、特許文献5は、これらの機構を開示していない。仮に封止枠の表面から排熱する場合には、封止枠が大型化して、発光素子の発行制御に悪影響を与えるなどの問題も生じる。
【0019】
以上のように、従来技術の照明装置は、複数のLEDを封止する機構と光を制御する機構とを別々に構成しており、光の制御がばらついたりコストが上昇したりする問題を有している。特に、信号装置や集魚灯などのように複数のLED全体で照明を制御する場合には、複数のLEDをまとめて封止しつつ複数のLEDの発光をばらつきなく制御することが求められる。従来技術は、このような要請に対応できない問題がある。
【0020】
また、複数のLEDを封止して照明装置とする場合には、信号装置、工事用照明機械や集魚灯などのように、高い輝度を必要とする装置に適用されることが求められる。
【0021】
このように照明装置が高い輝度を持つ光を発する場合には、そのLEDの個数の多さと相まって、非常な高熱を発する。LEDは、実装されている実装基板と封止している封止材との両方に熱を伝える。この内、実装基板に伝導される熱は、熱伝導を可能とする実装基板が放出できる。実装基板は、その素材や構造上、熱を放出することが可能だからである。
【0022】
一方で、LEDが発光面である封止材側に伝える熱は、放出されるのが困難である。封止材は、LEDを封止する構造やその素材(樹脂であることが多い)の特性上、熱を放出することが難しいからである。
【0023】
以上のように、従来技術の照明装置は、複数のLEDをまとめて封止しつつ発光をばらつきなく制御できないだけでなく、複数のLEDが発する熱を放出できない問題があった。熱を放出できない場合には、高い輝度でLEDを発光させることが困難であり、LEDを用いた照明装置の用途が限られる問題があった。
【0024】
本発明は、以上の課題に鑑み、信号装置や集魚灯などに最適であって、実装コストを下げつつ複数のLEDの最適な発光制御を実現すると共に高い輝度で発光しても発光素子の熱を放出できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の照明装置は、実装基板と、実装基板にベアチップ状態で実装される複数の発光素子と、実装基板上に設けられ、複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、封止枠内部に充填され、発光素子と接触しつつ発光素子を封止する封止材と、封止材内部に設けられ、発光素子および封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を備え、封止材は、透明もしくは半透明であると共にその上面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有し、封止材は、発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行ない、熱伝導部材は、封止枠に熱を伝導する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の照明装置は、封止枠、封止材およびレンズ板によって、ベアチップ状態である発光素子を封止することと発光素子からの光を制御することとを両立させることができる。この結果、発光素子の実装コストを低減できる。封止に必要な要素と発光制御に必要な要素とを兼用したことによって、封止と発光制御を両立させつつコスト削減も実現できる。特に、実装工程が簡略化されるので、実装コスト削減が更に進む。
【0027】
また、本発明の照明装置は、封止枠、封止材およびレンズ板によって、複数の発光素子の光を一体的に制御できるので、発光状態のばらつきを生じさせず、信号装置や集魚灯などに最適に適用できる。
【0028】
また、封止材が備える熱伝導部材が、発光素子の発光面等から封止材に伝導する熱を外部に伝導して放出できる。
【0029】
加えて、複数の発光素子をまとめて封止することによって生じうる発熱を、封止枠を通じて外部に放出できる。この結果、発光素子に対して高い電力を付与できるので、本発明の照明装置は高い輝度の光を用いることができる。
【0030】
特に、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械や集魚灯に最適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における照明装置の発熱制御を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における照明装置の製造工程図である。
【図8】本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。
【図10】本発明の実施の形態3における照明装置の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態3における照明装置の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態4における信号装置30のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の発明に係る照明装置は、実装基板と、実装基板にベアチップ状態で実装される複数の発光素子と、実装基板上に設けられ、複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、封止枠内部に充填され、発光素子と接触しつつ発光素子を封止する封止材と、封止材内部に設けられ、発光素子および封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を備え、封止材は、透明もしくは半透明であると共にその上面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有し、封止材は、発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行ない、熱伝導部材は、封止枠に熱を伝導する。
【0033】
この構成により、照明装置は、複数の発光素子を一つの封止枠および封止材で一体的に封止すると共に、封止枠および封止材によって、複数の発光素子からの光を集光もしくは拡散できる。このため、製造コストが下がると共にばらつきがなくなって、高い輝度の光を得ることができる。また、熱伝導部材が、発光素子から封止材に伝わる熱を、封止枠に伝導させて外部に放出できる。この結果、発光素子は高い輝度で発光できる。
【0034】
本発明の第2の発明に係る照明装置では、第1の発明に加えて、封止材の上層に積層されるレンズ板を更に備え、封止材およびレンズ板は、透明もしくは半透明であって、封止材およびレンズ板の積層は、発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。
【0035】
この構成により、照明装置は、レンズ板と封止材とによって、発光素子からの光を集光したり拡散したりできる。
【0036】
本発明の第3の発明に係る照明装置では、第1又は第2の発明に加えて、封止枠の高さおよび面積の少なくとも一方は、発光素子の個数に応じて定まる。
【0037】
この構成により、封止枠および封止材は、発光素子からの光を最適に外部に照射できる。
【0038】
本発明の第4の発明に係る照明装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、レンズ板が凸レンズであって、封止材のレンズ板との積層面は凹形状である。
【0039】
この構成により、照明装置は、複数の発光素子の光を集光しつつ外部に照射できる。
【0040】
本発明の第5の発明に係る照明装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、レンズ板が凹レンズであって、封止材のレンズ板との積層面は、凸形状である。
【0041】
この構成により、照明装置は、複数の発光素子の光を拡散しつつ外部に照射できる。
【0042】
本発明の第6の発明に係る照明装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、封止材とレンズ板との積層面は、空隙を有する封止材とレンズ板との積層面は、空隙を有する。
【0043】
この構成により、照明装置は、発光素子の光を乱反射させて、より様々な発光パターンを形成できる。また、照明装置は、発光素子の光を均一に外部に照射できる。
【0044】
本発明の第7の発明に係る照明装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、封止材とレンズ板のそれぞれの透過率および屈折率の少なくとも一部が異なる。
【0045】
この構成により、照明装置は、発光素子の光を乱反射させて、より様々な発光パターンを形成できる。また、照明装置は、発光素子の光を均一に外部に照射できる。
【0046】
本発明の第8の発明に係る照明装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、封止枠の側面は、レンズ板側から実装基板側にかけて傾斜する傾斜面を有し、傾斜面は、発光素子の光を反射する。
【0047】
この構成により、照明装置は、傾斜面を利用して発光素子からの光を外部に反射させて、発光素子の発する光の大半を効率的に外部への照射に用いることができる。
【0048】
本発明の第9の発明に係る照明装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、複数の発光素子のそれぞれの光は、隣接する発光素子の側面で反射する。
【0049】
この構成により、照明装置は、隣接する発光素子での反射を利用して、発光素子が発する光の大半を、効率的に外部へ照射できる。
【0050】
本発明の第10の発明に係る照明装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、熱伝導部材は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有する。
【0051】
この構成により、熱伝導部材は、封止材内部の熱を、効率よく封止枠に伝導できる。
【0052】
本発明の第11の発明に係る照明装置では、第10の発明に加えて、熱伝導部材は、金属もしくは合金製のメッシュ形状を有する。
【0053】
この構成により、熱伝導部材は、封止材内部の熱を効率よく封止枠に伝導できると共に、発光素子からの光の照射を妨げない。
【0054】
本発明の第12の発明に係る照明装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、熱伝導部材は、封止枠に熱的に接触する。
【0055】
この構成により、熱伝導部材は、封止枠に熱を伝導できる。
【0056】
本発明の第13の発明に係る照明装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、封止枠は、熱伝導部材からの熱を放出する放熱機構を更に備える。
【0057】
この構成により、照明装置は、熱伝導部材から伝わる熱を、効率的に外部に放出できる。結果として、発光素子に付与できる電流値や電圧値を上げることができ、発光素子が発する光の輝度を増加させることができる。
【0058】
本発明の第14の発明に係る照明装置では、第13の発明に加えて、放熱機構は、封止枠の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィンを含む。
【0059】
この構成により、照明装置は、発光素子や封止材の熱を、効率的に外部に放出できる。
【0060】
本発明の第15の発明に係る照明装置では、第14の発明に加えて、放熱フィンは、封止枠と一体で形成されている。
【0061】
この構成により、放熱フィンと封止枠との間の熱抵抗が小さくなり、放熱フィンは、効率よく熱を放出できる。
【0062】
本発明の第16の発明に係る照明装置では、第13から第15のいずれかの発明に加えて、熱伝導部材および放熱機構は、発光素子が発光面において発する熱を、外部に放出する。
【0063】
この構成により、照明装置は、発光素子の発熱を抑制できる。結果として、高い輝度での光の照射を可能とする。
【0064】
(実施の形態1)
【0065】
実施の形態1について説明する。
【0066】
(全体概要)
【0067】
まず、図1を用いて、実施の形態1における照明装置の全体概要を説明する。
【0068】
図1は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。図1は、照明装置を側面から見た状態を示しており、封止枠や封止材の内部に存在する発光素子を可視状態にして示している。また、図2は、照明装置を上から見た状態を示しており、封止枠や封止材の内部に存在する発光素子を可視状態にして示している。
【0069】
照明装置1は、実装基板2と、実装基板2にベアチップ状態で実装される複数の発光素子3と、複数の発光素子3の周囲を囲む封止枠4と、封止枠4内部で発光素子3と接触しつつ発光素子3を封止する封止材5と、封止材5内部に設けられた熱伝導部材50、を備える。
【0070】
また、封止材5は、透明もしくは半透明であって、封止材5の表面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有する。この構成によって、封止材5は、発光素子3の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。この構成によって、照明装置1は、発光素子を封止する部材を活用して、ベアチップ状態で実装された複数の発光素子3が発する光を、適切に外部に照射できる。
【0071】
また、封止材5内部に熱伝導部材50が備えられている。熱伝導部材50は、封止材5内部に封止されている状態である。例えば、封止材5を形成する溶融樹脂が封止枠4内部に充填される際に、予め熱伝導部材50が設置されて、熱伝導部材50がそのまま封止材5内部で封止されることで、熱伝導部材50が封止材5内部に設けられれば良い。
【0072】
熱伝導部材50は、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を、封止枠4に伝導する。この結果、熱伝導部材50は、発光素子3からの熱およびこの発光素子3からの熱を蓄積している封止材5からの熱を、外部に放出できる。
【0073】
結果として、照明装置1は、その発熱を抑えることができるので、発光素子3に対して高い電流値や電圧値を与えることができるようになり、高い輝度で外部を照射できる。
【0074】
(照明装置の発光)
【0075】
発光素子3の発光と照明装置1による光の照射について説明する。
【0076】
複数の発光素子3は、実装基板2にワイヤボンディングやボールグリッドによって実装されている。この実装によって、発光素子3には、電力が供給される。この供給される電力によって、発光素子3は、発光する。また、複数の発光素子3のそれぞれは、青色、赤色、緑色などの固有色を有している。それぞれの固有色を有する発光素子3に電力が供給されることで、複数の発光素子3は、青色、赤色、緑色、混合色の光を発する。
【0077】
複数の発光素子3の周囲には封止枠4が設けられており、この封止枠4内部には樹脂などを素材とする封止材5が投入される。封止材5は、複数の発光素子3の表面や側面と接触した上で、複数の発光素子3を封止する。この封止によって、封止材5は、発光素子3を保護する。また、封止枠4が設置された上で、封止材5が投入されるので、封止材5は、封止枠4の形状、大きさに応じた形状や大きさを有する。
【0078】
封止材5の表面(上面)は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有することで、複数の発光素子3からの光を集光および拡散の少なくとも一方を行ないながら、外部に発する。すなわち、封止材5は、発光素子3の発光制御機能を発揮して、発光素子3からの光を外部に照射する。
【0079】
封止枠4、封止材5は、ベアチップ状態である発光素子3を外部露出から保護するための封止機能を持っており、本来的には、この封止機能が封止枠4などの役割である。しかし、封止枠4や封止材5は、封止機能に加えて、封止枠4、封止材5は、複数の発光素子3が発する光の集光や拡散を制御する機能を備える。
【0080】
すなわち、余分な部材を追加することなく、封止と発光を実現できるので、照明装置1は、余分なコストを必要としない。加えて、照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて封止した上で発光を制御できるので、発光素子3毎に発光や封止のばらつきが生じない。加えて、封止と発光制御とが同時に同一の部材で実現できるので、封止と発光制御とがアンバランスになることが無くなり、発光のばらつきも防止される。特に、複数の発光素子3をまとめて封止することがそのまま発光制御につながるので、照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて発光させた上で集光や拡散を実現できる。
【0081】
また、照明装置1は、封止材5の上にレンズ板6を積層する構成を有してもよい。レンズ板6を有することで、封止材5とレンズ板6とが、より確実に複数の発光素子3からの光を集光したり拡散したりできるようになる。結果として、照明装置1は、複数の発光素子3による外部への照射をより確実に制御できる。
【0082】
図2は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。図2は、封止材5の上にレンズ板6が積層されている構成を示している。
【0083】
図2に示されるようにレンズ板6は、封止材5の上に積層される。レンズ板6は、凸レンズや凹レンズ形状を有しており、封止材5の積層面において、レンズ板6のカーブに応じた形状で積層される。封止材5は、封止枠4に投入される際には、溶融樹脂などであるので、レンズ板6の形状に応じて、封止材5の積層面の形状が容易に対応できる。この結果、封止材5とレンズ板6とは、スムーズな曲面で接触する。
【0084】
封止材5およびレンズ板6は、半透明もしくは透明であって、発光素子3からの光を透過させる。このとき、封止材5およびレンズ板6が形成する屈折カーブに従って、発光素子3は、発する光を外部に照射する。このとき、封止材5およびレンズ板6は、カーブ形状に従って、発光素子3の光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう。すなわち照明装置1は、複数の発光素子3の光を一つの集光機能や拡散機能によってまとめた上で、外部に照射する。
【0085】
すなわち、封止材5とレンズ板6とが合わさって、複数の発光素子3の光を制御して外部に照射させる。封止材5だけの場合よりも、レンズ板6が合わさることで、より精細な発光制御が可能となる。
【0086】
加えて、レンズ板6が封止材5の上層に積層されることで、レンズ板6は、封止材5を保護する役割も果たす。これらの結果、封止材5およびレンズ板6によって、照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて封止すると共にまとめて発光制御して、外部へ光を照射できる。
【0087】
図3を用いて、照明装置1の上面(正面)から見た状態での照明装置1による光の照射を説明する。図3は、本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。図3は、照明装置を上から見た状態を示しており、封止枠4や封止材4の内部に存在する発光素子3を可視状態にして示している。
【0088】
図3に示される照明装置1では、封止枠4が複数の発光素子3を一体とした周囲を囲む。ここで、封止枠4は、上面から見た際に略円形を有している。略円形の封止枠4の内部に複数の発光素子3が実装されているので、複数の発光素子3が発する光は、略円形から拡散したり集光したりすることになり、照明装置1は、発光方向や発光角度を調整しやすくなる。もちろん、封止枠4は、略楕円形状や多角形状を有していてもよい。
【0089】
また、上面から見た場合には、レンズ板6、封止材5、発光素子3の順に積層されているが、レンズ板6および封止材5が半透明若しくは透明であるので、発光素子3が透過して見える。この結果、発光素子3の発する光は、レンズ板6および封止材5を透過して外部に照射される。このとき、レンズ板6および封止材5によって形成されるカーブによって、発光素子3の発する光は拡散したり集光したりする。
【0090】
また、実装基板2に封止枠4からレンズ板6までが実装された状態で照明装置1が構成されるので、照明装置1は、可搬性に優れており、一つのユニットとして様々な機器に組み込まれる。
【0091】
照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて封止すると共にまとめてその発光を制御するので、信号装置や集魚灯などの詳細な画像を示すよりも、発光量や発光パターンを必要とする機器に最適に組み込まれる。
【0092】
以上のように、実施の形態1の照明装置1は、複数の発光素子3をまとめて一つの封止枠4内部に封止することで、封止における発光素子3ごとのばらつきを防止できる。また、封止枠4内部に封止材5とレンズ板6とが積層されることで、複数の発光素子3の発する光をまとめて制御できる。特に、封止枠4、封止材5およびレンズ板6とがそれぞれ接触した(物理的に厳密な接触を必要とするのではなく、明らかに離隔している状態ではないことを示す)状態であることによって、封止枠4、封止材5およびレンズ板6は、複数の発光素子3を封止するという機能と発光を制御するという機能を両立させる。
【0093】
以上より、照明装置1は、発光素子3の封止機能と発光制御機能を、少ない部材で実現できる。結果としてコストも低減できる。
【0094】
なお、図1〜図3においては、図の明瞭を確保するために、複数の発光素子のうち一つの発光素子に符号「3」を付している。
【0095】
(発光素子の発熱制御)
【0096】
次に、照明装置1における発光素子3の発熱制御について、図4も参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態1における照明装置の発熱制御を示す説明図である。図4は、照明装置の側面を示しており、内部を透視状態として示している。また、矢印51、52は、熱の伝導経路を示す。
【0097】
照明装置1は、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械および集魚灯などに適用されることが求められる。このため、発光素子3が高い輝度で発光を行なうために、発光素子3には、高い電流値や高い電圧値が付与される。このような高い輝度での発光によって、発光素子3は、高い熱を発生させる。
【0098】
複数の発光素子3は、実装面、発光面および側面から、熱を発する。
【0099】
発光素子3が発するこれらの熱の内、実装面から発せられる熱は、実装基板2を通じて外部に放出される。複数の発光素子3は、実装基板2にワイヤボンディングやボールグリッド等によって実装されており、発光素子3の実装面と実装基板2とは、熱的に接触しているからである。矢印51は、発熱素子3の実装面から実装基板2に伝導する熱の状態を示している。
【0100】
一方、発光素子3が発するこれらの熱の内、発光面および側面から発する熱は、封止材5に伝導する。封止材5は、発光素子3の発光面および側面を封止することで、発光素子3の発光面および側面と熱的に接触するからである。このため、封止材5は、発光素子3からの熱を受けることになる。
【0101】
また、封止材5は、発光素子3を封止する目的上、溶融樹脂などが用いられる。溶融樹脂などは、金属などに比較して熱伝導性が悪いので、封止材5は、発光素子3からの熱を蓄積してしまうことが多い。封止材5が発光素子3からの熱を蓄積してしまうと、照明装置1は、誤動作を生じさせたり、損傷や故障を生じさせたりする。このような問題を回避するためには、発光素子3へ与える電流値や電圧値を下げる必要がある。しかし、発光素子3へ与える電流値や電圧値を下げると、発光素子3の発光輝度が低くなり、照明装置1を、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械および集魚灯などに適用することが難しくなる。
【0102】
熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられており封止枠4と熱的に接触する。このため、熱伝導部材50は、封止材5からの熱を(すなわち発光素子3からの熱を)封止枠4に伝導できる。封止枠4は、外部に露出されており、熱伝導部材50から受け取った熱を、外部に放出できる。特に、封止枠4は、金属、合金あるいは熱伝導性の高い樹脂などで形成されるので、封止枠4は、伝導された熱を外部に放出できる。この結果、発光素子3の発光面および側面の少なくとも一部から発せられる熱は、封止材5内部に蓄積することなく、熱伝導部材50および封止枠4を経由して外部に放出される。これは、図4における矢印52によって示される。
【0103】
矢印52は、発光素子3から封止材5に伝導した熱が、熱伝導部材50を通じて封止枠4に伝導する状態を示している。また、封止枠4は、伝導された熱を、外部に放出する。
【0104】
このように、熱伝導部材50は、熱の溜まりやすい封止材5内部の熱を、効率的に外部に放出できる。
【0105】
発光素子3の発する熱の内、発光面および側面からの熱が、外部に放出されることで、照明装置1の発熱が抑えられる。この結果、発光素子3には、高い電流値や電圧値を与えることが可能となり、発光素子3は(すなわち照明装置1は)、高い輝度で光を照射できる。
【0106】
なお、信号装置、工事用照明機械および集魚灯は、照明装置1が適用される機器の一例であり、これに限られるものではない。
【0107】
次に、各部の詳細について説明する。
【0108】
(実装基板)
【0109】
まず、実装基板について説明する。
【0110】
実装基板2は、複数の発光素子3を実装する。実装基板2は、ガラスエポキシ基板のように、汎用に電子部品や半導体集積回路を実装できる基板であって、電気信号のやり取りを行なえる配線層を備えているものであればよい。
【0111】
実装基板2は、照明装置1として利用される複数の発光素子3のみを実装しても良いし、発光素子3以外の電子部品や半導体集積回路を実装しても良い。例えば、実装基板2は、制御機能やプロセッシング機能を有する半導体集積回路と必要な電子部品を実装しており、これ等以外の領域において複数の発光素子3を実装しても良い。
【0112】
また、実装基板2は、発光素子3をワイヤボンディング、フリップチップあるいはボールグリッドなどによって電気的に実装し、実装基板2の内外に設けられる他の回路からの電気信号を、発光素子3に与えることができる。
【0113】
すなわち、実装基板2は、照明装置1の基本形状を形成すると共に、複数の発光素子3に電気信号を与える。実装基板2の形状や大きさは、複数の発光素子3の個数に応じてもよいし、照明装置1として使用される状態に応じてもよい。また、実装基板2は、発光素子3に加えて封止枠4を実装できるような接着面を有していることも好適である。
【0114】
(発光素子)
【0115】
次に、発光素子3について説明する。
【0116】
発光素子3は、電気信号を受けて光を発する素子である。電気信号を受けて発光する機能を有する素子であればなんでもよいが、実装や制御の容易性から、LEDが用いられるのが好適である。LEDは、付与される電気信号の電流・電圧によって、発光状態を制御でき、青色、赤色、緑色などの固有色を有することで、発光色のパターンを容易に制御できるメリットを有するからである。
【0117】
複数の発光素子3が、実装基板2に実装される。発光素子3の個数は、照明装置1の仕様に応じて適宜定められれば良く、数個から数百個(あるいは数千個)の発光素子3が実装基板2に実装される。発光素子3は、実装基板2に対して、ワイヤボンディングやボールグリッドによって実装され、実装基板2に対して(更には、実装基板2に実装されている他の電子部品に対して)電気的に接続される。この電気的な接続によって、発光素子3は、電気信号を受けて発光する。
【0118】
発光素子3は、受ける電気信号の電流値・電圧値や、信号の波形パターンに応じて発光し、発光素子3が備えている固有色に基づいた発光を行なう。これらの発光変化に基づいて、発光素子3は、種々の発光パターンを実現する。実装基板2もしくは実装基板2とは別に設けられた制御機能に基づいて、発光素子3は、色、発光レベル、発光間隔などの様々な基準に応じた発光を実現する。
【0119】
発光素子3のそれぞれは、ベアチップ状態で実装基板2に実装される。ベアチップ状態で実装されることで、発光素子3のコストや体積が削減でき、照明装置1のコストや体積を削減できる。加えて、発光素子3がベアチップ状態で実装されることで、発光素子3の発する光を、封止材5およびレンズ板6が直接受け取ることができ、余分な発光制御が不要となる。このため、発光素子3は、ベアチップ状態で実装されることが好適である。
【0120】
また、発光素子3がベアチップ状態であることで、発光素子3は、表面、裏面および側面を有することになる。裏面は、実装基板2との実装面になり、表面および側面の少なくとも一部から、光を発する。また、実装基板2に複数の発光素子3が実装されるので、発光素子3は、隣接する発光素子との間での光の反射を生じさせることもある。
【0121】
なお、発光素子3は、それぞれに固有色を有しており、加えられる電流値および電圧値に応じて発光する。固有色の同じ発光素子3がまとめられて配列されても良いし、異なる固有色毎に配列されても良い。また、複数の発光素子3のそれぞれは、並列接続されても良いし直列接続されても良い。もちろん、並列接続と直列接続とが混在した状態で、複数の発光素子3が電気的に接続されても良い。
【0122】
このように、実装基板2に複数の発光素子3がベアチップ状態で実装されることにより、複数の発光素子3は、様々な発光色、発光レベル、発光パターンを作り出せる。
【0123】
(封止枠)
次に、封止枠4について説明する。
【0124】
封止枠4は、実装基板2上において実装される複数の発光素子3の周囲を囲む。図2に示されるように、封止枠4は、実装される複数の発光素子3の周囲をぐるりと囲んでいる。封止枠4は、略円形、略楕円形を形成しつつ発光素子3の周囲を囲むことが好ましいが、方形や多角形を形成しつつ発光素子3の周囲を囲んでもよい。
【0125】
封止枠4は、照明装置1の外形を形成する。すなわち、照明装置1は、封止枠4、封止材5およびレンズ板6によって、発光素子3の集光や拡散を実行する。封止枠4は、この集光や拡散を実行する機構の基本的な外形を形成する。このため封止枠4は、複数の発光素子3の集光や拡散の仕様に応じた形状や外形を有する。
【0126】
また、封止枠4の高さおよび開口面積の少なくとも一方は、発光素子3の個数に応じて定まる。発光素子3の個数が多ければ封止枠4の外周は大きくなるので、封止枠4の開口面積は大きくなる。加えて、発光素子3の個数が多ければ発光素子3からの発光量が多くなるので、多くの光を反射させるために封止枠4の高さが高くなる。
【0127】
封止枠4には封止材5が投入されるので、封止枠4の外周は、閉鎖されていることが好ましい。封止材5は、溶融樹脂であることが多く、投入される溶融樹脂が封止枠4の外部にもれ出ることを防止するためである。このため、封止枠4は、枠材であって、この枠材が実装基板2上に設置されればよい。
【0128】
封止枠4は、樹脂、金属、合金などで形成されれば良く、実装基板2上に接着あるいは溶着される。接着においては接着剤が用いられれば良い。封止枠4は、熱伝導部材50から伝導される熱を外部に放出するので、熱伝導性の高い素材で形成されるのが好適である。
【0129】
封止枠4は、透明もしくは半透明でも良いが、発光素子3からの光を封止材5やレンズ板6に反射させるために光を反射可能なように非透明であることも好ましい。封止枠4は、封止材5を投入する際の枠となると共に発光素子3が発する光の反射部位となるからである。
【0130】
封止枠4が設置されると、この封止枠4で囲われた領域に、封止材5(溶融された樹脂など)が流し込まれる。
【0131】
(封止材)
【0132】
封止材5は、封止枠4で囲まれた領域を充填する。封止材5は、溶融された樹脂などで構成されており、溶融された樹脂が流し込まれて凝固することで、封止枠4内部に封止材5が形成される。
【0133】
例えば、封止枠4が設置された後で、溶融した樹脂が封止枠4の内部に流し込まれる。流し込みの際には、空気層や空気泡が生じないように、自動投入装置が用いられる。流し込まれた後で、温度の低下によって、溶融した樹脂は凝固し、封止枠4の外形に合わせて固体の封止材5が形成される。
【0134】
また、封止材5は、熱伝導部材50が予め設置された後で、充填されてもよい。封止材5が、封止枠4に充填される溶融樹脂である場合には、予め熱伝導部材50が設置された後で溶融樹脂が充填されれば、凝固することによって封止材5が発光素子3を封止すると共に熱伝導部材50を封止するからである。
【0135】
もちろん、熱伝導部材50を封止した状態の封止材5を封止枠4内部に充填(あるいは設置)することで、封止材5が形成されても良い。
【0136】
封止材5は単体でもしくは封止枠4およびレンズ板6と合わせて、発光素子3の光を集光したり拡散したりする。このため、封止材5は、発光素子3の光の集光や拡散をさせる基本的な部材となる。
【0137】
封止材5は、透明もしくは半透明であり、透明もしくは半透明であることで、発光素子3が発する光を透過させる。透過した光は、後述のレンズ板6の集光もしくは拡散作用によって外部に放射され、複数の発光素子3からの光が外部に放射される。封止材5は、このように発光素子3の光を透過させることによって、照明装置1が光を出力する機能を実現する。
【0138】
封止材5は、凹形状もしくは凸形状の上面(表面)を有する。複数の発光素子3からの光を集光および拡散のいずれかを行なうためである。封止材5の上面が、凹形状である場合には、封止材5は、発光素子3の光を集光する。逆に、封止材5の上面が凸形状である場合には、封止材5は、発光素子3の光を拡散する。
【0139】
あるいは、後述のレンズ板6の形状に合わせて上層面の形状が定まってもよい。レンズ板6が封止材5の上層に積層される場合には、このレンズ板6の形状によって封止材5の上面形状が定まるからである。
【0140】
レンズ板6が積層される場合には、封止材5は、レンズ板6の形状に合わせてその形状が定まる。このレンズ板6の形状と封止材5の形状とによって、照明装置1は、発光素子3の光を集光させるか拡散させるかを切り分けることができる。
【0141】
(熱伝導部材)
【0142】
次に、熱伝導部材50について説明する。
【0143】
熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられる。熱伝導部材50は、発光素子3から封止材5に伝わる熱を、封止枠4に伝導させる。封止枠4に伝導した熱は、封止枠4から外部に放出される。
【0144】
熱伝導部材50は、封止材5内部に存在する熱を封止枠4に伝導するため、封止枠4と熱的に接触する。このため、例えば熱伝導部材50の端部は、封止枠4と接触していることも好適である。
【0145】
熱伝導部材50は、発光素子3から封止材5に伝わる熱を、封止枠4に伝導させるので、熱伝導性の高い素材で形成されることが好ましい。例えば、金属、合金などである。一例として、熱伝導部材50は、銅、アルミニウム、銀、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレスなどの熱伝導率の高いあるいは防錆性(あるいは耐久性)の高い金属で形成されることが好ましい。
【0146】
また、熱伝導部材50は、封止材5の熱を封止枠4に伝導する機能を担うが、発光素子3からの光が外部に照射されるのを阻害することは不都合である。このため、熱伝導部材50は、図3に示されるように熱伝導性の素材で形成された格子形状を有することも好適である。例えば、熱伝導部材50は、金属、合金もしくは熱伝導性の高い樹脂で形成されたメッシュ形状を有することでもよい。
【0147】
熱伝導部材50が、格子形状を有することで、封止材5の熱を封止枠4に伝導できると共に発光素子3からの光を阻害することがない。発光素子3からの光は、格子形状の空き領域をもれ出て行くからである。特に、発光素子3に高い電流値や電圧値が付与されて、高い輝度で発光素子3が発光する場合には、格子形状の熱伝導部材50は、発光における阻害とはなりにくい。特に、照明装置1が信号装置、工事用照明機械および集魚灯などのように、輝度を要求するが高精細な発光や発色を要求しない機器に用いられる場合には、熱伝導部材50は、発光素子3からの光の阻害要因とはなりにくい。
【0148】
なお、熱伝導部材50が格子形状を有する場合には、発光素子3の個数、発光素子3の配列間隔に合わせた格子形状を有すればよい。例えば、格子形状における空き領域の個数や面積は、発光素子3の配列間隔に合わせることも好適である。
【0149】
また、熱伝導部材50は、方形の枠からなる格子形状以外であっても、円形、楕円形、多角形等の枠からなる格子形状を有してもよい。もちろん、封止材5の熱を伝導できると共に発光素子3からの光の照射を阻害しない形状であれば、どのような形状を有してもよい。
【0150】
熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられれば良いが、封止材5において、発光素子3と上面との間のいずれかの位置において設けられればよい。例えば、発光素子3と上面とのおよそ中間位置において、熱伝導部材50が封止材5内部において設けられればよい。
【0151】
以上のように、熱伝導部材50は、封止材5内部に設けられて、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を、封止枠4に伝導する。
【0152】
(レンズ板)
【0153】
次に、レンズ板6について説明する。レンズ板6は、必要に応じて封止材5の上層に積層される。あるいは、レンズ板6は、封止材5の表面形状を形成するために、照明装置1の製造時に使用される。
【0154】
レンズ板6は、封止材5の上層に積層される。レンズ板6は、封止枠4および封止材5と合わせて、複数の発光素子3からの光を集光させたり拡散させたりする。レンズ板6の形状および構造が、発光素子3からの光を制御する。
【0155】
レンズ板6は、ガラスや樹脂などで構成される。レンズ板6は、透明もしくは半透明であって、封止材5と共に、発光素子3の光を透過させる。この光の透過の過程において、封止材5およびレンズ板6の形状によって、照明装置1は、発光素子3の光を集光もしくは拡散させて外部に出力する。
【0156】
レンズ板6は、封止枠4の外周に合わせた外周を有してもよいし、封止枠4の外周より小さい外周を有していてもよい。但し、レンズ板6は、封止枠4の外周に合わせた形状を有することで、封止材5は、封止枠4とレンズ板6とに封止されるので、照明装置1の耐久性や強度が向上するメリットがある。
【0157】
レンズ板6は、封止材5の上層に積層されるので、レンズ板6の形状によって、封止材5の形状(封止材5のレンズ板6との積層面の形状)が定まる。また、レンズ板6と封止材5とが合わさった形状によって、複数の発光素子3の光は、集光されるか拡散されるかが決まる。
【0158】
例えば、レンズ板6が凸レンズである場合には、封止材5のレンズ板6との積層面は、凹形状となる。図5は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
【0159】
図5は、レンズ板6が凸レンズであって、封止材5のレンズ板6との積層面が凹形状である形態を示している。図5中の矢印は、発光素子3の光の進む向きを示している。発光素子3の光は、透明もしくは半透明である封止材5内部を直進する。直進した光は、封止材5からレンズ板6に到達する。レンズ板6は、凸レンズであるので、矢印の通り、光はレンズ板6によって集光される。集光されることで、複数の発光素子3からの光が所定領域に集められることになり、非常に高い輝度を所定領域に実現できる。
【0160】
例えば、遠くからでも光を視認しやすいことが求められる照明装置に適用される。例えば信号装置や集魚灯などに、図5に示される照明装置1は、適用される。
【0161】
また、図5では、レンズ板6は、凸レンズであって、これに合わせて封止材5の積層面は凹形状となっているが、レンズ板6は、上面のみが凸形状を有し積層面は平坦である形状でも良い。このような形状によって、照明装置1は、発光素子3の光を緩やかに集光させることができる。
【0162】
あるいは、レンズ板6は、平坦形状を有しており、封止材5の積層面も平坦形状であってもよい。この場合には、照明装置1は、発光素子3の光をほぼ直進させることができる。
【0163】
また、レンズ板6は、図6に示されるように凹レンズであって、封止材5のレンズ板6との積層面は、凸形状であってもよい。図6は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。また、図6中の矢印は、発光素子3からの光の進行方向を示している。
【0164】
レンズ板6は、凹レンズであって、この形状に合わせて封止材5のレンズ板6との積層面は凸形状となっている。図6の矢印に示されるように、発光素子3の光は封止材5を透過してレンズ板6に到達する。レンズ板6が凹レンズであるので、矢印に示されるようにレンズ板6は、発光素子3の光を拡散させる。この拡散によって、照明装置1は、発光素子3の光を広い範囲に照射することが可能となる。
【0165】
例えば、様々な角度からでも光を視認しやすいことが求められる照明装置に適用される。夜間の作業において、広い範囲を均一に明るくする必要がある機器などに適用される。
【0166】
また、封止枠4は、封止材5を進む光の進行方向を調整する機能を有しているので、封止枠4とレンズ板6との形状の組み合わせによっても、発光素子3の光の進行方向は調整される。
【0167】
レンズ板6は、封止枠4および封止材5と共に、発光素子3の光を透過させつつ、集光もしくは拡散させる。また、封止材5は、本来的にはベアチップ状態で実装される発光素子3を保護する機能を有しており、レンズ板6との積層によって、保護に加えて光の照射方向を制御する機能を有する。このように、封止材5およびレンズ板6は、複数の機能を少ない部材で実現できる。結果として、照明装置1の製造工程が簡略化されて、製造コストも低減できる。
【0168】
以上のように、照明装置1は、発光素子3の光を集光させたり拡散させたりしつつ、外部に多くの光を照射させる。
【0169】
加えて、複数の発光素子3が一つの封止枠4および封止材5で封止されているので、耐久性に優れると共にばらつきがなく、高い電流値や高い電圧値を、発光素子3に付与できる。この結果、発光素子3は、高い輝度で発光できる。
【0170】
(製造工程)
次に、照明装置1の製造工程を説明する。
【0171】
図7は、本発明の実施の形態1における照明装置の製造工程図である。
【0172】
図7は、上から順に各工程を示している。なお、図7は、レンズ板6を積層する場合を示しているが、レンズ板6を積層しない場合には、最終工程を省略して把握すればよい。あるいは、レンズ板6を封止材5に押し当てた後で、レンズ板6を取り外して、封止材5の表面形状を成型する工程が追加されても良い。
【0173】
まず、実装基板2が設置される。
【0174】
次いで、実装基板2に、ベアチップ状態である複数の発光素子3が実装される。実装においては、ワイヤボンディングなどで、発光素子3に電気的な接続が実現される。複数の発光素子3の個数や種類は、照明装置1の仕様に応じて定められる。
【0175】
更に、実装された複数の発光素子3の周囲を囲むように、封止枠4が実装される。封止枠4は、接着や溶着によって、実装基板2に設置される。
【0176】
次に、封止枠4内部に熱伝導部材50が設置される。
【0177】
熱伝導部材50は、発光素子3より上であって、封止材5によって覆われる程度の高さに設置されることが適当である。封止枠4は、予め熱伝導部材50を設置する位置に切り込みを有しており、熱伝導部材50は、この切り込みに合わせて設置されることでもよい。こうすると、熱伝導部材50の設置が確実になるだけでなく、熱伝導部材50が封止枠4と熱的に接触できるからである。
【0178】
次いで、封止枠4の内部に溶融した樹脂などが充填される。溶融した樹脂は、封止材5として、ベアチップ状態である発光素子3を保護し、熱伝導部材50を封止する。封止材5は、透明もしくは半透明の素材で形成され、固化することで、発光素子3の光を透過させつつ外部に照射させることができる。
【0179】
封止材5が充填されると、封止材5は、発光素子3と熱伝導部材50とを合わせて封止する。
【0180】
更に、封止材5の上層にレンズ板6が積層される。レンズ板6が積層されることで、封止材5の表面形状が定まる。更には、レンズ板6と封止材5との積層によって、照明装置1は、発光素子3の光を外部に出力できる。更に、封止材5とレンズ板6の形状および積層構造に基づいて、照明装置1は、発光素子3の光を集光もしくは拡散できる。
【0181】
このように、照明装置1は、それぞれの部材が順次組み合わされることで、製造される。
【0182】
以上のように、実施の形態1の照明装置1は、複数の発光素子3を封止する要素だけで複数の発光素子の発光を一括して制御する。合わせて、照明装置1は、発光素子3の発光面や側面からの熱であって封止材5に伝わる熱を、封止枠4に効率的に伝導させて外部に放出できる。このように照明装置1は、熱伝導部材50によって発光素子3(および照明装置1そのもの)の発熱を制御できるので、発光素子3には高い電流値や電圧値を与えることができ、照明装置1は、高い輝度で光を照射できる。
(実施の形態2)
【0183】
次に、実施の形態2について説明する。
【0184】
実施の形態2では、封止材5およびレンズ板6の形態によって、発光素子3からの光を更に細かく制御する照明装置を説明する。
【0185】
(封止材とレンズ板との積層面に空隙が存在する態様)
【0186】
図8は、本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。図1と同じ符号を付しているものは、実施の形態1で説明した場合と同様の構成や機能を有する。
【0187】
図8においては、照明装置1は、封止材5とレンズ板6との積層面に空隙10を有する。空隙10は、封止材5とレンズ板6との積層の段階において形成されても良いし、封止材5が予め隙間となるような形状を有していることで形成されても良い。
【0188】
封止材5とレンズ板6との積層面が、空隙10を備えていることで、発光素子3からの光は、この空隙10において乱反射する。この乱反射によって、照明装置1は、発光素子3からの光をより拡散できるようになる。
【0189】
照明装置1は、信号装置や集魚灯に好適に用いられる。信号装置や集魚灯は、広い角度に渡って出力することが望まれる。空隙10において、発光素子3からの光が乱反射することで、レンズ板6を透過して出力される光は、より広い範囲にわたって拡散されることになる。この結果、照明装置1から出力される光は、広い範囲を照らすことができる。
【0190】
また、空隙10において発光素子3からの光が乱反射することで、照明装置1は、艶やかな光を発することができる。特に、空隙10の形状によって、発光素子3からの光の乱反射が様々に制御されることになり、照明装置1は、様々な発光を実現できる。
【0191】
このような空隙10が封止材5とレンズ板6との間に設けられると、熱伝導性の悪い空気層が、封止材5とレンズ板6との間に形成されることになる。このため、封止材5からレンズ板6へ熱が伝導しにくくなるので、発光素子3の発光面や側面からの熱が、封止材5内部に留まりやすくなってしまう。
【0192】
このような場合にも、熱伝導部材50が封止材5の内部に設けられることで、熱伝導部材50が封止材5内部に蓄積される熱を受け取って、封止枠4に伝導させることができる。
【0193】
なお、空隙10は、空気層となってもよいが、封止材5と異なる素材の充填材が充填されても良い。例えば、封止材5と屈折率や透過率の異なる充填材が充填されることで、発光素子3からの光は、封止材5、充填材、レンズ板6の順序で透過する。この際に、それぞれで異なる屈折率や透過率に応じて光の進行方向が定められることで、照明装置1は、更に種々の発光を実現できる。
【0194】
(封止材とレンズ板との透過率)
【0195】
また、封止材5とレンズ板6との透過率および屈折率の少なくとも一方が異なる照明装置1も好適である。
【0196】
封止枠4の内部に封止材5およびレンズ板6が積層される場合には、発光素子3の光は、封止材5を透過して次いでレンズ板6を透過する。すなわち、発光素子3の光は、2つの部材を連続して透過することになる。
【0197】
このため、発光素子3からの光は、封止材5およびレンズ板6の透過率や屈折率に従って、外部に出力することになる。言い換えると、照明装置1は、封止材5およびレンズ板6の透過率や屈折率に基づいて、外部に光を照射する。
【0198】
このとき、封止材5とレンズ板6のそれぞれの透過率および屈折率の少なくとも一方が異なる場合には、発光素子3の光の集光や拡散にバリエーションが広がる。
【0199】
このバリエーションの広がりによって、照明装置1は、均一に光を拡散したり、不均一に光を拡散したりできる。あるいは、このバリエーションの広がりによって、照明装置1は、光を特定の領域に集光したり、集光と拡散とをバランスよく行なったりすることもできる。
【0200】
照明装置1は、信号装置や集魚灯に最適に用いられるので、信号装置や集魚灯に必要となる仕様に対応した発光を実現できることが好ましい。発光素子3からの光の進行方向は、封止材5とレンズ板6との形状によって定まるが、それぞれの透過率や屈折率が異なることによっても定まる。すなわち、封止材5とレンズ板6の透過率や屈折率のアンバランスを調整することで、発光素子3からの光の進行方向は、様々に調整される。
【0201】
(封止枠に基づく反射)
【0202】
封止枠4の側面が、レンズ板6から実装基板2側にかけて傾斜する傾斜面11を備えることも好適である。図9は、本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。図9では、封止枠4は、傾斜面11を有している。
【0203】
封止枠4は、複数の発光素子3の周囲を囲んで設置される。このため、封止枠4の内側には、複数の発光素子3が並ぶことになる。このため、発光素子3からの光の一部は、封止枠4に衝突する。
【0204】
このとき、封止枠4が実装基板2に対して略垂直である場合には、発光素子3からの光は、衝突しても封止材5内部に反射される。このため、発光素子3の光の一部が照明装置1の外部に出力できないことになる。照明装置1が十分な発光量を確保する必要がある場合には、発光素子3の光の一部が照明装置1内部に留まることはデメリットである。
【0205】
これに対して、封止枠4が傾斜面11を有する場合には、図9中の矢印12のように、発光素子3からの光が傾斜面11で反射しつつレンズ板6を通じて外部に出力する。すなわち、発光素子3からの光が傾斜面11での反射を利用して、照明装置1の外部に出力できる。
【0206】
複数の発光素子3は、配置される位置によっては、発する光の大半は、封止材5およびレンズ板6を直接透過して外部に出力する。一方、複数の発光素子3の内、封止枠4に近接して配置される発光素子3の光は、その一部が封止枠4に衝突する。傾斜面11は、この衝突する光を、照明装置1の外部に出力できる。
【0207】
また、発光素子3の光は、隣接する発光素子3において反射する可能性もある。この他の発光素子3によって反射した光も、封止枠4に衝突する可能性がある。このようにして封止枠4に衝突した光も、傾斜面11によって、封止材5内部ではなく、封止材5やレンズ板6を透過して外部に出力されるようになる。
【0208】
封止枠4が備える傾斜面11によって、複数の発光素子3からの光の大半が、照明装置1の外部に出力されるようになる。結果として、照明装置1は、複数の発光素子3が発することのできる発光能力を、十分に活用して光を照射できる。照明装置1は、高い輝度での照射を実現できる。
【0209】
また、複数の発光素子3のそれぞれが発する光は、隣接する発光素子3の側面において反射して、照明装置1の外部に出力する。
【0210】
図9における矢印13は、隣接する発光素子3の側面において反射する発光素子3からの光である。隣接する発光素子3の側面が、隣接する発光素子3からの光を反射させることで、発光素子3からの光の大半が、照明装置1の外部に出力できるようになる。この場合にも、照明装置1は、複数の発光素子3が発光できる発光能力を最大限活用した光の照射を実現できる。
【0211】
なお、複数の発光素子3は、隣接する発光素子3からの光をその側面において反射させることができるような距離間隔で配置されることが好ましい。例えば、隣接する発光素子3同士の間隔は、発光素子3のサイズ以下となるようにするなどである。
【0212】
以上のように、実施の形態2における照明装置1は、複数の発光素子3の発光能力を最大限に活用して、外部に高い輝度の光を照射できる。
【0213】
(実施の形態3)
【0214】
次に、実施の形態3に付いて説明する。
【0215】
実施の形態3では、封止枠4が、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱を放出する放熱機構を備える場合を説明する。この放熱機構は、熱伝導部材50から封止枠4に伝導した熱を、外部に効率よく放出できる。
【0216】
封止枠4は、熱伝導性の高い素材で形成されているので、封止枠4はそれ自体が伝導された熱を外部に放出できる。しかしながら、封止枠4が複数の発光素子3の周囲を囲む形状のみを有している場合では、封止枠4は、熱を十分に放出できないこともある。放熱機構は、封止枠4の放熱を促進させる。
【0217】
発光素子3に、電流や電圧が加えられることによって、発光素子3が発光する。照明装置1は、高い輝度を必要とする信号装置や集魚灯に好適に用いられる。このため、発光素子3には、高い電流値や電圧値が付与される。高い電流値や電圧値によって、発光素子3の輝度が高まるからである。
【0218】
このように、発光素子3に高い電流値や電圧値が加わる場合には、発光素子3は、高い熱を生じさせる。発光素子3は、付与された電流値や電圧値の一部を熱エネルギーに変えるからである。この熱エネルギーによって、発光素子3は、高い熱を生じさせる。
【0219】
照明装置1は、発光素子3を封止する封止材5を備え、発光素子3が発する熱の一部は、発光素子3の発光面や側面から封止材5に伝導する。すなわち、発光素子3および封止材5は、熱を有することになる。この熱が高くなりすぎると、発光素子3の実装に悪影響が生じたり、照明装置1に悪影響が生じたりする。たとえば、発光素子3の実装が外れたり、発光素子3そのものが故障したりする。
【0220】
この発光素子3の発光面や側面からの熱は、封止材5に伝導する。封止材5は、熱伝導部材50を備えており、この熱伝導部材50は、封止材5内部の熱(発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱)を受け取る。更に、熱伝導部材50は、受け取った熱を封止枠4に伝導する。
【0221】
封止枠4の放熱機構は、封止枠4に伝導された熱を効率的に外部に放出する。この結果、照明装置1の故障や劣化を未然に防止できるようになる。
【0222】
放熱機構は、種々の形態を有することが考えられるが、一例を図10に示す。
【0223】
図10は、本発明の実施の形態3における照明装置の側面図である。
【0224】
図10に示されるとおり、封止枠4は、その側面および表面の少なくとも一部に、放熱フィン20、21を備える。また、熱伝導部材50が封止枠4と熱的に接触しており、熱伝導部材50が封止材5内部の熱(すなわち発光素子3の発光面や側面からの熱)を、封止枠4に伝導させる。放熱フィン20、21は、この熱伝導部材50から封止枠4に伝導した熱を、外部に放出する。
【0225】
放熱フィン20は、封止枠4の側面から突出しており、放熱フィン21は、封止枠4の表面から突出している。なお、図10では、放熱フィン20および放熱フィン21が表示されているが、実際の照明装置1は、放熱フィン20および放熱フィン21のいずれか一方だけを備えても良いし、両方を備えても良い。また、放熱フィン20は、封止枠4の側面の少なくとも一部から突出しても良い。
【0226】
図11は、図10に示される照明装置1を正面から見た状態を示す。図11は、本発明の実施の形態3における照明装置の正面図である。放熱フィン20は、図11に示されるように、封止枠4の両サイドから突出してもよい。このような形状により、実装基板2の大きさや形状を小さくできるメリットがある。もちろん、封止枠4の側面の全体に渡って放熱フィン20が設けられても良い。
【0227】
放熱フィン20は、熱伝導部材50から封止枠4に伝導した熱を外部に放出する。封止枠4は、封止材5の外周を覆っており、熱伝導部材50は、格子形状を有することで、封止枠4の内周の多くの位置において、封止枠4と熱的に接触できる。このため、熱伝導部材50は、封止材5から受け取った発光素子3の熱を、広い範囲にわたって封止枠4に伝導できる。
【0228】
この結果、封止枠4と放熱フィン20、21は、効率的に外部に熱を放出できる。封止枠4への熱伝導に偏りが少ないからである。特に、封止枠4の側面に、熱伝導部材50からの熱が到達しやすいので、封止枠4の側面から突出する放熱フィン20が、外部に熱を放出しやすい。
【0229】
放熱フィン20は、その表面積が大きいことによって、その表面から外部に熱を伝えることで熱を放出できる。加えて、放熱フィン20の柱状部材同士の間において熱の対流を生じさせることで、外部に熱を放出できる。放熱フィン20は、このように伝導や対流によって、外部に熱を放出できる。また、必要に応じて、放熱フィン20に風を送る送風ファンを更に備えることで、放熱フィン20による放熱能力が更に高まる。
【0230】
このため、放熱フィン20は、棒状部材であってもよいし板状部材であっても良いし、これらの部材が混在した状態でも良い。
【0231】
放熱フィン21は、封止枠4の表面から突出する。
【0232】
放熱フィン21は、封止枠4から突出することで、封止枠4の表面に到達する熱を放出すると共に、封止枠4の側面から表面に伝導する熱を放出する。封止枠4は、複数の発光素子3の周囲を囲むので、封止枠4の側面に伝導する熱量が大きい。このため、側面から突出する放熱フィン20による放熱効果が高いが、表面から突出する放熱フィン21は、放熱フィンを形成する部材同士の間で生じさせる対流を生じさせやすい。
【0233】
この対流によって、放熱フィン21は、熱伝導部材50から伝導される熱を、効率的に放出できる。
【0234】
このように、封止枠4の側面より突出する放熱フィン20と封止枠4の表面より突出する放熱フィン21とが組み合わさって設けられることで、発光素子3および封止材5の少なくとも一部からの熱が、効率的に放出される。放熱フィン21は、棒状部材であってもよいし板状部材であってもよい。
【0235】
また、放熱フィン20および放熱フィン21の少なくとも一部は、封止枠4と一体で形成されても良い。一体で形成されることで、封止枠4から放熱フィン20、21への熱伝導の際の熱抵抗が小さくなり、放熱フィン20、21による熱の放出効率が高まるからである。
【0236】
もちろん、放熱フィン20および放熱フィン21の少なくとも一部は、封止枠4と別体で形成されても良い。製造コストが低減するからである。
【0237】
以上のように、封止枠4は、放熱フィン20、放熱フィン21などの放熱機構を備えることで、熱伝導部材50から伝導する熱を放出できる。この結果、発光素子3や照明装置1そのものでの発熱の問題が解消されて、照明装置1は、その発光素子3に高い電流値や電圧値を加えることができ、より高い輝度の照射を実現できる。
【0238】
このような照明装置1は、高い輝度を必要とする信号装置、工事用照明機械および集魚灯に最適に適用される。
【0239】
なお、放熱フィン20、21は、放熱機構の一例であるが、放熱フィン以外でも、放熱機構は、液冷機構や強制空冷機構などを含む。
【0240】
(実施の形態4)
【0241】
次に、図12を用いて実施の形態4について説明する。
【0242】
実施の形態4では、実施の形態1〜3で説明した照明装置1と、照明装置1を格納する筐体32と、照明装置1に電力を供給する電力供給部31と、を備える信号装置30について説明する。
【0243】
図12は、本発明の実施の形態4における信号装置30のブロック図である。図12は、筐体32に照明装置1が格納されている状態を模式的に表している。
【0244】
照明装置1は、筐体32に格納されると共に、電力供給部31より電力の供給を受ける。電力供給部31は、バッテリーや蓄電池などの電力を供給できる機能に合わせて、発光素子3に対して所定の電流値や電圧値を与える制御機能を有している。この電力供給部31からの電力を受けて、発光素子3は光を発し、照明装置1は、封止枠4、封止材5およびレンズ板6によって、外部に光を照射する。もちろん、レンズ板6を用いない場合には、照明装置1は、封止枠4および封止材5によって、発光素子3の光を外部に照射する。
【0245】
また、熱伝導部材50が封止材5内部に設けられ、発光素子3の発光面や側面から封止材5に伝わる熱を受け取って、封止枠4に伝導させる。
【0246】
発光素子3は、電力供給部31より与えられる電力の変化パターンに応じた発光パターンで発光可能である。このような電力供給部31による制御によって、照明装置1は、様々な発光パターンで光を外部に照射できる。また、照明装置1は、実施の形態1〜3で説明したように、低コストで製造されるので、信号装置30のコストも低減できる。特に、複数の発光素子3の封止と集光などの制御が一体的に行なわれるので、発光素子3ごとのばらつきが少なくなり、照明装置1全体での発光が最適に制御される。
【0247】
加えて、熱伝導部材50を通じて、発光素子3の発光面や側面からの熱が外部へ放出されるので、発熱が抑制される。加えて、封止枠4が備える放熱機構が、外部への放熱を更に促進する。この結果、発光素子3には高い電流値や電圧値を与えることができるので、照明装置1は、高い輝度で光を照射できる。
【0248】
照明装置1全体での発光が一体的に制御できることで、信号装置30は、最適な発光パターンを形成できる。当然ながら、高い輝度で発光できるので、信号装置30は、様々な用途に適用される。
【0249】
以上、実施の形態1〜4で説明された照明装置および信号装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0250】
1 照明装置
2 実装基板
3 発光素子
4 封止枠
5 封止材
6 レンズ板
10 空隙
11 傾斜
12、13 矢印
20、21 放熱フィン
30 信号装置
31 電力供給部
32 筐体
50 熱伝導部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板にベアチップ状態で実装される複数の発光素子と、
前記実装基板上に設けられ、前記複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、
前記封止枠内部に充填され、前記発光素子と接触しつつ前記発光素子を封止する封止材と、
前記封止材内部に設けられ、前記発光素子および前記封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を備え、
前記封止材は、透明もしくは半透明であると共にその上面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有し、
前記封止材は、前記発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行ない、
前記熱伝導部材は、前記封止枠に熱を伝導し、前記封止枠は、外部に伝導された熱を排出する照明装置。
【請求項2】
前記封止材の上層に積層されるレンズ板を更に備え、
前記封止材および前記レンズ板は、透明もしくは半透明であって、
前記封止材および前記レンズ板の積層は、前記発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記封止枠の高さおよび面積の少なくとも一方は、前記発光素子の個数に応じて定まる請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記レンズ板が凸レンズであって、前記封止材の前記レンズ板との積層面は凹形状である請求項1から3のいずれか記載の照明装置。
【請求項5】
前記レンズ板が凹レンズであって、前記封止材の前記レンズ板との積層面は、凸形状である請求項1から3のいずれか記載の照明装置。
【請求項6】
前記封止材と前記レンズ板との積層面は、空隙を有する請求項1から5のいずれか記載の照明装置。
【請求項7】
前記封止材と前記レンズ板のそれぞれの透過率および屈折率の少なくとも一部が異なる、請求項1から6のいずれか記載の照明装置。
【請求項8】
前記封止枠の側面は、レンズ板側から実装基板側にかけて傾斜する傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記発光素子の光を反射する請求項1から7のいずれか記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子のそれぞれの光は、隣接する発光素子の側面で反射する請求項1から8のいずれか記載の照明装置。
【請求項10】
前記熱伝導部材は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有する請求項1から9のいずれか記載の照明装置。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、金属もしくは合金製のメッシュ形状を有する請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記熱伝導部材は、前記封止枠に熱的に接触する請求項1から11のいずれか記載の照明装置。
【請求項13】
前記封止枠は、前記熱伝導部材からの熱を放出する放熱機構を更に備える請求項1から12のいずれか記載の照明装置。
【請求項14】
前記放熱機構は、前記封止枠の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィンを含む請求項13記載の照明装置。
【請求項15】
前記放熱フィンは、前記封止枠と一体で形成されている請求項14記載の照明装置。
【請求項16】
前記熱伝導部材および前記放熱機構は、前記発光素子が発光面において発する熱を、外部に放出する請求項13から15のいずれか記載の照明装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか記載の照明装置と、
前記照明装置を格納する筐体と、
前記照明装置に電力を供給する電力供給部と、を備え、
前記発光素子は、高い輝度で発光する信号装置。
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板にベアチップ状態で実装される複数の発光素子と、
前記実装基板上に設けられ、前記複数の発光素子の周囲を囲む封止枠と、
前記封止枠内部に充填され、前記発光素子と接触しつつ前記発光素子を封止する封止材と、
前記封止材内部に設けられ、前記発光素子および前記封止材の少なくとも一部からの熱を伝導する熱伝導部材と、を備え、
前記封止材は、透明もしくは半透明であると共にその上面は、凹形状および凸形状の少なくとも一つを有し、
前記封止材は、前記発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行ない、
前記熱伝導部材は、前記封止枠に熱を伝導し、前記封止枠は、外部に伝導された熱を排出する照明装置。
【請求項2】
前記封止材の上層に積層されるレンズ板を更に備え、
前記封止材および前記レンズ板は、透明もしくは半透明であって、
前記封止材および前記レンズ板の積層は、前記発光素子の発する光を拡散および集光の少なくとも一方を行なう、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記封止枠の高さおよび面積の少なくとも一方は、前記発光素子の個数に応じて定まる請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記レンズ板が凸レンズであって、前記封止材の前記レンズ板との積層面は凹形状である請求項1から3のいずれか記載の照明装置。
【請求項5】
前記レンズ板が凹レンズであって、前記封止材の前記レンズ板との積層面は、凸形状である請求項1から3のいずれか記載の照明装置。
【請求項6】
前記封止材と前記レンズ板との積層面は、空隙を有する請求項1から5のいずれか記載の照明装置。
【請求項7】
前記封止材と前記レンズ板のそれぞれの透過率および屈折率の少なくとも一部が異なる、請求項1から6のいずれか記載の照明装置。
【請求項8】
前記封止枠の側面は、レンズ板側から実装基板側にかけて傾斜する傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記発光素子の光を反射する請求項1から7のいずれか記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子のそれぞれの光は、隣接する発光素子の側面で反射する請求項1から8のいずれか記載の照明装置。
【請求項10】
前記熱伝導部材は、熱伝導性の素材で形成された格子形状を有する請求項1から9のいずれか記載の照明装置。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、金属もしくは合金製のメッシュ形状を有する請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記熱伝導部材は、前記封止枠に熱的に接触する請求項1から11のいずれか記載の照明装置。
【請求項13】
前記封止枠は、前記熱伝導部材からの熱を放出する放熱機構を更に備える請求項1から12のいずれか記載の照明装置。
【請求項14】
前記放熱機構は、前記封止枠の表面および側面の少なくとも一部に設けられた放熱フィンを含む請求項13記載の照明装置。
【請求項15】
前記放熱フィンは、前記封止枠と一体で形成されている請求項14記載の照明装置。
【請求項16】
前記熱伝導部材および前記放熱機構は、前記発光素子が発光面において発する熱を、外部に放出する請求項13から15のいずれか記載の照明装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか記載の照明装置と、
前記照明装置を格納する筐体と、
前記照明装置に電力を供給する電力供給部と、を備え、
前記発光素子は、高い輝度で発光する信号装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−228408(P2011−228408A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95421(P2010−95421)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(502089671)交和電気産業株式会社 (9)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(502089671)交和電気産業株式会社 (9)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】
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