説明

熱媒体加熱装置

【課題】熱媒体流路を構成する部材の腐食を抑え、高い品質を確保することのできる熱媒体加熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】PTCヒータユニット100を構成する各チューブ17a、17b、17cの扁平チューブ部20は、互いに対向するプレート部20a、20bに、コルゲート状の凹凸21a、21bが形成されている。そして、一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとの間が、熱媒体流路110とされている。一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとは、間隔を隔てて対向しており、非接触とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを用いて熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置の1つとして、正特性サーミスタ素子(PTC素子)を発熱要素とするPTCヒータを用いたものが知られている。
PTCヒータは、正特性のサーミスタ特性を有しており、温度の上昇と共に抵抗値が上昇し、これによって消費電流が制御されるとともに温度上昇が緩やかになり、その後、消費電流および発熱部の温度が飽和領域に達して安定するものであり、自己温度制御特性を備えている。
上記のように、PTCヒータは、ヒータの温度が上昇すると消費電流が低くなり、その後一定温度の飽和領域に達すると、消費電流が低い値で安定するという特性を有する。この特性を利用することにより、消費電力を節減することができるとともに、発熱部温度の異常上昇を防止することができるという利点が得られる。
このような特長を有することから、PTCヒータは、多くの技術分野において用いられており、空調の分野においても、例えば、車両用空調装置において、空気加温用の放熱器に供給する熱媒体(ここでは、エンジンの冷却水)を加熱するための加熱装置に適用したものが提案されている。
【0003】
PTCヒータを用いた熱媒体加熱装置は、流通路を流れる熱媒体がPTCヒータで発生した熱の伝達を受けて加熱される。
PTCヒータで発生した熱を熱媒体に伝達するのに、波形形状のフィンをPTCヒータに接して設け、このフィンにより熱媒体の加熱を形成するものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載されているように、このようなフィンは、扁平形状のチューブの内部空間に設けられており、このチューブを熱媒体の流通路とするものである。チューブ内を流れる熱媒体は、フィン、およびフィンに接するチューブ自体と接触することで熱交換し、これによって熱媒体が加熱されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−287108号公報
【特許文献2】特開2001−351764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したようなフィンを用いたチューブを熱媒体流路とした場合、チューブの内部において、チューブとフィンとの接合部分に腐食が生じる可能性がある。これは、チューブの内周面とチューブとをロウ付けするために、チューブの内周面にクラッド層が形成されており、熱媒体流路の一部を形成するクラッド層とフィンとの接合部分において腐食が生じるためである。
腐食が生じると、熱媒体の漏れ等の問題が生じる可能性があるため、品質保証上、この腐食は抑える必要がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、熱媒体流路を構成する部材の腐食を抑え、高い品質を確保することのできる熱媒体加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもとになされた本発明の熱媒体加熱装置は、ヒータユニットと、ヒータユニットを収容するハウジングと、を備え、ヒータユニットは、熱媒体が内部を流れる断面扁平状の熱媒体流路と、熱媒体流路を加熱するプレート状のヒータと、が積層され、少なくともヒータに接する領域の熱媒体流路は、互いに対向する一方の内表面と他方の内表面にそれぞれ凹凸が形成され、かつ一方の内表面の凹凸と、他方の内表面の凹凸とが互いに間隔を隔てて対向して非接触とされていることを特徴とする。
このように、熱媒体流路の互いに対向する内表面にそれぞれ凹凸を形成し、これらを非接触とすることで、別体のフィンを熱媒体流路の内部に設けることなく、熱媒体流路内を流れる熱媒体の熱交換面積を増大させることができる。
【0008】
このとき、熱媒体流路において、ヒータ側の内表面を、ヒータの表面により形成することができる。つまり、ヒータの表面自体に凹凸を形成することができる。
【0009】
また、熱媒体流路を形成する断面扁平状の管体が設けられ、管体の内表面自体に凹凸を形成することもできる。
この場合、凹凸は、ヒータ側に平面部を有し、ヒータに面接触するようにしても良い。
管体においてヒータ側の凹凸とヒータの表面との隙間に充填体を充填しても良い。この場合、充填体は、ヒータの表面と同材料、管体の内表面と同材料、金属材料、アルミナのいずれかであるのが好ましい。これによりヒータから凹凸への伝熱性が高まる。
【0010】
また、管体に接続され、管体において熱交換される熱媒体が流入する入口ヘッダと、管体に接続され、管体において熱交換された熱媒体が流出する出口ヘッダと、をさらに備えることもでき、その場合、入口ヘッダに、入口ヘッダに熱媒体を流入させる流入口から熱媒体流路の幅方向に広がるガイド部材を設けることができる。
【0011】
ヒータユニットを挟み込む押えプレートをさらに備えることもできる。このとき、押えプレートは、ヒータユニットよりも硬度の高い材料で形成することもできる。これにより、押えプレートでヒータユニットを挟み込むと、ヒータユニットが弾性変形し、ヒータユニットを構成する熱媒体流路やフィンの密着性が高まる。
【0012】
熱媒体流路の内表面に、熱媒体流路を形成する母材よりも耐食性の高い表面処理を施すこともできる。
【0013】
また、本発明は、ヒータユニットと、ヒータユニットを収容するハウジングと、を備え、ヒータユニットは、熱媒体が内部を流れる断面扁平状の管体と、管体に積層して設けられ、管体を加熱するプレート状のヒータと、を備え、管体の内表面自体に凹凸が形成されていることを特徴とする熱媒体加熱装置とすることもできる。
【0014】
本発明は、ヒータユニットと、ヒータユニットを収容するハウジングと、を備え、ヒータユニットは、熱媒体が内部を流れる断面扁平状の熱媒体流路と、熱媒体流路に接して設けられ、熱媒体流路を加熱するプレート状のヒータと、を備え、ヒータの表面に凹凸が形成され、この表面が熱媒体流路の内表面を形成していることを特徴とする熱媒体加熱装置とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、別体のフィンを熱媒体流路の内部に設けることなく、熱媒体流路内を流れる熱媒体の熱交換面積を増大させることができる。したがって、フィンと管体とをロウ付けすることもないので、熱媒体流路を構成する部材の腐食を抑え、高い品質を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態における熱媒体加熱装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示す熱媒体加熱装置を示し、(A)は平面図、(B)は側縦面図である。
【図3】図1に示す熱媒体加熱装置に適用する扁平状のチューブを示し、(A)は縦断面図、(B)は平面図、(C)は(B)の3C−3C断面図である。
【図4】第一実施形態におけるチューブの構成を示す断面図である。
【図5】第一実施形態の変形例を示す断面図である。
【図6】第一実施形態のさらなる変形例を示す断面図である。
【図7】第一実施形態のさらなる変形例を示す断面図である。
【図8】第二実施形態におけるPTCヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図9】第二実施形態の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第一実施形態]
本実施形態に係る熱媒体加熱装置10(熱交換器)は、図1〜図3に示されるように、制御基板13と、複数枚の熱交換用のチューブ17とPTC(Positive Temperature Coefficient)素子(ヒータ)18a(図2(B)参照)とを積層してなるPTCヒータユニット100と、これら制御基板13およびPTCヒータユニット100を収容するハウジング11と、を備えている。
【0018】
<ハウジング>
ハウジング11は、上半部と下半部とに2分割された構成になっており、上半部を構成する上部ハウジング11a(図2(B)参照)と、下半部を構成する下部ハウジング11bとを備えている。また、上部ハウジング11aおよび下部ハウジング11bの内部には、下部ハウジング11bの上方から下部ハウジング11bの開口部11cに上部ハウジング11aを載置することによって、制御基板13、PTCヒータユニット100等を収容する空間が形成されるようになっている。
【0019】
下部ハウジング11bの下面には、PTCヒータユニット100に導入される熱媒体を導くための熱媒体入口路11dおよびPTCヒータユニット100内を流通した熱媒体を導出するための熱媒体出口路11eが一体的に形成されている。下部ハウジング11bは、その内部空間に収容されるPTCヒータユニット100のチューブ17を形成しているアルミニウム合金と線膨張係数ができるだけ近い樹脂材料(例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate))により形成されていることが、ハウジング11の軽量化、低コスト化にとって好ましい。なお、上部ハウジング11aも下部ハウジング11bと同様の樹脂材料により成形されていることが好ましい。
【0020】
また、下部ハウジング11bの下面には、電源ハーネス27およびLVハーネス28の先端部を貫通するための電源ハーネス用孔11fおよびLVハーネス用孔11g(図2(A)参照)が開口されている。
電源ハーネス27は、制御基板13および半導体スイッチング素子12を介してPTCヒータユニット100に電力を供給するものであり、先端部が二股状に分岐され、制御基板13に設けられている2つの電源ハーネス用端子台13cに電源ハーネス接続用ネジ13bによってネジ止めされる。また、LVハーネス28は、制御基板13に制御用の信号を送信するものであり、その先端部は、制御基板13にコネクタ接続可能とされている。
【0021】
PTCヒータユニット100を構成するチューブ17は、アルミニウム合金製であり、図3(A)に示されるように、例えば3枚のチューブ17が互いに平行になるように積層されている。この3枚のチューブ17は、下段、中段および上段のチューブ17c、17b、17aの順に積層されている。
【0022】
各チューブ17a、17b、17cは、図3に示されるように、扁平チューブ部(管体)20と、その一端に形成され、熱媒体を供給する入口ヘッダ22と、扁平チューブ部20の他端に形成され、熱媒体が導出される出口ヘッダ23とを備えている。また、各チューブ17a、17b、17cは、平面視した場合、軸方向(図3(B)において左右方向)に長い扁平状を呈している。このチューブ17a、17b、17cは、扁平方向、すなわち、軸方向と直交する厚さ方向(図3(B)において上下方向)に幅広となっている。
【0023】
入口ヘッダ22および出口ヘッダ23の中心部には、それぞれ連通孔24、25が設けられており、各チューブ17a、17b、17cを、上記のように積層することによって、上段のチューブ17a、中段のチューブ17bおよび下段のチューブ17の各連通孔24、25が連通され、入口ヘッダ22同士および出口ヘッダ23同士が互いに連通されている。
そして、各連通孔24、25の周囲が液状ガスケット26によって密封状態にシールされるようになっている。
【0024】
チューブ17の入口ヘッダ22には入口配管22aが接続され、また、出口ヘッダ23には出口配管23aが接続されている。入口ヘッダ22と入口配管22aの境界、出口ヘッダ23と出口配管23aの境界から、熱媒体が容易に漏れないように接続方法が選択されるべきであるが、本実施形態では管端部にフランジ22b、23bを形成することで、かしめにより接合している。
これら入口配管22a、出口配管23aは、チューブ17が下部ハウジング11bの所定位置に配置された状態で、入口配管22aは熱媒体入口路11dの内部に嵌挿され、また、出口配管23aは熱媒体出口路11eの内部に嵌挿される。
【0025】
PTCヒータ18は、PTC素子18aの両面側に電極板14が設けられることで構成されている。各チューブ17a、17b、17cは、図2(B)に示されるように、PTCヒータ18の両面側に設けられる電極板14を両側から挟みこむように積層されている。
【0026】
電極板14は、PTC素子18aに電力を供給するものであり、平面視において、矩形状を呈するアルミニウム合金製の板材とされている。
各電極板14は、各チューブ17a、17b、17cの扁平チューブ部20と略同形とされている。各電極板14は、その長辺側に1つの端子14aが設けられている。電極板14に設けられている端子14aは、各電極板14を積層させた場合に重なることなく、電極板14の長辺に沿って位置している。各端子14aは、上方に突出するように設けられ、制御基板13に設けられている端子13aに端子接続用ネジ14bを介して接続されるようになっている。
【0027】
制御基板13は、上位制御装置(例えば、ECU(Engine Control Unit)からの指示に基づいてPTCヒータユニット100を構成する複数組のPTCヒータ18に対する通電制御を行う制御系を構成するものである。制御基板13は、IGBT等の複数個の半導体スイッチング素子12を備え、これらを半導体スイッチング素子12により複数組のPTCヒータ18の電極板14に対する通電状態が切替えできるように構成されている。
【0028】
制御基板13には、各電極板14に直列に配列されている4つの端子14aに対応して、その一辺の下面に直列に4つの端子13aが配列されている。また、4つの端子13aと両端側に直列に並ぶように、電源ハーネス27の2分岐されている先端部と接続される2つの電源ハーネス用端子台13cが設けられている。
【0029】
この制御基板13は、PTCヒータユニット100を下部ハウジング11bに固定する押え部材16と一体にユニット化され、基板サブアッセンブリ15を構成している。
【0030】
押え部材16は、平面視した際に扁平状のアルミニウム合金製板材とされている。この押え部材16は、制御基板13よりも軸方向(図2(A)の左右方向)に大きくされたものであり、各チューブ17a、17b、17cを覆うことができる大きさとされている。制御基板13よりも軸方向に大きくなっている押え部材16には、該押え部材16を下部ハウジング11bに固定する基板サブアッセンブリ固定用ネジ15b(図2(A)参照)が貫通可能な孔(図示せず)が4箇所に設けられている。
【0031】
図2(B)に示すように、IGBT等からなる半導体スイッチング素子12は、略長方形状に樹脂成形されたトランジスタである。この半導体スイッチング素子12は、作動することによって熱を生じる発熱素子であり、押え部材16の上面であって、上段のチューブ17aの入口ヘッダ22近傍に接続用ネジ12aを介してねじ止めされ、押え部材16をヒートシンクとして冷却されるようになっている。
【0032】
基板サブアッセンブリ15は、制御基板13と押え部材16とを互いに平行に配設し、押え部材16の上面に設置されているIGBT等の複数個の半導体スイッチング素子12を間に挟み込むよう構成されている。制御基板13と押え部材16は、例えば4本の基板サブアッセンブリ接続用ネジ15aで固定されており、これによって、基板サブアッセンブリ15は、一体化されている。
【0033】
基板サブアッセンブリ15は、押え部材16を4本の基板サブアッセンブリ固定用ネジ15bを介して下部ハウジング11bにネジ止めすることにより、PTCヒータユニット100を挟みこんで固定している。
【0034】
このようなPTCヒータユニット100において、熱媒体入口路11d(入口配管22a)から導かれた熱媒体は、各入口ヘッダ22から各チューブ17a、17b、17cの扁平チューブ部20内へと供給される。この熱媒体は、扁平チューブ部20内を流通する過程でPTCヒータ18により昇温される。この熱媒体は、各出口ヘッダ23に流出し、熱媒体出口路11e(出口配管23a)を経て熱媒体加熱装置10の外部へと導出されるようになっている。
【0035】
さて、上記したような構成において、本実施形態では、図4に示すように、各チューブ17a、17b、17cの扁平チューブ部20は、互いに対向するプレート部20a、20bに、コルゲート状の凹凸21a、21bが形成されている。そして、一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとの間が、熱媒体流路110とされている。
【0036】
ここで、一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとは、間隔を隔てて対向しており、非接触とされている。
また、一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bは、同材料により形成するのが好ましい。
一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bは、例えば、プレート部20a、20bのそれぞれに、プレス加工を施すことにより形成することができる。
また、一方のプレート部20aと他方のプレート部20bに、凹凸21a、21bを形成するコルゲート状のフィンを、例えば金属材料、シリコン製のシート材等により形成して取り付けても良い。
【0037】
なお、図5に示すように、PTC素子18aと、一方のプレート部20aおよび他方のプレート部20bのいずれかとの間の空間は、樹脂、金属材料、アルミナ、フィンと同じ材料等の充填体29でここを埋めるようにしても良い。特に、PTC素子18aと、一方のプレート部20aおよび他方のプレート部20bのいずれかとの間の空間に、充填体29としてアルミナや金属材料を充填することで、PTC素子18aと凹凸21a、21bとの間での熱伝導性を高めることができる。
【0038】
ここで、図6に示すように、凹凸21aが形成された一方のプレート部20aと、凹凸21bが形成された他方のプレート部20bの凹凸21bは、例えばその芯材(母材)21sをA3003系、A5000系、A6000系等の耐食性に優れたアルミ合金で形成することもできる。このとき、熱媒体流路110に臨む側に、A7072系アルミ合金等によりクラッド化したクラッド層21cを形成することもできる。
また、プレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bに、アルマイト処理や化成皮膜処理(クロメート皮膜処理)、ベーマイト処理を施すことができる。これらの処理は適宜組み合わせることができる
【0039】
さらに、図3に示したように、各チューブ17a、17b、17cにおいて、入口ヘッダ22、出口ヘッダ23は、扁平チューブ部20から離間するに従い、その幅が漸次縮小する形状とされている。そして、入口ヘッダ22の内部空間には、入口配管22aから扁平チューブ部20側に向けて、その間隔が漸次拡大する複数のガイドフィン(ガイド部材)115が設けられている。ここで、出口ヘッダ23には、ガイドフィン115は設けられていない。
【0040】
このような構成によれば、チューブ17a、17b、17cにおいて、一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとが、間隔を隔てて対向し、これらの間の空間が熱媒体流路110とされている。一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとは、非接触とされているので、腐食の心配もなく、高い品質、信頼性、耐久性を確保することができる。
しかも、プレート部20a、20b自体に凹凸21a、21bを形成することで、チューブ17a、17b、17cにフィンを組み込む必要が無くなり、その組み立てを容易化するとともに、低コスト化を図ることができる。
【0041】
また、入口ヘッダ22にガイドフィン115を設けたことで、入口配管22aから入口ヘッダ22内へと流れ込んだ熱媒体は、ガイドフィン115によって、入口ヘッダ22内で外側に導くことができる。これにより、扁平チューブ部20内において幅方向両側の領域にも熱媒体を確実に送り込み、これによって扁平チューブ部20の幅方向における熱媒体の分布を均一化することができ、熱交換効率を高めることができる。
一方、出口ヘッダ23にはガイドフィン115を設けていないので、出口側における圧力損失が低下してしまうのを回避することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、一方のプレート部20aに凹凸21aを形成し、他方のプレート部20bに凹凸21bを形成するようにしたが、PTC素子18aの表面自体に凹凸21a、21bを形成しても良い。
【0043】
また、凹凸21a、21bは、図7に示すように、一方のプレート部20aの凹凸21aと、他方のプレート部20bの凹凸21bとを互い違いに入れ子にすることもできる。この場合、凹凸21a、21bは、PTC素子18aに接する部分に平面部130を設けても良い。これにより、PTC素子18aとの密着性を高め、熱伝達効率を高めることができる。
【0044】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。ここでは、上記第一の実施形態と異なる構成を中心に説明し、上記第一の実施形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態におけるPTCヒータユニット100Bは、上記第一の実施形態と同様のPTCヒータユニット100を、補強プレート(押えプレート)120、120で挟み込んだ構成を有している。
上下の補強プレート120、120は、ボルト・ナット140によって締結・固定されている。この補強プレート120、120により、PTCヒータユニット100が、熱媒体の圧力によって積層方向に広がってしまうのを防ぐ。
ここで、ボルト・ナット140に代えて、例えばコ字状のフレーム材により、上下の補強プレート120、120を挟み込むようにしても良い。
【0045】
また、図9に示すように、補強プレート120、120は、両端部120a、120aに対し、中間部120bを厚く形成しても良い。これにより、中間部120bの剛性を高めることができ、PTCヒータユニット100を強固に挟み込むことができる。
【0046】
さらに、補強プレート120、120を形成する材料に対し、PTCヒータユニット100を形成する材料を、柔らかい材料で形成することもできる。このようにすると、補強プレート120、120によってPTCヒータユニット100を挟み込む力により、PTCヒータユニット100を構成するチューブ17a、17b、17c、PTC素子18aを、その厚さ方向に弾性変形させることで、その反発力によって互いに押し付け合って密着性を高めることができる。その結果、チューブ17a、17b、17c間におけるシール性が高まる。これにより、チューブ17a、17b、17c間には液状ガスケット26に代えてOリングを用いることが可能となり、組み立て性が向上する。
【0047】
上記した以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、適宜組み合わせたり、他の構成に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…熱媒体加熱装置、11…ハウジング、11a…上部ハウジング、11b…下部ハウジング、13…制御基板、14…電極板、15…基板サブアッセンブリ、17、17a、17b、17c…チューブ、18…ヒータ、18a…PTC素子(ヒータ)、20…扁平チューブ部(管体)、20a…プレート部、20b…プレート部、21c…クラッド層、21s…芯材(母材)、21a、21b…凹凸、22…入口ヘッダ、23…出口ヘッダ、24…連通孔、26…液状ガスケット、27…電源ハーネス、28…ハーネス、29…充填体、100、100B…ヒータユニット、110…熱媒体流路、115…ガイドフィン(ガイド部材)、120…補強プレート(押えプレート)、130…平面部、140…ボルト・ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータユニットと、前記ヒータユニットを収容するハウジングと、を備え、
前記ヒータユニットは、
熱媒体が内部を流れる断面扁平状の熱媒体流路と、
前記熱媒体流路を加熱するプレート状のヒータと、が積層され、
少なくとも前記ヒータに接する領域の前記熱媒体流路は、互いに対向する一方の内表面と他方の内表面にそれぞれ凹凸が形成され、かつ一方の前記内表面の前記凹凸と、他方の前記内表面の前記凹凸とが互いに間隔を隔てて対向して非接触とされていることを特徴とする熱媒体加熱装置。
【請求項2】
前記熱媒体流路において、前記ヒータ側の前記内表面が、前記ヒータの表面により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項3】
前記熱媒体流路を形成する断面扁平状の管体が設けられ、
前記管体の内表面に前記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項4】
前記凹凸は、前記ヒータ側に平面部を有し、前記ヒータに面接触することを特徴とする請求項3に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項5】
前記管体において前記ヒータ側の前記凹凸と前記ヒータの表面との隙間に充填体が充填されていることを特徴とする請求項3または4に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項6】
前記充填体が、前記ヒータの表面と同材料、前記管体の内表面と同材料、金属材料、アルミナのいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項7】
前記管体に接続され、前記管体において熱交換される前記熱媒体が流入する入口ヘッダと、
前記管体に接続され、前記管体において熱交換された前記熱媒体が流出する出口ヘッダと、を有し、
前記入口ヘッダに、前記入口ヘッダに前記熱媒体を流入させる流入口から前記熱媒体流路の幅方向に広がるガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項8】
前記ヒータユニットを挟み込む押えプレートをさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項9】
前記押えプレートは、前記ヒータユニットよりも硬度の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項10】
前記熱媒体流路の内表面に、前記熱媒体流路を形成する母材よりも耐食性の高い表面処理が施されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項11】
ヒータユニットと、前記ヒータユニットを収容するハウジングと、を備え、
前記ヒータユニットは、
熱媒体が内部を流れる断面扁平状の管体と、
前記管体に積層して設けられ、前記管体を加熱するプレート状のヒータと、を備え、
前記管体の内表面自体に凹凸が形成されていることを特徴とする熱媒体加熱装置。
【請求項12】
ヒータユニットと、前記ヒータユニットを収容するハウジングと、を備え、
前記ヒータユニットは、
熱媒体が内部を流れる断面扁平状の熱媒体流路と、
前記熱媒体流路に接して設けられ、前記熱媒体流路を加熱するプレート状のヒータと、を備え、
前記ヒータの表面に凹凸が形成され、前記表面が前記熱媒体流路の内表面を形成していることを特徴とする熱媒体加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−154579(P2012−154579A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15096(P2011−15096)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】