熱交換部材
【課題】少なくとも一方が液体の2つの流体の熱交換を行うための熱衝撃に対する耐久性のある熱交換部材を提供する。
【解決手段】熱交換部材11は、集熱部12と遮断部13とを備える。集熱部12は、SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセルを有するハニカム構造として形成されている。遮断部13は、集熱部12の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁7aを有し、かつ少なくとも一部は金属を含み集熱部12とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁7として形成され、流体の流通を遮断する。熱交換部材11は、セル3内に第一の流体を流通させ、遮断部13の外周面7h側に第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させることにより、遮断部13を介して第一の流体と第二の流体との熱交換を行う。
【解決手段】熱交換部材11は、集熱部12と遮断部13とを備える。集熱部12は、SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセルを有するハニカム構造として形成されている。遮断部13は、集熱部12の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁7aを有し、かつ少なくとも一部は金属を含み集熱部12とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁7として形成され、流体の流通を遮断する。熱交換部材11は、セル3内に第一の流体を流通させ、遮断部13の外周面7h側に第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させることにより、遮断部13を介して第一の流体と第二の流体との熱交換を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が液体である第一の流体と第二の流体との熱交換を行う熱交換部材に関する。
【背景技術】
【0002】
高温の流体から低温の流体へ熱交換することにより、熱を有効利用することができる。例えば、エンジンなどの燃焼排ガスなどの高温気体からの熱回収技術が求められている。気体/液体熱交換器としては、自動車のラジエター、空調室外機などのフィン付チューブ型熱交換器が一般的である。しかしながら、例えば自動車排ガスのような気体から熱を回収するには、一般的な金属製熱交換器は耐熱性に乏しく高温での使用が困難である。そこで、耐熱性、耐熱衝撃、耐腐食などを有する耐熱金属やセラミックス材料などが適している。耐熱金属で作製された熱交換器が知られているが、耐熱金属は価格が高い上に加工が難しい、密度が高く重い、熱伝導が低いなどの課題がある。
【0003】
特許文献1には、内側を貫流する流体と外側に存在する流体との間で熱量の交換を行わせる多孔質炭化珪素焼結体製のハニカム構造体の高温用熱交換器が開示されている。炭化珪素製のハニカム構造体の外壁部に、炭化珪素微粉末を主成分とするペーストを塗布して焼成することにより、外壁部を緻密な物質からなる層で被覆し、外壁部からの液体漏れを防止している。ハニカム構造体と、外壁部に塗布するペーストとを炭化珪素とすることにより、ハニカム構造体(成形体)とペーストとを同一の焼成工程で焼成するため、特別の工程が不要である。特許文献2には、セラミックス製のハニカム構造体と金属単体を一体化させることで熱を回収する技術の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−345555号公報
【特許文献2】特開平9−327627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、外周壁が炭化珪素の緻密層で形成されているため、熱衝撃に弱い。このため、熱に対する耐久性がさらに向上した熱交換部材が求められている。特許文献2で用いられるセラミック製ハニカム構造体には外周壁構造がないため外側金属で打ち抜き、一体化する必要がある。
【0006】
本発明の課題は、少なくとも一方が液体の2つの流体の熱交換を行うための熱衝撃に対する耐久性のある熱交換部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、熱交換部材が外周壁の遮断部の少なくとも一部に金属を含む構成とすることにより上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の熱交換部材が提供される。
【0008】
[1] SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセルを有するハニカム構造として形成された集熱部と、前記集熱部の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁を有し、かつ少なくとも一部は金属を含み前記集熱部とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁として形成され、流体の流通を遮断する遮断部と、を備え、前記遮断部の外周面側に前記第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させ、少なくとも一方は液体である前記第一の流体と前記第二の流体とを前記遮断部によって隔てた状態で、前記遮断部を介して前記第一の流体と前記第二の流体との熱交換を行う熱交換部材。
【0009】
[2] 前記集熱部と前記遮断部との気孔率差が10%以上であり、前記集熱部と、前記遮断部の金属を含んだ部分との金属の含有率差が10%以上である前記[1]に記載の熱交換部材。
【0010】
[3] 前記遮断部は、前記外周面側が内周面側よりも金属が多く含まれる請求項1または2に記載の熱交換部材。
【0011】
[4] 前記遮断部は、1層以上の金属層を含んで構成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱交換部材。
【0012】
[5] 前記遮断部は、SiCにより前記集熱部と一体的に形成されたSiC外周壁と、前記SiC外周壁の外周面に備えられた金属体とによって構成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱交換部材。
【0013】
[6] 前記SiC外周壁の前記金属体との対向面である前記外周面の表面粗さRaが0.5μm以上であり、前記外周面には、前記第一の流体の流れる方向の軸方向に延びた筋状の線条部が形成されている前記[5]に記載の熱交換部材。
【0014】
[7] 前記遮断部は、金属を除いた前記外周壁の気孔率が10%以上である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱交換部材。
【発明の効果】
【0015】
熱交換部材の遮断部である外周壁の少なくとも一部に金属を含むように構成することにより、遮断部と集熱部とが異なる材料となり、熱に対する耐久性を向上させることができる。これにより、熱交換部材の割れの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の熱交換部材の軸方向の一方の端面を示す図である。
【図1B】本発明の熱交換部材の軸方向の一方の端面の一部拡大図であり、遮断部を構成する外周壁の外周面側に金属を含浸する実施形態を示す図である。
【図1C】本発明の熱交換部材を含む熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
【図1D】本発明の熱交換部材の軸方向の一方の端面の一部拡大図であり、遮断部を構成する外周壁の外周面に金属を備えた実施形態を示す図である。
【図1E】ハニカム構造体の外周面に線条部が形成された実施形態を示す図である。
【図2A】延出外周壁を有するハニカム構造体を示す斜視図である。
【図2B】延出外周壁を有するハニカム構造体を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図3A】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の実施形態を示す斜視図である。
【図3B】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の実施形態を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図3C】ケーシングが、筒状部と外側ケーシング部とを一体として備える熱交換器の実施形態を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図3D】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の実施形態を示す、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【図4A】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の他の実施形態を示す斜視図である。
【図4B】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の他の実施形態を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図4C】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の他の実施形態を示す、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【図5A】軸方向に垂直な断面で切断した本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
【図5B】第一の流体と第二の流体とが対向流で熱交換する本発明の熱交換器の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】ハニカム構造体とケーシングとの間隔を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1Aに本発明の熱交換部材11の軸方向の一方の端面を示す。また、図1Bに、端面の一部拡大図を示す。図1A及び図1Bに示すように、熱交換部材11は、SiCの隔壁4により仕切られて一方の端面2から他方の端面2まで軸方向に貫通し、第一の流体である加熱体が流通する複数のセル3を有するハニカム構造体1として形成されている。本発明の熱交換部材11は、集熱部12と遮断部13とを備える。集熱部12は、SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセル3を有するハニカム構造として形成されている。遮断部13は、集熱部12の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁7aを有し、かつ少なくとも一部は金属を含み集熱部12とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁7として形成され、流体の流通を遮断する。
【0019】
図1Cに本発明の熱交換部材11を含む熱交換器30の斜視図を示す。図1Cに示すように、熱交換器30は、熱交換部材11(ハニカム構造体1)と、熱交換部材11を内部に含むケーシング21とによって形成されている。熱交換部材11のハニカム構造体1のセル3が第一の流体が流通する第一流体流通部5となる。熱交換器30は、ハニカム構造体1のセル3内を、第二の流体よりも高温の第一の流体が流通するように構成されている。また、ケーシング21に第二の流体の入口22及び出口23が形成されており、第二の流体は、ハニカム構造体1の外周面7h上を流通する。すなわち、熱交換部材11のハニカム構造体1の外周面7hとケーシング21の内周面により、第一の流体から熱を受け取るための第二流体流通部6が形成されている。つまり、熱交換部材11は、遮断部13の外周面7h側に第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させ、少なくとも一方は液体である第一の流体と第二の流体とを遮断部13によって隔てた状態で、遮断部13を介して第一の流体と第二の流体との熱交換を行うものである。なお、第二の流体がハニカム構造体1の外周面7h上を流通するとは、第二の流体がハニカム構造体1の外周面7hに直接接触する場合も、直接接触しない場合も含む。
【0020】
ハニカム構造体1は、耐熱性に優れるセラミックスを用いることが好ましく、特に伝熱性を考慮すると、集熱部12は、SiC(炭化珪素)が好ましく、遮断部13は、一部にはSiCを含んだSiC外周壁7aを有し、さらに一部に金属を含み、集熱部12とは異なる材料(金属とSiC)で形成されている緻密質部を有することが好ましい。
【0021】
但し、必ずしもハニカム構造体1の全体がSiC(炭化珪素)で構成されている必要はなく、SiC(炭化珪素)が本体中に含まれていれば良い。即ち、ハニカム構造体1は、SiC(炭化珪素)を含むセラミックスからなるものであることが好ましい。ハニカム構造体1の物性として、室温における熱伝導率は10W/mK以上300W/mK以下が好ましいが、これに限定されるものでない。セラミックスの代わりに、Fe−Cr−Al系合金等の耐蝕金属材料を用いることもできる。
【0022】
本発明の熱交換器30が高い熱交換率を得るためには、ハニカム構造体1の材質に熱伝導が高いSiC(炭化珪素)を含むものを用いた方がより好ましい。但し、SiC(炭化珪素)であっても多孔体の場合は高い熱伝導率が得られないため、ハニカム構造体1の作製過程でシリコンを含浸させて緻密体構造としてもよい。緻密体構造にすることで高い熱伝導率が得られる。例えば、SiC(炭化珪素)の多孔体の場合、20W/mK程度であるが、緻密体とすることにより、150W/mK程度とすることができる。
【0023】
つまり、セラミック材料として、Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC、金属複合SiC、Si3N4、及びSiC等を採用することができるが、高い熱交換率を得るための緻密体構造とするためにSi含浸SiC、(Si+Al)含浸SiCを採用してもよい。Si含浸SiCは、SiC粒子表面を金属珪素融体の凝固物が取り囲むとともに、金属珪素を介してSiCが一体に接合した構造を有するため、炭化珪素が酸素を含む雰囲気から遮断され、酸化から防止される。さらに、SiCは、熱伝導率が高く、放熱しやすいという特徴を有するが、Siを含浸するSiCは、高い熱伝導率や耐熱性を示しつつ、緻密に形成され、伝熱部材として十分な強度を示す。つまり、Si−SiC系(Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC)材料からなるハニカム構造体1は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性を初め、酸やアルカリなどに対する耐蝕性に優れた特性を示すとともに、高熱伝導率を示す。
【0024】
さらに具体的に説明すると、ハニカム構造体1がSi含浸SiC複合材料、又は(Si+Al)含浸SiCを主成分とする場合、Si/(Si+SiC)で規定されるSi含有量が少なすぎると結合材が不足するために隣接するSiC粒子同士のSi相による結合が不十分となり、熱伝導率が低下するだけでなく、ハニカム構造のような薄壁の構造体を維持し得る強度を得ることが困難となる。逆にSi含有量が多すぎると、適切にSiC粒子同士を結合し得る以上に金属珪素が存在することに起因して、ハニカム構造体1が焼成により過度に収縮してしまい、気孔率低下、平均細孔径縮小などの弊害が併発してくる点において好ましくない。したがってSi含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましい。
【0025】
このようなSi含浸SiC、又は(Si+Al)含浸SiCは、気孔が金属シリコンで埋められており、気孔率が0または0に近い場合もあり、耐酸化性、耐久性に優れ、高温雰囲気化での長期間の使用が可能である。一度酸化されると酸化保護膜が形成されるため、酸化劣化が発生しない。また常温から高温まで高強度を有するため、肉薄で軽量な構造体を形成することができる。さらに、熱伝導率が銅やアルミニウム金属と同程度に高く、遠赤外線放射率も高く、電気導電性があるため静電気を帯びにくい。
【0026】
遮断部13は、例えば、図1Bに示すように、炭化珪素の外周壁7(SiC外周壁7a)に金属を含浸させて緻密質の緻密質部を形成したり、図1Dに示すように、SiC外周壁7aの外周面7hに金属を備えたりすることが好ましい。図1Bに示すように、外周壁7に金属を含浸させる実施形態においては、外周壁7の外周面7hおよびその近傍に金属を含浸させることにより金属含浸層7iを形成して緻密質部としてもよいし、外周壁7内に金属を傾斜分布させてもよい。金属を含浸する場合は、押出成形後、ハニカム構造体1に金属を載せて熱処理させることで含浸させる。
【0027】
図1Dに示すように、遮断部は、SiCにより集熱部12と一体的に形成されたSiC外周壁7aと、SiC外周壁7aの外周面7hに備えられた金属体とによって構成されているように構成することができる。図1Dに示すように金属を備えるとは、金属板7j等の金属体を外周面7hに嵌合するようにしてもよいし、巻き付けてもよい。図1Dに示すように、ハニカム構造体1のSiC外周壁7aの外周面に金属板7j等の金属体を備えた場合、ハニカム構造体1のSiC外周壁7aと金属板7jとが外周壁7であり、また遮断部13である。図1B、図1Dのいずれの場合においても、遮断部13である外周壁7の一部は、SiCを含んで構成され(すなわちSiC外周壁7aを有し)、遮断部13の外周面側に内周面側よりも金属が多く含まれることが好ましい。このように構成すると、SiCは、熱伝導が大きいためSiC外周壁7aが集熱部12から熱を集熱しやすくなり、外周側へ熱を伝達しやすくなる。したがって、高い熱交換率が期待できる。また、金属を含んだ緻密質部を有することから、強度を向上させることもできる。金属としては、図1Bの場合はSi+Al、図1Dの場合はステンレスまたはアルミニウム、銅などが挙げられる。
【0028】
図1Dに示すように、ハニカム構造体1のSiC外周壁7aの外周面に金属板7j等の金属体を備えた場合、SiC外周壁7aの金属体(金属板7j)との対向面である外周面7hの表面粗さRaが0.5μm以上(基準長さ10mm)であり、図1Eに示すように、ハニカム構造体1の外周面7hには、第一の流体の流れる方向の軸方向に延びた筋状の線条部7mが形成されているように構成することが好ましい。より好ましくは、外周面7hの表面粗さRaが1.0μm以上10μm以下、さらに好ましくは、外周面7hの表面粗さRaが3.0μm以上10μm以下である。これにより、ハニカム構造体1の外周面1と金属板7jとの密着性を高めることができる。
【0029】
熱交換部材11は、集熱部12と遮断部13との気孔率差が10%以上であり、集熱部12と、遮断部13の金属を含んだ部分との金属の含有率差が10%以上であることが好ましい。気孔率差はより好ましくは10%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下である。金属含有率差は、より好ましくは10%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下である。なお、遮断部13の気孔率とは、最も金属を含んだ緻密な部分の気孔率であり、遮断部13の金属を含んだ部分の金属含有率とは、最も金属を含んだ緻密な部分の金属含有率である。つまり、集熱部12と遮断部13との気孔率差は、集熱部12と、遮断部13の中で最も緻密となっている部分との気孔率差である。金属を含浸している時は、遮断部13内において、金属の分布が傾斜しているしないに関わらず、一番緻密(気孔率最小)の箇所であり、金属を巻き付けた時は、金属部分である。
【0030】
遮断部13は、1層以上の金属層を含んで構成されていることが好ましい。すなわち、遮断部13が金属の多層構造となることが好ましい。ここで多層構造とは、例えば、(1)含浸された金属の層、(2)熱応力を緩和するための金属層、(3)第二の流体と接する金属の3層構造を挙げることができる。また、他の実施形態としては、(1)熱応力を緩和するための金属層、(2)第二の流体と接する金属の2層構造を挙げることができる。金属層が多層構造になることにより、各層で発生する熱膨張差を吸収させることが出来、熱応力を低減させることが出来る。
【0031】
遮断部13は、金属を除いた外周壁の気孔率が10%以上であることが好ましい。10%未満では、成形が非常に困難である。より好ましくは、強度を十分なものとするために、60%以下である。金属を除いた外周壁の気孔率はより好ましくは10%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下である。
【0032】
熱交換器30に流通させる第一の流体(高温側)が排ガスの場合、第一の流体(高温側)が通過するハニカム構造体1のセル3内部の壁面には、触媒が担持されていることが好ましい。これは、排ガス浄化の役割に加えて、排ガス浄化の際に発生する反応熱(発熱反応)も熱交換することが可能になるためである。貴金属(白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、及び金)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、亜鉛、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス及びバリウムからなる群から選択された元素を少なくとも一種を含有すると良い。これらは金属、酸化物、及びそれ以外の化合物であっても良い。第一の流体(高温側)が通過するハニカム構造体1の第一流体流通部5に担持される触媒(触媒金属+担持体)の担持量としては、10〜400g/Lであることが好ましく、貴金属であれば0.1〜5g/Lであることが更に好ましい。触媒(触媒金属+担持体)の担持量を10g/L未満とすると、触媒作用が発現し難いおそれがある。一方、400g/Lを超えると、圧損が大きくなる他、製造コストが上昇するおそれがある。必要に応じて、ハニカム構造体1のセル3の隔壁4に触媒を担持させる。触媒を担持させる場合、ハニカム構造体1にマスキングを施し、ハニカム構造体1に触媒が担持されるようにする。予め、担体微粒子となるセラミックス粉末に触媒成分を含む水溶液を含浸させた後、乾燥し、焼成することにより触媒コート微粒子を得る。この触媒コート微粒子に分散媒(水等)、その他の添加剤を加えてコーティング液(スラリー)を調製し、このスラリーをハニカム構造体1の隔壁4にコーティングした後、乾燥し、焼成することによって、ハニカム構造体1のセル3の隔壁4に触媒を担持する。尚、焼成する際は、ハニカム構造体1のマスキングを剥す。
【0033】
また、ケーシング21の内周面24とハニカム構造体1の外周面7hとによって第二流体流通部6が形成されている。第二流体流通部6は、ケーシング21とハニカム構造体1の外周面7hとによって形成された第二の流体の流通部であり、第一流体流通部5とハニカム構造体1の隔壁4によって隔たれて熱伝導可能とされており、第一流体流通部5を流通する第一の流体の熱を隔壁4を介して受け取り、流通する第二の流体である被加熱体へ熱を伝達する。第一の流体と第二の流体とは、完全に分離されており、これらの流体が混じり合うことはない。
【0034】
第一流体流通部5は、ハニカム構造として形成されており、ハニカム構造の場合、流体がセル3の中を通り抜ける時には、流体は隔壁4により別のセル3に流れ込むことが出来ず、ハニカム構造体1の入口から出口へと直線的に流体が進む。また、本発明の熱交換器30内のハニカム構造体1は、目封止されておらず、流体の伝熱面積が増し熱交換器のサイズを小さくすることができる。これにより、熱交換器単位体積あたりの伝熱量を大きくすることができる。さらに、ハニカム構造体1に目封止部の形成やスリットの形成等の加工を施すことが不要なため、熱交換器30は、製造コストを低減することができる。
【0035】
熱交換器30は、第一の流体は、第二の流体よりも高温であるものを流通させ、第一の流体から第二の流体へ熱伝導するようにすることが好ましい。第一の流体として気体を流通させ、第二の流体として液体を流通させると、第一の流体と第二の流体の熱交換を効率よく行うことができる。つまり、本発明の熱交換器30は、気体/液体熱交換器として適用することができる。
【0036】
熱交換器30は、第二の流体よりも高温の第一の流体をハニカム構造体1のセル内に流通させることにより、第一の流体の熱をハニカム構造体1に効率よく熱伝導させることができる。すなわち、全伝熱抵抗は、第一の流体の熱抵抗+隔壁の熱抵抗+第二の流体の熱抵抗であるが、律速因子は、第一の流体の熱抵抗である。熱交換器30は、セル3を第一の流体が通過するため、第一の流体とハニカム構造体1との接触面積が大きく、律速因子である第一の流体の熱抵抗を下げることができる。
【0037】
本発明では基本的に押し出し成形をそのまま使用でき、工数が非常に少なく出来る。また同じ構造を耐熱金属で作製しようとしたとき、プレス加工、溶接加工などの工程が必要であるのに対し、本発明では不要である。したがって、製造コストを低減することができるとともに、十分な熱交換効率を得ることができる。
【0038】
熱交換器30は、第一の流体(加熱体)が流通するハニカム構造の第一流体流通部5(高温側)とされるハニカム構造体1と内部が第二流体流通部6とされるケーシング21により構成される。第一流体流通部5がハニカム構造体1により形成されていることから熱交換を効率的に行うことができる。ハニカム構造体1は、隔壁4によって流路となる複数のセル3が区画形成されており、セル形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形等の中から所望の形状を適宜選択すればよい。
【0039】
ハニカム構造体1の形状は円筒であるが、形状としてはこれに限定されるものでなく、四角柱等の他の形状であってもよい。図5Aに、熱交換部材11が四角柱のハニカム構造体1である場合の熱交換器30の軸方向に垂直な面で切断した断面図、図5Bに、その斜視図を示す。
【0040】
ハニカム構造体1のセル密度(即ち、単位断面積当たりのセルの数)については特に制限はなく、目的に応じて適宜設計すればよいが、25〜2000セル/平方インチ(4〜320セル/cm2)の範囲であることが好ましい。セル密度が25セル/平方インチより小さくなると、隔壁4の強度、ひいてはハニカム構造体1自体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)が不足するおそれがある。一方、セル密度が2000セル/平方インチを超えると、熱媒体が流れる際の圧力損失が大きくなるおそれがある。
【0041】
また、ハニカム構造体1の1つ当たり(1モジュール当たり)のセル数は、1〜10,000が望ましく、200〜2,000が特に望ましい。セル数が多すぎるとハニカム自体が大きくなるため第一の流体側から第二の流体側までの熱伝導距離が長くなり、熱伝導ロスが大きくなり熱流束が小さくなる。またセル数が少ない時には第一の流体側の熱伝達面積が小さくなり第一の流体側の熱抵抗を下げることが出来ず熱流束が小さくなる。
【0042】
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の厚さ(壁厚)についても、目的に応じて適宜設計すればよく、特に制限はない。壁厚を50μm〜2mmとすることが好ましく、60〜500μmとすることが更に好ましい。壁厚を50μm未満とすると、機械的強度が低下して衝撃や熱応力によって破損することがある。一方、2mmを超えると、ハニカム構造体側に占めるセル容積の割合が低くなったり、流体の圧力損失が大きくなったり、熱媒体が透過する熱交換率が低下するといった不具合が発生するおそれがある。
【0043】
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の密度は、0.5〜5g/cm3であることが好ましい。0.5g/cm3未満の場合、隔壁4は強度不足となり、第一流体が流路内を通り抜ける際に圧力により隔壁4が破損する可能性がある。また、5g/cm3を超えると、ハニカム構造体1自体が重くなり、軽量化の特徴が損なわれる可能性がある。上記の範囲の密度とすることにより、ハニカム構造体1を強固なものとすることができる。また、熱伝導率を向上させる効果も得られる。
【0044】
次に、熱交換部材11であるハニカム構造体1が、ハニカム部52の軸方向の端面2から軸方向外側に延出して筒状に形成された延出外周壁51を有している実施形態を示す。図2Aに延出外周壁51を有するハニカム構造体1の斜視図、図2Bに、軸方向に平行な断面で切断した断面図を示す。また、図3Aに、ケーシング21内に延出外周壁51を有するハニカム構造体1が収容された熱交換器30の斜視図、図3Bに、軸方向に平行な断面で切断した断面図、図3Cに、軸方向に垂直な断面で切断した断面図を示す。
【0045】
図2A〜図2Bに示すように、熱交換部材11であるハニカム構造体1は、ハニカム部52の軸方向の端面2から軸方向外側に延出して筒状に形成された延出外周壁51を有している。延出外周壁51は、ハニカム部52の外周壁と連続的に一体として形成されている。外周壁延出外周壁51の内周面側は、隔壁4やセル3等が形成されておらず、中空となっている。中央部のハニカム部52は、伝熱を促進する集熱部12である。
【0046】
図3A〜図3Dに、ケーシング21内に延出外周壁51を有するハニカム構造体1が収容された熱交換器30の実施形態を示す。図3Aは、斜視図であり、図3Bは、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。図3Cは、ケーシング21が、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合する筒状部21aと、その筒状部21aの外側に第二流体流通部6を形成する外側ケーシング部21bとを一体として備える実施形態を示す。図3Dは、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【0047】
図3A〜図3Bの実施形態では、熱交換器30のケーシング21は、第一の流体の入口25から第一の流体の出口25までの第一流体流通部5を形成するハニカム構造体1が嵌合するように直線状に形成され、ハニカム構造体1は、ケーシング21に嵌合して備えられており、ハニカム構造体1の延出外周壁51の外周面とケーシング21の内周面とによってシール部53が形成されている。第二の流体の入口22と出口23とが、ハニカム構造体1に対し、同じ側に形成されている。本実施形態では、第二流体流通部6がハニカム構造体1の外周を周回する周回構造となっている。つまり、ハニカム構造体1の外周を周回するように第二の流体が流通する(図3D参照)。
【0048】
図3Cは、ケーシング21が、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合する筒状部21aと、その筒状部21aの外側に第二流体流通部6を形成する外側ケーシング部21bとを一体として備える熱交換器30の実施形態を示す。図3Dは、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。筒状部21aは、ハニカム構造体1の外周面7の形状に対応した形状を有し、外側ケーシング部21bは、筒状部21aの外側に、第二の流体が流通するための空間を有した筒状の形状を有している。また、外側ケーシング部21bの一部に第二の流体の入口22及び出口23が形成されている。本実施形態では、第二流体流通部6は、筒状部21aと外側ケーシング部21bとに囲まれて形成されており、第二流体流通部6を流通する第二の流体は、ハニカム構造体1の外周面7h上をハニカム構造体1の外周面7に直接接触せずに周方向に流通して熱を交換することになる。このような構成とすることにより、ハニカム構造体1に破損があった場合でも、第一の流体と第二の流体が漏れたり混合したりすることがない。
【0049】
図3Bの拡大図に、遮断部13が1層以上の金属層を含んで構成されている実施形態を示す。左側の拡大図では、延出外周壁51には、金属含浸層7iが形成され、さらに、延出外周壁51とケーシング21とを接合するための接合金属層7kが形成されている。また、右側の拡大図に示すように、ハニカム部のSiC外周壁7aには、金属含浸層7iが形成され、さらに、第二の流体と接する金属板7jが備えられている構成とすることもできる。
【0050】
また、図4Aに、ケーシング21内に延出外周壁51を有するハニカム構造体1が収容された熱交換器30の斜視図、図4Bに、軸方向に平行な断面で切断した断面図、図4Cに、軸方向に垂直な断面で切断した断面図を示す。図4A〜図4Cに示すように、本実施形態の熱交換器30のケーシング21は、第一の流体の入口25から第一の流体の出口25までの第一流体流通部5を形成するハニカム構造体1が嵌合するように直線状に形成され、第二の流体の入口22から第二の流体の出口23までの第二流体流通部6も直線状に形成され、第一流体流通部5と第二流体流通部とが交差する交差構造とされている。ハニカム構造体1は、ケーシング21に嵌合して備えられており、ハニカム構造体1の延出外周壁51の外周面とケーシング21の内周面とによってシール部53が形成されている。第二の流体の入口22と出口23とが、ハニカム構造体1を挟んで反対側に形成されている。
【0051】
熱交換器30の信頼性を向上するためには、高温流体(第一の流体)側からシール部53への伝熱を抑制し、シール部53の温度上昇を抑えることが有効であり、本実施形態は、延出外周壁51が形成されており、延出外周壁51がシール部53となっているため、熱交換器30の性能が向上する。例えば図1A及び図1Bの構造では第一の流体の入口であるハニカム構造体1の入口側の端面2付近が最も高温であるが、ケーシング21との接合やシール部分(シール部11)が必要なため最端部に第2の流体を流すこと難しい。本実施形態のように延出外周部51を設けることにより、ハニカム部21の端部(入口側の端面2付近)も熱交換できる。言い換えると、シール部53がハニカム部52よりも軸方向外側に形成されているため、ハニカム部21の外周面の全面に第二の流体が接触可能である。このため、熱交換効率を向上させることができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1〜12)
熱交換部材11(ハニカム構造体1)とケーシング21によって、第一流体流通部と第二流体流通部とが形成された熱交換器30を以下のようにして作製した。
【0054】
(ハニカム構造体の製造)
以下のようにして、実施例1〜12、比較例1の熱交換部材11を製造した。
【0055】
(実施例1〜6)
セラミックス粉末を含む坏土を所望の形状に押し出した後、乾燥し、焼成することによって、材質は炭化珪素、本体サイズが直径50mm、長さ100mmの円柱状のハニカム構造体1を製造した。ハニカム構造体1のSiC外周壁7aに金属(Si)を含浸させて金属含浸層7iを形成し、熱交換部材11とした(図1B参照)。
【0056】
(実施例7〜12)
実施例1と同様に、ハニカム構造体1を製造した。SiC外周壁7aに金属を含浸させることなく、SiC外周壁7aの周りに金属板7j(SUS)を巻き付け、熱交換部材11とした(図1D参照)。
【0057】
(ケーシング)
熱交換部材11(ハニカム構造体1)の外側容器として、ステンレスからなるケーシング21を用いた。実施例1〜12では、1つの熱交換部材11(ハニカム構造体1)を、ケーシング21内に配置した(図3C及び図3D参照)。図6参照に示すように、ハニカム構造体1とケーシングとの間隔15bは、ハニカム構造体1のセル長15aと同じになるようにした。第一流体流通部5は、ハニカム構造に形成され、第二流体流通部6は、ケーシング21内で、ハニカム構造体1の外周を流通(外側構造)するように形成されている。また、ケーシング21には、第一の流体をハニカム構造体1に、第二の流体をケーシング21に導入、排出するための配管を取り付けた。尚、第一の流体と第二の流体が混ざり合わないように、これら2経路は完全に隔離されている(外周フロー構造)。また、実施例1〜12のハニカム構造体1の外形構造は、全て同一とした。
【0058】
(比較例1〜3)
実施例1と同様に、ハニカム構造体1を製造した。SiC外周壁7aに、外周壁やハニカム部(集熱部)と同種ペーストを塗布し、焼成することによりSiC外周壁7aを緻密化し、遮断部13とした。
(比較例4〜6)
実施例1と同様に、コージェライト材料でハニカム構造体1を製造した。コージェライト外周壁に金属を含浸させることなく、コージェライト外周壁の周りに金属板7j(SUS)を巻き付け、熱交換部材11とした。
【0059】
熱交換部材11の構成を表1に示す。表1の遮断部の気孔率は、遮断部13の最も緻密な部分の気孔率である。つまり、実施例1〜6では、金属含浸層7iの気孔率、実施例7〜12では、金属板7jの気孔率である。なお、表1の含有金属量は、炭化珪素柱のSiを金属しない場合の値である。
【0060】
(第一の流体、及び第二の流体)
第一の流体の熱交換部材11(ハニカム構造体1)への入口温度、流量、第二の流体のケーシング21内への入口温度、流量は全て同一条件とした。第一の流体として、400℃の窒素ガス(N2)を用いた。また、第二の流体として20℃の水を用いた。
【0061】
(熱交換効率の試験方法)
ハニカム構造体1の第一流体流通部5に窒素ガスを流し、ケーシング21内の第二流体流通部6に(冷却)水を流した。ハニカム構造体1に対する窒素ガスのSV(空間速度)は50,000h−1とした。(冷却)水の流量は5L/minとした。(冷却)水は配管の外側(ギャップ1mm)を流れる構成であった。
【0062】
(試験結果)
表1に熱交換率を示す。熱交換率(%)は、第一の流体(窒素ガス)及び第二の流体(水)のハニカム構造体1の出口温度と入口温度からそれぞれエネルギー量を算出し、式1で計算した。
(式1) 熱交換率(%)=((被加熱体(第二の流体)の出口温度−被加熱体(第二の流体)の入口温度)×被加熱体(第二の流体)の比熱)÷(加熱体(第一の流体)の入口温度−被加熱体(第二の流体)の出口温度)×加熱体(第一の流体)の比熱
【0063】
(熱交換部材の耐久性試験)
それぞれの熱交換部材11を400℃に加熱し、耐久性を調べた。結果を表1に示す。
第一の流体として400℃の窒素ガス(N2)、第二の流体として20℃の水を用いた熱交換効率の試験によって、熱交換器30内の熱交換部材11の耐久性について調べた結果を表1に示す。遮断部の気孔率が0.1%以下で、遮断部の金属を除いた気孔率が0%の時は、試験中に割れてしまった。
【0064】
(密着性)
熱交換部材11のハニカム構造体1と金属板7j(SUS)との密着性を熱交換効率から評価した。評価基準は、熱交換効率95%以上を◎、熱交換効率90%を超え95%未満を○、熱交換効率90%以下を△とした。
【0065】
【表1】
【0066】
SiC外周壁7aが、SiC外周壁7aやハニカム部(集熱部12)と同種ペーストにより緻密化された比較例1〜3は、割れが発生した。一方、遮断部13である外周壁7に金属が含まれる(含浸、巻き付け)実施例1〜12は、割れが発生せず、耐久性が向上した。遮断部に金属が含まれることにより、耐久性が向上する。セラミックス製ハニカムをコージェライト材料にした比較例4〜6では、割れは発生しなかったものの熱交換効率が小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の熱交換器は、加熱体(高温側)と被加熱体(低温側)で熱交換する用途であれば、自動車分野、産業分野であっても特に限定されない。特に、加熱体または被加熱体の少なくとも一方が液体の場合に好適である。自動車分野で排ガスから排熱回収用途で使用する場合は、自動車の燃費向上に役立てることができる。
【符号の説明】
【0068】
1:ハニカム構造体、2:(軸方向の)端面、3:セル、4:隔壁、5:第一流体流通部、6:第二流体流通部、7:外周壁、7h:外周面、7i:金属含浸層、7j:金属板、7k:接合金属層、7m:線条部、11:熱交換部材、12:集熱部、13:遮断部、15a:セル長、15b:間隔、21:ケーシング、21a:筒状部、21b:外側ケーシング部、22:(第二の流体の)入口、23:(第二の流体の)出口、30:熱交換器、51:延出外周壁、52:ハニカム部、53:シール部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が液体である第一の流体と第二の流体との熱交換を行う熱交換部材に関する。
【背景技術】
【0002】
高温の流体から低温の流体へ熱交換することにより、熱を有効利用することができる。例えば、エンジンなどの燃焼排ガスなどの高温気体からの熱回収技術が求められている。気体/液体熱交換器としては、自動車のラジエター、空調室外機などのフィン付チューブ型熱交換器が一般的である。しかしながら、例えば自動車排ガスのような気体から熱を回収するには、一般的な金属製熱交換器は耐熱性に乏しく高温での使用が困難である。そこで、耐熱性、耐熱衝撃、耐腐食などを有する耐熱金属やセラミックス材料などが適している。耐熱金属で作製された熱交換器が知られているが、耐熱金属は価格が高い上に加工が難しい、密度が高く重い、熱伝導が低いなどの課題がある。
【0003】
特許文献1には、内側を貫流する流体と外側に存在する流体との間で熱量の交換を行わせる多孔質炭化珪素焼結体製のハニカム構造体の高温用熱交換器が開示されている。炭化珪素製のハニカム構造体の外壁部に、炭化珪素微粉末を主成分とするペーストを塗布して焼成することにより、外壁部を緻密な物質からなる層で被覆し、外壁部からの液体漏れを防止している。ハニカム構造体と、外壁部に塗布するペーストとを炭化珪素とすることにより、ハニカム構造体(成形体)とペーストとを同一の焼成工程で焼成するため、特別の工程が不要である。特許文献2には、セラミックス製のハニカム構造体と金属単体を一体化させることで熱を回収する技術の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−345555号公報
【特許文献2】特開平9−327627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、外周壁が炭化珪素の緻密層で形成されているため、熱衝撃に弱い。このため、熱に対する耐久性がさらに向上した熱交換部材が求められている。特許文献2で用いられるセラミック製ハニカム構造体には外周壁構造がないため外側金属で打ち抜き、一体化する必要がある。
【0006】
本発明の課題は、少なくとも一方が液体の2つの流体の熱交換を行うための熱衝撃に対する耐久性のある熱交換部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、熱交換部材が外周壁の遮断部の少なくとも一部に金属を含む構成とすることにより上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の熱交換部材が提供される。
【0008】
[1] SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセルを有するハニカム構造として形成された集熱部と、前記集熱部の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁を有し、かつ少なくとも一部は金属を含み前記集熱部とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁として形成され、流体の流通を遮断する遮断部と、を備え、前記遮断部の外周面側に前記第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させ、少なくとも一方は液体である前記第一の流体と前記第二の流体とを前記遮断部によって隔てた状態で、前記遮断部を介して前記第一の流体と前記第二の流体との熱交換を行う熱交換部材。
【0009】
[2] 前記集熱部と前記遮断部との気孔率差が10%以上であり、前記集熱部と、前記遮断部の金属を含んだ部分との金属の含有率差が10%以上である前記[1]に記載の熱交換部材。
【0010】
[3] 前記遮断部は、前記外周面側が内周面側よりも金属が多く含まれる請求項1または2に記載の熱交換部材。
【0011】
[4] 前記遮断部は、1層以上の金属層を含んで構成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱交換部材。
【0012】
[5] 前記遮断部は、SiCにより前記集熱部と一体的に形成されたSiC外周壁と、前記SiC外周壁の外周面に備えられた金属体とによって構成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱交換部材。
【0013】
[6] 前記SiC外周壁の前記金属体との対向面である前記外周面の表面粗さRaが0.5μm以上であり、前記外周面には、前記第一の流体の流れる方向の軸方向に延びた筋状の線条部が形成されている前記[5]に記載の熱交換部材。
【0014】
[7] 前記遮断部は、金属を除いた前記外周壁の気孔率が10%以上である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱交換部材。
【発明の効果】
【0015】
熱交換部材の遮断部である外周壁の少なくとも一部に金属を含むように構成することにより、遮断部と集熱部とが異なる材料となり、熱に対する耐久性を向上させることができる。これにより、熱交換部材の割れの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の熱交換部材の軸方向の一方の端面を示す図である。
【図1B】本発明の熱交換部材の軸方向の一方の端面の一部拡大図であり、遮断部を構成する外周壁の外周面側に金属を含浸する実施形態を示す図である。
【図1C】本発明の熱交換部材を含む熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
【図1D】本発明の熱交換部材の軸方向の一方の端面の一部拡大図であり、遮断部を構成する外周壁の外周面に金属を備えた実施形態を示す図である。
【図1E】ハニカム構造体の外周面に線条部が形成された実施形態を示す図である。
【図2A】延出外周壁を有するハニカム構造体を示す斜視図である。
【図2B】延出外周壁を有するハニカム構造体を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図3A】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の実施形態を示す斜視図である。
【図3B】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の実施形態を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図3C】ケーシングが、筒状部と外側ケーシング部とを一体として備える熱交換器の実施形態を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図3D】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の実施形態を示す、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【図4A】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の他の実施形態を示す斜視図である。
【図4B】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の他の実施形態を示す、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。
【図4C】ケーシング内に延出外周壁を有するハニカム構造体が収容された熱交換器の他の実施形態を示す、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【図5A】軸方向に垂直な断面で切断した本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
【図5B】第一の流体と第二の流体とが対向流で熱交換する本発明の熱交換器の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】ハニカム構造体とケーシングとの間隔を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1Aに本発明の熱交換部材11の軸方向の一方の端面を示す。また、図1Bに、端面の一部拡大図を示す。図1A及び図1Bに示すように、熱交換部材11は、SiCの隔壁4により仕切られて一方の端面2から他方の端面2まで軸方向に貫通し、第一の流体である加熱体が流通する複数のセル3を有するハニカム構造体1として形成されている。本発明の熱交換部材11は、集熱部12と遮断部13とを備える。集熱部12は、SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセル3を有するハニカム構造として形成されている。遮断部13は、集熱部12の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁7aを有し、かつ少なくとも一部は金属を含み集熱部12とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁7として形成され、流体の流通を遮断する。
【0019】
図1Cに本発明の熱交換部材11を含む熱交換器30の斜視図を示す。図1Cに示すように、熱交換器30は、熱交換部材11(ハニカム構造体1)と、熱交換部材11を内部に含むケーシング21とによって形成されている。熱交換部材11のハニカム構造体1のセル3が第一の流体が流通する第一流体流通部5となる。熱交換器30は、ハニカム構造体1のセル3内を、第二の流体よりも高温の第一の流体が流通するように構成されている。また、ケーシング21に第二の流体の入口22及び出口23が形成されており、第二の流体は、ハニカム構造体1の外周面7h上を流通する。すなわち、熱交換部材11のハニカム構造体1の外周面7hとケーシング21の内周面により、第一の流体から熱を受け取るための第二流体流通部6が形成されている。つまり、熱交換部材11は、遮断部13の外周面7h側に第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させ、少なくとも一方は液体である第一の流体と第二の流体とを遮断部13によって隔てた状態で、遮断部13を介して第一の流体と第二の流体との熱交換を行うものである。なお、第二の流体がハニカム構造体1の外周面7h上を流通するとは、第二の流体がハニカム構造体1の外周面7hに直接接触する場合も、直接接触しない場合も含む。
【0020】
ハニカム構造体1は、耐熱性に優れるセラミックスを用いることが好ましく、特に伝熱性を考慮すると、集熱部12は、SiC(炭化珪素)が好ましく、遮断部13は、一部にはSiCを含んだSiC外周壁7aを有し、さらに一部に金属を含み、集熱部12とは異なる材料(金属とSiC)で形成されている緻密質部を有することが好ましい。
【0021】
但し、必ずしもハニカム構造体1の全体がSiC(炭化珪素)で構成されている必要はなく、SiC(炭化珪素)が本体中に含まれていれば良い。即ち、ハニカム構造体1は、SiC(炭化珪素)を含むセラミックスからなるものであることが好ましい。ハニカム構造体1の物性として、室温における熱伝導率は10W/mK以上300W/mK以下が好ましいが、これに限定されるものでない。セラミックスの代わりに、Fe−Cr−Al系合金等の耐蝕金属材料を用いることもできる。
【0022】
本発明の熱交換器30が高い熱交換率を得るためには、ハニカム構造体1の材質に熱伝導が高いSiC(炭化珪素)を含むものを用いた方がより好ましい。但し、SiC(炭化珪素)であっても多孔体の場合は高い熱伝導率が得られないため、ハニカム構造体1の作製過程でシリコンを含浸させて緻密体構造としてもよい。緻密体構造にすることで高い熱伝導率が得られる。例えば、SiC(炭化珪素)の多孔体の場合、20W/mK程度であるが、緻密体とすることにより、150W/mK程度とすることができる。
【0023】
つまり、セラミック材料として、Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC、金属複合SiC、Si3N4、及びSiC等を採用することができるが、高い熱交換率を得るための緻密体構造とするためにSi含浸SiC、(Si+Al)含浸SiCを採用してもよい。Si含浸SiCは、SiC粒子表面を金属珪素融体の凝固物が取り囲むとともに、金属珪素を介してSiCが一体に接合した構造を有するため、炭化珪素が酸素を含む雰囲気から遮断され、酸化から防止される。さらに、SiCは、熱伝導率が高く、放熱しやすいという特徴を有するが、Siを含浸するSiCは、高い熱伝導率や耐熱性を示しつつ、緻密に形成され、伝熱部材として十分な強度を示す。つまり、Si−SiC系(Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC)材料からなるハニカム構造体1は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性を初め、酸やアルカリなどに対する耐蝕性に優れた特性を示すとともに、高熱伝導率を示す。
【0024】
さらに具体的に説明すると、ハニカム構造体1がSi含浸SiC複合材料、又は(Si+Al)含浸SiCを主成分とする場合、Si/(Si+SiC)で規定されるSi含有量が少なすぎると結合材が不足するために隣接するSiC粒子同士のSi相による結合が不十分となり、熱伝導率が低下するだけでなく、ハニカム構造のような薄壁の構造体を維持し得る強度を得ることが困難となる。逆にSi含有量が多すぎると、適切にSiC粒子同士を結合し得る以上に金属珪素が存在することに起因して、ハニカム構造体1が焼成により過度に収縮してしまい、気孔率低下、平均細孔径縮小などの弊害が併発してくる点において好ましくない。したがってSi含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましい。
【0025】
このようなSi含浸SiC、又は(Si+Al)含浸SiCは、気孔が金属シリコンで埋められており、気孔率が0または0に近い場合もあり、耐酸化性、耐久性に優れ、高温雰囲気化での長期間の使用が可能である。一度酸化されると酸化保護膜が形成されるため、酸化劣化が発生しない。また常温から高温まで高強度を有するため、肉薄で軽量な構造体を形成することができる。さらに、熱伝導率が銅やアルミニウム金属と同程度に高く、遠赤外線放射率も高く、電気導電性があるため静電気を帯びにくい。
【0026】
遮断部13は、例えば、図1Bに示すように、炭化珪素の外周壁7(SiC外周壁7a)に金属を含浸させて緻密質の緻密質部を形成したり、図1Dに示すように、SiC外周壁7aの外周面7hに金属を備えたりすることが好ましい。図1Bに示すように、外周壁7に金属を含浸させる実施形態においては、外周壁7の外周面7hおよびその近傍に金属を含浸させることにより金属含浸層7iを形成して緻密質部としてもよいし、外周壁7内に金属を傾斜分布させてもよい。金属を含浸する場合は、押出成形後、ハニカム構造体1に金属を載せて熱処理させることで含浸させる。
【0027】
図1Dに示すように、遮断部は、SiCにより集熱部12と一体的に形成されたSiC外周壁7aと、SiC外周壁7aの外周面7hに備えられた金属体とによって構成されているように構成することができる。図1Dに示すように金属を備えるとは、金属板7j等の金属体を外周面7hに嵌合するようにしてもよいし、巻き付けてもよい。図1Dに示すように、ハニカム構造体1のSiC外周壁7aの外周面に金属板7j等の金属体を備えた場合、ハニカム構造体1のSiC外周壁7aと金属板7jとが外周壁7であり、また遮断部13である。図1B、図1Dのいずれの場合においても、遮断部13である外周壁7の一部は、SiCを含んで構成され(すなわちSiC外周壁7aを有し)、遮断部13の外周面側に内周面側よりも金属が多く含まれることが好ましい。このように構成すると、SiCは、熱伝導が大きいためSiC外周壁7aが集熱部12から熱を集熱しやすくなり、外周側へ熱を伝達しやすくなる。したがって、高い熱交換率が期待できる。また、金属を含んだ緻密質部を有することから、強度を向上させることもできる。金属としては、図1Bの場合はSi+Al、図1Dの場合はステンレスまたはアルミニウム、銅などが挙げられる。
【0028】
図1Dに示すように、ハニカム構造体1のSiC外周壁7aの外周面に金属板7j等の金属体を備えた場合、SiC外周壁7aの金属体(金属板7j)との対向面である外周面7hの表面粗さRaが0.5μm以上(基準長さ10mm)であり、図1Eに示すように、ハニカム構造体1の外周面7hには、第一の流体の流れる方向の軸方向に延びた筋状の線条部7mが形成されているように構成することが好ましい。より好ましくは、外周面7hの表面粗さRaが1.0μm以上10μm以下、さらに好ましくは、外周面7hの表面粗さRaが3.0μm以上10μm以下である。これにより、ハニカム構造体1の外周面1と金属板7jとの密着性を高めることができる。
【0029】
熱交換部材11は、集熱部12と遮断部13との気孔率差が10%以上であり、集熱部12と、遮断部13の金属を含んだ部分との金属の含有率差が10%以上であることが好ましい。気孔率差はより好ましくは10%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下である。金属含有率差は、より好ましくは10%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下である。なお、遮断部13の気孔率とは、最も金属を含んだ緻密な部分の気孔率であり、遮断部13の金属を含んだ部分の金属含有率とは、最も金属を含んだ緻密な部分の金属含有率である。つまり、集熱部12と遮断部13との気孔率差は、集熱部12と、遮断部13の中で最も緻密となっている部分との気孔率差である。金属を含浸している時は、遮断部13内において、金属の分布が傾斜しているしないに関わらず、一番緻密(気孔率最小)の箇所であり、金属を巻き付けた時は、金属部分である。
【0030】
遮断部13は、1層以上の金属層を含んで構成されていることが好ましい。すなわち、遮断部13が金属の多層構造となることが好ましい。ここで多層構造とは、例えば、(1)含浸された金属の層、(2)熱応力を緩和するための金属層、(3)第二の流体と接する金属の3層構造を挙げることができる。また、他の実施形態としては、(1)熱応力を緩和するための金属層、(2)第二の流体と接する金属の2層構造を挙げることができる。金属層が多層構造になることにより、各層で発生する熱膨張差を吸収させることが出来、熱応力を低減させることが出来る。
【0031】
遮断部13は、金属を除いた外周壁の気孔率が10%以上であることが好ましい。10%未満では、成形が非常に困難である。より好ましくは、強度を十分なものとするために、60%以下である。金属を除いた外周壁の気孔率はより好ましくは10%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下である。
【0032】
熱交換器30に流通させる第一の流体(高温側)が排ガスの場合、第一の流体(高温側)が通過するハニカム構造体1のセル3内部の壁面には、触媒が担持されていることが好ましい。これは、排ガス浄化の役割に加えて、排ガス浄化の際に発生する反応熱(発熱反応)も熱交換することが可能になるためである。貴金属(白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、及び金)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、亜鉛、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス及びバリウムからなる群から選択された元素を少なくとも一種を含有すると良い。これらは金属、酸化物、及びそれ以外の化合物であっても良い。第一の流体(高温側)が通過するハニカム構造体1の第一流体流通部5に担持される触媒(触媒金属+担持体)の担持量としては、10〜400g/Lであることが好ましく、貴金属であれば0.1〜5g/Lであることが更に好ましい。触媒(触媒金属+担持体)の担持量を10g/L未満とすると、触媒作用が発現し難いおそれがある。一方、400g/Lを超えると、圧損が大きくなる他、製造コストが上昇するおそれがある。必要に応じて、ハニカム構造体1のセル3の隔壁4に触媒を担持させる。触媒を担持させる場合、ハニカム構造体1にマスキングを施し、ハニカム構造体1に触媒が担持されるようにする。予め、担体微粒子となるセラミックス粉末に触媒成分を含む水溶液を含浸させた後、乾燥し、焼成することにより触媒コート微粒子を得る。この触媒コート微粒子に分散媒(水等)、その他の添加剤を加えてコーティング液(スラリー)を調製し、このスラリーをハニカム構造体1の隔壁4にコーティングした後、乾燥し、焼成することによって、ハニカム構造体1のセル3の隔壁4に触媒を担持する。尚、焼成する際は、ハニカム構造体1のマスキングを剥す。
【0033】
また、ケーシング21の内周面24とハニカム構造体1の外周面7hとによって第二流体流通部6が形成されている。第二流体流通部6は、ケーシング21とハニカム構造体1の外周面7hとによって形成された第二の流体の流通部であり、第一流体流通部5とハニカム構造体1の隔壁4によって隔たれて熱伝導可能とされており、第一流体流通部5を流通する第一の流体の熱を隔壁4を介して受け取り、流通する第二の流体である被加熱体へ熱を伝達する。第一の流体と第二の流体とは、完全に分離されており、これらの流体が混じり合うことはない。
【0034】
第一流体流通部5は、ハニカム構造として形成されており、ハニカム構造の場合、流体がセル3の中を通り抜ける時には、流体は隔壁4により別のセル3に流れ込むことが出来ず、ハニカム構造体1の入口から出口へと直線的に流体が進む。また、本発明の熱交換器30内のハニカム構造体1は、目封止されておらず、流体の伝熱面積が増し熱交換器のサイズを小さくすることができる。これにより、熱交換器単位体積あたりの伝熱量を大きくすることができる。さらに、ハニカム構造体1に目封止部の形成やスリットの形成等の加工を施すことが不要なため、熱交換器30は、製造コストを低減することができる。
【0035】
熱交換器30は、第一の流体は、第二の流体よりも高温であるものを流通させ、第一の流体から第二の流体へ熱伝導するようにすることが好ましい。第一の流体として気体を流通させ、第二の流体として液体を流通させると、第一の流体と第二の流体の熱交換を効率よく行うことができる。つまり、本発明の熱交換器30は、気体/液体熱交換器として適用することができる。
【0036】
熱交換器30は、第二の流体よりも高温の第一の流体をハニカム構造体1のセル内に流通させることにより、第一の流体の熱をハニカム構造体1に効率よく熱伝導させることができる。すなわち、全伝熱抵抗は、第一の流体の熱抵抗+隔壁の熱抵抗+第二の流体の熱抵抗であるが、律速因子は、第一の流体の熱抵抗である。熱交換器30は、セル3を第一の流体が通過するため、第一の流体とハニカム構造体1との接触面積が大きく、律速因子である第一の流体の熱抵抗を下げることができる。
【0037】
本発明では基本的に押し出し成形をそのまま使用でき、工数が非常に少なく出来る。また同じ構造を耐熱金属で作製しようとしたとき、プレス加工、溶接加工などの工程が必要であるのに対し、本発明では不要である。したがって、製造コストを低減することができるとともに、十分な熱交換効率を得ることができる。
【0038】
熱交換器30は、第一の流体(加熱体)が流通するハニカム構造の第一流体流通部5(高温側)とされるハニカム構造体1と内部が第二流体流通部6とされるケーシング21により構成される。第一流体流通部5がハニカム構造体1により形成されていることから熱交換を効率的に行うことができる。ハニカム構造体1は、隔壁4によって流路となる複数のセル3が区画形成されており、セル形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形等の中から所望の形状を適宜選択すればよい。
【0039】
ハニカム構造体1の形状は円筒であるが、形状としてはこれに限定されるものでなく、四角柱等の他の形状であってもよい。図5Aに、熱交換部材11が四角柱のハニカム構造体1である場合の熱交換器30の軸方向に垂直な面で切断した断面図、図5Bに、その斜視図を示す。
【0040】
ハニカム構造体1のセル密度(即ち、単位断面積当たりのセルの数)については特に制限はなく、目的に応じて適宜設計すればよいが、25〜2000セル/平方インチ(4〜320セル/cm2)の範囲であることが好ましい。セル密度が25セル/平方インチより小さくなると、隔壁4の強度、ひいてはハニカム構造体1自体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)が不足するおそれがある。一方、セル密度が2000セル/平方インチを超えると、熱媒体が流れる際の圧力損失が大きくなるおそれがある。
【0041】
また、ハニカム構造体1の1つ当たり(1モジュール当たり)のセル数は、1〜10,000が望ましく、200〜2,000が特に望ましい。セル数が多すぎるとハニカム自体が大きくなるため第一の流体側から第二の流体側までの熱伝導距離が長くなり、熱伝導ロスが大きくなり熱流束が小さくなる。またセル数が少ない時には第一の流体側の熱伝達面積が小さくなり第一の流体側の熱抵抗を下げることが出来ず熱流束が小さくなる。
【0042】
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の厚さ(壁厚)についても、目的に応じて適宜設計すればよく、特に制限はない。壁厚を50μm〜2mmとすることが好ましく、60〜500μmとすることが更に好ましい。壁厚を50μm未満とすると、機械的強度が低下して衝撃や熱応力によって破損することがある。一方、2mmを超えると、ハニカム構造体側に占めるセル容積の割合が低くなったり、流体の圧力損失が大きくなったり、熱媒体が透過する熱交換率が低下するといった不具合が発生するおそれがある。
【0043】
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の密度は、0.5〜5g/cm3であることが好ましい。0.5g/cm3未満の場合、隔壁4は強度不足となり、第一流体が流路内を通り抜ける際に圧力により隔壁4が破損する可能性がある。また、5g/cm3を超えると、ハニカム構造体1自体が重くなり、軽量化の特徴が損なわれる可能性がある。上記の範囲の密度とすることにより、ハニカム構造体1を強固なものとすることができる。また、熱伝導率を向上させる効果も得られる。
【0044】
次に、熱交換部材11であるハニカム構造体1が、ハニカム部52の軸方向の端面2から軸方向外側に延出して筒状に形成された延出外周壁51を有している実施形態を示す。図2Aに延出外周壁51を有するハニカム構造体1の斜視図、図2Bに、軸方向に平行な断面で切断した断面図を示す。また、図3Aに、ケーシング21内に延出外周壁51を有するハニカム構造体1が収容された熱交換器30の斜視図、図3Bに、軸方向に平行な断面で切断した断面図、図3Cに、軸方向に垂直な断面で切断した断面図を示す。
【0045】
図2A〜図2Bに示すように、熱交換部材11であるハニカム構造体1は、ハニカム部52の軸方向の端面2から軸方向外側に延出して筒状に形成された延出外周壁51を有している。延出外周壁51は、ハニカム部52の外周壁と連続的に一体として形成されている。外周壁延出外周壁51の内周面側は、隔壁4やセル3等が形成されておらず、中空となっている。中央部のハニカム部52は、伝熱を促進する集熱部12である。
【0046】
図3A〜図3Dに、ケーシング21内に延出外周壁51を有するハニカム構造体1が収容された熱交換器30の実施形態を示す。図3Aは、斜視図であり、図3Bは、軸方向に平行な断面で切断した断面図である。図3Cは、ケーシング21が、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合する筒状部21aと、その筒状部21aの外側に第二流体流通部6を形成する外側ケーシング部21bとを一体として備える実施形態を示す。図3Dは、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【0047】
図3A〜図3Bの実施形態では、熱交換器30のケーシング21は、第一の流体の入口25から第一の流体の出口25までの第一流体流通部5を形成するハニカム構造体1が嵌合するように直線状に形成され、ハニカム構造体1は、ケーシング21に嵌合して備えられており、ハニカム構造体1の延出外周壁51の外周面とケーシング21の内周面とによってシール部53が形成されている。第二の流体の入口22と出口23とが、ハニカム構造体1に対し、同じ側に形成されている。本実施形態では、第二流体流通部6がハニカム構造体1の外周を周回する周回構造となっている。つまり、ハニカム構造体1の外周を周回するように第二の流体が流通する(図3D参照)。
【0048】
図3Cは、ケーシング21が、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合する筒状部21aと、その筒状部21aの外側に第二流体流通部6を形成する外側ケーシング部21bとを一体として備える熱交換器30の実施形態を示す。図3Dは、軸方向に垂直な断面で切断した断面図である。筒状部21aは、ハニカム構造体1の外周面7の形状に対応した形状を有し、外側ケーシング部21bは、筒状部21aの外側に、第二の流体が流通するための空間を有した筒状の形状を有している。また、外側ケーシング部21bの一部に第二の流体の入口22及び出口23が形成されている。本実施形態では、第二流体流通部6は、筒状部21aと外側ケーシング部21bとに囲まれて形成されており、第二流体流通部6を流通する第二の流体は、ハニカム構造体1の外周面7h上をハニカム構造体1の外周面7に直接接触せずに周方向に流通して熱を交換することになる。このような構成とすることにより、ハニカム構造体1に破損があった場合でも、第一の流体と第二の流体が漏れたり混合したりすることがない。
【0049】
図3Bの拡大図に、遮断部13が1層以上の金属層を含んで構成されている実施形態を示す。左側の拡大図では、延出外周壁51には、金属含浸層7iが形成され、さらに、延出外周壁51とケーシング21とを接合するための接合金属層7kが形成されている。また、右側の拡大図に示すように、ハニカム部のSiC外周壁7aには、金属含浸層7iが形成され、さらに、第二の流体と接する金属板7jが備えられている構成とすることもできる。
【0050】
また、図4Aに、ケーシング21内に延出外周壁51を有するハニカム構造体1が収容された熱交換器30の斜視図、図4Bに、軸方向に平行な断面で切断した断面図、図4Cに、軸方向に垂直な断面で切断した断面図を示す。図4A〜図4Cに示すように、本実施形態の熱交換器30のケーシング21は、第一の流体の入口25から第一の流体の出口25までの第一流体流通部5を形成するハニカム構造体1が嵌合するように直線状に形成され、第二の流体の入口22から第二の流体の出口23までの第二流体流通部6も直線状に形成され、第一流体流通部5と第二流体流通部とが交差する交差構造とされている。ハニカム構造体1は、ケーシング21に嵌合して備えられており、ハニカム構造体1の延出外周壁51の外周面とケーシング21の内周面とによってシール部53が形成されている。第二の流体の入口22と出口23とが、ハニカム構造体1を挟んで反対側に形成されている。
【0051】
熱交換器30の信頼性を向上するためには、高温流体(第一の流体)側からシール部53への伝熱を抑制し、シール部53の温度上昇を抑えることが有効であり、本実施形態は、延出外周壁51が形成されており、延出外周壁51がシール部53となっているため、熱交換器30の性能が向上する。例えば図1A及び図1Bの構造では第一の流体の入口であるハニカム構造体1の入口側の端面2付近が最も高温であるが、ケーシング21との接合やシール部分(シール部11)が必要なため最端部に第2の流体を流すこと難しい。本実施形態のように延出外周部51を設けることにより、ハニカム部21の端部(入口側の端面2付近)も熱交換できる。言い換えると、シール部53がハニカム部52よりも軸方向外側に形成されているため、ハニカム部21の外周面の全面に第二の流体が接触可能である。このため、熱交換効率を向上させることができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1〜12)
熱交換部材11(ハニカム構造体1)とケーシング21によって、第一流体流通部と第二流体流通部とが形成された熱交換器30を以下のようにして作製した。
【0054】
(ハニカム構造体の製造)
以下のようにして、実施例1〜12、比較例1の熱交換部材11を製造した。
【0055】
(実施例1〜6)
セラミックス粉末を含む坏土を所望の形状に押し出した後、乾燥し、焼成することによって、材質は炭化珪素、本体サイズが直径50mm、長さ100mmの円柱状のハニカム構造体1を製造した。ハニカム構造体1のSiC外周壁7aに金属(Si)を含浸させて金属含浸層7iを形成し、熱交換部材11とした(図1B参照)。
【0056】
(実施例7〜12)
実施例1と同様に、ハニカム構造体1を製造した。SiC外周壁7aに金属を含浸させることなく、SiC外周壁7aの周りに金属板7j(SUS)を巻き付け、熱交換部材11とした(図1D参照)。
【0057】
(ケーシング)
熱交換部材11(ハニカム構造体1)の外側容器として、ステンレスからなるケーシング21を用いた。実施例1〜12では、1つの熱交換部材11(ハニカム構造体1)を、ケーシング21内に配置した(図3C及び図3D参照)。図6参照に示すように、ハニカム構造体1とケーシングとの間隔15bは、ハニカム構造体1のセル長15aと同じになるようにした。第一流体流通部5は、ハニカム構造に形成され、第二流体流通部6は、ケーシング21内で、ハニカム構造体1の外周を流通(外側構造)するように形成されている。また、ケーシング21には、第一の流体をハニカム構造体1に、第二の流体をケーシング21に導入、排出するための配管を取り付けた。尚、第一の流体と第二の流体が混ざり合わないように、これら2経路は完全に隔離されている(外周フロー構造)。また、実施例1〜12のハニカム構造体1の外形構造は、全て同一とした。
【0058】
(比較例1〜3)
実施例1と同様に、ハニカム構造体1を製造した。SiC外周壁7aに、外周壁やハニカム部(集熱部)と同種ペーストを塗布し、焼成することによりSiC外周壁7aを緻密化し、遮断部13とした。
(比較例4〜6)
実施例1と同様に、コージェライト材料でハニカム構造体1を製造した。コージェライト外周壁に金属を含浸させることなく、コージェライト外周壁の周りに金属板7j(SUS)を巻き付け、熱交換部材11とした。
【0059】
熱交換部材11の構成を表1に示す。表1の遮断部の気孔率は、遮断部13の最も緻密な部分の気孔率である。つまり、実施例1〜6では、金属含浸層7iの気孔率、実施例7〜12では、金属板7jの気孔率である。なお、表1の含有金属量は、炭化珪素柱のSiを金属しない場合の値である。
【0060】
(第一の流体、及び第二の流体)
第一の流体の熱交換部材11(ハニカム構造体1)への入口温度、流量、第二の流体のケーシング21内への入口温度、流量は全て同一条件とした。第一の流体として、400℃の窒素ガス(N2)を用いた。また、第二の流体として20℃の水を用いた。
【0061】
(熱交換効率の試験方法)
ハニカム構造体1の第一流体流通部5に窒素ガスを流し、ケーシング21内の第二流体流通部6に(冷却)水を流した。ハニカム構造体1に対する窒素ガスのSV(空間速度)は50,000h−1とした。(冷却)水の流量は5L/minとした。(冷却)水は配管の外側(ギャップ1mm)を流れる構成であった。
【0062】
(試験結果)
表1に熱交換率を示す。熱交換率(%)は、第一の流体(窒素ガス)及び第二の流体(水)のハニカム構造体1の出口温度と入口温度からそれぞれエネルギー量を算出し、式1で計算した。
(式1) 熱交換率(%)=((被加熱体(第二の流体)の出口温度−被加熱体(第二の流体)の入口温度)×被加熱体(第二の流体)の比熱)÷(加熱体(第一の流体)の入口温度−被加熱体(第二の流体)の出口温度)×加熱体(第一の流体)の比熱
【0063】
(熱交換部材の耐久性試験)
それぞれの熱交換部材11を400℃に加熱し、耐久性を調べた。結果を表1に示す。
第一の流体として400℃の窒素ガス(N2)、第二の流体として20℃の水を用いた熱交換効率の試験によって、熱交換器30内の熱交換部材11の耐久性について調べた結果を表1に示す。遮断部の気孔率が0.1%以下で、遮断部の金属を除いた気孔率が0%の時は、試験中に割れてしまった。
【0064】
(密着性)
熱交換部材11のハニカム構造体1と金属板7j(SUS)との密着性を熱交換効率から評価した。評価基準は、熱交換効率95%以上を◎、熱交換効率90%を超え95%未満を○、熱交換効率90%以下を△とした。
【0065】
【表1】
【0066】
SiC外周壁7aが、SiC外周壁7aやハニカム部(集熱部12)と同種ペーストにより緻密化された比較例1〜3は、割れが発生した。一方、遮断部13である外周壁7に金属が含まれる(含浸、巻き付け)実施例1〜12は、割れが発生せず、耐久性が向上した。遮断部に金属が含まれることにより、耐久性が向上する。セラミックス製ハニカムをコージェライト材料にした比較例4〜6では、割れは発生しなかったものの熱交換効率が小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の熱交換器は、加熱体(高温側)と被加熱体(低温側)で熱交換する用途であれば、自動車分野、産業分野であっても特に限定されない。特に、加熱体または被加熱体の少なくとも一方が液体の場合に好適である。自動車分野で排ガスから排熱回収用途で使用する場合は、自動車の燃費向上に役立てることができる。
【符号の説明】
【0068】
1:ハニカム構造体、2:(軸方向の)端面、3:セル、4:隔壁、5:第一流体流通部、6:第二流体流通部、7:外周壁、7h:外周面、7i:金属含浸層、7j:金属板、7k:接合金属層、7m:線条部、11:熱交換部材、12:集熱部、13:遮断部、15a:セル長、15b:間隔、21:ケーシング、21a:筒状部、21b:外側ケーシング部、22:(第二の流体の)入口、23:(第二の流体の)出口、30:熱交換器、51:延出外周壁、52:ハニカム部、53:シール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセルを有するハニカム構造として形成された集熱部と、
前記集熱部の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁を有し、かつ少なくとも一部は金属を含み前記集熱部とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁として形成され、流体の流通を遮断する遮断部と、を備え、
前記遮断部の外周面側に前記第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させ、少なくとも一方は液体である前記第一の流体と前記第二の流体とを前記遮断部によって隔てた状態で、前記遮断部を介して前記第一の流体と前記第二の流体との熱交換を行う熱交換部材。
【請求項2】
前記集熱部と前記遮断部との気孔率差が10%以上であり、
前記集熱部と、前記遮断部の金属を含んだ部分との金属の含有率差が10%以上である請求項1に記載の熱交換部材。
【請求項3】
前記遮断部は、前記外周面側が内周面側よりも金属が多く含まれる請求項1または2に記載の熱交換部材。
【請求項4】
前記遮断部は、1層以上の金属層を含んで構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換部材。
【請求項5】
前記遮断部は、SiCにより前記集熱部と一体的に形成されたSiC外周壁と、前記SiC外周壁の外周面に備えられた金属体とによって構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換部材。
【請求項6】
前記SiC外周壁の前記金属体との対向面である前記外周面の表面粗さRaが0.5μm以上であり、前記外周面には、前記第一の流体の流れる方向の軸方向に延びた筋状の線条部が形成されている請求項5に記載の熱交換部材。
【請求項7】
前記遮断部は、金属を除いた前記外周壁の気孔率が10%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換部材。
【請求項1】
SiCの隔壁により区画形成された、加熱体である第一の流体が流通する複数のセルを有するハニカム構造として形成された集熱部と、
前記集熱部の外周に配設され、SiCで形成されたSiC外周壁を有し、かつ少なくとも一部は金属を含み前記集熱部とは異なる材料で構成された緻密質の緻密質部を有する外周壁として形成され、流体の流通を遮断する遮断部と、を備え、
前記遮断部の外周面側に前記第一の流体よりも低温の第二の流体を流通させ、少なくとも一方は液体である前記第一の流体と前記第二の流体とを前記遮断部によって隔てた状態で、前記遮断部を介して前記第一の流体と前記第二の流体との熱交換を行う熱交換部材。
【請求項2】
前記集熱部と前記遮断部との気孔率差が10%以上であり、
前記集熱部と、前記遮断部の金属を含んだ部分との金属の含有率差が10%以上である請求項1に記載の熱交換部材。
【請求項3】
前記遮断部は、前記外周面側が内周面側よりも金属が多く含まれる請求項1または2に記載の熱交換部材。
【請求項4】
前記遮断部は、1層以上の金属層を含んで構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換部材。
【請求項5】
前記遮断部は、SiCにより前記集熱部と一体的に形成されたSiC外周壁と、前記SiC外周壁の外周面に備えられた金属体とによって構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換部材。
【請求項6】
前記SiC外周壁の前記金属体との対向面である前記外周面の表面粗さRaが0.5μm以上であり、前記外周面には、前記第一の流体の流れる方向の軸方向に延びた筋状の線条部が形成されている請求項5に記載の熱交換部材。
【請求項7】
前記遮断部は、金属を除いた前記外周壁の気孔率が10%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換部材。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【公開番号】特開2012−37165(P2012−37165A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178923(P2010−178923)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]