説明

熱可塑性樹脂組成物及びその成形品

【課題】耐衝撃性等の熱可塑性樹脂本来の特性を損なうことなく、良好な光輝性と、優れた成形品表面外観を実現することができる熱可塑性樹脂組成物と、その成形品を提供する。
【解決手段】鉱物油、又は金属系物質で表面処理された光輝性フィラー(F)を、架橋ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有する、平均粒子径50〜250μmの光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)5〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)95〜50重量部とを含む(ただし、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計で100重量部)熱可塑性樹脂組成物。この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは良好な光輝性と、優れた成形品表面外観を得ることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、MBS樹脂等に代表されるスチレン系樹脂や、ポリカーボネート樹脂等は、耐衝撃性、成形加工性、外観性、高光沢性に優れることから、広い用途に用いられてきた。近年では、自動車部品、家電製品、建築材料等の用途において、意匠性を高めるべく、更に光輝性にも優れた樹脂成形品が要望される場合がある。
【0003】
従来、樹脂成形品に光輝性を付与する方法としては、一般的には、熱可塑性樹脂成形品に塗装を施す方法、コーティング材をコーティングする方法、或いは光輝性フィラーを直接樹脂に混合して成形することにより、成形品表面に光輝性を持たせる方法(特開昭58−37045号公報)等が知られている。
【0004】
これらのうち、塗装或いはコーティングによる方法は、成形工程後、更に塗装又はコーティングのための工程と、そのための材料を必要とし、製造コストがかかり、また溶剤の処理や、環境面でも問題がある。
一方、光輝性フィラーを直接樹脂に混合して成形する方法では、成形条件、金型デザインの影響が大きく、外観不良、特にウエルドラインやフローマークの問題があり、高品質の成形品を安定に得ることができないという問題がある。
このため、従来においては、光輝性フィラーを直接樹脂に混合して成形する方法は、さほど表面外観等の特性に影響しないような比較的小さな部品にのみ適用されるなど、適用分野に制約を受けていた。
【特許文献1】特開昭58−37045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐衝撃性等の熱可塑性樹脂本来の特性を損なうことなく、良好な光輝性と、優れた成形品表面外観を実現することができる熱可塑性樹脂組成物と、その成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の熱可塑性樹脂組成物は、鉱物油、又は金属系物質で表面処理された光輝性フィラー(F)を、架橋ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有する、平均粒子径50〜250μmの光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)5〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)95〜50重量部とを含む(ただし、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計で100重量部)ことを特徴とする。
【0007】
請求項2の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1において、前記光輝性フィラー(F)の平均粒子径が5〜100μmであること特徴とする。
【0008】
請求項3の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1又は2において、前記光輝性フィラー架橋ポリマー(A)のアセトンに対する膨潤度が2〜50倍であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の成形品は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
【0010】
請求項5の二層成形品は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂組成物とを二層成形してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る特定の光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)を有する熱可塑性樹脂組成物によれば、従来では達成し得ない程の優れた輝度感を有し、かつ、ウエルドライン不良等がなく、表面外観に優れ、耐衝撃性や耐候性、表面硬度等にも優れた極めて良好な成形品を得ることができ、その工業的な実用価値は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
[光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)]
本発明の光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)は、鉱物油、又は金属系物質で表面処理された光輝性フィラー(F)を、架橋ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有する、平均粒子径50〜250μmのものであり、このような光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)は、上記表面処理を施した光輝性フィラー(F)の存在下に、後述のビニル系単量体の1種以上を重合させることにより得ることができる。
【0014】
<光輝性フィラー(F)>
本発明で使用される光輝性フィラー(F)には特に制限はないが、例えばアルミニウム、雲母、タルク、酸化チタン、ガラス等の無機材料よりなるフィラー等を用いることができる。
【0015】
光輝性フィラー(F)の形状には特に制限はないが、その平均粒子径に関しては5〜100μmであることが好ましい。平均粒子径が5μm未満の微粒子状の光輝性フィラーでは、架橋ポリマー中に含有させることが困難であり、しかも得られる成形品表面の輝度感が劣るものとなる。平均粒子径が100μm以上の粗大粒子では、架橋ポリマー中に含有させることが困難であり、しかも得られる成形品表面は異物を混入した様に荒くなる。
なお、光輝性フィラーの平均粒子径は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
【0016】
<表面処理>
本発明において、この光輝性フィラー(F)は、鉱物油、又は金属系物質でその表面が表面処理されている。表面をこのような表面処理剤で表面処理することにより、光輝性フィラーが効率的に架橋ポリマーに含有されるようになり、また、光輝性フィラーの凝集を防ぎ、本発明で目的とする光輝性等の効果をより一層発揮しやすくなる。
【0017】
光輝性フィラー(F)の表面処理に用いられる鉱物油としては、例えばエンジン油、冷凍機油、タービン油、ギヤー油、スピンドル油、マシン油、シリンダー油、ニュートラル油、パラフィン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの1種又は2種以上が挙げられるが、ミネラルスピリットがより効率的に架橋ポリマー中に光輝性フィラーを含有させることができ好ましい。
【0018】
また、光輝性フィラー(F)の表面処理に用いられる金属系物質としては、金属、合金、金属化合物が挙げられ、このうち、金属、合金としては、金属光沢を有しかつ上述の光輝性フィラーにコーティング可能な金属であれば良く、例えばNi、Al、Ag、Cu、Cr、Zn、Sn、Pb、Co、Fe、Mo、Mn、W、Au、Ti、Sb、Si、Pt、Mg等が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種からなる金属、あるいはこれらの2種以上の合金を用いることができる。
【0019】
また、金属化合物としては、上述の金属の酸化物、窒化物、硫化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
上述のような表面処理剤のうち、金属又は合金としては、金属光沢の優位性の観点からNi、Al、Ag、Cu、Sn、Cr、Au、Ti、Pt、Znの1種又は2種以上が好ましく、また、金属化合物としては、被覆表面後の輝度感が安定する点から金属酸化物の1種又は2種以上が好ましい。
【0021】
光輝性フィラーに金属系物質をコーティングする方法には、特に制限はないが、例えば無電解メッキや蒸着による方法が好ましい。金属系物質のコーティング膜厚は0.00001〜10μm程度であることが好ましい。なお、金属系物質をコーティングした光輝フィラーはそのまま使用できるが、更に上述のような鉱物油による処理を施しても良い。
【0022】
<光輝性フィラー(F)の割合>
本発明の光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)中の光輝性フィラー(F)の割合は、架橋ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは0.75〜5重量部、より好ましくは、1〜2.5重量部である。この割合が0.5重量部未満では、得られる成形品の輝度感が不十分であり、10重量部を超えると光輝性フィラー(F)を架橋ポリマー中に含有させることが困難となる。
【0023】
<膨潤度>
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)は、アセトンに対する膨潤度が2〜50倍、特に5〜30倍、とりわけ10〜20倍であることが好ましい。この膨潤度が2倍未満では、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)を熱可塑性樹脂と溶融混合した際、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)が粒子形状を保つことができず、得られる成形品はウエルドラインが目立ち、良好な輝度感が得られない。逆に、膨潤度が50倍を超えると、成形性、得られる成形品の表面外観が劣るものとなる。
【0024】
なお、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の膨潤度は、以下のようにして求められる。
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)1gをアセトン300mlに室温で48時間浸漬後、アセトンで膨潤されたサンプルを200メッシュ金網で分取し、質量Ws(g)を測定する。その後、この不溶成分を30℃にて24時間真空乾燥して、乾燥質量Wg(g)を求め、下記式で算出する。
膨潤度=Ws/Wg
【0025】
<平均粒子径>
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の平均粒子径は50〜250μmであるが、好ましくは75〜200μm、より好ましくは100〜150μmである。光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の平均粒子径が50μm未満では、光輝性フィラー(F)を十分に含有することが困難であり、250μmを超えると、得られる成形品の表面が荒くなり好ましくない。
なお、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の平均粒子径は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
【0026】
<製造方法>
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の製造方法としては、特に制限はないが、得られる光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の平均粒子径を容易に制御することができる点において、懸濁重合法が好ましい。
【0027】
懸濁重合法による光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の製造方法としては、例えば、先ず、所定のビニル系単量体の1種又は2種以上の混合液の中に、反応開始剤、光輝性フィラー(F)及び必要に応じ多官能ビニル単量体の1種又は2種以上を予備混合し、これを予め純水、懸濁剤及び懸濁助剤を仕込んだ、撹拌翼、ジャケット付き反応器内に一括して仕込み、撹拌しながら、60〜120℃にて、4〜8時間懸濁重合させる方法が挙げられる。
【0028】
この方法において、懸濁剤、懸濁助剤の種類、使用量、組み合わせ等により、得られる光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の平均粒子径を制御することができる。
また、多官能ビニル単量体を用いることにより、得られる光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の膨潤度を調整することができる。
【0029】
(ビニル系単量体)
架橋ポリマーを製造するためのビニル系単量体としては、例えば、芳香族ビニル、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸等が挙げられる。
【0030】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
また、シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが挙げられ、マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0031】
これらはそれぞれ1種又は2種以上用いることができる。
【0032】
(多官能性ビニル単量体)
架橋ポリマーの架橋度を調整するために用いる多官能ビニル単量体としては、例えば、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ジビニルベンゼン等を用いることができる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種類を併用しても良い。
【0033】
これらの多官能ビニル単量体は、前記膨潤度を満たす様に、通常、ビニル系単量体100重量部に対して0〜5重量部の範囲で使用することができる。
【0034】
(重合開始剤)
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)を製造する際に用いる重合開始剤としては、特に制限はなく、一般的なものを用いることができる。例えば,ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネイト、ジイソプロピルパーオキシジカーボネイト等のパーオキシジカーボネイト類;t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト等のパーオキシエステル類;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−パーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;2,2’−アゾビス(イソブチルニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロへヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0035】
(懸濁剤、懸濁助剤)
懸濁重合に際しての、懸濁剤としては、特に制限はなく、一般的な、リン酸カルシウム、ポリビニルアルコール等が用いられ、懸濁助剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ヒドロキシエチルセルロース等を用いることができる。
【0036】
[熱可塑性樹脂(B)]
熱可塑性樹脂(B)としては特に制限はないが、例えば、スチレン樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、AMBS樹脂等が挙げられ、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)との相溶性や衝撃性の観点からABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、AMBS樹脂等が好ましい。また、その他、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のエンジニアリングプラスチックスとのアロイを用いることも可能である。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0037】
[光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合比率]
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合比率は、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部中、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の割合が5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部、より好ましくは15〜25重量部である。光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部中の光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)の割合が5重量部未満では、得られる成形品の輝度感が不十分であり、50重量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性や成形時の流動性が低下し、また、成形品の表面外観が荒くなる。
【0038】
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)とを上記割合で含む本発明の樹脂組成物を得るための混合方法として、特に制限はないが、溶融混練による方法が好ましい。例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いる方法が挙げられる。
なお、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて顔料、染料、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤等の各種添加剤をその物性等を損なわない範囲内で配合することができる。
【0039】
[成形品]
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する方法としては特に制限はなく、射出成形、シート押出、真空成形、圧空成形、異形押出成形、発泡成形、ブロー成形などの各種の成形方法を適用することができる。
【0040】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これを外層材として、内層材としての他の熱可塑性樹脂組成物と二層成形することにより二層成形品とすることもできる。
【0041】
この場合、内層材となる熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、スチレン樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、AMBS樹脂、AS樹脂、及びPMMA樹脂、ポリカーボネイト樹脂等、その他、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のエンジニアリングプラスチックスなどの1種又は2種以上が挙げられるが、外層材となる本発明の熱可塑性樹脂組成物との相溶性や得られる成形品の耐衝撃性の観点からABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、AMBS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂、ポリカーボネイト樹脂等が好ましい。
これらの熱可塑性樹脂も1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0042】
また、二層成形法には特に制限はなく、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形等、いずれの方法も適応できる。
【0043】
外層材としての本発明の熱可塑性樹脂組成物と内層材として他の熱可塑性樹脂組成物とを二層成形してなる二層成形品とする場合、その厚み比は特に制限はないが、内層材の厚みと本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなる外層材の厚みとの比は、好ましくは1.0/0.1〜1.0/1.0、より好ましくは1.0/0.15〜1.0/0.8、特に好ましくは1.0/0.5程度である。
【0044】
[用途]
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品又は二層成形品は、その優れた表面外観と意匠性、更には耐衝撃性等の特性から、自動車部品、家電製品、建築材料等の各種用途に有用である。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により何らその範囲を限定されるものではない。
なお、以下において「部」は「重量部」を意味する。
【0046】
使用した化合物の略称は以下に記載する通りである。
ST:スチレン
AN:アクリロニトリル
MMA:メチルメタクリルレート
MA:メタクリルレート
DVB:ジビニルベンゼン
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチルニトリル
TCP:10重量%リン酸カルシウム水溶液
DBS:ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
【0047】
また、各光輝性フィラーの粒子径、及び各光輝性フィラー含有架橋ポリマーの粒子径は、以下の方法で測定した。
平均粒子径:各光輝フィラーの平均粒子径(粒子100個当たりの平均粒子径)はレーザー顕微鏡(KEYENE製 VK−8510)にて求めた。
光輝性フィラー含有架橋ポリマーの平均粒子径(重量平均(体積)粒子径)は紛体測定器(セイシン企業製 ROBOT SHIFTER PRS−85)を用いて測定した。
【0048】
また、光輝性フィラー含有架橋ポリマーの膨潤度は以下の方法で求めた。
膨潤度:光輝性フィラー含有架橋ポリマー1gをアセトン300mlに室温で48時間浸漬後、アセトンで膨潤されたサンプルを200メッシュ金網で分取し、質量Ws(g)を測定する。その後、この不溶成分を30℃にて24時間真空乾燥して、乾燥質量Wg(g)を求め下記式で算出した。
膨潤度=Ws/Wg
【0049】
<合成例1>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−1)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.5部、及びDBS0.005部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したMMA98部、MA2部、AIBN0.25部、DVB0.1部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径20μmのアルミフィラー5.0部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−1)は、平均粒子径75μmであった。
【0050】
<合成例2>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−2)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水150部、TCP1.0部、及びDBS0.0035部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN23部、ST77部、AIBN0.28部、DVB0.2部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径40μmのアルミフィラー2.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−2)は、平均粒子径105μmであった。
【0051】
<合成例3>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−3)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP0.75部、及びDBS0.0045部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したMMA34部、MA1部、ST65部、AIBN0.34部、DVB0.05部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径100μmのアルミフィラー1.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−3)は、平均粒子径175μmであった。
【0052】
<合成例4>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−4)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.2部、及びDBS0.0045部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN23部、ST77部、AIBN0.31部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径40μmのアルミフィラー1.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−4)は、平均粒子径95μmであった。
【0053】
<合成例5>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−5)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水220部、TCP1.8部、及びDBS0.0055部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN26部、ST74部、AIBN0.24部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径40μmのアルミフィラー7.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−5)は、平均粒子径140μmであった。
【0054】
<合成例6>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−6)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.2部、及びDBS0.0045部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN25部、ST75部、AIBN0.30部、DVB0.01部、及び二酸化チタンで表面処理された平均粒子径30μmのガラスフレーク10.0部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−6)は、平均粒子径115μmであった。
【0055】
<合成例7>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−7)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.2部、及びDBS0.0045部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN25部、ST75部、AIBN0.30部、DVB0.01部、及び酸化チタンと酸化錫の混合物で表面処理された平均粒子径80μmの雲母5.0部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−1)は、平均粒子径130μmであった。
【0056】
<合成例8>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−8)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水120部、TCP0.4部、及びDBS0.0035部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN32部、ST68部、AIBN0.28部、DVB0.05部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径100μmのアルミフィラー12.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−8)は、平均粒子径285μmであった。
【0057】
<合成例9>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−9)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水180部、TCP0.6部、及びDBS0.004部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したMMA98部、MA2部、AIBN0.26部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径20μmのアルミフィラー0.25部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−9)は、平均粒子径120μmであった。
【0058】
<合成例10>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−10)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.0部、及びDBS0.004部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN26部、ST74部、AIBN0.28部、及び平均粒子径90μmの表面未処理のアルミフィラー10部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−10)は、平均粒子径180μmであった。
【0059】
以上の合成例1〜10の製造条件(原料仕込み量)と、得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマーの平均粒子径及び膨潤度を表1にまとめて示す。
【0060】
【表1】

【0061】
<合成例11>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−11)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水220部、TCP1.5部、及びDBS0.005部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したMMA99部、MA1部、AIBN0.28部、DVB0.075部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径20μmのアルミフィラー5.0部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−11)は、平均粒子径80μmであった。
【0062】
<合成例12>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−12)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水180部、TCP1.2部、及びDBS0.0045部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN25部、ST75部、AIBN0.32部、DVB0.15部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径40μmのアルミフィラー2.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−12)は、平均粒子径125μmであった。
【0063】
<合成例13>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−13)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.0部、及びDBS0.005部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したMMA34部、MA1部、ST65部、AIBN0.34部、DVB0.075部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径100μmのアルミフィラー1.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−13)は、平均粒子径160μmであった。
【0064】
<合成例14>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−14)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.2部、及びDBS0.0045部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN23部、ST77部、AIBN0.30部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径40μmのアルミフィラー1.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−14)は、平均粒子径100μmであった。
【0065】
<合成例15>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−15)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水220部、TCP1.6部、及びDBS0.0055部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN26部、ST74部、AIBN0.28部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径40μmのアルミフィラー7.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−15)は、平均粒子径120μmであった。
【0066】
<合成例16>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−16)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水200部、TCP1.0部、及びDBS0.005部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN26部、ST74部、AIBN0.28部、酸化チタンと酸化錫の混合物で表面処理された平均粒子径20μmの雲母2.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−16)は、平均粒子径180μmであった。
【0067】
<合成例17>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−17)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水150部、TCP0.6部、及びDBS0.004部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したAN30部、ST70部、AIBN0.28部、DVB0.5部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径100μmのアルミフィラー12.5部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−17)は、平均粒子径265μmであった。
【0068】
<合成例18>:光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−18)の製造
ステンレス製耐圧容器に、脱イオン水180部、TCP1.0部、及びDBS0.004部を仕込み、350rpmで攪拌し、予め予備混合したMMA98部、MA2部、AIBN0.24部、及びミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径20μmのアルミフィラー0.25部の混合物を添加して、75℃まで昇温し、6時間放置後、冷却して反応を終了させた。
得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−18)は、平均粒子径120μmであった。
【0069】
以上の合成例11〜18の製造条件(原料仕込み量)と、得られた光輝性フィラー含有架橋ポリマーの平均粒子径及び膨潤度を表2にまとめて示す。
【0070】
【表2】

【0071】
<実施例1〜8、比較例1〜4>
合成例1〜10で製造された光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−1)〜(a−10)(ただし、比較例4では、光輝性フィラー含有架橋ポリマーの代りにミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径20μmのアルミフィラー(アルミ−1(20μm))を用いた。)と、熱可塑性樹脂(B)としてUMG ABS社製S351(アクリロニトリル・ジメチルシロキサン・ブチルアクリレート・スチレンの重合体)、又は同WH10(アクリロニトリル・エチレンプロピレン・スチレン・メチルメタクリレートの重合体)とを表3に示す割合にて、0.5重量部の滑剤(PRN−208)と共に混合した後、240℃で2軸押出機(日本製鋼所(株)製:TEX−44)にて溶融混練し、ペレット化した。
このペットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)を用いて、260℃にて成形し、必要なテストピースを作成し、以下の評価方法で評価して結果を表3に示した。
【0072】
(評価方法)
輝度感:100×100×3(mm)の試験片を成形し、次の評価基準に基づいて判定した。
・◎ 極めて均一な輝度感を示した。
・○ 良好な輝度感を示した。
・× 部分的な輝度感ムラがあり、実用に耐えない。
・×× 輝度感ムラが顕著である。
【0073】
ウエルドライン:100mm×100mm×3mm〔固定側(鏡面側)1mm、可動側(突き出しピン側)2mmで合計3mm〕で、1辺からの2箇所ゲート口を設けてある金型を使用し、成形品の鏡面側の中央部に発生するウエルドラインを観察し、次の評価基準に基づいて判定した。
◎:極めて良好。
○:良好。
×:やや劣る。
××:実用に耐えない。
シャルピー衝撃強度:ISO179に準拠した。
MVR:ISO1133に準拠した。
【0074】
【表3】

【0075】
表3より明らかなように、光輝性フィラー含有架橋ポリマー及び光輝性フィラー含有架橋ポリマーと熱可塑性樹脂の配合割合が、本発明の請求範囲内の実施例1〜8では、いずれも輝度感、ウエルドラインに優れた成形品を得ることができる。
一方、光輝性フィラー含有架橋ポリマー及び光輝性フィラー含有架橋ポリマーと熱可塑性樹脂の配合割合が本発明の請求範囲外の比較例1〜3や、比較例4の如く、熱可塑性樹脂とアルミフィラーを溶融混練した成形品は、輝度感或いはウエルドラインが劣り、目的としたものを得ることができない。
【0076】
<実施例9〜14、比較例5〜7>
合成例11〜18で製造された光輝性フィラー含有架橋ポリマー(a−11)〜(a−18)(ただし、比較例7では、光輝性フィラー含有架橋ポリマーの代りにミネラルスピリットで表面処理した平均粒子径20μmのアルミフィラー(アルミ−1(20μm))を用いた。)と、熱可塑性樹脂(B)としてのUMG ABS社製S900N(アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチルの重合体)とを表4に示す割合にて、PRN−208(日本油脂(株)製)0.5重量部、アデカスタブLA−77GR(旭電化工業(株)製)0.4重量部、チヌビンP(日本チバガイギー(株)製)0.3重量部と共に混合した後、240℃で2軸押出機(日本製鋼所(株)製:TEX−44)にて溶融混練し、ペレット化した(架橋ポリマー含有熱可塑性樹脂(C))。
上記、架橋ポリマー含有熱可塑性樹脂(C)のペレットと、内層用熱可塑性樹脂(D)としてUMG ABS社製 S351(アクリロニトリル・ジメチルシロキサン・ブチルアクリレート・スチレンの重合体)とを、射出成形機(日本製鋼(株)製)を用いて260℃で二層成形を行い、必要なテストピースを作成し、以下の評価方法で評価して結果を表4に示した。
【0077】
(評価方法)
輝度感:100×100×3(mm)の試験片を成形し、次の評価基準に基づいて判定した。
・◎ 極めて均一な輝度感を示した。
・○ 良好な輝度感を示した。
・× 部分的な輝度感ムラがあり、実用に耐えない。
・×× 輝度感ムラが顕著である。
【0078】
ウエルドライン:まずはじめに100mm×100mm×2mm〔可動側(突き出しピン側)2mm〕の金型で100mm×100mm×2mmの成形品を成形し(1層目:熱可塑性樹脂(D)(厚さ2mm))、この成形品を100mm×100mm×3mm〔固定側(鏡面側)1mm、可動側(突き出しピン側)2mmで合計3mm〕の金型の可動側に固定して二層成形し(2層目:架橋ポリマー含有熱可塑性樹脂(C)(厚さ1mm))、100mm×100mm×3mmの成形品とし、成形品の鏡面側の中央部に発生するウエルドラインを観察し、次の評価基準に基づいて判定した。
◎:極めて良好。
○:良好。
×:やや劣る。
××:実用に耐えない。
【0079】
耐候変色:100mm×100mm×3mmの試験片を、サンシャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製)にて、63℃、雨ありの条件で、1500時間曝露した。そして、測色計(ミノルタ製CM−508D)を用いて1500時間の暴露前後の色差を求めた。
【0080】
鉛筆硬度:JIS K5401に準拠した(架橋ポリマー含有熱可塑性樹脂(C)側の表面)。
【0081】
【表4】

【0082】
表4より明らかなように、光輝性フィラー含有架橋ポリマー及び光輝性フィラー含有架橋ポリマーと熱可塑性樹脂の配合割合が、本発明の請求範囲内の実施例9〜14では、いずれも輝度感、ウエルドラインに優れ、かつ耐候性、表面硬度にも優れた成形品を得ることができる。
一方、光輝性フィラー含有架橋ポリマー及び光輝性フィラー含有架橋ポリマーと熱可塑性樹脂の配合割合が本発明の請求範囲外の比較例5,6や比較例7の如く、熱可塑性樹脂とアルミフィラーを溶融混練した成形品は、輝度感或いはウエルドラインが目的としたものを得ることができず、耐候性及び/又は表面硬度が劣るものとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物油、又は金属系物質で表面処理された光輝性フィラー(F)を、架橋ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有する、平均粒子径50〜250μmの光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)5〜50重量部と、
熱可塑性樹脂(B)95〜50重量部とを含む(ただし、光輝性フィラー含有架橋ポリマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計で100重量部)ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1において、前記光輝性フィラー(F)の平均粒子径が5〜100μmであること特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記光輝性フィラー架橋ポリマー(A)のアセトンに対する膨潤度が2〜50倍であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂組成物とを二層成形してなることを特徴とする二層成形品。

【公開番号】特開2008−37929(P2008−37929A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211115(P2006−211115)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】