説明

熱可塑性樹脂組成物

【課題】ポリ乳酸系樹脂の成形サイクルの向上および耐熱性の向上等の問題点を改善し、耐摩耗性に優れた高温環境下に耐えうるポリ乳酸系生分解性樹脂成形体を効率よく得られる熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂(a1)及び/又は脂肪族ジオ−ル類と脂肪族ジカルボン酸類との縮重合反応により得られる脂肪族ポリエステル共重合体ブロックを有する脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)とモース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物[例えば、タルクよりも硬く、窒化ホウ素よりも軟らかい](B)とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性を有し、かつ結晶化速度が速く成形性に優れた、シート、成形体、発泡体に好適なポリ乳酸系樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的な環境負荷低減化に対応し、プラスチック製品の廃棄物処理は焼却処理施設から発生するダイオキシンの問題、焼却による二酸化炭素の増加、原料である化石燃料の枯渇等、地球環境上深刻な問題を引き起こしている。このような環境負荷抑制手段の一つとして、生分解性を有する乳酸系ポリマーは、安全性が高く、燃焼時の燃焼熱量が低く、焼却処理をしても二酸化炭素を増加させない等の利点があり、近年その開発研究が盛んに行われている。しかし、ポリ乳酸系樹脂は、結晶化速度が非常に遅く、通常の射出成形では非晶性のポリ乳酸成形品となり、結晶性が充分でないため、実用的な耐熱性を有するものではなかった。そのため、成形サイクルの向上や耐熱性を向上する必要があった。
【0003】
これらの問題点を解決するため、結晶化速度を向上することを目的として、例えば、タルクや窒化ホウ素を添加したポリ乳酸系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、前記の技術では、結晶化速度は向上するものの、添加された無機粒子がタルクの場合は、成形物の耐摩耗性が低下する難点があった。また、窒化ホウ素を添加した場合は、窒化ホウ素の硬度が高すぎて、成形時に金型等が磨耗し、安定して成形体を得ることができなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平8−3432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、ポリ乳酸系樹脂の成形サイクルの向上および耐熱性の向上等の問題点を改善し、耐摩耗性に優れた高温環境下に耐えうるポリ乳酸系生分解性樹脂成形体を効率よく得られる熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸系樹脂にモース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物を結晶化剤兼充填剤として加えた樹脂組成物が、前記の課題を改善することを見出し、発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、ポリ乳酸系樹脂(a1)及び/又は脂肪族ジオ−ル類と脂肪族ジカルボン酸類との縮重合反応により得られる脂肪族ポリエステル共重合体ブロックを有する脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)とモース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物(B)とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、成形性、耐熱性、耐摩耗性に優れた乳酸系樹脂成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明で用いるポリ乳酸系樹脂(a1)としては、特に限定されるものではないが、例えば、乳酸のD体、L体、ラセミ体等を直接重縮合させたもの又はラクチドを開環重合させたもの、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、乳酸と共重合しうる共重合モノマ−成分を用いたポリ乳酸系共重合体であっても差し支えない。これらのポリ乳酸の分子量は、充分な機械的強度を得るために数平均分子量として、10000以上が好ましく、樹脂の製造のし易さや成形性が容易なことから100000以下が好ましい。さらに、30000〜70000の範囲が好ましい。
【0010】
前期ポリ乳酸系樹脂の製造方法を直接重縮合する方法を例にして説明する。原料の乳酸はD、L、ラセミ体等特に限定なく使用できる。この中でも、耐熱性を付与しやすくするために結晶性の高いポリ乳酸樹脂を含むことが好ましい。結晶性の高いポリ乳酸樹脂を得るには、L−乳酸とD−乳酸の混合モル比〔(L)/(D)〕を95/5以上とするか、又は〔(L)/(D)〕を5/95以下として使用することが好ましい。これらの中でも〔(L)/(D)〕を96/4以上とするか、又は〔(L)/(D)〕を4/96以下とすることが更に好ましい。
【0011】
前記の樹脂を得る際に使用する触媒は通常のポリエステル重合触媒が使用可能であるが、好ましくはアンチモン系、スズ系触媒、ゲルマニウム系触媒、チタン系触媒が挙げられる。中でも、特に好ましいのは重合速度、着色の点から酸化ゲルマニウムやテトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等のゲルマニウムアルコキシド等のゲルマニウム系触媒である。
【0012】
触媒の反応系への添加は重縮合反応開始以前であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは原料仕込み時に原料中に分散させた状態で、あるいは原料仕込み後減圧開始時に分散処理した状態で添加する方法である。触媒の使用量は使用するモノマー量に対して0.01〜3重量%より好ましくは0.05〜1.5重量%である。
【0013】
重合条件としては重合温度が150〜260℃、好ましくは180〜230℃の範囲であり、反応時間は2時間以上、好ましくは4時間以上、更に好ましくは10時間以上が重合度を挙げるためには好ましい。しかし、あまり長時間ではポリマーの着色、劣化の問題等が生じるため、4〜15時間である。減圧度は50mmHg以下、好ましくは30mmHg以下である。
【0014】
前記乳酸と共重合しうる共重合モノマ−成分を用いたポリ乳酸系共重合体は、乳酸から誘導される繰り返し単位と乳酸と共重合しうる他の共重合体成分から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体であり、前記他の共重合体成分としては脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジオールとして直鎖アルキレン基の両末端に水酸基を有するものが好ましく、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。得られる共重合体の物性からは、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0015】
また、前記脂肪族ジカルボン酸としては特に限定されないが、直鎖アルキレン基の両末端にカルボン酸基を有するものが好ましく、具体的にはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。得られる共重合体の物性からは特にコハク酸が好ましい。上述の2成分の組成比は脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸のモル比が実質的に等しく添加することが必要であり、これにより、分子量の増大、機械的物性の改良が行えるため特に好ましい。その他の共重合体成分としてはヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸類、ビスフェノールA等の芳香族ジオール類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、あるいは3官能以上の脂肪族ポリオール、脂肪族ポリカルボン酸等を導入することも可能である。
【0016】
本発明で使用する脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)とは、脂肪族ポリエステルとポリ乳酸系樹脂とのブロック共重合体、または、脂肪族ポリエステルとポリ乳酸系樹脂とのグラフト共重合体である。
【0017】
前記脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)は、ポリ乳酸系樹脂ブロック25〜98重量%と−COO−基を含有する鎖状炭化水素およびから構成されるポリエステルブロック2〜75重量%とから構成される重量平均分子量2万〜40万の線状のポリ乳酸系樹脂、と該線上ポリエステル系樹脂ブロックからなるブロック共重合体あるいはグラフト共重合体も含まれる。
【0018】
本発明で使用する脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)に含まれるポリ乳酸系樹脂ブロックは、前述したポリ乳酸系樹脂(a1)と同様なポリ乳酸系樹脂が用いられる。またポリエステル系樹脂ブロックは脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分からなる共重合体を意味し、高分子量であることが好ましく、具体的には重量平均分子量で5,000〜250,000である。高分子量の脂肪族ポリエステルを得る為には、脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分のモル分率は、ほぼ1であることが好ましい。
【0019】
ポリ乳酸系樹脂ブロックの使用割合については、特に制約はないが、ポリ乳酸系樹脂ブロックと脂肪族ポリエステル系樹脂ブロックの合計100重量部に対して、ポリ乳酸系樹脂ブロック25〜98重量部使用していることが好ましい。更に、耐熱性の良い樹脂を得る為には、ポリ乳酸系樹脂ブロックと脂肪族ポリエステル系樹脂ブロックの合計100重量部に対して、ポリ乳酸系樹脂ブロックが30〜80重量部であることが好ましい。
【0020】
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂ブロック中の脂肪族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、なかでも炭素原子数4〜14の脂肪族ジカルボン酸成分であることが好ましい。具体的にはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。この他にダイマー酸等も使用することが出来る。
【0021】
また、ジオール成分に関しては、特に種類を問わないが、なかでも炭素数が2〜15のジオールが好ましく、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブタンジオール、3−ヒドロキシピバリルピバレート等、および水添ビスフェノールが挙げられる。
【0022】
重合反応には、開環重合触媒を使用することが望ましく、本発明で使用する開環重合触媒としては、一般に環状エステル類の開環重合触媒、エステル交換触媒としても知られる錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属およびその誘導体が挙げられ、これらの誘導体については特に金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。具体的には、オクタン酸錫、塩化錫、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウムが適している。
【0023】
本発明で使用されるポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂―ポリエステル系樹脂共重合体(C)の酸価は4.0(mgKOH/g)以下であることが好ましい。特に3.0(mgKOH/g)以下が好ましく用いられる。
【0024】
本発明で用いるモース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物(B)とは分子中にマグネシウム原子を持つ天然または合成の粘土鉱物である。具体的にはアタパルジャイト(パリゴルスカイト)[モース硬度3]、セピオライト[モース硬度2〜2.5]、アンチゴライト[モース硬度5〜6]、ドロマイト[モース硬度3.5〜4]、リザ−ダイト、アメサイト、ソタイル、クロンステダイト、バ−チェリン、グリ−ナライト等の「粘土の事典」(朝倉書店発行)に記載されている結晶性鉱物あるいはドロマイト等が挙げられる。これらの中で層―リボン層構造を持ち、かつ分子内にマグネシウム原子を含む粘土鉱物であるアタパルジャイト(パリゴルスカイト)およびセピオライト、あるいは層状構造を持つアンチゴライト、さらにドロマイトが好ましく用いられる。これらの粘土鉱物は必要に応じて1種以上を混合して用いても差し支えない。モース硬度2未満のマグネシウム原子含有粘土鉱物は、得られた成形物の耐摩耗性に乏しく好ましくない。また、モース硬度7超の粘土鉱物は、硬すぎて成形時に金型等が磨耗しやすいことから、好ましくない。
【0025】
これら粘土鉱物の粒径は100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下の粒径の粘土鉱物が物性を低下させないことからで好ましい。該粘度鉱物の使用量は0.01〜70重量%、好ましくは0.05〜60重量%、更に好ましくは0.1〜50重量%である。0.01重量%以下では結晶化促進効果が低く、また、70重量%以上では物性低下が著しい。また、これら粘土鉱物の形状は繊維状あるいは繊維状、粒状、平板状、鱗片状などがあり、いずれの形状でも差し支えない。さらにこれらの粘土鉱物は表面処理されていることが好ましい。表面処理剤としてはシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。あるいはこれらカップリング剤をポリ乳酸と該粘度鉱物を混合する際に、必要量を同時添加して混して使用しても差し支えない。カップリング剤の添加量はこれを規定するものではないが、0.01〜5重量%が好ましい。
【0026】
本発明の熱可塑性樹脂組成物はポリ乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、かつ結晶化を容易に行えるものであるということが本発明の趣旨であるが、この結晶化の容易さの度合いは示差走査型熱量計(DSC)測定により評価することができる。ここで、示差走査熱量測定とは、試料3〜8mgを常温から190℃に一定の昇温速度で加熱し190℃で1分間保持した後、一定の降温速度で常温まで冷却する一連の動作時に生ずる吸熱量および発熱量を測定するものである。そして、昇温した後の降温過程において、結晶化由来の発熱ピークが、速い降温速度で発生するほど、通常の成形加工時に結晶化が可能となり、熱処理を要せずに耐熱性の成形体が得られる。本発明の樹脂組成物では、この結晶化由来の発熱ピークは、ポリ乳酸系樹脂が非晶質となりにくく、充分な耐熱性が得られことから、熱可塑性組成物中の樹脂成分換算で1J/g以上であることが、好ましく、5J/g以上であることが特に好ましい。なお、ここで言う樹脂成分換算とは、発熱ピークの発熱量を樹脂組成物試料に含まれるポリ乳酸系樹脂の含有量で除した値である。本発明では、結晶化が充分で、耐熱性が顕著となることから、この結晶化由来の発熱ピークが、降温速度10℃/分以上の降温過程において発生することが好ましく、降温速度20℃/分以上で発生することが、更に好ましく、降温速度30℃/分以上で発生することが特に好ましい。
【0027】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有することで、融点付近の樹脂溶融粘度の急激な減少が緩和され、温度の変動に伴う樹脂の溶融粘度の変動が小さくなる。
【0028】
前記効果を示す架橋剤としては、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、エポキシ化合物、シリケ−ト化合物あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0029】
前記イソシアネート化合物としては、芳香族、脂環族、又は脂肪族系のイソシアネート化合物があり、例えば、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたは3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0030】
前記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,14−テトラデカンジカルボン酸グリシジルエステル等を用いることができる。
カルボジイミド系化合物化合物としてはカルボジイミド化合物は分子中に一個以上のカルボジイミド基(−N=C=N−結合)を有する化合物であり、ポリカルボジイミド化合物をも含む。このカルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ナフチルカルボジイミドなどを例示することができ、これらの中でも、特に工業的に入手が容易であるジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
【0031】
前記シリケ−ト化合物とは分子中に一般式〔1〕で示されるアルコキシ基を有するケイ素化合物オリゴマ−である。
【0032】
【化1】

【0033】
(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、フェニル基、nは3以上の整数)
前記シリケ−ト化合物として、好ましい化合物としては上記式〔1〕中のRが炭素数1〜4のアルコキシ基を持つ、オリゴマ−シリケ−ト化合物であり、且つ、引火点が100℃以上のシリケ−ト化合物である。
【0034】
前記オキサゾリン系化合物としては、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、または2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。またはポリスチレン系樹脂とオキサゾリン化合物の共重合体も使用できる。
【0035】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中における架橋剤の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。架橋剤の含有量が0.1重量%未満では架橋の効果が現れず、10重量%を超えると架橋密度が大きくなりすぎ生分解性が低下する。
【0036】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物の50℃、95%RHにおける加水分解係数は、0.005〜0.15であることが好ましく、0.01〜0.14であることがさらに好ましく、0.02〜0.13であることが特に好ましい。加水分解係数は50℃、95RHの条件で6日間処理し、相対粘度を縦軸に、処理日数を横軸にとり、プロットした直線の傾きをいう。加水分解係数が0.15より大きいと、成形直後から加水分解が進行する為、生分解性耐熱発泡体および成形体として使用中、あるいは使用前に破断してしまう。そして、加水分解係数が0.005未満であると、加水分解に要する時間が増加し、生分解性耐熱発泡体の減容化に要する処理時間が長くなる。
【0037】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用するに際しては、可塑剤等の他、ハロゲン系難燃剤、リン原子含有難燃剤、含水無機難燃剤等の難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、フィラー、顔料なども併用できる。
【0038】
難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、赤リン、リン酸エステル、縮合系リン酸エステル、縮合系リン酸エステルオリゴマ−、燐酸アンモニウム化合物、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリ燐酸メラム等のリン原子含有難燃剤、メラミンシアヌレ−ト、メラム、メロム、ベンゾグアミン、アセトグアナミン等の窒素原子含有難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の結晶水を含む無機系難燃剤等が挙げられる。
【0039】
可塑剤としては、ジイソデシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジブチルフタレ―ト、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ−n−アルキルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘイシルアゼレート、ジ−2−ヘキシルアゼレート、アセチルトリブチルシトレ―ト、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジブチル、トリオクチルトリメリテート、フタル酸ジエチル、ポリプロピレングリコールアジピン酸、ポリエチレングリコールアジピン酸、アジピン酸ブタンジオール等があげられる。
【0040】
さらに酸化防止剤としては、p−t−ブチルヒドロキシトルエン、p−t−ブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
熱安定剤としては、ヒンダントフェノ−ル系安定剤、トリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のリン系安定剤、チオエ−テル系安定剤等、紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、トリアゾ−ル系、ヒンダントアミン系等、滑剤としてはステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸、ペンタエリスリト−ル等あるいはモンタン酸等のエステル系滑剤、帯電防止剤としては、n,n−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ジエタノールアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルホネート等、顔料としては酸化チタンやカーボンブラック等が挙げられる。また離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系離型剤、ビスアミド系離型剤、モンタン酸エステル等の高級脂肪酸エステル及びその金属塩化合物、ステアリン酸等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用い発泡体を製造するに際して用いる発泡剤としては、特に限定されないが、使用する樹脂の融点及び加工温度で適時選択すればよく、一般の有機系分解性発泡剤、無機系分解性発泡剤等の化学発泡剤や、揮発性液体、不活性ガス、炭化水素、塩化炭素、ハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤を用いることができる。
【0041】
化学発泡剤としてはp−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、5−フェニルテトラゾール、4−アミノウラゾ−ル、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、酪酸マグネシウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、テレフタル酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムエトキシド、カリウムフェノキシド、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0042】
物理発泡剤としてはメタン、エタン、ブタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロペンタン、ベンゼン、キシレン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、四弗化炭素、弗化エチル、四弗化エタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、エーテル、メチラール、アセタ―ル、1,4−ジオキサン、アセトン、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、炭酸ガス、窒素ガス、ネオン、ヘリウム、キセノン等が挙げられる。
【0043】
前記発泡剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。また、発泡剤の添加割合は0.05〜50重量%の範囲が好ましい。発泡剤の添加割合が0.05%より少ないと、ほとんど発泡を生じないので実用性のある発泡成形品が得られない。また、発泡剤の添加割合が50重量%よりも多いと、溶融樹脂中に発泡剤が入りきらず、ガスが吹き出てしまって所定の形状の発泡体が得難くなるので好ましくない。また、以上の発泡剤に、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を併用することが出来る。
【0044】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、0.46(MPa)荷重時の荷重たわみ温度が60℃以上であることが、高温環境下での保管および輸送時に発泡体および成形体が互いに融着しにくいことや発泡容器として使用する際、暖かい食品等の熱で容易に変形しにくいことから、好ましい。更に、85℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。
【0045】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる発泡体は、発泡倍率が2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることが特に好ましい。発泡倍率が2倍未満のものでは、発泡体を緩衝材として使用する場合、充分な緩衝効果を示すことが出来ないからである。また、一般的に発泡体のセル径は外観に影響を与える。本発明で得られる発泡体のセル径は3mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、0.5mm以下が特に好ましい。セル径が3mmを超えるセルがあると外観が良好でなくなる。
【0046】
本発明の熱可塑性樹脂組成物よりシートを得る方法としては、Tダイより溶融押出しするTダイ法が一般に用いられる、また、成形体を得る方法としては、インジェクション成形法、押出後のシートを加圧及び真空のもとで加熱し金型内にて成形する方法等いずれの方法も用いることが出来る。例えば、インジェクション成形法では、押出機の先端に取り付けたトレー状の金型に樹脂を押出し、押出しと同時に成形させることで分解性耐熱トレーが得られる。押出機の先端に取り付ける金型形状は、如何なる形状でもよく、例えば対象となる製品の形状に合った窪みを形成することもできる。この窪みの数は、トレー1枚当たり1個でも構わないが、梱包状況に合わせて複数個以上設けてもよい。また、Tダイ法によりシートを成形し、真空成形法、圧空成形法、熱プレス等の2次加工を施し所望の形状の生分解性耐熱成形体を得ることができる。
【0047】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡体を製造する方法としては、発泡剤を添加し押出成形と同時に発泡させる押出発泡法、インジェクション成形による発泡成形法、押出成形後加圧及び常圧のもとで加熱し発泡させる方法等いずれの方法も用いることが出来る。
【0048】
例えば、インジェクション成形による発泡成形法では、押出機の先端に取り付けたトレー状の金型に樹脂を押出し、押出しと同時に発泡成形させることで生分解性耐熱発泡トレーが得られる。押出機の先端に取り付ける金型形状は、如何なる形状でもよく、例えば対象となる製品の形状に合った窪みを形成することもできる。この窪みの数は、トレー1枚当たり1個でも構わないが、梱包状況に合わせて複数個以上設けてもよい。また、Tダイ発泡成形法によりシート状の発泡体を成形し、真空成形法、圧空成形法、熱プレス等の2次加工を施し所望の形状の生分解性耐熱発泡体を得ることができる。
【0049】
また、ネット状の発泡体を製造する一例としては、円周上に多数のノズルを設けた外輪ダイと内輪ダイとが互いに逆方向に回転する円形回転ダイから押出発泡させる方法があり。この方法により、多数の発泡細条を形成し、これをその押出直後に外輪ダイから押し出された多数の発泡ストランドと互いに交差させて融着させることによって、編み目構造の筒型の発泡ネットを形成し、冷却後にこれを所望の形状に切り開いてネット状の生分解性耐熱発泡体を得ることが出来る。
【0050】
また、発泡粒子を得る場合は、本発明の熱可塑性樹脂組成物をペレット状またはビーズ状粒子とした後、発泡剤および発泡助剤を含浸させる。含浸された粒子は通常加熱により第1次の発泡で発泡倍率10〜50倍の発泡粒子とし、次いでこれらを金型に充填し再び加熱して2次発泡させ、所望の成形体とする。1次発泡および2次発泡での加熱方法は、通常の加熱方法を用いることが出来るが、熱容量の大きい水蒸気を用いることが好ましい。
【0051】
本発明の熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品および発泡製品は、例えば弁当箱、食器、カップラーメンの様な熱湯を注ぐカップ、コーヒーやお茶のカップ、鮮魚・青果・豆腐・惣菜等の食品用容器やトレイ、トロ箱、乳製品用の容器、家電製品や精密製品および工業製品等の緩衝容器や緩衝材、遮光材、防音材、断熱材、フィルター、クッション材、自動車用部材として使用される。
【実施例】
【0052】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例および比較例において用いた試験方法は以下の通りである。また、なお、例中「部」はそれぞれ重量部を表す。
【0053】
(1)結晶化温度の測定
示差走査型熱量測定パーキンエルマー社製7シリーズDSC測定装置を用い、試料量7mgにおいて、室温より昇温速度20℃/分で190まで昇温し、190℃で1分間保持した後、降温速度―20℃/分で降温時の結晶化由来の発熱ピークを観察し、ポリ乳酸系樹脂換算で1J/g以上の発熱量を示すピ−ク温度を測定した。
【0054】
(2)耐熱性
耐熱性の評価は荷重たわみ温度を測定することで行った。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形機にて長さ127mm×幅12.7mm×厚み3.07mmの短冊状の成形品を、シリンダ−温度190(℃)、金型温度100(℃)で成形し、荷重たわみ温度用の試験片とした。荷重たわみ温度はASTM D1234に準じ、加重0,46(MPa)で測定した。
【0055】
(3)耐摩耗性の評価1[樹脂成分として、ポリ乳酸系樹脂(a1)のみを用いた場合]
耐摩耗性の評価として、摩擦係数を下記の方法で測定した。
本発明の組成物を射出成形機にて内径20mm、外径25mm、高さ15mmの円筒状の試験片を作成し、摩擦係数測定用の試験片とした。成形条件はシリンダ−温度190(℃)、金型温度100(℃)で成形した。また摺動相手材は同形状の軟鋼S―45Cを用いた。摩擦係数の測定はスラスト摩擦摩耗試験器を用い、回転速度0.3m/sec、圧力150KPaで測定した。
【0056】
(4)耐摩耗性の評価2[樹脂成分として、ポリ乳酸系樹脂(a1)とポリ乳酸系樹脂(a2)或いはポリ乳酸系樹脂(a2)のみを用いた場合]
耐摩耗性の評価として、成形物の摩耗量を下記の方法で測定した。
本発明の組成物を射出成形機にて長さ100mm×幅100mm×厚み2mmの成形シ−トを作成し、テ−バ摩耗試験機にて1000回回転後の摩耗量を測定した。条件を以下に示す。
【0057】
砥石粒度 CS−17 (ゴム砥石 粗い)
荷重 1kg
【0058】
実施例1〜5
表1に示す原料および配合比で、シリンダー直径25mm、L/D=41の2軸押出機で、シリンダ−温度200(℃)で、溶融混合後、ストランド上に押出し、ついでこのストランドを冷却、カッテイングし、ペレット状の樹脂組成物を得た。得られたペレットを100(℃)で2時間乾燥し、射出成形機にて荷重たわみ温度用の試験片および摩擦係数測定用試験片を成形した。DSCによる測定は成形前のペレットをそのまま測定用試料とした。得られた結果を表1に示す。
【0059】
比較例1〜4
モース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物を使用しない場合、及び市販の金属塩系結晶核剤を使用した場合を比較例とした。結果から明らかなように、本発明組成物は結晶化速度が速く、耐熱性に優れ、かつ摩擦係数が小さいため摺動特性が良好である。得られた結果を表2に示す。
【0060】
実施例6〜7
表3に示す原料および配合比で、シリンダー直径25mm、L/D=41の2軸押出機で、シリンダ−温度200(℃)で、溶融混合後、ストランド上に押出し、ついでこのストランドを冷却、カッテイングし、ペレット状の樹脂組成物を得た。得られたペレットを100(℃)で2時間乾燥し、射出成形機にて荷重たわみ温度用の試験片および摩耗試験測定用試験片を成形した。DSCによる測定は成形前のペレットをそのまま測定用試料とした。得られた結果を表3に示す。
【0061】
比較例5〜7
モース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物を使用しない場合を比較例とした。結果から明らかなように、本発明組成物は結晶化速度が速く、かつ耐摩耗性に優れた組成物を得ることが出来る。得られた結果を表3に示す。
【0062】
なお、実施例及び比較例に用いた樹脂及び粘土鉱物は、下記のものを用いた。
ポリ乳酸;三井化学(株)製レイシアH400
ポリ乳酸−ポリエステル共重合体;大日本インキ化学工業(株)製プラメートPD−150
アタパルジャイト;林化成(株)製ミクロソーブ400LVM
セピオライト;林化成(株)製ミルコンMS−2−2
アンチゴライト;楠本化成(株)製ノースフィル
ドロマイト;清水工業(株)製DW5000
タルク;林化成(株)製HT−0.8(モース硬度1)
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸系樹脂(a1)及び/又は脂肪族ジオ−ル類と脂肪族ジカルボン酸類との縮重合反応により得られる脂肪族ポリエステル共重合体ブロックを有する脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)とモース硬度2〜7のマグネシウム原子含有粘土鉱物(B)とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記マグネシウム原子含有粘土鉱物(B)が、リボン状層構造のマグネシウム原子を含有する粘土鉱物であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記マグネシウム原子含有粘土鉱物(B)がアタパルジャイト、セピオライト、アンチゴライト及びドロマイトからなる群から選ばれる1種以上の粘土鉱物を含有する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂共重合体(a2)が、脂肪族ポリエステル共重合体ブロックとポリ乳酸系樹脂のブロック共重合体または脂肪族ポリエステル共重合体ブロックとポリ乳酸系樹脂のグラフト共重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
示差走査型熱量(DSC)測定時の降温過程において、前記熱可塑性組成物中の1J/g(樹脂成分換算)以上の結晶化由来の発熱ピークが発生する降温速度が、20℃/分以上である請求項1〜4の何れか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−152053(P2006−152053A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341969(P2004−341969)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】