熱交換器及びそれを用いたヒートポンプ式給湯機
【課題】高温側における放熱ロスをおさえつつも、熱交換性能の高い熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、加熱対象の流体が流通する流体流路と、前記流体に対して熱を供与する冷媒が流通する冷媒流路を備え、前記流体と前記冷媒が対向して流通する熱交換器において、前記冷媒流路の断面における最大内径をDrとし、最大内径Drに対する円周をπDrとし、内周をLrとし、前記内周Lrと円周πDrとの比率をLr/(πDr)とした場合、低温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値が高温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値よりも大きいことを特徴とする。
【解決手段】本発明は、加熱対象の流体が流通する流体流路と、前記流体に対して熱を供与する冷媒が流通する冷媒流路を備え、前記流体と前記冷媒が対向して流通する熱交換器において、前記冷媒流路の断面における最大内径をDrとし、最大内径Drに対する円周をπDrとし、内周をLrとし、前記内周Lrと円周πDrとの比率をLr/(πDr)とした場合、低温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値が高温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値よりも大きいことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器及びそれを用いたヒートポンプ式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒によって水を加熱する給湯用熱交換器において、熱交換器の高性能化およびコンパクト化を図るために、冷媒側に溝付管などを適用したものが提案されている(特許文献1参照)。また、給湯用熱交換器、膨張弁、蒸発器、圧縮機を冷媒配管で順次接続して構成し、冷媒が臨界圧力以上で作動するヒートポンプ式給湯装置において、流路長さに対する効率を向上させるために熱交換器の高温側の流路断面積を低温側よりも大きくすることで圧力損失を低減したものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−215766号公報
【特許文献2】特開2009−168383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術を、冷媒が臨界圧力以上で動作するヒートポンプ式給湯機に適用した場合、溝付管による圧力損失の増加作用によって伝熱性能の向上作用を十分に引き出せないことがある。
【0005】
また、特許文献2の従来技術では、高温側の流路断面積を低温側よりも大きくすることで高温側での圧力損失を抑制することができ得る。しかし、高温側の流路断面積を大きくしたことに伴って外表面積が大きくなってしまう構造である。このため、特許文献2の従来技術では、高温側での圧力損失を抑制したことによる熱交換効率向上の効果よりも放熱ロスの方が大きくなっていまい、熱交換器全体としての加熱性能が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、高温側における放熱ロスをおさえつつも、熱交換性能の高い熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、加熱対象の流体が流通する流体流路と、前記流体に対して熱を供与する冷媒が流通する冷媒流路を備え、前記流体と前記冷媒が対向して流通する熱交換器において、前記冷媒流路の断面における最大内径をDrとし、最大内径Drに対する円周をπDrとし、内周をLrとし、前記内周Lrと円周πDrとの比率をLr/(πDr)とした場合、低温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値が高温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
また、前記流体流路の断面における最大内径をDwとし、最大内径Dwに対する円周をπDwとし、内周をLwとし、前記内周Lwと円周πDwとの比率をLw/(πDw)とした場合、高温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値が低温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値よりも大きいものであってもよい。
【0009】
また、前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に溝を設けたものであってもよい。
【0010】
また、前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に突起を設けたものであってもよい。
【0011】
また、前記流体流路と前記冷媒流路が流路方向に沿って接触しているものであってもよい。
【0012】
また、前記流体流路もしくは前記冷媒流路の少なくとも何れか一方がらせん状に成形されているものであってもよい。
【0013】
また、前記流体が水であり、前記冷媒が二酸化炭素であってもよい。
【0014】
また、上記の熱交換器と、前記熱交換器に流入する前記冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記熱交換器から排出された前記冷媒を膨張させる膨張手段と、前記膨張手段から排出された前記冷媒と外気とを熱交換させる蒸発手段と、を備えるヒートポンプ式給湯機が好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高温側冷媒流路の一断面の最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))を低温側冷媒流路に比べて小さくすることで圧力損失を抑制できる。加えて低温側冷媒流路では一断面の最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))を増加させることで熱伝達が促進される。以上により、高温側における放熱ロスをおさえつつも、熱交換性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係わるヒートポンプ式給湯機のシステム図である。
【図3】第1の実施形態に係わる熱交換器の低温側冷媒流路の断面図である。
【図4】第1の実施形態に係わる熱交換器の高温側冷媒流路の断面図である。
【図5】第1の実施形態に係わる熱交換器内の温度分布の一例である。
【図6】第2の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係わる熱交換器の低温側冷媒流路の断面図である。
【図8】第3の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図10】第5の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図11】第6の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図12】第6の実施形態に係わる熱交換器の流路断面内の流れの概念図である。
【図13】第7の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。下記の実施例では加熱対象の流体13として水を、熱を供与する冷媒14として臨界圧力以上で流通する冷媒(例えば、二酸化炭素)を想定しているが、本実施形態に記載する条件の範囲内で変更しても実施可能である。例えば、冷媒は、熱交換の過程で気体から気液混合状態に変化するものであってもよい。
【実施例1】
【0018】
第1の実施形態について図1〜図5に従って説明する。図2に本実施形態となる熱交換器20を搭載したヒートポンプ式給湯機の構成を示す。熱交換器20の冷媒出口12は膨張弁23の入口側へと、膨張弁23の出口側は蒸発器22の入口側へと、蒸発器22の出口側は圧縮機21の吸込側へと、そして圧縮機21の吐出側は熱交換器20の冷媒入口11へと接続されている。
【0019】
図1に熱交換器20の斜視図を示す。熱交換器20は加熱対象の流体13が流通する流体流路2と、冷媒14が流通する冷媒流路1から構成され、流体流路2と冷媒流路1は流路方向に沿って接触している。なお、流体流路2は内面が滑らかな平滑管で構成されている。以下、冷媒流路1の上流側を高温側、下流側を低温側と称す。本実施例では高温側冷媒流路3と低温側冷媒流路4の長さの比率を4:6とし、高温側冷媒流路3には平滑管を、低温側冷媒流路4には内面に溝7を有する溝付管を使用している。溝付管の溝7は流路方向に対して並行に成形されている。
【0020】
低温側冷媒流路4と高温側冷媒流路3の断面形状をそれぞれ図3、図4に示す。低温側冷媒流路4および高温側冷媒流路3の断面形状は流路方向に対して同一である。低温側冷媒流路4を構成する溝付管の流路断面積および外径は、高温側冷媒流路3を構成する平滑管と同一の値である。低温側冷媒流路4は溝7を有しているため、最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))は1よりも大きい。これに対して、高温側冷媒流路3は最大内径Drに対する円周πDrと内周Lrが同一であるため、(Lr/(πDr))は1である。
【0021】
本実施形態のヒートポンプ式給湯機の動作を説明する。冷媒14は圧縮機21で圧縮されて高温・高圧状態になり、冷媒入口11から熱交換器20へと流入する。熱交換器20へと流入した冷媒14は流体13に熱を伝え、冷媒14自身は熱を失って熱交換器20の冷媒出口12から流出する。熱交換器20から流出した冷媒14は膨張弁23を通過することで減圧し、蒸発器22にて外気から熱が加えられた後、再度圧縮機21へと流入する。
【0022】
本実施例では熱交換器20の流体入口9から流入した10℃程度の水を、65℃程度またはそれ以上まで沸き上げ、流体出口10から流出させることを想定している。この場合、圧縮機21の吐出側から熱交換器20、膨張弁23の入口側にかけて冷媒14の圧力が臨界圧力以上となる。圧力が臨界圧力以上の場合、冷媒14の温度低下に伴って密度や比熱といった物性値が気体から液体の値へと連続的に変化する。図5に本実施例で想定している熱交換器20での冷媒14と流体13の温度変化の一例を示す。線Jと線Kはそれぞれ、流体13の温度変化と冷媒14の温度変化を表している。冷媒14は入口から下流に向かうに従って温度が低下し、やがてL点にて流体13との熱交換温度差が極小となる。そしてL点の下流では熱交換温度差が再度拡大する。本実施例の動作条件において、冷媒入口11からL点までの流路長さは、冷媒流路1の全長の4割程度である。
【0023】
L点よりも高温側の領域は、冷媒14の圧力上昇にともなって比熱が増加する領域を含んでいる。これはL点よりも高温側の圧力損失を低減すると、冷媒14の温度変化が鈍化することを意味しており、結果として冷媒14の温度が線Kから線Mへと変化し、L点の熱交換温度差が拡大する。熱交換温度差が拡大するとL点での交換熱量が増加するため、流体13の温度がL点以上の値になるために必要な流路を短くすることができる。
【0024】
以上から、高温側冷媒流路3の圧力損失を低温側冷媒流路4よりも低減させることで、流路長さに対して効率の高い熱交換器20を得ることができることがわかる。そのため本実施例では、L点の前後で冷媒流路1の構造を変更した。なお、本実施例では冷媒流路1の全長に対する高温側冷媒流路3の比率を4割としたが、熱交換器20の動作条件によってL点の位置は変化するため、目的に合わせて高温側冷媒流路3の割合を任意に設定することができる。
【0025】
次に、平滑管と溝付管の圧力損失の差について説明する。
【0026】
一般に、管内を流れる流体の圧力損失は代表直径の減少に伴って増加することが知られている。ここで、代表直径は以下の式で定義される。
【0027】
Dh=4×Acsa/L
(Dh[m]:代表直径、Acsa[m2]:流路断面積、L[m]:流路の内周)
【0028】
この代表直径は様々な流路形状に対する直径を意味しており、例えば流路が円の場合には代表直径は流路の内径と一致する。すなわち前述の圧力損失と代表直径の関係は、同一の流路断面積に対して内周が長いほど圧力損失が高くなることを意味している。溝付管と平滑管の代表直径を比較すると、流路断面積は同一だが内周は溝付管の方が長い。そのため同一流路断面積であっても平滑管に比べて溝付管の圧力損失が高くなる。
【0029】
次に溝付管と平滑管の伝熱性能の差について説明する。熱交換器における交換熱量の式を以下に示す。
【0030】
Q=K×A×ΔT
(Q[W]:交換熱量、K[W/m2K]:熱通過率、A[m2]:伝熱面積、ΔT[K]:熱交換温度差)
【0031】
交換熱量は熱通過率と伝熱面積の積に比例するため、この値を伝熱性能と定義し、熱交換器20の性能を表す指標として使用する。同一流路断面積の溝付管と平滑管を比較すると、伝熱面積が大きいぶん溝付管の伝熱性能が高くなる。したがって伝熱性能だけに着目すれば、冷媒流路1を熱交換器20の冷媒入口11から冷媒出口12の全域にわたって溝付管とした方が熱交換器20の性能は高くなる。しかし前述の通り、熱交換温度差が極小となるL点から高温側では冷媒14の圧力損失が熱交換器20の性能に影響を持つため、本実施例ではL点を境にして高温側冷媒流路3に平滑管を、低温側冷媒流路4に溝付管を使用した。
【0032】
以上から、本実施例によれば、高温側と低温側の冷媒流路の大きさと関係なく高温側の圧力損失を抑制できるため、高温側冷媒管の放熱ロスをおさえつつ熱交換性能を向上させることができる。具体的には、高温側冷媒流路3と低温側冷媒流路4の外表面積が同一であるため、高温側の放熱ロスの増大を抑制しつつ高温側の圧力損失を低温側に比べて低減でき、さらに低温側の伝熱性能の向上により流路長さに対して効率の高い熱交換器20およびヒートポンプ式給湯機を提供できる。
【0033】
なお、本実施例では冷媒14が臨界圧力以上で動作する場合を想定しているが、冷媒14が熱交換の過程で気体から気液混合状態に変化する場合についても、図5のL点に対応する熱交換温度差の極小点が発生するため、本実施例を用いることで熱交換器20の性能向上が可能である。また、本実施例では溝付管の溝7を流路方向に対して並行としたが、流路方向に対してらせん状に成形した場合などについても目的とする効果が得られるため、溝7の形状は任意のものを選択できる。
【実施例2】
【0034】
第2の実施形態について図6と図7に従って説明する。図6に第2の実施形態となる熱交換器20の斜視図を示す。本実施形態では第1の実施形態における低温側冷媒流路4に突起8を有するディンプル管を用いている。突起8は低温側冷媒流路4の内壁にらせん状に配置されている。低温側冷媒流路4を構成するディンプル管の流路体積を流路長さで割った平均流路断面積と、高温側の平滑管の流路断面積は同一である。またディンプル管と平滑管の外径も同一である。
【0035】
図7に低温側冷媒流路4を構成するディンプル管の断面図を示す。ディンプル管の突起8が配置されている箇所にて、最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))は1よりも大きくなる。したがって、低温側冷媒流路4の入口から出口までの、(Lr/(πDr))の平均値についても高温側の値よりも大きくなる。
【0036】
第2の実施形態の動作について説明する。熱交換器20に流入した冷媒14は、高温側の平滑管を流通した後、ディンプル管へと流入する。ディンプル管内の突起8が配置されている部分では、同一流路断面積の平滑管に比べて内周Lrが長いため、第1の実施形態と同様の理由によって平滑管と比べて圧力損失と伝熱性能が上昇する。以上の仕組みにより、本実施例は第1の実施例と同様の効果が得られることがわかる。なお、本実施例では管内の突起8をらせん状に配置しているが、配置の方法にかかわらず目的とする効果が得られるため、任意の形状を選択できる。
【実施例3】
【0037】
第3の実施形態について図8に従って説明する。第3の実施形態は第1の実施形態のものにおいて、高温側流体流路5に流路方向と並行な溝7を有する溝付管を用いたものとなっている。
【0038】
本実施例の動作について説明する。高温側流体流路5には溝付管を用いているため、平滑管を使用した場合に比べて伝熱性能が向上する。高温側の伝熱性能の向上により、交換熱量を一定とした場合の必要流路長さが減少するため、本実施例によって高温側の放熱ロスの抑制と流路長さに対する効率の向上がさらに促される。
【0039】
なお本実施例では、低温側冷媒流路4と高温側流体流路5の両方に流路方向に平行な溝7を有する溝付管を使用しているが、流路内にらせん状の溝7を有する場合や突起8を有する場合についても同様の効果が得られるため、目的に応じて任意のものを選択できる。
【実施例4】
【0040】
第4の実施形態について図9に従って説明する。第4の実施形態は第1の実施形態から流体流路2と冷媒流路1の接触方法を変更したもので、冷媒流路1は流体流路2を芯管としてらせん状に巻きつけられている。これにより、直管同士を接触させた場合に比べて流体流路2の単位長さに対する伝熱面積が増加するため、第1の実施例と同様の効果を得つつ、熱交換器20の小型化が可能となる。
【実施例5】
【0041】
第5の実施形態について図10に従って説明する。第5の実施形態は第1の実施形態から流体流路2と冷媒流路1の位置関係を変更したもので、冷媒流路1は流体流路2の内部に配置される。これにより冷媒流路1の外面が全て伝熱に寄与することで伝熱面積が増加し、第1の実施例と同様の効果を得つつ熱交換器20の小型化が可能となる。
【実施例6】
【0042】
第6の実施形態について図11に従って説明する。第6の実施形態の熱交換器20は第1の実施形態に対して、流路の曲率を変更したものとなっている。流体流路2と冷媒流路1はそれぞれらせん状に成形され、流体流路2の外側に冷媒流路1を配置している。ここで冷媒流路1は隣接する2ピッチ分の流体流路2に対して接触している。この構造は、まず流体流路2をらせん状に成形した後、その外側に冷媒流路1を巻きつけることで容易に製造できる。
【0043】
本実施例における流体流路2と冷媒流路1の断面内の流れの模式図を図12に示す。らせん状の流路では、らせん構造外側16の流路方向の流速がらせん構造内側15に比べて高くなる。流速が高い場所ではエネルギ保存の法則に従って流体の静圧が低下し、逆に流速の遅い場所では静圧が増加する。この流路内の静圧差によって内側から外側に向かう2次流れが発生し、渦が生成される。これにより直管の場合に比べて流路内の流体の混合が促進されるため、壁面の温度が流体に伝わりやすくなる。
【0044】
以上の仕組みにより、らせん状に成形された流路では直管に比べて伝熱性能が上昇するため、本実施例によって第1の実施例と同様の効果を得つつ熱交換器20の流路の短縮が可能となる。
【実施例7】
【0045】
第7の実施形態について図13の斜視図に従って説明する。第7の実施例は第1の実施例おいて、高温側と低温側とで熱交換器20を別構造に変更したものである。高温側は、高温側冷媒流路3と高温側流体流路5を流路方向に沿って接触させた構造である。これに対して低温側は、らせん状に成形した低温側流体流路6の外面に、低温側冷媒流路4を巻きつけた構造である。低温側冷媒流路4は隣接する2ピッチ分の低温側流体流路6に対して接触している。
【0046】
上記の方法により、高温側の圧力損失を低温側に比べて低減しつつ低温側の伝熱性能を向上させるという目的に対して、最適な熱交換器を選択することができる。なお本実施例以外にも、目的に応じて高温側と低温側の熱交換器20を任意のものに変更することができる。
【0047】
上記の第4から第7の実施例は第1の実施例を派生させたものであるが、高温側流体流路5および低温側冷媒流路4に、実施例2と実施例3に記載した流路の組み合わせを適用した場合についても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0048】
1 冷媒流路
2 流体流路
3 高温側冷媒流路
4 低温側冷媒流路
5 高温側流体流路
6 低温側流体流路
7 溝
8 突起
9 流体入口
10 流体出口
11 冷媒入口
12 冷媒出口
13 流体
14 冷媒
15 らせん構造内側
16 らせん構造外側
20 熱交換器
21 圧縮機
22 蒸発器
23 膨張弁
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器及びそれを用いたヒートポンプ式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒によって水を加熱する給湯用熱交換器において、熱交換器の高性能化およびコンパクト化を図るために、冷媒側に溝付管などを適用したものが提案されている(特許文献1参照)。また、給湯用熱交換器、膨張弁、蒸発器、圧縮機を冷媒配管で順次接続して構成し、冷媒が臨界圧力以上で作動するヒートポンプ式給湯装置において、流路長さに対する効率を向上させるために熱交換器の高温側の流路断面積を低温側よりも大きくすることで圧力損失を低減したものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−215766号公報
【特許文献2】特開2009−168383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術を、冷媒が臨界圧力以上で動作するヒートポンプ式給湯機に適用した場合、溝付管による圧力損失の増加作用によって伝熱性能の向上作用を十分に引き出せないことがある。
【0005】
また、特許文献2の従来技術では、高温側の流路断面積を低温側よりも大きくすることで高温側での圧力損失を抑制することができ得る。しかし、高温側の流路断面積を大きくしたことに伴って外表面積が大きくなってしまう構造である。このため、特許文献2の従来技術では、高温側での圧力損失を抑制したことによる熱交換効率向上の効果よりも放熱ロスの方が大きくなっていまい、熱交換器全体としての加熱性能が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、高温側における放熱ロスをおさえつつも、熱交換性能の高い熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、加熱対象の流体が流通する流体流路と、前記流体に対して熱を供与する冷媒が流通する冷媒流路を備え、前記流体と前記冷媒が対向して流通する熱交換器において、前記冷媒流路の断面における最大内径をDrとし、最大内径Drに対する円周をπDrとし、内周をLrとし、前記内周Lrと円周πDrとの比率をLr/(πDr)とした場合、低温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値が高温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
また、前記流体流路の断面における最大内径をDwとし、最大内径Dwに対する円周をπDwとし、内周をLwとし、前記内周Lwと円周πDwとの比率をLw/(πDw)とした場合、高温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値が低温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値よりも大きいものであってもよい。
【0009】
また、前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に溝を設けたものであってもよい。
【0010】
また、前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に突起を設けたものであってもよい。
【0011】
また、前記流体流路と前記冷媒流路が流路方向に沿って接触しているものであってもよい。
【0012】
また、前記流体流路もしくは前記冷媒流路の少なくとも何れか一方がらせん状に成形されているものであってもよい。
【0013】
また、前記流体が水であり、前記冷媒が二酸化炭素であってもよい。
【0014】
また、上記の熱交換器と、前記熱交換器に流入する前記冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記熱交換器から排出された前記冷媒を膨張させる膨張手段と、前記膨張手段から排出された前記冷媒と外気とを熱交換させる蒸発手段と、を備えるヒートポンプ式給湯機が好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高温側冷媒流路の一断面の最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))を低温側冷媒流路に比べて小さくすることで圧力損失を抑制できる。加えて低温側冷媒流路では一断面の最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))を増加させることで熱伝達が促進される。以上により、高温側における放熱ロスをおさえつつも、熱交換性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係わるヒートポンプ式給湯機のシステム図である。
【図3】第1の実施形態に係わる熱交換器の低温側冷媒流路の断面図である。
【図4】第1の実施形態に係わる熱交換器の高温側冷媒流路の断面図である。
【図5】第1の実施形態に係わる熱交換器内の温度分布の一例である。
【図6】第2の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係わる熱交換器の低温側冷媒流路の断面図である。
【図8】第3の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図10】第5の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図11】第6の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【図12】第6の実施形態に係わる熱交換器の流路断面内の流れの概念図である。
【図13】第7の実施形態に係わる熱交換器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。下記の実施例では加熱対象の流体13として水を、熱を供与する冷媒14として臨界圧力以上で流通する冷媒(例えば、二酸化炭素)を想定しているが、本実施形態に記載する条件の範囲内で変更しても実施可能である。例えば、冷媒は、熱交換の過程で気体から気液混合状態に変化するものであってもよい。
【実施例1】
【0018】
第1の実施形態について図1〜図5に従って説明する。図2に本実施形態となる熱交換器20を搭載したヒートポンプ式給湯機の構成を示す。熱交換器20の冷媒出口12は膨張弁23の入口側へと、膨張弁23の出口側は蒸発器22の入口側へと、蒸発器22の出口側は圧縮機21の吸込側へと、そして圧縮機21の吐出側は熱交換器20の冷媒入口11へと接続されている。
【0019】
図1に熱交換器20の斜視図を示す。熱交換器20は加熱対象の流体13が流通する流体流路2と、冷媒14が流通する冷媒流路1から構成され、流体流路2と冷媒流路1は流路方向に沿って接触している。なお、流体流路2は内面が滑らかな平滑管で構成されている。以下、冷媒流路1の上流側を高温側、下流側を低温側と称す。本実施例では高温側冷媒流路3と低温側冷媒流路4の長さの比率を4:6とし、高温側冷媒流路3には平滑管を、低温側冷媒流路4には内面に溝7を有する溝付管を使用している。溝付管の溝7は流路方向に対して並行に成形されている。
【0020】
低温側冷媒流路4と高温側冷媒流路3の断面形状をそれぞれ図3、図4に示す。低温側冷媒流路4および高温側冷媒流路3の断面形状は流路方向に対して同一である。低温側冷媒流路4を構成する溝付管の流路断面積および外径は、高温側冷媒流路3を構成する平滑管と同一の値である。低温側冷媒流路4は溝7を有しているため、最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))は1よりも大きい。これに対して、高温側冷媒流路3は最大内径Drに対する円周πDrと内周Lrが同一であるため、(Lr/(πDr))は1である。
【0021】
本実施形態のヒートポンプ式給湯機の動作を説明する。冷媒14は圧縮機21で圧縮されて高温・高圧状態になり、冷媒入口11から熱交換器20へと流入する。熱交換器20へと流入した冷媒14は流体13に熱を伝え、冷媒14自身は熱を失って熱交換器20の冷媒出口12から流出する。熱交換器20から流出した冷媒14は膨張弁23を通過することで減圧し、蒸発器22にて外気から熱が加えられた後、再度圧縮機21へと流入する。
【0022】
本実施例では熱交換器20の流体入口9から流入した10℃程度の水を、65℃程度またはそれ以上まで沸き上げ、流体出口10から流出させることを想定している。この場合、圧縮機21の吐出側から熱交換器20、膨張弁23の入口側にかけて冷媒14の圧力が臨界圧力以上となる。圧力が臨界圧力以上の場合、冷媒14の温度低下に伴って密度や比熱といった物性値が気体から液体の値へと連続的に変化する。図5に本実施例で想定している熱交換器20での冷媒14と流体13の温度変化の一例を示す。線Jと線Kはそれぞれ、流体13の温度変化と冷媒14の温度変化を表している。冷媒14は入口から下流に向かうに従って温度が低下し、やがてL点にて流体13との熱交換温度差が極小となる。そしてL点の下流では熱交換温度差が再度拡大する。本実施例の動作条件において、冷媒入口11からL点までの流路長さは、冷媒流路1の全長の4割程度である。
【0023】
L点よりも高温側の領域は、冷媒14の圧力上昇にともなって比熱が増加する領域を含んでいる。これはL点よりも高温側の圧力損失を低減すると、冷媒14の温度変化が鈍化することを意味しており、結果として冷媒14の温度が線Kから線Mへと変化し、L点の熱交換温度差が拡大する。熱交換温度差が拡大するとL点での交換熱量が増加するため、流体13の温度がL点以上の値になるために必要な流路を短くすることができる。
【0024】
以上から、高温側冷媒流路3の圧力損失を低温側冷媒流路4よりも低減させることで、流路長さに対して効率の高い熱交換器20を得ることができることがわかる。そのため本実施例では、L点の前後で冷媒流路1の構造を変更した。なお、本実施例では冷媒流路1の全長に対する高温側冷媒流路3の比率を4割としたが、熱交換器20の動作条件によってL点の位置は変化するため、目的に合わせて高温側冷媒流路3の割合を任意に設定することができる。
【0025】
次に、平滑管と溝付管の圧力損失の差について説明する。
【0026】
一般に、管内を流れる流体の圧力損失は代表直径の減少に伴って増加することが知られている。ここで、代表直径は以下の式で定義される。
【0027】
Dh=4×Acsa/L
(Dh[m]:代表直径、Acsa[m2]:流路断面積、L[m]:流路の内周)
【0028】
この代表直径は様々な流路形状に対する直径を意味しており、例えば流路が円の場合には代表直径は流路の内径と一致する。すなわち前述の圧力損失と代表直径の関係は、同一の流路断面積に対して内周が長いほど圧力損失が高くなることを意味している。溝付管と平滑管の代表直径を比較すると、流路断面積は同一だが内周は溝付管の方が長い。そのため同一流路断面積であっても平滑管に比べて溝付管の圧力損失が高くなる。
【0029】
次に溝付管と平滑管の伝熱性能の差について説明する。熱交換器における交換熱量の式を以下に示す。
【0030】
Q=K×A×ΔT
(Q[W]:交換熱量、K[W/m2K]:熱通過率、A[m2]:伝熱面積、ΔT[K]:熱交換温度差)
【0031】
交換熱量は熱通過率と伝熱面積の積に比例するため、この値を伝熱性能と定義し、熱交換器20の性能を表す指標として使用する。同一流路断面積の溝付管と平滑管を比較すると、伝熱面積が大きいぶん溝付管の伝熱性能が高くなる。したがって伝熱性能だけに着目すれば、冷媒流路1を熱交換器20の冷媒入口11から冷媒出口12の全域にわたって溝付管とした方が熱交換器20の性能は高くなる。しかし前述の通り、熱交換温度差が極小となるL点から高温側では冷媒14の圧力損失が熱交換器20の性能に影響を持つため、本実施例ではL点を境にして高温側冷媒流路3に平滑管を、低温側冷媒流路4に溝付管を使用した。
【0032】
以上から、本実施例によれば、高温側と低温側の冷媒流路の大きさと関係なく高温側の圧力損失を抑制できるため、高温側冷媒管の放熱ロスをおさえつつ熱交換性能を向上させることができる。具体的には、高温側冷媒流路3と低温側冷媒流路4の外表面積が同一であるため、高温側の放熱ロスの増大を抑制しつつ高温側の圧力損失を低温側に比べて低減でき、さらに低温側の伝熱性能の向上により流路長さに対して効率の高い熱交換器20およびヒートポンプ式給湯機を提供できる。
【0033】
なお、本実施例では冷媒14が臨界圧力以上で動作する場合を想定しているが、冷媒14が熱交換の過程で気体から気液混合状態に変化する場合についても、図5のL点に対応する熱交換温度差の極小点が発生するため、本実施例を用いることで熱交換器20の性能向上が可能である。また、本実施例では溝付管の溝7を流路方向に対して並行としたが、流路方向に対してらせん状に成形した場合などについても目的とする効果が得られるため、溝7の形状は任意のものを選択できる。
【実施例2】
【0034】
第2の実施形態について図6と図7に従って説明する。図6に第2の実施形態となる熱交換器20の斜視図を示す。本実施形態では第1の実施形態における低温側冷媒流路4に突起8を有するディンプル管を用いている。突起8は低温側冷媒流路4の内壁にらせん状に配置されている。低温側冷媒流路4を構成するディンプル管の流路体積を流路長さで割った平均流路断面積と、高温側の平滑管の流路断面積は同一である。またディンプル管と平滑管の外径も同一である。
【0035】
図7に低温側冷媒流路4を構成するディンプル管の断面図を示す。ディンプル管の突起8が配置されている箇所にて、最大内径Drに対する円周πDrを基準とした内周Lrの比率(Lr/(πDr))は1よりも大きくなる。したがって、低温側冷媒流路4の入口から出口までの、(Lr/(πDr))の平均値についても高温側の値よりも大きくなる。
【0036】
第2の実施形態の動作について説明する。熱交換器20に流入した冷媒14は、高温側の平滑管を流通した後、ディンプル管へと流入する。ディンプル管内の突起8が配置されている部分では、同一流路断面積の平滑管に比べて内周Lrが長いため、第1の実施形態と同様の理由によって平滑管と比べて圧力損失と伝熱性能が上昇する。以上の仕組みにより、本実施例は第1の実施例と同様の効果が得られることがわかる。なお、本実施例では管内の突起8をらせん状に配置しているが、配置の方法にかかわらず目的とする効果が得られるため、任意の形状を選択できる。
【実施例3】
【0037】
第3の実施形態について図8に従って説明する。第3の実施形態は第1の実施形態のものにおいて、高温側流体流路5に流路方向と並行な溝7を有する溝付管を用いたものとなっている。
【0038】
本実施例の動作について説明する。高温側流体流路5には溝付管を用いているため、平滑管を使用した場合に比べて伝熱性能が向上する。高温側の伝熱性能の向上により、交換熱量を一定とした場合の必要流路長さが減少するため、本実施例によって高温側の放熱ロスの抑制と流路長さに対する効率の向上がさらに促される。
【0039】
なお本実施例では、低温側冷媒流路4と高温側流体流路5の両方に流路方向に平行な溝7を有する溝付管を使用しているが、流路内にらせん状の溝7を有する場合や突起8を有する場合についても同様の効果が得られるため、目的に応じて任意のものを選択できる。
【実施例4】
【0040】
第4の実施形態について図9に従って説明する。第4の実施形態は第1の実施形態から流体流路2と冷媒流路1の接触方法を変更したもので、冷媒流路1は流体流路2を芯管としてらせん状に巻きつけられている。これにより、直管同士を接触させた場合に比べて流体流路2の単位長さに対する伝熱面積が増加するため、第1の実施例と同様の効果を得つつ、熱交換器20の小型化が可能となる。
【実施例5】
【0041】
第5の実施形態について図10に従って説明する。第5の実施形態は第1の実施形態から流体流路2と冷媒流路1の位置関係を変更したもので、冷媒流路1は流体流路2の内部に配置される。これにより冷媒流路1の外面が全て伝熱に寄与することで伝熱面積が増加し、第1の実施例と同様の効果を得つつ熱交換器20の小型化が可能となる。
【実施例6】
【0042】
第6の実施形態について図11に従って説明する。第6の実施形態の熱交換器20は第1の実施形態に対して、流路の曲率を変更したものとなっている。流体流路2と冷媒流路1はそれぞれらせん状に成形され、流体流路2の外側に冷媒流路1を配置している。ここで冷媒流路1は隣接する2ピッチ分の流体流路2に対して接触している。この構造は、まず流体流路2をらせん状に成形した後、その外側に冷媒流路1を巻きつけることで容易に製造できる。
【0043】
本実施例における流体流路2と冷媒流路1の断面内の流れの模式図を図12に示す。らせん状の流路では、らせん構造外側16の流路方向の流速がらせん構造内側15に比べて高くなる。流速が高い場所ではエネルギ保存の法則に従って流体の静圧が低下し、逆に流速の遅い場所では静圧が増加する。この流路内の静圧差によって内側から外側に向かう2次流れが発生し、渦が生成される。これにより直管の場合に比べて流路内の流体の混合が促進されるため、壁面の温度が流体に伝わりやすくなる。
【0044】
以上の仕組みにより、らせん状に成形された流路では直管に比べて伝熱性能が上昇するため、本実施例によって第1の実施例と同様の効果を得つつ熱交換器20の流路の短縮が可能となる。
【実施例7】
【0045】
第7の実施形態について図13の斜視図に従って説明する。第7の実施例は第1の実施例おいて、高温側と低温側とで熱交換器20を別構造に変更したものである。高温側は、高温側冷媒流路3と高温側流体流路5を流路方向に沿って接触させた構造である。これに対して低温側は、らせん状に成形した低温側流体流路6の外面に、低温側冷媒流路4を巻きつけた構造である。低温側冷媒流路4は隣接する2ピッチ分の低温側流体流路6に対して接触している。
【0046】
上記の方法により、高温側の圧力損失を低温側に比べて低減しつつ低温側の伝熱性能を向上させるという目的に対して、最適な熱交換器を選択することができる。なお本実施例以外にも、目的に応じて高温側と低温側の熱交換器20を任意のものに変更することができる。
【0047】
上記の第4から第7の実施例は第1の実施例を派生させたものであるが、高温側流体流路5および低温側冷媒流路4に、実施例2と実施例3に記載した流路の組み合わせを適用した場合についても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0048】
1 冷媒流路
2 流体流路
3 高温側冷媒流路
4 低温側冷媒流路
5 高温側流体流路
6 低温側流体流路
7 溝
8 突起
9 流体入口
10 流体出口
11 冷媒入口
12 冷媒出口
13 流体
14 冷媒
15 らせん構造内側
16 らせん構造外側
20 熱交換器
21 圧縮機
22 蒸発器
23 膨張弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象の流体が流通する流体流路と、
前記流体に対して熱を供与する冷媒が流通する冷媒流路を備え、
前記流体と前記冷媒が対向して流通する熱交換器において、
前記冷媒流路の断面における最大内径をDrとし、最大内径Drに対する円周をπDrとし、内周をLrとし、前記内周Lrと円周πDrとの比率をLr/(πDr)とした場合、低温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値が高温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値よりも大きいことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記流体流路の断面における最大内径をDwとし、最大内径Dwに対する円周をπDwとし、内周をLwとし、前記内周Lwと円周πDwとの比率をLw/(πDw)とした場合、高温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値が低温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に溝を設けたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に突起を設けたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記流体流路と前記冷媒流路が流路方向に沿って接触していることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記流体流路もしくは前記冷媒流路の少なくとも何れか一方がらせん状に成形されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記流体が水であり、
前記冷媒が二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項8】
請求項1または2に記載の熱交換器と、
前記熱交換器に流入する前記冷媒を圧縮する圧縮手段と、
前記熱交換器から排出された前記冷媒を膨張させる膨張手段と、
前記膨張手段から排出された前記冷媒と外気とを熱交換させる蒸発手段と、を備えることを特徴とする、ヒートポンプ式給湯機。
【請求項1】
加熱対象の流体が流通する流体流路と、
前記流体に対して熱を供与する冷媒が流通する冷媒流路を備え、
前記流体と前記冷媒が対向して流通する熱交換器において、
前記冷媒流路の断面における最大内径をDrとし、最大内径Drに対する円周をπDrとし、内周をLrとし、前記内周Lrと円周πDrとの比率をLr/(πDr)とした場合、低温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値が高温側における前記比率Lr/(πDr)の平均値よりも大きいことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記流体流路の断面における最大内径をDwとし、最大内径Dwに対する円周をπDwとし、内周をLwとし、前記内周Lwと円周πDwとの比率をLw/(πDw)とした場合、高温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値が低温側における前記比率Lw/(πDw)の平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に溝を設けたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記流体流路もしくは前記冷媒流路の低温側の内周に突起を設けたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記流体流路と前記冷媒流路が流路方向に沿って接触していることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記流体流路もしくは前記冷媒流路の少なくとも何れか一方がらせん状に成形されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記流体が水であり、
前記冷媒が二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項8】
請求項1または2に記載の熱交換器と、
前記熱交換器に流入する前記冷媒を圧縮する圧縮手段と、
前記熱交換器から排出された前記冷媒を膨張させる膨張手段と、
前記膨張手段から排出された前記冷媒と外気とを熱交換させる蒸発手段と、を備えることを特徴とする、ヒートポンプ式給湯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−88045(P2013−88045A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229513(P2011−229513)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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