説明

照明装置

【課題】照明装置において、点光源の発熱による光学特性の低下という課題を解決した照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】照明装置7はレンズ4とLEDパッケージ1の取り付け方法として、筐体5をLEDパッケージ1に取り付け、レンズ4を筐体5に取り付けるという構成を採用する。この構成により、LEDパッケージ1を基準に筐体5を取り付けることで、LEDパッケージ1からの熱を筐体5の外壁から放熱することができるからレンズ4へ伝わる熱量が軽減でき、結果として、LEDパッケージ1の発熱による光学特性低下軽減のという効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の撮影装置に使用されるLED照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】

近年、点光源照明装置、例えばLED照明装置は、電球型照明や蛍光灯型照明などの室内用の照明器具や液晶テレビのバックライトの光源など、様々な光源として利用されるようになってきた。そのひとつとして携帯電話の内蔵カメラやDSCやビデオカメラの撮影時の被写体照射用の照明として使われている。デジタルスチルカメラ(DSC)やビデオカメラは年々非常に小型化が進んでおり、搭載されるLED照明装置としても小型化するとともに、従来の光源である閃光放電管を搭載した照明装置に近づく高照度化が要求されている。
【0003】
LED照明装置としては、従来より、図4のように、複数のLEDパッケージ1が取り付けられている印刷回路基板6を筐体5の底部に取り付け、その筐体5の上部にLEDパッケージ1からの光を集光するレンズ4の取り付けを行ったLED照明装置17が知られている。(特許文献1参照)このようなLED照明装置17では、印刷回路基板6やレンズ4を、筐体5を介して取り付けているので小型化の面で不利になってしまう。
また、小型化されたLED照明装置において、より多くの光を照射範囲に集光するとともに均一な配光で照射することが、照度を高くするとともにきれいな撮影ができることになるが、それを成し遂げるためには各部材間の位置精度が必要である。特に、小型化することによりLEDパッケージ1とレンズ4の位置精度要求が高くなっており、筐体5を介してLEDパッケージ1とレンズ4を取り付けると寸法バラツキの要因が増え精度的に不利になり、結果として照度や配光角などの光学特性にバラツキが生じるという問題が発生していた。
【0004】
そこで、図5のようなLED装置18が考えられている。このLED照明装置18にはLEDチップ3を光源として、ベース基板2の凹部底部の上面に取り付け、光の波長変換用の蛍光体と透明樹脂8(例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂など)を混合した透明樹脂8を、凹部に注入してLEDチップ3を封止することでLEDパッケージ1を構成したものが使用されている。
そして、LEDチップ3から発せられた光を集光するために、LEDパッケージ1の上部にレンズ4が取付けられるが、レンズ4は、LEDパッケージ1からの発光領域内に、レンズ4の底面端部を位置決め面とし、LEDパッケージ1のベース基板2の凹部周辺の上面を基準面として、レンズ4の位置決め面がベース基板2の基準面に接するように直接取り付けるという構成を採用している。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−89318号公報
【特許文献2】特開2007−80879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、LED照明装置18において照度を上げるための別の方法として、点灯電流を大きくすればいいことが知られている。またLEDチップ3の特性として温度が低いほど電流を光に変換する効率(発光効率)が高く、LEDチップ3が高温になると発光効率が低下するとともに、LEDチップ3の動作寿命も高温での動作を続けることで短くなってしまうことも知られている。
さらにLEDチップ3を封止している透明樹脂8も熱の影響により変色してしまい光の透過率が低下し、結果として熱の影響により照度の低下につながるので、LED照明装置18はLEDチップ3が発光することで発生する熱が特性に影響を与えないように、高い放熱特性が求められている。
【0007】
しかし、図5のようなLED照明装置18では、LEDチップ3の光を集光させるためのレンズ4をLEDパッケージ1のベース基板2の基準面に直接取り付けるという構成を採用しているので、レンズ4の入光面全体がLEDパッケージ1のベース基板2や透明樹脂8に接しているために、LEDチップ3から発せられた熱がベース基板2や透明樹脂8を伝わりレンズ4へ伝わり易くなっている。そのため、LEDチップ3からの光の照度を高めるためにLEDチップ3に流す電流値を上げていくと、LEDチップ3からの発熱量も比例して増加し、レンズ4への伝わる熱量も比例して増加していく。その熱の影響でレンズ4が熱膨張することにより形状が微少変化することで光学特性が変化し、照度の低下や配光角の変化などの光学特性の低下を起こしてしまう。
【0008】
また、LEDパッケージ1において、LEDチップ3の発光効率は温度が高くなると発光効率が下がるので、LEDチップ3の温度が高い状態で使用すると、発光効率が悪くなって光量が下がってしまう。そのため、LED照明装置18として必要な照度を出すために電流値のさらなる増加が必要になり、消費電力が増加してしまう。
さらに、LEDパッケージ1においてLEDチップ3を高温下で使用し続けることで封止している透明樹脂8が熱の影響により変色するのを速めることになり、透過率が減少していくことで照度が低下し、動作寿命を短くしてしまう。
【0009】
なお、図4のLED照明装置17は熱の影響を受けにくい構成になっているが、前述のように照度や配光角などの光学特性にバラツキが生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、放熱性能を改善することで、LEDチップの温度を下げ、照度の低下を防ぎ、LEDパッケージからレンズへ伝わる熱量を削減するとともに、LEDパッケージとレンズの位置決め制度も改善したLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる照明装置は、ベース基板上に配置した点光源を前記点光源からの光を波長変換する波長変換部材で封止したパッケージと、前記パッケージからの光を制御する光学部材と、前記光学部材を保持する筐体と、前記パッケージを実装した回路基板を備えた照明装置であって、前記筐体を前記パッケージの基準面で直接位置決めしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる照明装置は、前記筐体外部をフィン形状にしたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明にかかる照明装置は、前記筐体の内壁をリフレクタ形状にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、LEDパッケージ1の基準面にベース基板2に筐体5を直接取り付け、その筐体5にレンズ4を取り付けるという構成を採用したことにより、LEDチップ3から発せられた熱が筐体5に伝わり放熱され、レンズ4に伝わる熱量を削減することができ、レンズ4によって集光された光の照度や配光制御などの光学特性への熱の影響を削減できるという効果が得られる。
【0015】
また、LEDチップ3から発せられる熱を筐体5から放熱することで、LED照明装置7の高照度化のため発光電流を大きくした場合においても、LEDチップ3の温度を下げることができ、発光効率の低下を防止し、照度の低下を防ぐという効果が得られる。
さらに、LEDチップ3から発せられる熱を筐体5から放熱することで、LED照明装置7の高照度化のために発光電流を大きくした場合においても、LEDチップ3の温度を下げることができ、LEDチップ3を封止している透明樹脂8の透過率低下を遅くすることで、照度の低下によるLED照明装置7の寿命を長くすることができるという効果が得られるとともに、筐体5をフィン形状にすることでより放熱効果が上がり、上記効果がより多く得られることになる。
加えて、筐体5をLEDパッケージ1に直接取り付けることにより、位置バラツキの要因であるベース基板2と印刷回路基板6の接続に使われる半田層10の厚みのバラツキという要因を削除することで、LEDパッケージ1とレンズ4の間の距離のバラツキが軽減され、照度や配光角などの光学特性の位置バラツキの影響を軽減するという効果が得られる。
【0016】
また、LEDパッケージ1に筐体5を取り付けることで、レンズ4とLEDパッケージ1の間に空気層を設けることが可能になり、その結果、レンズ設計の自由度を向上させる効果が得られるとともにLEDパッケージ1の発光面からレンズ4の入光面に対しての断熱効果が得られる。
さらに、LEDパッケージ1に取り付ける筐体5のLEDパッケージ1からレンズ4入光面までの内壁をリフレクタ形状にすることでLEDチップ3からの光を集光させることが出来るので、正面に出力される光量が増加するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の断面を示す図
【図2】本発明の他の実施形態に係る照明装置の断面を示す図
【図3】本発明の別の実施形態に係る照明装置の一部断面を示す図
【図4】従来の照明装置の断面を示す図
【図5】別の従来の照明装置の断面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】

以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の実施の形態にかかる照明装置7は、セラミックなどを材料とするベース基板2上に点光源発光体であるLEDチップ3が実装され、LEDチップ3は、LEDチップ3全体を覆うように、LEDチップ3からの光の波長を、所望の波長に変換するための蛍光体を含有しているエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの透明樹脂8により封止されており、ベース基板2のLEDチップ3の反対面には、金などの導電性のよい金属材料を用いて照明装置7を制御するための電気回路が形成された印刷回路基板6と接続するための電極9が形成されたLEDパッケージ1を備えている。そしてLEDチップ3と電極9は、電気的に接続されるように図示しない配線が形成されている。
また、LEDパッケージ1と印刷回路基板6は半田層10を用いて電極9と印刷回路基板6内の接続用電極部が接続されることで固定されている。
LEDパッケージ1は、ベース基板2の周辺端部上の透明樹脂8の形成されていない箇所を位置決め用の基準面としており、そのベース基板2の基準面に、アルミニウム製の筐体5の下部に形成した接合部を直接取付けることで位置決めをしている。このときベース基板2と筐体5は図示しない接着剤を用いて固定されている。
なお、筐体5におけるベース基板2の側面に沿った方向の長さは、印刷回路基板6と接触しない長さに設定されており、筐体5のベース基板2との接合部からレンズ4までの内面は、LEDパッケージ1からの光がレンズ4方向に(できるだけレンズ4の光軸方向に)反射するように上部ほど広がったリフレクタ形状の斜面になっている。これにより、LEDチップ3から発光した光を確実にレンズ4に入光させることで、より多くの光を集光してレンズ4から発光することができることになり、照明装置7の照度を高くすることができる。
筐体5の内面上部にはレンズ4の取り付け面としての段差が設けられ、ポリカーボネートやアクリルやシリコーンなどの樹脂を材料として、金型により成形したレンズ4(凸型非球面形状などの光学性能を有している)を取り付け面に装入して固定されている。筐体5とレンズ4はレンズ4の側面に図示しない接着材を用いて固定されている。
ここで、レンズ4の入光面や出光面に接着材が付着すると光の屈折に影響がでてしまうため、付着しないように筐体5の取り付け面に数箇所の溝が形成され、前記溝内に接着剤を塗布してレンズ4と接着することで、接着剤のはみ出しを防止している。
【0020】
なお、筐体5の材料としてはアルミニウムだけでなく銅や真鍮などの他の金属材料でもよく、また、筐体5の材料として樹脂材料を使用する場合は金属材料に比べて熱伝導率が低く、放熱性が十分とはいえないので、樹脂材料に炭素フィラーなどの熱伝導率の高い材料を含有させることで放熱性を向上させることができる。放熱性が向上すれば金属材料に置き換えて樹脂材料を使用することができる。
また、LEDパッケージ1からレンズ4までの間の内壁のリフレクタ形状の斜面は、例えば金属蒸着を行うことで鏡面にし、反射率を向上することができるので照度向上の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の照明装置7は、上記のような構成にすることで、LEDチップ3から発せられた熱が筐体5に伝わり放熱され、レンズ4に伝わる熱量を削減することができ、レンズ4によって集光された光の照度や配光制御などの光学特性への熱の影響が削減できるとともに、LEDパッケージ1と印刷回路基板6を固定している半田層10のバラツキによるLEDパッケージ1とレンズ4の位置精度のバラツキを小さくすることができる。
(実施の形態2)
図2には本発明にかかる発明の別の実施形態を示している。図2の照明装置14では、基本構造は図1のLED照明装置と同じ構成であり説明は省略する。相違点はベース基板12の中央部に凹部を設け、凹部の底部上面にLEDチップ3を配置した点および、凹部にLEDチップ3からの光の波長を所望の波長の周波数に変換する蛍光体を含有した透明樹脂を入れることでLEDチップ3を封止している点である。
このとき凹部の内面を上部ほど広がったリフレクタ形状の斜面にすることで、LEDチップ3からの光をレンズ4に確実に入光させることができ、レンズ4で集光することにより、照明装置14の照度が高くなる。
そして、LEDチップ3から発せられた熱が筐体5に伝わり放熱されて、レンズ4に伝わる熱量を削減することができ、レンズ4によって集光された光の照度や配光制御などの光学特性への熱の影響が削減できるとともに、LEDパッケージ1と印刷回路基板6を固定している半田層10のバラツキによるLEDパッケージ1とレンズ4の位置精度のバラツキを小さくすることができる。
(実施の形態3)
図3には本発明にかかる発明のその他の実施形態を示している。図3の照明装置16においても基本的な構造は図1の照明装置7と同じ構成であり説明は省略する。図3の照明装置16の相違点は、筐体5の筐体外壁15に複数の凹凸を設けたフィン形状にしたことで、これまでの実施形態に比べ、放熱性を向上させたことである。このように筐体5の筐体外壁15の形状をフィン形状にして表面積を大きくすることで、放熱箇所の面積拡大による放熱性能向上の効果を得ることができる。
このとき、フィン形状の筐体外壁15の表面にアルマイト処理を行ったり、黒ペイント塗装などにより着色をすることで放射率を向上させたりすると、放熱性能がさらに向上することができ、LEDチップ3から発せられた熱が筐体5に伝わって放熱され、レンズ4に伝わる熱量を削減することができる。それにより、レンズ4によって集光された光の照度や配光制御などの光学特性への熱の影響が削減できるとともに、LEDパッケージ1と印刷回路基板6を固定している半田層10のバラツキによるLEDパッケージ1とレンズ4の位置精度のバラツキを小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明にかかる照明装置は、LEDパッケージの発熱による光学特性への影響を軽減できるという効果が得られる。そのため、カメラ付き携帯電話・DSC・ビデオカメラの被写体を照射するためのLEDライト等に有用である。
【符号の説明】
【0022】
1 LEDパッケージ
2 ベース基板
3 LEDチップ
4 レンズ
5 筐体
6 印刷回路基板
7 照明装置
8 透明樹脂
9 電極
10 半田層
12 凹型ベース基板
15 筐体外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板上に配置した点光源を前記点光源からの光を波長変換する波長変換部材で封止したパッケージと、前記パッケージからの光を制御する光学部材と、前記光学部材を保持する筐体と、前記パッケージを実装した回路基板を備えた照明装置であって、前記筐体を前記パッケージの基準面で直接位置決めしたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記筐体をフィン形状にしたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記筐体の内壁をリフレクタ形状にしたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の照明装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−94611(P2012−94611A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239258(P2010−239258)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】