説明

熱処理炉とそのヒータ交換方法

【課題】炉内のリード線と外部に露出する電極棒とを炉外で着脱することができる熱処理炉とそのヒータ交換方法を提供する。
【解決手段】被処理物1の加熱処理を行う熱処理炉10で、被処理物を内部に収容すると共に、断熱部材によって構成された、中空の加熱室20と、断熱部材内に組み込まれた抵抗加熱式のヒータ22と、加熱室と間隔を隔てて前記加熱室を囲む中空の炉体12と、炉体の内部と連通するように炉体に設けられたノズル16と、ノズルの外方端部に着脱可能に取り付けられ、ノズルから電気的に絶縁された電極棒30と、ヒータのリード線23と電極棒とを電気的に接続する可撓性の導線32とを備え、導線32は、電極棒30をノズル16から分離した状態においてノズル16の外部で電極棒30と着脱可能で、電極棒をノズルに取り付けた状態でノズル内面に接触しない長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物の加熱処理を行う熱処理炉とそのヒータ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理物の加熱処理を行う熱処理炉には、被処理物を加熱するために抵抗加熱ヒータが設置される。かかる熱処理炉は、例えば特許文献1に開示され、抵抗加熱ヒータは、例えば特許文献2に開示されている。
以下、抵抗加熱ヒータを単に「ヒータ」と呼ぶ。
【0003】
特許文献1の熱処理炉は、単室型真空熱処理炉であり、炉本体の内部に設置された箱状断熱材と、箱状断熱材の内部に被処理品を囲むように設けられたヒータとを開示している。
特許文献2のヒータシステムは、ヒータのリード線と電極部とが直接接合されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216344号公報、「単室型真空熱処理炉及び単室型真空熱処理炉における被処理品の酸化防止方法」
【特許文献2】特開2007−40837号公報、「ヒータシステム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱処理炉で用いるヒータのリード線は、熱処理炉の外部に露出する電極棒と電気的に接続し、電極棒を通して外部から電力を供給する必要がある。従来、かかるリード線と電極棒との接続は、直接ロウ付け等で接合するか、コネクタを用いて接続していた。
【0006】
しかし、ヒータは使用時に高温に曝されるため寿命が短く、交換が必要になる。この場合、従来の接続手段では、以下のような課題があった。
【0007】
(1)直接ロウ付け等で接合する場合、熱処理炉内で接合部の分離作業と再接合作業を行う必要がある。これらの作業は熱処理炉内の狭い空間で行うため、作業性が悪く、時間と手間がかかる。また、接合部の品質検査が困難であり、信頼性が低い。
【0008】
(2)コネクタを用いて接続する場合、熱処理炉内でコネクタの分離作業と再結合作業を行う必要がある。これらの作業も熱処理炉内の狭い空間で行うため、作業性が悪く、時間と手間がかかる。
【0009】
(3)熱処理炉の内部に、ヒータを組み込んだ加熱室を設ける場合、ヒータを交換するために、ヒータを組み込んだ加熱室全体を外部に取り出す必要がある。この場合、コネクタは構造上大型でありかつ可撓性がなく、かつ炉体と加熱室との隙間が小さいため、加熱室全体を外部に取り出すことが困難だった。
【0010】
本発明の目的は、炉内のリード線と外部に露出する電極棒とを炉外で容易に着脱することができ、炉体とヒータを組み込んだ加熱室との隙間が小さい場合でも、加熱室全体を外部に容易に取り出すことができる熱処理炉とそのヒータ交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、被処理物の加熱処理を行う熱処理炉であって、
被処理物を内部に収容すると共に、断熱部材によって構成された、中空の加熱室と、
前記断熱部材内に組み込まれた抵抗加熱式のヒータと、
前記加熱室と間隔を隔てて前記加熱室を囲む中空の炉体と、
該炉体の内部と連通するように該炉体に設けられたノズルと、
該ノズルの外方端部に着脱可能に取り付けられ、かつ、該ノズルから電気的に絶縁された電極棒と、
前記ヒータのリード線と前記電極棒とを電気的に接続する可撓性の導線とを備え、
該導線は、前記電極棒を前記ノズルから分離した状態において前記ノズルの外部で前記電極棒と着脱可能であり、かつ前記電極棒を前記ノズルに取り付けた状態で前記ノズルの内面に接触しない長さを有する、熱処理炉が提供される。
【0012】
また本発明によれば、上記の熱処理炉が備える前記ヒータを交換する方法であって、
(A)前記電極棒を前記ノズルから分離した状態で、前記ノズルの外部で前記導線を前記電極棒から分離し、
(B)前記炉体の上部を開放し、
(C)前記リード線に導線が接続されたままの状態で、前記炉体内で前記加熱室を前記ノズルと反対側に移動して、前記リード線及び前記導線を前記ノズル内から前記炉体内に移動し、
(D)前記リード線に前記導線が接続されたまま、前記加熱室を前記炉体の上部から外部に取り出す、熱処理炉のヒータ交換方法が提供される。
【0013】
上記本発明の装置と方法によれば、導線が、電極棒をノズルから分離した状態においてノズルの外部で電極棒と着脱可能であり、かつ電極棒をノズルに取り付けた状態でノズル内面に接触しない長さを有するので、炉内のリード線と外部に露出する電極棒とを炉外で容易に着脱することができる。
【0014】
また、リード線に導線が接続されたまま、炉体内で加熱室をノズルと反対側に移動して、リード線及び導線をノズル内から炉体内に移動し、次いで、加熱室を炉体の上部から外部に取り出すので、炉体とヒータを組み込んだ加熱室との隙間が小さい場合でも、加熱室全体を外部に容易に取り出すことができる。
【0015】
従って、炉外でのヒータの組み付けが可能となり、狭い作業空間でも着脱が容易に行える。そのため、メンテナンス性の向上が図れる。
また、簡便に且つ素早く加熱室全体を外部に取り出し外部でヒータを交換することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、炉内のリード線と外部に露出する電極棒とを炉外で容易に着脱することができ、炉体とヒータを組み込んだ加熱室との隙間が小さい場合でも、加熱室全体を外部に容易に取り出すことができる熱処理炉とそのヒータ交換方法を提供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による熱処理炉の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1のIII−III矢視図である。
【図4】図1のIV−IV矢視図である。
【図5】本発明による熱処理炉のヒータ交換方法を示す第1工程図である。
【図6】本発明による熱処理炉のヒータ交換方法を示す第2工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明による熱処理炉の実施形態を示す縦断面図であり、図2は、図1のII−II線における断面図である。
この例において、熱処理炉10は、被処理物1の加熱処理を行う真空熱処理炉である。なお、本発明は真空熱処理炉に限定されず、被処理物1の加熱処理を行う限りで、その他の熱処理炉であってもよい。
【0020】
図1と図2において、熱処理炉10は、炉体12及び加熱室20を備える。
【0021】
炉体12は、中空の気密容器であり、この例では軸心が鉛直な中空円筒形の炉体胴12aと、炉体胴12aの下面を塞ぐ炉体底12bと、炉体胴12aの上面を塞ぐ炉体蓋12cとを有する。
【0022】
炉体胴12aは、その外周面に2重構造の水冷ジャケット13aを有し、図示しない供給口から水冷ジャケット13a内に冷却水を供給し、炉体胴全体を水冷するようになっている。
【0023】
炉体底12bは、外縁部が炉体胴12aの下端に連結された円形の平板である。また、炉体底12bの下方は、フランジ5を介して下方の別の真空処理室6に連結されている。
この例で、フランジ5は、2重構造の水冷ジャケット(図示せず)を有し、図示しない供給口から水冷ジャケット内に冷却水を供給し、フランジ5全体を水冷するようになっている。
【0024】
炉体底12bの中心部には円形の開口14が設けられ、この開口14を通して下方の真空処理室6から被処理物1を熱処理炉10の内部に挿入し、かつ外部に取り出すことができるようになっている。
【0025】
この図において、2は被処理物1を支持する支持部材、3は支持部材2を支持し開口14を塞ぐ断熱材、4は被処理物1、支持部材2、断熱材3を昇降させ、かつ開口14を閉鎖可能な昇降台である。
なお、昇降台4の構成は、この例に限定されず、その他の構成で熱処理炉10の内部に被処理物1を挿入し、かつ外部に取り出してもよい。
【0026】
炉体胴12aの上端にはフランジ15が設けられている。
炉体蓋12cは、外縁部が炉体胴12aのフランジ15に着脱可能に連結された円形の平板である。また炉体蓋12cは、2重構造の水冷ジャケット13bを有し、図示しない供給口から水冷ジャケット13b内に冷却水を供給し、炉体蓋全体を水冷するようになっている。
【0027】
加熱室20は、中空の断熱容器であり、この例では軸心が鉛直な中空円筒形の加熱室胴20aと、加熱室胴20aの下面を支持する加熱室底20bと、加熱室胴20aの上面を塞ぐ加熱室蓋20cとを有する。
加熱室胴20a、加熱室底20b、及ぶ加熱室蓋20cは、それぞれ耐熱性のある断熱部材で構成されている。耐熱性のある断熱部材は、ヒータの最高温度(例えば1000℃)に耐える耐熱性を有し、かつ熱伝導率の低い断熱材料で構成されている。
【0028】
加熱室胴20aは、一体の中空円筒形であり、その断熱部材内に抵抗加熱式のヒータ22が組み込まれている。
この例では、2本の螺旋状のヒータ22が、加熱室胴20aの断熱部材内に埋め込まれ、そのリード線23のみが加熱室胴20aの外側に露出している。
【0029】
加熱室底20bは、開口14と整合する円形開口21を有する円形の平板である。また加熱室底20bの外縁は炉体胴12aの内面に近接している。さらに、加熱室底20bの上面には、加熱室胴20aの下端が中心に位置する段差を有し、加熱室胴20aの外周面が、炉体胴12aの内面から一定の間隔を隔てるようになっている。
この間隔は、リード線23に導線が接続されたまま、加熱室20の加熱室胴20aを炉体12の上部から外部に取り出すことができるように設定されている。
【0030】
図1と図2において、熱処理炉10は、さらにノズル16、電極棒30、及び導線32を備える。
【0031】
ノズル16は、炉体12の内部と連通するように炉体12に設けられている。また、ノズル16の外方端部にノズルフランジ16aを有する。
この例において、ノズル16は、上下2本の水平ノズルであり、炉体12の炉体胴12aを貫通して設けられている。
なおノズル16はこれに限定されず、斜めであっても、鉛直であってもよい。また、炉体12の加熱室底20b又は加熱室蓋20cに設けてもよい。
【0032】
電極棒30は、ノズル16の外方端に着脱可能に取り付けられ、かつノズル16から電気的に絶縁されている。
この例において、電極棒30は、ノズルフランジ16aと連結してノズル16の外方端の開口を塞ぐフランジ17に絶縁材31を介して貫通して取り付けられている。なおフランジ17は、この例ではメクラフランジであるが、それ以外のフランジであってもよい。
また、電極棒30の内方端には、導線32をボルトで接続する接続端子30aが設けられている。
【0033】
導線32は、可撓性があり、ヒータ22のリード線23と電極棒30とを電気的に接続する。
この例において、導線32は、両端の接続端子32aとその間を電気的に接続する扁平状部分32bとを有する。扁平状とは、厚みよりも幅が大きいものをいう。
扁平状部分32bは、例えば平編線32bである。平編線32bは複数の導電線からなり、これを編んで断面を平板状に形成したものである。
また、導線32は、電極棒30をノズル16から分離した状態においてノズル16の外部で電極棒30と着脱可能であり、かつ電極棒30をノズル16に取り付けた状態でノズル内面に接触しない長さを有する。
【0034】
なお、導線32は、可撓性がある限りで、上記構成に限定されず、その他の可撓性ケーブルであってもよい。
【0035】
図3は、図1のIII−III矢視図である。
この図に示すように、ノズル16は、外部に放熱する放熱外面を有する金属製の中空管16bと、電気絶縁性を有すると共に、中空管16bの内面を部分的に覆う絶縁部分18とを有する。
絶縁部分18は、電極棒30をノズル16に取り付けた状態でノズル内面と導線32との間に位置する。
この構成により、絶縁部分18のない中空管16bの放熱外面から外部に放熱し、ノズル内部の過熱を防ぐようになっている。
【0036】
この例で、ノズル16は水平ノズルであり、絶縁部分18は、水平ノズルの下方を覆っている。
また、この図において、導線32が中空管16bの内面のうち絶縁部分18側に覆われていない側に移動することを制限する移動制限部材19を有する。
導線32は、移動制限部材19と絶縁部分18との間に位置している。
この例で、移動制限部材19は導線32に接触しないように位置する断面がL形の部材である。なおノズル16が水平で、且つ、下方に絶縁部分18がある場合には、導線32に錘を直接載せてもよい。
この構成により、導線32のバタつきが抑制でき、ノズル内面の導電性を有する部分に導線32が接触するのを避けることができる。
【0037】
図4は、図1のIV−IV矢視図である。
この図に示すように、ヒータ22のリード線23には、導線固定板24が固定されており、この導線固定板24に導線32の内側の接続端子32aをボルトで接続するようになっている。
【0038】
上述した熱処理炉10の構成により、電極棒30をノズル16から分離した状態において、導線32がノズル16の外部で電極棒30と着脱可能な長さを有するので、フランジ17をノズルフランジ16aから分離することにより、導線32の一部をノズル16の外部に引き出し、導線32の接続端子32aと電極棒30の内側の接続端子30aとを炉外で容易に着脱することができる。
【0039】
図5は、本発明による熱処理炉のヒータ交換方法を示す第1工程図である。
この図において、ノズル16のノズルフランジ16aには、電極棒30と平行な雌ネジ孔16cが設けられている。
またフランジ17には、ノズルフランジ16aの雌ネジ孔16cに対向する位置に雌ネジ孔16cより径の大きい貫通孔17aが設けられている。
【0040】
本発明によるヒータ交換方法は、最初に、上述した熱処理炉10を用いて、電極棒30をノズル16から分離した状態で、ノズル16の外部で導線32を電極棒30から分離する。
すなわち、フランジ17をノズルフランジ16aから分離することにより、導線32の一部をノズル16の外部に引き出し、導線32の接続端子32aと電極棒30の内側の接続端子30aとを炉外で分離する。
【0041】
この第1工程において、フランジ17の貫通孔17aを通してガイド棒35を挿入し、ガイド棒35の先端に設けられた雄ネジをノズルフランジ16aの雌ネジ孔16cに螺合させることで、ガイド棒35を電極棒30と平行に固定することができる。
また、フランジ17がずれて落下するのを防止するためにガイド棒35の先端にナットを設ける。
次いで、ガイド棒35に沿ってフランジ17をスライドさせてノズル16から分離することで、フランジ17の重量をガイド棒35で支持するので、第1工程の作業性を高め、時間と手間を少なくできる。
【0042】
図6は、本発明による熱処理炉のヒータ交換方法を示す第2工程図である。
初めに、炉体12の上部を開放する。すなわち、炉体蓋12cを炉体胴12aのフランジ15から分離し、炉体蓋12cを取り外して、炉体12の上部を開放する。
この工程は、上述した第1工程の前後、いずれであってもよい。
【0043】
次に、リード線23に導線32が接続されたまま、炉体12内で加熱室20をノズル16と反対側(図で右方向)に移動して、リード線23及び導線32をノズル16内から炉体12内に移動する。
この移動により、リード線23及び導線32を炉体胴12aの内側に移動することができる。
【0044】
次に、リード線23に導線32が接続されたまま、加熱室20を炉体12の上部から外部に取り出する。この際、リード線23及び導線32が炉体胴12aの内側に位置するので、リード線23に導線32が接続されたままの加熱室20全体を、クレーン等で上方へ吊上げ、外部に移動することができる。
次いで、外部でヒータ22を交換する。
【0045】
ヒータ22を交換した後、上述した第2工程を逆の順で実施して、炉体12内に加熱室20を設置し、さらに上述した第1工程を逆の順で実施することで、熱処理炉10を元の状態に組み立てることができる。
【0046】
上述した本発明の方法によれば、導線32が、電極棒30をノズル16から分離した状態において、導線32がノズル16の外部で電極棒30と着脱可能な長さを有するので、フランジ17をノズルフランジ16aから分離することにより、導線32の一部をノズル16の外部に引き出し、導線32の接続端子32aと電極棒30の内側の接続端子30aとを炉外で容易に着脱することができる。
【0047】
また、リード線23に導線32が接続されたまま、炉体12内で加熱室20をノズル16と反対側に移動して、リード線23及び導線32をノズル16内から炉体12内に移動し、次いで、加熱室20を炉体12の上部から外部に取り出すので、炉体12とヒータ22を組み込んだ加熱室20との隙間が小さい場合でも、加熱室全体を外部に容易に取り出すことができる。
【0048】
従って、炉外でのヒータ22の組み付けが可能となり、狭い作業空間でも着脱が容易に行える。そのため、メンテナンス性の向上が図れる。
また、簡便に且つ素早く加熱室全体を外部に取り出し外部でヒータを交換することができる。
また、加熱室20は、角型加熱室であってもよい。
【0049】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 被処理物、
10 熱処理炉、12 炉体、16 ノズル、
16a ノズルフランジ、16b 中空管、16c 雌ネジ孔、
17 フランジ、17a 貫通孔、
18 絶縁部分、19 移動制限部材、
20 加熱室、22 ヒータ、23 リード線、
30 電極棒、32 導線、35 ガイド棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の加熱処理を行う熱処理炉であって、
被処理物を内部に収容すると共に、断熱部材によって構成された、中空の加熱室と、
前記断熱部材内に組み込まれた抵抗加熱式のヒータと、
前記加熱室と間隔を隔てて前記加熱室を囲む中空の炉体と、
該炉体の内部と連通するように該炉体に設けられたノズルと、
該ノズルの外方端部に着脱可能に取り付けられ、かつ、該ノズルから電気的に絶縁された電極棒と、
前記ヒータのリード線と前記電極棒とを電気的に接続する可撓性の導線とを備え、
該導線は、前記電極棒を前記ノズルから分離した状態において前記ノズルの外部で前記電極棒と着脱可能であり、かつ前記電極棒を前記ノズルに取り付けた状態で前記ノズルの内面に接触しない長さを有する、熱処理炉。
【請求項2】
前記導線は、扁平状部分を有する、請求項1に記載の熱処理炉。
【請求項3】
前記ノズルは、外部に放熱する放熱外面を有する金属製の中空管と、電気絶縁性を有すると共に、前記中空管の内面を部分的に覆う絶縁部分とを有する、請求項1又は2に記載の熱処理炉。
【請求項4】
前記導線が、前記中空管の内面のうち前記絶縁部分に覆われていない側に移動することを制限する移動制限部材を有し、
前記導線は、前記移動制限部材と前記絶縁部分との間に位置している、請求項3に記載の熱処理炉。
【請求項5】
請求項1に記載の熱処理炉が備える前記ヒータを交換する方法であって、
(A)前記電極棒を前記ノズルから分離した状態で、前記ノズルの外部で前記導線を前記電極棒から分離し、
(B)前記炉体の上部を開放し、
(C)前記リード線に導線が接続されたままの状態で、前記炉体内で前記加熱室を前記ノズルと反対側に移動して、前記リード線及び前記導線を前記ノズル内から前記炉体内に移動し、
(D)前記リード線に前記導線が接続されたまま、前記加熱室を前記炉体の上部から外部に取り出す、熱処理炉のヒータ交換方法。
【請求項6】
前記ノズルは、孔部を有するノズルフランジを前記ノズルの外方端部に有し、
前記電極棒は、前記ノズルフランジと連結されるフランジに、絶縁材を介して取り付けられており、
前記フランジは、前記フランジと前記ノズルフランジとが連結されたときに、前記ノズルフランジの前記孔部と連通する貫通孔を有しており、
前記(A)において、前記フランジの前記貫通孔及び前記フランジの前記孔部にガイド棒を挿入し、該ガイド棒に沿って前記フランジをスライドさせて前記ノズルから分離する、請求項5に記載のヒータ交換方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−2728(P2013−2728A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133996(P2011−133996)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000198329)株式会社IHI機械システム (27)
【Fターム(参考)】