説明

熱分解法により製造された二酸化ケイ素、その製法、その使用、および該二酸化ケイ素を含有する水性分散液

【課題】液体媒体中に迅速に混和する二酸化ケイ素粉末の提供。
【解決手段】BET表面積90±15m/gを有する一次粒子の凝集体の形の、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末であって、凝集体が、平均表面積10000〜20000nm、平均相当円周直径90〜130nmおよび平均円周1000〜1400nmを有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末。
SiClおよびHSiCl、HSiCl、HSiCl、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、(n−C)SiClからなる群から選択された第2の成分を一次空気および燃焼ガスと混合し、反応室の中に燃焼させ、この際燃焼室中に更に二次空気を供給し、かつ供給物質を断熱火炎温度Tadが1810〜1890℃になるように選択する。
該熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末を含有する分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末、その製法およびその使用に関する。更に、本発明はこの熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末を含有する分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化ケイ素を製造するための火炎加水分解はすでに長期間にわたって公知であり、産業的スケールで実施されている。この方法においては、蒸発したまたはガス状の加水分解可能なハロゲン化ケイ素を、水形成性の水素含有燃料および酸素含有ガスの燃焼により形成されている火炎と混合する。この際、この燃焼火炎はハロゲン化ケイ素の加水分解のための水および加水分解反応のために十分な熱を供給する。反応の残留ガス中に搬送されている二酸化ケイ素粉末は、通常の冷却法および固体分離法に供給される。通常、四塩化ケイ素が使用される。しかしながらジクロロシランまたはトリクロロシランが使用されることも公知である。炭素含有供給物質、例えばメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシランを使用する場合には、更に炭素原子の二酸化炭素への変換のための酸化工程が実施される。
【0003】
その結果、両方の反応タイプ、すなわち火炎加水分解および酸化が進行する方法で形成される二酸化ケイ素粉末を、熱分解法により製造された二酸化ケイ素と呼ぶ。
【0004】
反応の際に、最初に高分散性、非多孔質の一次粒子が生じ、これは更に反応の進行に伴って成長して凝集体になり、更に、これは集まって凝集塊になる。この一次粒子のBET−表面積は一般に5〜600m/gである。この粉末はその表面上に遊離ヒドロキシ基を有する。
【0005】
このように製造された二酸化ケイ素粉末は多くの適用分野において使用される。表面を化学的−機械的に研磨するための水性分散液中の研磨材としての使用が特に重要である。その際の重要な費用のファクターとしては、液体媒体中に混和させるために必要な時間である。公知技術による二酸化ケイ素粉末に関して、これが同じ反応タイプにより製造され、かつ通常特徴付けのために記載される、例えばBET−表面積のようなパラメータが同一または類似であるにもかかわらず、液体媒体中に非常に長い混和時間を必要とすることが示された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は液体媒体中に迅速に混和する二酸化ケイ素粉末を製造することである。
【0007】
更に、本発明の課題はこの粉末を製造するための方法を提供することである。
【0008】
更に、本発明の課題はこの粉末の分散液を製造することである。これは、特に化学的−機械的研磨の際に、研磨する表面上に引掻傷を最少にするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、一次粒子の凝集体の形の、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末であり、この粉末が
− BET表面積90±15m/gを有し、かつ凝集体が、
− 平均表面積10000〜20000nm
− 平均相当円周直径(ECD=Equivalent Circle Diameter)90〜130nmおよび
− 平均円周1000〜1400nmを有する、
熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末である。
【0010】
この際、BET−表面積はDIN66131により測定する。
【0011】
凝集体の大きさは、日立社のTEM装置H7500およびSIS社のCCD−カメラMegaViewIIを用いる画像分析により測定する。評価のための画像拡大は、ピクセル密度3.2nmで30000:1である。評価した粒子の数は1000より大である。調製はASTM3849−89により行った。検出に関する最小閾値は50ピクサスである。
【0012】
BET−表面積は有利に90±10m/gであり、特に有利に90±5m/gである。
【0013】
本発明による熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末は、その凝集体が、
− 平均表面積12000〜18000nm
− 平均相当円周直径(ECD)100〜125nmおよび
− 平均円周1100〜1300nmを有する
際に、有利である。
【0014】
更に、本発明による熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末において、最大凝集体直径が200〜250nmであり、最小凝集体直径が100〜155nmである場合が有利である。
【0015】
更に、本発明による熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末において、クロリド含量が250ppm未満であるのが有利である。クロリド含量が50ppm未満であるのが特に有利である。
【0016】
更に、本発明による熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末において、炭素含量が100ppmより少ないのが有利である。炭素含量が25ppmより少ないのが特に有利である。
【0017】
本発明の更なる対象は、本発明による二酸化ケイ素粉末の製法であり、その際、
− ケイ素化合物の混合物、これは
− 第1の成分として、SiClを混合物に対して60〜95質量%、および
− HSiCl、HSiCl、HSiCl、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、(n−C)SiClからなる群から選択された第2の成分を混合物に対して5〜40質量%を含有する、を別々にまたは一緒に、蒸発させ、この蒸気をキャリヤーガスにより混合室中に移送し、
− これとは別に燃焼ガスおよび一次空気、これは場合により酸素富化されていてもかつ/または前加熱されていてもよい、を混合室中に導入し、
− 塩化ケイ素の蒸気、燃焼ガスおよび一次空気からなる混合物をバーナー中で点火し、この火炎を反応室の中に燃焼させ、
− この火炎の周囲を囲む二次空気を反応室中に供給し、この際一次空気に対する二次空気の比は0.1〜3、有利に0.25〜2であり、
− 次いで、固体をガス状物質から分離し、次いで固体を水蒸気処理し、
その際、
− 酸素の総量は少なくとも燃焼ガスおよびケイ素化合物の完全な燃焼のために十分であり、かつ
− ケイ素化合物、燃焼ガス、一次空気および二次空気からなる供給物質の量は、断熱火炎温度Tadが1800〜1880℃になるように選択し、その際
ad=供給物質の温度+部分反応の反応エンタルピーの合計/二酸化ケイ素、水、塩化水素、二酸化炭素、酸素、窒素および、キャリヤーガスが空気または窒素でない場合には、場合によりキャリヤーガスを包含する反応室から排出される物質の熱容量であり、この際これらの物質の1000℃での比熱容量をベースとしている。
【0018】
比熱容量は、例えばVDI-Waermeatlas(第7.1〜7.3および3.7章、第8改訂版)により知ることができる。
【0019】
酸素および燃焼ガスの存在で、ケイ素化合物の変換は、二酸化ケイ素、水、塩酸および炭素含有ケイ素化合物および/または炭素含有燃焼ガスにおいては二酸化炭素を生じる。この反応の反応エンタルピーは当業者に公知の標準的方法により計算可能である。
【0020】
表1中には、水素および酸素の存在でケイ素化合物の変換の反応エンタルピーの幾つかの調べた値が記載されている。
【0021】
メチルトリクロロシラン(MTCS、CHSiCl)、トリクロロシラン(TCS、SiHCl)および/またはジクロロシラン(DCS、SiHCl)を使用するのが特に有利である。
【0022】
【表1】

【0023】
燃焼ガスとしては水素、メタン、エタン、プロパンおよび/または天然ガスが好適であり、その際水素が有利である。
【0024】
供給物質の温度は、最も高い沸点を有するケイ素化合物の沸点を上回っている限りにおいては制限がない。供給物質の温度が90±40℃であるのが有利であることが示された。
【0025】
更に、反応混合物の混合室から反応室への流出速度が10〜80m/秒である場合が有利である。
【0026】
本発明の更なる対象は、本発明により熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末の、ゴム、シリコンゴムおよびプラスチック中の充填剤としての、塗料およびコーティング中のレオロジーを調整するための、触媒のための支持体としての使用である。
【0027】
更なる本発明の対象は、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末を含有する分散液である。液相は水、有機溶剤または水および有機溶剤からの均質な混合物からなっていてよく、この際、水性分散液が、例えば化学的−機械的研磨において、有利である。
【0028】
本発明による分散液は、二酸化ケイ素の含量が5〜60質量%であるのが有利である。 本発明による分散液は、pH値が3〜12の範囲にあるのが有利である。3〜5の範囲および8〜11の範囲であるのが特に有利である。
【0029】
本発明による分散液は塩基または酸の添加により安定化することができる。
【0030】
塩基としてはアンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、一級、二級または三級有機アミン、水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液を使用することができる。
【0031】
酸としては、無機酸、有機酸または無機酸および有機酸の混合物を使用することができる。
【0032】
無機酸としては、特にリン酸、亜リン酸、硝酸、硫酸、これらの混合物、およびその酸性に反応する塩を使用することができる。
【0033】
有機酸としては、有利に一般式C2n+1COH(n=0〜6またはn=8、10、12、14、16)のカルボン酸、または一般式HOC(CHCOH(n=0〜4)のジカルボン酸または一般式RC(OH)COH(R=H、R=CH、CHCOH、CH(OH)COH)のヒドロキシカルボン酸またはフタル酸またはサリチル酸、または前記酸の酸性に反応する塩または前記酸およびその塩の混合物を使用することができる。
【0034】
本発明による分散液の安定化は、水酸化テトラメチルアンモニウムにより特に有利に行うことができる。
【0035】
場合により、該分散液は更なる添加物を含有していてよい。これらは例えば、酸化剤、例えば過酸化水素または過酸、酸化速度を上昇させるための酸化活性剤、腐蝕防止剤、例えばベンゾトリアゾールであってよい。更に、本発明による分散液には非イオン、カチオン、アニオンまたは両性であってよい界面活性物質を添加することができる。
【0036】
更に、分散液中の平均凝集体直径が200nm未満である場合に本発明による分散液は有利である。平均凝集体直径が100nm未満である場合に、特に有利である。
【0037】
本発明による分散液の製造のためには、当業者にとって公知の方法が好適である、例えば、高速ミキサー、ボールミル、ローター・ステーター装置、遊星形ニーダーまたは高エネルギーミルである。特に凝集体の直径が小さい分散液を製造するべき場合には、高エネルギーミルを使用するのが有利である。
【実施例】
【0038】
BET−表面積はDIN66131により測定する。
【0039】
ウェット・イン・タイムの測定:二酸化ケイ素粉末15gに水50gを添加し、高速ミキサーにより23℃で500rpmで撹拌する。粉末が湿潤するまでの時間を測定する。この測定は視覚的に行う。
【0040】
分散液の粘度をPhysica model 300の回転式レオメーターおよびCC 27計量ビーカーで25℃で測定する。粘度は剪断速度10 l/秒で測定する。この剪断速度は、生じた分散液の粘度が剪断応力に実質的に依存しない範囲にある。
【0041】
分散液中に存在する粒度は、動的光散乱法を用いて測定する。装置Zetasizer 3000HSa(Malvern Instruments, UK)を使用する。ピーク分析の体積の質量の中央値が記載されている。
【0042】
例1:二酸化ケイ素粉末の製造
四塩化ケイ素95kg/hおよびトリクロロシラン(TCS)5kg/hを蒸発させて、バーナーの混合室中に窒素により供給する。同時に、水素34Nm/h(1.5キロモル/h)および一次空気70Nm/h(3.1キロモル/h)を混合室中に供給する。この混合物は温度90℃を有する。点火し、反応室中に火炎の形で燃焼する。バーナーからの混合物の流出速度は25.8m/秒である。更に、火炎の周囲を取り囲む二次空気24Nm/h(1.1キロモル/h)を反応室中に供給する。一次空気に対する二次空気の比は0.34である。
【0043】
反応ガスおよび生じた二酸化ケイ素を減圧をかけることにより冷却システムを介して吸引し、その際100〜160℃の値に冷却される。フィルターまたはサイクロン中で固体を排ガス流から分離し、引き続き温度555℃で水蒸気で処理する。
【0044】
例2〜11を同様に実施する。
第2表は、例1〜11の供給物質およびその量を示す。
第3表は、反応エンタルピー、熱容量および断熱火炎温度に関する算出値を示す。
第4表は、製造した二酸化ケイ素粉末並びに2種の市販の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末(例12および13)の分析データを示す。
【0045】
例1〜5は本発明による粉末を示す。例5〜10は比較例である。
例2においては3種のケイ素成分を使用する。
例3および4においては、第1のケイ素成分である四塩化ケイ素の高いもしくは低い割合を使用する。
例5においては、請求した範囲内で、一次空気に対する二次空気の高い比を調節する。
【0046】
例6および7においては請求する範囲を外れた断熱火炎温度に導く調節を選択している。
例8においては1種のケイ素化合物(SiCl)のみを使用する。
例9においては四塩化ケイ素とその他のケイ素化合物との比は、請求する範囲を外れている。
例10においては、二次空気を供給しない。
例11においては、一次空気に対する二次空気の比は請求した範囲を外れている。
【0047】
これらの例は、例1〜5からの本発明による二酸化ケイ素粉末が、比較例からのものより明らかに低いウェット・イン・タイムを有することを示している。
【0048】
更に、これらの例は、本発明による二酸化ケイ素粉末の平均凝集体表面積、平均ECD、平均凝集体円周、平均最大凝集体直径、平均最小凝集体直径が比較例の相当する値より小さいことを示している。
【0049】
更に、例1〜5は、供給物質量の変化により断熱火炎温度の一定の狭い範囲、ここでは1821〜1851℃、を得ることができることを示す。
【0050】
更に、比較例6および7は例1と同じケイ素化合物の組成において、本発明による二酸化ケイ素粉末を得ることができないことを示す。得られた粉末は、請求した範囲を外れたBET−表面積を示す。比較例6および7においては、断熱火炎温度が請求した範囲を外れている。
【0051】
比較例8〜10においては、断熱火炎温度は請求した範囲内であるが、本発明による二酸化ケイ素粉末は得られない:
例8および9においては、ケイ素化合物の組成は請求した範囲を外れている。例10においては二次空気を供給しない。第4表から明らかなように、平均凝集体表面積、平均ECD、平均凝集体円周、平均最大凝集体直径および平均最小凝集体直径が本発明による二酸化ケイ素粉末のそれらより大きい。
【0052】
例11においては、一次空気に対する二次空気の比が請求した範囲を外れる4.11を有する。得られた二酸化ケイ素粉末は、請求した範囲から著しく外れているBET−表面積を有する。
【0053】
例14:分散液、酸性pH−範囲
ステンレススチール製のバッチ容器60l中に、脱塩水36kgを装入する。引き続き、例1からの二酸化ケイ素粉末6.4kgを剪断条件下にYstral Conti-TDS 3の吸引管を用いて引き込み、更に、引き込み工程の終了後に剪断を3000rpmで15分間継続する。
【0054】
例15:分散液、アルカリ性pH−範囲
ステンレススチール製のバッチ容器60l中に、脱塩水35.5kgおよび30%濃度のKOH溶液52gを装入する。引き続き、例1からの二酸化ケイ素粉末6.4kgを剪断条件下にYstral Conti-TDS 3の吸引管を用いて引き込み、更に、引き込み工程の終了後に剪断を3000rpmで15分間継続する。この15分間の分散の間に、pH値を更なるKOH−溶液の添加により10.4に調整して保持する。この目的のためにKOH−溶液43gを更に使用し、15質量%の固体濃度を水0.4kgの添加により調節する。
【0055】
例16:高固体含量の分散液
ステンレススチール製のバッチ容器60l中の脱塩水35.5kgを水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(25%)でpH11に調整する。引き続き、例1からの二酸化ケイ素粉末37kgを剪断条件下にYstral Conti-TDS 3の吸引管を用いて引き込み、更に、引き込み工程の終了後に剪断を3000rpmで15分間継続する。この15分間の分散の間に、pH値を更なる水酸化テトラメチルアンモニウム溶液の添加により10〜11に保持する。水の残りの必要量を添加して、固体濃度50質量%に調節する。この分散液は6ヶ月の貯蔵期間の後にも粘度上昇または沈殿を示さない。
【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
該分散液に関する物理−化学的パラメーターを第5表に記載する。
【0060】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次粒子の凝集体の形の、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末において、
− 該粉末がBET表面積90±15m/gを有し、かつ凝集体が、
− 平均表面積10000〜20000nm
− 平均相当円周直径(ECD)90〜130nmおよび
− 平均円周1000〜1400nmを有する
ことを特徴とする、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末。
【請求項2】
凝集体が、
− 平均表面積12000〜18000nm
− 平均相当円周直径(ECD)100〜125nmおよび
− 平均円周1100〜1300nmを有する
ことを特徴とする、請求項1記載の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末。
【請求項3】
最大凝集体直径が200〜250nmであり、最小凝集体直径が100〜155nmであることを特徴とする、請求項1または2記載の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末。
【請求項4】
クロリド含量が250ppm未満であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末。
【請求項5】
炭素含量が100ppm未満であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の二酸化ケイ素粉末の製法において、
− ケイ素化合物の混合物、これは
− 第1の成分として、SiClを混合物に対して60〜95質量%、および
− HSiCl、HSiCl、HSiCl、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、(n−C)SiClからなる群から選択された第2の成分を混合物に対して5〜40質量%を含有する、を別々にまたは一緒に、蒸発させ、この蒸気をキャリヤーガスにより混合室中に移送し、
− これとは別に燃焼ガスおよび一次空気、これは場合により酸素富化されていてもかつ/または前加熱されていてもよい、を混合室中に導入し、
− 塩化ケイ素の蒸気、燃焼ガスおよび一次空気からなる混合物をバーナー中で点火し、この火炎を反応室の中に燃焼させ、
− この火炎の周囲を囲む二次空気を反応室中に供給し、この際一次空気に対する二次空気の比は0.1〜3、有利に0.25〜2の範囲にあり、
− 次いで、固体をガス状物質から分離し、次いで固体を水蒸気処理し、
その際、
− 酸素の総量は少なくとも燃焼ガスおよびケイ素化合物の完全な燃焼のために十分であり、かつ
− ケイ素化合物、燃焼ガス、一次空気および二次空気からなる供給物質の量を、断熱火炎温度Tadが1800〜1880℃になるように選択し、その際
ad=供給物質の温度+部分反応の反応エンタルピーの合計/二酸化ケイ素、水、塩化水素、二酸化炭素、酸素、窒素および、キャリヤーガスが空気または窒素でない場合には、場合によりキャリヤーガスを包含する反応室から排出される物質の熱容量であり、この際これらの物質の1000℃での比熱容量をベースとしている、
ことを特徴とする、二酸化ケイ素の製法。
【請求項7】
供給物質の温度が90℃±40℃であることを特徴とする、請求項6記載の製法。
【請求項8】
反応混合物の混合室から反応室への流出速度が10〜80m/秒であることを特徴とする、請求項6または7記載の製法。
【請求項9】
ゴム、シリコンゴムおよびプラスチック中の充填剤としての、塗料およびコーティング中のレオロジーを調整するための、触媒のための支持体としての、請求項1から5までのいずれか1項記載の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末の使用。
【請求項10】
請求項1から5までのいずれか1項記載の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末を含有する水性分散液。
【請求項11】
二酸化ケイ素の含量が5〜60質量%であることを特徴とする、請求項10記載の水性分散液。
【請求項12】
pH値が3〜12であることを特徴とする、請求項10または11記載の水性分散液。
【請求項13】
分散液中の平均凝集体直径が200nm未満であることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項14】
添加物を含有することを特徴とする、請求項10から13までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項15】
表面の化学的−機械的研磨のための請求項10から14までのいずれか1項記載の分散液の使用。

【公開番号】特開2006−193401(P2006−193401A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−35119(P2005−35119)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】