説明

照明装置

【課題】天井に配設されたときに、天井側にも、照明できる照明装置を提供する。
【解決手段】天井7に所定の間隔を置いて離間配置される照明装置本体2と;照明装置本体に配設され、EL(エレクトロルミネセンス)発光層、EL発光層に所要の電圧を印加する一対の電極およびEL発光層からの光を出射する主発光面2aと発光側面12aを有するELモジュール3と;ELモジュールの一対の電極に所要の電圧を印加してEL発光層を発光させる点灯回路4と;を具備している。また、照明装置本体2が天井17に配設された状態で、ELモジュール3の発光側面12bから照明装置本体の側面側へ出射される光を天井17側へ照射させる導光部5を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はEL(エレクトロルミネセンス)モジュールを具備した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から白色発光有機EL等のELモジュールは面光源として知られている。このために、この種の白色発光ELモジュールの複数個を用いて大形の白色発光平面光源を形成した照明装置も従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この種のELモジュールでは、その構造上、EL発光層からの光は、このEL発光層の光出射面に対向する透光性基板の主発光面から外部へ主に出射されるが、その一部は、基板の側面からも出射される。すなわち、基板と空気との屈折率がスネルの法則により制限されるために、基板の主発光面に対して垂直方向にある側面からも横方向(水平方向)へ出射される。しかし、この横方向への光により、その垂直方向上方を照明することはできない。
【0004】
このために、この種のELモジュールを光源として組み付けた照明装置では、引掛けシーリング等により天井に所要の間隔を置いて離間配置される場合には、照明装置から天井側を照明することができず、天井側が暗くなるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−158188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、天井に配設されたときに、天井側にも、照明できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、天井に所定の間隔を置いて離間配置される照明装置本体と;照明装置本体に配設され、EL(エレクトロルミネセンス)発光層、EL発光層に所要の電圧を印加する一対の電極およびEL発光層からの光を出射する発光面を有するELモジュールと;ELモジュールの一対の電極に所要の電圧を印加してEL発光層を発光させる点灯回路と;を具備している。
【0008】
また、本発明の実施形態によれば、照明装置本体が天井に配設された状態で、ELモジュールから照明装置本体の側面側へ出射される光を天井側へ照射させる制光手段を設けている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、ELモジュールからの光が制光手段により天井側へ照射されるので、天井側の明るさを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置が天井に配設されたときの一部切欠正面図。
【図2】図1で示す照明装置を天井側から見たときの平面図。
【図3】図1,図2で示す導光部の端部の正面形状を示し、(A)は円弧状端部、(B)は楔状端部、(C)は半円状端部をそれぞれ示す正面図。
【図4】図1,図2で示すELモジュールの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当部分には同一符号を付して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る照明装置の一部切欠正面図、図2は同平面図である。この照明装置1は、その筐体である照明装置本体2に、複数のELモジュール3,3,…、点灯回路4、制光手段の一例である導光部5および引掛けシーリング6を配設している。
【0013】
図4に示すように白色発光等の各ELモジュール3は、白色発光等のEL発光部7を有する。EL発光部7は、白色発光の有機や無機の発光材料等を有するEL(エレクトロルミネセンス)層8を具備し、このEL層8を、不透明の金属等からなる陰電極(カソード)9と、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等の透明な金属薄膜等よりなる陽電極(アノード)10とにより挟持するヘテロ構造に形成されている。陰,陽電極9,10はそれぞれ導線9a,10aを接続しており、これら導線9a,10aは図1で示す点灯回路4のDC(直流)出力端子にそれぞれ接続され、点灯回路4からEL層8を発光させるために必要な所要の直流電圧が印加されて、発光(点灯)される。また、陰電極9と陽電極10との間には電気絶縁体11を介装している。
【0014】
なお、陰電極9とEL層8との間には陰電極9から供給される電子をEL層8に輸送する図示省略の電子輸送層を設け、陽電極10とEL層8との間には陽電極10から供給される正孔をEL層8に輸送する正孔輸送層を設けてもよい。
【0015】
そして、透明の陽電極10の外面(図4では下底面側外面)には、透光性を有する、例えばガラスプレートやフレキシブルなプラスチックシート(またはフィルム)等からなる基板12を固着し、この基板12側を、EL層8で発光した光を外部に出射する発光領域13に形成している。発光領域13は、EL層8に対向する基板12の対向面である図4中下面の主発光面12aと、基板12の側面である発光側面12bを有する。
【0016】
一方、不透明の金属等からなる陰電極9の外面(図1では上面側外面)には、例えば窒化けい素等からなる封止体14を固着して封止し、この封止体14側を、EL層8からの発光を外部に出射させない非発光領域15に形成している。
【0017】
そして、図1,図2に示すように照明装置1は、照明装置本体2内に、複数のELモジュール3,3,…を収容して例えば2行4列のマトリクス状に配列し、これらELモジュール3,3,…の下底面である主発光面12aを一平面上に一致させて、平面形状が例えば横長長方形の大形の平面光源16を形成している。各ELモジュール3は、照明装置本体2内に配設された図示省略の複数のホルダによりそれぞれ個別に着脱可能に装着され、固定されている。
【0018】
照明装置本体2は、例えば鉄製薄板等の金属板により有蓋偏平角筒状に形成され、蓋部2aとその反対側の一端(図1では下端)2bを有し、この下端2bをほぼ全面的に開口させて開口端2bに形成している。
【0019】
また、照明装置本体2は、その蓋部2aの外面(図1では上面)の中央部に引掛けヒーシリング6を配設し、この引掛けシーリング6により天井17に着脱可能に装着される。照明装置本体2は引掛けシーリング6により天井17に装着されるので、照明装置本体2は天井17に密着せずに所要の間隔を置いて装着される。引掛けシーリング6は、図1中上部の給電側の上部引掛けシーリング6aに、図1中下部の受電側の下部引掛けシーリング6bが着脱可能に接続されるように構成されている。これら上部,下部引掛けシーリング6a,6bは、相互に着脱可能に接続される鈎状の引掛け接点6a1,6b1をそれぞれ有し、図1中上部の給電側引掛け接点6a1は、天井17側に固定され、天井17の裏側に配線される商用電源線等の交流(AC)電源線18に接続される。
【0020】
一方、図1中下部の受電側引掛け接点6b1は、図示省略の導体を介して点灯回路4のAC入力側端子に接続される。点灯回路4は、入力される交流を所要電圧の直流に整流し、この直流電圧を各ELモジュール3に印加して点灯させる。点灯回路4は、複数のELモジュール3,3,…の輝度のばらつきを、ELモジュール3の印加電圧を制御することにより低減する制御回路を設けてもよい。点灯回路4は照明装置本体2内に配設される。
【0021】
そして、図2に示すように、照明装置1は、大形平面光源16の外周に、そのほぼ全周を囲む平面形状が横長矩形枠状の導光部5を嵌合している。導光部5は複数のELモジュール3,3,…の発光側面12bから出射される光をその上方の天井17側へ照射させる導光体であり、透光性を有するアクリル樹脂等の合成樹脂により形成され、その矩形枠の内面5aを、各ELモジュール3の発光側面12bに密着させ、または近接させている。
【0022】
また、導光部5は、その平面形状外周縁部の天井17側の一面、すなわち、上面5bを、照明装置本体2の外周縁から外側方(水平方向外方)へ所定長食み出させ、所定幅の上面突出部5cを全周に亘って形成している。したがって、上面突出部5cは照明装置本体2の外周の全周を囲む矩形環状に形成されている。導光部5bは、その上面5bを、照明装置本体2の開口端2bに密着させ、または若干の間隙を形成した状態で、照明装置本体2に配設したホルダ(図示省略)により着脱可能に装着される。
【0023】
図3(A)にも示すように導光部5は、上面突出部5cを天井17側に向けてほぼ平面、または若干上り傾斜面により形成する一方、この上面突出部5cの厚さ方向反対側(図1,図3(A)では下面側)を円弧面5dにより形成し、この円弧面5dに入射された横からの光を上面突出部5c側へ導光する。すなわち、上面突出部5cには、ELモジュール3の発光側面12bから横方向の光が入射され、この入射光が上面突出部5cに導光される。
【0024】
したがって、この照明装置1によれば、複数のELモジュール3,3,…の発光側面12bから横方向へ出射される横方向の光は、導光部5の上面突出部5cへ導光され、この上面突出部5cから天井17側へ照射される。この上面突出部5cは照明装置本体2の外周の全周に形成されているので、照明装置本体2の外周の全周から天井17側へ光が照射される。
【0025】
このために、天井17側の明るさが向上する共に、この天井17を有する部屋全体の明るさ感を向上できる。
【0026】
なお、導光部5の縦断面形状は、図3(A)で示す円弧形に限定されるものではなく、例えば図3(B)に示すように導光部5の図中上部を図中下り傾斜平面5c1により切除した楔形19に形成してもよい。また、図3(C)に示すように半円形20に形成してもよい。さらに、導光部5を、その矩形枠の各四辺部等、複数部材に分解、組立可能に構成してもよい。なお、図3(B)中、5d1は、楔形導光部19の下り傾斜面5c1の厚さ方向反対側の底面であり、この底面5d1の外面を反射面に形成してもよい。また、図3(C)中、5c2,5d2は半円形20上面,下面をそれぞれ示す。
【0027】
さらに、上記実施形態では、導光部5をアクリル樹脂等の導光体により形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導光部5は、例えばレンズやプリズム、反射体、拡散体等、ELモジュール3からの横方向の光の出射方向を天井17側へ照射するように光の方向性を制御できる制光手段であればよい。
【0028】
また、制光手段としては、導光体やレンズ体等を別途設けずに、例えばELモジュール3の基板12自体の端部を、照明装置本体2の外周から外側方(水平方向外方)へ所要長突出させ、その突出端部の上面を天井17側に向け、この突出端部上面から天井17側へ光を放射させるように構成してもよい。
【0029】
さらに、上記実施形態では、複数のELモジュール3,3,…を2行4列のマトリクスに配列した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その行列数には限定されない。また、大形平面光源16の平面形状についても、正方形や多角形、その他の形状でもよく、ELモジュール3の個数についても限定されず、1個以上であればよい。
【0030】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1…照明装置、2…照明装置本体、3…EL(エレクトロルミネセンス)モジュール、4…点灯回路、5…導光部、5c…導光部の上面突出部、6…引掛けシーリング、8…EL層、9…陰電極、10…陽電極、12…基板、12a…主発光面、12b…発光側面、17…天井。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に所定の間隔を置いて離間配置される照明装置本体と;
照明装置本体に配設され、EL(エレクトロルミネセンス)発光層、EL発光層に所要の電圧を印加する一対の電極およびEL発光層からの光を出射する発光面を有するELモジュールと;
ELモジュールの一対の電極に所要の電圧を印加してEL発光層を発光させる点灯回路と;
照明装置本体が天井に配設された状態で、ELモジュールから照明装置本体の側面側へ出射される光を天井側へ照射させる制光手段と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記照明装置本体は、天井に引掛けシーリングにより所定の間隔を置いて離間配置され、
引掛けシーリングは、天井に配設されて電源線に接続される給電側引掛け接点を有する給電部と、照明装置本体のELモジュールの反対側に配設されて給電側引掛け接点に引っ掛けられて着脱可能に接続される一方、点灯回路に接続される受電側接点を有する受電部と、
を具備していることを特徴とする請求項1記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−129164(P2012−129164A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282207(P2010−282207)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】