説明

熱収縮性筒状ラベル

【課題】 本発明は、大気圧よりも高い状態で収納物が封入される可撓性の容器に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、容器の開閉栓の際、筒状ラベルの空回りを防止することを課題とする。
【解決手段】 胴部22と、注出口を開閉栓可能なネジキャップ24とを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器2であって、胴部中央に於ける肉厚が胴部下方に於ける肉厚よりも薄い容器2の該胴部22に装着される熱収縮性筒状ラベル1に於いて、内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムを筒状に成形した筒状体を有し、容器2の胴部下方に対応する筒状体の内面の一部分に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部7が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱収縮させて容器に装着される熱収縮性筒状ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料容器、食品容器などの様々な容器に、熱収縮性筒状ラベル(筒状シュリンク、シュリンクフィルムなどとも呼ばれる)が装着されている。
かかる熱収縮性筒状ラベルは、意匠印刷層が設けられた熱収縮性のベースフィルムを筒状に成形した筒状体から構成されている。さらに、この筒状体の内面には、熱収縮性筒状ラベルを容器に外嵌する際の動摩擦抵抗を下げるため、滑り層が設けられている。該滑り層は、例えば、滑剤を含有するメジウムインキをベースフィルムの最内面(容器接触面)にベタ状に塗工することによって形成されている。
【0003】
しかしながら、内面に滑り層が設けられている熱収縮性筒状ラベルは、胴部の周方向に回転させて開閉栓を行うネジキャップを有し且つ大気圧よりも高い状態で収納物が封入された容器に装着した場合、ネジキャップを回す際に空回りするという問題点がある。
具体的には、胴部と、該胴部の上方に開口された注出口と、該注出口を開閉栓するネジキャップと、を有する合成樹脂製の可撓性容器(例えば、ポリエチレンテレフタレート製のボトル型容器など)は、胴部を片手で持ちつつ、他方の手でネジキャップを胴部の周方向に回して開閉栓を行う。このうち、炭酸飲料などの昇圧性の収納物が封入された容器は、内圧が大気圧よりも高い状態となっているため、胴部が僅かに膨張している。従って、該容器の開栓時、内圧が下がると、容器の胴部は復元して僅かに小さくなる。このような容器の胴部に装着された熱収縮性筒状ラベルは、開閉栓に関わらず、その径が不変である。このため、容器が復元してその径が小さくなると、ネジキャップを回す際、筒状ラベルが胴部に対して空回りを起こすという問題がある。このように熱収縮性筒状ラベルが空回りすると、ネジキャップの開閉を容易に行えず、その改善が望まれている。
【0004】
熱収縮性筒状ラベルの空回りを防止するため、内面に不織布が積層された熱収縮性筒状ラベルの容器接触面に、感熱性接着剤を部分的に塗工した熱収縮性筒状ラベルが知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、容器接触面に感熱性接着剤を塗工すると、筒状ラベルを除去した後、該感熱性接着剤が容器に残存するため、容器をリサイクルする上で好ましくない。また、感熱性接着剤が設けられた筒状ラベルを扁平状にした際、筒状ラベルの内面同士が付着する現象(ブロッキング)を生じる虞がある。
【特許文献1】特開2002−20705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、大気圧よりも高い状態で収納物が封入される可撓性の容器に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、開閉栓の際、熱収縮性筒状ラベルの空回りを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、胴部と、注出口を開閉栓可能なネジキャップとを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器であって、胴部中央に於ける肉厚が胴部下方に於ける肉厚よりも薄い容器の該胴部に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムを筒状に成形した筒状体を有し、容器の胴部下方に対応する筒状体の内面の一部分に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられている熱収収縮性筒状ラベルを提供する。
【0008】
上記熱収縮性筒状ラベルは、内面に滑り層が設けられているので、容器の胴部に外嵌する際、熱収縮性筒状ラベルの内面が容器外面に対してスムースに滑り、熱収縮性筒状ラベルを容器の所定位置に確実に位置させることができる。
外嵌後の熱収縮性筒状ラベルを加熱することにより、熱収縮性筒状ラベルは、容器に熱収縮装着される。
上記熱収縮性筒状ラベルは、容器の胴部下方に対応する内面の一部に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の何れか一方が設けられているので、熱収縮性筒状ラベルを加熱した際、ポリマーの塗布部又はベースフィルムの露出部が軟化し、このブロッキング部が合成樹脂製容器の胴部下方の外面に強く密着する。胴部下方が胴部中央よりも厚肉状に形成されている容器は、開栓時、胴部下方の径変化が殆どない又は極めて小さい。このため、開栓時、ブロッキング部が胴部下方の外面に強く密着した状態を維持できる。従って、ラベル装着済みの容器を開閉栓する際、熱収縮性筒状ラベルが空回りすることを防止できる。
【0009】
さらに、本発明は、胴部と、注出口を開閉栓可能なネジキャップとを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器であって、ネジキャップの開栓後に於ける胴部下方の周長さが、開栓前の同周長さの0.980〜1.000倍に縮小し、且つネジキャップの開栓後に於ける胴部中央の周長さが、前記胴部下方の周長さの縮小割合よりも大きく縮小する容器の胴部に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムを筒状に成形した筒状体を有し、容器の胴部下方に対応する筒状体の内面の一部分に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられている熱収収縮性筒状ラベルを提供する。
【0010】
上記熱収縮性筒状ラベルも同様に、容器の胴部に外嵌する際、熱収縮性筒状ラベルの内面が容器外面に対してスムースに滑り、熱収縮性筒状ラベルを容器の所定位置に確実に位置させることができる。
該熱収縮性筒状ラベルを熱収縮装着した際、上記ブロッキング部が軟化し、この部分が合成樹脂製容器の胴部下方の外面に強く密着する。開栓前後に於ける縮小割合が胴部下方に比して胴部中央の方が大きい上記容器は、胴部下方に於ける径変化が極めて小さい。このため、開栓時、ブロッキング部が胴部下方の外面に強く密着した状態を維持できる。従って、ラベル装着済みの容器を開閉栓する際、熱収縮性筒状ラベルが空回りすることを防止できる。
【0011】
また、本発明は、胴部と、注出口を開閉栓可能なネジキャップとを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器の該胴部に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムの一側端部を他側端部の外面に重ね合わせてセンターシールすることにより筒状に成形されており、ベースフィルムの他側端部の側縁からセンターシール部までの間に、一側端部に非接着な余り代が確保されており、余り代の内面に、ベースフィルムを露出させたブロッキング部、又は、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられている熱収縮性筒状ラベルを提供する。
【0012】
上記熱収縮性筒状ラベルも同様に、容器の胴部に外嵌する際、熱収縮性筒状ラベルの内面が容器外面に対してスムースに滑り、熱収縮性筒状ラベルを容器の所定位置に確実に位置させることができる。
上記熱収縮性筒状ラベルは、センターシール部に於いて一側端部に非接着な余り代が確保されており、この余り代の内面にベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられている。この余り代は、熱収縮性筒状ラベルを加熱した際、外側に重なったベースフィルムの一側端部の収縮によって、容器の外面側へと強く押圧されると共に、ブロッキング部が軟化する。ブロッキング部の軟化した余り代が容器に押圧されることにより、この部分が合成樹脂製容器の胴部の外面に強く密着する。このブロッキング部は、余り代全体(筒状ラベルの上縁から下縁まで帯状)に設けられていてもよいし、或いは、余り代に部分的に設けられていてもよい。ブロッキング部が、余り代全体に設けられている場合には、該熱収縮性筒状ラベルが開栓時に比較的大きく縮小する胴部中央を有する容器に装着されていても、ブロッキング部が容器の胴部の上下部分に於いて強く密着した状態を維持できる。従って、ラベル装着済みの容器を開閉栓する際、熱収縮性筒状ラベルが空回りすることを防止できる。
【0013】
上記容器として、胴部下方に於いて内側へ凹む複数の凹状部が胴部の周方向に所定間隔を開けて形成されている容器に、上記熱収縮性筒状ラベルが装着される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、大気圧よりも高い状態で収納物が封入される可撓性の容器に装着される。該熱収縮性筒状ラベルは、容器に部分的に密着するので、容器を開閉栓する際、熱収縮性筒状ラベルが空回りを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。ただし、便宜上、方向を示す用語として、「外」は、装着される容器の中心から離れる側を、「内」は、容器の中心に近い側を指す。また、「上」とは、装着される容器の底面部から離れる側を、「下」とは、容器の底面部に近い側を指す。
<第1実施形態>
図1及び図2に於いて、1は、筒状に成形した熱収縮性のベースフィルム31を有する筒状体からなる熱収縮性筒状ラベルを示す。該熱収縮性筒状ラベル1は、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器2の少なくとも胴部周りに装着される。尚、容器2については、図4に示している。
この熱収縮性筒状ラベル1は、内面(容器接触面)に滑り層33が設けられていると共に、容器2の胴部外面に密着するブロッキング部7が設けられている。
【0016】
具体的には、熱収縮性筒状ラベル1は、ラベル基材3の一側端部3aを他側端部3bの外面に重ね合わせ、溶剤又は接着剤を用いてセンターシール(接着)することにより筒状に成形された筒状体からなる。
図2に示すように、センターシール部4に於いて、内側に位置するラベル基材3の他側端部3bには、センターシール部4から周方向に延出された余り代5が確保されている。具体的には、センターシール部4は、ラベル基材3の一側端部3aを他側端部3bの外面に重ね合わせて、その重ね合わせた領域の所定幅を上下方向に帯状に接着することにより形成されている。このラベル基材3の他側端部3bの側縁3b’からセンターシール部4の縁までの間に、所定幅(例えば、3mm〜7mm程度)、余り代5が確保されている。この余り代5は、一側端部3aの内面に非接着な自由端とされている。
尚、ラベル基材3の一側端部3aの縁から所定幅の内面は、他側端部3bの外面にセンターシールするため、意匠印刷層32などが形成されておらず、ベースフィルム31の内面が露出している。
【0017】
ラベル基材3は、容器2の胴部22から肩部23にかけて覆うことができる所定長の矩形状に形成されている。ラベル基材3は、図3にも示すように、熱収縮性を有するベースフィルム31と、該ベースフィルム31の内面側に設けられた意匠印刷層32と、少なくとも意匠印刷層32の内面を被覆するようにベースフィルム31の内面側に設けられた滑り層33と、ベースフィルム31の内面側に設けられたブロッキング部7と、を有する。
【0018】
ベースフィルム31は、少なくとも一方向(筒状に形成した際に於ける周方向。以下同じ)に熱収縮性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からから選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂製フィルムなどを用いることができる。また、熱収縮性を有する2種以上の樹脂が積層された積層フィルムを用いることもできる。さらに、熱収縮性を有するフィルムに発泡樹脂シート等の断熱層やその他の機能層が積層された公知の積層フィルムを用いることもできる。中でも、ベースフィルム31は、収縮応力に優れていることから、ポリエステル系、ポリオレフィン系のフィルムを含むものが好ましく、特にポリエステル系フィルムを含むものが好ましい。
【0019】
熱収縮性のフィルムは、公知の製法で製膜し延伸処理することにより得ることができる。延伸処理は、通常、70〜110℃程度の温度で、一方向に2.0〜8.0倍、好ましくは3.0〜7.0倍程度で主延伸することにより行われる。さらに、他方向(前記一方向に直交する方向。筒状に形成した際に於ける上下方向。以下同じ)にも、例えば1.5倍以下の低倍率で延伸処理を行ってもよい。得られたフィルムは、一軸延伸フィルム又は主延伸方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムとなる。フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常、25〜80μm程度のものが用いられる。
フィルムの熱収縮率は、装着される容器2の胴部22及び肩部23の径差に応じて適宜設計できる。例えば、フィルムの一方向に於ける熱収縮率(90℃温水中に10秒間浸漬)は、約40%以上、好ましくは約50%以上のものが例示される。また、フィルムは他方向に若干熱収縮してもよく、かかる他方向に於ける熱収縮率(90℃温水中に10秒間浸漬)は、約−3〜15%程度のものが例示される。
但し、熱収縮率(%)=[{(一方向(又は他方向)の元の長さ)−(一方向(又は他方向)の浸漬後の長さ)}/(一方向(又は他方向)の元の長さ)]×100。
【0020】
意匠印刷層32は、センターシール部4となるベースフィルム31の一側端部3aの内面及び以下に詳述するブロッキング部7が設けられるベースフィルム31の内面の所定範囲を除き、ベースフィルム31の内面の所定範囲に設けられている。この意匠印刷層32は、例えば、商品名、絵柄、説明などの所定の表示などの表示印刷と白色等のベタ印刷などが、グラビア印刷などによって単色又は多色刷りにて設けられている。ただし、意匠印刷層32は、ベースフィルム31の内面の上記所定範囲全体にベタ状に設けてもよいし、上記所定範囲に於いて部分的に設けてもよい。
尚、意匠印刷層32は、ベースフィルム31の内面に設けることが好ましいが、ベースフィルム31の外面に設けてもよい。
【0021】
滑り層33は、熱収縮性筒状ラベル1の容器2に対する動摩擦係数を小さくするために設けられているものである。滑り層33は、センターシール部4となるベースフィルム31の一側端部3aの内面及び以下に詳述するブロッキング部7が設けられるベースフィルム31の内面の所定範囲を除き、ベースフィルム31の内面側全体にベタ状に設けられている。従って、意匠印刷層32の内面は、滑り層33によって被覆されている。
滑り層33としては、例えば、メジウムインキを上記範囲にベタ状に塗工することにより設けることができる。該メジウムインキは、実質的に顔料(着色材料)を含まない透明なインキであって、ポリマーと、滑り成分とを含む。具体的には、該メジウムインキは、例えば、水(及び/又はアルコール)に、アクリル系樹脂、アクリル共重合体、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、水性ポリアミド樹脂などを分散させたエマルジョン型;トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤に、ロジン、ケトン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体、ポリエステル系樹脂などを溶解させた溶剤型のポリマー溶液に、滑り成分を混合したものが例示できる。滑り成分としては、例えば、ワックス類、シリコーン、シリカなどの無機微粒子、有機微粒子などの滑剤が例示できる。メジウムインキには、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、防かび剤などのその他の添加剤が混合されていてもよい。中でも、滑り層33は、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂をベースポリマーとし、ポリエチレンワックスなどのオレフィン系ワックス、4フッ化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))などのフッ素系ワックス、フッ素樹脂粉末、シリカなどの滑り成分を1〜30質量%(固形分比率)として含むものが好ましい。特に、アクリル系樹脂に、ポリエチレンワックス5〜30質量%(固形分比率)含むものがより好ましい。
【0022】
ブロッキング部7は、熱収縮性筒状ラベル1を容器2に対して強く密着させる(摩擦係数を高める)ために設けられている。該ブロッキング部7は、熱収縮性筒状ラベル1を容器2に装着した際、容器2の胴部下方22aに対応する位置に部分的に設けられている。
具体的には、ブロッキング部7は、筒状体の下端縁から上方側へと延びる帯状領域に形成されている。ブロッキング部7の上下長さHは、特に限定されないが、余りに短いと、容器2に対する装着位置によっては、ブロッキング部7全体が、胴部下方22aに形成された凹み部25に対面して、ブロッキング部7が容器2の外面と密着しない場合も考えられる。従って、ブロッキング部7の上下長さHは、図4に示す凹み部25の上下長さH1よりも長く形成されていることが好ましい。ブロッキング部7の幅W(周方向長さ)は、余りに短いと容器2に密着させて空回りを防止する効果を得ることができず、該効果を奏する範囲で適宜設計することができる。具体例を示すと、汎用的な0.5リットルのペタロイド状ボトル型容器に本発明の熱収縮性筒状ラベル1を装着する場合には、ブロッキング部7は、その上下長さHが、30〜40mm、幅Wが、10〜20mm程度に形成される。
【0023】
ブロッキング部7の形成材料は、ベースフィルム31の熱収縮温度で軟化しうるポリマーを用いることができる。具体的には、熱収縮性筒状ラベル1を容器に装着する際、雰囲気温度80〜100℃のスチームトンネルにて加熱する、或いは150〜250℃の熱風を吹き付ける熱風トンネルにて加熱することが多いため、ブロッキング部7の形成材料は、該加熱方式で軟化しうるポリマーが用いられる。かかるポリマーとしては、ガラス転移温度(DSC法により測定)が、100℃以下のものを用いることが好ましい。
ブロッキング部7の形成材料としては、実質的に滑り成分を除いた上記メジウムインキを用いることができる。具体的には、ブロッキング部7は、例えば、水(及び/又はアルコール)に分散させて塗布可能なポリマー(エマルジョン型)、例えば、アクリル系樹脂、アクリル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、水性ポリアミド樹脂などのエマルジョン型のポリマーを用いることができる。また、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤に溶解させて塗布するポリマー、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体、ポリエステル系樹脂、ケトン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの溶剤型のポリマーなどを用いて形成できる。中でも、比較的低温で軟化し易いことから、ポリマーとして、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。また、容器の主たる形成材料(合成樹脂)と同種のポリマーをブロッキング部7の形成材料として用いることも好ましい。
上記ポリマーは、水や溶剤に溶解させて適当な粘度に調整して溶液状とし、該溶液を公知の印刷方法等によってベースフィルム31の内面の所定範囲に塗布乾燥することにより、ブロッキング部7を形成することができる。
上記ポリマーの中でも、ガラス転移温度が、45〜100℃のアクリル系樹脂や、ガラス転移温度が、−10〜20℃のウレタン系樹脂を用いることがより好ましい。さらに、ブロッキング部7を設けた後にロール状に巻き取る場合にフィルム間のブロッキング現象を防止する観点から、前記アクリル系樹脂を用いることが特に好ましい。
ブロッキング部7は、上記ポリマーを90質量%(固形分比率)以上含むものが好ましく、さらに95質量%以上、特に99質量%以上含むものがより好ましい。ブロッキング部7は、実質的に滑り成分を含まないものが好ましく、具体的には滑り成分が1質量%以下である。また、ブロッキング部7の形成材料に粘着付与剤が含まれる場合、筒状ラベル1を容器2から除去する際、ブロッキング部7を構成するポリマーが容器2に付着した状態となることを防止する観点から、粘着付与剤の量は5質量%(固形分比率)以下であるが、特に、粘着付与剤が1質量%以下であるものが好ましい。
【0024】
上記ラベル基材3を筒状に成形した筒状体(熱収縮性筒状ラベル1)は、その最内面(容器接触面)の大半が滑り層33で構成されていると共に、該最内面のうち、容器2の胴部下方22aに対応する位置の一部分に、ブロッキング部7が形成されている。
【0025】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器2に装着され、特に、円筒状の胴部を有する可撓性容器2に装着される場合に、本発明の効果を顕著に奏する。
該容器2の形状は、特に限定されないが、例えば、図4に示すように、円筒状外面を有する胴部22と注出口(図示せず)が形成され、この注出口に封緘用のネジキャップ24が取り付けられている。具体的には、容器2は、底面部21、これに続く円筒状外面を有する中空状の胴部22、胴部22から次第に細くなる肩部23が形成され、肩部23の上方に注出口が形成されている。容器2の胴部22及び肩部23の外面は、周方向に実質的に凹凸(リブ等)を有しない平滑曲面に形成されている。さらに、注出口は、外面に雄ネジ部が形成された略円筒状の周壁部と、この周壁部の上端に形成された開口部とからなり、開口部の中心軸が胴部22の中心軸上に一致するように形成されている。ネジキャップ24は、開口部を開閉栓可能であり、注出口の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている(何れも不図示)。従って、ネジキャップ24を中心軸周りに回転させることにより、注出口からネジキャップ24を取り外すことができる。
さらに、該容器2は、底面部21から胴部下方22aに亘って複数の凹み部25が形成されている。この凹み部25は、容器2の周方向に所定間隔を開けて形成されており、この凹み部25は、例えば、5箇所形成されている。一般に、このような凹み部25と該凹み部25間の円弧状の凸部は、ペダロイド型と呼ばれており、炭酸飲料などを収納するのに好適な耐圧容器形状として広く用いられている。容器2の容量は、特に限定されないが、通常、0.35リットル〜2リットル程度のものが例示される。特に、片手で胴部22を持ってネジキャップ24を開栓する容器、例えば、胴部22の周長さが、15cm〜30cm程度の容器に本発明の熱収縮性筒状ラベル1を装着した場合に、空回り防止効果を顕著に発揮する。
【0026】
容器2は、胴部中央22bに於ける肉厚が胴部下方22aに於ける肉厚よりも薄く形成されている。該肉厚の具体的寸法は、一般に、胴部中央22bの肉厚が、0.35〜0.55mm程度、胴部下方22aの肉厚が、0.4〜0.6mm程度が例示される。尚、胴部中央22bとは、容器2の底面部21から胴部22の上端(次第に細くなる肩部23と直胴状の胴部22の境界)までの上下方向長さLの中間点を言う。また、胴部下方22aとは、容器2の底面部21から胴部22の上端までの上下方向長さLの1/4(底面部21から上方へ[L×1/4]長さ)の地点を言うが、上記ペダロイド型の容器の場合には、凹み部25の上端から上方10mmの地点を言う。
また、該容器2は、炭酸飲料などの昇圧性収納物を封入した状態からネジキャップ24を開栓した際に、該ネジキャップ24の開栓後に於ける胴部下方22aの周長さが開栓前の胴部下方22aの周長さの0.980〜1.000倍に縮小するものである。特に、前記胴部下方22aの縮小割合は、0.990〜1.000倍が好ましく、特に、0.995〜1.000倍がより好ましい。
さらに、容器2の胴部中央22bについては、昇圧性収納物を封入した状態からネジキャップ24を開栓した際に、該ネジキャップ24の開栓後に於ける胴部中央22bの周長さが、上記胴部下方22aの周長さの縮小割合(0.980〜1.000倍)よりも大きな割合で縮小するものである。具体的には、胴部下方22aが0.997〜0.999倍に縮小する容器2の場合、ネジキャップ24の開栓後に於ける胴部中央22bの周長さが開栓前の胴部中央22bの周長さの0.988〜0.993倍、容器2の形状などによっては0.992〜0.993倍に縮小するものである。
【0027】
容器2の材質は、合成樹脂製であれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系などが例示でき、通常、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系のブロー成形容器(いわゆるPETボトル)が用いられる。
【0028】
上記熱収縮性筒状ラベル1は、公知の製法に従い、長尺状のラベル基材の両側端部を重ね合わせて筒状に成形し、この筒状ラベル連続体を扁平状にしてロール状に巻き取られ、シュリンクラベラーに装填される。
該熱収縮性筒状ラベル1の最内面は、その大半が滑り層33で構成されているので、筒状ラベル連続体を扁平状にして巻き取っても、内面同士が付着する現象(ブロッキング)を起こす虞がない。
シュリンクラベラーでは、筒状ラベル連続体を所定長さに切断することによって1個の熱収縮性筒状ラベル1とし、これを容器2の胴部22から肩部23にかけて外嵌する。該熱収縮性筒状ラベル1の内面は、その大半が滑り層33で構成されているので、外嵌する際、熱収縮性筒状ラベル1は容器2に対してスムースに滑り、従って、該筒状ラベル1は、皺などを生じることなく、容器2の所定位置に外嵌できる。
【0029】
外嵌後、熱収縮性筒状ラベル1は所定温度に加熱され(例えば90℃のスチームを5秒間当てる等)、該熱収縮性筒状ラベル1は熱収縮して容器2に装着される。
この熱収縮性筒状ラベル1を収縮させるための熱によって、熱収縮性筒状ラベル1の内面に部分的に設けられたポリマー(ブロッキング部7)が軟化し、該ポリマーが、容器2の胴部下方22aの外面に密着する。このようにブロッキング部7が密着したラベル装着済みの容器2は、熱収縮性筒状ラベル1のブロッキング部7と容器2の胴部下方22aの間の摩擦係数が高くなる。
このラベル装着済み容器2のネジキャップ24を開栓すると、内圧が下がり、容器2の胴部22、特に胴部中央22bが比較的大きく縮小する。この点、ブロッキング部7が、開栓後に比較的縮小し難い胴部下方22aの外面に強く密着しているので、ネジキャップ24を回す際に、熱収縮性筒状ラベル1が空回りすることを防止できる。
【0030】
上記熱収縮性筒状ラベル1の容器2に対する装着位置は、特に限定されないが、好ましくは、図5に示すように、ブロッキング部7が、隣り合う凹み部25の間に位置するように装着するのが良い。なぜなら、ブロッキング部7全体が容器2の胴部下方22aの外面に密着して、より確実に空回り防止効果を奏するからである。もっとも、図6(a)、(b)に示すように、ブロッキング部7の下方部分が凹み部25に対面した位置に熱収縮性筒状ラベルを装着しても、ブロッキング部7の上方部分は容器2の外面に密着しているため、空回り防止効果が損なわれるわけではない。
【0031】
次に、本実施形態の変形例を示す。
上記では、ブロッキング部7を構成するポリマーを塗工する部分には、意匠印刷層32が設けられておらず、ベースフィルム32の内面に直接ポリマーを塗工する構成を例示しているが、ポリマーを塗工する部分に意匠印刷層32が設けられていてもよい。
さらに、上記では、ブロッキング部7は、ポリマーを塗工した塗工部から構成されているが、例えば、図7に示すように、ブロッキング部7を設ける範囲に、ベースフィルム31の内面を露出させてもよい。すなわち、容器2の胴部下方22aに対応する筒状体の内面の一部分に、ベースフィルム32を露出させることによって、これをブロッキング部7とすることができる。かかるフィルム露出部(ブロッキング部7)は、熱収縮性筒状ラベル1を構成するベースフィルムであるから、熱収縮性筒状ラベル1の熱収縮温度で軟化しうる。従って、熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮装着した際、該フィルム露出部が、容器2の胴部下方22aの外面に密着する。このようにフィルム露出部からなるブロッキング部7も、上記ポリマー塗工部からなるブロッキング部7と同様に、筒状ラベル1の空回りを防止できる。また、上記フィルム露出部に、コロナ放電処理などの表面処理を施してもよい。かかる処理を行うことで、ブロッキング部7に於ける容器2の外面に対する密着性を高めることができる。コロナ放電処理は、その処理面が好ましくは45ダイン以上、より好ましくは50ダイン以上、特に好ましくは52ダイン以上となるように実施される。本発明者らが実証したところ、コロナ放電処理後の処理面が40ダイン以下であると空回り防止効果は小さく、上記数値以上とすることにより、空回り防止効果の向上を図ることができるからである。
【0032】
さらに、本実施形態に於いて、ブロッキング部7は、1カ所形成されているものを例示したが、胴部下方22aに対応する位置に設けられていれば良く、例えば、容器2の周方向に間隔を開けて複数のブロッキング部7を形成することもできる。
このように、ブロッキング部7を複数設ける場合においては、熱収縮性筒状ラベル1(筒状ラベル連続体)を扁平状にした際、ブロッキング部7同士が重ならないような位置に、複数のブロッキング部7が配置される。これは、扁平状の熱収縮性筒状ラベル1(筒状ラベル連続体)の開口不良を防止するためである。
また、本実施形態のブロッキング部7は、少なくとも胴部下方22aに対応する位置に形成されていれば良いので、例えば、ブロッキング部7は、センターシール部4の内面又は/及び余り代5の内面であってその内面の胴部下方22aに対応する位置に形成されていてもよい。
また、筒状ラベル1の上縁から下縁に亘って、帯状にブロッキング部7を形成してもよい。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態は、余り代の内面にブロッキング部が設けられている熱収縮性筒状ラベルに係る。以下、主として、上記第1実施形態と異なる構成及び作用効果について説明し、同様の構成などについては説明を省略し、用語及び図番を援用する場合がある。
【0034】
本実施形態の熱収縮性筒状ラベル1は、図8に示すように、センターシール部4に於ける少なくとも余り代5の内面にブロッキング部7が形成されている。この余り代5は、上記第1実施形態で示したように、一側端部3aの内側に位置するラベル基材3の他側端部3bが、センターシール部4から周方向に延出された部分であり、筒状体の上端縁から下端縁にかけて帯状に形成されている。この余り代5の幅は、通常、3mm〜7mm程度であるが、特にこの長さに限定されるものではない。
【0035】
このブロッキング部7は、上下帯状の余り代5の内面全体に設けられていてもよいし、余り代5の上下方向に点状に連なって設けられていてもよい。
熱収縮性筒状ラベル1の製造や空回り防止の観点から、ブロッキング部7は、余り代5の内面全体に、帯状に設けられていることが好ましい。
このブロッキング部7は、上記第1実施形態で示したように、熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工することにより形成されていてもよいし、或いは、ベースフィルム31の内面を露出させることにより形成されていてもよい。
ポリマーを塗工してブロッキング部7を形成する場合、図8に示すように、意匠印刷層32が、該ブロッキング部7の設けられる範囲にも、意匠印刷層32が設けられていることが好ましい。なぜなら、上述のようにラベル基材3の一側端部3aの内面には、意匠印刷層32が設けられていないため、余り代5の部分に意匠印刷層32が設けられていないと、熱収縮性筒状ラベルの外観上、意匠印刷のない部分が筋状に現れるからである。
もっとも、センターシール部4に於いて、センターシール部4に於いて、外側に位置する一側端部3aの施された意匠印刷層と内側に位置する他側端部3bに施された意匠印刷層とが、重なるように構成されていれば、外観上、上記筋状部分は現れない。従って、このように構成されている場合には、図8に示すように、余り代5全体に意匠印刷層32を設ける必要性はなく、例えば、余り代5の縁部側に意匠印刷層32を設けない構成に変更することも可能である。
【0036】
また、図9に示すように、余り代5の内面のみならず、センターシール部4に対応する他側端部3bの内面にまでブロッキング部7が形成されていてもよい。
また、特に図示しないが、ブロッキング部7は、余り代5全体(筒状ラベル1の上縁から下縁)に設けられているものに限られず、余り代5の一部、例えば、容器2の胴部下方22aに対応する位置や、筒状ラベル1の上縁部及び下縁部などに設けられていても良い。
尚、筒状体(熱収縮性筒状ラベル1)の最内面のうち、ブロッキング部7が設けられた範囲を除いて、滑り層32が設けられている。
【0037】
本実施形態の熱収縮性筒状ラベル1は、上記第1実施形態と同様に、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器2の少なくとも胴部22に装着される。
該熱収縮性筒状ラベル1も、内面の大半に滑り層33が設けられているので、容器2に対してスムースに外嵌できる。
そして、該熱収縮性筒状ラベル1を加熱した際、余り代5は、それ自身の収縮及び外側に重なった一側端部3aの収縮力によって、容器2の外面側へと強く押圧され、軟化したブロッキング部7が容器2の胴部22の外面に密着する。センターシール部4の近傍は、収縮力が強いため、ブロッキング部7が、容器胴部22の外面に強く押圧されて密着する。このブロッキング部7は、余り代5の上下方向に形成されているので、例えば、開栓時に比較的大きく縮小する胴部中央22bを有する容器2に装着しても、ブロッキング部7が、該容器胴部22の上下部分に於いて強く密着した状態を維持できる。従って、ラベル装着済みの容器を開閉栓する際、熱収縮性筒状ラベル1が空回りすることを防止できる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例を示す。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
熱収縮性フィルムとして厚み50μmのポリスチレン系延伸フィルム(グンゼ包装システム社製、商品名:GMVS)を用い、そのフィルムの片面に、センターシール部を形成する範囲(フィルムの一縁から5mm幅の範囲)及びブロッキング部を形成する範囲(フィルムの下縁から高さ40mm、幅10mmの範囲)を除き、滑り成分を含むアクリル系メジウムインキ(大日精化工業社製、商品名:STR耐熱CSメジウム。ガラス転移温度約50℃)を塗工した。塗工方法は、グラビア印刷法(70線、塗工時の厚み2〜4μm)により行った。
次に、上記ブロッキング部を形成する範囲に、滑り成分を含まないアクリル系メジウムインキ(サカタインクス社製、商品名:エトナ調色用メジウム。ガラス転移温度約50℃)を、溶剤を用いて粘度調整した後、塗工した。なお、塗工方法は、グラビア印刷法(70線、塗工時の厚み2〜4μm)により行った。
このフィルムを、塗工面を内側にして筒状にし、両側端部を接着してセンターシール部を形成することにより、熱収縮性筒状ラベルを作製した。
得られた筒状ラベルを、500mlのペタロイド型PET製容器(東洋製罐製。但し、内部に炭酸飲料を充填したもの)の肩部から胴部下端縁にかけて外嵌し、90℃のスチームトンネルに5秒間曝して熱収縮装着した。
【0040】
このラベル装着済み容器を、23℃で24時間養生して、容器と筒状ラベルの間に残存する水分を除去した。
その後、ラベル装着済み容器のネジキャップを一旦開栓して内圧を下げ、該キャップを再封した。再封後、直ぐに下記開栓トルク試験を行った。
なお、この容器は、開栓後、胴部中央(胴部の中間位置)の周長さが、開栓前の0.989倍に、胴部下方(凹み部の上端から10mm上方位置)の周長さが、開栓前の0.997倍に変形した。
【0041】
開栓トルク試験は、トルク試験機(型名:2TME450CN(最大4.5N・mまで測定可能)、株式会社東日製作所製)を測定した。このトルク試験機のチャック100に、上記ラベル装着済み容器10の注出部分を固定した(図10参照)。なお、この注出部分の固定とは、回転力を加えても開栓しないように固定したものである。
この容器の胴部を筒状ラベルの上から片手で握って、ネジキャップの回転中心軸周りに回転させ、筒状ラベルが空回りし始めた際の最大トルクを測定した。測定は、3サンプル行った。何れのサンプルも、トルク値450cN・m以上(トルク試験機の測定限界)であった。
【0042】
(実施例2)
ブロッキング部を形成する範囲を、フィルムの他縁から10mm幅で且つフィルムの上下縁に亘った帯状の範囲としたこと以外は、実施例1と同様にして熱収縮性筒状ラベルを作製し、同様に、ペタロイド型PET製容器に装着し、開栓トルク試験を行った。なお、この実施例2は、上記第2実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルに対応する。
その結果、何れのサンプルも、トルク値450cN・m以上(トルク試験機の測定限界)であった。
【0043】
(実施例3)
滑り成分を含まないアクリル系メジウムインキを塗工しなかった(つまり、ブロッキング部を形成する範囲は、フィルム面が露出している)こと以外は、実施例1と同様にして熱収縮性筒状ラベルを作製し、同様に、ペタロイド型PET製容器に装着し、開栓トルク試験を行った。
その結果、何れのサンプルも、トルク値450cN・m以上(トルク試験機の測定限界)であった。
【0044】
(実施例4)
熱収縮性フィルムとして、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート系延伸フィルム(東洋紡績社製、商品名:S7042)を用いたこと、及び、滑り成分を含まないインキとして、ウレタン系メジウムインキ(大日精化工業社製、商品名:NTハイラミック調色用メジウム)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱収縮性筒状ラベルを作製し、同様に、ペタロイド型PET製容器に装着し、開栓トルク試験を行った。
その結果、何れのサンプルも、トルク値450cN・m以上(トルク試験機の測定限界)であった。
【0045】
(比較例1)
熱収縮性フィルムとして厚み50μmのポリスチレン二軸延伸フィルム(グンゼ包装システム社製、商品名:GMVS)を用い、そのフィルムの片面に、センターシール部を形成する範囲(フィルムの一縁から5mm幅の範囲)を除き、滑り成分を含むアクリル系メジウムインキ(大日精化工業社製、商品名:STR耐熱CSメジウム。ガラス転移温度約50℃)を塗工した。塗工方法は、グラビア印刷法(70線、塗工時の厚み2〜4μm)により行った。
このフィルムを、塗工面を内側にして筒状にし、両側端部を接着してセンターシール部を形成することにより、熱収縮性筒状ラベルを作製した。
以下、実施例1と同様にして、ペタロイド型PET製容器に装着し、開栓トルク試験を行った。
その結果、3サンプルの平均値で、トルク値83cN・mであった。
【0046】
以上の結果から、実施例1〜4の熱収縮性筒状ラベルは、容器に装着した後、空回りし難いことが判り、一方、比較例1の熱収縮性筒状ラベルは、空回りし易いことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルを示す斜視図。
【図2】同A−A線に於いて、ラベルを周方向で切断した一部省略端面図。
【図3】ラベル基材を内面側から示した斜視図。
【図4】本発明の熱収縮性筒状ラベルが装着される容器の一実施形態を示す正面図。
【図5】ラベル装着済み容器を示す正面図。
【図6】熱収縮性筒状ラベルの装着位置が異なったラベル装着済み容器を示す正面図。
【図7】(a)は、第1実施形態の変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向で切断した一部省略端面図、(b)は、同(a)の熱収縮性筒状ラベルに用いられるラベル基材を内面側から示した斜視図。
【図8】(a)は、第2実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向で切断した一部省略端面図、(b)は、同(a)の熱収縮性筒状ラベルに用いられるラベル基材を内面側から示した斜視図。
【図9】第2実施形態の変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向で切断した一部省略端面図。
【図10】開栓トルク試験の実施状況を示す参考正面図。
【符号の説明】
【0048】
1…熱収縮性筒状ラベル、2…容器、21…容器の底面部、22…容器の胴部、22a…容器の胴部下方、22b…容器の胴部中央、25…容器の凹み部、3…ラベル基材、31…ベースフィルム、32…意匠印刷層、33…滑り層、3a…一側端部、3b…他側端部、3b’…他側端部の側縁、4…センターシール部、5…余り代、7…ブロッキング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に示す容器の胴部に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、
内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムを筒状に成形した筒状体を有し、容器の胴部下方に対応する筒状体の内面の一部分に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられていることを特徴とする熱収収縮性筒状ラベル。
ただし、容器は、胴部と、注出口を開閉栓可能なネジキャップとを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器であって、胴部中央に於ける肉厚が胴部下方に於ける肉厚よりも薄く形成されているものである。
【請求項2】
下記に示す容器の胴部に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、
内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムを筒状に成形した筒状体を有し、容器の胴部下方に対応する筒状体の内面の一部分に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられていることを特徴とする熱収収縮性筒状ラベル。
ただし、容器は、胴部と、注出口を開閉栓可能なネジキャップとを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器であって、ネジキャップの開栓後に於ける胴部下方の周長さが、開栓前の同周長さの0.980〜1.000倍に縮小し、且つネジキャップの開栓後に於ける胴部中央の周長さが、前記胴部下方の周長さの縮小割合よりも大きく縮小するものである。
【請求項3】
下記に示す容器の胴部に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、
内面に滑り層が設けられた熱収縮性のベースフィルムの一側端部を他側端部の外面に重ね合わせてセンターシールすることにより筒状に成形され、ベースフィルムの他側端部の側縁からセンターシール部までの間に、一側端部に非接着な余り代が確保されており、余り代の内面に、ベースフィルムの熱収縮温度で軟化しうるポリマーを塗工したブロッキング部、又は、ベースフィルムを露出させたブロッキング部の少なくとも何れか一方が設けられていることを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
ただし、容器は、胴部と、注出口を開閉栓可能なネジキャップとを有し、大気圧よりも高い状態で収納物が封入された合成樹脂製の可撓性容器である。
【請求項4】
前記容器は、胴部下方に於いて、内側へ凹む複数の凹状部が胴部の周方向に所定間隔を開けて形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性筒状ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−30856(P2008−30856A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146511(P2007−146511)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】