説明

熱交換ユニット

【課題】流路抵抗を小さくした熱交換ユニットを提供する。
【解決手段】流体が流入した場合に、流体と冷媒との間で熱交換を行う熱交換部と、熱交換部と並列に配置され、熱交換部をバイパスして流体を流すことが可能なバイパス部と、流体を熱交換部またはバイパス部に流入させるか切り換える切替部7と、切替部7を収容するバルブケース6とを備える熱交換ユニットであって、バルブケース6は、流体が導入される管部9と、切替部7によって流れ方向を設定された流体が流れる導入部10とを備え、切替部7は、切替部7の回転軸13を管部9の中心軸Oから熱交換部側にオフセットして設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される内燃機関の排気ガスから熱を回収し、この熱エネルギーを他の用途(内燃機関の暖機、車室内の暖房や発電)に利用することにより、内燃機関の燃費効率を高めるものが知られている。また、排気ガスの一部を内燃機関の吸気側に再循環させるEGRにおいて、再循環される排気ガスの温度を下げて内燃機関の燃費効率を高めるものも知られている。
【0003】
特許文献1には、熱交換器とバイパス通路とを並列に配置し、フラップを動作させて排気ガスの流れ方向を切り替えることで、排気ガスを熱交換器またはバイパス通路に流入させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−536465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の発明では、排気ガスをバイパス通路に流す場合に、排気ガスの流れ方向の曲がりが大きいので、排気ガスの流路抵抗が大きくなる、といった問題点がある。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するために発明されたもので、排気ガスの流路抵抗を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る熱交換ユニットは流体が流入した場合に、流体と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、熱交換器と並列に配置され、熱交換器をバイパスして流体を流すことが可能なバイパス部と、流体を熱交換器またはバイパス部に流入させるか切り換える切替部と、切替部を収容するバルブケースとを備える熱交換ユニットであって、バルブケースは、流体が導入される管部と、切替部によって流れ方向を設定された流体が流れる導入部とを備え、切替部は、切替部の回転軸を管部の中心軸から熱交換器側にオフセットして設けられる。
【発明の効果】
【0008】
この態様によると、流体をバイパス部に流入させる場合に、流体の流路抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態の熱交換ユニット斜視図である。
【図2】図1の平面Aにおける断面の一部を示す断面図である。
【図3】第1実施形態のフラッパーの後方斜視図である。
【図4】図2におけるフラッパーの拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態の熱交換ユニットの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の熱交換ユニットについて図1を用いて説明する。図1は本実施形態の熱交換ユニット1の斜視図である。以下においては、エンジンから排出される排気ガスを熱交換ユニット1に流入させる場合について説明するが、これに限られることはない。また、ここでは説明のため図1に示す熱交換ユニットを水平方向に配置している。
【0011】
熱交換ユニット1は、熱交換部2と、バイパス部3と、バルブ部4と、ディフューザ部5とを備える。
【0012】
バルブ部4は、バルブケース6と、フラッパー7とを備える。バルブ部4は、フランジ8を介してエンジン側の排気管に接続され、エンジン側の排気管から排気ガスが導入される。
【0013】
バルブケース6についてさらに図2を用いながら説明する。図2は図1の平面Aにおけるバルブケースの断面図である。平面Aは、後述する直管部9の中心軸Oを通り水平方向に広がる平面である。
【0014】
バルブケース6は、排気ガスの流れ方向に垂直な断面が円筒状となり、フランジ8と連結する直管部9と、フラッパー7が取り付けられ、排気ガスの流れ方向において直管部9よりも下流側に位置する導入部10と、バルブケース6の内側に突出する突出部11とを備える。
【0015】
導入部10は、フラッパー7の回動に応じて流れ方向が変更された排気ガスを熱交換部2またはバイパス部3に流入させる。以下において、熱交換部2に排気ガスを流入させる導入部10を第1導入部10aとし、バイパス部3に排気ガスを流入させる導入部10を第2導入部10bとする。
【0016】
突出部11は、導入部10に設けられる。突出部11は、第1導入部10a側と第2導入部10b側とにそれぞれ設けられる。以下において、第1導入部10a側に設けた突出部11を第1突出部11aとし、第2導入部10b側に設けた突出部11を第2突出部11bとする。突出部11は、例えばバルブケース6の一部をプレス成型することによって設けられる。なお、図2においては、フラッパー7が第1突出部11aに当接した状態、およびフラッパー7が第2突出部11bに当接した状態を説明のために示している。
【0017】
排気ガスをバイパス部3に流入させる場合に、第1突出部11aにはフラッパー7が当接するが、このときフラッパー7と第1突出部11aとが面接触するように第1突出部11aは設けられる。
【0018】
具体的には、第1突出部11aにフラッパー7が当接した場合に、第1突出部11aと直管部9の中心軸Oとの角度と、フラッパー7と直管部9の中心軸Oとの角度とが等しくなるように、第1突出部11aは設けられる。
【0019】
排気ガスを熱交換部2に流入させる場合に、第2突出部11bにはフラッパー7が当接するが、このときフラッパー7と第2突出部11bとが面接触するように第2突出部11bは設けられる。
【0020】
具体的には、第2突出部11bにフラッパー7が当接した場合に、第2突出部11bと直管部9の中心軸Oとの角度と、フラッパー7と直管部9の中心軸Oとの角度とが等しくなるように、第2突出部11bは設けられる。
【0021】
フラッパー7についてさらに図3、図4を用いて説明する。図3は、フラッパー7の後方斜視図である。図4は、図2におけるフラッパー7の拡大図である。
【0022】
フラッパー7は、バルブ軸13に連結し、バルブ軸13の軸芯を中心として回動する。バルブ軸13は、直管部9の中心軸Oから熱交換部2側にオフセットして設けられる。バルブ軸13の軸芯は、図2において直管部9の中心軸Oと、平面Aと直管部9の内周壁との交線Xとの間であり、熱交換部2とバイパス部3との境界の延長上に設けられる。
【0023】
図示しないモータなどのアクチュエータによってバルブ軸13を回動させることで、フラッパー7はバルブ軸13と共に回動する。フラッパー7は、第1突出部11aと第2突出部11bとの間を回動する。フラッパー7が第1突出部11aに当接すると、フラッパー7は、フラッパー7の背面側、つまり熱交換部2へ排気ガスをほとんど流入させずに、第2導入部10bを介してバイパス部3に排気ガスを流入させる。また、フラッパー7が第2突出部11bに当接すると、フラッパー7は、フラッパー7の背面側、つまりバイパス部3へ排気ガスをほとんど流入させずに、第1導入部10aを介して熱交換部2に排気ガスを流入させる。
【0024】
フラッパー7は、フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合にバルブ軸13の軸芯を含み、直管部9の中心軸Oに対して平行となる平面の一部である平面部15と、直管部9側の平面部15の端部から先端側にかけて湾曲する湾曲部16と、バルブ軸13に連結し、フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に平面部15よりもバイパス部3側へ突出する取付部17とを備える。
【0025】
湾曲部16は、フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に直管部9の中心軸O側に湾曲するように設けられる。湾曲部16は、フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に熱交換部2側に窪んだ凹部18を備える。
【0026】
湾曲部16に沿って流れる排気ガスと、直管部9の中心軸O方向に沿って流れる排気ガスとにより取付部17付近で渦が発生するおそれがあるが、凹部18は、この渦の発生を抑制するように設けられる。凹部18は、湾曲部16の中央付近に設けられ、フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に流速が大きい中央部付近の排気ガスの流れによって取付部17付近に渦が発生することを抑制するように設けられる。
【0027】
具体的には凹部18は、フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に凹部18の底部に沿って流れる排気ガスの流線を延長した線が取付部17と重ならないように設けられる。本実施形態では、凹部18は、湾曲部16のバルブ軸13の軸方向における中央に設けられるが、この位置からバルブ軸13の軸方向においてずれた位置であってもよい。
【0028】
熱交換部2は、流入した排気ガスと冷媒導入路20から導入された冷媒との間で熱交換を行う。熱交換部2で冷媒と熱交換を行い、温度が低くなった排気ガスはディフューザ部5へ排出される。また、排気ガスと熱交換を行い、温度が高くなった冷媒は冷媒排出路21から排出される。冷媒は、冷却水、フロン類などである。温度が高くなった冷媒は、エンジンの暖機などに使用される。
【0029】
バイパス部3は、熱交換部2と並列に配置される。バイパス部3は、バルブケース6側から見た場合に略D字状となる1つの管状の部材で構成される。
【0030】
ディフューザ部5は、フランジ19を介して外部側の排気管に接続し、熱交換部2またはバイパス部3から排出された排気ガスを外部側の排気管に排出する。
【0031】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0032】
フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に、排気ガスはバイパス部3に流入する。バルブ軸13を直管部9の中心軸Oから熱交換部2側にオフセットして設けることで、バルブケース6に流入した排気ガスの主な流れは直線的となる。
【0033】
また、熱交換部2側を流れる排気ガスは、フラッパー7の湾曲部16に沿って流れる。さらに、流速が大きい直管部9の中心軸O側の排気ガスは、凹部18に沿って流れる。
【0034】
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
【0035】
バルブ軸13を直管部9の中心軸Oから熱交換部2側にオフセットして設けることで、排気ガスをバイパス部3に流入させる場合に、バルブケース6内における排気ガスの流れが直線的になり、流路抵抗を小さくすることができる。これにより、例えばエンジンの排気ガスをバイパス部3に流入させる場合に、排気ガスを外部へ排出するためにエンジンで消費されるエネルギーを小さくすることができ、エンジンの燃費を向上することができる。
【0036】
フラッパー7の先端側に湾曲部16を設けることで、第1突出部11aおよびフラッパー7に衝突した排気ガスの流路抵抗を小さくすることができる。これにより、例えばエンジンの燃費を向上することができる。また、フラッパー7が第2突出部11bに当接した場合においても、排気ガスの流路抵抗を小さくすることができる。
【0037】
フラッパー7が第1突出部11aに当接した場合に、熱交換部2側へ窪む凹部18を湾曲部16に設けることで、湾曲部16に沿って流れる排気ガスによってバルブ軸13付近で渦が発生することを抑制することができる。また、フラッパー7の強度を向上することができる。
【0038】
次に本発明の第2実施形態について図5を用いて説明する。図5は第1実施形態の図2に対応する本実施形態のバルブケース6の断面図である。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0039】
バルブ軸13は、平面Aと直管部9の内周壁との交線X上であり、熱交換部2とバイパス部3との境界の延長上に設けられる。
【0040】
バルブケース6は、排気ガスをバイパス部3へ流入させる場合に少なくともフラッパー7の一部を格納する格納部30を備える。
【0041】
格納部30は、第1導入部10a側に設けられる。格納部30は、排気ガスをバイパス部3に流入させる場合にフラッパー7が当接する当接部31を備える。排気ガスをバイパス部3に流入させる場合には、フラッパー7は直管部9よりも熱交換部2側でバルブケース6に当接する。格納部30および当接部31は、フラッパー7が当接部31に当接した場合に、フラッパー7の平面部15が交線Xと平行となるように設けられる。
【0042】
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
【0043】
排気ガスをバイパス部3に流入させる場合に、フラッパー7が直管部9よりも熱交換部2側でバルブケース6に当接するように格納部30を設けることで、排気ガスをバイパス部3へ流入させる場合に、排気ガスの流路抵抗をさらに小さくすることができる。これにより、例えばエンジンの燃費を向上することができる。
【0044】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【0045】
本実施形態では、凹部18を湾曲部16に設けたが、平面部15にわたって設けてもよい。また、フラッパー7は、平面部15を設けずに、全体的に湾曲させても良い。
【0046】
上記実施形態では、バイパス部3に排気ガスを流入させる場合について説明したが、熱交換部2に排気ガスを流入させる場合に排気ガスの流路抵抗を小さくしてもよい。つまり、上記実施形態において、バイパス部3と熱交換部2との位置が逆であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 熱交換ユニット
2 熱交換部
3 バイパス部
6 バルブケース
7 フラッパー(切替部)
9 直管部(管部)
10 導入部
13 バルブ軸(回転軸)
16 湾曲部
18 凹部
30 格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入した場合に、前記流体と冷媒との間で熱交換を行う熱交換部と、
前記熱交換部と並列に配置され、前記熱交換部をバイパスして前記流体を流すことが可能なバイパス部と、
前記流体を前記熱交換部または前記バイパス部に流入させるか切り換える切替部と、
前記切替部を収容するバルブケースとを備える熱交換ユニットであって、
前記バルブケースは、
前記流体が導入される管部と、
前記切替部によって前記流れ方向を設定された流体が流れる導入部とを備え、
前記切替部は、前記切替部の回転軸を前記管部の中心軸から前記熱交換部側にオフセットして設けられることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換ユニットであって、
前記バルブケースは、前記切替部によって前記流体を前記バイパス部に流入させる場合に、前記切替部が前記管部よりも前記熱交換部側で前記バルブケースに当接するように少なくとも前記切替部の一部を前記熱交換部側に格納する格納部を備えることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換ユニットであって、
前記切替部は、前記切替部が前記流体を前記バイパス部に流入させる位置にある場合に、前記管部の中心軸側へ湾曲する湾曲部を備えることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換ユニットであって、
前記切替部は、前記切替部が前記流体を前記バイパス部に流入させる位置にある場合に、前記熱交換部側へ窪んだ凹部を備えることを特徴とする熱交換ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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