説明

熱接着不織布用に適するポリプロピレン繊維

4〜50g/10分のMFR値を有するプロピレンポリマー組成物を含む熱接着用の繊維。該組成物は、i)少なくとも0.8重量%のエチレンと、任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンとを含有し、溶融温度が155℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、TREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が8より高い結晶性プロピレンランダムコポリマーまたは結晶性プロピレンポリマー組成物;ならびにii)溶融温度が153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10重量%より低く、少なくとも0.64重量%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、かつ(I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%;および(II)プロピレンと、エチレンまたはC4〜C10α−オレフィンとの結晶性ランダムコポリマー20〜80%を含む結晶性プロピレンポリマー組成物から選択される。
4〜50g/10分のMFR値を有し、少なくとも0.64重量%のエチレン含量を有し、かつ(A)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80重量%および(B)プロピレンと、5より高く9重量%までのエチレンとの結晶性ランダムコポリマー20〜80重量%を含むポリマー組成物。該繊維を用いて製造される不織布は、衛生用途に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,プロピレンポリマー組成物からなる熱接着可能な繊維に関し、該繊維から得られる熱接着不織布および該繊維製造のためのポリプロピレン組成物に関する。
【0002】
「繊維」の定義は、フィブリル(原繊維)やカットされた短繊維(ステープルファイバー)のような、繊維に類似した製品も含む。
【背景技術】
【0003】
種々の方法による不織布のような熱接着製品の製造において、特定の熱可塑性物質の繊維が広く使用される。該方法は主として、エアー接着法、スパンボンド法、メルトブロー法、およびそれらのいずれかの組み合わせを通しての、不織布の複合構造のための、ステープルカーディング/カレンダリングである。
【0004】
スパンボンド法と同様、長繊維および短繊維のカーディング/カレンダリングによる熱接着性ステープルは、衛生用不織布製造に適用される主要な技術の一つである。熱接着性ステープル製造技術は、より少ない投資コストで、より柔軟でより取り扱い易い不織布を非常に均一な状態で製造できるという多くの利点を持っている。
【0005】
熱接着不織布用ポリオレフィン繊維に基本的に要求されるものは、熱カレンダリングに基づく温度と圧力の共同作用によって、繊維どうしが互いに接着しなければならないということである。
【0006】
より高い変動費の二段工程(ステープル製造とカーディング/カレンダリング)が必要な、かかる技術の欠点は、巾方向への靭性がより低い不織布が製造されることである。それ以上にかかる技術は、カーディング制約により達し得る最小不織布重量について限界がある。熱接着不織布の巾方向の強さは、主にカーディング/カレンダリングの間に機械方向に沿って繊維に誘起される高い配向に影響される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
該欠点にそれほど影響されない熱接着可能な繊維を製造したいという要求があり、結果として特定のプロピレンポリマーが、従来の繊維用プロピレンポリマーよりも機械的性質がより優れていることを見いだした。
【0008】
これまで、既にポリオレフィン繊維の熱接着性(すなわち接着強度)および/または繊維のカレンダー速度を改良する多くの試みがなされてきている。例えば米国特許第4,211,819号は、結晶性ポリ(プロピレン−co−エチレン−co−1−ブテン)を紡糸して得られる、ホットメルト接着繊維を開示している。より低いホットメルト接着温度を有するかかる繊維は、バインダー材料としてのみ用いられ、従って機械的性質は他の物質によって与えられる。実際に、実施例において不織布が調整されるとき、該繊維はカレンダリングの前にレーヨン繊維と混合される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、今回、特定のオレフィンコポリマーおよびオレフィンコポリマーブレンドによって、良好なバランスの機械的性質と結びついた、改良された熱接着性を持つ繊維を提供できることを見いだした。
【0010】
特に、本発明の繊維は、従来公知のポリプロピレン繊維よりも低い温度で、互いに接着可能である。
他の利点は、本発明の繊維は、破断伸度の値の明確な低下なしで、より高い靭性値を示すことである。
【0011】
本発明の繊維の更なる利点は、繊維が比較的低い溶融流動比を持っていたとしても、該繊維が頑強に接着できることである。実際驚くべきことに本発明の繊維は、高いレベルの接着強度を得るために必ずしもスキン−コア構造の形成の必要がないことを見いだした。
【0012】
出願人は、類似の溶融流動速度(MFR)を有するプロピレンホモポリマーおよびコポリマーから製造された熱接着不織布に比べ、本発明の繊維のおかげで、改良された物理的性質と嵩高さ(loftiness)をもつ熱接着不織布を達成できることも見いだした。特に、本発明の不織布は改良された強度物性、より具体的には巾方向へのより高い靭性とより高い接着力を持つ。
【0013】
更なる利点は、本発明の不織布が、同じカレンダー速度を維持しながらより低い熱接着温度で、または同じカレンダー温度においてより早いカレンダー速度で製造されることである。
【0014】
よって本発明は、4〜50g/10分、好ましくは6〜15g/10分のMFR値を有し、:
i)a)少なくとも0.8重量%のエチレンと、任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンとを含有し、溶融温度が155℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、キシレンによる昇温溶出分画(TREF)により25℃から95℃の温度範囲で収集されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が8より高いコポリマーまたはポリマー組成物;および
b)2.5%重量より多いエチレンと、任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンとを含有し、溶融温度が153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10重量%より低く、好ましくは8重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が4より高く、好ましくは4.5より高いコポリマーまたはポリマー組成物
から選択される結晶性プロピレンランダムコポリマーまたは結晶性プロピレンポリマー組成物;および
【0015】
ii)少なくとも0.64重量%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、かつ重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%まで、好ましくは0.5%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%;および
II)IIa)プロピレンと、0.8〜10重量%のエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して少なくとも0.8パーセント単位、好ましくは1パーセント単位、より好ましくは2パーセント単位であるもの;
IIb)プロピレンと、1.5〜18重量%のC4〜C10α−オレフィンと、任意にエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIb)との間のコモノマー含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して少なくとも1.5パーセント単位、好ましくは2パーセント単位であるもの;および
IIc)コポリマー(IIa)とコポリマー(IIb)の混合物
から選択される結晶性ランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%
を含む結晶性プロピレンポリマー組成物
から選択されるポリマー成分を含むプロピレンポリマー組成物からなる熱接着可能な繊維を提供する。
【0016】
本発明においては、「コポリマー」という語は、ビポリマーやターポリマーのような、2種以上の繰り返し単位を有するポリマーを意味する。
上記の結晶性ポリマーは、アイソタクチック型の立体規則性を示す。
本開示においては、室温とは約25℃の温度とする。
【0017】
成分(i)(a)中に、エチレンが唯一のコモノマーとして存在する場合、該成分は約3重量%までのエチレンを含有する。
成分(i)(b)中に、エチレンが唯一のコモノマーとして存在する場合、該成分は約5重量%までのエチレンを含有する。
成分(i)中に、C4〜C10α−オレフィンも存在する場合、それらは一般に、全成分の重量に対して1〜6重量%の範囲内である。
【0018】
ランダムコポリマー(IIb)中に、エチレンが唯一のコモノマーとして存在する場合、エチレン含量は一般に、コポリマーの重量に対して1重量%以内である。
ポリマー組成物(ii)を構成する2種類のプロピレンポリマーのMFR値は、同じであっても異なっていてもよい。
組成物(ii)は、153℃以上の溶融温度を示し、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10重量%より低く、好ましくは9重量%より低い。
【0019】
好ましいポリマー成分は、ポリマー組成物(i)(a)とポリマー組成物(ii)である
;好ましい組成物(ii)は、少なくとも0.64重量%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、重量パーセントで次の組成物を含有する:
【0020】
I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%まで、好ましくは0.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%;および
II)IIa)プロピレンと、0.8〜5重量%のエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して、少なくとも0.8パーセント単位、好ましくは1パーセント単位、より好ましくは2パーセント単位であるもの;および
IIb)プロピレンと、1.5〜12重量%のC4〜C10α−オレフィンと、任意にエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIb)との間のコモノマー含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して、少なくとも1.5パーセント単位、好ましくは2パーセント単位であるもの;および
IIc)コポリマー(IIa)とコポリマー(IIb)との混合物
から選択される結晶性ランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%。
【0021】
一般に、ポリマー組成物(ii)は155℃以上の溶融温度の値を有し、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、好ましくは4重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が8より高い。
より好ましくは、ポリマー(I)はプロピレンホモポリマーであり、コポリマー(II)はエチレン−プロピレンコポリマーである。
【0022】
本発明によるポリマー組成物において、コモノマーとして存在してもよいC4〜C10α−オレフィンは、式CH2=CHR(式中、Rは、直鎖または分岐鎖状の2〜8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアリール(とりわけフェニル)基である)で表される。該C4〜C10α−オレフィンの例は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンである。特に好ましいのは1−ブテンである。
【0023】
一般に、長繊維および短繊維紡糸技術によるステープルファイバーの製造における標準的な処理量および巻取速度で、本発明による繊維は、20cN/texより高く、好ましくは21cN/texより高い靭性の値を示す。
長繊維および短繊維紡糸技術によるステープル繊維製造における標準的な押出速度および巻取速度で、本発明の繊維において示される破断伸度は、一般に150%より高く、好ましくは少なくとも220%である。
【0024】
本発明による繊維は、一般に、150℃における接着力が少なくとも300cNの値、好ましくは少なくとも350cNを示す。該接着力の値は、実施例に記載のようなレオナルド紡糸ラインから得られる、MFRが20g/10分のように低い値の繊維を用いてさえも達成される。例えば、20〜50g/分の範囲のMFR値を有する繊維は、300〜800cNの接着力の値を有することが可能である。
【0025】
本発明による、長繊維および短繊維紡糸技術によって製造される繊維は、好ましくは1〜8dtex、好ましくは1 .5〜8dtexの範囲の太さ(titre)を示す。好ましくは、本発明の組成物は、3〜7、より好ましくは3〜5.5の多分散性指標(polydispersity index)の値を有する。
【0026】
本発明の更なる実施形態は、繊維の製造に適する該結晶性プロピレンポリマー組成物(ii)により代表される。該ポリマー組成物はMFR値が4〜50g/分、好ましくは6〜15g/分で、エチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン含有量が少なくとも0.64重量%であり、重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマー、または1.5%まで、好ましくは0.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%;および
II)プロピレンと、5より高く10%までのエチレンとの結晶性ランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%
を含む。
【0027】
該組成物は、153℃以上の溶融温度を示し、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10%より低く、好ましくは5重量%より低く、より好ましくは4重量%より低い。
好ましくは、本発明の組成物は、3〜7、更に好ましくは3〜5.5の多分散性指標の値を有する。
【0028】
本発明によるプロピレンポリマー材料は、従来の方法で製造される。例えば、ポリマー材料は、1段以上の逐次的か、または並列する段階でモノマーを重合することにより製造することができる。
【0029】
ポリマー材料が組成物である場合、2段以上の連続した段階でモノマーを重合して製造される組成物であるのが好ましい。そのような場合には、重合方法は少なくとも2段の、分離した連続的段階で行われる。ここで、少なくとも2段の重合段階において、該モノマーが重合されて第一のポリマー(例えばポリマーI)が形成され、他の(複数の)段階において該モノマーが重合されて第二のポリマー(例えばポリマーII)が形成される。第一段階を除くそれぞれの段階は、先行する段階で形成されたポリマーおよび使用された触媒の存在下に操作される。触媒は第一段階でのみ添加される;しかしその活性は、後に続く全ての段階においても持続する。組成物中のポリマーが製造される順番は重要ではない。
【0030】
組成物にとって4〜50g/10分、好ましくは6〜15g/10分の値を得るような量の、分子量調節剤が供給される。分子量の調節は公知の調節剤、特に水素、を使用することで遂行される。MFR値が該範囲の中にある組成物は、重合の後で、適切で良く知られた技術を使うことにより、例えば過酸化物の存在下でのポリマーの化学的分解によっても得ることが可能である。
【0031】
全重合方法は、公知の技術により、連続法であってもバッチ法であってもよく、不活性希釈剤の存在下もしくは非存在下に液相中で、または気相中で、または液−気混合技術における操作が可能である。
二つの工程に関連する反応時間、圧力および温度は重要ではないが、しかし温度は20〜100℃の間が最適である。圧力は大気圧以上である。
【0032】
上記の方法の代わりに、別の重合方法によって組成物を製造することが可能である。それは、少なくとも2個の相互に連結した重合区画のなかで行われる、気相中での触媒重合方法を用いており、該方法は、反応条件において触媒の存在下で、一種以上のモノマーを該重合区画の中に供給し、該重合区画からポリマー生成物を取り出すことを含む。該方法において、成長しているポリマー粒子が、早い流動条件の下で該重合区画のひとつ(上昇区画)を介して上方に流動し、該上昇区画を離れ、他の重合区画(下降区画)に入り、そこから粒子は重力の作用で下方に流動し、該下降区画を離れ再び上昇区画に入り、こうして上昇区画と下降区画の間でポリマーの循環が確立され、該方法は任意に:
−上昇区画に存在する気体混合物が下降区画に入ることを、全体的にまたは部分的に防ぐ手段が提供され、そして
−上昇区画に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体および/または液体混合物が、下降区画に導入される
ことを特徴とする。
そのような重合方法は、WO00/02929号に例示される。
【0033】
この方法の特に好適な実施形態によれば、上昇区画に存在する気体混合物とは異なる組成を有する該気体および/または液体混合物の下降区画への導入が、後者の混合物の下降区画への侵入を防ぐには効果的である。
【0034】
重合は、立体特異的なチーグラー−ナッタ触媒の存在下に行われるのが好ましい。該触媒の本質的成分は、少なくとも1つのチタン−ハロゲン結合を有するチタン化合物と、電子供与性化合物からなる固体触媒成分であり、両方とも活性型ハロゲン化マグネシウム上に担持される。その他の本質的成分(共触媒)は、アルキルアルミニウム化合物のような有機アルミニウム化合物である。外部供与体は、任意に有機アルミニウム化合物に添加される。
【0035】
本発明の方法において一般に使用される触媒は、アイソタクチシティ指標(以下で開示されるように、25℃におけるキシレン不溶画分として決定される)が90%より高く、好ましくは95%より高いポリプロピレンを製造することが可能である。
【0036】
上記の特徴を持つ触媒は、特許文献でよく知られている;特に優れているのは、米国特許第4,399,054号および欧州特許第45977号に開示される触媒である。他の例は米国特許第4,472,524号に見ることができる。
【0037】
該触媒の中で使用される固体触媒成分は、電子供与体(内部供与体)として、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、サクシネート類からなる群から選択される化合物、N、Pおよび/またはS原子を含有する化合物、ならびにモノおよびジカルボン酸のエーテル類を含む。
【0038】
特に好適な電子供与体化合物は、非抽出性サクシネートである;特に好ましいのは、次の式(I):
【0039】
【化1】

【0040】
(式中、R1基およびR2基は互いに同じかまたは異なって、C1〜C20の直鎖または分岐鎖状のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、任意にヘテロ原子を含んでいてもよい;また、R3基およびR4基は互いに同じかまたは異なって、C1〜C20のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、それらの少なくとも一つは分岐状のアルキルであるという条件で、任意にヘテロ原子を含んでいてもよい;該化合物は、式(I)の構造の中に認められる2個の不斉炭素原子に関して、純粋な形もしくは混合物として存在する(S,R)形または(R,S)形の立体異性体である)
のサクシネート類である。
【0041】
1およびR2は、好ましくはC1〜C8のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキルアリール基である。
特に好ましくは、R1およびR2が第一級アルキル類、および特に分岐鎖状の第一級アルキル類から選ばれる化合物である。好ましいR基およびR基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。特に好ましいのはエチル、イソブチルおよびネオペンチルである。
【0042】
特に好ましくは、式中のR3基および/またはR4基が、イソプロピル、sec−ブチル、2−ペンチル、3−ペンチルのような第二級アルキル類、またはシクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルメチルのようなシクロアルキル類である化合物である。
【0043】
上記の化合物の例は、(S,R)(R,S)形の純粋な、または混合物、任意にラセミ形の、ジエチル 2,3−ビス(トリメチルシリル)サクシネート、ジエチル 2,3−ビス(2−エチルブチル)サクシネート、ジエチル 2,3−ジベンジルサクシネート、ジエチル 2,3−ジイソプロピルサクシネート、ジイソブチル 2,3−ジイソプロピルサクシネート、ジエチル 2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)サクシネート、ジエチル 2,3−ジイソブチルサクシネート、ジエチル 2,3−ジネオペンチルサクシネート、ジエチル 2,3−ジシクロペンチルサクシネート、ジエチル 2,3−ジシクロヘキシルサクシネートである。
【0044】
他の好適な電子供与体化合物は、式:
【0045】
【化2】

【0046】
(式中、RIおよびRIIは同じかまたは異なって、C1〜C18アルキル、C3〜C18シクロアルキルまたはC7〜C18アリール基である;RIIIおよびRIVは同じかまたは異なって、C1〜C4のアルキル基である)
の1,3−ジエーテル類であるか;あるいは2位の位置の炭素原子が、5、6もしくは7個の炭素原子、または5−n個もしくは6−n’個の炭素原子と、それぞれN,O,SおよびSiからなる群から選ばれるn個の窒素原子ならびにn’個のヘテロ原子とからなる環状または多環状構造の一員である1,3−ジエーテル類である(ここで、nは1または2であり、n’は1、2または3である)。該構造は、2または3個の不飽和部位を有しており(シクロポリエン構造)、任意に他の環状構造と縮合しているか、または直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基;シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール(alkaryl)基およびハロゲン類からなる群から選ばれる1以上の置換基で置換されるか、または他の環状構造と縮合して、縮合した環状構造と結合することもできる上記の1以上の置換基で置換される;上記の1以上のアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアルカリール基、および縮合した環状構造は、任意に炭素または水素原子の、または両方の代わりに1以上のヘテロ原子を含有する。
この種類のエーテル類は、欧州特許出願第361493号および第728769号に開示される。
【0047】
該ジエーテルの代表例は、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソアミル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンである。
他の好適な電子供与体化合物は、ジイソブチル、ジオクチル、ジフェニルおよびベンゾイルブチルフタレートのようなフタル酸エステル類である。
【0048】
上記の触媒成分の製造は、種々の方法に従って行われる。
例えば、MgCl2・nROH付加物(特に球状粒子の形)(ここで、nは一般に1〜3であり、ROHはエタノール、ブタノールまたはイソブタノールである)を、電子供与体化合物を含有する過剰のTiCl4と反応させる。反応温度は一般に80〜120℃である。次いで固体物質を分離し、電子供与体の存在下または非存在下に再びTiCl4と反応させ、その後で分離して、塩素イオンが無くなるまで一定量の炭化水素で洗浄する。
【0049】
固体触媒成分において、Tiで表されるチタン化合物は、一般に0.5〜10重量%の量で存在する。固体触媒成分上に固定されて残存している電子供与体化合物の量は、マグネシウムジハライドに対して一般に5〜20モル%である。
固体触媒成分の製造に使用できるチタン化合物は、チタンのハロゲン化物およびハロゲンアルコレートである。四塩化チタンが好適な化合物である。
【0050】
上記の反応は、活性型ハロゲン化マグネシウムを形成する。他の反応は文献において知られていて、それらはカルボン酸マグネシウムのような、ハロゲン化物以外のマグネシウム化合物から出発して、活性型ハロゲン化マグネシウムの形成を引き起こす。
【0051】
固体触媒成分中の活性型ハロゲン化マグネシウムは、触媒成分のX線スペクトルにおいて、非活性型ハロゲン化マグネシウム(表面積が3m2/g以下である)のスペクトルにおいて現れる最大回折強度はもはや存在しないが、その位置に非活性ジハロゲン化マグネシウムの最大回折強度の位置に対してシフトした最大強度を有するハロー(halo)が存在するという事実、または最大回折強度の半値幅が、非活性ハロゲン化マグネシウムのスペクトルの中にあらわれる最大回折強度のものよりも、少なくとも30%大きくなると言う事実により認識できる。最も活性な形は、固体触媒成分のX線スペクトルの中に上記のハローがあらわれるものである。
【0052】
ハロゲン化マグネシウム類の中では、塩化マグネシウムが好適である。最も活性な形の塩化マグネシウムの場合、固体触媒成分のX線スペクトルには、非活性塩化物のスペクトルで2.56Åの位置にあらわれる回折の代わりに、ハローを示す。
【0053】
共触媒として使用されるアルキルアルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム類、および酸素もしくは窒素原子、またはSO4もしくはSO3基を介して互いに結合した2以上のアルミニウム原子を含有する直鎖もしくは環状アルキルアルミニウム化合物を包含する。
アルキルアルミニウム化合物は、一般にAl/Ti比率が1〜1000であるような量が使用される。
【0054】
外部供与体として使用可能な電子供与体化合物は、安息香酸アルキルのような芳香族酸エステルや、とりわけ少なくとも1個のSi−OR結合(式中、Rは炭化水素基である)を含有するシリコン化合物を含む。
シリコン化合物の例は、(tert−ブチル)2Si(OCH32、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH32、(フェニル)2Si(OCH32および(シクロペンチル)2Si(OCH32である。
更に、上記の式を持つ1,3−ジエーテル類もまた有利に用いることができる。内部供与体がこれらのジエーテル類の1つであれば、外部供与体を省略することができる。
【0055】
特に、上記の触媒成分の多くの他の組み合わせでさえ、前述した特徴1)および2)を持つポリマーやポリマー組成物を得られるであろうが、内部供与体としてフタレートおよび外部供与体として(シクロペンチル)2Si(OCH32を有する触媒、または内部供与体として該1,3−ジエーテル類および外部供与体として(シクロペンチル)2Si(OCH32を含有する触媒を使用することで、ランダムコポリマーが好適に製造される。
【0056】
重合工程に先立ち、触媒を少量のオレフィンと予め接触させることができ(予備重合)、これにより触媒の性能とポリマーの微細構造の両方を改良することが可能である。予備重合は、触媒を炭化水素溶媒(例えばヘキサンまたはヘプタン)中で懸濁状態に保った状態で、周囲温度〜60℃の温度において、固体触媒組成物の重量の0.5〜3倍のポリマーを製造するに充分な時間重合することにより行われる。液体プロピレン中、上記の温度条件において、ポリマーの生成量が触媒成分グラム当り1000gに達するまで行うこともできる。
【0057】
本発明の繊維は、熱接着性ステープルファイバー用(すなわち衛生品用途のため)に特有なスキン−コア構造を得るのに適した安定剤処方(スキン−コア安定剤)、もしくはステープルファイバー(すなわちジオテキスタイル用途)に特有な高度安定化処方を含むことが可能である。後者の場合には、耐久力のある不織布のために優れた耐老化性が達成される。
【0058】
スキン−コア安定剤の好ましい例は、1種以上の、次の安定剤を含むものである(ポリマーと安定剤との合計重量に対する重量パーセント):
a)0.01%〜0.5%の1種以上の有機亜リン酸塩類および/またはホスホナイト(phosphonite);
b)0.005%〜0.5%の1種以上のHALS(ヒンダードアミン系光安定剤);
および任意に1種以上の、0.02%以下の量のフェノール系酸化防止剤。
【0059】
亜リン酸塩類の具体例は以下の通りである:
チバ(登録商標)スペシャリティーケミカルズがイルガフォス(登録商標)168の商品名で販売しているトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト;ボルグワーナーケミカルによってウエストン(登録商標)618の商品名で販売されるジステアリルペンタエリスリトールホスファイト;アデカアーガスケミカルによりマークP(登録商標)の商品名で販売される4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト;トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト;ボルグワーナーケミカルによってウルトラノックス(登録商標)626の商品名で販売されるビス(2,4−ジ−tert−ブチル)ペンタエリスリトールジホスファイト。
【0060】
ホスホナイトの好ましい例は、サンドズにより市販されるサンドスタブ(登録商標)P−EPQがベースとしているテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ジフェニリレンジホスホナイトである。
【0061】
HALSは、分子中に1以上の置換アミン、好ましくはピペリジン基を含有する、モノマー性あるいはオリゴマー性化合物である。
置換ピペリジン基を含有するHALSの具体的な例は、すべてチバ(登録商標)スペシャリティーケミカルズによって販売されるチマスソルブ(登録商標)944の商品名のポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−イミン]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオール}[2−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジリル)アミン]ヘキサメチレン−[4−(2,2,6,6テトラメチルピペリジリル)イミン]、チヌビン(登録商標)622の商品名のポリ(N−ベータ−ヒドロメチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジルサクシネート)、チヌビン(登録商標)770の商品名のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、スピヌベックス(登録商標)A−36の商品名の、ポリ[ヘキサメチレンジ(4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジン]、チヌビン(登録商標)292の商品名のビス(1,2,2,6,6,−ペンテメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびチヌビン(登録商標)144の商品名のビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジニル)2−n−ブチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートである。
【0062】
他の化合物は、アメリカンシアナミドによりシアソルブ(登録商標)UV3346の商品名で販売される、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル)−4−ピペリジニル)−、2,4−ジクロロ−6−84−モルホリニル)−1,3,5−トリアジンとのポリマーである。
【0063】
フェノール系酸化防止剤の例は、アメリカンシアナミドによりシアノックス(登録商標)1790の商品名で販売される、トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2−4−6−(1H,3H,5H)−トリオン;チバ(登録商標)スペシャリティーケミカルズによって、それぞれイルガノックス(登録商標)1425;イルガノックス(登録商標)3114;イルガノックス1010;イルガノックス1076の商品名で販売される、カルシウム ビ[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)フォスフォネート];1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート];オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート;2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジルアビエテートである。
【0064】
スキン−コア安定化の説明の例は、欧州特許第A−391438号に与えられている。
高度安定化処方の好ましい例は、例えばフェノール性酸化防止剤のような、1種以上の酸化防止剤を0.02%より多く、特に0.04〜0.2重量%(ポリマーと安定剤の合計の重量に対して)含有するものである。
【0065】
他の好適な安定化処方は、フラン−2−型のラクトン、フェノール、HALS、および有機亜リン酸塩および/またはホスホナイトである。かかる処方は、例えば欧州特許出願第3013881.2号に開示される。
【0066】
上記の安定剤は、ぺレット化または表面コーティング手法によってポリマーに添加されるか、またはそれらはポリマーと機械的に混合される。
更に、本発明の繊維は、滑り防止剤、静電防止剤、難燃剤、充填剤、造核剤、顔料、汚染防止剤、光増感剤のような当該技術で一般に用いられる他の添加剤を含有することができる。
【0067】
本発明の繊維は、いずれの公知の溶融紡糸方法によって製造可能である。とりわけそれらは、長繊維および短繊維紡糸装置の両方を使用してステープルファイバーの形状で製造される。
長繊維紡糸装置は、通常は比較的高速の紡糸速度で繊維が押し出され、冷却筒の中で空冷される第一段紡糸段階を含む。次いでこれらの繊維は、延伸され、捲縮−バルク化され、切断される仕上げ工程に進む。一般に上記の仕上げ工程は、紡糸工程とは分離された特定の区画で遂行され、そこでは繊維ロービングが一本の大ロービングに収束される。該大ロービングは、次いで100〜200m/分の範囲の速度で運転する延伸、捲縮−バルク化および切断装置へ送られる。
【0068】
他の形式の長繊維紡糸装置において、上記の仕上げ工程は、紡糸工程から連続して行われる。この場合、繊維は、収束部からそれらが延伸される延伸ロール部へ直接進む。
【0069】
長繊維紡糸装置を使用する場合に一般に採用される製造条件は次のようである:
−口金の穴毎の吐出量:0.1g/分より高く、好ましくは0.15〜1g/分、より好ましくは0.2〜0.5g/分;
−引き取り速度:500m/分以上、好ましくは500〜3500m/分、より好ましくは600〜2000m/分;
−ダイを出た後に繊維が冷却し固化するまでの空間:0.50mより長い。
【0070】
更に、延伸比は1.1〜4が好ましい。
長繊維紡糸装置に関するより詳細については、フリーデルム ハウザーの「プラスチック エクストルージョン テクニック」ハウザー パブリッシャーズ出版、1988、17章が参照される。
【0071】
短繊維紡糸装置は連続運転を可能にする。何故なら、紡糸速度が延伸、捲縮および切断速度と矛盾しないからである。
短繊維紡糸装置を用いる場合、本発明において用いられるのに最もふさわしい製造条件は以下の通りである。口金の穴毎の吐出量は0.005〜0.18g/分の範囲で、好ましくは0.008〜0.07g/分、より好ましくは0.01〜0.03g/分である。引き取り速度は30〜300m/分の範囲、好ましくは100〜300m/分である。延伸比は1.1〜3.5の範囲、好ましくは1.2〜2.5である。更に、ダイを出て繊維が冷却し固化する空間(冷却空間)は、好ましくは2mmより長く、より好ましくは10mmより長く、特に10〜350mmである。該冷却は一般にエアージェットまたは気流によって引き起こされる。
【0072】
短繊維紡糸装置に関する更なる詳細のためには、M.アハメッドの「ポリプロピレン ファイバーズ サイエンス アンド テクノロジー」エルスフィアー サイエンス パブリッシング カンパニー(1982)の344〜346ページが参照される。
【0073】
上記の長繊維紡糸および短繊維紡糸装置の紡糸温度は、一般に220〜340℃の範囲、好ましくは250〜300℃である。特に押出温度は、繊維が互いに接着する能力に悪影響を及ぼすことのない260〜275℃の範囲である。
【0074】
第一段階でのステープルの製造の後、ステープルファイバーがカーディング機械を通過することにより、そしてカレンダリング(カレンダーロールが用いられる)による熱接着により、繊維ウェブが形成される。ステープル繊維は、熱接着を達成するために高温の気流が用いられるエアー接着工程によって、熱接着することも可能である。
用いられる特定の熱接着方法に関係なく、接着温度は好ましくは120〜160℃の間、更に好ましくは130〜145℃の間である。
【0075】
本発明の更なる実施形態は、本発明の繊維を用いて製造される熱接着物品、特に不織布に関する。
該熱接着物品は、本発明の繊維と従来のポリオレフィン繊維、特にプロピレンホモポリマーとの組成物から得ることも可能である。
【0076】
本発明の別の実施形態は、複合不織布に関する。布地は、少なくとも一層が上記の熱接着不織布から作られている2種以上の層からなる。他の層も同様に、他の種類のポリマーあるいはポリマー組成物で作られた不織布であってもよい。本発明の繊維の使用の結果、層間接着性が改良される。
【0077】
本発明の定義内である他の熱的接着複合物品は、ポリオレフィンフィルムと一体化した不織布からなるものであり、ここで不織布は、本発明の繊維で作られるか、またはそれを含有しているが、一方、ポリオレフィンフィルムは次のポリオレフィンで作られるか、またはそれらを含有している:プロピレンと、式CH2=CHR(式中、RはC2〜C8のアルキル基、好ましくはC2〜C6のアルキル基である)のα−オレフィン類から選択される1以上のコモノマーとのランダムコポリマーA、および/またはCH2=CHRオレフィン類(式中、Rは水素原子またはC1〜C8のアルキル基である)のポリマーまたはコポリマーおよびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンBである。フィルム層として適切な他のポリマーはポリエチレンである。
【0078】
本発明の不織布は、衛生用衣料品、医療用ドレープ、タオル、フキンに特に有用である。該複合物品の典型的な例は、オムツやその他の使い捨て物品である。
フィルムと不織布の一体化は、例えばカレンダー中での熱処理によるか、またはホットメルトのような接着剤を用いることにより得ることができる。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は本発明を説明するために与えられるもので、制限するためではない。
明細書本文および実施例に示されたポリマー性材料および繊維に関するデータは、以下に報告する方法によって測定される。
MFR:ISO1133(230℃で2.16kg)による;
溶融および結晶化温度:20℃/分の温度変化のDSCによる;
エチレン含量:IR分光法による;
多分散性指標(PI):ポリマーの分子量分布の測定。
PI値を決定するため、レオメトリックス社(米国)により販売されるRMS−800型平行プレートレオメーターモデルを使用して、0.01rad/秒から100rad/秒まで増加する振動周波数で操作して、200℃の温度で、たとえば500Paの低い弾性率値における剛性分離(modulus separation)を決定する。剛性分離値から、以下の式を利用してPIが求めるこができる:
PI=54.6×(剛性分離)-1.76
ここで、剛性分離(MS)は以下のように定義される:
MS=(G’=500Paにおける周波数)/(G”=500Paにおける周波数)
(式中、G’は貯蔵弾性率、G”は低い弾性率(low modulus)である)。
【0080】
25℃におけるキシレン可溶画分と不溶画分:2.5gのポリマーを、135℃において、撹拌下250mlのキシレン中に溶解する。20分後、撹拌下のまま溶液を25℃に冷却し、次いで30分静置する。沈殿物をろ紙でろ過し、溶液を窒素気流下に蒸発させ、残渣を真空下、80℃で重量が一定になるまで乾燥させる。こうして、室温(25℃)におけるポリマーの可溶画分と不溶画分の重量パーセントが計算される。
【0081】
キシレンによる昇温溶出分画(TREF):約1gの試料を200mLのo−キシレンに溶解し、0.1g/Lのイルガノックス(登録商標)1010(ペンタエリトリチル テトラキス 3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート)で安定化させる。溶解温度は125〜135℃の範囲の中である。得られた溶液をガラスビーズが充填されたカラム中に注ぎ、次いで16.5時間で25℃までゆっくり冷却する。
最初の画分を、室温においてo−キシレンで溶出して得る。第二の画分を、カラム温度を95℃まで上げた後に回収する。25〜95℃の間で溶解可能なポリマー画分は単独画分として回収される。温度を95〜125℃まで直線的に昇温する間に、連続的な画分がo−キシレンで溶出される。200mLの溶液として回収されるそれぞれの画分を、温度1℃増分ごとに集める。ポリマー画分を次いで、アセトンにより沈澱させ、0.5μmのPTFEろ紙上でろ過し、真空下に70℃で乾燥して、秤量する。
【0082】
繊維の太さ:10cmの長さのロービングから、50本の繊維を無作為に選び、秤量する。mgで表す該50本の合計重量に2を乗じ、こうしてdtexでの太さを得る。
繊維の靭性と(破断)伸度:500mのロービングから、100mmの長さの切片を切り出す。この切片から試験に供される単繊維を無作為に選ぶ。試験に供されるそれぞれの単繊維は、インストロン ダイナモメーター(1122型)のクランプに固定され、クランプ間の初期間隔は20mmで、伸度が100%より低いものは20mm/分の牽引速度で、伸度が100%より高いものは50mm/分で、破断まで張力をかけられる。最終強度(破断時の荷重)と破断伸度が決定される。
靭性は以下の式から導き出される:
靭性=極限強さ(cN)×10/太さ(dtex)
【0083】
繊維の接着力:連続繊維から作られた、0.4メートルの長さの400texのロービング(ASTM D 1577−7法)から試験片を調製する。ロービングを80回捩った後、2個の先端を一つにして、ロービングの半分2個がロープ中のように絡み合った生成物を得る。ブルーゲル HSC−ETK熱接着性試験機を使用して、種々のプレート温度(表を参照)で、クランプ圧力0.28MPa、接着時間1秒で操作して、該試験片についての熱接着を行う。熱接着点におけるそれぞれの試験片を構成するロービングの半分2個を分離するのに必要な平均力を測定するために、2cm/分の牽引速度で操作される前述のダイナモメーターを使う。得られるグラフは、力が最小から最大値まで変化している(ピークが得られる)。グラフに示される全ての最小値と最大値を平均することで得られる値は、該平均力を表す。cNで表されるその結果は、少なくとも8個の測定を平均することで得られ、繊維の接着強度を表す。
【0084】
不織布試料を調製する場合、接着強度を長さ20cm、幅5cmの試験片について測定する。幅5cmの先端を、ダイナモメーターのクランプに固定し、100mm/分のクランプ速度で張力をかける(初期クランプ間距離は10cmである)。カレンダリング工程に関して機械方向(MD)と巾方向(CD)とにおいて測定された最大の力は、繊維の強度を表す。
【0085】
熱接着指数
【数1】

(式中20は基準重量であり、Xは不織布の重量である)
として計算される。
【0086】
実施例1および2
高収率、高立体規則性のチーグラー−ナッタ触媒の存在下に、プロピレンとエチレンとを重合してポリマーを製造する。用いた触媒は、欧州特許第728769号の実施例5と同様にして製造した触媒成分を含むが、MgCl2・2.1C25OHの代わりに微小球状MgCl2・1.7C25OHを使用する。
かかる触媒成分は、トリエチルアルミニウムおよび外部供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランとともに使用される。AlEt3/外部供与体の重量比率は30である。他の操作条件および製造されたポリマーの特性を表1に示す。
【0087】
ポリマーを、気相重合装置からなる設備における連続的条件の下で、第一の反応容器中でプロピレンを、第二の反応容器の中でプロピレンとエチレンとを重合して製造する。
ポリマー組成物の得られた物性を表2に報告する。
【0088】
【表1】

【0089】
比較例1(1c)
シクロヘキシルメチルジメトキシシランを外部供与体として使用し、第二工程の重合が、ホモポリマーをもたらす第一反応容器と同じ条件で遂行されることを除いては、実施例1を繰り返す。
ポリマーの結果として得られた物性を表2に報告する。
【0090】
【表2】

【0091】
実施例3〜6
実施例1および2で得られた組成物が、スクリューの長さ/直径の比が25で、スクリューの直径が25mmで圧縮比が1:3である、レオナルド25紡糸パイロットラインの中で紡糸する。該ラインは、コストゥルツィオニ メカニチェ レオナルド−スミラゴ(VA)によって市販される。
紡糸試験は全て、2種の異なる通常の添加剤パッケージ処方で安定化され、ぺレット化されたポリマーについて行う。
紡糸試験は以下の条件で行われる:0.4mmの口金穴径で、0.4g/分×口金穴の吐出量で、延伸比1:1.5の1500m/分の巻取速度において機械的性質を測定する。
表3に、こうして得られた繊維の物性を報告する。
【0092】
比較例2(2c
実施例1のものに代えて比較例1で得られたポリマーを使用する以外は、実施例3を繰り返す。
表3のデータは、比較例に対して本発明による繊維は靭性値が増加し、特に低温においても接着力が増加していることを示す。
【0093】
【表3】

【0094】
実施例7および8と比較例3(3c)
実施例2と比較例1の組成物を、コストゥルツィオニ メカニチェ レオナルド−スミラゴ(VA)により販売される、スクリューの長さ/直径の比が5のレオナルド25紡糸パイロットラインで紡糸する。
紡糸条件は、表4に報告されるように、より低い押出温度であることを除いて実施例3のものと同じである。
表4に、操作条件とこうして得られる繊維の物性を報告する。
【0095】
【表4】

【0096】
表4は、比較例のものに対して、参照の繊維がずっと低い接着力しか持たないのに、本発明による繊維は、より低い押出温度で達成されたより低い繊維のMFRであってさえ、良好な接着力値を保持することを示す。
本発明の組成物は、押出温度の広い範囲(265〜280℃)で繊維の靭性/伸度の良好なバランスを維持する低いポリマーの分解で、高い接着力を得ることを許容する。
【0097】
実施例9と比較例4(4c)
押出温度が約300℃であり、吐出量が0.345g/分×口金穴であり、巻取速度が1500m/分であり、延伸比が1:1.3であることを除いて、実施例6と比較例2のようにしてステープルファイバーを製造する。
次いで、ステープルファイバーを、不織布の製造のために、カーディングおよびカレンダリング加工に付す。カーディング/カレンダー工程で使用される主な条件は、表5に以下のようにまとめられる。
【0098】
【表5】

【0099】
表6に、ステープルファイバーとこうして製造された不織布に関連する同様のデータを報告する。不織布の物性試験には、エダーナ標準方法を使用する。
【0100】
【表6】

【0101】
表6のデータは、本発明による不織布が、比較例の不織布に比べて巾方向の靭性が38%増加しており、しかも良好な加工性を持つことを示す。
【0102】
実施例10
異なる重合装置と条件を用いる以外は、実施例1を繰り返す。
気相重合装置は、二つの互いに連結した筒型の反応器である下降区画1と上昇区画2を含む。気相−固相分離器からのリサイクル気体により、反応器1中で高速の流動状態が確立される。2個の反応器区間(leg)における気体組成を差別化するための方法は、「障壁」供給である。この流れは、下降区画のより大きな上部に供給されるプロピレンである。
重合条件と重合されたポリマーの物性を、表7に報告する。
【0103】
【表7】

【0104】
実施例10で得られたポリマーは、続いて二軸押出機(L/D=35)において、0.028重量%のステアリン酸カルシウム、0.018重量%のイルガノックス(登録商標)3114および0.035重量%の過酸化物の存在下に、押出/ぺレット化に付される。操作条件は次のとおりである:ヘッド温度250℃、溶融温度239℃および吐出量21kg/時間。
この押出で得られたポリマーの結果として得られた物性を、表8に報告する。
【0105】
【表8】

【0106】
実施例11
次いで、実施例10のポリマー組成物を、スクリューの長さ/直径比が25で、スクリュー径が25mm、圧縮比が1:3であるレオナルド25紡糸パイロットラインで紡糸する。このラインは、コストゥルツィオニ メカニチェ レオナルド−スミラゴ(VA)によって販売される。
紡糸試験は以下の条件で行う:口金穴径が0.4mm、吐出量が0.4g/分×口金穴。1500m/分の引き取り速度で、延伸比1:1.5、61個の口金穴を有する紡糸口金で製造されたフィラメントについて、機械的値を測定する。紡糸は不具合がなく安定である。
【0107】
比較例5(5c)
使用されるポリマーが、MFR値が12g/10分で、多分散性指標が3.8、162℃の溶融温度、および3.5g/mlのキシレン可溶画分であるプロピレンホモポリマーからなる市販樹脂であること以外は、実施例11を繰り返す。
表9にはこうして得られた繊維の物性を、比較例5で得られた繊維の物性と比較して報告する。
【0108】
【表9】

【0109】
市販品と比較して、実施例10の良好な接着力を有したままのステープルファイバーの高い靭性は、注目に値する。収縮率(retraction)もまたずっと高い結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4〜50g/10分のMFR値を有し、:
i)a)少なくとも0.8重量%のエチレンと、任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンとを含有し、溶融温度が155℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、キシレンによる昇温溶出分画(TREF)により25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が8より高いコポリマーまたはポリマー組成物;および
b)2.5%重量より多いエチレンと、任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンとを含有し、溶融温度が153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が4より高いコポリマーまたはポリマー組成物
から選択される結晶性プロピレンランダムコポリマーまたは結晶性プロピレンポリマー組成物;および
ii)溶融温度が153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10重量%より低い結晶性プロピレンポリマー組成物であって、該組成物が少なくとも0.64重量%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、かつ重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%;および
II)IIa)プロピレンと、0.8〜10重量%のエチレンとのコポリマーであるが、但 しポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係す る(コ)ポリマーの重量に対して少なくとも0.8パーセント単位であるもの と、
IIb)プロピレンと、1.5〜18重量%のC4〜C10α−オレフィンと、任意に エチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIb)と の間のコモノマー含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して少な くとも1.5パーセント単位であるものと、
IIc)コポリマー(IIa)とコポリマー(IIb)の混合物と
から選択される結晶性ランダムコポリマー20〜80%
を含むもの
から選択されるプロピレンポリマー組成物を含む熱接着用の繊維。
【請求項2】
ポリマー組成物(ii)が溶融温度155℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が8より高く;該組成物が少なくとも0.64%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%;および
II)IIa)プロピレンと、0.8〜5重量%のエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して、少なくとも0.8パーセント単位であるもの;および
IIb)プロピレンと、1.5〜12重量%のC4〜C10α−オレフィンと、任意にエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIb)との間のコモノマー含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して、少なくとも1.5パーセント単位であるもの;および
IIc)コポリマー(IIa)とコポリマー(IIb)との混合物
から選択される結晶性ランダムコポリマー20〜80%
を含む請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
ポリマー物質が、6〜15g/10分のMFR値を有する請求項1または2に記載の繊維。
【請求項4】
ポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して少なくとも1パーセント単位である請求項1〜3のいずれか1つに記載の繊維。
【請求項5】
150℃における接着力が、少なくとも300cNである請求項1〜4のいずれか1つに記載の繊維。
【請求項6】
組成物が275℃以下の押出温度に付される、紡糸工程により得ることができる請求項5または6に記載の繊維。
【請求項7】
組成物が275℃以下の押出温度に付される、接着力300から800cNであり、かつ50g/10分以下のMFR値を有し、紡糸工程により得ることができる請求項5に記載の繊維。
【請求項8】
押出温度が260〜275℃の範囲である請求項6または7に記載の繊維。
【請求項9】
4〜50g/10分の値を有し:
i)a)少なくとも0.8重量%のエチレンと任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンとを含有し、溶融温度が155℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、キシレン可溶画分との比の値が8より高いコポリマーまたはポリマー組成物;および
b)2.5重量%より多いエチレンと、任意に1種以上のC4〜C10α−オレフィンを含有し、溶融温度が153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が10重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、室温におけるキシレン可溶画分との比の値が4より高いコポリマーまたはポリマー組成物
から選択される、結晶性プロピレンランダムコポリマーまたは結晶性プロピレンポリマー組成物;ならびに
ii)溶融温度が153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が9重量%より低い結晶性プロピレンポリマー組成物であって、該組成物が少なくとも0.64重量%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、かつ重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%;および:
II)IIa)プロピレンと、0.8から10重量%のエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して、少なくとも0.8パーセント単位であるもの;
IIb)プロピレンと、1.5から18重量%のC4〜C10α−オレフィンと、任意にエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIb)との間のコモノマー含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して少なくとも1.5パーセント単位であるもの;および
IIc)コポリマー(IIa)とコポリマー(IIb)の混合物
から選択される結晶性ランダムコポリマー20〜80%、好ましくは30〜70%
を含むもの
から選択されるプロピレンポリマー組成物が加工されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の繊維を製造するための溶融紡糸方法。
【請求項10】
ポリマー組成物(ii)が溶融温度155℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が5重量%より低く、キシレンによるTREFにより25℃から95℃の温度範囲で回収されるポリマー画分と、室温におけるキシレン可溶画分との比の値が8より高く;該組成物が少なくとも0.64重量%のエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィン繰り返し単位を含有し、かつ重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマーおよび/または1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%;および
II)IIa)プロピレンと、0.8〜5重量%のエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIa)との間のエチレン含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して、少なくとも0.8パーセント単位であるもの;
IIb)プロピレンと、1.5〜12重量%のC4〜C10α−オレフィンと、任意にエチレンとのコポリマーであるが、但しポリマー(I)とポリマー(IIb)との間のコモノマー含有量の差が、関係する(コ)ポリマーの重量に対して少なくとも1.5パーセント単位であるもの;および
IIc)コポリマー(IIa)とコポリマー(IIb)の混合物
から選択される結晶性ランダムコポリマー20〜80%
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組成物が、275℃以下の温度で押し出される請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、260〜275℃の範囲の温度で押し出される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の繊維を含む熱接着不織布。
【請求項14】
少なくとも一層が請求項13に記載の熱接着不織布でできている、2以上の層を含む複合不織布。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の繊維が熱接着加工に付される、請求項13の不織布を製造する方法。
【請求項16】
4〜50g/10分のMFR値を有し、エチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンの含有量が少なくとも0.64重量%であり、重量パーセントで:
I)結晶性プロピレンホモポリマー、あるいは1.5重量%までのエチレンおよび/またはC4〜C10α−オレフィンを含有する結晶性プロピレンランダムコポリマー20〜80%;および
II)プロピレンと、5より高く9重量%までのエチレンとの結晶性ランダムコポリマー20〜80%;
を含み、
溶融温度153℃以上であり、室温におけるキシレン可溶画分の含有量が9重量%より低い結晶性プロピレンポリマー組成物。
【請求項17】
6〜15g/10分のMFR値を有する請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも2段の重合段階において、関係するモノマーが重合されてポリマー(I)を形成し、別の段階で関係するモノマーが重合されてポリマー(II)を形成し、第一の段階を除くそれぞれの段階で、先行する段階において形成されたポリマーおよび使用された触媒の存在下で操作する、
少なくとの2段の分離された連続する段階で行われる、請求項16または17の結晶性プロピレンポリマー組成物を重合する方法。

【公表番号】特表2006−500486(P2006−500486A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509667(P2005−509667)
【出願日】平成15年9月23日(2003.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010705
【国際公開番号】WO2004/029341
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エス. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】