説明

熱交換器

【課題】排気ガスの入口側における冷却水の局部沸騰を抑制可能とする熱交換器を提供することにある。
【解決手段】扁平状断面を成して積層される複数のチューブ110と、チューブ110の外側に形成される流路115とを備え、チューブ110内を流通する内燃機関の排気ガスと、流路115を流通する内燃機関冷却用の冷却水との間で熱交換する熱交換器において、排気ガスのチューブ110への流入側となるチューブ110の外表面の所定領域に、チューブ110の外表面と冷却水との間の熱伝達率を上げて、チューブ110の外表面における冷却水の温度境界層の温度を低下させる凸状部116を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばEGR(排気再循環装置)において内燃機関の燃焼により発生した排気ガスと内燃機関の冷却水との間で熱交換を行う排気熱交換器に適用して好適な熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、EGR(排気再循環装置)においてエンジンから排出される排気ガスの一部をエンジンの吸気側に循環させる際に、この排気ガスをエンジンの冷却水によって冷却する熱交換器が知られている。
【0003】
即ち、この熱交換器は、複数積層された扁平状の伝熱管(伝熱管群)が断面四角形状のアウターケース内部に収容されて形成されている。アウターケースの長手方向の一方には排気ガスを導入する導入部が形成され、また他方には排気ガスを導出する導出部が形成され、導入部と導出部との間が本体部として形成されている。
【0004】
また、伝熱管の長手方向の両端位置には、それぞれ拡管部が形成されており、この拡管部が積層される際に互いに接合されている。更に、互いに接合された拡管部全体の外周部位が、アウターケースの本体部の両端部側となる内壁に接合されている。
【0005】
そして、アウターケースの本体部には、この本体部内に冷却水を流入させる流入管と、本体部内の冷却水を流出させる流出管とが形成されている。
【0006】
上記熱交換器においては、冷却水が流入管からアウターケースの本体部内に流入して、本体部内(複数の伝熱管の外側)を流通した後に、流出管から流出する。また、排気ガスは導入部から流入して、各伝熱管に分配され、各伝熱管内を流通した後に、導出部で集合されて流出する。この時、アウターケースの本体部内で排気ガスが冷却水によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−225190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記熱交換器においては、燃焼ガスの温度(700〜800℃)が冷却水の温度(90〜100℃)に対して非常に高い状況で使用されるため、ガスの入口側となる導入部近傍において、冷却水が局部的に沸騰してしまうおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、排気ガスの入口側における冷却水の局部沸騰を抑制可能とする熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0011】
請求項1に記載の発明では、扁平状断面を成して積層される複数のチューブ(110)と、チューブ(110)の外側に形成される流路(115)とを備え、チューブ(110)内を流通する内燃機関の排気ガスと、流路(115)を流通する内燃機関冷却用の冷却水との間で熱交換する熱交換器において、排気ガスの流入側となるチューブ(110)の外表面の所定領域に複数の凸状部(116)が形成されており、チューブの(110)の一方の外表面(110a)に形成された凸状部(116)は、チューブの他方の外表面(110b)に形成された凸状部(116)とは異なる位置に形成されており、複数のチューブ(110)を積層した時に、チューブの一方の外表面(110a)に形成された凸状部(116)がチューブの他方の外表面(110b)に形成された凸状部(116)の間に位置することを特徴とする。
【0012】
これにより、排気ガスの入口側における冷却水の流速を上げることができる。よって、チューブ(110)の外表面と冷却水との間の熱伝達率を上げて、チューブ(110)の外表面における冷却水の温度境界層の温度を低下させることができ、排気ガスの入口側における冷却水の局部沸騰を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、チューブ(110)内には、チューブ(110)の内壁に接触されるインナーフィン(120)が設けられており、前記凸状部(116)は、前記一般領域流通断面積に対する前記所定領域流通断面積の比を0.9以下とすると共に、前記内壁と前記インナーフィン(120)との接触面積低下割合を5%以上とするディンプル(116)であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明では、所定領域は、前記排気ガスが前記チューブ(110)に流入する流入端部(118)から、前記排気ガスの下流側へ80mmまでの領域としたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、ディンプル(116)は、排気ガスのチューブ(110)からの流出側にも、チューブ(110)の長手方向中心に対して対称となるように設けられたことを特徴としている。これにより、チューブ(110)の長手方向における方向性をなくして、組付け段階における誤組付けを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態におけるEGRガスクーラの外観を示す斜視図である。
【図2】実施形態におけるEGRガスクーラの主な構成を示す分解斜視図である。
【図3】実施形態におけるチューブ110を示す斜視図である。
【図4】実施形態におけるディンプルによる冷却水の局部沸騰抑制の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態は、本発明に係る熱交換器を車両用ディーゼルエンジン及びガソリンエンジン(内燃機関であり、以下エンジン)の排気ガス再循環装置(EGR)におけるEGRガスクーラ100Aに適用したものである。以下、図1〜図3を用いて、EGRガスクーラ100Aの構成について説明する。
【0017】
図1はEGRガスクーラ100Aの外観を示す斜視図、図2はEGRガスクーラ100Aの主な構成を示す分解斜視図、図3はチューブ110を示す斜視図である。
【0018】
EGRガスクーラ100Aは、エンジンに再循環させる排気ガスをエンジンの冷却水によって冷却する排気熱交換器である。このEGRガスクーラ100Aは、図1〜図3に示すように、内部にインナーフィン120が配設される複数のチューブ110、第1水側タンク130A、第2水側タンク130B、入口水パイプ141、出口水パイプ142、およびガス側タンク151、152等から構成されている。以下説明する各部材は、耐強度性、および耐腐食性に優れるステンレス系材料から成形されており、各部材の当接部がろう付け、あるいは溶接により接合されている。
【0019】
チューブ110は、図2、図3に示すように、2枚のチューブプレート110a、110bから形成されている。各チューブプレート110a、110bは、プレス加工またはロール加工によって平板から断面が浅いコの字形状に形成されている。そして、各チューブプレート110a、110bの開口側が互いに接合されることで、チューブ110は扁平状断面を有する細長の管部材として形成されている。
【0020】
チューブ110の内部には、薄肉板材から断面波形状にプレス加工されたインナーフィン120が配設されている。インナーフィン120は、チューブ110の内面(後述するチューブ基本面111)に接合されている。このインナーフィン120を有するチューブ110は、両チューブプレート110a、110bによってインナーフィン120を挟み込むようにして組付けを行った後に、接合することで形成される。
【0021】
チューブ110は、扁平状断面の長辺側となるチューブ基本面111が互いに対向するように複数積層されており、チューブ110の内部に形成されるガス流路114、およびチューブ110の外側に形成される水流路115(詳細後述)を有している。
【0022】
チューブ基本面111には、凸部112および凹部113が設けられている。凸部112は、チューブ基本面111の表面から外方に向けて突出するようにプレス加工された打出し部であり、チューブ基本面111の外周部に堰のように形成されている。そして、凹部113は、上記凸部112の突出頂点からチューブ基本面111側にへこむへこみ部として形成されている。換言すると、凹部113は、凸部112の成形されない凸部非成形部として設けられている。凹部113の形成される位置は、ここではチューブ基本面111の両長辺における両端部側となる4ヶ所としている。
【0023】
上記チューブ110は、図2、図3に示すように、チューブ基本面111に形成された凸部112が互いに当接するように複数積層されて、各凸部112同士が接合されている。
【0024】
ここで、図3に示すように、積層されるチューブ110間において、凸部112の内側領域には空間が形成されて、この空間が冷却水用の水流路(流路)115となっている。
【0025】
また、チューブ基本面111で4ヶ所形成される凹部113のうち、チューブ110長手方向の一方の凹部113同士によって形成される開口部は、外部と上記水流路115とが連通して冷却水が流入する流入側開口部113aとなっている(図3中の上下2ヶ所)。
【0026】
また、チューブ基本面111で4ヶ所形成される凹部113のうち、チューブ110長手方向の他方の凹部113同士によって形成される開口部は、外部と上記水流路115とが連通して冷却水が流出する流出側開口部113bとなっている(2ヶ所)。ここでは、ガス流路114(チューブ110内)において、排気ガスが流入する側を流入側開口部113aとし、その反対側を流出側開口部113bとしている。
【0027】
そして、チューブ110の流入側開口部113a側となるチューブ基本面111には、チューブ110の外表面における冷却水の温度境界層の温度を低下させる温度低下手段としての凸状部が形成されている。凸状部は、ここでは、複数のディンプル116として形成されている。
【0028】
ディンプル116は、チューブ110の長手方向における排気ガスの流入側となる流入端部118(図3)から下流側に向けて所定の領域に設けられている。この所定領域は、例えば、流入端部118から30mm〜80mmの領域として設定することができる。更に望ましくは、所定領域は流入端部118から40mmの領域とするのが良い。その根拠については、後述する。
【0029】
ディンプル116は、例えば直径が4〜6mm程度の円筒形の凸状部として設定することができ、碁盤目状に複数配置されている。ディンプル116の突出寸法は、チューブ110の外周部の凸部112の突出寸法と同一としている。また、ディンプル116の配置位置は、チューブプレート110aとチューブプレート110bとでは、異なるようにしている。つまり、チューブ110を積層した時に、互いに対向するチューブプレート110a、110bにおいて、チューブプレート110aの各ディンプル116が、チューブプレート110bの各ディンプル116の間に位置するようにしている。
【0030】
上記のようなディンプル116を形成することにより、チューブ110の所定領域における水流路115の流通断面積(所定領域流通断面積)は、ディンプル116が形成されない一般領域における水流路115の流通断面積(一般領域流通断面積)よりも小さくなる。ディンプル116の大きさ、数、配置等により、一般領域流通断面積に対する所定領域流通断面積の比は、0.9以下にすることが望ましい。
【0031】
また、上記のようなディンプル116を形成することにより、チューブ基本面111とインナーフィン120との接触面積が低下することになるが、意図的にディンプル116を設けるものとしていることから、この接触面積の低下割合は5%以上となる。
【0032】
加えて、本実施形態では、チューブ110の長手方向における排気ガスの流出側となる端部にも、同様のディンプル116を設けている。つまり、チューブ110の長手方向の中心に対して対称となるように、ディンプル116が設けられている。
【0033】
第1水側タンク130A、第2水側タンク130Bは、図2に示すように、チューブ基本面111に対向する本体部131と、この本体部131の四隅からチューブ110側に略90度に折り曲げられて、各開口部113a、113bをそれぞれ内包するように張出された張出部132とを備えており、積層されたチューブ110の外側から被せられるように組付けされて接合されている。
【0034】
本体部131は、チューブ110の凸部112に当接する外周部131aと、この外周部131aの内側領域で、外周部131aからチューブ110の積層方向の外方に膨出する膨出部131bとを備えている。
【0035】
また、張出部132は、チューブ110の側面部の各開口部113a、113bをそれぞれ内包するように当接する外周部132aと、この外周部132aの内側領域で、外周部132aからチューブ110の側面部の外方に膨出する膨出部132bとを備えている。
【0036】
最外方のチューブ110(チューブ基本面111)と本体部131の膨出部131bとの間には各チューブ110間に形成される水流路115と同様の水流路115が形成されている。最外方のチューブ110の凹部113と本体部131の膨出部131bとの間には各チューブ110間に形成される各開口部113a、113bと同様の開口部113a、113bが形成されている。また、チューブ110の側面部(各開口部113a、113bに対応する位置)と張出部132の膨出部132bとの間には空間が形成されている。
【0037】
第1水側タンク130Aと第2水側タンク130Bとでは、張出部132の張出長さが異なっており、一方(図2中の130Aの上側)の張出部132の張出長さが、ほぼチューブ110の積層寸法となっており、他方(図2中の130Bの上側)の張出部132の張出長さが、一方の張出部132の先端部に対して所定長さで重なり合う程度の寸法となっている。下側においては上記の逆となっている。
【0038】
第1水側タンク130Aの流入側開口部113aに対応する張出部132(図2中の手前上側)の膨出部132bには、更に椀状に膨出するパイプ用膨出部132cが形成されており、このパイプ用膨出部132cには、バーリング部(縁立て部)を備える入口水パイプ141接続用のパイプ孔132dが穿設されている。図示は省略しているが、上記第1水側タンク130Aと同様に、第2水側タンク130Bの流出側開口部113bに対応する張出部(図2中の奥下側)の膨出部には、更に椀状に膨出するパイプ用膨出部が形成されており、このパイプ用膨出部には、バーリング部(縁立て部)を備える出口水パイプ142接続用のパイプ孔が穿設されている。
【0039】
入口水パイプ141は、エンジンからの冷却水が流入するパイプであり、その先端部は、パイプ孔132dに挿入されて接合されている。入口水パイプ141は、パイプ用膨出部132c、および膨出部132bを介してチューブ110の流入側開口部113aと連通している。
【0040】
出口水パイプ142は、チューブ110の水流路115を流通した冷却水が流出するパイプであり、その先端部は、第2水側タンク130Bの膨出部(パイプ用膨出部)のパイプ孔に挿入されて接合されている。出口水パイプ142は、パイプ用膨出部、および膨出部を介してチューブ110の流出側開口部113bと連通している。
【0041】
ガス側タンク151、152は、図2に示すように、全体が漏斗状に形成されて、大きく開口する側が四角形状を成し、小さく開口する側が円形状を成すタンクとなっている。
【0042】
ガス側タンク151、152の四角形状に開口する側が、それぞれ、複数積層されたチューブ110の外周に当接して接合されている。ガス側タンク151、152の内部は、複数積層されたチューブ110の内部(ガス流路114)と連通している。更にガス側タンク151、152の円形状に開口する側(先端部)には、それぞれ、排気ガス再循環装置(EGR)側に接続されるフランジ151b、152aが接合されている。
【0043】
以上のように構成されるEGRガスクーラ100Aにおいては、図1に示すように、エンジンから排出された排気ガスの一部が、フランジ151a→ガス側タンク151を経て複数のチューブ110内のガス流路114を流通して、ガス側タンク152→フランジ152aから流出される。流出された排気ガスは再びエンジンに吸入される。
【0044】
一方、エンジンの冷却水は、排気ガスの流入側となる入口水パイプ141→張出部132の各膨出部132c、132b内→上側の流入側開口部113aを経て、複数のチューブ110間に形成された水流路115、および最外方のチューブ111と膨出部131bとの間に形成された水流路115を流通して、流出側開口部113b、張出部132の各膨出部→出口水パイプ142から流出される。
【0045】
入口水パイプ141から流入した冷却水の一部は、一旦、下側の流入側開口部113aから膨出部132bに当たり、再びUターンして水流路115内を流れる。
【0046】
そして、上記ガス流路114を流通する排気ガスと、水流路115を流通する冷却水との間で熱交換が行われて、排気ガスが冷却される。
【0047】
本実施形態においては、排気ガスのチューブ110への流入側となるチューブ110の外表面の所定領域に、チューブ110の外表面と冷却水との間の熱伝達率を上げて、チューブ110の外表面における冷却水の温度境界層の温度を低下させる温度低下手段としての凸状部を設けるようにしている。
【0048】
よって、チューブ110の外表面における温度を低下させることができるので、排気ガスの入口側における冷却水の局部沸騰を抑制することができる。
【0049】
具体的には、凸状部を複数のディンプル116として形成し、このディンプル116によって、所定領域における所定領域流通断面積が、一般領域における一般領域流通断面積よりも小さくなる(0.9以下)ようにしている。
【0050】
よって、排気ガスの入口側における冷却水の流速を上げることができ、チューブ110の外表面と冷却水との間の熱伝達率を上げて、チューブ110の外表面における冷却水の温度境界層の温度を低下させることができ、排気ガスの入口側における冷却水の局部沸騰を抑制することができるのである。
【0051】
図4は、ディンプル116による冷却水の局部沸騰抑制の結果を示すグラフである。確認条件は、排気ガス温度700℃、ガス流量12.5g/s、入口側冷却水温度90℃、冷却水流量12L/minとした。冷却水の系統圧力は1.1kPaである。また、EGRガスクーラ100Aとして、ディンプル116を設けないもの(従来技術)、ディンプル116の仕様として、直径4mmとしたもの(ディンプル1仕様)、直径6mmとしたもの(ディンプル2仕様)をそれぞれ準備した。ディンプル116は、チューブ110の流入端部118から下流側に30mmの領域に設けた。
【0052】
ディンプル116を設けない従来技術のものは、流入端部118から40mmの範囲でチューブ110の壁面温度(外表面温度)が、系統圧力1.1kPaにおける冷却水の沸点(約127℃)を越えた。しかしながら、ディンプル1仕様のものでは、冷却水側の熱伝達率(αw)を従来技術の1.15倍とすることができ、チューブ110の壁面温度が冷却水の沸点を越える範囲を、流入端部118から20mmの範囲に小さくすることができた。更に、ディンプル2仕様のものでは、冷却水側の熱伝達率(αw)を従来技術の1.3倍とすることができ、チューブ110の壁面温度が冷却水の沸点を越える範囲をなくすことができた。
【0053】
上記結果より、ディンプル116を設定する領域はチューブ110の流入端部118(0mm)から30mm以上の範囲とするのが良い。領域設定の上限は、冷却水の通水抵抗の増加を加味して80mmまでとするのが良い。領域設定の最適値は、従来技術品の結果から見て、局部沸騰の発生し得る流入端部118(0mm)から40mmの範囲とするのが良い。
【0054】
また、ディンプル116は、排気ガスのチューブ110からの流出側にも、チューブ110の長手方向中心に対して対称となるように設けられるようにしており、これにより、チューブ110の長手方向における方向性をなくして、組付け段階における誤組付けを防止できる。
【0055】
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、チューブ110の長手方向の方向性をなくすために、ディンプル116を長手方向の両端側に設けたが、基本的には、排気ガスの流入側に設ければ良い。
【0056】
また、上記の実施形態では、チューブ110の凹部113をチューブ110の4ヶ所に設けるようにしたが、対角上の2ヶ所に設けるようにして、入口水パイプ141に対応する流入側開口部113a、および出口水パイプ142に対応する流出側開口部113bを形成するようにしても良い。
【0057】
また、チューブ110は、2つのチューブプレート110a、110bから形成することなく、一体の管部材から形成されるようにしても良い。
【0058】
また、上記の実施形態では本発明の熱交換器をEGRガスクーラ100A、100Bに適用したものとして説明したが、これに限定されることなく、他の熱交換器へも広く適用可能であり、例えば外気に排出される排気ガスと冷却水との間で熱交換して、冷却水を加熱する排熱回収熱交換器に適用しても良い。
【0059】
また、上記の実施形態では熱交換器を構成する部材の基本材質をステンレス系材料としたが、これに限らず、用途に応じて、アルミニウム系合金、銅系合金等他の材料を用いるものにも適用できる。
【符号の説明】
【0060】
100 EGRガスクーラ(熱交換器)
110 チューブ
115 水流路(流路)
116 ディンプル(凸状部)
118 流入端部
120 インナーフィン
141 入口水パイプ(流入部)
142 出口水パイプ(流出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状断面を成して積層される複数のチューブ(110)と、
前記チューブ(110)の外側に形成される流路(115)とを備え、
前記チューブ(110)内を流通する内燃機関の排気ガスと、前記流路(115)を流通する前記内燃機関冷却用の冷却水との間で熱交換する熱交換器において、
前記排気ガスの流入側となる前記チューブ(110)の外表面の所定領域に複数の凸状部(116)が形成されており、
前記チューブの(110)の一方の外表面(110a)に形成された前記凸状部(116)は、前記チューブの他方の外表面(110b)に形成された前記凸状部(116)とは異なる位置に形成されており、前記複数のチューブ(110)を積層した時に、前記チューブの一方の外表面(110a)に形成された前記凸状部(116)が前記チューブの他方の外表面(110b)に形成された前記凸状部(116)の間に位置することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記チューブ(110)内には、前記チューブ(110)の内壁に接触するインナーフィン(120)が設けられており、前記凸状部(116)は、前記一般領域流通断面積に対する前記所定領域流通断面積の比を0.9以下とすると共に、前記内壁と前記インナーフィン(120)との接触面積低下割合を5%以上とするディンプル(116)であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記所定領域は、前記排気ガスが前記チューブ(110)に流入する流入端部(118)から、前記排気ガスの下流側へ80mmまでの領域としたことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記ディンプル(116)は、前記排気ガスの前記チューブ(110)からの流出側にも、前記チューブ(110)の長手方向中心に対して対称となるように設けられたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−184923(P2012−184923A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152564(P2012−152564)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2008−215788(P2008−215788)の分割
【原出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】