説明

熱伝導性二液型接着剤組成物

【課題】組成物は、電気部品のような熱を発生する部品を放熱体のような基体に接着するのに有益である。
【解決手段】本発明は、(メタ)アクリレート系の重合可能な単量体成分と;過酸化物系硬化剤成分と;1級、2級または3級アミン又は−CONHNH−基を含む化合物類から選ばれる1種以上の共硬化性成分と;安定化成分と;熱伝導性充填材成分とを含む第1部分と;およびアクリレート又はメタクリレート系の重合可能な単量体成分と;硬化反応に触媒作用を及ぼす触媒成分と;安定化成分と、および;充填材成分とを含む第2部分とを含む2液型熱伝導性接着剤組成物に関し、組成物の少なくとも一方の部分は、熱伝導性充填材を含む充填材成分を有する。なお、熱伝導性充填材は第1部分または第2部分または両方の部分に存在して良いが、好ましくは第2部分に存在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に熱伝導性接着剤に関し、特に、電子部品の接着に有益で其れらの作動中に発生する熱を其れらから散逸させることを助けるものに関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業の進歩により、特にパッケージングに関して、熱管理は益々重要な課題となっている。例えば、電子製品内が過熱されると、信頼性(「平均故障寿命」)の低下、処理の低速化、および電源を操作する能力が低下する。さらに、半導体素子上の電子部品の数を増加させ小型化することに依然として関心が持たれているため、半導体素子の電源消費を低減することが一般的に好ましいにも関わらず、熱管理は重要である。また、半導体素子がプリント回路基板(「pcb」)に直接搭載される素子内蔵技術の場合、基板の表面積をより効率的に利用する(すなわち、pcbの上の実際の占有密度が大きい)ため、熱管理に対する要求は更に増加する。
【0003】
熱管理または熱散逸の方式は対流または伝導の作用を一般に含み、熱は(動作中のケイ素集積回路のような)電子装置から其の装置の回りの空気の対流(例えば、自由または強制で)、冷却器を通過する流体(例えば、水または過フッ化炭化水素類)の対流、または物理的に接触している部品を介しての伝導により除去できる。そのような方式は、設計基準内の温度を維持するために、しばしば組み合わせて使用される。
【0004】
熱対流は接触面を横切る伝熱に関するもので、接触面における(1)露出した面積量、(2)温度差、および(3)熱伝達係数に比例する。一方、熱伝導はある長さの単位面積当たりの熱流に関し、その長さを横切る温度勾配に比例する。したがって、熱伝導(または熱伝導度)は、ある材料がそこを通して熱を転送する能力を測定する定常状態的な特性である。他の条件が全て同じであれば、同量の熱を散逸させるには、対流の方が伝導より大きな表面積を必要とする。もちろん、電子パッケージングの継続的な小型化に伴い、表面積が減少し、対流は好ましくなくなってきている。
【0005】
放熱体は、アルミニウム合金および黒鉛合成物のような軽量な熱伝導性の材料により構成され、電子装置からの熱散逸を促進するために其れと共にしばしば使用される。放熱体は熱容量を獲得するために十分な重量を有している必要があり、熱容量は環境への熱流を超えてはならず、放熱体と共に使用されている装置からの熱流と一致していなければならない。
【0006】
放熱体が良好に機能する方法は、これまで変化してきた。そのような変化の理由の1つは、放熱体と熱を発生する電子装置との間の境界に熱抵抗が存在するからである。一般に、そのような抵抗は電子装置と放熱体との境界接合面に、(1)高い熱伝導度を有する、(2)放熱体と電子装置との表面で密着に接触している、および(3)耐久性が良好な材料を配置することで最小化することができ、耐久性とは熱サイクルで測定されるようなものであり、放熱体と熱を発生する装置との間の境界結合での不良および性能の低下を検知する。機械的留具および熱伝導性のグリース、雲母小片およびセラミック碍子、パッドおよびテープ、および接着剤が、放熱体または境界材料として使用されてきた。
【0007】
機械的留具は耐久性を有するが、境界面の微小な空隙のために境界面で高い熱抵抗が発生することが多く、高度に研磨された表面の場合ですら空隙が存在する。
【0008】
そのような留具の表面接触性は熱グリースを使用して改善でき、グリースは境界面および表面の空隙に浸透し、境界面での熱抵抗を効果的に低下させる。しかしながら、そのようなグリースは、一般に耐溶剤性を有しておらず、時間とともに境界結合面から移動してしまう傾向がしばしばある。
【0009】
また、熱グリースは塗布に時間を要し、汚く、きれいにし難いと考える利用者もいる。加えて、熱グリースを塗布した際は、汚染を最小限にするため、ハンダを使用する工程を回避しなければならない。さらに、境界接合から熱グリースが洗浄され取り除かれて、その結果、境界の乾燥(よって熱抵抗の増加)及び浴の汚染を最小限とするため、熱グリースを含む部品を洗浄浴につけることを回避することが好ましい。
【0010】
雲母小片は安価で優れた絶縁耐性が有するが、脆く、容易に破損される。さらに、雲母それ自身は高い熱抵抗を有しており、その結果、熱グリースが通常塗布される。セラミック碍子は高価で脆く、雲母小片のように容易に破損される。
【0011】
熱伝導性のパッドは積層された複合材料で、その位置の基体表面での接着および良好な熱的接触を促進するため、感圧性の接着剤がしばしば塗布されている。例えば、米国特許第4,574,879号(DeGree)参照。そのような伝導性のパッドの例は、Massachusetts州Woburn市にあるW.R.Grace unit、Chomerics社の商標「CHO−THERM」を含む。パッドの中心部は一般に高い熱伝導性を有するが、塗布物自体は低い熱伝導度を有する柔軟な材料である。
【0012】
したがって、境界面の耐熱性を決定する、会わせ面に対する塗布の表面浸透の程度よって、伝導性パッドの熱性能は、多くの場合、搭載圧力および動作温度に依存する。熱伝導性テープも同様に機能する。例えば、米国特許第5,510,174号(Litman)を参照。
【0013】
熱伝導性接着剤は硬化可能である(硬化可能となるように意図されていない点でグリースとは対照的)が、グリースと同様に熱伝導性充填材を含有している場合が多く、商業上入手可能な例は、Indiana州Indianapolis市にあるThermoset社およびMassachusetts州Tyngsboro市にあるCreative Materials社より提供されるものを含む。これらの接着剤は、接着剤が混合され適切に適当な表面へ塗布された場合、境界結合から移動してならない点を除いて、グリースと似た方法で機能する。
【0014】
様々な熱伝導性の接着剤が数多くの用途で使用されていることが知られており、封止剤、静電複写機中の定着ロールの塗装、接着媒体、および同様のようなものである。そのような組成物の中で使用される樹脂はそれ自身が熱により安定である必要があり、その例は、シリコーン、エポキシ、フェノール、ビニール及びアクリル製の材料を含む。例えば、歪を取り除くために弾性が高く、吸湿性が低く、イオン的に高純度であり、使用温度範囲が広く、および絶縁特性のような電気的特性に優れているため、シリコーンは特に好ましい樹脂である。
【0015】
しかしながら、もちろん樹脂自体の伝導率に依存するが、そのような接着剤の熱伝導度を高めることが多くの場合好ましい。
【0016】
樹脂基体媒体に伝導性充填材を添加して、しばしば熱伝導度を改良できる。[Handbook of Fillers for Plastics、6.1、255、H.S.Katz及びJ.V.Milewski編集、Van Nostrand Reinhold社、New York(1987年刊)参照;米国特許第4,147,669号(Shaheen)(樹脂中のガリウム、アルミニウムおよび金、銅または銀);第4,544,696号(Streusand)、第4,584,336号(Pate)及び第4,588,768号(Streusand)(酸化アルミニウムまたは酸化亜鉛を備えた窒化ケイ素を含む有機ポリシロキサン);第5,011,870号(Peterson)(有機ポリシロキサン樹脂媒体中の窒化アルミニウム、およびケイ素金属および窒化ホウ素);および第5,352,731号(Nakano)(酸化アルミニウムを含むシリコーンゴム)も参照。]
米国特許5,430,085号(Acevedo)には熱的および電気的に伝導性のコーキング材が記載されており、300から325ミクロンの範囲内の粒径を備えた伝導性の粒子を80重量%と、75から80ミクロンの範囲内の粒径を備えた伝導性の粒子を10重量%と、および0.020から0.025インチの範囲内の長さを有する伝導性の繊維を10重量%とを含む充填材と混合されたシリコーンのような樹脂が含まれている。
【0017】
米国特許第4,604,424号(Cole)には熱伝導性のシリコーンエラストマーが記載されており、ポリジ有機シロキサン、硬化剤、白金含有ヒドロシリル化触媒、および酸化亜鉛および酸化マグネシウム充填材を含んでおり、その充填材の粒径は実質上全ての充填材粒子が325メッシュの網目を貫通するようなものであり、その充填材の平均粒径は10ミクロン未満である。充填材は、充填材の重量によって、50%から90%の酸化亜鉛、および10%から50%の酸化マグネシウムで構成される。他の充填材(40重量%までの)として、酸化アルミニウム、酸化第二鉄およびカーボンブラックが含まれる。硬化されたエラストマーは、研磨材による浸食に対して、唯一の充填材として酸化アルミニウムを含む組成物より高い抵抗性を有する。
【0018】
米国特許第5,445,308号(Nelson)には、熱伝導度を改善する別の方法により離れた表面がつなげられており、液体金属(例えばガリウム、ガリウム/インジウム、ガリウム/インジウム/スズ及び/又は水銀)を含む熱伝導性充填材を、硬化されていない媒体材料(例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、W硬化性材料、エポキシ樹脂および溶媒を保持している材料)へ混合し、その後、媒体材料を硬化する。
【0019】
日本国特許文書JP07−292251の英語要旨は、硬化性で熱伝導性であり電気絶縁性の酸化マグネシウムを含むシリコーン組成物に関するようである。
【0020】
ケミカルアブストラクトCA124:124432r(1996年)中にはシランエラストマーの前駆物質と共に使用される窒化アルミニウムの爆発性圧縮物が言及されており、重合することにより、そのようにして形成された高分子・セラミック組成物の熱伝導度が改良されたことが報告されている。
【0021】
熱伝導性の接着剤があれば、熱を生成する電子装置とそれらの放熱体との間の熱の移動の効率的な方法が提供されるため、機械的な留具および締具は不要となる。そのような応用の例は、変圧器、トランジスターおよび他の熱を発生する電子部品をプリント回路基板組立体または放熱体へ接着する場合である。
【0022】
多くの商業的に入手可能な熱伝導性の接着剤は1成分の活性化剤に基づく系を含み、活性化剤は溶媒系である。そのような系の場合、接着剤を塗る前に活性化剤を接着表面に塗布する必要があるとき、時間的な問題が生じる場合がある。さらに、活性化剤組成物が例えば皮膚感作のような健康上および安全上の問題につながる可能性がある状況においては、活性化剤の使用が不適切な場合がある。したがって、これらの問題点の多くが解消され現行製品の好ましい特性を維持している熱伝導性の粘着性システムを提供することが求められている。
【0023】
もちろん、硬化後の状態で熱伝導性ではない多くの硬化可能な組成物には、様々な最終用途が存在する。それらの組成物は、化学的様態などに応じて1部または2部の組成物として調製される。
【0024】
ここ暫く存在している製品として、Loctite社製品第3257A/Bがある。この材料は、材料安全データシート(MSDS)に部分Aが第0158392号として、部分Bが第0158925号として記載されている。このMSDSから分かる通り、この組成物は2つの部分からなり、部分Aは以下の成分を含有する:
部分A
1.樹脂
2.硬化剤
3.促進剤
部分B
4.樹脂
5.触媒
この組成物は、モータの筐体へフェライトを接着するような良好な耐衝撃性および耐熱性が要求される用途で有益であると記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
現状技術にも関わらず、電子部品および同様のものによって生成された熱を散逸させるために使用できる、新たな熱伝導性の組成物を提供する要求が依然ある。そのような組成物は、所望の条件下で比較的容易に扱いおよび硬化できる必要があり、非常に安定している必要がある。
【0026】
現時点で市場において一般的な熱伝導性の接着剤は、1つの部分からなる活性化剤系のものである。前述のシステムでは、活性化剤は接着表面の一方に塗布され、引続き、1つの部分からなる熱伝導性の接着剤が活性化剤システムの最上部に分配される。活性化剤システムは1つの部分からなる接着剤を架橋する効果を有し、周囲の温度または周囲より僅かに高い温度で、選択した系に依存して、数時間または数分間でさえも硬化が完了する。
【0027】
そのようなシステムからは極めて許容される熱伝導性が得られるが、多くの場合0.7〜2.0W/mKの範囲であり、活性化剤を使用すると、工程上の幾つかの障害に至る場合がある。第1に、多くの活性化剤は溶剤系であり及び/又は臭気を発する材料を含んでいる。それらの活性化剤の塗布は好ましくなく、いくつかの例では吸入して問題となる場合がある。第2に、活性化剤は、接着面に手で塗布される。多くの例では、これは、より完全に自動化された工程に比べ、時間がかかり従ってコストが高くなる。よって、環境および経済の両方の観点から、活性化剤の使用を除去する要求があり、本発明で記載される組成物は非常に好ましいものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によれば、電子部品の接着に有益な、2液型熱伝導性の接着剤組成物が提供され、
(i)(メタ)アクリレート系の重合可能な単量体成分と;
(ii)過酸化物系硬化剤成分と;
(iii)1級、2級または3級アミン又は−CONHNH−基を含む化合物類から選ばれる1種以上の共硬化性成分と;
(iv)安定化成分と、および;
(v)充填材成分と
を含む第1部分と;および
(i)(メタ)アクリレート系の重合可能な単量体成分と;
(ii)硬化反応に触媒作用を及ぼす触媒成分と;
(iii)安定化成分と、および;
(iv)充填材成分と
を含む第2部分とを含み、
該組成物の少なくとも一方の部分は、熱伝導性充填材を含む充填材成分を有する。なお、該熱伝導性充填材は該第1部分または該第2部分または両方の部分に存在して良いが、好ましくは該第2部分に存在している。
【0029】
温度に敏感な部品から熱エネルギーを導いて除くことが好ましい上記のような形態の状態で接着の目的のために使用する場合、本発明の組成物は5分で完全に固化でき、活性化剤を使用せず、0.7〜2.0W/mKの範囲の熱伝導度を示す。
【0030】
本発明の組成物は、例えばBGA及びQFPのような電子パッケージに付属する放熱体に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の熱伝導性の二液型接着剤組成物は、変圧器、トランジスター及び他の熱を発生する電子部品をプリント回路基板組立体および放熱体に接着するために使用でき、樹脂を含む第1の部分および硬化剤を含む第2の部分を備えている。
【0032】
第1部分は、以下の成分(i)から(v)を含む:
(i)(メタ)アクリレート系の重合可能な単量体成分。典型的には、第1部分の総重量の20〜50重量%の範囲内の量である。より典型的には25〜40重量%の範囲内で、さらに典型的には30〜35重量%の範囲内である。重合可能な単量体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、およびヒドロキシル、グリシジル、またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種である。重合可能な単量体は、アルキルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、シクロアルキルメタクリレート、アルコキシルアクリレート、アルコキシルメタクリレート、アルキレンジアクリレート及びアルキレンジメタクリレートから選ばれた少なくとも1種でよい。好ましくは、重合可能な単量体は少なくとも1種の(メタ)アクリレートを含む。単官能の単量体の中でも、メチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート及びt−ブチルメタクリレートが好ましい。さらにより好ましくは、重合可能な単量体は、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート又は2−エチルヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。
【0033】
(ii)過酸化物系硬化剤成分は、典型的には、第1部分の総重量の0.1〜5重量%の範囲内である。より典型的には第1部分の総重量の0.5〜3重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の1〜1.5重量%の範囲内である。好ましくは、過酸化物系硬化剤は、過酸化物類、ヒドロペルオキシド類、過酸エステル類、過酸基塩類、過酸類、メチルエチルケトンヒドロペルオキシド、および、メチルブテン、セタン及びシクロヘキサン及び各種のケトン類およびエーテル類のような各種の炭化水素類を酸素化して形成されるヒドロパーオキサイド類から選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、過酸化物系硬化剤は、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、tert−アミルペルオキシド及び2,5−2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサンから選ばれる少なくとも1種である。さらにより好ましくは、過酸化物系硬化剤は、クメンヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド及びt−ブチルヒドロペルオキシドから選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。
【0034】
(iii)少なくとも1種の共硬化性成分は、典型的には、第1部分の総重量の0.01〜5重量%の範囲内である。より典型的には第1部分の総重量の0.02〜2重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の0.05〜1重量%の範囲内である。好ましくは、共硬化性成分は、1級、2級または3級アミン又は−CONHNH−基を含む化合物類から選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、共硬化性成分は、N,N−ジメチル−パラトルイジン、N,N−ジヒドロキシエチルp−トルイジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン及び1−アセチル−2−フェニルヒドラジンのようなものから選ばれる少なくとも1種である。記載したような3級芳香族アミン類が特に有用であるが、3級アルキルアミン類も有用である。さらにより好ましくは、共硬化性成分は、1−アセチル−2−フェニルヒドラジン及びトリブチルアミンから選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。
【0035】
(iv)安定化成分は、典型的には、第1部分の総重量の0.1から5重量%の範囲内である。より典型的には第1部分の総重量の0.5〜2重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の0.8〜1.2重量%の範囲内である。好ましくは、安定化成分は、チアジン類、キノン類、有機酸類およびオキサゾール官能基を有する化合物類から選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、安定化成分は、フェノチアジン、ヒドロキノン、シュウ酸および水和塩のような其の誘導体類およびベンゾオキサゾールから選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。
【0036】
(v)充填材成分は、典型的には、第1部分の総重量の20〜90重量%の範囲内である。より典型的には第1部分の総重量の25〜60重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の35〜45重量%の範囲内である。充填材成分は、無機物または金属でよい。好ましくは、充填材成分は、鉄、アルミニウム、石英、亜鉛、銀、金、ニッケル、マグネシウム、ホウ素、バリウム、白金、パラジウム、銅、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、シリカ、並びに、炭素、黒鉛、滑石、炭化ケイ素および其の種の物、及び其れらの組み合わせから選ばれるもので少なくとも部分的に構成される。より好ましくは、伝導性充填材成分は、石英、シリカ、滑石、炭化ケイ素から選ばれる少なくとも1種である。さらにより好ましくは、熱的充填材成分は、シリカ、石英または滑石から選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。当業者は、組成物の最終用途に依存して使用するために最も適切な熱伝導性充填材成分を選択できる。
【0037】
任意に、第1部分は以下の(i)から(iii)の追加成分を含むことができる:
(i)第1部分の総重量の1〜20重量%の範囲内の強靭化成分。より典型的には第1部分の総重量の3〜15重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の5〜10重量%の範囲内である。好ましくは、強靭化成分は、(i)アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステル類の単独重合体;(ii)アクリル又はメタクリル酸のアルコキシエステルの単独重合体;(iii)アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステルと、またはアクリル又はメタクリル酸のアルコキシエステルと低級アルケン類のような他の重合可能な単量体の共重合体;(vi)上記(i)〜(v)の何れか又は全ての混合物から選ばれる少なくとも1種である。アクリル又はメタクリル酸を含むジエン類のアルキル及びアルコキシエステル類と共重合されてもよい他の不飽和単量体類、反応性ハロゲン含有不飽和化合物類およびアクリルアミド類のような他のアクリル性単量体類でもよい。より好ましくは、強靭化成分は、商標Hycar又はNIPOLで販売されているようなアクリロニトリルブタジエンメタクリル酸共重合体よりなる群より選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。
【0038】
(ii)第1部分の総重量の0.1〜5重量%の範囲内の増粘成分。より典型的には第1部分の総重量の0.2〜2重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の0.5〜1.5重量%の範囲内である。
【0039】
(iii)製造者、販売店および/または末端消費者が第1部分を第2部分と区別することを助けるための染料で、第1部分の総重量の0.001〜2重量%の範囲内。より典型的には第1部分の総重量の0.002〜0.5重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の0.005〜0.01重量%の範囲内である。
【0040】
第2部分は、以下の成分(i)から(iv)を含む:
(i)第2部分の総重量の10〜90重量%の範囲内の重合可能な単量体成分。より典型的には第2部分の総重量の25〜45重量%の範囲内で、さらに典型的には第2部分の総重量の30〜35重量%の範囲内である。重合可能な単量体成分は、アクリレート又はメタクリレート系がよい。好ましくは、重合可能な単量体は、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する。好ましくは、重合可能な単量体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、およびヒドロキシル、グリシジル、またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種である。より好ましくは、重合可能な単量体は、アルキルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、シクロアルキルメタクリレート、アルコキシルアクリレート、アルコキシルメタクリレート、アルキレンジアクリレート及びアルキレンジメタクリレートから選ばれた少なくとも1種である。単官能の単量体の中でも、メチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート及びt−ブチルメタクリレートが好ましい。さらにより好ましくは、重合可能な単量体は、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート又は2−エチルヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。典型的には、重合可能な成分は、上に概説された第1部分の重合可能な成分とは異なる。より典型的には、重合可能な成分は、上に概説された第1部分の重合可能な成分と同一のである。
【0041】
(ii)硬化反応を触媒する触媒成分で、第2部分の総重量の0.01〜5重量%の範囲内である。より典型的には第2部分の総重量の0.5〜2重量%の範囲内で、さらに典型的には第2部分の総重量の0.8〜1.5重量%の範囲内である。好ましくは、触媒成分は、Cu、Zr又はCoの何れか又は其れらの組み合わせの塩類系で、いくつかの実例の中では、琥珀酸、マレイン酸、ステアリン酸、アジピン酸の群より選ぶことのできる有機酸類のエステルからの誘導体で構わない促進剤である。好ましくは、触媒成分は、限定的ではなくd又はd遷移金属および其れらの塩類から選ばれる少なくとも1種類の塩である。より好ましくは、触媒成分は、銅、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、チタン、バナジウム、鉄、ルテニウム、ロジウムより選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。触媒成分が組成物の硬化反応に触媒作用を及ぼすことができるよう、上に概説された第1部分の成分を補足するために、第2部分の触媒成分を選択しなければいけないことは、当業者にとって自明である。
【0042】
(iii)安定化成分は、典型的には、第2部分の総重量の0.1から5重量%の範囲内である。より典型的には第2部分の総重量の0.5〜2重量%の範囲内で、さらに典型的には第2部分の総重量の0.8〜1.2重量%の範囲内である。好ましくは、安定化成分は、チアジン類、キノン類、有機酸類およびオキサゾール官能基を有する化合物類からなる群より選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、安定化成分は、フェノチアジン、ヒドロキノン、シュウ酸および水和塩のような誘導体類およびベンゾオキサゾールから選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。安定化成分は、第1部分の安定化成分と同一でも異なったものでも構わない。
【0043】
(iv)充填材成分は、典型的には、第1部分の総重量の20〜90重量%の範囲内である。より典型的には第1部分の総重量の25〜50重量%の範囲内で、さらに典型的には第1部分の総重量の35〜45重量%の範囲内である。熱伝導性の充填材成分は、無機物または金属でよい。好ましくは、充填材成分は、鉄、アルミニウム、亜鉛、銀、金、ニッケル、マグネシウム、ホウ素、バリウム、白金、パラジウム、銅、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、シリカ及び其れらの伝導性誘導体、並びに、炭素、黒鉛、炭化ケイ素および其の種の物、及び其れらの組み合わせから選ばれるもので少なくとも1種類である。より好ましくは、熱伝導性充填材成分は、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種である。さらにより好ましくは、熱的充填材成分は、窒化ホウ素、アルミナ、窒化ケイ素から選ばれる少なくとも1種である。以上の適切な組み合わせを使用できる。
【0044】
当業者は、組成物の最終用途に依存して使用するために最も適切な熱伝導性充填材成分を選択できる。
【0045】
任意に、第2部分は以下の(i)から(ii)の追加成分を含むことができる:
(i)第2部分の総重量の20〜50重量%の範囲内の希釈剤。より典型的には第2部分の総重量の25〜45重量%の範囲内で、さらに典型的には第2部分の総重量の30〜40重量%の範囲内である。好ましくは、希釈剤は、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレート、ウレタンメタクリレートより選ばれる少なくとも1種類である。より好ましくは、希釈剤は、メチルメタクリレート及びウレタンメタクリレートより選ばれる少なくとも1種類である。以上の適切な組み合わせを使用できる。上に概説された組成物の他の成分を補足する希釈剤を選択することは、当業者にとって自明である。
【0046】
および/または
(ii)製造者、販売店および/または末端消費者が第2部分を第1部分と区別することを助けるための染料で、第2部分の総重量の0.001〜2重量%の範囲内である。より典型的には第2部分の総重量の0.001〜0.01重量%の範囲内で、さらに典型的には第2部分の総重量の0.005〜0.010重量%の範囲内である。第1部分と比較して、染料は第2部分に異なる色を与えるものでなければならない。
【0047】
電気部品を接着する際に使用される接着剤組成物を得るために、末端消費者は組成物の第1部分および第2部分を混合する。典型的には、第1部分:第2部分の比率は0.5:1から6:1の範囲で、0.75:1から5:1のようで、2.5:1から2:1のようで、約1:1である。
【0048】
第1部分および第2部分を適切な比率で混合して典型的に成形された接着剤組成物は、約0から50℃の範囲内、より典型的には0から40℃の範囲内、さらにより典型的には0から30℃の範囲内の温度で硬化させる。
【0049】
接着剤組成物の第1部分および第2部分の混合物は、2つの部分を混合してから約30分で硬化させることが好ましく、2つの部分を混合してから約15分がより好ましく、2つの部分を混合してから約10分がさらにより好ましい。混合は配合によって行なえる。
【0050】
本発明の2液型熱伝導性接着剤が硬化すると、完全に硬化した材料の熱伝導率は約0.2から5.0W/mKの範囲内となり、より好ましくは約0.5から3.0W/mKの範囲内、さらにより好ましくは約0.8から2.0W/mKの範囲内である。当業者は、所望の最終結果を達成する構成成分を選択する。
【0051】
嵩熱伝導度の測定はASTM−C177−63に従って行なった。硬化された接着剤の熱伝導度は、2枚の温度が制御された加熱器板の間に測定用試料を置いて決定される。一方の加熱器を他方より高温に設定し、試料を通過する熱流を生産する。試料の温度が安定すれば、熱伝導度が試験装置により電子的に決定される。ここで、熱伝導度を、単位面積を温度勾配当たり等温表面に垂直な方角へ通過する定常熱流の時間速度として定義する。これは次式に記述される
Rs=d/k
但し、Rs=mK/Wを単位とする熱抵抗
d=試料の厚さ
k=熱伝導度。
【0052】
本発明は、以下の実施例により容易に評価される。
【実施例】
【0053】
<例1>
第1部分および第2部分を含む本発明による2成分混合物を、以下の通り調製した。
【0054】
<部分A>
ヒドロキシプロピルメタクリレート(Rohm社より供給されたHPMA98)79g及びアクリロニトリルブタジエンメタクリル酸(ContiTECH社より供給されたNipol 1072 CGを処理したもの)の共重合体12.7gを60℃の温度で10時間かけて溶解した。処理温度を40℃まで冷却し、1−アセチル−2−フェニルヒドラジン0.7gを添加し、固形物が溶解するまで混合を継続した。クメンヒドロペルオキシド(Atofina社より供給されたLuperox CU−90)2.8g及びトリブチルアミン0.2gを添加し、均一な組成物が得られるまで混合を継続した。この混合物を、使用のために必要となるまで、5℃で保管した。
【0055】
<部分B>
ウレタンメタクリレートポリエステル樹脂15.9gを40℃まで予備加熱し、メタクリル単量体中のメタクリレート樹脂21.24gの混合物およびヒュームドシリカ7.62gの混合物を添加し混合した。アクリル酸1.77g及び琥珀酸メタクリルオキシエチル8.85gを添加した。この混合物に、トリエチレングリコールジメタクリレート中にフェノチアジン、ヒドロキノン、シュウ酸二水和物およびベンゾオキサゾールを含む安定剤溶液1.29gも添加した。この混合物に4−メトキシフェノール0.012gを添加し、均一になるまで混合物全体を混合した。炭化水素溶剤(Borchers社より供給された商標Soligen Copper8で市販されている)中の銅のC〜C19分岐脂肪酸塩0.03gの混合物と、炭化水素溶剤(Borchers社より供給された商標Octa Soligen Trockner69で市販されている)中のコバルト(II)及びジルコニウムのC〜C19分岐脂肪酸塩1.18gの混合物とを添加した。均一になるまで混合物を混合し、使用する状態になるまで5℃で保管した。
【0056】
以下の例では、充填材を選択し、例1の方法で調製された第1部分および第2部分の成分に添加する。引続き、第1部分および第2部分を、組成物を成形するために混合する。組成物材料を室温(21℃)で完全に硬化するよう24時間放置する。硬化後、組成物の熱伝導率を測定する。
【0057】
<例2>
第1部分65重量%を石英シリカ(Quarzwerke社より供給されたSilbond FW 300EST)35%と混合して、混合物を作製する。別の容器で、第2部分50重量%を酸化アルミニウム(Alcoa Alumina and Chemicals社より供給された焼成アルミナA10、325メッシュ)50重量%と混合して、第2の混合物を作製する。その後、2つの混合物を1:1の比率で一緒にし、2枚のテフロン板間で圧縮する。こうすることで2つの別々の混合物の混合が促進され、硬化すれば円盤状の材料が形成され、熱伝導率の測定に適している。この組成物の硬化反応によれば、周囲温度(21℃)で第1混合物を第2混合物に添加してから5分以内で良好に固化する。この例においては、2枚の粗研磨されたアルミニウム製の重ね煎断試験用具(厚さ1.0mm)を容易に引き剥がすことができるかどうかで固化が決定される。1:1の比率で調合し2枚の重ね煎断試験用具に挟み、本発明の組成物が固化すれば、5分後には重ね煎断試験用具を手で引き剥がすことができなくなる。周囲温度で24時間後、アルミニウム製重ね用具での重ね煎断試験によって完全な硬化を確認した。24時間後、得られた硬化円盤状材料について、ASTM C−177−63に従い嵩熱伝導度を試験した。この試料は0.60W/mKの熱熱伝導度を有していた。
【0058】
<例3>
第1部分65重量%を石英シリカ(Quarzwerke社より供給されたSilbond FW 300EST)35%と混合して、混合物を作製する。別の容器で、第2部分50重量%を酸化亜鉛(Zinc Corporation of America社より供給されたKadox 930)50重量%と混合して、第2の混合物を作製する。その後、2つの混合物を1:1の比率で一緒に加え、2枚のテフロン板間で圧縮する。こうすることで2つの別々の混合物の混合が促進され、硬化すれば円盤状の材料が形成され、熱伝導率の測定に適している。この組成物の硬化反応によれば、周囲温度(21℃)で第1混合物を第2混合物に添加してから5分以内で良好に固化する。周囲温度で24時間後、アルミニウム製重ね用具での重ね煎断試験によって完全な硬化を確認した(上記の通り)。24時間後、得られた硬化円盤状材料について、ASTM C−177−63に従い嵩熱伝導度を試験した(上記の通り)。この試料の熱熱伝導度は0.65W/mKであった。
【0059】
<例4>
第1部分42重量%を石英シリカ(Quarzwerke社より供給されたSilbond FW 300EST)58%と混合して、混合物を作製する。別の容器で、第2部分65重量%を窒化ホウ素(Denka社より供給されたBN SGPS等級)35重量%と混合して、第2の混合物を作製する。その後、2つの混合物を1:1の比率で一緒に加え、2枚のテフロン板間で圧縮する。こうすることで2つの別々の混合物の混合が促進され、硬化すれば円盤状の材料が形成され、熱伝導率の測定に適している。この組成物の硬化反応によれば、周囲温度(21℃)で第1混合物を第2混合物に添加してから5分以内で良好に固化する。周囲温度で24時間後、アルミニウム製重ね用具での重ね煎断試験によって完全な硬化を確認した(上記の通り)。24時間後、得られた硬化円盤状材料について、ASTM C−177−63に従い嵩熱伝導度を試験した(上記の通り)。この試料の熱熱伝導度は0.94W/mKであった。
【0060】
<例5>
第1部分42重量%を石英シリカ(Quarzwerke社より供給されたSilbond FW 300EST)58%と混合して、混合物を作製する。別の容器で、第2部分59重量%を窒化ホウ素(Denka社より供給されたBN SGPS等級)41重量%と混合して、第2の混合物を作製する。その後、2つの混合物を1:1の比率で一緒に加え、2枚のテフロン板間で圧縮する。こうすることで2つの別々の混合物の混合が促進され、硬化すれば円盤状の材料が形成され、熱伝導率の測定に適している。この組成物の硬化反応によれば、周囲温度で第1混合物を第2混合物に添加してから5分以内で良好に固化する。周囲温度で24時間後、アルミニウム製重ね用具での重ね煎断試験によって完全な硬化を確認した(上記の通り)。24時間後、得られた硬化円盤状材料について、ASTM C−177−63に従い嵩熱伝導度を試験した(上記の通り)。この試料の熱熱伝導度は1.79W/mKであった。
【0061】
<例6>
第1部分42重量%を石英シリカ(Quarzwerke社より供給されたSilbond FW 300EST)58%と混合して、混合物を作製する。別の容器で、第2部分59重量%を窒化ホウ素(Denka社より供給されたBN SGPS等級)20.5重量%およびDenka社より供給された窒化ケイ素9SN−F1の20.5%と混合して、第2の混合物を作製する。その後、2つの混合物を1:1の比率で一緒に加え、2枚のテフロン板間で圧縮する。こうすることで2つの別々の混合物の混合が促進され、硬化すれば円盤状の材料が形成され、熱伝導率の測定に適している。この組成物の硬化反応によれば、周囲温度(21℃)で第1混合物を第2混合物に添加してから5分以内で良好に固化する。周囲温度で24時間後、アルミニウム製重ね用具での重ね煎断試験によって完全な硬化を確認した(上記の通り)。24時間後、得られた硬化円盤状材料について、ASTM C−177−63に従い嵩熱伝導度を試験した(上記の通り)。この試料の熱熱伝導度は1.85W/mKであった。
【0062】
<例7>
本発明による組成物を以下の通り調製した:
組成物の第1部分を、表1の成分を使用して調製した。
【0063】
【表1】

組成物の第2部分を、表2の成分を使用して調製した:
【0064】
【表2】

第1および第2部分の何れも貯蔵寿命は、5℃で1年であった。
【0065】
明瞭さのために個別の実施形態の文章に記述されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態の組み合わせによっても提供され得ると認識される。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文章に記述される本発明の様々な特徴は、別々に又は任意の適切な部分的な組み合わせによって提供され得る。
【0066】
「含む/含むこと」との言葉および「有していること/含んでいること」との言葉が本発明に関してここで使用される場合、明言された特徴、特性、工程または成分の存在を特定するために使用されているが、1種以上の他の特徴、特性、工程、成分または其れらの群の存在または追加を除外するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化して熱伝導性硬化生成物を成形する2液型硬化可能な組成物で、
(i)少なくとも1種の重合可能な(メタ)アクリレート系単量体成分と;
(ii)過酸化物系硬化剤成分と;
(iii)1級、2級または3級アミン又は−CONHNH−基を含む化合物類からなる群より選ばれる1種以上の共硬化性成分と;
(iv)安定化成分と、および;
(v)充填材成分と
を含む第1部分と;および
(i)少なくとも1種の重合可能な(メタ)アクリレート系単量体成分と;
(ii)硬化反応に触媒作用を及ぼす触媒成分と;
(iii)安定化成分と、および;
(iv)熱伝導性充填材成分と
を含む第2部分とを含み、
該組成物の少なくとも一方の部分は、熱伝導性充填材を含む充填材成分を有する。なお、該熱伝導性充填材は該第1部分または該第2部分または両方の部分に存在して良いが、好ましくは該第2部分に存在している。
【請求項2】
該第1部分および該第2部分は、第1部分:第2部分で約6:1から約1:1の範囲中の比率で提供される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該組成物は、約0から約30℃の範囲中の温度で硬化する請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該組成物は、該第1および第2部分を一緒にしてから約30分以内の時間で硬化する請求項1記載の組成物。
【請求項5】
硬化して約0.2から約5.0W/mKの範囲内の熱伝導度を備えた硬化生成物を成形する請求項1記載の組成物。
【請求項6】
該第1部分の該重合可能な単量体は、該第1部分の総重量の約20から約50重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項7】
該第1部分の該過酸化物系硬化剤成分は、該第1部分の総重量の約0.1から約5重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項8】
該第1部分の該共硬化性成分は、該第1部分の総重量の約0.01から約5重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項9】
該第1部分の該安定化成分は、該第1部分の総重量の約0.1から約5重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項10】
該第1部分の該充填材は、該第1部分の総重量の約20から約90重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項11】
該第2部分の該重合可能な単量体は、該第2部分の総重量の約10から約90重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項12】
該第2部分の該触媒成分は、該第2部分の総重量の約0.01から約5重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項13】
該第2部分の該安定化成分は、該第2部分の総重量の約0.1から約5重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項14】
該第2部分の該充填材は、該第2部分の総重量の約20から約90重量%の範囲内で存在している請求項1記載の組成物。
【請求項15】
(i)アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステル類の単独重合体;(ii)アクリル又はメタクリル酸のアルコキシエステルの単独重合体;(iii)アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステルと、またはアクリル又はメタクリル酸のアルコキシエステルと低級アルケン類のような重合可能な単量体の共重合体;(vi)上記(i)〜(v)の何れか又は全ての組み合わせから選ばれる少なくとも1種類の強靭化成分を、該第1部分が更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項16】
該強靭化成分は、アクリル又はメタクリル酸を含むジエン類のアルキル及びアルコキシエステル類と共重合されてもよい不飽和単量体類、反応性ハロゲン含有不飽和化合物類およびアクリルアミド類のような他のアクリル性単量体類より選ばれる請求項15記載の組成物。
【請求項17】
該第1部分は増粘成分を更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項18】
該第1部分は染料成分を更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項19】
該第2部分は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ウレタン及び其れらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種類の希釈剤を更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項20】
該第1及び第2部分の両方が染料成分を更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項21】
該第1部分の該重合可能な単量体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、およびヒドロキシル、グリシジル、またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び其れらの組み合わせから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項22】
該第1部分の該過酸化物系硬化剤成分は、過酸化物類、ヒドロペルオキシド類、過酸エステル類、過酸基塩類および過酸類および其れらの組み合わせから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項23】
該第1部分の該少なくとも1種の共硬化性成分は、N,N−ジメチル−パラトルイジン、N,N−ジヒドロキシエチルp−トルイジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン及び1−アセチル−2−フェニルヒドラジン及び其れらの組み合わせから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項24】
該第1部分の該安定化成分は、チアジン類、キノン類、有機酸類およびオキサゾール官能基を有する化合物類から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項25】
該第1部分の該充填材成分は、鉄、アルミニウム、石英、亜鉛、銀、金、ニッケル、マグネシウム、ホウ素、バリウム、白金、パラジウム、銅、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、シリカ及び其れらの伝導性誘導体、並びに、炭素、黒鉛、炭化ケイ素および其れらの組み合わせから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項26】
該第2部分の該重合可能な単量体成分は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、およびヒドロキシル、グリシジル、またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項27】
該第2部分の該触媒成分は、d又はd遷移金属類および其れらの塩類から選ばれる少なくとも1種の塩である請求項1記載の組成物。
【請求項28】
該第2部分の該安定化成分は、チアジン類、キノン類、有機酸類およびオキサゾール官能基を有する化合物類から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項29】
該第2部分の該充填材成分は、鉄、アルミニウム、亜鉛、銀、金、ニッケル、マグネシウム、ホウ素、バリウム、白金、パラジウム、銅、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、シリカ及び其れらの伝導性誘導体、並びに、炭素、黒鉛、炭化ケイ素および其れらの組み合わせから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項30】
硬化して熱伝導性硬化生成物を成形する2液型硬化可能な組成物の使用で、該組成物は、
(i)少なくとも1種の重合可能な(メタ)アクリレート系単量体成分と;
(ii)過酸化物系硬化剤成分と;
(iii)1級、2級または3級アミン又は−CONHNH−基を含む化合物類からなる群より選ばれる1種以上の共硬化性成分と;
(iv)安定化成分と、および;
(v)充填材成分と
を含む第1部分と;
(i)少なくとも1種の重合可能な(メタ)アクリレート系単量体成分と;
(ii)硬化反応に触媒作用を及ぼす触媒成分と;
(iii)安定化成分と、および;
(iv)充填材成分と
を含む第2部分とを含み、
熱を発生する部品を基体に接着するためで、該組成物の少なくとも一方の部分は、熱伝導性充填材を含む充填材成分を有する。なお、該熱伝導性充填材は該第1部分または該第2部分または両方の部分に存在して良いが、好ましくは該第2部分に存在している。
【請求項31】
該第1部分の該重合可能な単量体は、該第1部分の総重量の約20から約50重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項32】
該第1部分の該過酸化物系硬化剤成分は、該第1部分の総重量の約0.1から約5重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項33】
該第1部分の該共硬化性成分は、該第1部分の総重量の約0.01から約5重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項34】
該第1部分の該安定化成分は、該第1部分の総重量の約0.1から約5重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項35】
該第1部分の該充填材は、該第1部分の総重量の約20から約90重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項36】
該第2部分の該重合可能な単量体は、該第2部分の総重量の約10から約90重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項37】
該第2部分の該触媒成分は、該第2部分の総重量の約0.01から約5重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項38】
該第2部分の該安定化成分は、該第2部分の総重量の約0.1から約5重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項39】
該第2部分の該熱伝導性充填材は、該第2部分の総重量の約20から約90重量%の範囲内で存在している請求項30記載の使用。
【請求項40】
(i)アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステル類の単独重合体;(ii)アクリル又はメタクリル酸のアルコキシエステルの単独重合体;(iii)アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステルと、またはアクリル又はメタクリル酸のアルコキシエステルと低級アルケン類のような重合可能な単量体の共重合体;(vi)上記(i)〜(v)の何れか又は全ての組み合わせから選ばれる少なくとも1種類の強靭化成分を、該第1部分が更に含む請求項30記載の使用。
【請求項41】
該強靭化成分は、アクリル又はメタクリル酸を含むジエン類のアルキル及びアルコキシエステル類と共重合されてもよい不飽和単量体類、反応性ハロゲン含有不飽和化合物類およびアクリルアミド類のような他のアクリル性単量体類より選ばれる請求項40記載の組成物。
【請求項42】
該第1部分は増粘成分を更に含む請求項30記載の使用。
【請求項43】
該第1部分は染料成分を更に含む請求項30記載の使用。
【請求項44】
該第2部分は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ウレタン及び其れらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種類の希釈剤を更に含む請求項30記載の使用。
【請求項45】
該第1及び第2部分の両方が染料成分を更に含む請求項30記載の使用。
【請求項46】
該第1部分の該重合可能な単量体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、およびヒドロキシル、グリシジル、またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項47】
該第1部分の該過酸化物系硬化剤成分は、過酸化物類、ヒドロペルオキシド類、過酸エステル類、過酸基塩類および過酸類および其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項48】
該第1部分の該少なくとも1種の共硬化性成分は、N,N−ジメチル−パラトルイジン、N,N−ジヒドロキシエチルp−トルイジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン及び1−アセチル−2−フェニルヒドラジン及び其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項49】
該第1部分の該安定化成分は、チアジン類、キノン類、有機酸類およびオキサゾール官能基を有する化合物類および其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項50】
該第1部分の該充填材成分は、鉄、アルミニウム、石英、亜鉛、銀、金、ニッケル、マグネシウム、ホウ素、バリウム、白金、パラジウム、銅、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、シリカ及び其れらの伝導性誘導体、並びに、炭素、黒鉛、炭化ケイ素および其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項51】
該第2部分の該重合可能な単量体成分は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、およびヒドロキシル、グリシジル、またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項52】
該第2部分の該触媒成分は、d又はd遷移金属類および其れらの塩類から選ばれる少なくとも1種の塩である請求項30記載の使用。
【請求項53】
該第2部分の該安定化成分は、チアジン類、キノン類、有機酸類およびオキサゾール官能基を有する化合物類および其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項54】
該第2部分の該熱伝導性充填材成分は、鉄、アルミニウム、亜鉛、銀、金、ニッケル、マグネシウム、ホウ素、バリウム、白金、パラジウム、銅、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、シリカ及び其れらの伝導性誘導体、並びに、炭素、黒鉛、炭化ケイ素および其れらの組み合わせから選ばれる請求項30記載の使用。
【請求項55】
該基体は放熱体を備える請求項30記載の使用。
【請求項56】
該熱を発生する部品は電気または電子部品である請求項55記載の使用。
【請求項57】
該組成物は、該熱を発生する部品を該放熱体に直接接着するために使用される請求項53記載の使用。
【請求項58】
使用前は該第1部分および第2部分を別々に保持する少なくとも1つの容器に、該第1部分および第2部分が収納されている請求項1記載の組成物を備えるキット。
【請求項59】
請求項1記載の組成物の硬化生成物により基体に接着された熱を発生する部品を備える組立品。
【請求項60】
請求項1記載の組成物の硬化生成物。

【公表番号】特表2007−528437(P2007−528437A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502994(P2007−502994)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/007915
【国際公開番号】WO2005/087850
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【出願人】(501194879)ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】LOCTITE (R & D) LIMITED
【Fターム(参考)】