説明

熱変色性素子及びそれを利用した表示装置

【課題】色彩表示の反応スピードが速く、低エネルギー消費であり、明晰度が高い熱変色性素子及び熱変色性表示装置の提供。
【解決手段】熱変色性素子10は、熱変色性構造体14と、熱変色性構造体に熱量を提供する加熱構造体16とを備え、加熱構造体は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含んでおり、熱変色性表示装置は、複数の行電極と、複数の列電極と、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含んだ複数の熱変色性素子とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変色性素子及びそれを利用した表示装置に関し、特にカーボンナノチューブを応用した熱変色性素子及びそれを利用した表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレーに代わる次世代平面ディスプレーとして熱変色性素子が精力的に研究されている。温度の変化によって透過率や反射率等の光学特性が可逆的に変化することを熱変色性現象と言う。熱変色性現象を持つ熱変色性材料は温度の変化によって異なる色を表示させる。従って、熱変色性材料は表示装置の表示効用である熱変色性素子に応用されることができる。
【0003】
従来の熱変色性表示装置の熱変色性素子は、少なくとも加熱層と表示層とを備え、前記加熱層と表示層とは、間隔を置いて配置される。前記加熱層は、主に金属板からなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、金属板の単位面積当たりの熱容量が大きく、厚さが大きいので、前記金属板からなる加熱層は、作動の際の温度の変化が鈍く、電熱転換率が低い。従って、従来の熱変色性表示装置の熱変色性素子が作動する時、色彩表示の反応スピードが鈍く、エネルギー消費が大きい。又、金属板の硬度が高いため、フレキシブルな熱変色性表示装置とする応用に制限がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、前記課題を解決するために、本発明は色彩表示の反応スピードが速く、明晰度が高い熱変色性素子及び熱変色性表示装置を提供する。
【0007】
本発明の熱変色性素子は、熱変色性構造体と、前記熱変色性構造体と熱的に結合した加熱構造体と、を備える。前記加熱構造体は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含む。
【0008】
前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造を有する。
【0009】
前記加熱構造体は、複数の微小孔を有し、前記熱変色性構造体が、それぞれ前記加熱構造体の複数の微小孔の中に充填されている。
【0010】
前記熱変色性素子は、さらに少なくとも二つの電極を備える。前記少なくとも二つの電極は間隔をおいて、別々に前記加熱構造体に電気的に接続される。
【0011】
本発明の熱変色性表示装置は、絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数の熱変色性素子と、を備える。前記複数の行電極は、平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、前記複数の列電極は、平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉し、隣接する二つの行電極と、隣接する二つの列電極とは、1つの画素ユニットを界定し、各々の前記画素ユニットに一つの前記熱変色性素子が設置される。前記熱変色性素子は、熱変色性構造体と、前記熱変色性構造体と熱的に結合した加熱構造体と、第一電極と、第二電極と、を備える。前記第一電極と第二電極とは間隔を置いて、前記加熱構造体に電気的に接続され、且つ別々に前記行電極と列電極とに接続される。前記加熱構造体は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含む。
【0012】
前記熱変色性表示装置は、さらに複数の凹部を備え、前記各々の凹部が前記各々の画素ユニットと対応して、前記絶縁基板の前記熱変色性素子に対向した表面に配置される。
【発明の効果】
【0013】
従来の技術と比べて、熱変色性素子と熱変色性表示装置は以下の優れた点を有する。まず、前記熱変色性素子と熱変色性表示装置の加熱構造体は、少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルムからなり、前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されているので、前記加熱構造体の抵抗が均一であり、前記加熱構造体の放熱が均一になることができる。従って、熱変色性構造体に均一の熱源を提供し、前記熱変色性構造体に均一な色を表示させることができる。次に、カーボンナノチューブフィルムは薄く、その単位面積当たりの熱容量が低いので、前記加熱構造体が温度レスポンスが速く、前記熱変色性構造体との熱の交換スピードが速いという特性を有する。従って、前記熱変色性構造体の表示色彩反応スピードが速く、エネルギー消費が小さくになることができる。別に、前記熱変色性表示装置は、各々の画素ユニットの一つの表示色彩の持続時間を制御することによって、前記熱変色性表示装置200が異なる画像を表示することを実現させるので、前記熱変色性表示装置は、明晰度が高く、表示能率がより高めるなどの特性をさらに持つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の熱変色性素子の第一実施形態の構造を示す図である。
【図2】図1に示す熱変色性素子が採用したドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図2中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図4】図1に示す熱変色性素子が採用したプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図1に示す熱変色性素子が採用した綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】図1に示す熱変色性素子が採用したカーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の熱変色性素子の第二実施形態の構造を示す図である。
【図8】本発明の熱変色性素子の第三実施形態の構造を示す図である。
【図9】本発明の熱変色性素子の第四実施形態の構造を示す図である。
【図10】本発明の熱変色性表示装置の1つの実施形態の構造を示す図である。
【図11】ろ過された綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1を参照すると、本実施形態の熱変色性素子10は、熱変色性構造体14と、加熱構造体16と、第一電極17と、第二電極18と、を含む。前記熱変色性構造体14と加熱構造体16とは、対向して配置される。前記第一電極17と第二電極18は、前記加熱構造体16に電気的に接続される。該第一電極17と第二電極18が対向し、分離して配置される。
【0017】
前記熱変色性構造体14は、異なる温度で、異なる色を示すことができ、即ち、前記熱変色性構造体14に加える温度を制御することにより、前記熱変色性構造体14の色を変更できる。前記熱変色性構造体14は、サーモクロミック材料からなる。前記サーモクロミック材料は、単色彩サーモクロミック顔料、多色彩サーモクロミック顔料又は単色彩サーモクロミック顔料と多色彩サーモクロミック顔料との混合物である。本実施例において、前記熱変色性構造体14は、サーモクロミック液晶材料からなる。
【0018】
前記加熱構造体16は、前記熱変色性構造体14を加熱させて、前記熱変色性構造体14の色を変化させる。前記熱変色性構造体14は、前記加熱構造体16に隣接して配置される。例えば、前記熱変色性構造体14と前記加熱構造体16とは直接接触され、又は、前記熱変色性構造体14と前記加熱構造体16とは間隔を置いて配置される。本実施例において、前記熱変色性構造体14は、印刷、塗布又はスプレーなどの方法によって前記加熱構造体16に直接的に設置されている。前記加熱構造体16は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含む。前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも1つのカーボンナノチューブフィルム又は複数のカーボンナノチューブワイヤからなる。前記加熱構造体16の長さが1cm〜10cmであり、幅が0.1mm〜100mmであり、厚さが0.5nm〜200μmである。
【0019】
前記カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブからなり、自立構造を有するものである。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブフィルムを独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記カーボンナノチューブフィルムを対向する両側から支持して、前記カーボンナノチューブフィルムの構造を変化させずに、前記カーボンナノチューブフィルムを懸架させることができることを意味する。
【0020】
該カーボンナノチューブ構造体は大きな比表面積(例えば、100m/g以上)を有する。該カーボンナノチューブ構造体の単位体積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm・Kである。さらに、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に、金属層を形成することができる。前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブ構造体に、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体の二種に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のカーボンナノチューブ構造体において、配向型のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。
【0021】
本発明のカーボンナノチューブ構造体としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0022】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、図2に示す、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム143aを含む。このカーボンナノチューブフィルムはドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。前記カーボンナノチューブフィルム143aは、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献1を参照)から引き出して得られたものである。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。図2及び図3を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0023】
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。
【0024】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は次のステップを含む。
【0025】
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイを提供する。該カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)であり、該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供し、該基材はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施形態において、4インチのシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、前記基材の表面に、均一的に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、前記触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)を成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイの高さは100マイクロメートル以上である。該カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、基材に垂直するように生長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブは、長さが長いため、部分的にカーボンナノチューブが互いに絡み合っている。生長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。
【0026】
本実施形態において、前記カーボンを含むガスとしては例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性な炭化水素が選択され、エチレンを選択することが好ましい。保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであり、アルゴンガスが好ましい。
【0027】
本実施形態から提供されたカーボンナノチューブアレイは、前記の製造方法により製造されることに制限されず、アーク放電法またはレーザー蒸発法で製造してもいい。
【0028】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす。まず、ピンセットなどの工具を利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。例えば、一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。次に、所定の速度で前記複数のカーボンナノチューブを引き出し、複数のカーボンナノチューブセグメントからなる連続のカーボンナノチューブフィルムを形成する。
【0029】
前記複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、前記複数のカーボンナノチューブがそれぞれ前記基材から脱離すると、分子間力で前記カーボンナノチューブセグメントが端と端で接合され、連続のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0030】
(二)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
【0031】
図4を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置される。該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブが分子間力で相互に引き合い、接続する。該カーボンナノチューブ構造体が平面等方性を有する。該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長された基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
【0032】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される。該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0033】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。
【0034】
(三)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。図5を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
【0035】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
【0036】
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
【0037】
ナイフのような工具で前記カーボンナノチューブを前記基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブの原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、100マイクロメートル以上であり、10マイクロメートル以上であることが好ましい。
【0038】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
【0039】
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度攪拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法により、カーボンナノチューブを含む溶剤に対して10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成されている。
【0040】
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液をろ過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
【0041】
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。図11を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となる。
【0042】
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱するか、或いは、該溶剤が自然に蒸発すると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0043】
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
【0044】
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
【0045】
(四)カーボンナノチューブワイヤ
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含む。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであり、5×10−5J/cm・Kであることが好ましい。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は4.5nm〜1cmである。図6を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
【0046】
前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、カーボンナノチューブアレイから引き出してなるカーボンナノチューブフィルムを利用する。前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、次の三種がある。第一種では、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、前記カーボンナノチューブフィルムを収縮させてカーボンナノチューブワイヤを形成することができる。第三種では、前記カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸工程)してねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。詳しく説明すれば、まず、前記カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を動作させて前記カーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。
【0047】
前記第一電極17と第二電極18は、導電材料からなる。前記第一電極17と第二電極18は、それぞれ導電性フィルム、金属チップ又は金属ワイヤーである。本実施例において、前記第一電極17と第二電極18は、それぞれ導電性フィルムであり、その厚さが0.5nm〜100μmである。前記導電フィルムの材料は、金属、合金、インジウム酸化スズ(ITO)、アンチモニー酸化スズ(ATO)、亜鉛酸化アルミニウム(ZAO)、導電銀ペースト又は導電ポリマーである。前記金属又は合金は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、銀、ネオジム、パラジウム及びセシウムなどの一種又は幾種の合金である。本実施例において、前記第一電極17と第二電極18は、パラジウムからなり、その厚さが5nmである。前記パラジウムが、前記カーボンナノチューブ構造体のカーボンナノチューブによい湿潤性効力があるので、前記第一電極17及び第二電極18は前記加熱構造体16に良好に電気的接触させることができ、それらの間のオーム接触抵抗を減少させることができる。
【0048】
本実施例において、前記熱変色性素子10は、透明な薄膜層(図示せず)をさらに備えることができる。前記透明な薄膜層は、前記熱変色性構造体14の、前記加熱構造体16から離れた表面に設置されている。即ち、前記熱変色性構造体14は、前記透明な薄膜層と前記加熱構造体16との間に位置されている。使用者は、前記透明な薄膜層を通じて前記熱変色性構造体14を見ることができる。前記透明な薄膜層は、良好な熱抵抗特性を持っており、前記熱変色性構造体14の温度に影響を与えない。前記透明な薄膜層の材料は、ガラス、ポリエチレン又はポリ塩化ビニルである。
【0049】
前記熱変色性素子10を使用する場合、前記第一電極17と第二電極18とに電圧を印加させ、前記加熱構造体16に熱量を生成させる。前記加熱構造体16からの熱量を直接的に前記熱変色性構造体14に伝送させることができる。前記第一電極17及び第二電極18に印加された電圧を変化させることにより、前記熱変色性構造体14に示された色を変化させることができる。本実施形態の加熱構造体16はカーボンナノチューブ構造体からなり、且つ前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量がより低いので、前記加熱構造体16は温度応答が速く、前記加熱構造体16は、前記熱変色性構造体14との熱の交換スピードが速い。本実施形態において、前記加熱構造体16からの熱量は直接的に前記熱変色性構造体14に伝送されるので、熱エネルギーの損失が減少する。従って、前記熱変色性構造体14の反応スピードが速くなり、エネルギー消費を低くすることができる。
【0050】
(実施形態2)
図7を参照すると、本実施形態の熱変色性素子30は、熱変色性構造体34と、加熱構造体36と、第一電極37と、第二電極38と、を含む。前記熱変色性構造体34と加熱構造体36は、対向して配置される。前記第一電極37と第二電極38は、前記加熱構造体36に電気的に接続される。該第一電極37と第二電極38が対向し、分離して配置される。
【0051】
本実施形態に係る熱変色性素子30の構造は、実施形態1に係る熱変色性素子10と比べて、次の異なる点がある。前記熱変色性構造体34と加熱構造体36は、所定の距離で離れて配置される。前記熱変色性素子30は、さらに支持体342を備え、前記支持体342が透明な材料からなる。前記熱変色性構造体34は、前記支持体342の前記加熱構造体36に面する表面に配置され、前記支持体342と結合している。前記熱変色性素子30は、固定体32をさらに備える。前記固定体32は、前記熱変色性構造体34と加熱構造体36を固定するために用いられる。即ち前記熱変色性構造体34と加熱構造体36は、二つの前記固定体32の間に固定されている。前記固定体32と前記支持体342の材料は、それぞれセラミック、ガラス、樹脂、二酸化ケイ素、プラスチック又はファイバーである。本実施例において、前記支持体342はガラスからなり、前記固定体32はプラスチックからなる。
【0052】
(実施形態3)
図8を参照すると、本実施形態の熱変色性素子40は、熱変色性構造体44と、加熱構造体46と、第一電極47と、第二電極48と、を含む。前記熱変色性構造体44と加熱構造体46は、対向して配置される。前記第一電極47と第二電極48は、前記加熱構造体46に電気的に接続される。該第一電極47と第二電極48が対向し、分離して配置される。
【0053】
本実施形態に係る熱変色性素子40の構造は、実施形態1に係る熱変色性素子10と比べて、次の異なる点がある。前記加熱構造体46は、第一カーボンナノチューブフィルム462及び第二カーボンナノチューブフィルム464を含む。前記第一カーボンナノチューブフィルム462、前記熱変色性構造体44及び前記第二カーボンナノチューブフィルム464は、順次的に積層して配置される。即ち前記熱変色性構造体44は、前記第一カーボンナノチューブフィルム462と第二カーボンナノチューブフィルム464との間に位置されている。前記第一電極47と第二電極48は、前記第一カーボンナノチューブフィルム462と第二カーボンナノチューブフィルム464との間に、前記熱変色性構造体44に接続するか又は間隔を置いて配置され、且つ前記第一カーボンナノチューブフィルム462と第二カーボンナノチューブフィルム464に電気的に接続される。本実施例において、前記第一電極47と第二電極48は、前記熱変色性構造体44に間隔を置いて配置される。
【0054】
(実施形態4)
図9を参照すると、本実施形態に係る熱変色性素子50の構造は、実施例1に係る熱変色性素子10と比べて、次の異なる点がある。前記熱変色性素子50は、複合構造体52と、第一電極57と、第二電極58と、を含む。前記第一電極57と第二電極58は、前記複合構造体52に電気的に接続される。該第一電極57と第二電極58が対向し、分離して配置される。前記複合構造体52は、熱変色性構造体54が加熱構造体56に埋め込まれて形成する。即ち前記加熱構造体56に複数の微小孔を形成して、前記複数の微小孔の中にそれぞれ熱変色性構造体54を充填させる。従って、前記加熱構造体56に電圧を印加すると、前記加熱構造体56からの熱量は、熱変色性構造体54により速く吸収され、前記熱変色性構造体54の色彩表示の反応スピードを速めるので、前記熱変色性素子50の色彩表示の反応スピードをより鋭敏にすることができる。
【0055】
(実施形態5)
図10を参照すると、本実施形態の熱変色性表示装置200は、絶縁基板202と、複数の行電極204と、複数の列電極206と、複数の熱変色性素子10と、を備える。
【0056】
前記複数の行電極204は、平行し、等間隔に前記絶縁基板202の1つの表面に設置され、前記複数の列電極206は、平行し、等間隔に前記絶縁基板202の前記表面に設置される。該複数の行電極204と該複数の列電極206は、交叉して前記絶縁基板202に設置されている。該複数の行電極204と該複数の列電極206とが短路することを防止するために、交叉する場所に絶縁層216が設置されている。隣接する二つの行電極204と、隣接する二つの列電極206とは、複数の格子214を形成している。各々の前記格子214は、1つの画素ユニットを画定し、即ち各々の前記格子214に一つの前記熱変色性素子10が設置される。前記熱変色性素子10は、本発明の実施例1に係る熱変色性素子10である。
【0057】
各々の前記熱変色性素子10は、熱変色性構造体(標示せず)と、加熱構造体(図示せず)と、第一電極17と、第二電極18と、を含む。前記熱変色性構造体と加熱構造体とは、対向して配置される。前記第一電極17と第二電極18は、前記加熱構造体に電気的に接続される。各々の前記画素ユニットに、該第一電極17と第二電極18が対向し、分離して配置される。本実施例において、前記第一電極17と第二電極18は、それぞれ長さが60μmと70μmであり、幅が40μmであり、厚さが全て20μmである。前記第一電極17と第二電極18との間の距離が250μmである。
【0058】
前記同じ列に沿って配列された複数の画素ユニットにおける前記熱変色性素子10の第一電極17は、同じ列の列電極206に電気的に接続されている。同じ行に沿って配列された複数の画素ユニットにおける前記熱変色性素子10の第二電極18が、同じ行の行電極204に電気的に接続されている。前記加熱構造体は、前記絶縁基板202に間隔を置いて配置される。
【0059】
前記絶縁基板202は、剛性材料又は柔軟性材料からなる。前記剛性材料は、セラミック、ガラス、樹脂、二酸化ケイ素である。前記柔軟性材料は、プラスチックまたはファイバーである。前記絶縁基板202は柔軟性材料からなる場合、前記熱変色性表示装置200は、任意的に曲げることができる。本実施例において、前記絶縁基板202の材料は、ガラスであり、その厚さが1mmであり、その長さが3cmであり、その幅が2cmである。さらに、前記絶縁基板202の前記熱変色性素子10と対向した表面に、前記各々の画素ユニット(格子214)に対応して、凹部が形成される。前記凹部は、同じの寸法で、同じの間隔を置いて前記絶縁基板202に分布される。前記加熱構造体は、前記凹部により前記絶縁基板202に間隔を置いて配置される。前記凹部を形成することにより、前記絶縁基板202が前記加熱構造体から熱量を吸収することを防止できる。つまり、前記加熱構造体からの全ての熱量を前記熱変色性構造体に伝導させることができる。従って、前記熱変色性表示装置200は良好な色彩表示の反応スピードを有し、エネルギー消費を減少させることができる。
【0060】
前記複数の行電極204と複数の列電極206とは、導電体である。例えば、前記複数の行電極204と複数の列電極206とは、金属層である。前記複数の行電極204と複数の列電極206と交差して成る角度は、10度〜90度である。本実施例において、前記複数の行電極204と複数の列電極206は、導電ペーストで印刷形成した平面導電体である。前記複数の行電極204と複数の列電極206との行間隔距離及び列間隔距離は、全て300μm〜500μmである。前記複数の行電極204と複数の列電極206の幅は、全て30μm〜100μmであり、厚さが全て10μm〜50μmである。前記複数の行電極204と複数の列電極206とが交差して成る角度は90度である。前記複数の行電極204と複数の列電極206とは、スクリーン印刷方法によって、導電ペーストを前記絶縁基板202に印刷して形成したものである。前記導電ペーストは、金属粉、低融点ガラスパウダー及び接着剤を含む。ここで、前記金属粉が銀のパウダーであり、前記接着剤がテルピネオール又はエチルセルロースであることが好ましい。前記導電ペーストにおける前記金属粉の質量パーセンテージは50〜90%であり、前記低融点ガラスパウダーの質量パーセンテージは2〜10%であり、前記接着剤の質量パーセンテージは10〜40%である。前記第一電極17と第二電極18との材料及び形成方法が、全て前記複数の行電極204と複数の列電極206との材料及び形成方法と同じである。
【0061】
前記熱変色性表示装置200を利用する場合は、前記複数の行電極204と複数の列電極206とに異なる電圧を印加させて、前記第一電極17と第二電極18との間に電場を生成させる。該電場は前記加熱構造体に作用して、前記加熱構造体から熱量を生成させ、前記加熱構造体からの熱量を直接的に前記熱変色性構造体に伝送させることができる。前記電圧の変化により、前記熱変色性構造体に示された色を変化させるので、前記熱変色性素子10に異なる色彩を表示させることができる。各々の画素ユニットにおける単一の色の持続時間を制御することによって、前記熱変色性表示装置200に異なる画像を表示させることを実現できる。
【符号の説明】
【0062】
10、30、40、50 熱変色性素子
14、34、44、54 熱変色性構造体
16、36、46、56 加熱構造体
17、37、47、57 第一電極
18、38、48、58 第二電極
143 カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
462 第一カーボンナノチューブフィルム
464 第二カーボンナノチューブフィルム
52 複合構造体
200 熱変色性表示装置
202 絶縁基板
204 行電極
206 列電極
214 格子
216 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性構造体と、前記熱変色性構造体と熱的に結合した加熱構造体と、を備えた熱変色性素子であって、
前記加熱構造体は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含むことを特徴とする熱変色性素子。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造を有することを特徴とする請求項1に記載の熱変色性素子。
【請求項3】
前記加熱構造体は、複数の微小孔を有し、
前記熱変色性構造体が、それぞれ前記加熱構造体の複数の微小孔の中に充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱変色性素子。
【請求項4】
前記熱変色性素子は、さらに少なくとも二つの電極を備え、
前記少なくとも二つの電極は間隔をおいて、別々に前記加熱構造体に電気的に接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱変色性素子。
【請求項5】
絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数の熱変色性素子と、を備えた熱変色性表示装置であって、
前記複数の行電極は、平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、
前記複数の列電極は、平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉し、隣接する二つの行電極と隣接する二つの列電極は、1つの画素ユニットを画定し、各々の前記画素ユニットに一つの前記熱変色性素子が設置され、
前記熱変色性素子は、熱変色性構造体と、前記熱変色性構造体と熱的に結合した加熱構造体と、第一電極と、第二電極と、を備え、
前記第一電極と第二電極は間隔を置いて前記加熱構造体に電気的に接続され、且つ別々に前記行電極と列電極とに接続され、
前記加熱構造体は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体を含むことを特徴とする熱変色性表示装置。
【請求項6】
前記熱変色性表示装置は、さらに複数の凹部を備え、前記各々の凹部は前記各々の画素ユニットに対応して、前記熱変色性素子と対向した前記絶縁基板の表面に配置されることを特徴とする請求項5に記載の熱変色性表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−204648(P2010−204648A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20348(P2010−20348)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】