説明

熱交換用フィルタ

【課題】通過空気と水との接触面積を小さくすることなく、空気が通過する際の通風抵抗を小さくして熱交換効率を向上することができる熱交換用フィルタを提供する。
【解決手段】熱交換用フィルタ1の通風部は、水が供給される複数のフィルタ羽根3を枠体2に対してブラインド状に配列した状態で支持させることにより構成されている。通過空気Fのうちの一部はフィルタ羽根3に供給され且つ保持されている水と熱交換作用を伴って流れる。この際、フィルタ羽根3の熱交換を行う接触面積を十分広く確保することができる。残りの通過空気Fは、フィルタ羽根3,3間の通路を流れることで、熱交換用フィルタ全体を流れる空気の通風抵抗を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、冷凍サイクルの凝縮器の放熱部を間接冷却する補助冷却装置、気化加湿器あるいは冷風器等に用いられ、通過空気と供給された水との間で熱交換を行わせる熱交換用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調・冷凍・冷蔵装置等の冷凍サイクルに用いられる空冷式の室外機(凝縮器)に対して設けられる補助冷却装置、通過空気に水分を与えて加湿空気として送出する気化加湿器、或いは通過空気を水によって冷却して冷風として送出する冷風器のような機器においては、通過空気と供給された水との間で熱交換を行わせる熱交換用フィルタが用いられている。
【0003】
補助冷却装置の一例として、本出願人は、既に、凝縮器の放熱部に対向して通気性を有するフィルタを備えたマットを配置し、該マットの上部から下部に向けて冷却水を流下させて、放熱部に吸入される空気を冷却するものを提案している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−3806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の熱交換用フィルタにおいては、通風抵抗が大きくならないように、例えば樹脂製繊維を不織布状に堆積させることで構成されている。また、フィルタの保水性を向上するために、フィルタの基材の表面に接着剤を介して多数の微細な突起を植設したマットが提案されている。
【0005】
しかしながら、フィルタの繊維密度等に起因して空気の通風抵抗が大きいと、熱交換を行うためのエネルギーが増加して装置全体の運転効率が低下するという問題があり、また、空気の通風抵抗を低下させようとしてフィルタの繊維密度を粗くすると、空気がフィルタを通過する際に水との接触機会が少なくなり、単位面積当たりの水の蒸発量が少なくなって熱交換効率が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、通過空気と供給される水との接触面積を小さくすることなく、空気が通過する際の通風抵抗を小さくして、通過空気と水との熱交換効率を向上することができる熱交換用フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、通風部を通過する空気と該通風部に供給される水とを接触させ、該水を蒸発させることにより前記空気と熱交換させる熱交換用フィルタであって、前記通風部が、ブラインド状に配列された複数のフィルタ羽根により構成されていることを特徴としている。
【0008】
この熱交換用フィルタによれば、水が供給される複数のフィルタ羽根がブラインド状に配列されているので、通過する空気の一部は、フィルタ羽根に供給され且つ保持されている水と熱交換作用を伴って流れる。この際、フィルタ羽根の熱交換を行う接触面積を十分広く確保することができる。残りの通過空気は、フィルタ羽根間の通路を流れることで、熱交換用フィルタ全体を流れる空気の通風抵抗を低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明による熱交換用フィルタは、上記のように構成されているので、通過空気と水との接触面積を小さくすることなく、空気が通過する際の通風抵抗を小さくすることができるので、フィルタが適用される機器の運転効率を低下させることなく、通過空気と水との間での熱交換効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面に基づいて、本発明による熱交換用フィルタの実施例を説明する。図1は本発明による熱交換用フィルタの一実施例を示す斜視図である。本実施例は、本発明による熱交換用フィルタを冷凍サイクルの凝縮器に付設される補助冷却装置に用いた例である。
【0011】
まず、本熱交換用フィルタが補助冷却装置として適用される冷凍サイクルの概要について、その一例を概略図である図11に基づいて説明する。冷凍サイクル40は、コンプレッサ41、蒸発器42、膨張弁43、ドライヤ44、凝縮器45及びこれらを連結する冷媒管46を備えている。給水装置50には、例えば、水道管に連通する給水管51、該給水管51に介装され水道水を断水又は通水するための開閉弁となる電磁弁52、該電磁弁52の開閉を制御するサーモスタット53、及び補助冷却装置30への流入空気の温度を計るセンサ54を備えている。凝縮器45にファン47によって吸い込まれる空気は、補助冷却装置30を通過する際に、補助冷却装置30に供給されて流下する冷却水が蒸発することにより潜熱を奪われるため、冷却される。
【0012】
この構成によれば、センサ54が吸入空気の温度が設定値以上又は以下となったことを感知すると、サーモスタット53が働き、電磁弁52を開閉させる。電磁弁52が開状態になると給水管51より散水ノズル(図示せず)を介して、補助冷却装置30に水道水を供給し、上記の態様で凝縮器45を冷却する。凝縮器45の放熱フィンを冷却するための空気を冷却する間接冷却方式であるので、放熱フィンに直接水をかける場合のように腐食やスケールの付着が生じない。また、補助冷却装置30は、従来の凝縮器に後付けにより付加することができることから、既設の設備を大幅に改造することなく取付けが可能であり、また、メンテナンス等のための着脱・交換も簡単である。
【0013】
補助冷却装置30は、図1に示す熱交換用フィルタ1により構成されている。この熱交換用フィルタ1は、枠体2と、枠体2にブラインド状に配列された状態で支持された複数のフィルタ羽根3とから構成されている。この熱交換用フィルタ1は、通風部を構成する複数のフィルタ羽根3が横方向に延びる状態に配置された横型構成である。なお、図示しないが、熱交換用フィルタ1には、枠体2の最上部に横に延びて設置されており冷却水を散水する散水孔が多数形成された散水管と、散水管に繋がる給水管と、ポンプや給水弁のような給水機器とからなる給水設備が付設されている。最上部のフィルタ羽根3に供給された冷却水は、順次、下位のフィルタ羽根3に滴下して、全てのフィルタ羽根3に冷却水が行き渡る。
【0014】
図1に示す実施例では、多数のフィルタ羽根3(一部にのみ符号3を付す)は、上下方向に配列され、隣り合うフィルタ羽根3の間に距離を置いて配置されている。各フィルタ羽根3は、流れ方向を矢印で示す通過空気Fの流れ方向に対して角度θ傾斜して設置されている。これによって、隣のフィルタ羽根3との間には通過空気Fのための通路4が確保される。通路4を流れる通過空気Fの大部分はフィルタ羽根3の表面の影響を強く受けることがないので、フィルタを枠体2の開口面全体を覆うように形成した場合と比較して通気抵抗が大幅に低減する。フィルタ羽根3の表面には、供給された水を保持するために多数の短い突起が形成されているが、これについては後述する。
【0015】
通過空気Fの流れの一部は、フィルタ羽根3の表面を流れて、当該表面に供給されている冷却水と接触して冷却水を気化させることにより熱交換を行う。水が蒸発する際に通過空気から潜熱を奪うことで通過空気Fが冷却される。フィルタ羽根3が枠体2の開口面積中に占める面積は大きくないが、フィルタ羽根3は通風方向に対して角度θ傾斜しているので、通過空気Fがフィルタ羽根3上の冷却水と接触可能な面積は十分に確保されている。
【0016】
各フィルタ羽根3は、枠体2に取外し可能に取り付けられている。フィルタ羽根3が破損した場合や過剰な目詰まりが生じた場合には、個別に交換可能である。また、フィルタ羽根3の傾斜角度θについては、枠体2への取付けの際に一定角度に固定されるが、これに変えて、各フィルタ羽根3の枠体2への取付けの際に角度を選択して、また取付け後において傾斜角度を可変に構成することもできる。取付け角度を可変にするときには、一つのフィルタ羽根3の角度を変化させると、それに伴って他の全てのフィルタ羽根3の角度が自動的に同じ角度に変化するように構成することが好ましい。
【0017】
フィルタ羽根3の裏面側にも冷却水は浸透しているので、フィルタ羽根3の表裏共に通過空気Fの一部と接触して、熱交換を行うことができる。よって、通過空気を効率良く冷却することができる。
【0018】
図2はこの発明による熱交換用フィルタの別の実施例を示す斜視図である。図2に示す熱交換用フィルタ1aは、枠体2aと、枠体2aに互いに並んで設置された複数のフィルタ羽根3aとから構成されている。この熱交換用フィルタ1aは、通風部を構成する複数のフィルタ羽根3aが縦方向に延びる状態に配置された縦型構成である。隣り合うフィルタ羽根3a,3a間には通過空気Fが通る通路4aが形成されている。その他の構成や作用については、図1に横型として示した熱交換用フィルタ1の場合と同様であるので、再度の説明を省略する。
【0019】
図3〜図6は、本発明による熱交換用フィルタの通風部を構成するフィルタ羽根の例を示す斜視図であり、それぞれ一部を拡大して示している。図3に示すフィルタ羽根23aは、基材24aと、基材24aの表面に接着層25aによって突起状に植設された多数の植毛繊維26aとを備えている(接着層と植毛繊維の詳細については後述する)。基材24aは、金属板等からなる実質的に孔無しの板材であり、通気性を有していない。植毛繊維26aは、保水性が高いとともに、親水性も高く、傾斜した基材24aの表側に供給された冷却水が基材24aの裏面側にも速やかに浸透する。図4に示すフィルタ羽根23bの基材24bは網状のものであり、線材が縦横に張設されて構成されており、通気可能な碁盤状の目27bが形成されている。線材の周囲には接着層25bによって突起状の多数の植毛繊維26bが植設されている。図5に示すフィルタ羽根23cの基材24cは、パンチングメタルのような多数の孔27cが空けられた板材であり、表裏両面には接着層25cを介して突起状の多数の植毛繊維26cが植設されている。
【0020】
各フィルタ羽根23a〜23cの基材24a〜24cは、それ自体に剛性があるため、枠体2,2aに対して、直接又はブラケットを介して取り付けることができる。また、基材24a〜24c自体に剛性があっても、各基材24a〜24cの周縁部に補強を兼ねて剛性の高い羽根枠を取り付け、この羽根枠を介して枠体2a,2bに取り付けることもできる。基材が、網材或いはパンチングメタルのような孔開き材等の通気性を有する部材で形成されているフィルタ羽根23b,23cの場合には、網目27bや孔27cを通して空気が通過可能であるので、通風抵抗を更に下げることができる。
【0021】
図6に示すフィルタ羽根23dは、繊維を絡ませるなどして不織布状のマットとして構成されているものを基材24dとし、その周囲の縁部を羽根枠28に固定して形成されている。すなわち、不織布状のマットそれ自体には剛性が期待できないので、周囲を巡らした羽根枠28に不織布状の基材24dを固定している。フィルタ羽根23dは、羽根枠28を介して枠体2に固定される。繊維基材24dに対しては接着層を介して植毛繊維26dが植設されている。
【0022】
不織布状態のマットは、図7に示すように、それぞれ縦寸法が10mm程度、横寸法が20mm程度の矩形状の広がりを有している密部分12と疎部分13とを交互に並べて配置した各縦列11を繋げて構成するのが好ましい。各縦列11では、密部分12及び疎部分13が隣り合うことがないよう上下に僅かに(5mm程度)ずらしてある。黒表示される点や太い線は、冷却水の流れや滴下状態を模式的に示している。密部分12と疎部分13とに区分して形成されているので、フィルタ羽根23dを通過する空気全体の圧力損失が他の構造のものよりも低下する。その分、冷却用の空気の吸い込み抵抗が低下し、吸い込み空気量の増加が期待できる。
【0023】
図8はフィルタ羽根23dのマットを構成する繊維の一部を拡大して示す模式図であり、図8(a)は1本の繊維を示す図、図8(b)は同(a)に示す繊維を更に拡大して示すA−A’断面図、図8(c)は同(a)に示す繊維のB部を更に拡大して示す図である。
【0024】
各繊維の繊維基材24dは、断面一様で細長く延び、例えばPVC(ポリビニールクロライド)を用いて構成されている。繊維基材24dは、図8(b)に示すように断面円形であり、その表面には、浸漬、塗布、吹き付け等によって自己消火性の接着剤から成る接着層25dが形成される。接着層25dが施された繊維基材24dの表面に植設される突起として、パイル、即ち、植毛繊維26dが多数植毛されている。植毛繊維26dとしては、例えば、ポリクラーク(ビニロン50%+PVC50%の合成繊維;製品名:コーデラン)を用いることができ、その繊維径φは一例であるが0.013mm程度、長さは0.5mm程度である。
【0025】
植毛繊維26dの繊維基材24dの表面への植え付けは、静電植毛法によって行うことができる。接着層25dが設けられた繊維基材24dを静電場中で通す際に、静電場中に放出された無数の植毛繊維26dは、電場における静電吸引作用によって、針のように繊維基材24d表面に垂直に交差し整然と並んだ状態で接着層25dに突き刺さる。接着層25dを乾燥させることで、植毛繊維16dは繊維基材24dの表面に強固に固定される。接着層25dを構成する接着剤は自己消火性を備えているが、その詳細については後述する。したがって、繊維基材24dの表面に均等に産毛が生えたような状態となり、フィルタに散水等で冷却水を給水したとき、冷却水の微粒子が植毛繊維26d間で或いは幾つかの植毛繊維26dにまたがって保持される。
【0026】
フィルタは、繊維基材24dを例えば幅約2m、長さ約10mの平たく且つ長い帯状の不織布状に形成した中間素材を用いて製造される。そのような中間素材は、例えば長さ方向にロール状に巻かれて取り扱われる。この中間素材に静電植毛を行う静電植毛装置は既存のものを利用することができ、したがって、生産設備に要する費用を安価にすることができる。図9は静電植毛装置の一例を示す概略図である。本実施形態では、図9に示す高電圧発生装置18において直流高電圧が電極18aと18bとの間に印加され、植毛繊維散布装置19aから無数の植毛繊維26dが電極18aと18bとの間の電界Eに散布される。植毛繊維26dは、クーロン力による電界に沿った静電吸引力によって平行に揃い、予め接着剤塗布装置19bによって塗布された繊維基材24d表面の接着層25dに突き刺さる。このような製造方法では、無数の植毛繊維26dを繊維基材24dの表面上に極めて容易に整然と並んだ状態に植え付けることができるので、生産性が非常に高い。
【0027】
多数の植毛繊維26dを繊維基材24d表面に植毛することで、冷却水の微粒子が繊維基材24dの表面に極めて保持され易くなる。この微粒子状態の水分は蒸発し易く、フィルタを通過する空気から奪う潜熱の量が飛躍的に向上する。したがって通過空気を十分に冷却し、冷凍サイクルの凝縮器を効果的に冷却することができる。また、前記中間素材にマスキングを行うことで、中間素材への接着層25dの形成を部分的に行うことにより、中間素材が静電場中を通過したときに、植毛繊維26dを接着層25dが施された領域内の繊維基材24dにのみ付着させることができる。このように、フィルタの必要な部分にのみ静電植毛を行うようにすることで、植毛繊維26dや接着剤25dの使用量を削減することができ、コストの削減を図ることができる。
【0028】
フィルタ羽根が、図3に示す板材、図4 に示す網材、図5に示す孔開きパネル、又は図6〜図8に示すようなマットのいずれの型式であっても、基材24(基材24a,24b,24c,24d)が樹脂である場合には、自己消火性の樹脂から形成される。
【0029】
基材24としては、自己消火性を有する(難燃性)材料であっても有しない(可燃性)材料であっても構わないが、安全面からすると自己消火性を有する材料の方が好ましい。自己消火性を有する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が挙げられる。また、非自己消火性の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。ここで、自己消火性とは、当初火種によって着火しても火種を遠ざけると自ら炎が消えてしまう性質を言う。
【0030】
上記の実施例において、突起である植毛繊維26dをポリクラーク(製品名;コーディラン)としたが、ポリクラークはビニロン50%とポリ塩化ビニル50%との合成繊維であり自己消火性(難燃性)がある。しかしながら、一般的には、突起である植毛繊維(パイル)の材質は自己消火性の材料であるのみならず、非自己消火性の材料であってもよい。非自己消火性の植毛繊維材料の例としては、再生セルロース(レーヨン)、6ナイロン(ナイロン)が挙げられる。また、植毛繊維としては、レーヨンパイルとすることが好ましい。レーヨンパイルは親水性が高く、繰り返し使用しても、流下して来た冷却水を保持する性能が劣化しにくい。
【0031】
本実施例では、基材24a〜24dに自己消火性が無い場合には、基材24a〜24dの表面に突起である植毛繊維26a〜26dを植設する接着層25a〜25dに用いられる接着剤を自己消火性のものとしている。自己消火性の接着剤は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、酢酸ビニル系等の適宜の非自己消火性の接着剤に、難燃剤を添加したものとすることができる。難燃剤には有機難燃剤と無機難燃剤とがあり、有機難燃剤としては臭素化化合物、リン化合物、塩化化合物が挙げられ、無機難燃剤としてはアンチモン化合物や金属酸化物が挙げられる。自己消火性の接着剤は、必要な自己消火性を発揮するには、かかる難燃剤を15重量%以上含むものとすることが好ましい。
【0032】
熱交換用フィルタにおいては、植毛を植設するのに使用される接着剤が燃えるようなことがあると、たとえ基材24a〜24dを難燃性の材料で形成していたとしても、その基材は燃えてしまう。即ち、接着剤を自己消火性のものにしないと、接着剤が着火した場合には燃え続けることになり、基材や突起の材料が自己消火性を備えるか否かに関わらず、結果的にはフィルタとしては燃えてしまう。本発明においては、自己消火性が無い基材に突起(植毛)を植設する接着剤を自己消火性の材料としているので、フィルタが、通常、屋外に設置される室外機に付設されるという状況を考慮するとき、安全性の面でも非常に好都合である。
【0033】
図10には、この発明による熱交換用フィルタの更に別の実施例が示されている。図10は、この発明による熱交換用フィルタの更に別の実施例に用いられるフィルタ羽根を形成するための植毛テープ33を示している。植毛テープ33は、一番外側の剥離紙34、剥離紙34が取り外し可能に付着されている粘着剤層35、粘着剤層35が施された基材シート又は不織布36、及び基材36に塗布された植毛用の接着剤層37、及び接着剤層37に植えつけられた植毛繊維38とから構成されている。剥離紙34を剥がして、植毛テープ33を粘着剤層35によってフィルタ羽根の基材24a,24b,24c,24dに貼り付けることができる。植毛テープ33を用いれば、専用の基材でなくても、既存のブラインドの羽根のようないろんな基材に貼り付けることによって、熱交換用フィルタを非常に簡単に且つ安価に構成することもできる。
【0034】
以上、本発明による熱交換用フィルタを冷凍サイクルの凝縮器に設けられる補助冷却装置に適用した例を説明したが、本発明による熱交換用フィルタは、補助冷却装置以外にも、熱交換用フィルタを通過する空気が熱交換用フィルタに供給される水により加湿される気化加湿器、或いは熱交換用フィルタを通過する空気が熱交換用フィルタに供給される水により冷却される冷風器等にも適用可能であることは明らかである。その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施例に種々の改変を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による熱交換用フィルタの一実施例を示す斜視図。
【図2】本発明による熱交換用フィルタの別の実施例を示す斜視図。
【図3】本発明による熱交換用フィルタを構成するフィルタ羽根の一例とその一部を拡大して示す斜視図。
【図4】本発明による熱交換用フィルタを構成するフィルタ羽根の別の例とその一部を拡大して示す斜視図。
【図5】本発明による熱交換用フィルタを構成するフィルタ羽根の更に別の例とその一部を拡大して示す斜視図。
【図6】本発明による熱交換用フィルタを構成するフィルタ羽根の更に別の例とその一部を拡大して示す斜視図。
【図7】図6に示すフィルタ羽根を構成する不織布状態のマットの一例を示す模式図。
【図8】図7に示すフィルタ羽根のマットを構成する繊維の一部を拡大して示す模式図。
【図9】静電植毛装置の一例を示す概略図。
【図10】本発明による熱交換用フィルタの実施例に用いられるフィルタ羽根を形成するための植毛テープの模式断面図。
【図11】本発明による熱交換用フィルタが補助冷却装置として適用された冷凍サイクルの一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0036】
1,1a 熱交換用フィルタ 2,2a 枠体
3,3a フィルタ羽根 4,4a 通路
11 縦列 12 密部分 13 疎部分
18 高電圧発生装置 18a,18b 電極
19a 植毛繊維散布装置 19b 接着剤塗布装置
23a,23b,23c,23d フィルタ羽根
24a,24b,24c,24d 基材
25a,25b,25c,25d 接着層
26a,26b,26c,26d 植毛
27b 碁盤状の目 27c 孔
28 羽根枠
30 補助冷却装置
33 フィルタ羽根 34 剥離紙
35 粘着剤層 36 基材シート又は不織布
37 接着剤層 38 植毛繊維
40 冷凍サイクル 41 コンプレッサ
42 蒸発器 43 膨張弁
44 ドライヤ 45 凝縮器
46 冷媒管 47 ファン
50 給水装置 51 給水管
52 電磁弁 53 サーモスタット
54 センサ
F 通過空気 θ 角度 E 電界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風部を通過する空気と該通風部に供給される水とを接触させ、該水を蒸発させることにより前記空気と熱交換させる熱交換用フィルタであって、前記通風部が、ブラインド状に配列された複数のフィルタ羽根により構成されていることを特徴とする熱交換用フィルタ。
【請求項2】
前記各フィルタ羽根は、基材と、給水された水を保持するために当該基材の表面に形成されている多数の微細な突起とを備えていることを特徴とする請求項1記載の熱交換用フィルタ。
【請求項3】
前記基材が通気性を有することを特徴とする請求項2記載の熱交換用フィルタ。
【請求項4】
前記基材が多数の貫通孔を有する板材であることを特徴とする請求項3記載の熱交換用フィルタ。
【請求項5】
前記基材が網材であることを特徴とする請求項3記載の熱交換用フィルタ。
【請求項6】
前記突起が植毛繊維であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の熱交換用フィルタ。
【請求項7】
前記突起が自己消火性の接着剤によって前記基材に植設されていることを特徴とする請求項6記載の熱交換用フィルタ。
【請求項8】
前記植毛繊維は静電植毛によって前記基材に植設されたことを特徴とする請求項6又は7記載の熱交換用フィルタ。
【請求項9】
前記突起は、表面に植毛繊維を設けた植毛テープを前記基材に貼着することによって形成されていることを特徴とする請求項2項記載の熱交換用フィルタ。
【請求項10】
前記フィルタ羽根の通風方向に対する傾斜角度が変更可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の熱交換用フィルタ。
【請求項11】
前記複数のフィルタ羽根のうちの一つの通風方向に対する傾斜角度を変更することにより、その他の全てのフィルタ羽根の傾斜角度が自動的に同じ傾斜角度に変更されるように構成されていることを特徴とする請求項10記載の熱交換用フィルタ。
【請求項12】
冷凍サイクルの凝縮器の外気吸入口に対向して配置され、前記外気吸入口に吸入される外気を冷却することにより前記凝縮器の放熱部を間接的に冷却する補助冷却装置に用いられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の熱交換用フィルタ。
【請求項13】
通過する空気を加湿して加湿空気とする気化加湿器に用いられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の熱交換用フィルタ。
【請求項14】
通過する空気を冷却して冷風とする冷風器に用いられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の熱交換用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−96458(P2010−96458A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269058(P2008−269058)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】