説明

熱供給装置

【課題】風呂追焚き用の熱交換器が漏れていることを的確に且つ迅速に検出することができる熱供給装置を提供する点にある。
【解決手段】制御手段Hが、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合には、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が、熱媒補給処理を前回実行してから熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されるまでに経過した減少検出経過時間よりも設定処理用時間だけ短い処理用タイミングになると、熱媒加圧処理を実行し、かつ、その熱媒加圧処理を実行したのちにおいて、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器2の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知する熱交換器漏れ判定処理を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱状態と加熱停止状態とに切換え自在な加熱部、風呂追焚き用の熱交換器、暖房用の端末、及び、大気開放型の熱媒貯留タンクを経由する熱媒循環路を通して熱媒を循環させる熱媒循環手段と、前記暖房用の端末をバイパスして熱媒を通流させるように前記熱媒循環路に接続されたバイパス路と、前記熱媒循環路における前記バイパス路の接続箇所よりも前記暖房用の端末側に位置する循環路部分を開閉する暖房端末用の断続弁と、前記熱媒貯留タンクに貯留される熱媒量が設定下限値以下であるか否か及び設定上限値以上であるか否かを検出する熱媒量検出手段と、前記熱媒貯留タンクに熱媒を補給する補給状態と補給停止状態とに切換え自在な熱媒補給手段と、前記加熱部、前記熱媒循環手段、前記暖房端末用の断続弁、及び、前記熱媒補給手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記熱媒量検出手段の検出情報に基づいて、熱媒量が前記設定下限値以下になると前記設定上限値になるように熱媒を補給すべく、前記熱媒補給手段の作動を制御する熱媒補給処理を実行するよう構成された熱供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような熱供給装置は、一般家庭に設置して使用されるものであって、例えば、加熱部として、ガス燃焼式の加熱器が設けられ、そして、循環手段にて熱媒を循環させることにより、風呂追焚き用の熱交換器にて浴槽の湯水を追焚きすることや、浴室暖房乾燥機や床暖房パネル等の暖房用の端末にて暖房を行えることになる。
【0003】
このような熱供給装置においては、熱媒循環路を通流する熱媒が、風呂追焚き用の熱交換器や暖房用の端末等にて漏れるトラブルを発生する虞があり、このため、制御手段が、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間(例えば、64時間)を経過するまでに熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が、連続して設定回数検出された場合には、熱媒漏れであると判定し、その判定結果を報知するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
つまり、熱媒循環路を通流する熱媒の量は、大気開放型の熱媒貯留タンクから熱媒が蒸発する等により、使用に伴って減少することになり、そして、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、熱媒補給処理によって、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定上限値を検出するまで、熱媒が補給されることになる。
このように、熱媒の量は、使用に伴って漸次減少することになるが、例えば、風呂追焚き用熱交換器において熱媒の漏れが発生している場合や、暖房用の端末にて漏れが発生している場合には、上述の熱媒異常減少状態が生じることになるから、熱媒異常減少状態が、連続して設定回数(例えば2回)検出された場合には、熱媒漏れであると判定し、その判定結果を報知するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−278903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御手段によって熱媒漏れが判定された際には、熱媒の漏れている箇所を見つけて、補修する必要があるが、従来では、熱媒が漏れていることが判定されるものの、熱媒が漏れている箇所がどこであるかについての判定が行われないため、熱媒の漏れている箇所を見つける際には、熱媒循環路中の全ての箇所について、熱媒の漏れの有無を検査する必要があり、熱媒の漏れている箇所を見つける作業が多大な時間を費やす面倒な作業となる虞があった。
【0007】
また、風呂追焚き用の熱交換器が漏れている場合には、熱媒が浴槽内に貯留される湯水に混入することになるため、風呂追焚き用の熱交換器が漏れている場合には、その漏れを的確にかつ早期に検出する必要があるが、従来では、熱媒循環路中の全ての箇所について、熱媒の漏れの有無を検査する必要があるため、風呂追焚き用の熱交換器が漏れているにも拘わらず、その漏れの検出を見落とす虞があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、風呂追焚き用の熱交換器が漏れていることを的確に且つ早期に検出することができ、しかも、熱媒が漏れている場合において熱媒の漏れている箇所を見つける作業を迅速且つ簡単に行うことができる熱供給装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の熱供給装置は、加熱状態と加熱停止状態とに切換え自在な加熱部、風呂追焚き用の熱交換器、暖房用の端末、及び、大気開放型の熱媒貯留タンクを経由する熱媒循環路を通して熱媒を循環させる熱媒循環手段と、
前記暖房用の端末をバイパスして熱媒を通流させるように前記熱媒循環路に接続されたバイパス路と、
前記熱媒循環路における前記バイパス路の接続箇所よりも前記暖房用の端末側に位置する循環路部分を開閉する暖房端末用の断続弁と、
前記熱媒貯留タンクに貯留される熱媒量が設定下限値以下であるか否か及び設定上限値以上であるか否かを検出する熱媒量検出手段と、
前記熱媒貯留タンクに熱媒を補給する補給状態と補給停止状態とに切換え自在な熱媒補給手段と、
前記加熱部、前記熱媒循環手段、前記暖房端末用の熱媒通流断続弁、及び、前記熱媒補給手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記熱媒量検出手段の検出情報に基づいて、熱媒量が前記設定下限値以下になると前記設定上限値になるように熱媒を補給すべく、前記熱媒補給手段の作動を制御する熱媒補給処理を実行するよう構成されたものであって、
その第1特徴構成は、
前記制御手段が、
前記熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間を経過するまでに前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合、又は、その熱媒異常減少状態が連続して設定回数以上検出された場合には、前記熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が、前記熱媒補給処理を前回実行してから前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されるまでに経過した減少検出経過時間よりも設定処理用時間だけ短い処理用タイミングになると、前記暖房端末用の断続弁を閉じ状態にして前記循環手段を作動させる熱媒加圧処理を実行し、かつ、
その熱媒加圧処理を実行したのちにおいて前記検査経過時間が前記設定判定時間又は前記減少検出経過時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されると、前記風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知する熱交換器漏れ判定処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0010】
すなわち、制御手段が、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間を経過するまでに熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合、又は、その熱媒異常減少状態が連続して設定回数以上検出された場合には、熱媒加圧処理を実行することになる。
【0011】
この熱媒加圧処理は、暖房端末用の断続弁を閉じ状態にして循環手段を作動させる処理であり、これにより、熱媒循環路を通流する熱媒が、暖房用の端末を経由せずに、風呂追焚き用の熱交換器及びバイパス路を経由した状態で流動することになり、暖房用の端末を経由して熱媒を流動させるよりも、熱媒の流動抵抗が減少するため、風呂追焚き用の熱交換器を通流する熱媒の圧力が上昇することになる。
つまり、風呂追焚き用の熱交換器を通流する熱媒の圧力が上昇するため、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していれば、熱媒の漏れが促進されることになる。
【0012】
制御手段は、熱媒加圧処理を実行したのちにおいては、熱交換器漏れ判定処理を行うことになる。
すなわち、制御手段は、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が設定判定時間又は減少検出経過時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知することになる。
ちなみに、熱媒加圧処理にて、風呂追焚き用の熱交換器を通流する熱媒の圧力が上昇されているため、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していれば、熱媒の漏れが促進されることになり、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していると、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが、熱媒加圧処理を行わない場合に較べて早くなる。
【0013】
そして、熱交換器漏れ判定処理にて、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定されて、その判定結果が報知されれば、熱媒の漏れの原因が風呂追焚き用の熱交換器であるとして、風呂追焚き用の熱交換器における熱媒の漏れの有無を検査することになる。
尚、風呂追焚き用の熱交換器には熱媒の漏れを見つけることができないときには、熱媒循環路における他の部分について熱媒の漏れの有無を検査することになるが、その際には、熱媒循環路のうちの、暖房端末用の断続弁よりも暖房用端末側に位置する循環路部分を除いた循環路部分について熱媒の漏れの有無を検査すれば良いことになる。
【0014】
このように、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間を経過するまでに熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合、又は、その熱媒異常減少状態が連続して設定回数以上検出された場合には、熱媒加圧処理並びに熱交換器漏れ判定処理が実行されて、熱媒の漏れが風呂追焚き用の熱交換器にて発生しているか否かが判定されるから、風呂追焚き用の熱交換器における熱媒の漏れを的確に検出することが可能となるのである。
【0015】
また、熱媒加圧処理によって、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していれば、熱媒の漏れを促進させることができるため、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していることを早期に検出することが可能となるのである。
【0016】
さらに、熱交換器漏れ判定処理が実行されて、熱媒の漏れが風呂追焚き用の熱交換器にて発生しているか否かが判定されるため、熱媒循環路中のうちの、熱媒の漏れが発生している範囲が限定されるものとなり、熱媒の漏れが発生している箇所を見つける際に、熱媒循環路の全てについて熱媒の漏れの有無について検査する必要が無くなって、熱媒の漏れが発生している箇所を見つける作業を迅速且つ簡単に行えるものとなる。
【0017】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、風呂追焚き用の熱交換器が漏れていることを的確に且つ早期に検出することができ、しかも、熱媒が漏れている場合において熱媒の漏れている箇所を見つける作業を迅速且つ簡単に行うことができる熱供給装置を提供するに至った。
【0018】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記制御手段が、
前記検査経過時間が前記減少検出経過時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されると、前記風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合において、前記検査経過時間が前記減少検出経過時間を経過したのち前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されたとき、又は、
前記検査経過時間が前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されると、前記風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合において、前記検査経過時間が前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されないときには、
前記暖房用の端末の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知する暖房用の端末漏れ判定処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0019】
すなわち、制御手段は、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が減少検出経過時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合において、検査経過時間が前記減少検出経過時間を経過したのち前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されたとき、又は、検査経過時間が設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合において、検査経過時間が前記設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されないときには、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が設定判定時間又は減少検出経過時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されないときには、暖房用の端末の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知することになる。
【0020】
そして、暖房用の端末漏れ判定処理にて、暖房用の端末の漏れ異常であると判定されて、その判定結果が報知されれば、熱媒の漏れの原因が暖房用の端末であるとして、暖房用の端末における熱媒の漏れの有無を検査することになる。
尚、暖房用の端末に熱媒の漏れを見つけることができないときには、熱媒循環路における他の部分について熱媒の漏れを検出することになるが、その際には、熱媒循環路のうちの、暖房端末用の断続弁よりも暖房用端末側に位置する循環路部分について熱媒の漏れの有無を検査すれば良いことになる。
【0021】
このように、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間を経過するまでに熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合、又は、その熱媒異常減少状態が連続して設定回数以上検出された場合には、熱媒加圧処理並びに暖房用の端末漏れ判定処理が実行されて、熱媒の漏れが暖房用の端末にて発生しているか否かが判定されるから、暖房用の端末における熱媒の漏れを的確に検出することが可能となるのである。
【0022】
さらに、暖房用の端末漏れ判定処理が実行されて、熱媒の漏れが暖房用の端末にて発生しているか否かが判定されるため、熱媒循環路中のうちの、熱媒の漏れが発生している範囲が限定されるものとなり、熱媒の漏れが発生している箇所を見つける際に、熱媒循環路の全てについて熱媒の漏れの有無について検査する必要が無くなって、熱媒の漏れが発生している箇所を見つける作業を迅速且つ簡単に行えるものとなる。
【0023】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、暖房用の端末が漏れていることを的確に検出することができ、しかも、熱媒が漏れている場合において熱媒の漏れている箇所を見つける作業を迅速且つ簡単に行うことができる熱供給装置を提供するに至った。
【0024】
本発明の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記熱媒加圧処理において、前記加熱部を加熱状態にする処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0025】
すなわち、制御手段は、熱媒加圧処理において、加熱部を加熱状態にする処理を実行することになる。
【0026】
このように、熱媒加圧処理において加熱部が加熱状態になるため、熱媒循環路を通流する熱媒が熱せられて、熱媒の圧力が上昇することにより、風呂追焚き用の熱交換器を通流する熱媒の圧力が上昇することになり、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していれば、熱媒の漏れが一層促進されることになる。
【0027】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、風呂追焚き用の熱交換器が漏れていることを一層的確に且つ迅速に検出することができる熱供給装置を提供するに至った。
【0028】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜第2特徴構成のいずれかに加えて、
前記熱媒循環路が、前記風呂追焚き用の熱交換器を装備する風呂追焚き用循環路部分と前記暖房用の端末を装備する暖房用循環路部分とを並列状態で備えるように構成され、
前記風呂追焚き用循環路部分を開閉する風呂追焚き用の断続弁が設けられ、
前記制御手段が、前記熱媒加圧処理において、前記風呂追焚き用の断続弁を開き状態にする処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、熱媒循環路が、風呂追焚き用の熱交換器を装備する風呂追焚き用循環路部分と暖房用の端末を装備する暖房用循環路部分とを並列状態で備えるように構成され、風呂追焚き用循環路部分を開閉する風呂追焚き用の断続弁が設けられているから、暖房用の端末に熱媒を流動する暖房運転のみを行う際には、風呂追焚き用の断続弁を閉じることにより、風呂追焚き用の熱交換器にて熱媒の熱が放熱されることを抑制することができる。
もちろん、風呂追焚き用の熱交換器にて浴槽の湯水を加熱するときには、風呂追焚き用の断続弁を開けることになる。
【0030】
そして、制御手段が、熱媒加圧処理を行うときには、風呂追焚き用の断続弁を開き状態にして、熱媒を風呂追焚き用の熱交換器を通して循環させることになる。
【0031】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、暖房運転のときには、風呂追焚き用の熱交換器にて熱媒の熱が放熱されることを抑制しながら、熱媒加圧処理を行うときには、熱媒を風呂追焚き用の熱交換器を通して循環させることができる熱供給装置を提供するに至った。
【0032】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記バイパス路の開度を変更する開度調整手段が設けられ、
前記制御手段が、前記熱媒加圧処理において、前記開度調整手段を開度減少側に調整する処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0033】
すなわち、制御手段が、熱媒加圧処理において、バイパス路の開度を変更する開度調整手段を開度減少側に調整することになる。
【0034】
このように、熱媒加圧処理において、バイパス路の開度を変更する開度調整手段が開度減少側に調整されると、バイパス路を通流する熱媒の流量が減少するため、風呂追焚き用の熱交換器を経由して流動する熱媒量が増加して、風呂追焚き用の熱交換器を通流する熱媒の圧力が上昇することになり、風呂追焚き用の熱交換器に熱媒の漏れが発生していれば、熱媒の漏れが一層促進されることになる。
【0035】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成の作用効果に加えて、風呂追焚き用の熱交換器が漏れていることを一層的確に且つ迅速に検出することができる熱供給装置を提供するに至った。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】熱供給装置を示す図
【図2】制御作動を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
図1に示すように、加熱状態と加熱停止状態とに切換え自在な加熱部としての、ガス燃焼式の熱源機1、風呂追焚き用の熱交換器2、大気開放型の熱媒貯留タンク3、及び、循環手段としての循環ポンプ4が設けられ、さらに、暖房用の端末Dとして、浴室暖房乾燥機等の高温暖房端末DA、及び、床暖房装置等の低温暖房端末DBが設けられている。
【0038】
熱源機1、風呂追焚き用の熱交換器2、熱媒貯留タンク3、及び、循環ポンプ4が、熱源機ケーシングFの内部に収納され、その熱源機ケーシングFの内部には、制御手段としての運転制御部Hも収納されている。
【0039】
熱源機ケーシングFの内部には、熱源機1、風呂追焚き用熱交換器2、熱媒貯留タンク3、及び、循環ポンプ4を経由し、循環ポンプ4から熱源機1に戻る機内循環路LAが形成されている。尚、図1においては、機内循環路LAを黒塗線にて示す。
【0040】
その機内循環路LAにおける熱源機1と風呂追焚き用の熱交換器2との間に位置する循環路部分からは高温用循環路LBが分岐され、その先端部には、高温用接続継手5が設けられている。
又、機内循環LAにおける循環ポンプ4と熱源機1との間に位置する循環路部分からは低温用循環路LCが分岐され、その先端部には、低温用接続継手6が設けられている。
【0041】
さらに、機内循環路LAにおける風呂追焚き用の熱交換器2と熱媒貯留タンク3との間からは、戻り用循環路LDが分岐され、その先端部には、戻り用接続継手7が設けられている。
【0042】
高温用循環路LBと、機内循環路LAにおける風呂追焚き用の熱交換器2と熱媒貯留タンク3の間に位置する箇所とを接続する状態で、高温暖房端末DAをバイパスして熱媒を通流させるバイパス路LGが設けられている。
【0043】
そして、高温用接続継手5から戻り用接続継手7に至る機外高温循環路LEが、高温端末DAを経由する状態で設けられ、また、低温用接続継手6から戻り用接続継手7に至る機外低温循環路LFが、低温端末DBを経由する状態で設けられている。
機外高温循環路LEには、高温側熱動弁8が設けられ、機外低温循環路LFには、低温側熱動弁9が設けられている。
【0044】
したがって、この実施形態においては、機内循環路LA、高温用循環路LB、低温用循環路LC、戻り用循環路LD、機外高温循環路LE、及び、機外低温循環路LFにて、熱媒循環路Lが構成されることになる。
そして、機外高温循環路LEが、循環路Lにおけるバイパス路LGの接続箇所よりも高温暖房端末側に位置する循環路部分となり、高温側熱動弁8が、この循環路部分を開閉する暖房端末用の断続弁として機能することになる。
また、この実施形態においては、機内循環路LAが低温暖房端末DBをバイパスするバイパス路として機能することになり、機外低温循環路LFが、循環路Lにおけるバイパス路としての機内循環路LAの接続箇所よりも低温暖房端末側に位置する循環路部分となり、低温側熱動弁9が、この循環路を開閉する暖房端末用の断続弁として機能することになる。
【0045】
また、この実施形態においては、熱媒循環路Lが、風呂追焚き用の熱交換器2を装備する風呂追焚き用循環路部分と高温暖房端末DAを装備する暖房用循環路部分とを並列状態で備えるように構成されることになる。
ちなみに、風呂追焚き用循環路部分とは、機内循環路LAのうちの、熱源機1から風呂追焚き用の熱交換器2を経由して熱媒貯留タンク3に至る部分であり、また、暖房用循環路部分とは、高温用循環路LB、機外高温循環路LE、及び、戻り用循環路LDである。
【0046】
そして、風呂追焚き用循環路部分を開閉する風呂追焚き用の断続弁としての追焚き弁10が、機内循環路LAにおける風呂追焚き用の熱交換器2と熱媒貯留タンク3との間で且つバイパス路LGの接続箇所よりも上流側箇所に設けられている。
【0047】
バイパス路LGは、このバイパス路LGの開度を変更する開度調整手段としてのバイパス弁11にて開閉される第1路b1と、常時連通する第2路b2とを備えており、バイパス弁11の開閉により、開度を2段階に変更調整されるように構成されている。
ちなみに、バイパス路11は、高温暖房端末DAの熱負荷が小さいときには、高温暖房端末DAへの熱媒通流量を減少させるために開かれることになり、高温暖房端末DAの熱負荷が大きいときには、高温暖房端末DAへの熱媒通流量を十分な量にするために閉じられることになる。
【0048】
また、機内循環路LAにおける熱源機1の出口側箇所には、高温サーミスタ12が設けられ、低温用循環路LCには、低温サーミスタ13が設けられている。
【0049】
したがって、この実施形態においては、高温側熱動弁8及び低温側熱動弁9が閉じられ、かつ、追焚き弁10が開かれていると、熱媒の一部が機内循環路LAを循環しかつ熱媒の残部がバイパス路LGを経由しながら機内循環路LAを循環する。この循環状態を機内循環状態と呼称する。
【0050】
また、高温側熱動弁8及び低温側熱動弁9が閉じられ、しかも、追焚き弁10も閉じられていると、熱媒の全量が、バイパス路LGを経由しながら機内循環路LAを循環する。この循環状態を、機内循環バイパス状態と呼称する。
【0051】
また、高温側熱動弁8が開かれ、且つ、低温側熱動弁9が閉じられていると、熱媒の一部が、機内循環状態又は機内循環バイパス状態で循環し、熱媒の残部が、機内循環路LAから高温循環路LBに分岐し、その後、機外高温循環路LE、及び、戻り用循環路LDを経由して機内循環路LAに戻る形態で循環する。この循環状態を高温循環状態と呼称する。
【0052】
また、高温側熱動弁8が閉じられ、且つ、低温側熱動弁9が開かれると、熱媒の一部が、機内循環状態又は機内循環バイパス状態で循環し、熱媒の残部が、機内循環路LAから低温循環路LCに分岐し、その後、機外低温循環路LF、及び、戻り用循環路LDを経由して機内循環路に戻る形態で循環する。この循環状態を低温循環状態と呼称する。
【0053】
さらに、高温側熱動弁8及び低温側熱動弁9が開かれると、熱媒の一部が、機内循環状態又は機内循環バイパス状態で循環し、残りの熱媒のうちの一部が、高温循環状態で循環し、かつ、残りの熱媒の残部が、低温循環状態で循環する。この循環状態を、高低両循環状態と呼称する。
【0054】
運転制御部Hは、風呂追焚き用の熱交換器2にて加熱するときは、その加熱を優先して、熱源機1にて熱媒を設定温度(例えば、60℃)に加熱するように構成され、また、風呂追焚き用の熱交換器2の加熱停止状態において、高温暖房端末DAに熱媒を供給するときには、熱源機1にて熱媒を高温端末用の温度(例えば、80℃)に加熱し、風呂追焚き用の加熱器2の加熱停止状態において、低温暖房端末DBに熱媒を供給するときには、熱媒を熱源機1にて低温端末用の温度(例えば、70℃)に加熱するように構成されている。
【0055】
また、運転制御部Hは、風呂追焚き用の熱交換器2の加熱停止状態において、高温暖房端末DA及び低温暖房端末DBに熱媒を供給するときには、熱源機1にて熱媒を高温端末用の温度(例えば、80℃)に加熱するように構成されている。
ちなみに、この加熱状態における低温暖房端末DBへの熱媒供給量の調節は、設定周期のうちの開き状態にする開閉比率を増減させる形態で低温側熱動弁9を設定周期で開閉させるに、低温端末用の温度(例えば、70℃)に基づいて定めた開閉比率を、低温サーミスタ13の検出温度に基づいて補正することにより行われる。
【0056】
風呂追焚き用の熱交換器2には、浴槽14からの湯水を風呂追焚き用の熱交換器2に戻すための風呂戻り路15、及び、風呂追焚き用の熱交換器2にて加熱した湯水を浴槽3に供給するための風呂往き路16が接続され、風呂戻り路15には、風呂ポンプ17が装備されている。
そして、風呂ポンプ17を作動させて、風呂戻り路15および風呂往き路16を通して浴槽3内の湯水を循環させることにより、浴槽3内の湯水を、機内循環路LAを通流する熱媒により風呂追焚き用の熱交換器2にて加熱するように構成されている。
【0057】
風呂戻り路15には、浴槽3内の湯水の循環方向に沿って上流側から順に、浴槽3内の湯水の水位を検出する水位センサ18、風呂戻り路16内の湯水の温度を検出する風呂戻りサーミスタ19、風呂水流スイッチ20が設けられている。
【0058】
熱源機ケーシングFの内部には、ガス燃焼式の給湯用熱源機21が設けられている。
この給湯用熱源機21は、水道水圧にて給水する給水路22からの水を設定目標温度(例えば、42℃)に加熱して、給湯路23を通して出湯するように構成されている。
そして、給湯路23からの湯水を風呂往き路16に供給する湯張り路24が設けられ、その湯張り路24を開閉する湯張り弁25が設けられている。
したがって、湯張り弁25を開くことにより、給湯用熱源機21からの湯水を、湯張り路24、風呂戻り路15、及び、風呂往き路16を通して浴槽14に供給できるように構成されている。
【0059】
運転制御部Hは、運転リモコンRにて指令された情報及びセンサ類の検出情報等に基づいて、熱源機1を作動させて、浴槽3の湯水を目標設定温度に追焚きする追焚き処理、及び、高温暖房端末DA又は低温暖房端末DBに熱媒を供給する暖房運転処理を実行することになり、また、給湯用熱源機21を作動させて、目標設定温度の湯水を給湯する一般給湯処理、及び、給湯用熱源機21を作動させて湯張り路24に目標設定温度の湯水を給湯する湯張り処理を実行することになる。
【0060】
また、運転制御部Hは、熱媒としての湯水を熱媒貯留タンク3に補給する熱媒補給処理を実行するように構成されている。
すなわち、熱媒貯留タンク3には、それに貯留されている熱媒量が設定下限値以下であるか否か及び設定上限値以上であるか否かを検出する熱媒量検出手段Sが設けられ、また、熱媒貯留タンク3に熱媒としての湯水を補給する補給状態と補給停止状態とに切換え自在な熱媒補給手段Tが設けられている。
【0061】
熱媒量検出手段Sは、基準電極26、熱媒量が設定下限値になったことを検出するための下限電極27、及び、熱媒量が設定上限値になったことを検出するための上限電極28を備えて、基準電極26と下限電極27との間の電気抵抗、及び、基準電極26と上限電極28との間の電気抵抗により、熱媒量を検出するように構成されている。
【0062】
熱媒補給手段Tは、水道水圧にて熱媒貯留タンク3に熱媒のとしての湯水を供給するための補給路29、及び、その補給路29を開閉する補給断続弁30を備えて、補給断続弁30を開くと補給状態となり、補給断続弁30を閉じると補給停止状態となるように構成されている。
【0063】
そして、運転制御部Hは、熱媒補給処理として、熱媒量検出手段Sの検出情報に基づいて、熱媒量が設定下限値以下になると設定上限値になるように熱媒を補給すべく、熱媒補給手段の作動を制御する処理を実行するように構成されている。
具体的には、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になったことが検出されると、補給断続弁30を開き作動させ、その後、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定上限値以上になったことが検出されると、補給断続弁30を閉じ作動させることになる。
【0064】
さらに、運手制御部Hが、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間(例えば、62時間)を経過するまでに熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合には、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が、熱媒補給処理を前回実行してから熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されるまでに経過した減少検出経過時間よりも設定処理用時間(例えば、5分〜10分)だけ短い処理用タイミングになると、暖房端末用の断続弁としての、高温側熱動弁8及び低温側熱動弁9を閉じ状態にして、循環ポンプ4を作動させる熱媒加圧処理を実行するように構成されている。
【0065】
運転制御部Hは、この熱媒加圧処理においては、上述の如く、高温側熱動弁8及び低温側熱動弁9を閉じ状態にして、循環ポンプ4を作動させることに加えて、熱源機1を加熱状態にする処理を実行し、また、追焚き弁10を開き状態にする処理を実行し、さらに、バイパス弁11を閉じる処理を実行するように構成されている。
【0066】
このように、熱媒加圧処理を実行することにより、風呂追焚き用の熱交換器2を通流する熱媒が加圧された状態となるため、風呂追焚き用の熱交換器2にて漏れが発生している場合には、その漏れが促進されることになる。
【0067】
そして、運転制御部Hは、上述した熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器2の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知する熱交換器漏れ判定処理を実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部Hは、風呂追焚き用の熱交換器2の漏れ異常であるか否かを判定し、そして、風呂追焚き用の熱交換器2の漏れ異常であると判定した場合には、その判定結果を運転リモコンRにて表示して報知することになる。
【0068】
また、運転制御部Hは、上述した熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が設定判定時間に達しても、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されないときには、暖房用の端末D(高温暖房端末DAや低温暖房端末DB)の漏れ異常であると判定して、その判定結果を報知する暖房用の端末漏れ判定処理を実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部Hは、暖房用の端末D(高温暖房端末DAや低温暖房端末DB)の漏れ異常であるか否かを判定し、そして、暖房用の端末D(高温暖房端末DAや低温暖房端末DB)の漏れ異常であると判定した場合には、その判定結果を運転リモコンRにて表示して報知することになる。
【0069】
さらに、運転制御部Hは、上述した熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が、減少検出経過時間よりも設定処理用時間(例えば、15分〜30分)だけ短い処理用タイミングになるまでに、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出された場合には、熱媒の異常漏れであると判定し、その判定結果を報知する異常漏れ判定処理を実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部Hは、熱媒漏れ箇所がどこであるかは特定できないものの、熱媒の異常な漏れが発生していると判定して、その判定結果を運転リモコンRにて表示して報知することになる。
【0070】
このように、熱媒の漏れが発生した場合において、多くの場合は、その漏れの発生する箇所が、風呂追焚き用の熱交換器2であるか、又は、暖房用の端末D(高温暖房端末DAや低温暖房端末DB)であるかが判定されて、その判定結果が表示される(報知される)ため、作業者はその表示された内容(報知された内容)に基づいて、熱媒の漏れている箇所を見つけて補修する作業を迅速且つ簡単に行えるものとなるのである。
【0071】
又、風呂追焚き用の熱交換器2にて漏れが発生している場合には、熱媒加圧処理を行うことにより、風呂追焚き用の熱交換器2からの熱媒の漏れを促進させながら、熱媒の漏れを迅速に判定できるため、浴槽14に熱媒が微量に漏れ続けることを迅速に回避できるのである。
【0072】
以下、運転制御部Hが実行する熱媒加圧処理及び熱交換器漏れ判定処理について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
ちなみに、運転制御部Hは、これらの処理の他、一般給湯処理、暖房運転処理、湯張り処理、追焚き処理等の処理を、順次繰り返し実行することになり、そして、運転リモコンRの指令にて暖房運転処理を実行する場合においても、熱媒加圧処理を優先して実行することになる。
【0073】
先ず、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間(例えば、62時間)を経過するまでに熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合において、後述の如く設定される「検査モード」であるか否かを判断する(#1)。
検査モードでない場合には、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下であることが検出されたか、つまり、下限検出であるか否かを判別する(#2)。
【0074】
#2にて、下限検出でないと判別した場合には、別の処理に移行することになる。
#2にて、下限検出であると判定した場合には、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間(例えば、62時間)以内否かを判別する(#3)。
【0075】
#3にて、設定判定時間以内であると判別した場合には、上述した「検査モード」を設定する処理(#4)を実行したのちに、上述した熱媒補給処理を実行する(#5)。
また、#3にて、設定判定時間以内でないと判別した場合には、#5の熱媒補給処理を実行することになる。
そして、#5の熱媒補給処理を実行したのちは、別の処理に移行することになる。
【0076】
#1にて、「検査モード」であると判断した場合には、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下であることが検出されたか、つまり、下限検出であるか否かを判別する(#6)。
下限検出でない場合には、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間(例えば、62時間)を経過したか否かを判別することになる(#7)。
【0077】
#7にて、設定判定時間経過でないことを判別した場合には、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が、熱媒補給処理を前回実行してから熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されるまでに経過した減少検出経過時間よりも設定処理用時間(例えば、5分〜10分)だけ短い処理用タイミングであるか否かを判別し(#8)、処理用タイミングである場合には、熱媒加圧処理を実行し(#9)、その後、別の処理に移行することになる。
この熱媒加圧処理は、上述の如く、高温側熱動弁8及び低温側熱動弁9を閉じ状態にして、循環ポンプ4を作動させ、加えて、熱源機1を加熱状態にする処理を実行し、また、追焚き弁10を開き状態にする処理を実行し、さらに、バイパス弁11を閉じる処理を実行することになる。
【0078】
#7にて、設定判定時間経過であることを判別した場合には、異常なしと判定する(#10)。
つまり、#7にて、設定判定時間経過であることが判別される場合とは、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されることなく、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が設定判定時間を経過した場合であり、風呂追焚き用の熱交換器2や暖房用の端末Dに熱媒の漏れがない状態であると判定できるからである。
ちなみに、#10にて、異常なしと判定することに代えて、再検査を念のため行うことを目的として、次回に熱媒補給処理を実行したときに、「検査モード」を設定して、再検査を行い、この再検査においても、同様の結果を得た場合には、異常なしと判定するようにしてもよい。
【0079】
#6にて、下限検出であると判別したときには、熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が、上述した処理用タイミングの経過後であるか否かを判断することになる(#11)。
検査経過時間が処理用タイミングの経過後である場合には、検査経過時間が、熱媒補給処理を前回実行してから熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されるまでに経過した減少検出経過時間を経過しているか否かを判別する(#12)。
【0080】
#12にて、検査経過時間が減少検出経過時間を経過していないと判別したときには、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する(#13)。
つまり、#12にて、検査経過時間が減少検出経過時間を経過していないと判別される場合とは、#9の熱媒加圧処理の実行により、風呂追焚き用の熱交換器2に漏れが発生していれば、その漏れが促進されて、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されたという状況であるため、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定できるからである。
【0081】
また、#12にて、検査経過時間が減少検出経過時間を経過していると判別したときには、暖房用の端末Dの漏れ異常であると判定する(#14)。
つまり、#12にて、検査経過時間が減少検出経過時間を経過していると判別される場合とは、#9の熱媒加圧処理を実行しても、風呂追焚き用の熱交換器2の漏れが促進されることなく、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出された状況であり、このような状況が生じるのは、風呂追焚き用の熱交換器2には熱媒の漏れがなく、暖房用の端末Dに熱媒の漏れがある状態であると判定できるからである。
【0082】
#11にて、検査経過時間が処理用タイミングの経過後でないと判断した場合には、熱媒の漏れ箇所は特定できないが、熱媒の漏れが存在する異常判定を行う(#13)。
尚、#11にて、検査経過時間が処理用タイミングの経過後でない場合と判断されること、つまり、検査経過時間が処理用タイミングに達する前に、熱媒量検出手段Sにて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されることは、通常は起こらないと考えられるが、使用に伴って漏れ箇所の漏れ量が急激に増大する傾向にあるような場合には、このような状況が発生することになる。
【0083】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記実施形態では、熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間を経過するまでに熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合において、直ちに、「検査モード」を設定するようにしたが、熱媒異常減少状態が連続して設定回数(例えば、2回)以上検出された場合において、「検査モード」を設定する形態で実施してもよい。
【0084】
(ロ) 上記実施形態では、バイパス路の開度を変更する開度調整手段として、開度を2段階に変更する場合を例示したが、開度を3段階以上の複数段階に変更する形態や、開度を無段階に変更する形態で実施してもよい。
【0085】
(ハ) 上記実施形態においては、熱交換器漏れ判定処理を、熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が減少検出経過時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合を例示したが、熱交換器漏れ判定処理を、熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定するように構成して、実施してもよい。
【0086】
(ニ) 上記実施形態においては、熱交換器漏れ判定処理が、熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が減少検出経過時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合を例示し、暖房用の端末漏れ判定処理を、検査経過時間が減少検出経過時間を経過したのち設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されたときに、暖房用の端末の漏れ異常であると判定するように構成する場合を例示した。
これに代えて、熱交換器漏れ判定処理が、熱媒加圧処理を実行したのちにおいて検査経過時間が設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されると、風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合においては、暖房用の端末漏れ判定処理を、検査経過時間が設定判定時間に達するまでに、熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されないときには、暖房用の端末の漏れ異常であると判定するように構成して、実施してもよい。
【0087】
(ホ) 上記実施形態では、暖房用の端末として、高温用の端末と低温用の端末とが備えられる場合を例示したが、例えば、高温用の端末のみを備えさせる形態や、低温用の端末を備えさせる形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 加熱部
2 風呂追焚き用の熱交換器
3 熱媒貯留タンク
4 循環手段
8、9 暖房端末用の断続弁
10 風呂追焚き用の断続弁
11 開度調整手段
D 暖房用の端末
H 制御手段
L 熱媒循環路
LG バイパス路
S 熱媒量検出手段
T 熱媒補給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱状態と加熱停止状態とに切換え自在な加熱部、風呂追焚き用の熱交換器、暖房用の端末、及び、大気開放型の熱媒貯留タンクを経由する熱媒循環路を通して熱媒を循環させる熱媒循環手段と、
前記暖房用の端末をバイパスして熱媒を通流させるように前記熱媒循環路に接続されたバイパス路と、
前記熱媒循環路における前記バイパス路の接続箇所よりも前記暖房用の端末側に位置する循環路部分を開閉する暖房端末用の断続弁と、
前記熱媒貯留タンクに貯留される熱媒量が設定下限値以下であるか否か及び設定上限値以上であるか否かを検出する熱媒量検出手段と、
前記熱媒貯留タンクに熱媒を補給する補給状態と補給停止状態とに切換え自在な熱媒補給手段と、
前記加熱部、前記熱媒循環手段、前記暖房端末用の断続弁、及び、前記熱媒補給手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記熱媒量検出手段の検出情報に基づいて、熱媒量が前記設定下限値以下になると前記設定上限値になるように熱媒を補給すべく、前記熱媒補給手段の作動を制御する熱媒補給処理を実行するよう構成された熱供給装置であって、
前記制御手段が、
前記熱媒補給処理を実行してからの経過時間が設定判定時間を経過するまでに前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出される熱媒異常減少状態が検出された場合、又は、その熱媒異常減少状態が連続して設定回数以上検出された場合には、前記熱媒補給処理を次に実行してからの検査経過時間が、前記熱媒補給処理を前回実行してから前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されるまでに経過した減少検出経過時間よりも設定処理用時間だけ短い処理用タイミングになると、前記暖房端末用の断続弁を閉じ状態にして前記熱媒循環手段を作動させる熱媒加圧処理を実行し、かつ、
その熱媒加圧処理を実行したのちにおいて前記検査経過時間が前記設定判定時間又は前記減少検出経過時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されると、前記風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知する熱交換器漏れ判定処理を実行するように構成されている熱供給装置。
【請求項2】
前記制御手段が、
前記検査経過時間が前記減少検出経過時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されると、前記風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合において、前記検査経過時間が前記減少検出経過時間を経過したのち前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されたとき、又は、
前記検査経過時間が前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が前記設定下限値以下になることが検出されると、前記風呂追焚き用の熱交換器の漏れ異常であると判定する場合において、前記検査経過時間が前記設定判定時間に達するまでに、前記熱媒量検出手段にて熱媒量が設定下限値以下になることが検出されないときには、
前記暖房用の端末の漏れ異常であると判定し、その判定結果を報知する暖房用の端末漏れ判定処理を実行するように構成されている請求項1記載の熱供給装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記熱媒加圧処理において、前記加熱部を加熱状態にする処理を実行するように構成されている請求項1又は2記載の熱供給装置。
【請求項4】
前記熱媒循環路が、前記風呂追焚き用の熱交換器を装備する風呂追焚き用循環路部分と前記暖房用の端末を装備する暖房用循環路部分とを並列状態で備えるように構成され、
前記風呂追焚き用循環路部分を開閉する風呂追焚き用の断続弁が設けられ、
前記制御手段が、前記熱媒加圧処理において、前記風呂追焚き用の断続弁を開き状態にする処理を実行するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱供給装置。
【請求項5】
前記バイパス路の開度を変更する開度調整手段が設けられ、
前記制御手段が、前記熱媒加圧処理において、前記開度調整手段を開度減少側に調整する処理を実行するように構成されている請求項4に記載の熱供給装置。

【図1】
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【図2】
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