説明

熱分析装置

【課題】 複数の試料に関して熱分析を行う際に、個々の試料に対して適切に校正を行うことができるようにする。
【解決手段】 試料測定位置31bに置かれた試料に対して重量測定を行う機構であるTG測定装置2と、複数の試料が置かれたターンテーブル52と試料測定位置31bとの間で試料を搬送するサンプルチェンジャ3と、複数の試料をサンプルチェンジャ3によって試料測定位置31bへ交互に搬送しながら、試料測定位置31bに置かれた試料に関してTG測定装置2によって重量測定を行う機能を実現する秤量演算部と、秤量演算部を調整することによってTG測定装置2を校正する機能を実現する校正演算部とを有する熱分析装置である。校正演算部は、複数の試料に対して秤量演算部によって順次に測定が行われる際のそれらの個々の測定の少なくとも1つに先立って校正処理を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の温度が変化するときの当該試料の重量変化を測定する熱分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の温度が変化するときの当該試料の重量変化を測定する熱分析装置は従来から広く知られている。例えば、そのような熱分析装置としてTG(Thermogravimetry:熱重量測定)装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の試料に関して自動的に試料を交換しながら測定を行うようにした熱分析装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。また、熱分析装置において測定系の校正を行う技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−052732号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】特開2002−055066号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたような熱分析装置では、一般に、内蔵する測定系が経時的に劣化や変化することがあった。そのため、正確な測定結果を維持するため、定期的に測定系を校正していた。例えば、数日に1回や、数ヶ月に1回の程度で校正が行われていた。また、上記特許文献2に開示された校正装置では、全ての標準試料の測定終了後に校正処理が実行されている。
【0005】
しかしながら、上記のように定期的に校正を行う場合や、上記のように全ての標準試料の測定終了後に校正を行う場合には、測定の対象である試料が複数あるときに、個々の試料に対して適切な校正を行った上で測定を行うことができなかった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解消するために成されたものであって、複数の試料に関して熱分析を行う際に、個々の試料に対して適切に校正を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る熱分析装置は、試料測定位置に置かれた試料に対して重量測定を行う重量測定手段と、複数の試料が置かれた試料待機部と前記試料測定位置との間で試料を搬送する試料搬送手段と、前記複数の試料を前記試料搬送手段によって前記試料測定位置へ交互に搬送しながら前記試料測定位置に置かれた試料に関して前記重量測定手段によって重量測定を行う機能を実現する秤量演算手段と、前記秤量演算手段を調整することによって前記重量測定手段を校正する機能を実現する校正演算手段とを有する。そして、前記校正演算手段は、前記複数の試料に対して前記秤量演算手段によって順次に測定が行われる際のそれらの個々の測定の少なくとも1つに先立って前記校正を実現する。
【0008】
上記構成において、「重量測定手段」は、例えば、天秤ビームを含んだ機構によって構成される。また、「試料搬送手段」は、例えば、試料を把持する把持部材と、その把持部材を移動させる装置とを含む機構によって構成される。「秤量演算手段」及び「校正演算手段」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、プログラムソフト等によって構成される機能実現手段によって構成される。
【0009】
本発明に係る熱分析装置によれば、複数の試料に対して交互に行われる重量測定の少なくとも1つに先立って校正が行われる。この校正は、正確な重量測定を行いたいと希望する重量測定に先立って行うことが可能である。従来のように、定期的に校正を行う場合や、全ての標準試料の測定終了後に校正を行う場合は、正確な測定を希望する試料に対してその測定の直前に校正を行うことができなかったり、正確な測定を希望する試料が複数ある場合にそれらの個々に対して校正を行うことができなかったりした。
【0010】
これに対し、本発明のように、複数の試料に対して秤量演算手段によって順次に測定が行われる際に、校正演算手段がそれらの個々の測定の少なくとも1つに先立って自動的に校正を実現するように設定しておけば、正確な測定を希望する試料に対して個別に校正処理を行うことができ、それ故、重量測定の信頼性を高めることができる。また、正確な測定を希望する試料が複数ある場合でも、それらの試料に対して校正演算手段によって自動的且つ個別に校正処理を行うことができるので、重量測定の信頼性を高めることができる。
【0011】
次に、本発明に係る熱分析装置において、前記校正演算手段は、重量が既知である分銅を前記試料測定位置に置いた状態で前記重量測定手段によって重量測定を行ったときにその測定の結果が前記既知の重量となるように前記秤量演算手段による演算を調整することによって前記校正を行うことが望ましい。この構成によれば、簡単な操作によって正確な校正処理を行うことができる。この場合、分銅の重さは、その校正処理の直後に行われる重量測定に供される試料の重量と同じ又はその重量に近い重量であることが望ましい。
【0012】
次に、本発明に係る熱分析装置において、前記重量測定手段は、天秤ビームを備えた天秤機構と、該天秤機構の試料測定位置に試料を載せたときの前記天秤ビームの振れを検知して信号を出力する振れ検知手段と、供給された電力に応じて力を発生する力発生手段と、前記振れ検知手段の出力信号に基づいて前記力発生手段へ電力を供給する電力制御手段とを有することが望ましい。そしてその場合、前記重量測定は、前記電力制御手段によって前記力発生手段へ供給された電力と、所定の基準検量線データとを比較して前記試料の重量を求める処理であることが望ましい。そしてさらに、前記校正演算手段は、前記基準検量線データを調整することによって校正を実現することが望ましい。
【0013】
この構成によれば、試料の重量変化を正確に測定でき、さらに、測定系の校正を正確に行うことができ、さらに、校正を行うタイミングを自由に設定できる。
【0014】
次に、本発明に係る熱分析装置において、前記校正演算手段によって実現される校正のタイミングは予め決められていることが望ましい。この校正によれば、複数の試料に対して秤量演算手段によって交互に重量測定が行われる際、例えばプログラムソフトによって決められた所定のタイミングで自動的に校正が行われる。このため、高精度の分析を簡単な操作によって行うことができる。
【0015】
次に、本発明に係る熱分析装置は、情報を入力するための入力手段をさらに有することができる。そしてその場合には、前記校正演算手段によって実現される校正のタイミングは前記入力手段に入力された情報に基づいて決められることが望ましい。こうすれば、分析者の要望に応じた適切なタイミングで校正を行うことができるようになる。なお、入力手段としては、例えば、キーボード、マウス、ボタンスイッチ等を用いることができる。
【0016】
次に、本発明に係る熱分析装置において、前記校正のタイミングは、前記複数の試料について重量測定が行われる際の個々の重量測定の前であることが望ましい。つまり、複数の試料に対して重量測定を行う場合には、個々の重量測定を行うのに先立って常に校正を行うことが望ましい。こうすれば、複数の試料の個々に対して非常に正確な重量測定を行うことが可能となる。
【0017】
次に、本発明に係る熱分析装置は、前記試料待機部に分銅が置かれたときにその分銅を検知する分銅検知手段をさらに有することが望ましい。そしてその場合には、前記校正演算手段は前記分銅検知手段によって分銅が検知されたときに前記校正を行うことが望ましい。こうすれば、分析者すなわちオペレータは、校正を希望する試料を試料待機部に置くのに先立ってその試料待機部に分銅を置くだけ、という簡単な操作を行うだけで、校正を行った状態の適切な測定系によってその試料に関する測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る熱分析装置を試料自動交換機能を備えたTG−DTA装置に適用した場合を例示して説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。
【0019】
図1は、本発明に係る熱分析装置の一実施形態を示している。この熱分析装置1は、適宜の物質を試料として測定を行うTG−DTA装置2と、TG−DTA装置2によって測定する試料を自動的に交換するためのサンプルチェンジャ3と、入力手段としての入力装置4と、表示手段としての画像表示装置6と、印刷手段としてのプリンタ7と、CPU(Central Processing Unit)8と、RAM(Random Access Memory)9と、ROM(Read Only Memory)10と、外部記憶媒体としてのハードディスク11とを有する。サンプルチェンジャ3の動作はサンプルチェンジ制御回路5によって制御される。以上の各要素はバス12によって互いにつながれている。
【0020】
入力装置4は、例えば、ボタンスイッチ、キーボード、マウス等によって構成される。この入力装置4には、校正ボタン、校正せずボタン、クリアボタンが含まれる。校正ボタンは、校正処理を指示するときに操作されるボタンである。校正せずボタンは、校正処理を行うことなく測定を行うときに操作されるボタンである。また、クリアボタンは校正処理の際に利用する検量線データを初期値(すなわち、デフォルト値)に戻すときに操作されるボタンである。
【0021】
画像表示装置6は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等といった画像表示機器によって構成されている。この画像表示装置6は、CPU8による演算処理及び制御処理によって生成された画像データを入力してそのデータに対応する画像を画面上に表示する。プリンタ7は、インクプロッタ、ドットプリンタ、インクジェットプリンタ、静電転写プリンタ、その他任意の構造の印刷用機器を用いることができる。なお、ハードディスク11は、光磁気ディスク、半導体メモリ、その他任意の構造の記憶媒体によって構成することもできる。
【0022】
ハードディスク11の内部には、TG−DTA装置2によってTG(熱重量)測定を行わせるためのTG測定プログラム16と、TG−DTA装置2によってDTA(Differential Scanning Calorimetry:示差熱分析)測定を行わせるためのDTA測定プログラム17と、校正処理を実行するための校正プログラム18等といった各種のプログラムが格納されている。これらのプログラムは、例えば、必要に応じてハードディスク11から読み出されてRAM8へ転送された後に所定の機能を実現する。また、ハードディスク11の内部には、校正プログラム18によって実行される校正処理の際に用いられる検量線データが記憶されたファイル21と、TG−DTA装置2によって測定されたデータを記憶するための測定データファイル22とが設けられる。
【0023】
検量線データファイル21内には少なくとも2つの種類の検量線データが記憶されている。1つは、実際に行われる校正処理の際に用いられる検量線データであり、他の1つは、初期値(すなわち、デフォルト値)としての検量線データである。校正処理の際に用いられる検量線データは、(1)予め決められた1つの場合もあるし、(2)予め決められた複数の場合もあるし、(3)校正処理を行う毎に演算によって決められる1つの場合もあるし、あるいは、(4)校正処理を行う毎に演算によって決められる複数の場合もある。
【0024】
検量線データは、例えば図5に符号L0及びL1で示す線(通常は、直線)に相当するデータである。図5に示すグラフにおいて、横軸は補償のために電磁コイル等に供給される電流値を示している。この補償用の電流値については後の説明で明らかになる。また、縦軸は、測定装置によって測定される重量を示している。今、検量線L0をデフォルトの検量線とすれば、このデフォルトの検量線L0を用いてTG測定を行えば、補償用電流がim であったとき、試料の重量はWm と秤量される。また、検量線L1を用いてTG測定を行えば、補償用電流がim であったとき、試料の重量はWm’ と秤量される。
【0025】
次に、図1のTG−DTA装置2は、図2に示すように、一対の天秤ユニット26a及び26bを有する。個々の天秤ユニットは、支点を構成するトーションバンド27a,27bによって回転自在に支持された天秤ビーム28a,28bと、試料及び標準物質の温度を変化させるための電気炉29とを有する。
【0026】
それぞれの天秤ビーム28a,28bの先端には、試料載置部としての感熱板31a,31bが設けられる。感熱板31bは本発明における試料測定位置を構成する。測定対象である試料を収容した試料容器32は、一方の感熱板31bの上に載置されて測定に供される。他方の感熱板31aの上には標準物質33が載せられる。標準物質33は温度変化しても物性に変化が生じない物質である。
【0027】
天秤ビーム28a,28bのそれぞれの支点27a,27bの近傍には電磁補償装置34が設けられる。また、それぞれの天秤ビーム28a,28bの後端には振れ検知装置36が設けられる。電気炉29は通電によって発熱するヒータを内蔵すると共に感熱板31a,31bを収容できる容積を有する空間Rを有する。また、電気炉29には炉移動装置37が付設される。この炉移動装置37は、電気炉29を、感熱板31a,31bを覆う位置(図3の破線で示す位置)と、感熱板31a,31bを外部へ開放する位置(図3の実線で示す位置)との間で平行移動させる装置である。図2では電気炉29が感熱板31a,31bを外部へ開放する位置に置かれた状態を示している。
【0028】
炉移動装置37は、従来から周知の任意の平行移動装置によって構成できるが、例えば、レール等といったガイド要素によって電気炉29を直線移動自在に支持すると共に、直進駆動装置によって電気炉29を直線的に往復移動させるといった構成を採用できる。この場合、直進駆動装置は、例えば、送りネジ軸にスライダをネジ嵌合させて、送りネジ軸の軸回転によってスライダを直線移動させるようにした直進駆動装置や、周回移動するワイヤを用いた直進駆動装置等が考えられる。
【0029】
電磁補償装置34は、図3に示すように、天秤ビーム28a,28bのうちの支点27a,27bの近傍の部分に固定された永久磁石38と、その永久磁石38の磁界領域内に配置されたコイル39と、電圧検出用の抵抗41とを有する。抵抗41の一端はTG出力信号Stgとして外部へ取り出される。このTG出力信号Stgはコイル39へ供給された電流、すなわち電力に対応した信号である。
【0030】
コイル39へ電流が供給されると、磁界が発生して磁石38に力が発生する。この力は天秤ビーム28a,28bへ伝達されて、それらの天秤ビームを平衡状態、本実施形態では水平状態に保持するための力として機能する。TG信号Stgは、例えば、図1のRAM9内の所定の記憶領域に一時的に記憶され、TG測定プログラム16によって行われる演算においてデータとして利用される。
【0031】
図2の振れ検知装置36は、図3に示すように、天秤ビーム28a,28bの後端に固定された光遮蔽板44と、その光遮蔽板44へ向けて光を放射する光源46と、光遮蔽板44を挟んで光源46の反対側に配置された受光素子47とを有する。受光素子47の出力端子は電力制御手段としてのPID(比例、積分、微分)調節器48の入力端子に接続される。そして、PID調節器48の出力端子は電力増幅器49を介してコイル39の入力端子に接続されている。
【0032】
試料容器32内の試料Sは、電気炉29によって加熱され、さらにその加熱が解除されることにより温度変化する。この温度変化の際、試料Sは自らの熱的物性に応じて重量変化する。試料Sに重量変化が発生すると、天秤ビーム28bが支点27bを中心として揺動、すなわち傾き移動してその後端が振れる。このように天秤ビーム28bに振れが生じると、振れ検知装置36内において受光素子47の受光量に変化が生じ、その受光素子47の出力信号が変化し、PID調節器48の出力端子にその変化に応じた信号が出力される。そして、この出力信号が電磁補償装置34内のコイル39へ供給されることにより、天秤ビーム28bに力が加わり、その結果、天秤ビーム28bが平衡状態に維持される。
【0033】
図3において、標準物質33を支持する感熱板31aの底面に温度検知素子51a(例えば、熱電対の測温端子)が適宜の固着手法、例えばスポット溶接によって固着されている。また、試料Sを支持する感熱板31bの底面にも同様の温度検知素子51bが固着されている。図3では、2つの温度検知素子51a及び51bがそれぞれ感熱板31a及び31bの底面の異なる所に固着されているように示されているが、これは、説明を分かり易くするための措置であり、実際には、温度検知素子51a及び51bは互いに感熱板31a及び31bの底面における同じ位置に固着されている。
【0034】
温度検知素子51aは標準物質33の温度を検知して温度信号Sdta1を出力する。また、温度検知素子51bは試料Sの温度を検知して温度信号Sdta2を出力する。これらの温度信号Sdta1,Sdta2は、例えば、図1のRAM9内の所定の記憶領域に一時的に記憶され、DTA測定プログラム17によって行われる演算においてデータとして利用される。
【0035】
次に、図1のサンプルチェンジャ3は、図2に示すように、複数の試料容器32が置かれる場所である試料待機部を構成するターンテーブル52と、試料容器32を搬送する搬送アーム53とを有する。測定対象である試料はその適量が試料容器32の中に収容される。ターンテーブル52にはテーブル回転装置54が付設される。このテーブル回転装置54はターンテーブル52をその中心軸線X0を中心として間欠的に回転させるための装置である。この間欠回転は、異なる試料容器32を順々に取出し位置P0へ運ぶための動作である。
【0036】
テーブル回転装置54は従来から周知の任意の回転駆動装置によって構成できるが、例えば、モータ等といった回転装置の回転を、ギヤ等といった動力伝達要素によってターンテーブル52へ伝達する構造を採用できる。この場合、ターンテーブル52の間欠的な回転を実現するために、動力源であるモータとしてステッピングモータやサーボモータを用いることが望ましい。また、ターンテーブル52の回転角度を測定するために、パルス発生器をターンテーブル52の回転軸に付設したり、あるいは、ターンテーブル52の回転軸の周りにフォトセンサを配置したりすることが望ましい。
【0037】
搬送アーム53は支軸56によって支持される。また、この支軸56にはアーム回転装置57及びアーム昇降装置58が付設される。アーム回転装置57は搬送アーム53を支軸56を中心として矢印Aのように回転させるための装置である。また、アーム昇降装置58は搬送アーム53を矢印Bのように昇降移動させるための装置である。
【0038】
図4は、支軸56及びその周りの構成を示している。同図において、支軸56は旋回/昇降装置59に含まれている。旋回/昇降装置59は、軸部材61によって機枠62に回転可能に支持されたケーシング63を有する。このケーシング63の内部には、DC(すなわち、直流)モータ64と、そのDCモータ64の出力軸に接続されたギヤ列66と、そのギヤ列66の出力軸に接続された送りネジ軸67と、その送りネジ軸67に嵌合するスライドベース68とが設けられる。支軸56は、このスライドベース68に固定されると共にケーシング63の上部を貫通する。
【0039】
ケーシング63の底部に固定された軸部材61は機枠62の内部においてステッピングモータ69の出力軸に接続されている。ステッピングモータ69が作動してその出力軸が回転すると、軸部材61が回転し、それに応じてケーシング63が回転する。このケーシング63の回転により、搬送アーム53は図2において待機部Pwと測定部Pmとの間を回り移動する。
【0040】
図4において、DCモータ64が作動してその出力軸が回転すると、その回転がギヤ列66内のギヤ列を介して送りネジ軸67に伝えられて、その送りネジ軸67が回転する。送りネジ軸67が回転すると、それに嵌合しているスライドベース68が送りネジ軸67の軸方向、すなわち図4の上下方向へ平行移動する。この平行移動の際、スライドベース68に固定された支軸56が上下方向へ平行移動し、これにより、支軸56に固定された搬送アーム53が上下移動、すなわち昇降移動する。
【0041】
搬送アーム53は、支軸56に固定された昇降ベース71と、その昇降ベース71上に固定されたリニア・ステッピング・アクチュエータ72と、そのリニア・ステッピング・アクチュエータ72の出力軸に接続された開閉機構73と、以上の各要素を覆うカバー74とを有する。リニア・ステッピング・アクチュエータ72は、その出力軸72aが矢印Cのように進退移動するように動作する作動機器である。このような構造は、例えば、回転機器の回転出力をネジ嵌合によって直線移動に変換することによって達成できる。
【0042】
開閉機構73の先端には、図4(a)に示すように、互いに対向する一対の開閉部材76が設けられる。開閉機構73は、リニア・ステッピング・アクチュエータ72の出力軸72aが矢印Cのように進退移動するときに、開閉部材76を矢印Eのように平行移動させるように機能する。この機能は公知の種々の機構によって達成できるので、その詳しい説明は省略する。
【0043】
一対の開閉部材76のそれぞれの先端には、支持部材77が固定されている。これらの支持部材77は、図4に示すように、下方へ延びている。そして、これらの支持部材77のそれぞれの下端に、把持部材としてのフィンガ78がネジ、その他の締結具によって取り付けられている。こうして、フィンガ78は支持部材77に対して着脱可能な構造となっている。
【0044】
詳しい図示は省略するが、支軸56やケーシング63の周囲の適所には、フィンガ78の高さ位置を検知するための位置センサや、搬送アーム53が図2の待機部Pwにあることを検知する位置センサや、搬送アーム53が測定部Pmにあることを検知する位置センサが設けられる。これらの位置センサは任意の構造のセンサによって構成できるが、例えば、マイクロスイッチ、フォトセンサ等によって構成できる。
【0045】
図2のアーム回転装置57は、図4のステッピングモータ69と、そのモータ69によって回転駆動されるケーシング63とを含む駆動系によって構成されている。また、図2のアーム昇降装置58は、図4のDCモータ64、ギヤ列66、送りネジ軸67、スライドベース68を含む駆動系によって構成されている。
【0046】
本発明の「重量測定手段」はTG−DTA測定装置2によって実現される。また、「試料搬送手段」はサンプルチェンジャ3によって実現される。また、「秤量演算手段」及び「校正演算手段」はCPU8及びハードディスク11を含むコンピュータによって実現される。
【0047】
以下、上記構成より成る熱分析装置の動作を説明する。この熱分析装置はTG測定機能、DTA測定機能、試料自動交換機能、及び校正機能を有するので、それらを個別に説明する。
【0048】
(TG測定機能)
TG測定を行う場合、図1のTG測定プログラム16がCPU8の制御に従って起動する。以下に説明するTG測定のための動作はこのTG測定プログラム16に従って実行される。TG測定を行う場合、図2において、トーションバンド27a,27bを支点として支持された天秤ビーム28a,28bは、そのトーションバンド27a,27bを中心として矢印F−F’方向に自由に回転して傾斜移動できる状態にセットされる。天秤ビーム28aの先端の感熱板31a上には標準試料33が載置される。また、天秤ビーム28bの先端の感熱板31b上には測定対象である試料を収容した試料容器32が載置される。TG測定を行う場合、電気炉29は図3に破線で示す測定位置に置かれ、これにより、試料Sを収容した試料容器32及び標準物質33を収容した試料容器32は共に電気炉29内に配置される。
【0049】
図3において、天秤ビーム28a,28bの後端に設けた光遮蔽板44は、光源46から受光素子47へ至る光路を遮っている。天秤ビーム28a,28bが水平位置、すなわち平衡位置から傾くと受光素子47の出力信号は基準信号から変化するので、この信号変化を検知することにより、天秤ビーム28a,28bの位置を検出できる。受光素子47の出力信号はPID調節器48及び電力増幅器49を通して電磁補償装置34のコイル39へ制御信号として加えられる。コイル電流iは検出用抵抗41によって電圧に変換され、その電圧はTG出力信号Stgとして出力される。
【0050】
電気炉29は所定の温度制御プログラムに従って温度変化し、それに応じて試料容器32内の試料S及び標準物質33の温度が変化する。この温度変化の際、標準物質33は熱的に安定な物質であるので通常は重量変化を生じないが、試料Sはその物性に応じて重量変化を生じる。試料Sに重量変化が生じると、天秤ビーム28bはD方向又はD’方向に振れる。この振れは受光素子47によって受光光量の変化として検出され、PID調節器48及び電力増幅器49は天秤ビーム28bの振れを元に戻すための電流をコイル39に流す。コイル39に電流が流れると磁石38に電磁力が発生し、この電磁力により磁石38が元の基準位置へ移動し、これにより、天秤ビーム28bの振れが補償される。
【0051】
標準物質33は温度変化に対して重量変化を生じない物質であるので、その標準物質33を支持した天秤ビーム28aは常に平衡状態を維持する。この標準物質33は試料Sと同じ環境に置かれるので、試料Sを支持する天秤ビーム28bに関して標準物質33を支持する天秤ビーム28aに対する挙動を測定すれば、試料Sの重量変化を正確に測定できる。
【0052】
天秤ビーム28bに対する上記の振れの補償動作の際、コイル39に供給された電流iは、天秤ビーム28bに作用した戻しモーメントに相当し、さらにその戻しモーメントは試料Sの重量の増減量に相当する。従って、電流iに対応するTG出力電圧Stgを測定することにより、試料Sの重量変化が測定、すなわち秤量される。具体的には、図1の検量線データファイル21に記憶されたデータであって図5に符号L0又は符号L1で示す検量線データに基づいて試料Sの重量変化がTG測定プログラム16に従った演算によって求められる。こうして求められた試料Sの重量変化は、例えば、図1の表示装置6の画面内に図6に示すTG曲線のように表示される。図6の表示例では、横軸に温度変化をとり、縦軸に重量変化をとったグラフの形でTG測定の結果が表示されている。
【0053】
本実施形態においてTG測定は、図2において試料を支持する方の天秤ビーム28bに関する機構を適時に校正しながら実行される。この校正処理については後で詳しく説明する。
【0054】
(DTA測定機能)
DTA測定を行う場合、図1のDTA測定プログラム17がCPU8の制御に従って起動する。DTA測定を行う場合、図2において、天秤ビーム28aの先端の感熱板31a上に標準物質33が載置される。また、天秤ビーム28bの先端の感熱板31b上に、測定対象である試料を収容した試料容器32が載置される。DTA測定を行う場合、電気炉29は図3に破線で示す測定位置に置かれ、これにより、試料Sを収容した試料容器32及び標準物質33を収容した試料容器32は共に電気炉29内に配置される。
【0055】
DTA測定プログラム17が起動すると、図3において、電気炉29は所定の温度制御プログラムに従って温度変化し、それに応じて試料容器32内の試料S及び標準物質33の温度が変化する。この温度変化の際、標準物質33の温度は温度検知素子51aによって検知されて温度信号Sdta1として図1のRAM9又はその他適宜のメモリ内へ記憶される。また、試料Sの温度は温度検知素子51bによって検知されて温度信号Sdta2として図1のRAM9又はその他適宜のメモリ内へ記憶される。
【0056】
上記の温度変化の際、標準物質33は熱的に安定な物質であるので通常は温度変化を生じないが、試料Sはその物性に応じて温度変化を生じる。例えば、融解、蒸発等といった物性変化に応じて温度変化を生じる。DTA測定プログラム17は、温度が変化する際の標準物質33と試料Sとの温度差を求める。そして、必要に応じてその結果を図1の表示装置6の画面内に図6に示すDTA曲線のように表示する。図6の表示例では、横軸に温度変化をとり、縦軸に温度差をとったグラフの形でDTA測定の結果が表示されている。図6に示すように、TG曲線とDTA曲線とを1つの画面上に同時に表示すれば、試料の特性を正確且つ迅速に分析できる。
【0057】
(試料自動交換機能)
1つの試料に対してTG−DTA測定が終了すると、次いで、異なる試料に関してTG−DTA測定が行われる。この場合には、図2の感熱板31b上の試料を交換する必要がある。本実施形態ではその交換を自動的且つ連続して行うことができるようにしてある。このような試料の交換作業は、図1のサンプルチェンジ制御回路5へ試料交換信号が送られることによって実行される。
【0058】
試料交換信号を受け取ったサンプルチェンジ制御回路5は、まず、図2の搬送アーム53をホームポジションに置く。このホームポジションは必要に応じて適宜の位置に設定できるが、本実施形態では、図2の待機部Pwをホームポジションとして設定する。この処理は、アーム回転装置57及びアーム昇降装置58を適宜に作動させることによって行われる。なお、搬送アーム53が既にホームポジションにあるときには、搬送アーム53をホームポジションへ移動させる操作は行われない。
【0059】
搬送アーム53がホームポジションに置かれると、図2のTG−DTA装置2内の感熱板31bの上に試料容器32があるか否かがチェックされる。これは、図3の電磁補償装置34を流れる電流をチェックしたり、あるいは、専用のセンサを感熱板31bの近傍に設けることによって実行できる。感熱板31b上に容器32があれば、その容器32を回収するための処理を行う。一方、感熱板31b上に容器32が無ければ、次の試料容器32を図2のターンテーブル52から取り出す処理を行う。
【0060】
容器32をターンテーブル52から取り出す場合は、搬送アーム53を降下させてフィンガ78の先端部を容器32の側方まで降ろす。次に、フィンガ78を矢印C方向に閉移動させて容器32をその両側から把持する。次に、搬送アーム53を上昇させて容器32をターンテーブル52から持ち上げる。次に、搬送アーム53を待機部Pwから測定部Pmまで旋回させて、フィンガ78によって把持する容器32を感熱板31bの上方位置にセットする。
【0061】
次に、搬送アーム53が降下してフィンガ78の先端が感熱板31bの近くまで降ろされる。このとき、フィンガ78によって把持される容器32は感熱板31bには接触しないが、その近傍位置まで降ろされる。容器32が感熱板31bの近傍位置にセットされると、フィンガ78が矢印C方向へ開移動して容器32がフィンガ78から落下し、これにより、容器32が感熱板31b上に載せられる。
【0062】
その後、搬送アーム53が上昇して所定の高さ位置で停止し、さらに測定部Pmから待機部Pwまで矢印Aのように旋回し、待機部Pwすなわちホームポジションへセットされる。以上により、新しい試料が感熱板31bに載置され、その後、その試料に対して上述したTG測定及びDTA測定が実行される。
【0063】
新しい試料に対して測定を行う際、感熱板31b上に古い容器があると判定されたときには、新しい試料を感熱板31b上に載置するのに先立って、感熱板31b上にある古い容器を回収しなければならない。その際には、まず、感熱板31b上にある容器32を回収するためにフィンガ78をホームポジションから容器32のところまで搬送し、それらのフィンガ78によって容器32を把持する。そして、感熱板31b上の容器32を把持したフィンガ78を感熱板31bの上方の所定の高さ位置まで持ち上げる。そして、そのように持ち上げられたフィンガ78を搬送アーム53によって測定部Pmから待機部Pwまで矢印Aのように搬送し、さらに、フィンガ78を降下させて容器32をターンテーブル52上に戻す。これにより、試料容器32がターンテーブル52上に回収される。
【0064】
(校正処理機能)
本実施形態のTG−DTA装置2を長期間使用すると、同じ試料を測定した場合でも測定結果に差異が生じることがある。つまり、TG−DTA装置2に経時変化が発生することがある。この経時変化は、TG−DTA装置2を構成する複数の構成要素の特性が経時変化することによって発生すると考えられる。例えば、トーションバンド27a,27b、電磁補償装置34、振れ検知装置36等の特性が経時変化すれば、秤量結果に差異が生じることが考えられる。このような経時変化を放置すれば、信頼性の高い測定を行うことができなくなる。
【0065】
本実施形態の熱分析装置は、そのような経時変化が発生した場合でも正確な測定、例えば正確な秤量を行うことができるように、TG−DTA装置2に関して校正処理を行うことができるようになっている。特に本実施形態では、重量が既知である分銅を用いて図1のCPU8によって図7のフローチャートで示すように校正処理を自動的に行うことにしている。
【0066】
校正処理を行う場合、オペレータは、図2のターンテーブル52の所定位置に校正用の分銅81を置き、その他の所定位置に測定用の試料を収容した容器32を置く。本実施形態では、ターンテーブル52の周縁に近い部分にNo.1〜No.24の24個の試料載置位置を等間隔に設定するものとする。そして、No.1の符号が付された位置に分銅81を置き、No.2〜No.24が付されたそれ以外の位置に試料を収容した容器32を置くものとする。
【0067】
次に、オペレータは、図1の入力装置4内の校正ボタンを操作して、CPU8に校正を行うべき旨を指示する。CPU8は図7のステップS1において校正ボタンが操作されたかどうかを判定し、操作されたと判定した場合には(ステップS1でYES)、図1の校正プログラム18を起動して、図7の校正/測定ステップS2へ進む。ステップS1で校正ボタンが操作されていないと判定した場合には(ステップS1でNO)、図1の入力装置4内の校正せずボタンが操作されたか否かを判定する。校正せずボタンとは、オペレータが校正処理を行うことなくTG−DTA測定を行いたい場合に操作するボタンである。オペレータによって校正せずボタンが操作された場合には(ステップS3でYES)、ステップS4へ進んで校正処理を行うことなく、以上に説明したTG測定及びDTA測定が実行される。
【0068】
ステップS2の校正/測定ルーチンに入ると、図8のステップS11において、図1の表示装置6の画面内に図9(a)に示すような入力画面82Aが表示される。この入力画面82Aにおいて、左端の「試料No」の列欄は、図2のターンテーブル52上でNo.1〜No.24の番号を付した試料載置位置を示している。No.1の行欄には予め「重量校正プログラム」の表示が成されている。これは、No.1の試料載置位置に置かれた物に関しては重量校正処理を実行することをオペレータに知らせるための表示である。つまり、本実施形態では、オペレータがNo.1の試料載置位置に分銅を置けば、その分銅を用いて校正処理が自動的に行われるということである。
【0069】
図9(a)において、「交換温度」の列欄は、図2の電気炉29によって加熱された試料の温度が何度まで下がったときに試料を交換して良いか、を指示するための欄である。また、「条件ファイル」の列欄は、試料に対して行われる測定の条件を指示するための欄である。試料に対して行われる測定の条件とは、例えば、試料名、試料重量、使用容器の種類等といった条件のことであり、この条件は、例えば、図1のハードディスク11内の適宜の記憶領域にファイルとして記憶されている。また、図9(a)の「温度プログラム」の列欄は、図2の電気炉29によって温度をどのように変化させるかを指示するための欄である。この温度制御条件も、例えば、図1のハードディスク11内の適宜の記憶領域にファイルとして記憶されている。
【0070】
図9(a)の入力画面82Aが表示される前又はその表示がされた後、オペレータは、図2のターンテーブル52上のNO.1の位置に校正用の分銅81を置き、さらに、NO.2〜NO.24の各位置に測定対象である各種の試料を収容した容器32を置く。分銅81の重量は既知であり、例えば、100mgであるとする。次に、オペレータは、図9(a)に示す入力画面82A内のNO.2〜NO.24の各試料に関して希望する条件を、図1の入力装置4を介して対応する空欄内に入力する。図9(b)はNo.2〜No.24の各試料に対して条件が入力された後の表示状態を示している。例えば、No.2の試料を見れば、交換温度として「30℃」が設定され、条件ファイルとして「条件1」が設定され、温度プログラムとして「温度1」が指示されている。「条件1」、「温度1」、……等は図1のハードディスク11内に記憶されているファイルのファイル名を示している。
【0071】
図9(b)のように全ての試料に対して条件が設定されると図8のステップS12でYESと判定され、ステップS13において試料の交換操作が実行される。具体的には、図2の感熱板31b上に古い容器が残されている場合には、その容器を回収して分銅81を感熱板31b上に載置する。一方、感熱板31b上に古い容器が残されていない場合には、分銅81を直ぐに感熱板31b上に載置する。分銅81が感熱板31b上に載置されると、ステップS14において校正ルーチンが実行される。
【0072】
校正ルーチンS14では、まず、図10のステップS21において、分銅の重さが秤量され、図1の表示装置6にその秤量結果が数値によって表示される。この秤量結果は、表示装置6に代えて、図2のTG−DTA装置2の近傍に設置した専用の表示装置(図示せず)に表示しても良い。また、図1のCPU8は、秤量した重量と実際の分銅の重量との差(すなわち、重量誤差)を校正プログラム18に従って演算し、さらにその重量差についての実際の分銅重量に対する比(すなわち、誤差比)を校正プログラム18に従って演算し、さらにその誤差比が10%以内に入るか否かを判定する。ここで誤差比の判定基準を10%以内としているのは一例であり、この判定基準の値は装置の種類に応じて適正な値に設定される。
【0073】
判定の結果、誤差比が10%以上であると判定された場合は(ステップS21でNO)、ステップS23においてエラー表示を行う。例えば、図1の表示装置6の画面内に適宜のエラー表示を行ったり、専用の警告灯(図示せず)を点灯してエラー表示を行う。このエラー表示は、誤差の範囲が校正の範囲を超えているので、TG−DTA装置2等を根本的に修理する必要があることを表示するものである。
【0074】
ステップS21で誤差比が10%以内であると判定されると(ステップS21でYES)、ステップS22で図2のTG−DTA装置2内の天秤ビーム28bに対して校正処理が実行される。このとき、図1の表示装置6又は専用の表示装置(図示せず)に校正処理が実施中であることを表示する。例えば、「CALB」の文字を表示する。具体的な校正処理は必要に応じて適宜の手法を採用できるが、本実施形態では、次の方法を採用するものとする。
【0075】
例えば図5に示した検量線データにおいて検量線L0をデフォルト(すなわち、初期値)のデータとし、このデフォルトデータL0を用いて測定を行ったところ、図10のステップS21で10%以内の誤差が検知され、さらにステップS22で校正処理が開始されたものとする。例えば、図5において、「i100」の補償電流が流れ検量線L0によって99mgが秤量されたものとする。実際の分銅の重量は100mgであるので、この秤量では1mgの誤差が生じていることになる。
【0076】
校正処理が開始されると、図1のCPU8は校正プログラム18に従って検量線データを図5のデータL0から種々に変更して秤量を行う。そして、秤量の結果が実際の分銅重量である100mgを表示する検量線L1を探し出し、この検量線L1を使用する検量線として決定する。これにより、TG−DTA装置2が校正されたことになる。こうして校正が終了すると、その校正された重量である100mgがステップS24において適宜の表示装置上に表示される。
【0077】
以上のようにして校正処理が完了すると、図8のステップS15においてサンプル交換が実行され、図2の感熱板31bから分銅81がターンテーブル52へ回収され、それに代えてターンテーブル52上のNO.2の試料容器32が感熱板31b上に載置される。そして、ステップS16においてTG測定及びDTA測定が実行される。このときの測定は、オペレータが図9(b)で指示した条件に従って行われる。このTG測定及びDTA測定は、ターンテーブル52上のNO.2〜NO.24の全ての試料容器32に対して順々に繰り返して行われる(ステップS15〜S17)。全ての試料に対しての測定が終了すると、図1のRAM9内に一時的に記憶されていた測定データがステップS18においてハードディスク11内の測定データファイル22内に転送されてそこに記憶される。
【0078】
こうして記憶された測定データは、校正処理を行った上での測定データであるので、複数の試料に関して適切に校正が行われた後の信頼性の高いデータである。また、本実施形態によれば、1つのターンテーブル52に載置された試料に関して測定を行うのに先立って必ず校正処理が行われるので、数日に1回や、数ヶ月に1回の程度で校正が行われる場合や、全ての試料の測定終了後に校正が行われる場合に比べて、信頼性の高い正確な測定データを得ることができる。しかも、校正処理はプログラムソフトに従って自動的に行われるので、オペレータにとって作業が簡単である。
【0079】
以上のように本実施形態では図7のステップS1〜S2を実行することにより、校正処理を行った上でTG測定及びDTA測定を行うことができる。しかしながら、熱分析の分野では、場合によって、校正処理を行わないデフォルト状態における測定結果を知りたいときがある。このような場合を想定して、本実施形態では、図1の入力装置4内にクリアボタンを設けている。
【0080】
オペレータがこのクリアボタンを操作した場合には、図7のステップS5においてYESと判定されて制御はステップS6へ進み、図1のCPU8は図5の検量線L1を初期値の検量線L0へ戻した上で測定結果の演算を行う。この演算処理を行う間、CPU8は表示装置6の画面内にデフォルト状態での測定結果を演算中である旨の表示、例えば「CLEAR」の表示を行う。演算の終了後は、ステップS7において、デフォルトの検量線L0を基準とした校正無しの重量を表示する。
【0081】
図7のステップS1〜S2で行われる測定、すなわち校正を伴う測定においては、上述の通りに図9(a)に示した入力画面82A、すなわちNo.1の試料位置に置かれた物に対して自動的に校正処理を実行するための入力画面が用いられる。これに対し、図7のステップS1、S3、S4で行われる校正を伴わない測定においては、図9(a)の入力画面82Aに代えて、No.1の試料位置に関しても条件設定ができるようにすれば良い。
【0082】
(校正処理機能の第1変形例)
図11は、図7のステップS2で行われる校正/測定ステップの変形例を示している。先の実施形態では、図8及び図9に示したように、No.1の試料位置に対応して自動的に校正処理を実行するようにした。これに対し、本実施形態では、図2のターンテーブル52上のNo.1〜No.24の24個の試料位置における任意の位置を校正処理を行うための位置として設定できるようになっている。
【0083】
詳しく説明すれば、図7のステップS1で校正処理が指示されていると判定されると(ステップS1でYES)、ステップS2の校正/測定ルーチンに入る。すると、図11のステップS31において図12(a)の入力画面82Bが表示される。図9(a)の入力画面82Aでは常に試料No.1に対して校正処理が行われることになっていたが、図12(a)の入力画面82Bでは全ての欄が空欄であって、校正処理が行われる「試料No」は特定されていない。
【0084】
本実施形態では、オペレータは、入力画面82Bの中の任意の「試料No」を選択して、その「試料No」に対して校正処理を行うことを指定できる。選択する「試料No」は1つでも良いし、複数でも良い。図12(b)はオペレータが入力操作を行った後の画面表示の一例を示している。この入力例では、試料No.8及び試料No.16の2つの試料位置に対して校正処理を実行することが指示されている。
【0085】
オペレータによる入力操作が終了すると図11のステップS32でYESと判定される。そして、ステップS33で図2のターンテーブル52上の「試料No」のいずれについて校正処理が指示されているかを判定し、校正処理が指示されている試料位置(ステップS33でYES)については、ステップS34〜S35で校正処理を実行し、校正処理が指示されていない試料位置(ステップS33でNO)については、ステップS36〜S37でTG測定及びDTA測定を行う。本実施形態によれば、オペレータが希望する試料位置で校正処理を行うことができるので、非常に便利である。
【0086】
(校正処理機能の第2変形例)
図13は、図7のステップS2で行われる校正/測定ステップの他の変形例を示している。図8及び図9に示した実施形態では、No.1の試料位置に対応して自動的に校正処理を実行するようにした。これに対し、本実施形態では、図2のターンテーブル52上のNo.1〜No.24の24個の試料位置に対して1つおきに校正処理を行うようになっている。つまり、複数の試料の1つずつに対して校正処理を行った後に測定を行うようになっている。
【0087】
詳しく説明すれば、図7のステップS1で校正処理が指示されていると判定されると(ステップS1でYES)、ステップS2の校正/測定ルーチンに入る。すると、図13のステップS41において図14(a)の入力画面82Cが表示される。図9(a)の入力画面82Aでは常に試料No.1に対して校正処理が行われることになっていたが、図14(a)の入力画面82Cでは24個の「試料No」のうちNo.1から1個ずつ、すなわちNo.1、No.3、No.5、……、No.21、No.23の奇数番の試料位置に対して校正処理を行うことが、予め、プログラムによって設定されている。そして、その他の「試料No」に対する行欄は空欄となっていてオペレータによる入力が可能となっている。
【0088】
本実施形態では、オペレータは、入力画面82Cの中の空欄になっている「試料No」を選択して、その「試料No」に対して希望する測定条件を入力する。図14(b)はオペレータがそのように入力操作を行った後の画面表示の一例を示している。
【0089】
オペレータによる入力操作が終了すると図13のステップS42でYESと判定される。そして、ステップS43で図2のターンテーブル52上の「試料No」のいずれについて校正処理が指示されているかを判定し、校正処理が指示されている試料位置(ステップS43でYES)については、ステップS44〜S45で校正処理を実行し、校正処理が指示されていない試料位置(ステップS43でNO)については、ステップS46〜S47でTG測定及びDTA測定を行う。
【0090】
本実施形態によれば、個々の試料に対して校正処理を実行してからTG測定等を行うので、全ての試料に対して信頼性の高い正確な測定を行うことができる。また、近年では、分析によって得られたデータを検査する際に監査証跡を正確に確認したいという要求が高まっている。この監査証跡とは、複数のデータファイルを監督して検査する際にその検査の証拠となる痕跡のことである。このような監査証跡を行うに際して、本実施形態のように、1つ1つの試料に関して校正処理が行われ、さらにその校正処理のデータが残されていれば、非常に好都合である。
【0091】
(校正処理機能の第3変形例)
図15は、図7のステップS2で行われる校正/測定ステップのさらに他の変形例を示している。図9及び図14に示した実施形態では、プログラムによって予め決められた「試料No」に対して校正処理を行うようにした。また、図12に示した実施形態では、オペレータの画面を用いた入力操作によって選択された「試料No」に対応して校正処理を行うようにした。これに対し、本実施形態では、図2のターンテーブル52上のNo.1〜No.24の24個の試料位置の中で分銅が置かれた試料位置に対して校正処理が自動的に行われるようになっている。つまり、オペレータは表示画面に対して入力操作を行うことなく、ターンテーブル52上の希望する試料位置に分銅を置くだけで希望する試料に対して校正処理を行うことができる。
【0092】
本実施形態では、図2において、ターンテーブル52上のNo.1〜No.24の試料位置のいずれに分銅が載せられているのかを検知する分銅検知装置を設ける必要がある。この分銅検知装置は従来から周知である任意の構造の検知装置を利用することができるが、例えば、ターンテーブル52の取出し位置P0の近傍やフィンガ78の先端に光センサを設けた上で、分銅は検知するが試料容器は検知しないマークを分銅に設けるという構成等を採用できる。
【0093】
本実施形態では、図7のステップS1で校正処理が指示されていると判定されると(ステップS1でYES)、ステップS2の校正/測定ルーチンに入る。すると、図15のステップS51において図16(a)の入力画面82Dが表示される。この入力画面82Dでは、全ての「試料No」に対する行欄が空欄となっていてオペレータによる入力が可能となっている。オペレータは、図2のターンテーブル52上に載せる順番で、図16(a)の入力画面82Dの空欄に希望する測定条件を入力する。図16(b)はオペレータがそのように入力操作を行った後の画面表示の一例を示している。
【0094】
なお、本実施形態では、図2のターンテーブル52上の試料位置のいくつかにはオペレータによって分銅が載置され、しかし、図16(b)の入力画面82Dには校正処理の指示を行わないので、オペレータの入力操作が行われた時点では、ターンテーブル上の「試料No」と入力画面82D上の「試料No」とは正確に対応してはいない。
【0095】
今、仮に、オペレータが図2のターンテーブル52のNo.1〜No.24の試料位置に順々に試料容器を置いてゆく過程で、No.1及びNo.10の試料位置に校正用の分銅を載せたとする。つまり、No.2の試料及びNo.11の試料に対して校正処理を行うように設定したとする。すると、オペレータによる入力操作の直後は図16(b)に示すように入力画面82D上に校正処理の表示は成されないが、No.1及びNo.10の試料位置に対応して校正処理が実行されると、図16(c)に示すように、校正処理が行われた試料位置であるNo.1及びNo.10に関して校正処理の表示が割り込み状態で表示される。
【0096】
本実施形態においては、図16(b)のようにオペレータによる入力操作が終了すると、図15のステップS52でYESと判定される。そして、ステップS53で図2のターンテーブル52上の個々の「試料No」に分銅が載せられているか否かが判定される。分銅が載っていると判定されれば(ステップS53でYES)、校正処理が指示されているものと判定して、ステップS54〜S55で校正処理を実行する。一方、分銅が載っていないと判定、すなわち、試料を収容した容器が載っていると判定されれば(ステップS53でNO)、ステップS56〜S57でTG測定及びDTA測定を行う。
【0097】
本実施形態によれば、オペレータが図2のターンテーブル52上の所望の試料位置に分銅を載せるだけという簡単な操作だけで校正処理の指示を行うことができるので、校正処理のための操作が非常に簡単になる。
【0098】
(校正処理機能の第4変形例)
図5及び図10を用いて説明した実施形態では、100mgの1種類の分銅を校正用分銅として用いたが、校正用分銅は複数種類とすることができる。例えば、図5において1mg,50mg,100mgの3種類を自動認識するものとし、それら3種類の重量の校正用分銅を用意すれば、それら3種類の重量を基準として校正を行うことができる。
【0099】
一般に、校正は、測定重量に近い重量の分銅を用いて行う場合の方が、測定重量からかけ離れた重量の分銅を用いる場合に比べて、誤差は小さくなる。従って、重量の異なる校正用分銅を複数種類用意しておいて、測定重量に応じてそれらのうちから適切な1つを選択して校正を行うようにすることが望ましい。
【0100】
なお、図10に示したように誤差比の判定基準を±10%以内とする場合には、分銅の重量として例えば95mgと100mgの2種類を選定すると、それら2種類の分銅の重量差が小さ過ぎてどの分銅を用いるべきかの判断が不可能となる。従って、分銅を複数種類用意する場合には、誤差比の判定基準の値との関係で十分に重量差があるものを選定することが望ましい。
【0101】
複数種類の分銅を用いた測定の具体例として、図2のターンテーブル52上のNo.1試料載置位置に100mg分銅を置き、No.2〜No.5試料載置位置に100mg近傍の試料を置き、No.6試料載置位置に50mg分銅を置き、No.7〜No.10試料載置位置に50mg近傍の試料を置き、No.11試料載置位置に1mg分銅を置き、No.12〜No.15試料載置位置に1mg近傍の試料を置くことにすれば、3種類に分類した測定重量のそれぞれに対応して適切な校正値を選択できる。
【0102】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載した発明の範囲内で種々に改変を行うことができる。例えば、上記実施形態では、天秤ビームを2本用いてDTA測定を行う場合を例示したが、天秤ビームを1本だけ用いてTG測定だけを行う場合も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る熱分析装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る熱分析装置の機械的な構成の主要部を示す斜視図である。
【図3】図2の要部である天秤機構を示す図である。
【図4】図2の要部であるアームの駆動機構を示す断面図である。
【図5】校正処理を具体的に説明するためのグラフである。
【図6】測定結果の一例であるTG−DTA曲線を示すグラフである。
【図7】図1のCPUによって実行される演算及び制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートの要部である校正/測定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】図8の制御時に画面表示される入力画面を示す図である。
【図10】図8のフローチャートの要部である校正ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図11】図7のフローチャートの要部である校正/測定ルーチンの他の一例を示すフローチャートである。
【図12】図11の制御時に画面表示される入力画面を示す図である。
【図13】図7のフローチャートの要部である校正/測定ルーチンのさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図14】図13の制御時に画面表示される入力画面を示す図である。
【図15】図7のフローチャートの要部である校正/測定ルーチンのさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図16】図15の制御時に画面表示される入力画面を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1.熱分析装置、 2.TG−DTA装置(重量測定手段)、
3.サンプルチェンジャ(試料搬送手段)、 4.入力装置、
5.サンプルチェンジ制御回路、 6.画像表示装置、 7.プリンタ、
11.ハードディスク、 12.バス、 26a,26b.天秤ユニット、
27a,27b.トーションバンド、 28a,28b.天秤ビーム、 29.電気炉、
31a,31b.感熱板、 32.試料容器、 33.標準物質、
34.電磁補償装置、 36.振れ検知装置、 37.炉移動装置、 38.永久磁石、
39.コイル、 41.電圧検出用抵抗、 44.光遮蔽板、 46.光源、
47.受光素子、 48.PID調節器、 49.電力増幅器、
51a,51b.温度検知素子、 52.ターンテーブル、 53.搬送アーム、
56.支軸、 59.旋回/昇降装置、 61.軸部材、 62.機枠、
63.ケーシング、 64.モータ、 66.ギヤ列、 67.送りネジ軸、
68.スライドベース、 69.ステッピングモータ、 71.昇降ベース、
72.リニア・ステッピング・アクチュエータ、 73.開閉機構、 74.カバー、
76.開閉部材、 77.支持部材、 78.フィンガ、 81.分銅、
82A,82B,82C,82D.入力画面、 L0,L1.検量線、
P0.取出し位置、Pw.待機部、 Pm:測定部、 R.空間、 S.試料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料測定位置に置かれた試料に対して重量測定を行う重量測定手段と、
複数の試料が置かれた試料待機部と前記試料測定位置との間で試料を搬送する試料搬送手段と、
前記複数の試料を前記試料搬送手段によって前記試料測定位置へ交互に搬送しながら、前記試料測定位置に置かれた試料に関して前記重量測定手段によって重量測定を行う機能を実現する秤量演算手段と、
前記秤量演算手段を調整することによって前記重量測定手段を校正する機能を実現する校正演算手段とを有し、
前記校正演算手段は、前記複数の試料に対して前記秤量演算手段によって順次に測定が行われる際のそれらの個々の測定の少なくとも1つに先立って前記校正を実現する
ことを特徴とする熱分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の熱分析装置において、前記校正演算手段は、重量が既知である分銅を前記試料測定位置に置いた状態で前記重量測定手段によって重量測定を行ったときにその測定の結果が前記既知の重量となるように前記秤量演算手段による演算を調整することによって前記校正を行うことを特徴とする熱分析装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の熱分析装置において、
前記重量測定手段は、
天秤ビームを備えた天秤機構と、
該天秤機構の試料測定位置に試料を載せたときの前記天秤ビームの振れを検知して信号を出力する振れ検知手段と、
供給された電力に応じて力を発生する力発生手段と、
前記振れ検知手段の出力信号に基づいて前記力発生手段へ電力を供給する電力制御手段とを有し、
前記重量測定は、前記電力制御手段によって前記力発生手段へ供給された電力と、所定の基準検量線データとを比較して前記試料の重量を求めることであり、
前記校正演算手段は、前記基準検量線データを調整することによって校正を実現する
ことを特徴とする熱分析装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の熱分析装置において、前記校正演算手段によって実現される校正のタイミングは予め決められていることを特徴とする熱分析装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の熱分析装置において、
情報を入力するための入力手段をさらに有し、
前記校正演算手段によって実現される校正のタイミングは前記入力手段に入力された情報に基づいて決められる
ことを特徴とする熱分析装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の熱分析装置において、前記校正のタイミングは、前記複数の試料について重量測定が行われる際の個々の重量測定の前であることを特徴とする熱分析装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の熱分析装置において、
前記試料待機部に分銅が置かれたときにその分銅を検知する分銅検知手段をさらに有し、
前記校正演算手段は前記分銅検知手段によって分銅が検知されたときに前記校正を行う
ことを特徴とする熱分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−17370(P2007−17370A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201342(P2005−201342)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】