説明

熱処理炉及び物品の熱処理方法

【課題】凹凸形状を任意に変更することのできる熱処理炉を提供する。
【解決手段】熱処理炉1は、エナメル線6を熱処理するための炉体2を備えている。この炉体2は、エナメル線6が挿通される通線部2aと、炉体2の壁面に貫通形成された抜差し孔3と、を有する。前記熱処理炉1は、抜差し孔3に対して抜差し可能とされ、抜差し孔3内に挿入されたときに通線部2aの内面に凹凸面を形成する凹凸板4を備える。炉体2の壁面には、抜差し孔3が、通線部2aの通線方向Aに複数配置されている。そして、凹凸板4は任意の抜差し孔3に抜差し可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉及び物品の熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば銅線にエナメルを塗布し、加熱処理することで焼き付けてエナメル線とするための焼付け炉が知られている。この焼付け炉では加熱処理のため炉内に熱風を送風しているが、熱処理効率を高め、炉長を短くして炉を小型化するために、前記熱風を乱流とする手法が公知である(例えば下記の3件の公報に記載)。即ち、炉内の本体部を蛇行させたり、凹凸を形成することで乱流を発生させて熱伝達効率を上げる手法である。なお乱流とは、レイノルズ数4000程度以上で規定される流体力学上の状態であり、粘性が小さいため、伝熱効率を上げるのに有効である。
【特許文献1】特開平5−8191号公報
【特許文献2】特開昭60−256786号公報
【特許文献3】特開昭59−020923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来は、単に炉内をそのような形状に加工することが行われていたため、熱効率を向上させるべく炉内の乱流発生状況を変えるためには、炉自体を交換して炉内の蛇行や凹凸の形状及び大きさを変更する必要があった。
【0004】
また、本願発明者らの検討によれば、本体部の凹凸により熱風の断面積が狭くなり過ぎると圧力損失が大きくなり、熱風の風速に影響が生じ、却って熱処理効率が下がることが確認されている。このように、炉の熱処理効率は複数の要因によって複雑な影響を受けるものであるため、凹凸の形状は単純に決定できるものではない。そのため、凹凸形状の変更に多大なコスト及び工数が必要となる従来の炉の構成では、凹凸形状の検討を十分行うことができず、良好な熱効率を達成するのが困難であった。また、炉内の蛇行部分及び凹凸部分を部品化して交換しようとしても、炉内の構成であるために容易ではなかった。
【0005】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、本体部の凹凸形状を任意に変更することのできる熱処理炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の熱処理炉が提供される。即ち、この熱処理炉は、物品を熱処理するための炉体を備える。前記炉体は、物品が挿入又は挿通される本体部と、前記炉体の壁面に貫通形成された抜差し孔と、を有する。また、前記熱処理炉は、前記抜差し孔に対して抜差し可能とされ、前記抜差し孔内に挿入されたときに前記本体部の内面に凹凸面を形成する凹凸板を備える。
【0008】
これにより、凹凸板を抜差し孔に抜差しすることによって、炉内部の凹凸形状を容易に変更することができる。従って、本体部の内面の凹凸形状を任意に形成することができるため、熱処理炉における乱流の発生や圧力損失の発生の様子を実機で実際に確認することができる。
【0009】
前記の熱処理炉においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記物品は条体である。前記炉体の壁面には、前記抜差し孔が、前記本体部に挿通される条体の長手方向に複数配置されている。前記凹凸板は任意の前記抜差し孔に抜差し可能とされている。
【0010】
即ち、条体の熱処理炉の場合、その本体部は条体の長手方向に長くなることが多いが、凹凸板を条体の長手方向に複数配置可能とすることにより、凹凸板が長大になることがなく取扱いが容易になる。また、条体の長手方向に複数配置される凹凸板のそれぞれを変更することにより、多種多様な凹凸形状を少ない部品点数で実現することができる。
【0011】
前記の熱処理炉においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記物品は条体である。前記本体部は、複数の前記条体を、その長手方向に垂直な方向に並べて挿通できるように構成されている。前記抜差し孔は、前記条体が並べられる方向に前記凹凸板が抜差し可能であるように構成されている。
【0012】
即ち、条体の熱処理炉の場合、当該条体の長手方向での本体部の長さは、条体が並べられる方向での長さよりも長くなることが多い。従って、凹凸板を前記条体が並べられる方向に抜差し可能とすることにより、凹凸板がコンパクトになり、取扱いが容易になる。
【0013】
前記の熱処理炉においては、以下の構成とすることができる。即ち、前記抜差し孔は、前記凹凸板が前記本体部の両側から挿入可能なように対をなして配置されている。互いに対応するそれぞれの前記抜差し孔から前記凹凸板を挿入したときに、当該凹凸板の先端同士が接触又は近接して突合せ部が形成される。
【0014】
これにより、それぞれの凹凸板をコンパクトに構成できるので、取扱いが容易になる。また、突合せ部を形成することにより前記凹凸面が途切れることが防止され、本体の内部の風に凹凸面を確実に作用させることができる。
【0015】
前記の熱処理炉においては、前記抜差し孔は、前記凹凸板が前記本体部の片方側からのみ挿入可能な構成とすることもできる。
【0016】
これにより、凹凸板及び抜差し孔の数を少なくすることができるので、凹凸板の交換作業が容易になる。
【0017】
前記の熱処理炉においては、前記凹凸板は前記本体部内に乱流を発生させることが好ましい。
【0018】
これにより、熱処理の効率が向上するとともに、炉を小型化してコストを削減することができる。
【0019】
前記の熱処理炉においては、前記抜差し孔が複数形成され、その何れかの抜差し孔には平板が抜差し可能に挿通されていることが好ましい。
【0020】
これにより、凹凸を形成する必要が無い箇所の抜差し孔には平板を挿入することで、圧力損失を最小限に抑えることができる。また、未使用の抜差し孔が凹凸形状の検討結果に与える影響を抑えることができる。
【0021】
本発明の別の観点によれば、前記の熱処理炉内に物品を挿入又は挿通し、本体部に送風して乱流を発生させることを特徴とする物品の熱処理方法が提供される。
【0022】
これにより、凹凸板の抜差しにより炉内部の凹凸形状を容易に変更して、熱処理炉における乱流の発生や圧力損失の発生の様子を実際に確認することができる。従って、当該熱処理炉における好適な凹凸形状を容易に決定することができ、熱処理効率等に優れた熱処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る熱処理炉の断面斜視図である。
【0024】
この熱処理炉1は、炉内を通線方向Aに搬送されるエナメル線6(条体、物品)に対して、炉内に熱風を送風方向Cに流すことにより熱処理を行うように構成されている。
【0025】
図1に示すように、熱処理炉1は、エナメル線6に対し熱処理(ここでは加熱処理)を行うための炉体2を備えている。この炉体2には、エナメル線6が挿通される空間が形成された通線部(本体部)2aが備えられている。また、炉体2の壁面には複数の抜差し孔3が形成されている。この抜差し孔3は、炉体2の外部と前記通線部2aの内部空間とを連通するように構成されている。
【0026】
更に熱処理炉1は、抜差し孔3に対して外部から抜差し可能とされ、前記抜差し孔3内に挿入されたときに前記通線部2a内面に凹凸面を形成する一対の凹凸板4を備える。それぞれの凹凸板4は凹部4aと凸部4bを備え、これにより前記凹凸面が構成されている。
【0027】
凹凸板4は、前記抜差し孔3に差し込まれたときに、通線部2aにおける炉体2の内面にほぼ沿うように配置される。また、一対の凹凸板4は互いに略平行に配置されるとともに、通線部2aにおける前記エナメル線6の走行経路を挟んで対向するよう配置されている。なお、この凹凸板4の形状は任意に変更することができる。
【0028】
一方、通線部2a内面に凹凸面を形成する必要がない部分の抜差し孔3には、平坦な面が形成された平板9が配置されている。この平板9についても、抜差し孔3に抜差し可能に構成されている。
【0029】
なお、本実施形態の熱処理炉1においては、凸部及び凹部の形状(幅や高さ)等を種々異ならせた複数の凹凸板4が予め用意されている。従って、それぞれの抜差し孔3の凹凸板4を異なる形状のもの(又は平板9)に交換することで、通線部2aの様々な内面形状を実現することができる。
【0030】
熱処理炉1の炉体2の下方には、エナメル塗布部5が配置されている。このエナメル塗布部5は、搬送されるエナメル線6の表面にエナメルを塗布できるように構成されている。
【0031】
図2に示すように、前記凹凸板4は、抜差し孔3に差し込んだ状態で、炉体2に対してネジ11により固定することができる。通線部2aの内面は略平角状に形成されているが、前記抜差し孔3に対応する位置には細長い凹み部7が形成されている。この凹み部7には凹凸板4を嵌合させることができ、凹み部7に差し込まれた凹凸板4は、当該凹み部7の長手方向に沿ってスライド可能に構成されている。なお、前記凹み部7に平板9を嵌合させることもでき、この場合は当該凹み部7が平板9によって埋められるので、平坦な内面形状が実現される。
【0032】
このような構成により、凹凸板4及び平板9を、炉体2の外部に開口した抜差し孔3に対して任意に抜差し変更することで、炉内の蛇行及び凹凸形状を任意にかつ容易に変更することができる。従って、熱処理効率、より具体的には乱流の発生状況や送風時の圧力損失の影響による風速の低下などを実機で確認することが容易にできるようになり、低コストで熱効率を効果的に高めた熱処理を熱処理炉1自体の交換無しに実現することができる。
【0033】
また、前記抜差し孔3は、通線部2aの通線方向Aに沿って複数(ここでは2つ)配置されており、任意の前記抜差し孔3に対して前記凹凸板4を抜差しできるようになっている。このような構成をとることにより、1枚あたりの凹凸板4の重量を軽くすることができ、凹凸板4の取扱いが簡便になるとともに、通線部2a内面の凹凸形状をよりフレキシブルにデザインすることができる。
【0034】
更に、前記通線部2aの内部には、エナメル線6の走行経路が複数形成されている。この走行経路は、各走行経路におけるエナメル線6の長手方向に垂直な方向に一列に並べられている。この複数の走行経路にエナメル線6がそれぞれ配置されるが、1本のエナメル線6を折り返しながら複数の走行経路に挿通しても良いし、異なるエナメル線6をそれぞれの走行経路に挿通しても良い。
【0035】
そして、前記抜差し孔3に対する凹凸板4の抜差し方向Bは、図1に示すように、前記通線部2aにおいてエナメル線6が並べられる方向と一致するように構成されている。通常、通線部2aの通線方向の長さはエナメル線6が並べられる方向での長さよりも長くなるが、上記のような構成をとることで凹凸板4の抜差し長を短くすることができ、段取替えの作業効率を向上させることができる。
【0036】
本実施形態において、前記抜差し孔3は図3に示すように、凹凸板4が前記通線部2aの片方側からのみ挿入可能な構成としている。また、前記凹凸板4の先端には止め部4cが形成される一方、抜差し孔3が形成された側と反対側の炉体2内に凹状の止め穴8が形成されており、そこに止め部4cが挿入されるように構成されている。これによれば、抜差し孔3の数を低減できるので、凹凸板4の抜差し時の抜差し作業回数を低減できる点で好ましい。
【0037】
なお、図4に示す別の実施形態のように、前記凹凸板4が前記通線部2aの両側から抜差し方向B1,B2に沿って挿入されるように、互いに対をなすように抜差し孔3を配置することもできる。この場合、凹凸板4の1枚あたりの抜差し長を更に小さくすることができる。ただし、この構成では、凹凸板4が両側から挿入されて取り付けられたときに、凹凸板4の先端同士が対向しつつ接触(又は近接)して突合せ部10が形成され、風が抜けないようにすることが、十分な乱流を発生させる観点から好ましい。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態の熱処理炉1は、エナメル線6を熱処理するための炉体2を備えている。そして、炉体2は、エナメル線6が挿通される通線部2aと、炉体2の壁面に貫通形成された抜差し孔3と、を有する。また、前記熱処理炉1は、抜差し孔3に対して抜差し可能とされ、抜差し孔3内に挿入されたときに通線部2aの内面に凹凸面を形成する凹凸板4を備える。
【0039】
これにより、凹凸板4を抜差し孔3に抜差しすることで、炉内部の凹凸形状を容易に変更することができる。従って、通線部2aの内面の凹凸形状を任意に形成することができるので、熱処理炉1における乱流の発生や圧力損失の発生の様子を実機で実際に確認することができる。
【0040】
また、本実施形態の熱処理炉1においては、前記炉体2の壁面には、複数の抜差し孔3が、通線部2aに挿通される物品としてのエナメル線6の長手方向(通線方向A)に複数配置されている。そして、凹凸板4は任意の抜差し孔3に抜差し可能とされている。
【0041】
即ち、本実施形態のようなエナメル線6の熱処理炉1において、その通線部2aは通線方向Aに長くなりがちであるが、凹凸板4を通線方向Aに複数配置可能とすることにより、凹凸板4が長大になることがなく、取扱いが容易になる。また、それぞれ異なる凹凸パターンの凹凸板4を通線方向Aに配置することにより、少ない部品点数で多種多様な凹凸形状を実現することができる。
【0042】
また、本実施形態の熱処理炉1においては、通線部2aは、複数の物品としてのエナメル線6を、前記通線方向Aに垂直な方向に並べて挿通できるように構成されている。そして、凹凸板4の抜差し孔3に対する抜差し可能な方向(抜差し方向B)は、エナメル線6が並べられる方向とほぼ一致している。
【0043】
即ち、本実施形態のようなエナメル線6の熱処理炉1において、通線部2aの通線方向Aの長さは、エナメル線6が並べられる方向での長さよりも長くなるのが通常である。従って、前記エナメル線6が並べられる方向に凹凸板4を抜差し可能とすることにより、凹凸板4がコンパクトになり、取扱いが容易になる。
【0044】
また、図4に示す構成の熱処理炉1においては、抜差し孔3は、凹凸板4が通線部2aの両側から挿入されるように対をなして配置されている。そして、互いに対応するそれぞれの抜差し孔3から前記凹凸板4を挿入したときに、当該凹凸板4の先端同士が接触して突合せ部10が形成されている。
【0045】
これにより、それぞれの凹凸板4をコンパクトにできるので、取扱いが容易になる。また、突合せ部10を形成することにより、より乱流を発生させ易くすることができる。
【0046】
一方、図3に示す構成の熱処理炉1においては、抜差し孔3は、凹凸板4が通線部2aの片方側のみから挿入される構成となっている。
【0047】
この場合、凹凸板4及び抜差し孔3の数を少なくすることができるので、凹凸板4の交換作業が容易になる。
【0048】
また、本実施形態の熱処理炉1においては、凹凸板4は通線部2a内に乱流を発生させるように構成されている。
【0049】
これにより、熱処理の効率が向上するとともに、炉を小型化してコストを削減することができる。
【0050】
また、本実施形態の熱処理炉1においては、抜差し孔3が複数形成され、その何れかの抜差し孔3には平板9が抜差し可能に挿通されている。
【0051】
これにより、凹凸を形成する必要が無い箇所の抜差し孔3には平板9を挿入することで、圧力損失を最小限に抑えることができる。また、未使用の抜差し孔3が凹凸形状の検討結果に与える影響を抑えることができる。
【0052】
また、本実施形態の熱処理炉1は、当該熱処理炉1内にエナメル線6が挿通された状態で通線部2aに送風して乱流を発生させる方法でエナメル線6の熱処理を行っている。
【0053】
これにより、凹凸板4の抜差しにより熱処理炉1の内部の凹凸形状を容易に変更して、熱処理炉1における乱流の発生や圧力損失の発生の様子を実際に確認することができる。従って、当該熱処理炉1における好適な凹凸形状を容易に決定することができ、熱処理効率等に優れた熱処理方法を提供することができる。
【0054】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように構成することができる。
【0055】
上記実施形態の熱処理炉1は、熱風を送ることで加熱炉として機能しているが、冷風を送ることで冷却炉として用いることもできる。また凹凸板によって乱流化を行うものに限定されるわけではなく、層流化を行うものにも適用可能である。
【0056】
上記実施形態ではエナメル線の焼付け炉について記載したが、送風して熱処理を加えるものである限り如何なる熱処理炉にも適用可能であり、例えば焼鈍し炉(アニーラ)等にも適用することができる。
【0057】
本発明における物品は、加熱炉内に挿入又は挿通(通線)でき、熱処理を要するものであればどのようなものであっても良い。具体的には、上記エナメル線6のような条体(管等も含む)に適用する場合のほか、例えば板等の熱処理にも適用することができる。ただし、上記実施形態に示すようなエナメル線の焼付け炉の場合は特に小型化が要求されているという事情があるので、熱処理効率を上げる検討を低コストで行うことができる本発明は、このようなエナメル線の焼付炉に適用することが特に有利である。
【0058】
上述の凹凸板4の凸部断面形状及び凹部断面形状は図中では矩形としたが、如何なる形でも良いことは言うまでもなく、従来技術で示した蛇行形状であっても良い。また、通線方向Aにおける抜差し孔3(凹凸板4)の配置数も任意に変更することができる。
【0059】
また本実施形態では、図1及び図2に示すように、一対の凹凸板4は互いに略平行に配置し、炉体2の長手方向(通線方向)に略垂直方向に挿入するものとしている。しかし本発明はこれに限定されることはなく、例えば炉体2の長手方向に対して斜めに配置・挿入する形態をとっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態となる熱処理炉の一部断面斜視図。
【図2】図1の熱処理炉の側面断面図。
【図3】図1の熱処理炉における凹凸板の周辺を特に示す側面断面図。
【図4】図3の構成の変形例を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0061】
1 熱処理炉
2 炉体
2a 通線部(本体部)
3 抜差し孔
4 凹凸板
4a 凹部
4b 凸部
6 エナメル線(条体、物品)
9 平板
10 突合せ部
A 通線方向
B 抜差し方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を熱処理するための炉体を備えた熱処理炉であって、
前記炉体は、物品が挿入又は挿通される本体部と、前記炉体の壁面に貫通形成された抜差し孔と、を有し、
前記抜差し孔に対して抜差し可能とされ、前記抜差し孔内に挿入されたときに前記本体部の内面に凹凸面を形成する凹凸板を備えることを特徴とする熱処理炉。
【請求項2】
請求項1に記載の熱処理炉であって、
前記物品は条体であり、
前記炉体の壁面には、前記抜差し孔が、前記本体部に挿通される条体の長手方向に複数配置されており、
前記凹凸板は任意の前記抜差し孔に抜差し可能とされていることを特徴とする熱処理炉。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱処理炉であって、
前記物品は条体であり、
前記本体部は、複数の前記条体を、その長手方向に垂直な方向に並べて挿通できるように構成されており、
前記抜差し孔は、前記条体が並べられる方向に前記凹凸板が抜差し可能であるように構成されていることを特徴とする熱処理炉。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の熱処理炉であって、
前記抜差し孔は、前記凹凸板が前記本体部の両側から挿入可能なように対をなして配置されており、
互いに対応するそれぞれの前記抜差し孔から前記凹凸板を挿入したときに、当該凹凸板の先端同士が接触又は近接して突合せ部が形成されることを特徴とする熱処理炉。
【請求項5】
請求項1から3までの何れか一項に記載の熱処理炉であって、
前記抜差し孔は、前記凹凸板が前記本体部の片方側からのみ挿入可能な構成としたことを特徴とする熱処理炉。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の熱処理炉であって、
前記凹凸板は前記本体部内に乱流を発生させることを特徴とする熱処理炉。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の熱処理炉であって、
前記抜差し孔が複数形成され、その何れかの抜差し孔には平板が抜差し可能に挿通されていることを特徴とする熱処理炉。
【請求項8】
前記請求項1から7までの何れか一項に記載の熱処理炉内に物品を挿入又は挿通し、前記本体部に送風して乱流を発生させることを特徴とする物品の熱処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−236467(P2009−236467A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86485(P2008−86485)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000217583)株式会社タナベ (11)
【Fターム(参考)】