説明

照明装置

【課題】光をより安定して出力することができ、所定の領域を安定して照明することが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】開口部を有する筐体であって、開口部に開口部の中心方向に向かって突出した係り止め部を有する筐体と、筐体の内部に配置され、開口部に向かって光を射出する半導体発光装置と、筐体の内部において開口部の開口縁と半導体発光装置との間に配置され、半導体発光装置の発する光を開口部に向かって反射するリフレクターと、を備え、リフレクターは、筐体の係り止め部に、半導体発光装置側から開口部側に向けて引っ掛ける爪部を有し、半導体発光装置の発光部と間を空けて配置されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置を含む照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の半導体発光素子を発光部とする半導体発光装置および照明装置の開発が進められている(例えば、特許文献1を参照)。半導体発光素子を有する半導体発光装置は、消費電力または製品寿命に関して注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−283449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、半導体発光素子は、指向性が高い光を出力する。このため、照明装置は、半導体発光素子の位置が変化したり、反射状態が変化したりすると照明する位置や光の強度が変化するため、照明状態が変化してしまう。本発明は、光をより安定して出力することができ、所定の領域を安定して照明することが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る照明装置は、開口部を有する筐体であって、開口部に開口部の中心方向に向かって突出した係り止め部を有する筐体と、筐体の内部に配置され、開口部に向かって光を射出する半導体発光装置と、筐体の内部において開口部の開口縁と半導体発光装置との間に配置され、半導体発光装置の発する光を開口部に向かって反射するリフレクターと、を備え、リフレクターは、筐体の係り止め部に、半導体発光装置側から開口部側に向けて引っ掛ける爪部を有し、半導体発光装置の発光部と間を空けて配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光をより安定して出力することができ、所定の領域を安定して照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態に係る照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す照明装置を一方向から見た説明図である。
【図3】図3は、図2に示す照明装置のX−X線断面図である。
【図4】図4は、図2に示す照明装置をA方向から見た説明図である。
【図5】図5は、図2に示す照明装置をB方向から見た説明図である。
【図6】図6は、図2に示す照明装置をC方向から見た説明図である。
【図7】図7は、第1保持部材と補強部材の一部を拡大して示す説明図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る第2照明部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、図8に示す第2照明部を一方向から見た説明図である。
【図10】図10は、図9に示す第2照明部のX−X線断面図である。
【図11】図11は、図9に示す第2照明部のX−X線断面図である。
【図12】図12は、図9に示す第2照明部をA方向から見た説明図である。
【図13】図13は、図9に示す第2照明部をB方向から見た説明図である。
【図14】図14は、図9に示す第2照明部をC方向から見た説明図である。
【図15】図15は、図8に示す半導体発光装置の概略構成を示す斜視図である。
【図16】図16は、半導体発光装置を構成する半導体発光素子の概観斜視図である。
【図17】図17は、図16に示す半導体発光素子のY−Y線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる照明装置の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されないものとする。図1は、本実施形態に係る照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、図1に示す照明装置を一方向から見た説明図である。図3は、図2に示す照明装置のX−X線断面図である。図4は、図2に示す照明装置をA方向から見た説明図である。図5は、図2に示す照明装置をB方向から見た説明図である。図6は、図2に示す照明装置をC方向から見た説明図である。図7は、第1保持部材と補強部材の一部を拡大して示す説明図である。
【0009】
<照明装置の構成>
照明装置1は、天井または壁等の室内に直接取り付けるか、あるいは、屋外にて使用するものである。そして、照明装置1から発せられる光は、室内または屋外を照らすことができる。
【0010】
照明装置1は、保持部2と、保持部2に保持された第1照明部3と、保持部2に保持された第2照明部4と、第1照明部3および第2照明部4と接続した配線部5と、を有する。配線部5は、第1照明部3および第2照明部4に電力を供給する電力線である。本実施形態の第1照明部3、第2照明部4は、一方向に延在した棒形状である。配線部5は、保持部2の内部に配置されており、一方の端部が第1照明部3および第2照明部4に接続され、他方の端部が外部電源に接続されている。照明装置1は、配線部5の一部を保持部2に内蔵することで配線部5を外部から見えにくくすることができる。
【0011】
<保持部の構成>
保持部2は、第1照明部3および第2照明部4を保持する機構であり、天井や土台等、照明装置1を固定する対象に固定されている。保持部2は、第1保持部材10と、第2保持部材12と、補強部材14、16と、を備える。また、保持部2は、各部を締結する締結要素として、ボルト18、20と、ナット22とを備える。
【0012】
第1保持部材10は、第1照明部3および第2照明部4と対面し、第1照明部3および第2照明部4と対面する面と反対側の面が開放された箱型形状である。第1保持部材10は、第1照明部3および第2照明部4と対面する領域が第1照明部3および第2照明部4に沿った形状である。本実施形態の第1照明部3および第2照明部4は、細長い棒形状で第1保持部材10と対面する部分の断面形状が円弧状である。このため、第1保持部材10は、図3および図4に示すように、第1照明部3および第2照明部4と対面する領域の形状が第1照明部3および第2照明部4から離れる側に凹形状の円弧状が一方向に延在する形状となる。
【0013】
また、第1保持部材10は、図5および図6に示すように、第1照明部3および第2照明部4の延在方向の長さが、第1照明部3および第2照明部4よりも短い。このため、第1保持部材10は、第1照明部3および第2照明部4の延在方向の一部と対面する。第1保持部材10は、第1照明部3および第2照明部4の一部と対面し、ボルト20およびナット22で第1照明部3および第2照明部4と連結されることで、第1照明部3および第2照明部4を保持する。なお、ボルト20は、第1照明部3または第2照明部4に固定され、ナット22は、第1保持部材10の箱形状の内部に配置されている。第1保持部材10は、第1照明部3と対面する領域、第2照明部4と対面する領域のそれぞれに配線部5を通過させる開口が形成されている。
【0014】
第2保持部材12は、天井や土台等の照明装置1を設置する対象の部分と連結する部材である。第2保持部材12は、第1保持部材10の第1照明部3および第2照明部4との接触面に対面する面が表面となる板状部材であり、第1照明部3および第2照明部4に突出した突出部が形成されている。第2保持部材12は、突出部がボルト18により第1保持部材10に締結されている。第2保持部材12は、突出部を第1保持部材10と締結することで、第1保持部材10と第2保持部材12との間に空間を形成しつつ、板状部材のすくなくとも一部を第1保持部材10の開口面に露出させることができる。また、第2保持部材12は、配線部5を通過させる開口が形成されている。
【0015】
補強部材14、16は、第1保持部材10の第2保持部材12側の面に配置された板状部材である。補強部材14、16は、第1保持部材10の箱形状の内部に沿った形状であり、第1保持部材10と第1照明部3との連結部から第1保持部材10と第2照明部4との連結部まで延在している。補強部材14、16は、ボルト20とナット22とに挟まれており、第1保持部材10および第1照明部3または第1保持部材10および第2照明部4とともに締結される。第1保持部材10にも同様に穴が形成されている。それぞれのボルト穴14a、14b、14cは第1保持部材10の穴と連通している。また、補強部材14、16は、第1保持部材10と第2保持部材12の突出部との間にも挟まれており、ボルト18により、第1保持部材10と第2保持部材12とともに締結される。補強部材14、16は、一定以上の剛性を有する部材であり、第1保持部材10と第1照明部3との締結部、第1保持部材10および第2照明部4との締結部および第1保持部材10と第2保持部材12との締結部とで各部材とともに締結されることで、締結部で各部材が変形することを抑制し、各部材を補強している。
【0016】
ここで、保持部2は、図7に示すように、第1保持部材10および補強部材14に第1保持部材10と第1照明部3との締結部と、第1保持部材10および第2照明部4との締結部とに、ボルト20を挿入可能なボルト穴が複数設けられている。図7では、補強部材14のボルト穴14a、14b、14cの3つが形成されている。なお、第1保持部材10にも同様に3つのボルト穴が形成され、それぞれのボルト穴は連通している。ボルト穴14a、14b、14cは、第1保持部材10の円弧における位置が異なる位置に形成されている。保持部2は、このように、円弧における位置が異なる複数の位置にボルト穴14a、14b、14cを設けることで、ボルト20を挿入させる位置を切り換えることで、保持部2に対する第1照明部3、第2照明部4の向き(角度)を切り換えることができる。なお、図7では、補強部材14について説明したが、補強部材16も同様である。ここで、本実施形態では、ボルト穴を複数設けることで、保持部2に対する第1照明部3、第2照明部4の向きを調整可能としたが、ボルト穴として、円弧方向に延在する穴を形成し、第1保持部材10の内部に角度調整機構を設け、角度調整機構が第1照明部3、第2照明部4を支持する向きを調整することで、保持部2に対する第1照明部3、第2照明部4の向きを調整可能としてもよい。
【0017】
<照明部の構成>
以下、図8から図15を用いて、第1照明部3および第2照明部4の構成について説明する。ここで、第1照明部3と第2照明部4とは、配置位置および配置向きが異なる点を除いて、基本的構造は同一である。そこで、以下では、代表して第2照明部4の構成について説明する。図8は、本実施形態に係る第2照明部の概略構成を示す分解斜視図である。図9は、図8に示す第2照明部を一方向から見た説明図である。図10は、図9に示す第2照明部のX−X線断面図である。図11は、図9に示す第2照明部のX−X線断面図である。図12は、図9に示す第2照明部をA方向から見た説明図である。図13は、図9に示す第2照明部をB方向から見た説明図である。図14は、図9に示す第2照明部をC方向から見た説明図である。図15は、図8に示す半導体発光装置の概略構成を示す斜視図である。
【0018】
第2照明部4は、図8に示すように、基本的に、筐体42と、側面蓋部44と、半導体発光装置46と、リフレクター47と、光透過性基板48と、を有する。第2照明部4は、筐体42と半導体発光装置46とがボルト62で締結されている。また、第2照明部4は、筐体42とボルト20とが板部60とボルト64とで固定されている。ボルト20は、ボルト20の頭部が筐体42と板部60とで挟まれている。また、板部60は、ボルト64で筐体42に締結されている。
【0019】
筐体42は、複数の半導体発光素子52を有する半導体発光装置46を保持する機能と、半導体発光装置46が有する複数の半導体発光素子52の発する熱を外部に放散させる機能とを有している。筐体42は、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス等の金属、プラスチックまたは樹脂等から構成される。筐体42は、図10および図11に示すように平面視(縦断面視)において、外側に凸の2つの曲部42a、42bと、曲部42aと曲部42bとを連結する板状部42c、とで構成されている。このように筐体42は、2つの曲部42a、42bとこれを連結する板状部42cとで構成され断面がH形状となる。筐体42は、曲部42aと曲部42bとで構成される形状が、対向する2方向にそれぞれ開口が形成された楕円または円となり、一方(板状部42cの表面側、板状部42cの半導体発光装置46が配置される面側)の開口が開口部Hとなり、他方(板状部42cの裏面側)の開口がボルト20の延在する開口となる。
【0020】
筐体42は、曲部42aと曲部42bとの相対位置関係が、板状部42cとの連結部分と開口部Hとの間において、外側に膨らんだ(距離が遠くなった)後、内側に縮む(距離が近くなる)形状である。つまり、曲部42aと曲部42bは、外側に凸に湾曲した湾曲形状となっている。また、筐体42は、曲部42a、42bの開口部H側の端部に板状部42c側に突出した係り止め部43が設けられている。係り止め部43は、曲部42aまたは曲部42bの内壁面から開口部Hの中心側に突出している部分である。また、筐体42の曲部42aと曲部42bの開口部H側の端部近傍には、光透過性基板48の端部が挿入される溝が形成されている。
【0021】
筐体42は、半導体発光装置46の発する熱を効率よく外部に放散する。また、筐体42は、半導体発光装置46の傾斜角度が変化するのを低減することによって、外部に取り出される光の指向性を良好に維持することができる。筐体42の熱伝導率は、例えば、16W/m・K以上401W/m・K以下に設定されている。また、筐体42は、曲部42a、42bの外周面に複数の凹部がされた凹凸形状である。これにより、筐体42の放熱性をより向上させることができる。
【0022】
側面蓋部44は、筐体42の長手方向の両端にそれぞれ配置されている。側面蓋部44は、筐体42の長手方向の端部を塞ぐ板状部材であり、ネジ49により筐体42に固定される。なお、ネジ49は、曲部42aと板状部42cとの連結部または曲部42bと板状部42cとの連結部に形成されたネジ穴に螺合される。
【0023】
半導体発光装置46は、複数の基板50と、基板50に実装される複数の半導体発光素子52と、基板50と基板50とを電気的に連結する連結部材53と、を有し、筐体42の板状部42cの開口部H側の面にボルト62で固定されている。
【0024】
基板50は、直方体形状である。基板50は、延在方向に隣接する基板50と連結部材53によって連結される。つまり、半導体発光装置46は、基板50の短辺側の端面同士を連結部材53で連結した構成である。半導体発光装置46は、複数の基板50を連結した構造体のその長手方向寸法が筐体42の開口部Hと略同じ長さを有した長尺の板体となる。基板50は、例えば、樹脂からなるプリント配線基板等の樹脂基板、あるいはガラス基板、あるいはアルミ基板等の金属板が用いられる。なお、基板50には、図10、図11および図15に示すようにリフレクター47の後述する突起部76が挿入される穴50aと、ボルト62が締結される穴50bとが形成されている。
【0025】
本実施形態において、基板50には、複数の半導体発光素子52が等間隔に実装されている。半導体発光素子52は、光を出力する発光部である。半導体発光素子52については後述する。なお、複数の半導体発光素子52が配列される間隔は、等間隔に限定されるものではない。
【0026】
また、半導体発光装置46は、半導体発光装置46の半導体発光素子52と電気的に接続されている駆動部(図示省略)をさらに有する。駆動部は、外部電源と電気的に接続されており、外部電源から電気が供給される。なお、駆動部の設けられる箇所は、半導体発光装置46の半導体発光素子52と電気的に接続されるのであれば、基板50に対して半導体発光素子52と同じ面に設けられる構造であってもよい。
【0027】
リフレクター47は、半導体発光素子52の発する光を反射して外部に取り出す、つまり、半導体発光素子52の発する光を開口部H側に案内する部材であり、筐体42の内部において開口部Hの開口縁と半導体発光装置46との間に配置されている。リフレクター47は、半導体発光素子52の側面を取り囲むように笠部72が設けられている。リフレクター47は、1つの半導体発光素子52に対応する笠部72が、隣接する半導体発光素子52に対応する笠部72と連結している。つまり、リフレクター47は、笠部72が半導体発光装置46の延在方向に列状に連結した形状である。
【0028】
リフレクター47は、半導体発光素子52から出射された光を反射させるものであり、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス等の熱伝導性の優れた熱の良導体から構成されている。また、リフレクター47は、金型によって成型されたポリカーボネート樹脂から成るリフレクター47の内壁面に、アルミニウムを蒸着することによって構成されてもよい。リフレクター47は、各半導体発光素子52を取り囲む態様で配置されている。なお、リフレクター47の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上500W/m・K以下に設定されている。
【0029】
リフレクター47の笠部72は、半導体発光素子52から筐体42の開口部H(リフレクター47の出射口)に向かうにつれて広がって形成されている。リフレクター47は、いわゆるパラボラ形状の円筒体である。リフレクター47で囲まれる領域が、リフレクター47の出射口に向かうにつれて大きくなることで、リフレクター47によって半導体発光素子52の発する光を遮りにくくすることができ、半導体発光素子52の発する光の照射面を広くすることができる。なお笠部72の半導体発光素子52(発光部)側の端部は、半導体発光素子52よりも大きく、半導体発光素子52と間が空いている。
【0030】
リフレクター47は、図10および図11に示すように、笠部72の開口部H側の端部に爪部73を有する。爪部73は、笠部72の開口部H側の端部を基点として、基板50(板状部42c)側に伸びた形状であり、基板50側の端部が係り止め部43の先端部(基板50側の端部)よりも基板50側に伸びている。爪部73は、基板50側の端部(先端部)が外側(開口部Hの短辺方向において外側、笠部72から離れる方向)に突出した形状である。爪部73は、先端部の外側に突出した部分の開口部H側の面73aが係り止め部43の先端部と対面している。また、爪部73は、面73aが外側の端部が係り止め部43の先端部の内側の端部よりも外側に突出している。このため、爪部73は、一定位置よりも開口部H側に移動しようとすると面73aの少なくとも一部が係り止め部43の先端部と接触する。つまり、爪部73は、係り止め部43に半導体発光装置46側から開口部H側に向けて引っ掛けかけられる。この爪部73は、図8に示すように、リフレクター47の延在方向において、一定の幅を有し、1つのリフレクター47に一定の間隔で複数配置されている。爪部73は、複数の笠部72に延在する形状でもよい。爪部73は、笠部72等の他の部分と一体で設けても、笠部72等の他の部分とは別体で設けてもよい。爪部73を他の部分とは別体で設ける場合、爪部73は、例えば樹脂等の弾性体で設けることもできる。
【0031】
リフレクター47は、リフレクター47の延在方向において、半導体発光素子52と対面していない領域、具体的には、笠部72と笠部72との連結部の一部に土台74が形成されている。土台74は、笠部72よりも基板50側に突出しており、基板50と基本的に接触している。さらに、リフレクター47は、土台74に基板50側に突出した突起部76を有する。突起部76は、基板50に形成された穴50aに挿入されている。
【0032】
リフレクター47は、以上のような構成であり、開口部H側に移動しようとすると、爪部73の面73aが係り止め部43と接触し、両者が接触する位置よりも開口部H側にリフレクター47が移動できない構造となる。このように、リフレクター47は、爪部73と係り止め部43とにより、一定位置よりも開口部H側へ移動しないように移動可能な領域が規制される。また、リフレクター47は、基板50側に移動しようとすると、土台74が基板50と接触し、両者が接触する位置よりも基板50側にリフレクター47が移動できない構造となる。このように、リフレクター47は、土台74と基板50とにより一定位置よりも基板50側へ移動しないように移動可能な領域が規制される。また、リフレクター47は、突起部76を基板50の穴50aに挿入することで、基板50の表面(開口部Hと平行な面)において基板50に対して移動できない構造となる。このように、リフレクター47は、突起部76と穴50aとにより基板50の表面において、自身と基板50との相対位置が変化しないように移動が規制される。
【0033】
光透過性基板48は、筐体42の開口部Hの開口縁に設けられる。筐体42の内部(板状部42cの開口部H側の面)に半導体発光装置46を実装した状態で、光透過性基板48を筐体42に設けることで、筐体42内に配置した半導体発光装置46を外部から保護することができる。
【0034】
光透過性基板48は、半導体発光装置46から発せられる光が透過する材料からなり、例えば樹脂またはガラス等の光透光性の材料から構成される板体である。光透過性基板48は、筐体42の端部に形成された溝に挿入されることで保持される。照明装置1は、光透過性基板48を筐体42の溝に挿入して保持することで、光透過性基板48が落下するのを防止することができる。照明装置1は、以上のような構成である。
【0035】
照明装置1は、リフレクター47に爪部73を設け、筐体42に設けた係り止め部43と接する構造とすることで、リフレクター47を筐体42に固定せずにリフレクター47と係り止め部43の相対位置を固定することができる。このように、リフレクター47を筐体42に対して固定せずに、所定の位置に維持できることで、リフレクター47が筐体42等の変形に起因した応力を緩衝することができ、リフレクター47が変形することを抑制することができる。例えば、筐体42等の形状が変形しても、リフレクター47は、その変形に応じて接触位置をずらすことができる。これにより、リフレクター47の一部に力が集中して変形し、歪みが発生することを抑制できる。また、照明装置1は、爪部73と係り止め部43を設けた構成とすることで、リフレクター47と筐体42との接触面積を少なくすることができ、接触部分も固定されないため、他の部材の熱の影響を小さくすることができる。これにより、リフレクター47で発生する熱による変形を抑制することができる。
【0036】
これにより、照明装置1は、リフレクター47が加熱されたり、変形されたりすることで生じる、リフレクター47の反射率の低下を抑制することができ、光をより安定して出力することができ、所定の領域を安定して照明することができる。これにより照明装置1から所望の光強度と配光分布で光を放出することができる。
【0037】
照明装置1は、リフレクター47の基板50側の端部に土台74を設け、土台74と基板50とを接触させる構造とすることで、リフレクター47の基板50側への移動を規制することができる。これにより、照明装置1は、爪部73と土台74で基板50の表面に直交する方向における双方向の移動を規制することができる。これにより、照明装置1は、リフレクター47を接着やネジ止め等で他の部材に固定することなく、リフレクター47の移動を規制することができる。これにより、リフレクター47での変形等をより好適に抑制することができ、上記効果をより好適に得ることができる。
【0038】
照明装置1は、リフレクター47の土台74に突起部76を設け基板50の穴50aに挿入させることで、基板50の表面(開口部Hと平行な面)における基板50に対する移動を規制することができる。これにより、基板50とリフレクター47との相対位置がずれることを抑制できる。基板50とリフレクター47との位置ずれを抑制できることで、製造時に相対位置がずれて、照明装置1から出力される光に装置毎の個体差が生じることを抑制できる。
【0039】
ここで、本実施形態の照明装置1は、リフレクター47を他の部材に固定させることなく所定の位置に支持することができ、出力する光をより安定させることができるため爪部73と土台74と突起部76とを設け、リフレクター47の位置を規制したがこれに限定されない。照明装置1は、少なくとも爪部73によりリフレクター47の開口部H側の位置を規制することで、上記効果を一定程度得ることができる。また、照明装置1は、基本的に開口部Hが鉛直方向下側に向く、つまり半導体発光装置46よりも開口部Hが鉛直方向下側に向く位置で使用されるため、リフレクター47には、開口部H方向に向けて重力が作用する。このため、リフレクター47の開口部H側への移動を規制することで、リフレクター47の位置を規制することができる。
【0040】
本実施形態の照明装置1は、半導体発光装置46の発光時に、半導体発光装置46の発する光の一部が熱に変換されるが、リフレクター47と半導体発光装置46とが直接接続されていないことで、半導体発光装置46の熱がリフレクター47に伝わりにくく、筐体2を介して筐体2の外壁面から外部に放熱される。その結果、リフレクター47が熱変形して、半導体発光装置46の発光部に対して位置ずれするのを抑制することができ、半導体発光装置46の発する光をより安定して出力することができ、所定の領域を安定して照明することができる。
【0041】
また、本実施形態の照明装置1は、半導体発光装置46およびリフレクター47を取り囲む筐体42内壁面が、筐体42の外方に向かって膨らむように湾曲していることで、半導体発光装置46の発する熱が筐体42に伝わるが、筐体42の内壁面を膨らませることで、熱源である半導体発光装置46の半導体発光素子52とリフレクター47の爪部73との間の距離を長くすることができ、筐体42からリフレクター47に伝わりにくくすることができる。その結果、リフレクター47が熱変形するのを抑制することができ、半導体発光装置46の発する光を効率よく外部に取り出すことができ、所定の領域を安定して照明することができる。
【0042】
なお、上記実施形態の照明装置1は、光を出力する照明部として、第1照明部3と第2照明部4を設けたが、照明部の数は限定されない。照明装置1は、照明部を1つ以上備えていればよく、例えば、3つの照明部を備える構成としてもよい。また、照明装置1の照明部は、上記実施形態のように半導体発光装置46の複数の半導体発光素子52を筐体の長手方向に沿って列状(一列)に配置した細長い形状(蛍光灯に近い形状)とすることが好ましいが、これにも限定されない。半導体発光装置46は、少なくとも1つの半導体発光素子52を備えていればよく、配置方法も種々の配置とすることができる。
【0043】
<半導体発光素子の構成>
図16は、半導体発光装置を構成する半導体発光素子の概観斜視図である。図17は、図16に示す半導体発光素子のY−Y線断面図である。半導体発光素子52は、実装基板91と、実装基板91上に設けられる光半導体素子92と、光半導体素子92を取り囲む枠体93と、枠体93で囲まれる領域に設けられる封止樹脂94と、枠体93によって支持され、接着樹脂95を介して枠体93に接続される波長変換部96を備えている。
【0044】
半導体発光素子52は、例えば、発光ダイオードであって、光半導体素子92内のpn接合中の電子と正孔が再結合することによって、光半導体素子92から外部に向かって光として放出される。なお、光半導体素子92は、指向性が優れている。
【0045】
実装基板91は、基板50上に設けられる。基板50と実装基板91とは、半田または導電性接着剤を介して電気的に導通されるように接合される。実装基板91は、例えば、アルミナ、ムライトまたはガラスセラミック等のセラミック材料、あるいはこれらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料から構成することができる。また、実装基板91は、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂を用いることができる。
【0046】
実装基板91の表面が拡散面である場合、光半導体素子92から発せられる光が、実装基板91の表面にて照射されて拡散反射する。そして、光半導体素子92が発する光を拡散反射によって多方向に放射し、光半導体素子92から発せられる光が特定箇所に集中するのを抑制することができる。
【0047】
ここで、実装基板91には、配線導体が設けられており、配線導体を介して基板50と電気的に接続されている。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅等の導電材料からなる。配線導体は、例えば、タングステン等の粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、実装基板91に所定パターンで印刷することにより得られる。
【0048】
光半導体素子92は、実装基板91上であって実装領域Rに実装される。具体的には、光半導体素子92は、実装基板91上に形成される配線導体上に、例えば、半田または導電性接着剤等の接着材料、あるいはボンディングワイヤ等を介して電気的に接続される。
【0049】
光半導体素子92は、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコンまたは二ホウ化ジルコニウム等の基体に有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法等の化学気相成長法を用いて、半導体層を成長させることによって作製される。なお、光半導体素子92の厚みは、例えば30μm以上1000μm以下である。
【0050】
光半導体素子92は、第1半導体層と、第1半導体層上に形成される発光層と、発光層上に形成される第2半導体層と、から構成されている。
【0051】
第1半導体層、発光層および第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウムヒ素等のIII−V族半導体、あるいは、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化インジウム等のIII族窒化物半導体などを用いることができる。なお、第1半導体層の厚みは、例えば、1μm以上5μm以下である。発光層の厚みは、例えば、25nm以上150nm以下である。第2半導体層の厚みは、例えば、50nm以上600nm以下である。また、このように構成された光半導体素子92では、例えば、370nm以上420nm以下の波長範囲の励起光を発することができる。
【0052】
実装基板91上には、光半導体素子92を取り囲むように枠状の枠体93が設けられている。枠体93は、実装基板91上に例えば半田または接着剤を介して接続される。枠体93は、セラミック材料であって、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等の多孔質材料からなる。枠体93は、多孔質材料からなり、枠体93の表面は微細な孔が多数形成される。
【0053】
枠体93は、光半導体素子92と間を空けて、光半導体素子92の周りを取り囲むように形成されている。また、枠体93は、傾斜する内壁面が下端から上端に従い外方に向かって広がるように形成されている。そして、枠体93の内壁面が、光半導体素子92から発せられる励起光の反射面として機能する。また、枠体93の内壁面が拡散面である場合には、光半導体素子92から発せられる光が、枠体93の内壁面にて拡散反射する。そして、光半導体素子92から発せられる光が特定箇所に集中するのを抑制することができる。
【0054】
また、枠体93の傾斜する内壁面は、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等から成る金属層と、金属層を被覆するニッケルまたは金等から成る鍍金金属層を形成してもよい。この鍍金金属層は、光半導体素子92の発する光を反射させる機能を有する。なお、枠体93の内壁面の傾斜角度は、実装基板91の上面に対して例えば55度以上70度以下の角度に設定されている。
【0055】
枠体93で囲まれる領域には、封止樹脂94が充填されている。封止樹脂94は、光半導体素子92を封止するとともに、光半導体素子92から発せられる光が透過する機能を備えている。封止樹脂94は、枠体93の内方に光半導体素子92を収容した状態で、枠体93で囲まれる領域である。なお、封止樹脂94は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂が用いられる。
【0056】
波長変換部96は、枠体93に支持されるとともに、光半導体素子92と間を空けて対向するように設けられる。つまり、波長変換部96は、光半導体素子92を封止する封止樹脂94と空隙を介して枠体93に設けられる。
【0057】
波長変換部96は、接着樹脂95を介して枠体93に接合されている。接着樹脂95は、波長変換部96の下面の端部から波長変換部96の側面、さらに波長変換部96の上面の端部にかけて被着している。
【0058】
接着樹脂95は、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、シリコーン樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。また、接着樹脂95は、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0059】
接着樹脂95の材料は、枠体93の熱膨張率と波長変換部96の熱膨張率との間の大きさの熱膨張率の材料が選択される。接着樹脂95の材料として、このような材料を選択することで、枠体93と波長変換部96とが熱膨張するときに、両者の熱膨張率の差に起因して、両者が剥離しようとするのを抑制することができ、両者を良好に繋ぎ止めることができる。
【0060】
接着樹脂95が、波長変換部96の下面の端部にまで被着することで、接着樹脂95が被着する面積を大きくし、枠体93と波長変換部96とを強固に接続することができる。その結果、枠体93と波長変換部96の接続強度を向上させることができ、波長変換部96の撓みが抑制される。そして、光半導体素子92と波長変換部96との間の光学距離が変動するのを効果的に抑制することができる。
【0061】
波長変換部96は、光半導体素子92から発せられる励起光が内部に入射して、内部に含有される蛍光体が励起されて、光を発するものである。ここで、波長変換部96には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等から成り、その樹脂中に、例えば430nm以上490nm以下の波長の蛍光を発する青色蛍光体、例えば500nm以上560nm以下の蛍光を発する緑色蛍光体、例えば540nm以上600nm以下の蛍光を発する黄色蛍光体、例えば590nm以上700nm以下の蛍光を発する赤色蛍光体が含有されている。なお、蛍光体は、波長変換部96中に均一に分散するように含有されている。なお、波長変換部96の厚みは、例えば0.5mm以上3mm以下に設定されている。
【0062】
また、波長変換部96の端部の厚みは一定に設定されている。波長変換部96の厚みは、例えば0.5mm以上3mm以下に設定されている。ここで、厚みが一定とは、厚みの誤差が0.1mm以下のものを含む。波長変換部96の厚みを一定にすることにより、波長変換部96にて励起される光の量を一様になるように調整することができ、波長変換部96における輝度むらを抑制することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 照明装置
2 保持部
3 第1照明部
4 第2照明部
5 配線部
10 第1保持部材
12 第2保持部材
14、16 補強部材
18、20、62、64 ボルト
22 ナット
42 筐体
43 係り止め部
44 側面蓋部
46 半導体発光装置
47 リフレクター
48 光透過性基板
49 ネジ
50 基板
50a、50b 穴
52 半導体発光素子
53 連結部材
60 板部
72 笠部
73 爪部
74 土台
76 突起部
91 実装基板
92 光半導体素子
93 枠体
94 封止樹脂
95 接着樹脂
96 波長変換部
H 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体であって、前記開口部に前記開口部の中心方向に向かって突出した係り止め部を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記開口部に向かって光を射出する半導体発光装置と、
前記筐体の内部において前記開口部の開口縁と前記半導体発光装置との間に配置され、前記半導体発光装置の発する光を前記開口部に向かって反射するリフレクターと、を備え、
前記リフレクターは、前記筐体の前記係り止め部に、前記半導体発光装置側から前記開口部側に向けて引っ掛ける爪部を有し、前記半導体発光装置の発光部と間を空けて配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記半導体発光装置および前記リフレクターを取り囲む前記筐体の内壁面が、外方に向かって膨らむように湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記半導体発光装置の発光部は、複数の半導体発光素子を有しており、前記複数の半導体発光素子が一列に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記開口部を覆い、半導体発光装置からの光を透過する光透過性基板を、さらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−248428(P2012−248428A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119652(P2011−119652)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(594135737)株式会社キルトプランニングオフィス (11)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】