説明

熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法および熱可塑性ポリエステルエラストマー

【課題】優れた耐熱性、耐熱老化性、耐水性、耐光性及び低温特性等を兼備し、かつブロック性保持性の優れた熱可塑性ポリエステルエラストマーおよびその経済的な製造方法を提供すること。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び主として脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなる熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法であって、特定化されたヒドロキシル末端基濃度のポリエステルと該ヒドロキシル末端基濃度に適した分子量範囲の脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造する熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法。また、該方法で得られた特定特性を有した熱可塑性ポリエステルエラストマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法、および熱可塑性ポリエステルエラストマーに関し、詳しくは耐熱性、耐光性、耐熱老化性、耐水性、低温特性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー、特に繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料に用いることのできる熱可塑性ポリエステルエラストマー、さらに詳しくは、弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料に適し、例えば自動車、家電部品などの耐熱老化性、耐水性、低温特性および耐熱性等が要求される用途、例えば、ジョイントブーツや、電線被覆材などに有用な熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法、および熱可塑性ポリエステルエラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、以前よりポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)をはじめとする結晶性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリオキシアルキレン類及び/又はポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンアジペート(PBA)などのポリエステルをソフトセグメントとするものなどが知られ、実用化されている。(例えば、特許文献1、2)
【特許文献1】特開平10−17657号公報
【特許文献2】特開2003−192778号公報
【0003】
しかしながら、ソフトセグメントにポリオキシアルキレン類を用いたポリエステルポリエーテル型エラストマーは、耐水性及び低温特性には優れるものの耐熱老化性に劣ることが、またソフトセグメントにポリエステルを用いたポリエステルポリエステル型エラストマーは、耐熱老化性に優れるものの、耐水性及び低温特性に劣ることが知られている。
【0004】
上記欠点を解決することを目的として、ソフトセグメントにポリカーボネートを用いたポリエステルポリカーボネート型エラストマーが提案されている(例えば、特許文献3〜8参照)。
【特許文献3】特公平7−39480号公報
【特許文献4】特開平5−295049号公報
【特許文献5】特開平6−306202号公報
【特許文献6】特開平10−182782号公報
【特許文献7】特開2001−206939号公報
【特許文献8】特開2001−240663号公報
【0005】
上記の課題は解決されるが、これらの特許文献において開示されているポリエステルポリカーボネート型エラストマーは、原料に用いられるポリカーボネートジオールの分子量が小さい等の理由で、得られるポリエステルポリカーボネート型エラストマーはブロック性や該ポリエステルポリカーボネート型エラストマーを溶融状態で保持したときのブロック性の保持性(以下、単にブロック性保持性と称することもある)が劣るという課題を有している。
【0006】
例えば、ブロック性が低いとポリエステルポリカーボネート型エラストマーの融点が低くなるという課題に繋がるので、例えば、上記したジョイントブーツや電線被覆材の場合に、自動車のエンジン周り等の高温環境下で使用される用途においては耐熱性の不足が問題となることがある。上記特許文献4、7および8においては、ポリエステル成分としてナフタレート骨格を導入することにより高融点化できることが開示されているが、ナフタレート骨格の導入は高価になるので、安価なテレフタレート骨格を有したポリエステル成分での高融点化が望まれている。また、ナフタレート骨格を有したポリエステル成分よりなるポリエステルポリカーボネート型エラストマーについては、コスト上昇に見合うさらなる高融点化が求められている。
【0007】
また、近年、環境負荷やコスト低減の観点より格外製品の再利用あるいは商品のリサイクル使用が求められている。該要求を満たすには高いブロック性保持性が必要である。該
背景より、ブロック性が高く、かつ該ブロック性保持性の優れたポリエステルポリカーボネート型エラストマーの開発が強く嘱望されている。
【0008】
一方、上記特許文献7および8において、ハードセグメントを形成するポリエステル成分とソフトセグメントを形成するポリカーボネートジオール成分とを溶融状態で反応させてブロックポリマーを形成した後に鎖延長剤で高分子量化する製造方法が開示されている。該製造方法はブロックポリマーの分子量を増大させる方法としては有効な方法であるが、上記のブロック性やブロック性保持性は、主としてブロックポリマーを形成する過程の反応の支配を大きく受けるために、該ブロックポリマーを形成した後に鎖延長剤で高分子量化する方法ではブロック性やブロック性保持性を向上させることは困難である。従って、従来技術では、上記の好ましい特性を有した熱可塑性ポリエステルエラストマーが得られていなかった。そのために、上記の好ましい特性を有した熱可塑性ポリエステルエラストマーを経済的に製造するポリエステルポリカーボネート型エラストマーの製造方法の確立が強く嘱望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の熱可塑性ポリエステルエラストマーの有する問題点に鑑み、優れた耐熱性、耐熱老化性、耐水性、耐光性及び低温特性等を兼備し、ブロック性保持性の優れた熱可塑性ポリエステルエラストマーの経済的な製造方法、およびそれにより得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法について鋭意検討した結果、ハードセグメントとなるポリエステルのヒドロキシル末端基濃度に適した分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造することが重要であることを見出して本発明を完成した。すなわち、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び、主として脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなる熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法であって、ヒドロキシル末端基濃度が55〜100eq/tonの芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルと下記分子量範囲の脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造することを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法である。
〔脂肪族ポリカーボネートの分子量範囲〕
脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量の下限を芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が5000で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が40000である点を直線で結んだ線上の分子量以上とし、かつ該分子量の上限を芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が70000で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が80000である点を直線で結んだ線上の分子量以下とした時に、2本の直線で挟まれた範囲の分子量とする。
この場合において、上記脂肪族ポリカーボネートジオールを予め鎖延長剤で高分子量化して分子量調整することが好ましい。
また、本発明は上記製造方法により得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーであって、熱可塑性ポリエステルエラストマーを示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後に、降温速度100℃/分で室温まで降温するサイクルを3回繰り返した時の一回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)が0〜50℃であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマーである。
この場合において、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が200〜225℃であることが好ましい。
また、この場合において、ハードセグメントがポリブチレンナフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が215〜240℃であることが好ましい。
また、この場合において、核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出したハードセグメントの平均連鎖長をx、およびソフトセグメントの平均連鎖長をyとした時に、ハードセグメントの平均連鎖長(x)が5〜20であり、かつ下記(1)式で算出されるブロック性(B)が0.11〜0.45であることが好ましい。
B=1/x+1/y (1)
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法は、ハードセグメントを形成する原料ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度に適合した分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを選択して溶融状態で反応させるという単純な方法で下記特性を有した高品質な熱可塑性ポリエステルエラストマーを経済的に、かつ安定して製造できるという利点を有する。
また、上記製造方法で得られた耐熱性が良好であり、かつ耐熱老化性、耐水性及び低温特性等に優れているというポリエステルポリカーボネート型エラストマーの特徴を維持した上で、ブロック性およびブロック性保持性が改善されている。ブロック性が高いことにより、融点低下による耐熱性の低下が抑制され、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質が向上する。また、ブロック性保持性の改善により、成形加工時におけるブロック性の変動が抑制されるので成形製品の品質の均一性を高めることができる。また、該特性により、リサイクル性が高められるので環境負荷やコスト低減に繋げることができる。従って、このように、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上記した優れた特性および利点を有するので、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料に用いることができる。また、弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料にも適しており、例えば、耐熱老化性、耐水性、低温特性が要求される自動車、家電部品などの用途、具体的には、ジョイントブーツや、電線被覆材などの用途に有用である。特に、自動車のエンジン周りに使用されるジョイントブーツや、電線被覆材などの高度な耐熱性が要求される部品用の材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーについて詳細に説明する。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸は通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、特に限定されないが、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であることが望ましい。その他の酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは樹脂の融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%未満、好ましくは20モル%未満である。
【0013】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントのポリエステルを構成する脂肪族又は脂環族ジオールは、一般の脂肪族又は脂環族ジオールが広く用いられ、特に限定されないが、主として炭素数2〜8のアルキレングリコール類であることが望ましい。具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。1,4−ブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが最も好ましい。
【0014】
上記のハードセグメントのポリエステルを構成する成分としては、ブチレンテレフタレート単位あるいはブチレンナフタレート単位よりなるものが物性、成形性およびコストの点より好ましい。なお、ナフタレート単位の場合は、2,6体が好ましい。
【0015】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるハードセグメントを構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、一般に数平均分子量10000〜40000 を有しているものが望ましい。
【0016】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるソフトセグメントを構成する脂肪族ポリカーボネート鎖は、主として炭素数2〜12の脂肪族ジオール残基からなるものであることが好ましい。これらの脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。特に、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの柔軟性や低温特性の点より炭素数5〜12の脂肪族ジオールが好ましい。これらの成分は、以下に説明する事例に基づき、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明における熱可塑性ポリエステルエラストマーのソフトセグメントを構成する、低温特性が良好な脂肪族ポリカーボネートジオールとしては、融点が低く(例えば、70℃以下)かつ、ガラス転移温度が低いものが好ましい。一般に、熱可塑性ポリエステルエラストマーのソフトセグメントを形成するのに用いられる1,6−ヘキサンジオールからなる脂肪族ポリカーボネートジオールは、ガラス転移温度が−60℃前後と低く、融点も50℃前後となるため、低温特性が良好なものとなる。その他にも、上記脂肪族ポリカーボネートジオールに、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを適当量共重合して得られる脂肪族ポリカーボネートジオールは、元の脂肪族ポリカーボネートジオールに対してガラス転移点が若干高くなるものの、融点が低下もしくは非晶性となるため、低温特性が良好な脂肪族ポリカーボネートジオールに相当する。また、例えば、1,9−ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタンジオールからなる脂肪族ポリカーボネートジオールは融点が30℃程度、ガラス転移温度が−70前後と十分に低いため、やはり、低温特性が良好な脂肪族ポリカーボネートジオールに相当する。
【0018】
上記の脂肪族ポリカーボネートジオールは必ずしもポリカーボネート成分のみから構成されるわけではなく、他のグリコール、ジカルボン酸、エステル化合物やエーテル化合物などを少量共重合したものでもよい。共重合成分の例として、例えばダイマージオール、水添ダイマージオール及びこれらの変性体などのグリコール、ダイマー酸、水添ダイマー酸などのジカルボン酸、脂肪族、芳香族、または脂環族のジカルボン酸とグリコールとからなるポリ又はオリゴエステル、ε−カプロラクトンなどからなるポリエステル又はオリゴエステル、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール又はオリゴアルキレングリコールなどが挙げられる。
【0019】
上記共重合成分は、実質的に脂肪族ポリカーボネートセグメントの効果を消失させない程度用いることができる。具体的には脂肪族ポリカーボネートセグメント100質量部に対して40質量部以下、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。共重合量が多すぎる場合、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーの耐熱老化性、耐水性が劣ったものになる。
【0020】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、発明の効果を消失しない程度に限り、ソフトセグメントとして、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペートなどのポリエステルなどの共重合成分が導入されていてもよい。共重合成分の含有量はソフトセグメント100質量部に対して通常40質量以下であり、好ましくは30質量以下、より好ましくは20質量部以下である。
【0021】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントを構成するポリエステルとソフトセグメントを構成する脂肪族ポリカーボネート及び共重合体成分との質量比は、一般に、ハードセグメント:ソフトセグメント=30:70〜95:5であり、好ましくは40:60〜90:10、より好ましくは45:55〜87:13、最も好ましくは50:50〜85:15の範囲である。
【0022】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上記のような芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び主として脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなるポリエステルエラストマーである。ここで、結合されてなるとは、ハードセグメントとソフトセグメントがイソシアネート化合物などの鎖延長剤で結合されるのではなく、ハードセグメントやソフトセグメントを構成する単位が直接エステル結合やカーボネート結合で結合されている状態をいう。たとえば、ハードセグメントを構成するポリエステル、ソフトセグメントを構成するポリカーボネート及び必要であれば各種共重合成分を溶融下、一定時間のエステル交換反応及び解重合反応を繰返しながら得ることが好ましい(以下ブロック化反応と称することもある)。
【0023】
上記、ブロック化反応は、好ましくはハードセグメントを構成するポリエステルの融点ないし融点+30℃の範囲内の温度において行われる。この反応において、系中の活性触媒濃度は、反応の行われる温度に応じて任意に設定される。すなわち、より高い反応温度においてはエステル交換反応及び解重合は速やかに進行するため、系中の活性触媒濃度は低いことが望ましく、また、より低い反応温度においてはある程度の濃度の活性触媒が存在していることが望ましい。
【0024】
触媒は通常の触媒、例えばチタニウムテトラブトキシド、シュウ酸チタン酸カリウムなどのチタン化合物、ジブチルスズオキシド、モノヒドロキシブチルスズオキシドなどのスズ化合物を1種又は2種以上用いてもよい。触媒はポリエステルもしくはポリカーボネート中にあらかじめ存在してもよく、その場合は新たに添加する必要はない。さらに、ポリエステルもしくはポリカーボネート中の触媒はあらかじめ任意の方法によって部分的又は実質的に完全に失活させておいてもよい。例えば触媒としてチタニウムテトラブトキシドを用いている場合、例えば亜燐酸、燐酸、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール、オルト燐酸、ホスホン酸カルベトキジメチルジエチル、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリメチルなどの燐化合物などを添加することによって失活が行われるが、これに限られるわけではない。
【0025】
上記反応は、反応温度、触媒濃度、反応時間の組み合わせを任意に決定して行なうことができる。すなわち、反応条件は、用いるハードセグメント及びソフトセグメントの種類及び量比、用いる装置の形状、攪拌状況などの種々の要因によってその適正値が変化する。
【0026】
上記反応条件の最適値は、例えば得られるブロック共重合ポリエステルの融点及びハードセグメントとして用いたポリエステルの融点を比較し、その差が2℃〜60℃となる場合である。融点差が2℃未満の場合、両セグメントが混合又は/及び反応しておらず、得られたポリマーは劣った弾性性能を示す。一方、融点差が60℃を超える場合、エステル交換反応の進行が著しいため得られたポリマーのブロック性が低下しており、結晶性、弾性性能などが低下する。
【0027】
上記反応によって得られた溶融混合物中の残存触媒は、任意の方法によってできる限り完全に失活しておくことが望ましい。触媒が必要以上に残存している場合、コンパウンド時、成形時などにエステル交換反応がさらに進行し、得られたポリマーの物性が変動することが考えられる。
【0028】
本失活反応は、例えば前述の様式、すなわち亜燐酸、燐酸、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール、オルト燐酸、ホスホン酸カルベトキジメチルジエチル、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリメチルなどの燐化合物などを添加することによって行われるが、これに限られるわけではない。
【0029】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、少量に限り三官能以上のポリカルボン酸、ポリオールを含んでもよい。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリンなどを使用できる。
【0030】
さらに、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーには、目的に応じて種々の添加剤を配合して組成物を得ることができる。添加剤としては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
【0031】
本発明において配合することができるヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−トルエン、n−オクタデシル−β−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6'−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−モノエチル−ホスフェート)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ビス〔3,3−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)酪酸〕グリコールエステル、トリフェノール、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、N,N'−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2,2'−オキサミドビス〔エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,1,3−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミックアヒドトリエステルウイズ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナアミド)、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどを挙げることができる。
【0032】
本発明において配合することができる硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3'−チオジウロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル、ジラウリルチオジプロピオネート、ジオクタデシルサルファイド、ペンタエリストリール−テトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステルなどを挙げることができる。
【0033】
本発明において配合することができる燐系酸化防止剤としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノリルフェニル)フォスファイト、トリス(2,3−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンフォスファナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストール−ジ−フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、トリドデシルトリチオホスファイトなどを挙げることができる。
【0034】
本発明において配合することができるアミン系酸化防止剤としては、N,N−ジフェニルエチレンジアミン、N,N−ジフェニルアセトアミジン、N,N−ジフェニルフルムアミジン、N−フェニルピペリジン、ジベンジルエチレンジアミン、トリエタノールアミン、フェノチアジン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4'−テトラメチル−ジアミノジフェニルメタン、P,P'−ジオクチル−ジフェニルアミン、N,N'−ビス(1,4−ジメチル−ペンチル)−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β- ナフチルアミン、4,4'−ビス(4−α,α−ジメチル−ベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン類及びその誘導体やアミンとアルデヒドの反応生成物、アミンとケトンの反応生成物から挙げることができる。
【0035】
本発明において配合することができるヒンダードアミン系光安定剤としては、琥珀酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミル〕〕、2−n−ブチルマロン酸のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、ポリ〔(N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン)−(4−モノホリノ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラミチルピペラジノン)〕、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,6,11−トリス〔{4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ}ウンデカン、1−〔2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトロメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などを挙げることができる。
【0036】
本発明において配合することができるベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアゾール系、ニッケル系、サリチル系光安定剤としては、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'、5'−ビス(α,α−ジメチルベンジルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンアゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾチリアゾール、2,5−ビス−〔5'−t−ブチルベンゾキサゾリル−(2)〕−チオフェン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル燐酸モノエチルエステル)ニッケル塩、2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エチルオキサリックアシッド−ビス−アニリド85〜90%と2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エチル−4'−t−ブチルオキサリックアシッド−ビス−アニリド10〜15%の混合物、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−エトキシ−2'−エチルオキサザリックアシッドビスアニリド、2−〔2'−ヒドロオキシ−5'−メチル−3'−(3'',4'',5'',6''−テトラヒドロフタルイミド−メチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、サリチル酸フェニルなどの光安定剤を挙げることができる。
【0037】
本発明において配合することができる滑剤として炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石鹸系、天然ワックス系、シリコーン系、フッ素系化合物などが挙げられる。具体的には、流動パラフィン、合成パラフィン、合成硬質パラフィン、合成イソパラフィン石油炭化水素、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン、フルオロカルボン油、炭素数12以上のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸化合物、ヘキシルアミド、オクチルアミド、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、エチレンビスステアリルアミド、ラウリルアミド、ベヘニルアミド、メチレンビスステアリルアミド、リシノールアミドなどの炭素数3〜30の飽和或いは不飽和脂肪族アミド及びその誘導体、脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステルであるブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレートなど、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、分子量200ないし10000以上のポリエチレングリコール、ポリグリセロール、カルナウバロウ、カンデリラロウ、モンタンロウ、ジメチルシリコーン、シリコンガム、四フッ化エチレンなどの滑剤が挙げられる。また、直鎖飽和脂肪酸、側鎖酸、シノール酸を有する化合物からなる金属塩で金属が(Li,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Al,Sn,Pb)から選ばれた金属石鹸も挙げることができる。
【0038】
本発明において配合することができる充填剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、酸化クロム(三価)、酸化鉄、酸化亜鉛、シリカ、珪藻土、アルミナ繊維、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーンなどの酸化物や水酸化マウネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの塩基性物又は水酸化物又は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩又は、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウムなどの(亜)硫酸塩又は、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、モンモリナイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ペントナイトなどの珪酸塩又は、カオリン(陶土)、パーライト、鉄粉、銅粉、鉛粉、アルミニウム粉、タングステン粉、硫化モリブデン、カーボンブラック、ボロン繊維、炭化珪素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硼酸亜鉛、硼酸アルミニウム、メタ硼酸バリウム、硼酸カルシウム、硼酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0039】
本発明で配合することができる難燃助剤としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ソーダ、二酸化錫、メタ硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、赤燐系化合物、ポリリン酸アンモニウム塩、メラミンシアヌレート、四フッ化エチレンなどが挙げられる。
【0040】
本発明で配合することができるトリアジン基を有する化合物及び/又はその誘導体としては、メラミン、メラミンシアヌレート、燐酸メラメン、スルファミン酸グアニジンなどが挙げられる。
【0041】
本発明で配合することができる燐化合物の無機系燐化合物としては、赤燐系化合物、ポリリン酸アンモニウム塩などが挙げられる。赤燐系化合物としては、赤燐に樹脂をコートしたもの、アルミニウムとの複合化合物などが挙げられる。有機系燐化合物としては、燐酸エステル、燐酸メラミンなどが挙げられる。燐酸エステルとしては、ホスフェート類、ホスホネート類、ホスフィネート類のトリメチルホスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルホスフェート、トリオクチルフォスフィート、トリブトキシエチルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリス・イソプロピルフェニルフォスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、ビス(1,3−フェニレンジフェニル)ホスフェート、芳香族縮合燐酸エステルの1,3−〔ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)ホスフェニルオキシ〕ベンゼン、1,4−〔ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)ホスフェニルオキシ〕ベンゼンなどが耐加水分解や熱安定性、難燃性から好ましい。
【0042】
これらの添加物の配合方法としては、加熱ロール、押出機、バンバリミキサーなどの混練機を用いて配合することができる。また、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を製造する際のエステル交換反応の前又は重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び混合することができる。
【0043】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ハードセグメントとしてポリエステル単位及びフトセグメントとして脂肪族ポリカーボネート単位を有するが、その1つの単独重合体構造単位を構成する繰返し単位の繰返し数の平均値を平均連鎖長といい、本明細書においては、特に指示がない限り、核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した値を示す。
【0044】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、該熱可塑性ポリエステルエラストマーの示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後に、降温速度100℃/分で室温まで降温するサイクルを3回繰り返した時の一回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)が0〜50℃であることが重要である。該融点差は0〜40℃がより好ましく、0〜30℃がさらに好ましい。該融点差は熱可塑性ポリエステルエラストマーのブロック性保持性の尺度であり、温度差が小さい程ブロック性保持性に優れている。該融点差が50℃を超えた場合は、ブロック性保持性が悪化し、成形加工時における品質変動が大きくなり成形製品の品質の均一性の悪化やリサイクル性の悪化に繋がる。
【0045】
上記特性を満たすことにより、後述の本発明熱可塑性ポリエステルエラストマーの有する優れたブロック性の効果を有効に活かすことができる。
【0046】
本発明においては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が200〜225℃であることが好ましい。205〜225℃がより好ましい。
【0047】
また、本発明においては、ハードセグメントがポリブチレンナフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が215〜240℃であることが好ましい。220〜240℃がより好ましい。
【0048】
ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート単位やポリブチレンナフタレート単位である場合は、市販されているポリエステルであるポリブチレンテレフタレートやポリブチレンナフタレートを用いることができるので経済性の点で有利である。
【0049】
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が上記下限未満では、ブロック性が低くなり、熱可塑性ポリエステルエラストマーの耐熱性や機械特性が悪化するので好ましくない。逆に、上記上限を超えた場合は、ハードセグメントとソフトセグメントとの相溶性が低下し熱可塑性ポリエステルエラストマーの機械特性が悪化するので好ましくない。
【0050】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ハードセグメントとしてポリエステル単位及びソフトセグメントとして脂肪族ポリカーボネート単位を有するが、その1つの単独重合体構造単位を構成する繰返し単位の繰返し数の平均値を平均連鎖長といい、本明細書においては、特に指示がない限り、核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した値を示す。
【0051】
該核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出したハードセグメントの平均連鎖長をx、およびソフトセグメントの平均連鎖長をyとした時に、ハードセグメントの平均連鎖長(x)が5〜20であり、かつ下記(1)式で算出されるブロック性(B)が0.11〜0.45であることが好ましい。
B=1/x+1/y (1)
【0052】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ハードセグメント構成成分であるポリエステル単位の平均連鎖長が5〜20が好ましい。より好ましくは7〜18、さらに好ましくは9〜16の範囲である。
【0053】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいては、ハードセグメントのポリエステル単位の平均連鎖長(x)は、該熱可塑性ポリエステルエラストマーのブロック性を決定する重要な因子であり、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点に大きく影響を及ぼす。一般にポリエステル単位の平均連鎖長(x)が増加するにつれ熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点も上昇する。さらに、このハードセグメントのポリエステル単位の平均連鎖長(x)は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの機械的性質にも影響を与える因子である。ハードセグメントのポリエステル単位の平均連鎖長(x)が5より小さい場合、ランダム化が進行していることを意味し、融点の低下による耐熱性の低下、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質の低下が大きい。ハードセグメントのポリエステル単位の平均連鎖長(x)が20より大きい場合は、ソフトセグメントを構成する脂肪族カーボネートジオールとの相溶性が低下し、相分離を起こし、機械的性質に大きく影響を及ぼし、その強度、伸度を低下させる。
【0054】
また、ブロック性(B)は、0.11〜0.45であることが好ましい。0.13〜0.40がより好ましく、0.15〜0.35がさらに好ましい。該数値が大きくなる程ブロック性が低下する。該ブロック性が0.45を超えた場合は、ブロック性の低下により熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が低下する等のポリマー特性が低下するので好ましくない。逆に、0.11未満では、ハードセグメントとソフトセグメントの相溶性が低下し、熱可塑性ポリエステルエラストマーの強伸度や耐屈曲性等の機械的特性の悪化や該特性の変動の増大が引き起こされるので好ましくない。
なお、ここで、上記ブロック性は下記(1)式で算出される。
B=1/x+1/y (1)
【0055】
上記関係より、ソフトセグメントの平均連鎖長(y)は4〜15が好ましい。
上記のブロック性を満たすことにより初めて高度な耐熱性と機械的特性の両立を図ることが可能となった。
【0056】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの切断時の引張強度は、15〜100MPaであり、好ましくは20〜60MPaである。
【0057】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの切断時の引張強度は、15〜100MPaであり、好ましくは20〜60MPaであることが好ましい。
【0058】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマーの曲げ弾性率が1000MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率は800MPa以下がより好ましく、600MPa以下がさらに好ましい。曲げ弾性率は1000MPaを超えた場合は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの柔軟性が不足するので好ましくない。下限は、50MPa以上が好ましく、80MPa以上がさらに好ましく、より100MPaであることが好ましい。50MPaを下回る場合には、熱可塑性ポリエステルエラストマーが柔らかすぎて、製品の強度を確保することが出来ない。
【0059】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、測定方法の項で記述する方法で評価される熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の耐熱老化テスト後および耐水老化テスト後の切断時伸び保持率が70%以上であることが好ましい。
【0060】
本発明においては、上記熱可塑性ポリエステルエラストマーを芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステル(以下、単にポリエステルと称することもある)のヒドロキシル末端基濃度に適した分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造することが重要である。すなわち、ヒドロキシル末端基濃度が55〜100eq/tonのハードセグメントとなる芳香族ポリエステルと下記分子量範囲の脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造することが好ましい。
【0061】
上記製造方法における脂肪族ポリカーボネートの分子量は以下の範囲を満たすことが好ましい。すなわち、脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量の下限をポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が5000で、ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が40000である点を直線で結んだ線上の分子量以上とし、かつ該分子量の上限をポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が70000で、ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が80000である点を直線で結んだ線上の分子量以下とした時に、2本の直線で挟まれた範囲の分子量とすることが好ましい。下限はポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が7000で、ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が42000である点を直線で結んだ線上の分子量以上がより好ましい。一方、上限はポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が70000で、ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が80000である点を直線で結んだ線上の分子量以下がより好ましい。上記分子量の上限が80000であるという制限はこれ以上の分子量のものを製造することが困難であるという点も含まれている。
【0062】
上記上限範囲を超えた場合は、ハードセグメントとソフトセグメントの相溶性が低下し、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの強伸度等の機械的特性が低下するとともに、該特性の変動が大きくなるので好ましくない。上記分子量の上限が80000であるという制限には、これ以上の分子量のものを製造することが困難であるという点も含まれている。逆に、下限未満の範囲ではブロック性やブロック性保持性が悪化するので好ましくない。
【0063】
上記のポリエステルのヒドロキシル末端基濃度と脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量の好ましい分子量の関係を図1に示す。
【0064】
上記ポリエステルは、前述した組成や分子量を有し、かつヒドロキシル末端基濃度が55〜100eq/tonであればその組成や製造方法は限定されない。また、ヒドロキシル末端基濃度の調整方法も限定されない。例えば、該ポリエステルの製造条件の最適化で行うのが好ましい。また、定法で得られたポリエステルの加水分解や熱分解等の分解方法や酸無水物や環状エーテル等による末端基変性法等で行う方法が挙げられる。また、加グリコールあるいは加ジカルボン酸分解で行ってもよい。
【0065】
本発明における脂肪族ポリカーボネートジオール分子量の調整方法は限定されないが、例えば、市販されている脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量は、本発明の好ましい分子量範囲よりも低い範囲であるので、該市販されている低分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを予め鎖延長剤で高分子量化して分子量を調整する方法が好ましい。すなわち、予め鎖延長剤で高分子量化して脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を上記最適化範囲になるように調整してからブロック化反応に供給して反応を行うのが好ましい。
【0066】
上記の市販されている低分子量品を用いる方法は、任意の分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを容易に製造することができ、かつ該製造は本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造装置を用いてインプラントで行うこともできるので、その経済的効果は大きい。また、上記方法は、鎖延長剤と脂肪族ポリカーボネートジオールの仕込み比を変えるという単純な方法で、市販品の低分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを用いて嘱望される任意の分子量に対応できるという利点を有する。
【0067】
上記の鎖延長剤は、脂肪族ポリカーボネートジオールの末端ヒドロキシル基と反応性を有する官能基を一分子中に2個以上を含んだ多官能性の活性化合物であれば限定されない。
官能基数は2個以上であれば限定されないが、2官能性のものが好ましい。例えば、ジフェニルカーボネート、ジイソシアネートおよびジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
少量であれば3官能性以上の多官能性化合物を用いてもよい。ジフェニルカーボネートに替えて、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどのカーボネート化合物を用いてもよい。また、エチレンカーボネート等の環状カーボネートやジチオカーボネート化合物であってもよい。また、ジフェニルカーボネートのフェノキシ基に替えて、イミダゾールやラクタム等の含窒素化合物残基のカルボニル化合物であってもよい。
【0068】
上記方法における高分子量化する前の低分子量脂肪族ポリカーボネートジオールは市販品を利用するのが好ましいが限定されない。例えば、脂肪族ポリカーボネートジオールとして特殊な共重合体を必要とする場合等においては特別に調製したものを用いてもよい。
【0069】
上記方法において、得られる脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量の調整は、出発原料である脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量および該脂肪族ポリカーボネートジオールと鎖延長剤との仕込み比を変えることにより行うことができる。また、反応時間によっても調整できる。得られる脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量は、出発原料の分子量が高い程、また、鎖延長剤の仕込み比が小さくなる程高くなる。目標とする分子量に合わせて適宜設定すればよい。
【0070】
上記方法で実施する場合の反応方法は、最終分子量より分子量の低い分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールと鎖延長剤とを反応器中で混合し行えば、反応温度や反応時間、攪拌条件等の反応条件は限定されないが、例えば、該分子量調整を2段階以上の多段階に分割して行う方法が推奨される。すなわち、所定量の仕込み比で所定時間反応させた後に、得られた脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を測定して、該分子量が目的の分子量より低い場合は、鎖延長剤を追加添加し、逆に、分子量が高すぎる時は原料の脂肪族ポリカーボネートジオールを追加添加してさらに反応を続行することにより分子量調整するのが好ましい。該方法を繰り返すことにより分子量の調整精度を高めることができる。
【0071】
本発明においては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルと上記高分子量化してなる脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造することが好ましい。該要件を満たせば、製造条件等は限定されないが、例えば、以下の方法で実施するのが好ましい。
【0072】
例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレートを用いて該ポリブチレンテレフタレートと高分子量化された1,6−ヘキサンジオールからなるポリカーボネートジオールとを所定量を一括して反応缶に仕込み、不活性ガスで反応缶内の酸素を除去した後、反応缶内の圧力を減圧にする。該反応缶内の圧力は400Pa以下が好ましい。270Pa以下がより好ましく、140Pa以下がさらに好ましい。減圧度を保ったまま、攪拌させ、徐々に昇温させていき、反応物を溶解させながら、ポリブチレンテレフタレートの融点に対して5〜40℃高い温度で反応を進行させる。該温度差は、7〜35℃高い温度がより好ましく、10〜30℃高い温度がさらに好ましい。該温度差が5℃より低いと、ポリブチレンテレフタレートが固化し、均一混合ができないため、得られる熱可塑性ポリエステル系エラストマーの品質にバラツキが出てしまう可能性がある。また、40℃よりも高い温度であると、反応の進行が早すぎるため、ランダム化され、耐熱性に乏しい熱可塑性ポリエステル系エラストマーができてしまう。反応時間としては、360分より短いことが好ましく、300分より短いことがより好ましく、240分より短いことがさらに好ましい。反応時間が長くなりすぎると、生産サイクルが伸び、製造コストが上がる要因となる。それぞれの原料が均一になった時点で反応を終了させ、攪拌を停止し、反応缶下部の取り出し口より溶融した熱可塑性ポリエステル系エラストマーを取り出し、冷却固化させて、ストランドカッターなどのチップカッターで熱可塑性ポリエステル系エラストマーのチップを得る。
【実施例】
【0073】
以下に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するがそれらに限定されるものではない。なお、本明細書において各測定は、以下の方法に従って行った。
(1)熱可塑性ポリエステルエラストマーの還元粘度
熱可塑性ポリエステルエラストマー0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0074】
(2)熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点(Tm)
50℃で15時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマーを示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて室温から20℃/分で昇温し測定し、融解による吸熱のピーク温度を融点とした。
なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、アルゴン雰囲気で測定した。
【0075】
(3)熱可塑性ポリエステルエラストマーの切断時の引張強度および伸び
熱可塑性ポリエステルエラストマーの切断時の引張強度および伸びをASTM D638に準拠して測定した。テストピースは、射出成形機(山城精機社製、model−SAV)を用いて、シリンダー温度(Tm+20℃)、金型温度30℃で、100mm×100mm×2mmの平板に射出成形した後、ダンベル状3号形の試験片を平板から打ち抜いた。
【0076】
(4)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して測定した。
【0077】
(5)耐熱老化性(耐熱老化テスト後の切断時伸び保持率)
<試験片の作製>
100℃で8時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマーのペレット100質量部に多官能エポキシ化合物を0.35質量部、触媒0.2質量部、安定剤1.2質量部をドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間混合した。該混合物をベント孔付40mmφ同方向2軸押出機を用いて(Tm+20℃)の温度で溶融混練してストランド状に押出し、ストランドを水冷しながら切断してチップ化した。該チップを100℃にて減圧乾燥して熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーを射出成形機(山城精機社製、model−SAV)を用いて、シリンダー温度(Tm+20℃)、金型温度30℃で、100mm×100mm×2mmの平板に射出成形した後、該平板よりダンベル状3号形の試験片を打ち抜いた。
<乾熱処理、切断時伸び保持率評価>
上記方法で得た試験片をギヤ式熱風乾燥機中で180℃、1000時間処理した後、ASTM D638に準拠して切断時伸びを測定した。乾熱処理していない試験片についても同様の方法で切断時伸びを測定し、乾熱処理後の切断時伸びの保持率を計算した。
【0078】
(6)耐水老化性(耐水老化テスト後の切断時伸び保持率)
<試験片の作製>
上記の耐熱老化性測定方法で記述したと同じ方法で作製した。
<沸水処理、切断時伸び保持率評価>
試験片を100℃の沸水中で、2週間処理した後、ASTM D638に準拠して切断時伸びを測定した。沸水中で処理していない試験片についても同様の方法で切断時伸びを測定し、沸水処理後の切断時伸びの保持率を計算した。
【0079】
(7)ハードセグメント、ソフトセグメントの平均連鎖長およびブロック性(ポリエステルのグリコール成分がブタンジオールで脂肪族ポリカーボネートジオール中のグリコールが炭素数5〜12の脂肪族ジオールの場合)
〔NMR測定〕
装置 : フーリエ変換核磁気共鳴装置(BRUKER製AVANCE500)
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム
試料溶液濃度 : 3〜5vol%
1H共鳴周波数 : 500.13MHz
検出パルスのフリップ角: 45°
データ取り込み時間: 4秒
遅延時間 : 1秒
積算回数 : 50〜200回
測定温度 : 室温
【0080】
〔計算方法〕
芳香族ジカルボン酸−ブタンジオール−芳香族ジカルボン酸連鎖のブタンジオールの、酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をAとする。
芳香族ジカルボン酸−ブタンジオール−炭酸連鎖のブタンジオールの、炭酸に近い方の酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をCとする。
芳香族ジカルボン酸−炭素数5〜12の脂肪族ジオール−炭酸連鎖のヘキサンジオールの、芳香族ジカルボン酸に近い方の酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をBとする。
炭酸−炭素数5〜12の脂肪族ジオール−炭酸連鎖の炭素数5〜12の脂肪族ジオールの、酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をDとする。
ハードセグメント平均連鎖長(x)は、
x = (((A/4)+(C/2))/((B/2)+(C/2)))×2。
ソフトセグメント平均連鎖長(y)は、
y = (((D/4)+(B/2))/((B/2)+(C/2)))×2。
ブロック性(B)は上記方法で求めたxおよびyの値より下記(1)式で算出した。Bの値が小さい方がブロック性が高い。
B=1/x+1/y (1)
【0081】
(8)ブロック性保持性
50℃で15時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマーを、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調整した後、示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて、窒素雰囲気のもと昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素中に漬け込み急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取出し、室温で30分間放置した。測定試料パンを示差走査熱量計にセットして室温で30分間放置した後、再び昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温する。このサイクルを3回繰り返した時の一回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)を求め、該融点差をブロック性保持性とした。該温度差が小さい程ブロック性保持性に優れている。
上記方法で評価した融点差により、ブロック性保持性を下記基準で判定し表示した。
◎:融点差0〜30℃
○:融点差30〜40℃
△:融点差40〜50℃
×:融点差50℃以上
【0082】
(9)脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量
重水素化クロロホルム(CDCl3)に脂肪族ポリカーボネートジオールサンプルを溶解させ、上記(7)に記載したと同様の方法でH−NMRを測定することにより末端基を算出し、下記式にて求めた。
分子量=1000000/((末端基量(当量/トン))/2)
【0083】
(10)芳香族ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度
試料15mgを重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP−d2)+重水素化クロロホルムCDCl3(1+1) 0.1mlに溶解し、0.0125Mのトリエチルアミン(TEA)を含む0.42mlのCDCl3で希釈させ、重ピリジン30μlを添加し、上記(7)に記載したのと同様の方法でH−NMRを測定した。
【0084】
(11)芳香族ポリエステルの数平均分子量(Mn)
上記の熱可塑性ポリエステルエラストマーの還元粘度測定方法と同様の方法で測定して求めた還元粘度(ηsp/c)の値を用いて下記式に従って算出した。
ηsp/c=1.019×10-4 × Mn0.8929−0.0167
【0085】
実施例1
〔脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量調整〕
脂肪族ポリカーボネートジオール(宇部興産社製カーボネートジオールUH−CARB200、分子量2000、1,6−ヘキサンジオールタイプ)100質量部とジフェニルカーボネート8.6質量部とをそれぞれ反応缶に仕込み、徐々に昇温させて、温度205℃に加熱した。その後、徐々に減圧させ、130Paで反応させた。2時間後、内容物を冷却し、ポリマーを取り出した。分子量10000であった。
〔熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造〕
数平均分子量30000で、ヒドロキシル末端基濃度が60eq/tonであるポリブチレンテレフタレート(PBT)100質量部と上記方法で調製した数平均分子量10000を有するポリカーボネートジオール43質量部とを225℃〜245℃、130Pa下で1時間攪拌し、樹脂が透明になったことを確認し、内容物を取り出し、冷却し、ポリマーを得た。得られたポリマーの各物性を測定し、その結果を表1に示す。本実施例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはいずれの特性も良好であり高品質であった。
【0086】
実施例2および3
実施例1の脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量調整方法において、ジフェニルカーボネーの仕込み量を10.2質量部および10.5質量部に変更し、実施例1と同様の方法で数平均分子量を38000および68000の脂肪族ポリカーボネートジオールを得た。該分子量の脂肪族ポリカーボネートジオール用いるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施例2および3の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表1に示す。
本実施例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーは実施例1で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーと同等の品質を有しており高品質であった。
【0087】
比較例1
実施例1の脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量調整方法において、ジフェニルカーボネーの仕込み量を10.7質量部に変更し、実施例1と同様の方法で数平均分子量を80000に調整した脂肪族ポリカーボネートジオールを用いるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはハードセグメントとソフトセグメントとの相溶性が悪いため、引張強度等の機械的特性が劣るとともに、該特性の変動が大きく低品質であった。
【0088】
比較例2
実施例1の脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量調整方法において、ジフェニルカーボネーの仕込み量を6.4質量部に変更し、実施例1と同様の方法で数平均分子量を5000に調整した脂肪族ポリカーボネートジオールを用いるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表3に示す。
本比較例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはブロック性やブロック性保持性が劣っていた。さらに、還元粘度が低く、耐熱老化性が劣っており低品質であった。また、分子量が低いために、曲げ弾性率を測定できなかった。
【0089】
実施例4〜8
PBTのヒドロキシル末端基濃度および脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を表1に記載したものを原料とする以外は、実施例1と同様の方法で実施例4〜8の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表1に示す。
これらの実施例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはいずれもが、実施例1で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーと同等の品質を有しており高品質であった。
【0090】
比較例3および4
PBTのヒドロキシル末端基濃度および脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を表2に記載したものを原料とする以外は、実施例1と同様の方法で比較例3および4の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表2に示す。
これらの比較例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはどちらもが、比較例2で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーと同様にブロック性やブロック性保持性が劣っていた。さらに、還元粘度が低く、耐熱老化性が劣っており低品質であった。また、分子量が低いために、曲げ弾性率は小さかった。
【0091】
比較例5
実施例8の方法において、脂肪族ポリカーボネートジオールの数平均分子量を80000に変更する以外は、実施例8と同様の方法で比較例5の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはハードセグメントとソフトセグメントとの相溶性が悪いため、引張強度等の機械的特性が劣り低品質であった。
【0092】
上記実施例4〜8および比較例3〜5において用いたPBTのヒドロキシル末端基濃度の調整は該PBTの製造条件の変更により行った。また、脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量調整は実施例1と同様に原料脂肪族ポリカーボネートジオールと鎖延長剤の仕込み比や反応条件の最適化で実施した。この場合の分子量の微調整は必要に応じて2段階以上の多段階に分割して行った。すなわち、所定量の仕込み比で所定時間反応させた後に、得られた脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を測定して、該分子量が目的の分子量より低い場合は、鎖延長剤を追加添加し、逆に、分子量が高すぎる時は原料の脂肪族ポリカーボネートジオールを追加添加してさらに反応を続行することにより行った。
【0093】
実施例9
数平均分子量33000で、ヒドロキシル末端基濃度が60eq/tonであるポリブチレンナフタレート(PBN:ナフタレート部は2,6体)100質量部と上記方法で調製した数平均分子量380000を有するポリカーボネートジオール43質量部とを反応缶に仕込み、攪拌しながら、徐々に昇温させて、265℃とした。缶内は130Paを保ち、内温が265℃に到達後、1時間で樹脂が透明になったことを確認し、内容物を取り出し、冷却し、ポリマーを得た。得られたポリマーの各物性を測定し、その結果を表3に示す。本実施例で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはいずれの特性も良好であり高品質であった。
【0094】
比較例6および7
実施例9の方法において、それぞれ脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を50000および80000のものに変更する以外は、実施例9と同様の方法で比較例6および7の熱可塑性ポリエステルエラストマーを得た。その結果を表3に示す。
比較例6で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはブロック性やブロック性保持性が劣っていた。さらに、還元粘度が低く、耐熱老化性が劣っており低品質であった。また、分子量が低いために、曲げ弾性率を測定できなかった。比較例7で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーはハードセグメントとソフトセグメントとの相溶性が悪いため、引張強度等の機械的特性が劣るとともに、該特性の変動が大きく低品質であった。
【0095】
上記実施例および比較例において用いた脂肪族ポリカーボネートジオールはいずれもが
末端基はその85〜100%がヒドロキシル末端基であり、残り0〜15%が鎖延長剤残基よりなるものであった。
【0096】
実施例1〜8および比較例1〜5で得られた熱可塑性エラストマーの特性をPBTのヒドロキシル末端基濃度と脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量との関係図にプロットし、図2として表示した。該特性はハードセグメントとソフトセグメントとの相溶性が悪いものを星印で、ブロック性やブロック性保持性が劣っているものをバツ印で、両方の特性を満たすものをマル印で表示した。なお、図中の直線は本発明における好ましい分子量範囲を示している。ハードセグメント成分であるPBTのヒドロキシル末端基濃度に適した分子量範囲の脂肪族ポリカーボネートジオールを用いることが上記特性の両方を満足させる点で臨界的な要因であることが理解できる。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
以上、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法は、原料ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度に適合した分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを選択して溶融状態で反応させるという単純な方法で下記特性を有した高品質な熱可塑性ポリエステルエラストマーを経済的に、かつ安定して製造できるという利点を有する。
また、上記製造方法で得られた耐熱性が良好であり、かつ耐熱老化性、耐水性及び低温特性等に優れているというポリエステルポリカーボネート型エラストマーの特徴を維持した上で、ブロック性およびブロック性保持性が改善されている。ブロック性が高いことにより、融点低下による耐熱性の低下が抑制され、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質が向上する。また、ブロック性保持性の改善により、成形加工時におけるブロック性の変動が抑制されるので成形製品の品質の均一性を高めることができる。また、該特性により、リサイクル性が高められるので環境負荷やコスト低減に繋げることができる。従って、このように、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上記した優れた特性および利点を有するので、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料に用いることができる。また、弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料にも適しており、例えば、耐熱老化性、耐水性、低温特性が要求される自動車、家電部品などの用途、具体的には、ジョイントブーツや、電線被覆材などの用途に有用である。特に、自動車のエンジン周りに使用されるジョイントブーツや、電線被覆材などの高度な耐熱性が要求される部品用の材料として好適に用いることができる。従って、産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の原料ポリエステルのヒドロキシル末端基濃度と該ヒドロキシル末端基濃度に適した脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量との関係である。
【図2】実施例1〜8および比較例1〜5で得られた熱可塑性エラストマーの特性をPBTのヒドロキシル末端基濃度と脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量との関係図にプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び、主として脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなる熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法であって、ヒドロキシル末端基濃度が55〜100eq/tonの芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルと下記分子量範囲の脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造することを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法。
〔脂肪族ポリカーボネートの分子量範囲〕
脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量の下限を芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が5000で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が40000である点を直線で結んだ線上の分子量以上とし、かつ該分子量の上限を芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が55eq/tonの時が70000で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルのヒドロキシル末端基濃度が100eq/tonの時が80000である点を直線で結んだ線上の分子量以下とした時に、2本の直線で挟まれた範囲の分子量とする。
【請求項2】
上記脂肪族ポリカーボネートジオールを予め鎖延長剤で高分子量化して分子量調整することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2の製造方法により得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーであって、熱可塑性ポリエステルエラストマーを示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後に、降温速度100℃/分で室温まで降温するサイクルを3回繰り返した時の一回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)が0〜50℃であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー。
【請求項4】
ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が200〜225℃であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー。
【請求項5】
ハードセグメントがポリブチレンナフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が215〜240℃であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー。
【請求項6】
核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出したハードセグメントの平均連鎖長をx、およびソフトセグメントの平均連鎖長をyとした時に、ハードセグメントの平均連鎖長(x)が5〜20であり、かつ下記(1)式で算出されるブロック性(B)が0.11〜0.45であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー。
B=1/x+1/y (1)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−191664(P2007−191664A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13808(P2006−13808)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】