説明

熱可塑性樹脂シートの分離方法及び分離装置

【課題】基材から熱可塑性樹脂層を均一に且つ効率よく取り除くことができる、熱可塑性樹脂シートの分離方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る分離装置100は、熱可塑性樹脂シート1を連続的に繰り出す巻出部10、熱可塑性樹脂層3が軟化する温度以上に熱可塑性樹脂シート1を加熱する加熱部20、軟化した熱可塑性樹脂層3を基材2から掻き取る掻き取り部30、掻き取られた熱可塑性樹脂層3を装置の外部に排出する排出コンベア40、熱可塑性樹脂層3を掻き取った後の基材を巻き取る巻取部50、熱可塑性樹脂シート1を巻出部10から加熱部20、掻き取り部30を通過させて巻取部50まで案内する複数の案内ロール70を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されて成る熱可塑性樹脂シートを、基材と熱可塑性樹脂層に分離する分離方法及び分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂シートは、紙や繊維織物等からなるシート状の基材の片面或いは両面に熱可塑性樹脂層が積層されたもので、耐水性、耐久性はもちろん、意匠性等に優れることから、壁装材や家具用表装材、文具用表装材、包装材、テーブルクロス、テント及び養生シート等、様々な用途に用いられている。
【0003】
一方、熱可塑性樹脂シートは、製造工程で発生する不良品やデザイン変更に伴う在庫処分品等を含め、多くの廃棄処分品が発生する。ところが、熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂と紙・繊維といった異質の素材から構成されていることから再生利用することが難しく、大部分が埋め立て処理、焼却処理等により処理されているのが現状である。
【0004】
これに対して、熱可塑性樹脂シートを加熱して軟化させた熱可塑性樹脂層を平板状の刃で基材から掻き取ることで基材と熱可塑性樹脂層を分離させ、各素材を再生利用する方法・装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載の方法・装置では、幅が広く、且つ刃先の厚みが1mm以下の非常に薄い金属製、樹脂製の刃が用いられている。このように幅が広く且つ刃先が薄いと、加熱された熱可塑性樹脂シートに金属製の刃が接触すると熱膨張し、樹脂製の刃が接触すると軟化する。このため、金属製の刃、樹脂製の刃のいずれの場合も加熱された熱可塑性樹脂シートと接触することで不均一に変形し易く、熱可塑性樹脂層を均一に掻き取れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-137163号公報
【特許文献2】特開2009-286051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、基材から熱可塑性樹脂層を均一に且つ効率よく取り除くことができる、熱可塑性樹脂シートの分離方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために成された本願の第1発明は、
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する方法であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層を該熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する工程と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層を、切刃部と欠刃部から成る櫛歯状の刃先を有する第1の刃で掻き取る工程と、
c) 残りの熱可塑性樹脂層を第2の刃で掻き取る工程と、
を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために成された本願の第2発明は、
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを、前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する装置であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する加熱機構と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層の一部を掻き取る、切刃部と欠刃部から成る櫛歯状の刃先を有する第1の刃と、残りの熱可塑性樹脂層を掻き取る第2の刃とを備えた掻き取り機構と、
c) 前記掻き取り機構で掻き取られた熱可塑性樹脂層を回収する回収装置と、
d) 前記熱可塑性樹脂シートを、前記加熱機構と前記掻き取り機構とに順次通過させる搬送機構と、
を有することを特徴とする。
【0009】
上記第1及び第2発明においては、前記第1の刃が、複数の分割刃から構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第2の刃が、前記第1の刃の欠刃部よりも幅広の切刃部と、前記第1の刃の切刃部よりも幅狭の欠刃部とから成る櫛歯状の刃先を有することが好ましく、この場合、前記第2の刃を複数の分割刃から構成しても良い。第1の刃の切刃部と欠刃部の幅は、第1の刃の材質や熱可塑性樹脂層の軟化温度等により適宜の大きさに設定することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために成された本願の第3発明は、
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する方法であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する工程と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層を、刃先の厚みが1mmよりも大きな平板状の刃で掻き取る工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために成された本願の第4発明は、
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを、前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する装置であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層を該熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する加熱機構と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層を、刃先の厚みが1mmよりも大きな平板状の刃で掻き取る掻き取り機構と、
c) 前記掻き取り機構で掻き取られた熱可塑性樹脂層を回収する回収装置と、
d) 前記熱可塑性樹脂シートを、前記加熱機構と前記掻き取り機構とに順次通過させる搬送機構と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願の第1発明及び第2発明では、軟化した熱可塑性樹脂層は、まず櫛歯状の刃先を有する第1の刃で掻き取られ、その後、第2の刃で掻き取られる。第1の刃の刃先は欠刃部で分断されており個々の切刃部は幅が狭いため、加熱された熱可塑性樹脂シートと前記切刃部が接触することで熱膨張したり軟化したりしても不均一に変形することがなく、均一に且つ高い回収率で掻き取ることができる。また、第1の刃で熱可塑性樹脂層の一部を掻き取ることで、残りの熱可塑性樹脂層が基材から剥がれやすくなるため、第2の刃によって高い回収率で掻き取ることができる。さらに、第1の刃で掻き取ったときに熱可塑性樹脂層が分断されるため、回収した熱可塑性樹脂層を再資源化するための破砕や粉砕、造粒等を容易にできる。
【0014】
ところで、本発明者の実験によると、刃先の厚みが1mm以下の刃に比べて、刃先の厚みが1mmよりも大きい刃を用いた方が、軟化した熱可塑性樹脂層を高い回収率で回収することができた。これは、刃先の厚みが大きいと、熱膨張や軟化しても不均一に変形することが少ないからだと思われる。本願の第3及び第4発明は、このような実験結果に基づくものであり、刃先の厚みが1mmよりも大きな平板状の刃で軟化した熱可塑性樹脂層を掻き取るようにしたことで、基材から熱可塑性樹脂層を均一に且つ効率よく取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】熱可塑性樹脂シートの分離装置の概略図。
【図2】熱可塑性樹脂シートの断面図。
【図3】掻き取り部の拡大図。
【図4】本発明の実施例1〜8で用いたスクレーパの形状及び各部の寸法を示す表。
【図5】平板状の刃(a)及びくし形刃(b)並びに各刃の側面形状(c)を示す図。
【図6】実施例1〜8で用いた加工対象となる熱可塑性樹脂シートの幅、加工幅、サンプル幅を示す図。
【図7】実施例1〜8の回収率を示す表。
【図8】実施例1〜5における、加工スピードが4m/min、加工対象が塩化ビニル系樹脂発泡壁装材のときの回収率を示す。
【図9】実施例1〜5における、加工スピードが8m/min、加工対象が塩化ビニル系樹脂発泡壁装材のときの回収率を示す。
【図10】実施例1〜5における、加工スピードが4m/min、加工対象が塩化ビニル系樹脂高発泡壁装材のときの回収率を示す。
【図11】実施例6〜8における回収率を示す。
【図12】くし形刃の他の例を示す図。
【図13】分割刃から成るくし形刃の例を示す図。
【図14】掻き取り部の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る熱可塑性樹脂シートの分離装置の概略図、図2は熱可塑性樹脂シートの断面図を示している。図2に示すように、熱可塑性樹脂シート1は、紙や布帛等から成る基材2とその片面(図2の(a))、又は両面(図2の(b))に積層された熱可塑性樹脂層3とから成る。図1において、分離装置100は、熱可塑性樹脂シート1を連続的に繰り出す巻出部10、熱可塑性樹脂層3が軟化する温度以上に熱可塑性樹脂シート1を加熱する加熱部20、軟化した熱可塑性樹脂層3を基材2から掻き取る掻き取り部30、掻き取られた熱可塑性樹脂層3を装置の外部に排出する排出コンベア40、熱可塑性樹脂層3を掻き取った後の基材を巻き取る巻取部50、熱可塑性樹脂シート1を巻出部10から加熱部20、掻き取り部30を通過させて巻取部50まで案内する搬送部60及び61、複数の案内ロール70を有している。
【0017】
巻出部10は、巻出ロール11を着脱可能に、且つ回転自在に保持する保持部12を有している。巻取部50は、巻取ロール51を着脱可能に保持する保持部52と、保持部52に保持された巻取ロール51を回転する回転駆動装置53を有している。
搬送部60は加熱部20の上流側に配置されたインフィードロール60aとニップロール60bから構成されている。搬送部61は加熱部20の下流側に配置されたアウトフィードロール61aとニップロール61bから構成されている。インフィードロール60a及びアウトフィードロール61aは駆動機構(図示せず)によって回転されるようになっており、前記インフィードロール60a及びアウトフィードロール61aの回転により巻出ロール11に巻回されている熱可塑性樹脂シート1が巻出され、インフィードロール60aとニップロール60b、アウトフィードロール61aとニップロール61b間に挟持された状態で搬送される。
【0018】
加熱部20は、熱可塑性樹脂シート1の搬送方向(図1において矢印Aで示す方向)と直交する方向に長く延びる複数本の棒状ヒータ21と、ヒートロール22とから構成されている。複数本の棒状ヒータ21は熱可塑性樹脂シート1とほぼ平行になるように、且つ、熱可塑性樹脂シート1の幅方向にほぼ等間隔に配置されている。(図1に示す例では、6本の3kwの棒状ヒータ21が用いられている。)
ヒートロール22は棒状ヒータ21よりも下流側に配置されており、その内部に(4kwの)ロールヒータが挿入された構成となっている。ヒートロール22は案内ロールを兼用する。
【0019】
図3に示すように、掻き取り部30は、熱可塑性樹脂シート1がヒートロール22を通過する際に当該熱可塑性樹脂シート1から熱可塑性樹脂層3を掻き取るように構成されており、掻き取り治具としてのスクレーパ31、このスクレーパ31を保持するホルダー32を有している。ホルダー32はエアシリンダ33により熱可塑性樹脂シート1に対するスクレーパ31の傾きを調整することができる。また、ホルダー32は、スクレーパ31の突出量を調整できるようになっている。従って、スクレーパ31の突出量や傾きを調節することで、熱可塑性樹脂シート1に対して適宜の角度でスクレーパ31の刃先を接触させることができるようになっている。
【0020】
スクレーパ31で掻き取られた熱可塑性樹脂層3は排出コンベア40に落下し、装置の外部に排出される。排出された熱可塑性樹脂層3は、再資源化するために破砕や粉砕、造粒等の適宜の処理が施される。
【実施例】
【0021】
次に、いくつかの実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
図4の表は各実施例のスクレーパの形状及び各部寸法を、図5は各スクレーパの具体的な形状を示す。
図4に示すように、スクレーパとして実施例1〜5では平板状の刃を用い、実施例6〜8ではスクレーパとしてくし形状の刃(1回目)及び平板状の刃(2回目)を用いた。つまり、実施例6〜8ではくし形状の刃(以下、「くし形刃」という)、平板状の刃(以下、「平板刃」という)を用いて熱可塑性樹脂層を2回掻き取った。また、加工スピード(熱可塑性樹脂シートの搬送速度)は4m/min又は8m/minとし、熱可塑性樹脂シートには塩化ビニル系樹脂壁装材(発泡、高発泡)を用いた。
【0022】
図5の(c)に示すように、平板状、くし形状のいずれの刃も刃先がテーパ状になっており、刃の厚み(5mm)に比べて刃先厚み(X)の方が小さくなっている。
図5(a)に示すように、平板刃は刃先の幅方向両端部が丸く加工されている。このため、有効幅(加工幅)の方が刃の幅よりも小さくなっている。
図5(b)に示すように、くし形刃は、9個の切刃部と8個の欠刃部とから成る櫛歯状の刃先を有し、切刃部において熱可塑性樹脂層3を掻き取るようになっている。各切刃部の幅、欠刃部の幅はいずれも50mmである。また、くし形刃の切刃部の幅方向両端部が丸く加工されている。このように、平板刃の刃先及びくし形刃の切刃部の角を丸くしたことで、スクレーパ31で熱可塑性樹脂層3を掻き取るときに基材2が破断されることを防止できる。
【0023】
くし形刃は平板刃よりも刃の幅が小さく、且つ、加工幅が50mmの切刃部を9個有している。従って、くし形刃及び平板刃により、熱可塑性樹脂層は19個に分断されて掻き取られる。
【0024】
基材2と熱可塑性樹脂層3の分離性能の評価は、熱可塑性樹脂層3を取り除いた後の基材から幅方向に離れた5箇所で10cm角のサンプルを切り取り、各サンプルに残っている樹脂を溶剤で溶かして重量を測定し、回収率を求めることにより行った。各サンプルに残っている樹脂重量をM1、処理前の熱可塑性樹脂シートの10cm角のサンプル中の樹脂重量をM0とすると、回収率(%)は次の式(1)から求められる。
回収率(%)=(M0-M1)/M0×100 (1)
【0025】
図6に加工対象の熱可塑性樹脂シートの幅、加工幅、サンプル幅の長さを示す。加工幅寸法は、平板刃の有効幅に対応する。サンプル幅は、5個のサンプルの一端から他端までの長さを示す。各実施例では、サンプル幅が900mmのときの回収率、700mmの回収率を求めた。
各実施例の回収率(5個のサンプルの平均)を図7に示す。また、図7に示す回収率を加工スピード及び加工対象の組み合わせ別にグラフ化した結果を図8〜図11に示す。
【0026】
図7〜図11に示す結果から、次のことが分かった。
平板刃のみを用いた実施例1〜5は、いずれもサンプル幅が700mmの方がサンプル幅が900mmのものよりも回収率が高かった。これは、700mm幅のサンプルに比べて900mm幅のサンプルの方が、刃先の幅方向両端部付近における回収率の影響が大きいためと考えられる。つまり、刃先の中央部に比べると両端部の方が熱膨張による変形量が大きく、熱可塑性樹脂層をうまく掻き取ることができないため、回収率が低下したものと思われる。
【0027】
これに対して、くし形刃を用いた実施例6〜8は、実施例1〜5に比べて全体的に回収率が高く、また、サンプル幅が700mmと900mmとで回収率に大きな違いは無かった。このことから、熱可塑性樹脂層を平板刃だけで掻き取るよりも、くし形刃を用いて掻き取った方が、均一に且つ効率よく基材と熱可塑性樹脂層を分離することができると思われる。
【0028】
また、理由は不明だが、平板刃のみを用いた実施例1〜5、及びくし形刃と平板刃を用いた実施例6〜8のいずれにおいても、刃先の厚みが1mmのときの回収率は、刃先の厚みが0.5mmや1.2mmのときの回収率に比べて低かった。この結果から、刃先の厚みが1mmよりも大きな刃を用いても、十分に基材と熱可塑性樹脂層を分離することができることが分かる。ただし、図8〜図11から分かるように、刃先の厚みが1.5mmを超えると回収率が低下することから、平板刃のみを用いたときに高い回収率で熱可塑性樹脂層を掻き取ることができる刃先の厚みとしては、1mmから1.5mmの範囲が好ましいと思われる。
【0029】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば以下の変形、拡張が可能である。
上記実施例では、ヒートロール及び棒状ヒータから加熱機構を構成したが、ヒートロール及び棒状ヒータのいずれかから加熱機構を構成しても良い。また、ヒートロール及び棒状ヒータ以外の加熱要素から加熱機構を構成することも可能である。
【0030】
第6〜第8実施例では、くし形刃と平板刃を用いて熱可塑性樹脂層を掻き取るようにしたが、例えば図12の(a)及び(b)に示すように、切刃部の位置が異なる2種類のくし形刃を順に用いて熱可塑性樹脂層を掻き取るようにしても良い。1回目及び2回目ともにくし形刃を用いると、いずれの場合も熱膨張や軟化による刃先の変形の影響を小さくすることができる。
【0031】
くし形刃は複数の分割刃から構成されていても良い。この場合、図13の例に示すように3個の分割刃101aからくし形刃101を構成しても良く、2個或いは4個以上の分割刃から構成しても良い。このような構成によれば、くし形刃をホルダーに取り付けるときに各分割刃101aの突出量をそれぞれ調整することができるため、熱可塑性樹脂シートに対して適切に各分割刃を接触させることができ、熱可塑性樹脂シートから熱可塑性樹脂層を均一に掻き取ることができる。
また、第2の刃として用いられる平板刃の場合も複数の分割刃から構成することができる。この場合、分割刃と分割刃の境界部分が第1の刃としてのくし形刃の切刃部に位置するように各分割刃を構成すれば良い。
【0032】
図14に示すように、1個のヒートロールに対して2個の掻き取り部30を設けても良い。2個の掻き取り部30のうち上流側(図14中、右側)の掻き取り部30には第1の刃を、下流側の掻き取り部30には第2の刃が取り付けられる。このような構成によれば、熱可塑性樹脂シートの1回の搬送時に第1の刃と第2の刃で熱可塑性樹脂層を掻き取ることができ、作業効率が良い。
【符号の説明】
【0033】
1…熱可塑性樹脂シート
2…基材
3…熱可塑性樹脂層
10…巻出部
11…巻出ロール
20…加熱部
21…棒状ヒータ
22…ヒートロール
30…掻き取り部
31…スクレーパ
32…ホルダー
40…排出コンベア
50…巻取部
51…巻取ロール
60…搬送部
60a…インフィードロール
60b…ニップロール
61…搬送部
61a…アウトフィードロール
61b…ニップロール
70…案内ロール
100…分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する方法であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層を該熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する工程と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層の一部を、切刃部と欠刃部から成る櫛歯状の刃先を有する第1の刃で掻き取る工程と、
c) 残りの熱可塑性樹脂層を第2の刃で掻き取る工程と、
を有することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの分離方法。
【請求項2】
前記第2の刃が、前記第1の刃の欠刃部よりも幅広の切刃部と、前記第1の刃の切刃部よりも幅狭の欠刃部とから成る櫛歯状の刃先を有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの分離方法。
【請求項3】
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを、前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する方法であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する工程と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層を、刃先の厚みが1mmよりも大きな平板状の刃で掻き取る工程と、
を有することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの分離方法。
【請求項4】
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを、前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する装置であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層を該熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する加熱機構と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層の一部を掻き取る、切刃部と欠刃部から成る櫛歯状の刃先を有する第1の刃と、残りの熱可塑性樹脂層を掻き取る第2の刃とを備えた掻き取り機構と、
c) 前記掻き取り機構で掻き取られた熱可塑性樹脂層を回収する回収装置と、
d) 前記熱可塑性樹脂シートを、前記加熱機構と前記掻き取り機構とに順次通過させる搬送機構と、
を有することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの分離装置。
【請求項5】
前記第2の刃が、前記第1の刃の欠刃部よりも幅広の切刃部と、前記第1の刃の切刃部よりも幅狭の欠刃部とから成る櫛歯状の刃先を有することを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂シートの分離装置。
【請求項6】
シート状の基材に熱可塑性樹脂層が積層されてなる熱可塑性樹脂シートを、前記基材と前記熱可塑性樹脂層とに分離する装置であって、
a) 前記熱可塑性樹脂層が軟化する温度以上に加熱する加熱機構と、
b) 軟化した熱可塑性樹脂層を、刃先の厚みが1mmよりも大きな平板状の刃で掻き取る掻き取り機構と、
c) 前記掻き取り機構で掻き取られた熱可塑性樹脂層を回収する回収装置と、
d) 前記熱可塑性樹脂シートを、前記加熱機構と前記掻き取り機構とに順次通過させる搬送機構と、
を有することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−251501(P2011−251501A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128435(P2010−128435)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(506416536)株式会社京都環境保全公社 (1)
【Fターム(参考)】