説明

熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム

【課題】 熱収縮性、ヒートシール性に優れるとともに、耐衝撃性が改善され、一方向に引き裂かれにくい熱収縮性ポリエステル樹脂フィルムを提供する
【解決手段】 (A)層、(B)層及び(C)層の3層からなる積層フィルムであって、表層にあたる(A)層及び(C)層が、ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂40〜80質量%との樹脂混合物からなり、中間層にあたる(B)層が、ポリブチレンテレフタレート樹脂40〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜40質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂0〜40質量%との樹脂混合物からなることを特徴とする熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器包装分野において結束用、被覆用、ラベル用などに用いられる熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム、特にヒートシール性、耐衝撃性が改善され、一方向に引き裂かれにくい熱収縮性ポリエステル樹脂フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当容器の胴部と蓋部の結束用として、あるいはPETボトルやガラス瓶のラベル用として用いられるバンディングフィルム、シュリンクラベルもしくはシュリンクフィルム等の熱収縮性フィルム材料としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系樹脂等が用いられてきた。
【0003】
ポリスチレンからなる熱収縮性フィルムは、透明性には優れるが耐溶剤性が低く、印刷時に特殊な技術が必要となる。また、ポリエチレンやポリプロピレンからなる熱収縮性フィルムは、耐溶剤性、透明性は優れているが、耐熱性、引張強度が低いという問題を抱えている。このような問題に対して、例えば、特開昭64−4326号公報、特開平7−216109号公報では、ネオペンチルグリコール共重合ポリエステル樹脂を用いることが提案されている。しかしながら、これらの技術では、筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールする条件が極めて狭く、シール時に溶融した部分と溶融しなかった部分の境目を起点に衝撃破断しやすくなってしまうという問題点があった。また、熱収縮させるため、その製造工程における延伸工程で主延伸方向と直角方向にも多少の延伸を加えないと耐衝撃性に劣り、一方向に引き裂かれやすい性質になる問題を抱えている。また、耐衝撃性を改善、特に一方向への引き裂け易さの問題を解消する目的で、主たる延伸方向に対して直角方向に僅かに延伸するという煩雑な工程が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−4326号公報
【特許文献2】特開平7−216109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、熱収縮性、ヒートシール性に優れるとともに、耐衝撃性が改善され、一方向に引き裂かれにくい熱収縮性ポリエステル樹脂フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来技術に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、3層フィルム構成の積層フィルムにおける表層及び中間層において、それぞれ特定組成のポリエステル樹脂を特定比率で混合した樹脂混合物を使用することによって、熱収縮特性、ヒートシール性に優れるとともに、フィルムの耐衝撃性が改善され、一方向への引き裂けやすさが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムは、(A)層、(B)層及び(C)層の3層からなる積層フィルムであって、表層にあたる(A)層及び(C)層が、ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含むネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂40〜80質量%との樹脂混合物からなり、中間層にあたる(B)層が、ポリブチレンテレフタレート樹脂40〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含むネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜40質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂0〜40質量%との樹脂混合物からなることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムにおいて、前記(A)層及び(C)層がそれぞれ少なくとも2μm以上の厚さを有し、且つ前記(A)層及び(C)層の厚さの合計を前記(B)層の厚さで割った値が0.5〜3.0であることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムは、3層フィルム構成の積層フィルムにおける表層及び中間層において、それぞれ特定組成のポリエステル樹脂を特定比率で混合した樹脂混合物を使用することによって、熱収縮特性、ヒートシール性に優れるとともに、フィルムの耐衝撃性が改善され、一方向の引き裂けやすさが抑制される。このため、本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムは、特に結束用バンドや被覆用フィルム、ラベル用フィルムに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム10の断面図及び拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成について詳しく説明する。
図1に、本発明にかかる熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム10の拡大断面図を示す。図1に示すように、本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム10は、3層フィルム構成の積層フィルムであって、表層として(A)層12及び(C)層16、及び前記表層の間に挟まれた中間層として(B)層14を有している。
【0012】
(A)層及び(C)層(表層)
本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム10において、表層にあたる(A)層12及び(C)層16は、ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含むネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂40〜80質量%の樹脂混合物からなることを特徴としている。
【0013】
〈ポリエチレンテレフタレート樹脂〉
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂のジカルボン酸成分は、主としてテレフタル酸からなるものであるが、性質を大きく変えない範囲であれば数モル%程度のテレフタル酸以外のジカルボン酸を用いても構わない。より具体的には、ジカルボン酸成分全量に対してテレフタル酸が90モル%以上であれば、残りの10モル%未満を他のジカルボン酸成分で置き換えてもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を挙げることができる。
【0014】
また、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂のジオール成分は、主としてエチレングリコールからなるものであるが、性質を大きく変えない範囲であれば数モル%程度のエチレングリコール以外のジオールを用いても構わない。より具体的には、ジオール成分全量に対してエチレングリコールが90モル%以上であれば、残りの10モル%未満を他のジオール成分で置き換えてもよい。エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
【0015】
(A)層及び(C)層に用いられる樹脂混合物において、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂の混合割合は20〜60質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。20質量%未満では、フィルム表層の耐熱性が低下しすぎて、熱収縮するためのスチームトンネル通過後に外観の優れない仕上がりになる場合がある。一方で、60質量%を超えると、後にラベル用、バンド用に供する際の筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力で破断してしまう場合がある。
【0016】
〈ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂〉
前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂のジカルボン酸成分は、主としてテレフタル酸からなるものであるが、性質を大きく変えない範囲であれば数モル%程度のテレフタル酸以外のジカルボン酸を用いても構わない。より具体的には、ジカルボン酸成分全量に対してテレフタル酸が90モル%以上であれば、残りの10モル%未満を他のジカルボン酸成分で置き換えてもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、先に例示した化合物が挙げられる。
【0017】
また、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂には、ジオール成分全量に対して20〜40モル%のネオペンチルグリコール成分が含まれる。なお、残りのジオール成分は、主としてエチレングリコールからなるものであるが、性質を大きく変えない範囲であればエチレングリコール以外のジオールを数モル%程度用いても構わない。より具体的には、ジオール成分全量に対してエチレングリコール50〜70モル%以上とし、残りの10モル%未満を他のジオール成分で置き換えてもよい。エチレングリコール以外のジオール成分としては、先に例示した化合物が挙げられる。
【0018】
前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂において、ジオール成分全量に対してネオペンチルグリコール成分が20モル%未満では、筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力で破断してしまう場合があったり、あるいは問題なくシールできたとしても、シール時に溶融した部分と溶融しなかった部分の境目を起点に、落下等の衝撃によって破断しやすくなってしまう場合がある。さらに、樹脂の結晶性が全体的に強くなるので、一方向のみの延伸加工を施した場合、その方向に沿ってフィルムが裂けやすくなるという問題が生じ得る。一方で、ネオペンチルグリコール成分が40モル%を超えると、当該樹脂を製造するための重合時間が長くなって生産性の低下を招くため、経済的に好ましくない。なお、ネオペンチルグリコール成分の使用量は、より好ましくは25〜35モル%である。この範囲内に調整することで、ヒートシール性や耐衝撃性が著しく改善される。
【0019】
また、(A)層及び(C)層に用いられる樹脂混合物において、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の混合割合は40〜80質量%であり、好ましくは50〜70質量%である。40質量%未満では、フィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力で破断してしまう場合がある。一方で、80質量%を超えると、フィルム表層の耐熱性が低下しすぎて、スチームトンネル通過後に外観の優れない仕上がりになる場合がある。
【0020】
(B)層(中間層)
本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム10において、中間層にあたる(B)層14は、ポリブチレンテレフタレート樹脂40〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含むネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜40質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂0〜40質量%との樹脂混合物からなることを特徴としている。
【0021】
〈ポリブチレンテレフタレート樹脂〉
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のジカルボン酸成分は、主としてテレフタル酸からなるものであるが、性質を大きく変えない範囲であれば数モル%程度のテレフタル酸以外のジカルボン酸を用いても構わない。より具体的には、ジカルボン酸成分全量に対してテレフタル酸が90モル%以上であれば、残りの10モル%未満を他のジカルボン酸成分で置き換えてもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、先に例示した化合物が挙げられる。
【0022】
また、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のジオール成分は、主として1,4−ブタンジオールからなるものであるが、性質を大きく変えない範囲であれば数モル%程度の1,4−ブタンジオール以外のジオールを用いても構わない。より具体的には、ジオール成分全量に対して1,4−ブタンジオールが90モル%以上であれば、残りの10モル%未満を他のジオール成分で置き換えてもよい。1,4−ブタンジオール以外のジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
【0023】
(B)層に用いられる樹脂混合物において、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の混合割合は40〜60質量%であり、好ましくは45〜55質量%である。40質量%未満では、熱収縮するためのスチームトンネル通過後に外観が不良となる場合がある。一方で、60質量%を超えると、熱収縮後のフィルムが延伸方向に裂けやすくなり、落下等の衝撃によりラベルが裂けてしまう場合がある。
【0024】
〈ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂〉
(B)層に用いられる前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂は、(A)及び(C)層に用いられるものと概略同一である。すなわち、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂は、主たるジカルボン酸としてテレフタル酸、主たるジオール成分としてエチレングリコールを含み、且つジオール成分全量に対して20〜40モル%のネオペンチルグリコール成分を含むものである。(B)層に用いられるネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂において、ネオペンチルグリコール成分がジオール成分全量に対して20モル%未満では、製品が落下した際の衝撃に耐えられず裂けて外観を著しく損なう物性になる問題があり、一方で、ネオペンチルグリコール成分が40モル%を超えると、当該樹脂を製造する時の重合時間が長くなり生産性の低下を招くので経済的に好ましくない。なお、(B)層に用いるネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の成分組成と、(A)及び(C)層に用いるネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレートの成分組成とは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
また、(B)層に用いられる樹脂混合物において、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の混合割合は20〜40質量%であり、好ましくは25〜35質量%である。20質量%未満では、熱収縮後のフィルムが延伸方向に裂くやすくなり、落下等の衝撃によりラベルが裂けてしまう場合がある。一方で、40質量%を超えると、熱収縮するためのスチームトンネル通過後に外観が不良となる場合がある。
【0026】
〈ポリエチレンテレフタレート樹脂〉
その他、(B)層に用いられる樹脂混合物において、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂を0〜40質量%の範囲内で用いてもよい。(B)層に使用可能なポリエチレンテレフタレート樹脂は、(A)及び(C)層に用いられるものと概略同一である。なお、(B)層に用いられる樹脂混合物において、ポリエチレンテレフタレート樹脂は必ずしも用いる必要はないものの、コスト等の観点から適当量ブレンドしてもよく、使用量の上限は40質量%である。具体的には、(B)層に用いられる樹脂混合物に対して、例えば、10〜30質量%の範囲でポリエチレンテレフタレート樹脂を使用することができる。
【0027】
なお、以上に説明した各種ポリエステル樹脂は、従来一般的に行われているポリエステル樹脂の製造方法、例えば、直接エステル化法やエステル交換反応法等によって製造することができる。
【0028】
(A)〜(C)各層の厚さ
本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムにおいて、前記(A)層及び(C)層は、それぞれ少なくとも2μm以上の厚さを有していることが好ましい。(A)層、及び(C)層の厚さが2μm未満では、筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力に耐えられなくなりヒートシール部が破断する問題がある。
【0029】
さらに、(A)層と(C)層の厚さの合計を(B)層の厚さで割った値が0.5〜3.0であることが望ましい。(A)層と(C)層の厚さの合計を(B)層の厚さで割った値が0.5未満では、主に熱収縮挙動を担う(B)層が相対的に厚くなりすぎてしまい、筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力に耐えられなくなりヒートシール部が破断してしまう場合がある。一方で、3.0を超えると、主に熱収縮挙動を担う(B)層が相対的に薄くなりすぎて、良好なバンディングや、外観のきれいなラベルが得られなくなる。
【0030】
また、前記(A)〜(C)層に用いる各種樹脂混合物に対し、必要に応じて、一般に使用される添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機系微粒子、有機系微粒子、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムは、3層構造の積層フィルムを製造する際に用いられる公知の方法によって製造することができる。例えば、共押出法であれば(A)〜(C)層を形成する各種樹脂混合物について、押出機で個別に溶融を行い、マルチマニホールド方式を備えたTダイ金型内で合流させて押出し、速やかに冷却ロールにより冷却した後、延伸装置で延伸することによって、3層積層フィルムが得られる。
【0032】
また、延伸処理は、ロール方式、テンター方式などで行なうことができるが、ロール間の周速差により長手方向(製膜方向)に延伸する方法が装置としては安価であるため、より好ましい。より具体的には、例えば、延伸温度70〜100℃の範囲で、長手方向に2.5〜6.0倍、好ましくは3.5〜4.5倍程度に延伸して製造される。なお、従来は、主延伸方向に沿って裂けやすいとか、耐衝撃性が低いといった問題を解決する目的で、主延伸方向と直角方向に極低倍率の延伸処理を施すことも行なわれているものの、本発明の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムでは、各層の樹脂混合物の組成を調整することによって耐衝撃性や引裂き強度の問題を解決しているため、従来のように、主延伸方向と直角方向への極低倍率の延伸処理を施す必要がなく、製造工程の煩雑さを解消している。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明を行うが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず最初に、本実施例において使用した評価方法について説明する。
【0034】
(熱収縮率)・・・各実施例及び比較例により得られたフィルムを延伸方向とその直角方向で100mm×100mmの大きさにカットし、90℃に管理された湯浴に10秒間浸漬した直後に30℃以下に管理された水浴に浸漬して冷却し、その前後の延伸方向(主収縮方向)の寸法差を100mmに対する%で表した。
(ヒートシール性)・・・各実施例及び比較例により得られたフィルムを下記実施例1に記載の方法でヒートシールした際のフィルムの状態を目視により判定した。
(スチームトンネル通過後の外観)・・・各実施例及び比較例により得られたフィルムを下記実施例1に記載の方法でヒートシールし、PETボトルに装着後、雰囲気温度を90℃に設定したスチームトンネルを通過させて熱収縮させた際のラベルの状態を目視により判定した。
(落下による耐衝撃性)・・・各実施例及び比較例により得られたフィルムを下記実施例1に記載した方法でヒートシールし、PETボトルに装着後、雰囲気温度を90℃に設定したスチームトンネルを通過させて熱収縮させた装着物を、高さ50cmから落下させた際のラベルの状態を目視により判定した。
(経済性)・・・各実施例及び比較例に使用するポリエステル樹脂の製造工程及びフィルム成形工程に要した時間から、生産性について判定した。
【0035】
実施例1
平均粒径2.7μmの二酸化珪素を2400ppm含むポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%とを混合し、(A)層及び(C)層用の樹脂混合物とした。ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂45質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%とを混合し、(B)層用の樹脂混合物とした。(A)〜(C)各層用の樹脂混合物を、3台の2軸押出機を使用して3層マルチマニホールドを備えたTダイ金型を用いて280℃の温度で共押出し、速やかに冷却ロールで冷却し3層のシートを作製した。次いで、当該シートを95℃に加熱し、ロール延伸法によって長手方向の延伸倍率を3.8倍、延伸後のフィルムの総厚さが12μmで、そのうちA層、及びC層の厚さが3.5μmになるように縦延伸した。縦延伸後は、いわゆる横延伸は行わずに速やかに冷却ロールで冷却し、950mm幅にスリットしロール状に巻き取ることで製膜工程を完了した。当該フィルムの一方の表面にグラビヤ印刷機を用いて印刷層を形成した。ただし、後にヒートシールする部分は印刷しないようにした。次いで、この印刷物を180mm幅にスリットし再度ロール状に巻き取り、ラベル用の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムを得た。当該ロール状のラベル用熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムを巻き戻しながらラベル装置に供給し、装着対象物となる容量500mlのPETボトルの最大径より一回り大きな円柱に対してフィルムの長手方向が円柱の周長より3mm長くなるように裁断し、円柱の周方向に巻き付け、フィルムの端部が重なった部分に170℃に加熱した熱板を0.8秒間押し当ててヒートシールした。その後、筒状になったフィルムを円柱から取り出し、容量が500mlのPETボトルに装着した。次いで、雰囲気温度を90℃に設定したスチームトンネルを通過させて熱収縮させることで、外観上良好な製品が得られた。
【0036】
実施例2
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール20モル%、エチレングリコール80モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0037】
実施例3
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール40モル%、エチレングリコール60モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0038】
実施例4
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂20質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂80質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0039】
実施例5
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂60質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂40質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0040】
実施例6
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂45質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール20モル%、エチレングリコール80モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0041】
実施例7
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂45質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール40モル%、エチレングリコール60モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0042】
実施例8
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂35質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂40質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0043】
実施例9
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂15質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂60質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0044】
実施例10
共押出成形したシートをロール延伸法によって長手方向の延伸倍率が3.8倍、延伸後のフィルムの総厚さが12μm、そのうち(A)層、及び(C)層の厚さが2.0μm、(B)層の厚さが8.0μmで、[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]の計算値が0.5になるように縦延伸した以外は実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0045】
実施例11
共押出成形したシートをロール延伸法によって長手方向の延伸倍率が3.8倍、延伸後のフィルムの総厚さが12μm、そのうち(A)層、及び(C)層の厚さが4.5μm、(B)層の厚さが3.0μmで、[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]の計算値が3.0になるように縦延伸した以外は実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られた。
【0046】
比較例1
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール15モル%、エチレングリコール85モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、ヒートシールによりフィルムを円筒状にする工程においてシールヘッドが離れた瞬間にシール部が破断した。ネオペンチルグリコール成分が15モル%では、フィルム自体の収縮力に耐えられるだけのシール強度が得られなかったためと考えられた。
【0047】
比較例2
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール45モル%、エチレングリコール55モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られたが、ネオペンチルグリコール成分が45モル%のため、ネオペンチルグリコール共重合ポリエステル樹脂を合成する時間が非常に長くなり、経済的に好ましくないことが分かった。
【0048】
比較例3
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂15質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂85質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、ヒートシール工程では問題なかったが、スチームトンネル通過後の外観は、ラベルの収縮状態が不均一なために不良と判断されるものが散見された。
【0049】
比較例4
(A)層用及び(C)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂65質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂35質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、ヒートシールによりフィルムを円筒状にする工程においてシールヘッドが離れた瞬間にシール部の破断が散見された。
【0050】
比較例5
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂45質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール15モル%、エチレングリコール85モル%を含む共重合ポリエステル樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られたが、PETボトル装着物のコンクリート面への高さ50cmの落下試験でラベルの裂けが散発した。
【0051】
比較例6
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂45質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール45モル%、エチレングリコール55モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られたが、ネオペンチルグリコール成分が45モル%のため、ネオペンチルグリコール共重合ポリエステル樹脂を合成する時間が非常に長くなり、経済的に好ましくないことが分かった。
【0052】
比較例7
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂40質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂35質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、ヒートシール工程では問題なかったが、スチームトンネル通過後の外観は、ラベルの収縮状態が不均一なために不良と判断されるものが散見された。
【0053】
比較例8
(B)層用の樹脂混合物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂10質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂65質量%と、ジカルボン酸としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分としてネオペンチルグリコール30モル%、エチレングリコール70モル%を含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂25質量%との樹脂混合物に変更した以外は、実施例1と同様である。結果として、外観上良好な製品が得られたが、PETボトル装着物のコンクリート面への高さ50cmの落下試験でラベルの裂けが散発した。
【0054】
比較例9
共押出成形したシートをロール延伸法によって長手方向の延伸倍率が3.8倍、延伸後のフィルムの総厚さが13μm、そのうち(A)層、及び(C)層の厚さが2.0μm、(B)層の厚さが9.0μmで、[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]の計算値が0.4になるように縦延伸した以外は、実施例1と同様である。結果として、主に熱収縮の挙動を担っている(B)層が相対的に厚くなりすぎて、筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力に耐えられなくなりヒートシール部の破断が散発した。
【0055】
比較例10
共押出成形したシートをロール延伸法によって長手方向の延伸倍率が3.8倍、延伸後のフィルムの総厚さが13μm、そのうち(A)層、及び(C)層の厚さが5.0μm、(B)層の厚さが3.0μmで、[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]の計算値が3.3になるように縦延伸した以外は、実施例1と同様である。結果として、ヒートシール工程では問題なかったが、スチームトンネルを通過後の外観は、ラベルの収縮状態が不均一なために不良と判断されるものが散見された。主に熱収縮の挙動を担っている(B)層が相対的に薄くなりすぎたためと考えられた。
【0056】
比較例11
共押出成形したシートをロール延伸法によって長手方向の延伸倍率が3.8倍、延伸後のフィルムの総厚さが12μm、そのうち(A)層の厚さが1.5μm、(C)層の厚さが3.5μm、(B)層の厚さが7.0μmで、[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]の計算値が0.7になるように縦延伸した以外は、実施例1と同様である。結果として、筒状に形成するために裁断したフィルムの端部同士をヒートシールした瞬間にフィルムの持つ熱収縮力に耐えられなくなりヒートシール部の破断が散発した。(A)層の厚みが薄すぎるために、収縮力に耐えられるだけのシール強度が得られなかったためと考えられた。
【0057】
以上のようにして製造した各実施例及び比較例の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムについて、(A)〜(C)各層の樹脂組成及び各層の層厚をまとめたものを下記表1,2に、各フィルムの評価結果をまとめたものを下記表3,4に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
上記表3に示すように、(A)層及び(C)層として、ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分を20〜40モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂80〜40質量%との樹脂混合物を用い、(B)層として、ポリブチレンテレフタレート樹脂40〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分を20〜40モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂15質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂15〜35質量%との樹脂混合物を用い、且つ[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]を0.5〜3.0とした実施例1〜11の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルムにおいては、熱収縮率、ヒートシール性、スチームトンネル通過後の外観、落下による耐衝撃性及び経済性のいずれの評価においても、優れた評価結果が得られた。
【0063】
これに対して、上記表4に示すように、(A)層及び(C)層に使用するネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂において、ネオペンチルグリコールが15モル%である比較例1では、ヒートシール時に破断を生じてしまい、一方で、40モル%である比較例2では、当該共重合樹脂の重合に非常に時間がかかり、生産性が低下してしまった。また、(A)層及び(C)層に使用するポリエチレンテレフタレート樹脂を樹脂混合物中15質量%とした比較例3では、スチームトンネル通過後にラベルの収縮が不均一になって外観が悪化してしまい、65質量%とした比較例4では、ヒートシール時にシール部が破断してしまった。
【0064】
また、(B)層に使用するネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂において、ネオペンチルグリコールが15モル%である比較例5では、耐衝撃性が十分でなく、落下試験において裂けが発生してしまい、40モル%である比較例6では、比較例2と同様、生産性の点で劣っていた。さらに、(B)層に使用するポリブチレンテレフタレート樹脂を樹脂混合物中35質量%とした比較例7では、収縮が不均一になって外観が悪化してしまい、15質量%とした比較例8では、耐衝撃性の点で劣っていた。
【0065】
さらに、[((A)層の厚さ+(C)層の厚さ)/(B)層の厚さ]を0.4とした比較例9では、ヒートシール時に破断を生じてしまい、一方で、3.3とした比較例10では、収縮が不均一になって外観が悪化した。また、(A)層の厚さを1.5μmとした比較例11においても、ヒートシール時に破断を生じてしまった。
【符号の説明】
【0066】
10 熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム
12 (A)層(表層)
14 (B)層(中間層)
16 (C)層(表層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)層、(B)層及び(C)層の3層からなる積層フィルムであって、
表層にあたる(A)層及び(C)層が、ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含むネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂80〜40質量%との樹脂混合物からなり、
中間層にあたる(B)層が、ポリブチレンテレフタレート樹脂40〜60質量%と、ネオペンチルグリコール成分をジオール成分全量に対して20〜40モル%含むネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜40質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂0〜40質量%との樹脂混合物からなる
ことを特徴とする熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム。
【請求項2】
前記(A)層及び(C)層がそれぞれ少なくとも2μm以上の厚さを有し、且つ前記(A)層及び(C)層の厚さの合計を前記(B)層の厚さで割った値が0.5〜3.0である請求項1記載の熱収縮性ポリエステル樹脂積層フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−39787(P2013−39787A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179454(P2011−179454)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】