説明

熱活性化接着可能な平面要素の接着方法

熱活性化接着可能な平面要素と、電流を通さず、さらに表面が低い熱伝導性しか有さない接着基材とを接着する方法が提唱される。このために、熱活性化接着性の接着剤に加えて導電層を含む熱活性化接着可能な平面要素を使用し、この導電層は、中周波領域の周波数の交番磁界内で迅速に誘導により短時間の間加熱される。本発明によれば、誘導加熱と同時に接着面に少なくとも1MPaの高い押圧が掛けられ、これにより熱分解反応を阻止することができる。さらにこの方法を実施するための、誘導加熱部がプレス工具内に組み込まれた装置が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱活性化接着可能な平面要素を、非導電性で、熱伝導率が高くても5W/mKの接着基材に接着する方法であって、少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤層とを備えており、接着面の形状に合わせて裁断された形状を有する熱活性化接着可能な平面要素を用意するステップと、接着基材を熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と接触させ、これにより予備複合体を形成するステップと、この予備複合体を、周波数が最低100Hz〜最高200kHzの交番磁場内で最長20秒の間誘導加熱し、これにより最終複合体を形成するステップとを含む方法に関する。さらに本発明は少なくとも1つのプレススタンプ要素を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱活性化接着可能な平面要素(熱活性化性平面要素)は、接合部品の高強度の結合を得るために用いられる。このような平面要素は、特に、感圧接着剤系だけを備えた平面要素によって可能な強度と同等またはより高い強度を、より薄い接着接合部で達成するために適している。このような高強度の接着は、例えば家庭用電子機器、娯楽用電子機器、または通信用電子機器の分野で、例えば携帯電話、PDA、ノート型パソコンおよびその他の計算機、デジタルカメラ、ならびに表示機器、例えばディスプレイおよび電子書籍端末のために、とりわけ電子機器の小型化が進む際に重要となる。
【0003】
なかでも、携帯用の家庭用電子機器製品における接着結合の加工性および安定性への需要が高まっている。これは一方では、このような製品の寸法が次第に小さくなっており、したがって接着結合に利用できる面積も減少していることになる。その一方でこのような機器における接着結合は特に安定していなければならない。なぜなら携帯用の製品は、例えば衝突または落下のような強い機械的負荷に耐えなければならず、加えて幅広い温度範囲において使用されるからである。
【0004】
すなわちこのような製品では、熱活性化接着性の接着剤、つまり室温では自己接着性を示さないかまたはせいぜい僅かな自己接着性しか示さないが、熱の影響下ではその時々の接着基材(接合相手材、被接着下地)への接着に必要な接着力を生じさせる接着剤を備えた熱活性化接着可能な平面要素を使用することが好ましい。このような熱活性化接着性の接着剤は室温ではたいてい固体の形で存在しており、しかし接着中は、温度の作用により接着力の高い状態に可逆的または不可逆的に移行する。可逆的な熱活性化接着性の接着剤は、例えば熱可塑性ポリマーをベースとする接着剤であり、これに対し不可逆的な熱活性化接着性の接着剤は、例えば熱活性化により架橋反応などの化学反応が進行する反応性接着剤であり、したがってこの接着剤は特に永続的で高強度の接着に適している。
【0005】
すべての熱活性化接着性の接着剤系に共通しているのは、接着する際に加熱しなければならないことである。特に接着剤系が接着基材によって外部に対して全面的に覆われた状態での接着では、接着剤の溶融または活性化に必要な熱を接着面に迅速に輸送することが特に重要である。その際、接着基材の1つが優れた熱伝導体であれば、この接着基材を外部の熱源、例えば直接的な熱交換器、赤外線ヒータ、またはその類似物によって加熱することができる。
【0006】
ただし接着剤の迅速で均質な加熱に不可欠な短い加熱時間は、このような直接的な加熱または接触加熱の場合、熱源と接着基材の間の温度勾配が大きくなるという代償を払ってしか実現できない。したがって加熱すべき接着基材自体は温度の影響を受けにくいことが望ましく、しかも温度は、接着剤の溶融または活性化に本来必要であるよりも部分的にかなり高くなる可能性がある。
【0007】
しかしながら、接着基材のどれも熱を十分良好に伝導しない場合、または接着基材が比較的高い温度に対して影響を受けやすい場合には状況が異なる。このようなことは例えば多くのプラスチックに関して言えることであるが、電子部品、例えば半導体部品または液晶モジュールの場合もそうである。このため、ほとんど熱を通さないか、または熱の影響を受けやすい材料から成る接着基材を接着するために、熱活性化接着可能な平面要素自体が、加熱のための内在的なメカニズムを装備し、これにより接着に必要な熱は外から持ち込まなくてもよく、平面要素自体の内部で直接に生成されるようにすることが提案されている。従来技術から、このような内部加熱を実現可能な様々なメカニズムが、例えば電気抵抗加熱による、または磁気誘導による、またはマイクロ波放射との相互作用による加熱として知られている。
【0008】
最後に挙げた2つの方法は、接着の進行に関して、および平面要素の熱生成領域と相互作用して平面要素の加熱を引き起こす外部の加熱装置の実用技術的な形態に関して、平面要素の加熱が平面要素と外部の加熱装置の直接的なじかの接触を必要とせず、それどころかむしろ非接触で加熱を実施することができるという利点を提供する。その際、特に磁気誘導による加熱が実用的であることが分かった。なぜなら誘導原理に基づいて動作する加熱装置は、マイクロ波放出器より装置をかなり単純に設計できるからである。
【0009】
様々な効果が、交番磁界内での加熱に寄与することができる。加熱のために交番場内に持ち込まれる物体が導電領域を有する場合、この領域内で交番磁界により渦電流が誘導される。その際、この領域の電気抵抗が0でなければ、このときに発生する渦電流の伝導損失がジュール熱(電流熱)を発生させる。ただし、そもそもこのような渦電流を生じさせ得るには、導電領域が最低限の大きさを有していなければならず、この最低限の大きさは、外から印加される交番磁界の周波数が低いほど大きくなる。
【0010】
しかしながら加熱のために交番場内に持ち込まれる物体がフェロ磁性領域を有する場合、この領域の分子磁石はそれぞれ外部の交番磁界に平行に配向される。この外部磁場が変化する際に発生するヒステリシス損失(磁化反転損失)も物体を加熱する。交番磁界内に持ち込まれる物体の材料次第では、両方の効果を一緒に物体の加熱に寄与させることができ(例えば鉄、ニッケル、コバルトのようなフェロ磁性金属の場合、またはミューメタルやアルニコのようなフェロ磁性合金の場合)、あるいはそれぞれこの両方の効果の一方だけを加熱に寄与させることもできる(例えばアルミニウムのような非フェロ磁性金属の場合は渦電流だけ、また酸化鉄粒子のような電気をほとんど通さない材料の場合はヒステリシスだけ)。
【0011】
製造技術では数十年前から既に誘導加熱に基づく装置および方法が知られており、これらの装置および方法を用いて、例えば接合部品を接着するため、および製造に基づく継目を封止するため、およびポリマーを硬化またはアニーリングするために、ポリマー系を加熱することができる。その際、加熱装置は交番磁界を生成するために通常はインダクタを備えており、このインダクタは、加熱すべき物体をそれぞれ完全にまたは部分的に取り囲んで、この物体をその全体にわたって均一に加熱する。この場合、必要ならばもちろん狙い通りに不均一な加熱を実現することもできる。これに関し実際には、例えばしばしばトンネル状の誘導コイルが用いられる。なぜならこの幾何構成の場合、誘導コイルの交番磁界が、1つの方向からだけでなく、さらに、加熱すべき物体の向こう側からも影響を及ぼすからである。
【0012】
熱活性化接着可能な平面要素を誘導加熱により熱活性化させる場合、一般的にはこのために、ホットメルト接着剤として熱活性化接着性の接着剤を備えた平面要素が使用され、この接着剤は、導電層の側面に配置され、この導電層は、例えば金属もしくは金属化ポリマーから成るフィルム、メッシュ状の金属フィルム、ワイヤネット、平面的に広げられたエキスパンドメタル、金属不織布、または金属繊維による平面構造である。その際、最後の幾つかの不連続的な平面構造は、ホットメルト接着剤がそれぞれの平面構造内の開口部を通り抜けることができ、それにより平面要素内の結束を全体的に改善するという利点を提供するが、ただしこれには加熱効率の低下という負担が伴う。
【0013】
これまでに知られている方法の欠点の1つは、それぞれの物体の実際に加熱すべき領域だけでなく、常に物体のはるかに大きな領域が交番磁界に曝されることである。このことは特に、加熱すべき物体が全体的にトンネル状の誘導コイル内に持ち込まれ、したがって交番磁界にも全体的に曝される構成の場合に見うけられる。したがってこのような従来の誘導加熱方法は、不必要に交番磁界に曝される領域で熱または電気による損傷が生じないような接着基材の接着にしか使用できない。したがってもちろん、これまでに知られている方法は一般的に電子機器内の構成ユニットの接着には使用できない。なぜなら電子部品の多く、例えば半導体部品またはディスプレイモジュールは、限定的にしか耐熱性でなく、したがって加熱の際に損傷する可能性があるからであり、特に、この構成ユニット自体がしばしば導電領域をも内包しており、これによりこの構成ユニットの内部でも誘導加熱が起こるからである。
【0014】
近年、接着の際の誘導加熱が新たに関心の的になっている。その理由は、いまでは入手可能なナノ粒子系、例えばMagSilica(商標)(Evonik AG)に求めることができ、このナノ粒子系は、加熱すべき物体の材料中に加えることができ、こうすることで、それにより物体の機械的安定性をさほど損なうことなく、物体をその全体積にわたって加熱することが可能になる。例えばモバイル電子機器における接着のためには、誘導加熱可能なナノ粒子を含むDuplocoll RCD(商標)という名称の製品をLohmann社から入手することができる。
【0015】
しかしながら、このナノスケールの系の小さなサイズの故に、このような製品を中周波領域の周波数の交番磁界内で効率よく加熱することは不可能である。むしろこの新規の系には高周波領域の周波数が必要である。しかしながらまさにこの周波数の場合に、交番磁界内で電子部品が損傷する問題が特に強く現れる。そのうえ高周波領域内の周波数の交番磁界を生成するには、より多くの装置コストが必要となり、したがって経済的に不利である。さらにナノ粒子充填物質の使用は、後のリサイクルの際にこの充填物質が周囲の材料からほとんど分離できないので、エコロジーの観点からも問題がある。
【0016】
原則的には、誘導加熱のための様々な加熱装置が知られている。これらの装置は、とりわけそれぞれの加熱装置によって生成される交番磁界の周波数に基づき区別することができる。すなわち誘導加熱は、周波数が約100Hz〜約200kHzの周波数領域(いわゆる中周波;MF)内の磁場を用いて行うことができ、また約300kHz〜約100MHzの周波数領域(いわゆる高周波;HF)内の磁場を用いて行うこともできる。それだけでなく特殊な例として、マイクロ波領域の周波数、例えば2.45GHzのマイクロ波標準周波数の磁場を用いた加熱装置も知られている。
【0017】
使用する交番場の周波数と共に、交番場を生成するために行わなければならない技術的な手間が増え、したがって加熱装置のコストが上昇する。中周波の設備でも市場価格は目下のところ約5,000ユーロであり、高周波の設備に関しては少なくとも25,000ユーロを考慮しなければならない。それだけでなく、加熱設備に対する安全性の要求も周波数と共に高くなり、したがって高周波の設備では、比較的高い購入費用に加え、必然的に安全性に関する設備技術を施すための比較的高いコストも発生する。
【0018】
これに関連する比較的高いコストおよび電子部品を接着する際の比較的大きな損傷リスクに鑑み、かつ比較的リサイクルしにくいことを考慮すると、結果としてナノ粒子系は、損傷なく接着するための誘導加熱用の熱活性化接着可能な平面要素の構成要素としての使用にはあまり適していない。この目的を達成するには、中周波領域の周波数の交番磁界を使用することが好ましい。
【0019】
しかしながら、中周波領域の周波数の交番磁界によって動作する加熱装置の場合も、損傷のない接着を実現するのは困難であることが分かった。工業的な製造プロセスに必要な高い加工速度を得るには、熱活性化接着可能な平面要素の加熱時間は非常に短くなければならない。したがって必要な接着温度を達成するために、非常に速い加熱速度を選択する必要がある。
【0020】
しかし熱活性化接着可能な平面要素を、低い熱伝導性、つまり高くても5W/mKの熱伝導性しかない接着基材に接着する場合、誘導により平面要素内で生成される熱を平面要素から十分に迅速に導出することができない。むしろ熱はまず接着面内で少しの時間留まり、これにより接着面で熱の滞留が起こる。この滞留により、平面要素も接着基材(例えば電子部品)も局所的に過熱になり、それによって損傷する可能性がある。接着基材が低い熱伝導性に加えて熱容量も小さい場合、これにより一時的な熱貯蔵の可能性もないので、この過熱の危険性はさらに高くなる。
【0021】
例えば接着面にポリマーを有する接着基材では、この両方が当てはまる。ポリマーは、金属よりフォノンの自由行程が短いので熱伝導性が比較的低く、加えてポリマー鎖における自由度が比較的小さいので低い熱容量しか有さない。ポリマーの耐熱性はたいてい、ほかの基材材料、例えば金属またはガラスより低い。
【0022】
これに関してはもちろん、接着基材だけでなく、加えて平面要素のさらなる構成要素(例えば支持体またはさらなる機能層)もこのような熱伝導性および熱容量の低い材料から成るとすれば、その場合は平面要素を介してさえ熱排出または熱貯蔵を行うことができないので、さらに問題である。
【0023】
つまり目下のところ、平面要素を中周波領域の周波数の交番磁界に曝すことにより、接着基材を、熱活性化接着可能な平面要素を介し、高いサイクル速度で、損傷なく結合させ得る一般に適用可能な接着方法が存在していない。むしろ、まさに接着基材がポリマーの接着面を有する場合、特に接着基材が電子部品の場合には、誘導加熱の際に平面要素または接着基材の熱による損傷が観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】EP1475424A1
【特許文献2】EP1956063A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の課題は、従来技術の欠点を回避し、非導電性で熱伝導率の低い接着基材に対する小面積での接着を実現できる方法を提供することにあった。加えてこの方法は、高いサイクル速度で電子機器の構成ユニットを接着するのに、特にポリマーから成る接着基材を接着するのにも適している必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によればこの課題は、予備複合体を誘導加熱すると同時に、少なくとも1MPa、特に少なくとも3MPaの圧力(プレス圧)で熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と垂直に加圧し、これにより接着剤を全面的に接着基材に接触させる、冒頭に挙げた種類の方法によって解決される。この場合、「熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と垂直」という方向表現は、平面要素が(したがって平面要素の両方の側面も)平坦であるフラットな接着に関しては、プレス力が(少なくともさらに)平面要素の主延長方向と垂直に作用することを意味し、一方、立体的にアーチ状に反った接着に関しては、プレス力が平面要素の主延長方向の1つと垂直な方向に、したがって少なくとも部分領域内では平面要素の側面と垂直に作用することを意味する。
【0027】
意外にもこの方法により、例えばモバイル電子機器では通常であるような非常に小さな接着面も、電子機器またはその他の金属製部品またはポリマーを損傷させることなく、中周波領域での誘導加熱により短時間で確実に加熱し、これにより接着することに成功した。むしろ、誘導加熱と同時に、作るべき接着結合にそのままで高い圧力を加えると、誘導加熱の進行中に損傷が生じるリスクが劇的に減少することが観察された。このようにして、多くの接着基材に適しており、それどころか半導体部品または表示モジュールのような電子部品を備えた構成ユニットでさえ高強度に結合させ得る非常に簡単な方法が提供される。
【0028】
ここでさらに、例えばプレス工具内にインダクタを組み込むことにより交番磁界を接着接合部のすぐ近くに集中させると、誘導加熱を接着接合部の面に限定することができ、これは、その面に対応する裁断物の形の熱活性化接着可能な平面要素を使用することでさらに改善することができる。
【0029】
本方法は、有利な一形態では、熱活性化接着可能な平面要素として、さらなる熱活性化接着性の接着剤層を備えた平面要素を用意し、そして誘導加熱の前に、予備複合体の熱活性化接着可能な平面要素のこのさらなる熱活性化接着性の接着剤層をさらなる接着基材と接触させることにより予備複合体をさらなる接着基材と接触させるようにして実施される。これにより、複数の同じ接着基材または異なる接着基材も互いに唯一の誘導加熱ステップで相互に結合させることができ、同時に全体の加熱時間を短くすることができる。
【0030】
誘導加熱の際の加熱速度は、最低2.5℃/秒〜最高200℃/秒、特に最低10℃/秒〜最高100℃/秒であると有利である。最低加熱速度をこのように選択することで、熱活性化接着性の接着剤の接着に必要な時間をさらに短くすることができ、それにより接着の際のサイクル速度をさらに高めることができる。そのうえ加熱速度を低い加熱速度に制限することで、接着剤または接着基材の熱による損傷の危険性が低下し、接着剤の制御されない溶融および接着基材の望ましくない溶融が回避される。
【0031】
本方法が特に適しているのは、少なくとも1つの導電層として、層厚が75μm未満、特に30μm未満、またはさらに15μm未満の層を使用する平面要素を、熱活性化接着可能な平面要素として準備する場合である。これにより技術的に非常に容易に平面要素の加熱速度の上限が抑えられる。
【0032】
さらに本方法は、熱活性化接着可能な平面要素として、その形状が接着面の開いた幾何形状に適合している平面要素を準備する場合に有利である。このような幾何形状を有する平面要素は、これまでに知られている誘導加熱方法では、形状を保ちながら均質に接着することは不可能であるか、または場合によっては多大な労力を費やしてやっと可能であり、したがって本発明による原理をこのような系に広げることは、さらなる大きな利益を提供する。
【0033】
そのうえ、熱活性化接着可能な平面要素として、最小ストランド幅が5mm未満、特に3mm未満、またはさらに2mm未満の平面要素を準備することができる。本発明による方法を使用するだけで、接着基材の接着面が少ししか提供されていない場合でも、接着結合に利用可能な面積を拡大することができ、したがって全体的な接着強度を高めることができ、その際、ストランド幅が小さい領域が熱により損傷されることはない。これまでに知られている誘導加熱を用いた接着方法では、このように小さな側面構造の使用は不可能であるか、または場合によっては多大な労力を費やしてやっと可能である。
【0034】
さらに本方法は、接着基材として、3次元空間においてアーチ状に反った接着面を有する接着基材が使用される場合に有利である。熱活性化接着性の接着剤層を、その面の広がり全体にわたって均質に加熱することができるので、これにより、断面形状が立体的に形成された接着面も非常に簡単に実現することができる。このような湾曲した接着面は、例えばモバイル電子機器でディスプレイスクリーンまたはハウジングを接着する際にしばしば発生する。
【0035】
本発明によれば、さらなるステップとして、誘導加熱が終了してからも後プレス継続時間中は圧力を維持することができ、その際、最終複合体は、後プレス継続時間中の少なくとも一部分で新たに誘導加熱される。これは、後加圧により接着結合をさらに強化し、強化した形で後硬化を施すことができるという利点を提供し、すなわちこれにより接着剤中の凝集性が向上することで全体的に接着強度が高まる。
【0036】
それだけでなく、熱活性化接着可能な平面要素のその時々に同時に誘導加熱される領域とこの領域内の接着面の面積比を、2:1未満、特に1.5:1未満、またはさらに1.2:1未満とすることができる。このようなプロセス操作により、接着基材が誘導加熱の進行中に熱により損傷される危険性がさらに低くなる。なぜなら、基本的には実際に接着しようとしている領域だけが局所的に加熱されるからである。これにより生成される熱量が減少し、したがって排出しなければならない熱量も少なくなる。
【0037】
本発明による思想を実現するために、誘導加熱と、少なくとも1つのプレススタンプ要素を備えた装置による加圧とを実施することができ、このプレススタンプ要素が誘導加熱手段を備えている。本方法の2つの重要な態様を1つの同じ工具を用いて実施できる装置を使用することにより、プレス装置と誘導装置(インダクタ)の相互同調が不要となり、さらにそうでなければ別々に実施されるプレス装置とインダクタの位置決めをここでは唯一のステップで実施できるので、プロセス進行を加速させることができ、サイクル数を上昇させることができる。この装置は、本発明に従って使用される高いプレス圧でも、必要な稼働安全性を保証するために、固定して設置することが好ましい。
【0038】
前述のように、本発明による方法は、電子機器の構成ユニットの接着に用いられる場合に特別な利点を提供する。なぜなら他の方法では、高いサイクル数で、その場合に電子部品が熱により損傷するリスクを高めることなく、このような接着を形成することができないからである。
【0039】
本発明のさらなる一態様によれば、さらなる課題は、本発明による方法を実施するのに特に適合しており、特に、熱容量の少ない接着基材に、熱または電気による損傷を生じさせずに平面要素を接着するための、熱活性化接着可能な平面要素の誘導加熱を可能にする装置を提供することであった。これまでに知られている装置は、接着部の誘導加熱を可能にするだけであり、誘導加熱中の接着基材は保持装置によって弱く固定されているだけで、有意なプレス圧が掛かることはない。プレス圧を掛けるには、接着すべき物体の表面との直接接触が必要である。他方で、これまでに知られている装置ではインダクタが平面要素に対してある程度の間隔をあけて存在しており、これにより従来技術に基づく誘導加熱ではエネルギー入力の空間解像度が低下している。
【0040】
これらの問題は、少なくとも1つのプレススタンプ要素が誘導加熱手段を備えており、少なくとも300N、特に少なくとも600Nのプレス力に適合されている、冒頭に挙げた種類の装置によって解決される。インダクタをプレススタンプ要素内に直接組み込むことにより、インダクタと平面要素の間隔を最小限にすることができ、これにより前述の欠点が克服される。
【0041】
有利な一形態では、少なくとも1つのプレススタンプ要素が、少なくとも部分的には3次元空間においてアーチ状に反ったプレス面を有している。こうすることで、平面的で平坦な接着だけでなく、立体的な形状をもつ接着面での接着も可能であり、したがってそれだけでなく複雑な幾何形状の接着も可能である。
【0042】
特に適しているのは、この装置が、フェロ磁性、フェリ磁性、常磁性、もしくは反磁性の少なくとも1つのヨーク部分、好ましくはフェリ磁性のヨーク部分、またはさらなる誘導加熱手段を備えた、さらなるプレススタンプ要素を有する場合である。このようなヨーク部分は、磁場をゆがめ、それにより磁場の侵入深度を上昇させ、したがって特に、複雑な幾何形状を有する接着部が均質に加熱され、すなわち接着面全体にわたって均一な付着性および凝集性が提供される。交番磁界の局所的な増強は、さらなる誘導加熱手段の使用により達成することもできる。
【0043】
本発明を明らかにするために本発明を以下に一般的に説明し、それに加えて本発明の部分態様の個々の構成要素の代表例を幾つか解説するが、これらの構成要素は、その時々の所望の特性に応じて、ほぼ任意に相互に組み合わせることができる。
【0044】
つまり本発明は、基本的には、熱活性化接着可能な平面要素と特定の種類の接着基材の接着方法に関する。本願の意味における平面要素としては、特に、実質的に平面的な広がりを有するすべての一般的で適切な形成物が当てはまる。この形成物は、平面的な接着を可能にし、様々な、特に柔軟な、接着フィルム、接着テープ、接着ラベルとして、または成形ダイカットとして形成することができる。
【0045】
このような平面要素は、それぞれ2つの側面、前面および後面を有している。その際、前面および後面という概念は、平面要素の主延長方向(面の延長方向、主広がり面)に平行な、平面要素の両方の表面に関するものであり、平面要素における向かい合って配置されたこの両方の面を区別するために用いられるだけであり、この概念の選択により両方の面の絶対的な空間配置が規定されることはなく、したがって前面は、平面要素のうち空間的に後ろに置かれた側面であってもよく、その場合、これに対応して後面は、平面要素のうち空間的に前に置かれた側面である。
【0046】
この熱活性化接着可能な平面要素は、接着基材に接着される必要がある。このため平面要素はその両方の側面の少なくとも一方に、好ましくはさらに両方の側面に、熱活性化接着性の接着剤を備えている。熱活性化接着性の接着剤とは、温度が上昇すると高温状態で接着し、そして冷却後に機械的負荷に耐え得る結合を提供するすべての接着剤である。この接着剤は一般的に接着剤層の形で存在している。
【0047】
層とは、特に、機能に統一性のある系の平面状の構成を指し、層の寸法は、1つの空間方向(厚さまたは高さ)で、主延長方向を定義する別の2つの空間方向(長さおよび幅)より有意に小さい。このような層は、隙間なくまたは穿孔状にも形成することができ、かつ唯一の材料から成るものでも、また特にこの層の機能の統一性に寄与する場合は異なる材料から成るものでもよい。層は、その面の広がり全体にわたって一定の厚さを有してもまた異なる厚さを有してもよい。それだけでなく層はもちろん複数の機能を有していてもよい。
【0048】
本願では接着すべき平面要素は、少なくとも2つの異なる層、詳しくは少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤層とを含んでいる。導電層と見なされるのは、23℃で少なくとも1mS/mの伝導性(電子および/または正孔)を有する、つまり電流が流れ得る少なくとも1つの材料から成るあらゆる層である。これには、特に金属、半金属、ならびに電気抵抗の低いその他の金属性材料、および場合によっては半導体も含まれる。すなわち導電層の電気抵抗は、一方では層内を電流が流れる際に層を加熱させ得るに十分なほど高く、他方では、そもそも層を通る電流の流れを生み出すのに十分なほど低くもある。特殊な例としては、磁気抵抗が低い(したがって導磁率または透磁率が高い)材料、例えばフェライトから成る層も導電層と見なすことができる。ただしこの材料は、低周波交流ではたいてい電気抵抗が比較的高く、したがってこの場合、たいていは交番磁界周波数が比較的高い傾向を示す場合に初めて加熱が達成される。
【0049】
少なくとも1つの導電層は、原理的には任意に適切に形成することができ、例えば薄く、全面的で隙間のないまたは穿孔状の層として、75μm未満、特に30μm未満、またはさらに15μm未満の層厚で形成することができる。後者の導電層は、比較的簡単に加熱速度の上限を抑えることができる。
【0050】
導電層は、すべての一般的で適切な材料、例えばアルミニウム、銅、金、ニッケル、ミューメタル、アルニコ、パーマロイ、フェライト、およびその類似物から成ることができる。その際、導電層は、さらに磁性、特にフェロ磁性または常磁性も示すことが好ましい。このような材料では、渦電流の誘導に加え、ヒステリシス損失による加熱も発生し、全体的な加熱速度がより高くなることが予測されるものの、この予測に反しニッケルまたは磁性鋼のような電流を良く通す磁性材料でさえ例外なく、電流を非常に良く通すがそれ自体は磁性を示さない材料、例えば銅、アルミニウム、炭素ナノチューブ、またはグラフェンより加熱速度が低いことが観察された。したがって、磁性で電流を通す材料を使用することにより、加熱をより容易にコントロールでき、接着接合部から離れたところでの加熱効果の発生を減らすことができる。
【0051】
しかし他方では、導電層が反磁性である、つまり透磁率が1未満で磁化率が0未満である場合も有利な可能性がある。そのような材料の例は、例えば銅、銀、鉛、およびスズ、ならびにすべての超伝導材料である。このような系を用いた試験では表皮効果が比較的小さいことから、これらの材料では、類似の導電性の常磁性またはフェロ磁性材料よりも高い加熱速度が達成されることが示された。これに対応して、反磁性層を使用することにより厚さ15μm未満の薄い層で既に100℃/秒超の高い加熱速度を達成させ得る方法も、有利な可能性がある。もちろん平面要素は、少なくとも1つの導電層に加えてさらなる導電層を備えてもよい。このさらなる導電層は、少なくとも1つの導電層と同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
熱活性化接着可能な平面要素は、全体的に任意に適切に形成することができる。すなわち平面要素は、前述の両方の層に加えてさらなる層、例えば永続的または一時的な支持体を含むことができる。さらに平面要素は、その両方の側面の一方だけで接着可能に、または両方の側面で接着可能に、例えば片面接着可能または両面接着可能な接着テープとして形成することができる。後者の場合、平面要素は少なくとも1つのさらなる接着剤層を備えており、このさらなる接着剤層は、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤と同一であってもまたは異なっていてもよい。したがってこのさらなる接着剤層は、例えば熱活性化接着性の接着剤を含むことができ、また感圧接着剤さえ含むことができる。
【0053】
少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤として、原理的にはすべての一般的な熱活性化接着性の接着剤系を使用することができる。熱活性化接着性の接着剤は、原理的には、熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤(溶融接着材料)と、反応性で熱活性化接着性の接着剤(反応性接着材料)の2つのカテゴリーに分類することができる。この区分には、両方のカテゴリーに分類できる、つまり反応性で熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤(反応性溶融接着材料)も含まれる。
【0054】
熱可塑性の接着剤は、加熱すると可逆的に軟化し、冷却中に再び凝固するポリマーをベースとする。これとは対照的に、反応性で熱活性化接着性の接着剤は、反応性成分を含んでいる。後者の成分は「反応性樹脂」とも言い、この成分中では加熱により架橋プロセスが引き起こされ、それにより、架橋反応の終了後には圧力下でも持続的で安定した結合が保証される。好ましくは、このような熱可塑性の接着剤は合成ニトリルゴムなどの弾性成分も含んでいる。このような弾性成分はその高い流動粘度の故に、熱活性化接着性の接着剤に、圧力下でも特に高い寸法安定性を付与する。
【0055】
以下に、本発明に関して特に有利であると分かった幾つかの典型的な熱活性化接着性の接着剤の系を、純粋に例として説明する。
【0056】
つまり、熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤は、熱可塑性のベースポリマーを含んでいる。このベースポリマーは、低い押圧力で既に優れた流動挙動を示し、すなわち持続的な接着を保ち得るために重要な最終接着力が短い押圧時間内で生じ、したがって粗面状のまたはその他の不向きの下地にも素早く接着することができる。熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤として、従来技術から知られているすべての熱可塑性接着剤を使用することができる。
【0057】
組成の例は、例えばEP1475424A1(特許文献1)に記載されている。すなわち熱可塑性接着剤は、例えば以下の成分:ポリオレフィン、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、またはブタジエンスチレンブロックコポリマーのうちの1種または複数を含むことができ、それどころかこれらの成分から成るものでもよい。好ましいのは、例えばEP1475424A1(特許文献1)の段落[0027]に挙げられた熱可塑性接着剤を使用することである。特に、特殊な使用分野、例えばガラス製の接着基材を接着するのに特に適したさらなる熱可塑性接着剤が、EP1956063A2(特許文献2)に記載されている。好ましいのは、レオロジー添加剤によって溶融粘度を高めた、例えば混合成分としての発熱性のケイ酸、カーボンブラック、炭素ナノチューブ、および/またはさらなるポリマーの添加によって高めた、熱可塑性接着剤を使用することである。
【0058】
一方、反応性で熱活性化接着性の接着剤は、エラストマー性ベースポリマーおよび変性樹脂を含むのが有利であり、その際、変性樹脂は接着樹脂および/または反応性樹脂を含む。エラストマー性ベースポリマーの使用により、寸法安定性に優れた接着層を得ることができる。反応性で熱活性化接着性の接着剤としては、それぞれの実際の用途に対応して、従来技術から知られているすべての熱活性化接着性の接着剤を使用することができる。
【0059】
これには、例えば、ニトリルゴムまたはその誘導体、例えばニトリルブタジエンゴムをベースとする、またはこのベースポリマーに例えばフェノール樹脂のような反応性樹脂を加えた混合物(ブレンド)をベースとする、反応性で熱活性化接着性のフィルムも含まれており、このような製品は、例えばtesa 8401の名称で市場で入手可能である。ニトリルゴムはその高い流動粘度の故に、熱活性化接着性のフィルムに顕著な寸法安定性をもたらし、したがって架橋反応の実施によりプラスチック表面で高い接着力を実現することができる。
【0060】
もちろん、その他の反応性で熱活性化接着性の接着剤を使用することもでき、例えば、接着可能なポリマーを質量分率50〜95重量%、およびエポキシド樹脂または複数のエポキシド樹脂の混合物を質量分率5〜50重量%含む接着剤を使用してもよい。この場合、接着可能なポリマーは、一般式CH=C(R)(COOR)(式中、RはHおよびCHを含む群から選択された残基であり、RはHおよび1〜30個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキル鎖を含む群から選択された残基である)のアクリル酸化合物および/またはメタクリル酸化合物を40〜94重量%、少なくとも1つの酸性基、特にカルボン酸基および/またはスルホン酸基および/またはホスホン酸基を有する第1の共重合可能なビニルモノマーを5〜30重量%、少なくとも1つのエポキシド基または酸無水物官能基を有する第2の共重合可能なビニルモノマーを1〜10重量%、ならびに第1の共重合可能なビニルモノマーの官能基および第2の共重合可能なビニルモノマーの官能基とは異なる少なくとも1つの官能基を有する第3の共重合可能なビニルモノマーを0〜20重量%含むのが有利である。このような接着剤は、短時間で既に最終接着力に達する迅速な活性化により接着することができ、したがって全体としては、非極性の下地に良好に付着して結合することが保証される。
【0061】
特別な利点を提供するさらなる使用可能な反応性で熱活性化接着性の接着剤は、アクリレート含有のブロックコポリマーを40〜98重量%、樹脂成分を2〜50重量%、および硬化成分を0〜10重量%含むものである。樹脂成分は、接着力を上昇させる(接着性付与の)エポキシド樹脂、ノボラック樹脂、およびフェノール樹脂を含む群から選択される1種または複数の樹脂を含んでいる。硬化成分は、樹脂成分の樹脂を架橋するために使用される。このような配合物は、ポリマー中の強い物理的架橋により、全体として接着の負荷耐性を損なうことなく全体厚の大きい接着層を得られるという特別な利点を提供する。したがってこの接着層は、下地の凹凸を均すのに特に適している。そのうえこのような接着剤は、耐老化性に優れており、少ししかガス放出挙動を示さず、これは電子機器分野での多くの接着では特に望ましいことである。
【0062】
ただし原理的には既に上で言及したように、これらの特に有利な接着剤だけでなくその他のすべての熱活性化接着性の接着剤も、その時々の接着に関する要求プロファイルに対応して選択および使用することができる。
【0063】
したがって本発明の第1の態様は、このような平面要素を、熱伝導性の低い、つまり熱伝導率が高くても5W/mKの(これはつまり、接合部品の少なくとも表面がこのような低い熱伝導性でなければならないという意味である)少なくとも1つの接着基材に接着する方法に関する。これに関し接着基材の表面は、その大部分または一部に、セラミック素材、ポリマー素材、またはガラスを有することができる。家庭用電子機器の分野では、例えばしばしばポリ塩化ビニル、アクリルニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、およびさらにポリブチレンテレフタレート、またはこれらのプラスチックをベースとする混合物が使用される。これに加えてしばしば非導電性の薄い表面層、例えば酸化ケイ素または酸化アルミニウムをベースとする表面層も使用される。異なる接着基材を相互に接着する場合、これらの接着基材の表面は、同一の、類似の、または異なる材料で形成されていてよい。
【0064】
もちろん接着基材は、全体的に任意に適切に形成することができ、例えば少なくとも部分的には、平面要素の接着剤層を接着すべき均一に平らな表面を有することができる。しかし平面要素の表面は、規則的または不規則的に湾曲した形状でもよく、つまり接着基材が、立体的に3次元空間においてアーチ状に反った接着面を有している。
【0065】
本方法を実施するために、最初に前述の熱活性化接着可能な平面要素を用意する。その際、平面要素の形状は接着面の形状に適合されており、したがって平面要素は、例えば裁断物またはダイカットとして存在している。これは、平面要素の形状が、ある程度または厳密に、結合すべき部品の接着面の形状に、したがって接着接合部の側面形状に対応していることを意味する。このような平面要素の場合、典型的には、形状安定性および接着強度に関する要求が非常に高い。平面要素が接着面の幾何形状で提供されることにより、接着に必要な平面領域内でしか加熱が起こらないことが保証される。したがって熱による損傷の危険性をさらに効果的に減らすことができる。その際、平面要素の成形は、当業者に周知の成形のためのすべての分離方法により行うことができ、つまり例えば突き通し(型抜き)、ナイフ切断、ハサミ切断、レーザ切断、またはウォータージェット切断の原理に基づく分離として行うことができる。
【0066】
その際、平面要素の形状は、特に、接着面の開いた幾何形状に適合させることができ、したがって平面要素と少なくとも1つの接着基材の間の接着接合部は、閉じていない面として形成される。これには、面に穴をあけて穿孔状にした面が含まれ、基本的に線状の要素から構成され、したがって例えばくし構造または指構造を有する面も含まれる。その際、特に、個々の要素、とりわけ中心のリブ要素および分岐しているリブ要素の長さと幅の比(アスペクト比)が2を超えるくし構造または指構造が適している。
【0067】
これに加えまたはその代わりに、平面要素の接着領域の最小ストランド幅が(したがって平面要素自体の最小ストランド幅も)、3mm未満、またはそれどころか2mm未満であってもよい。このように最小ストランド幅の細い平面要素は、誘導加熱を用いたこれまでに知られている接着方法では簡単には接着することができない。熱活性化接着可能な平面要素が少なくとも1つの接着基材またはすべての接着基材と接触している加熱面が非常に小さく、つまり5cm未満である場合は、本発明による方法の使用が特に有利である。このように繊細な接着基材でも、本方法により接着剤の制御不能な溶融を回避することができる。
【0068】
結合するために、接着基材を熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と接触させ、したがって両方の側面の一方の一部または全面が接着基材の表面の一領域と接触するようにし、それにより予備複合体、つまり本来の最終結合の前に一時的に存在する複合体が形成される。
【0069】
この予備複合体を、最長20秒間、中周波の、つまり周波数が最低100Hz〜最高200kHzの交番磁界に曝し、これによりこの交番磁界内で誘導加熱する。この周波数の交番磁界は十分に適切な侵入深度を提供するので、1kHz〜40kHz、特に15kHz未満の周波数の交番磁界を使用することが好ましく、これにより、装置のためのコストをより多く必要とせずに、磁場の有効侵入深度を全体的に上昇させることができる。誘導加熱により、少なくとも1つの接着基材と接触している少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤が活性化され、これにより最終複合体(つまり接着により得られた、平面要素およびこの平面要素の側面と直接結合している少なくとも1つの接着基材から成る複合体)が形成される。この場合、十分に高い加熱速度、したがって高いプロセス速度をも保証するために、最長時間は20秒である必要がある。
【0070】
本発明による思想を実現するには、予備複合体が、誘導加熱中に少なくとも1MPa、好ましくはそれどころか少なくとも3MPaの圧力で加圧されることが絶対に必要である。この圧力は、熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と垂直に平面要素に作用する力または力成分を反映している。このように垂直に作用する力とは、平面要素の外側境界内で広がる面と垂直に平面要素に作用するあらゆる力である。したがって接着面が3次元空間内で立体的に形成されている平面要素の場合、力の作用は全体としては、平面要素の外側縁部間に広がる平面要素の仮想作用面と垂直であるが、実際の接着面の幾つかの領域内では、平面要素に作用する力の方向が局所的に垂直方向から逸れることもある。念のため指摘しておくと、作用する力は、その他に垂直に作用する成分も存在している限り、さらに作用面と垂直には作用しない成分も有してもよい。
【0071】
加えてこのプロセス操作の場合、さらなる有利な効果が生じる。すなわち室温では熱活性化接着性の接着剤層のポリマーマトリクス中に吸着されて存在している低分子化合物、例えば水または空気などのガスは、通常は接着剤が活性化温度に加熱されると脱離する。その際、脱離した低分子化合物は、接着剤層内で気泡の形で分散し、これにより接着剤は望ましくないことに発泡する。そのうえこの条件下での低分子化合物の遊離は、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤層が反応性接着剤を含み、この反応性接着剤中で熱により誘発された重縮合反応の形で架橋反応が進行する場合、さらに問題となる。この場合、架橋反応の副生成物として接着剤のポリマーネットワークから低分子化合物が分離され、この低分子化合物は、それぞれ選択された活性化温度ではガス状で、例えば水蒸気として存在する。
【0072】
このとき遊離されるガス状または液状の流体はかなりの量になる可能性がある。すなわち、コポリアミドをベースとする熱活性化接着性の接着剤は、例えば水を数パーセントの質量分率で含んでいることがあり、この水は高分子ネットワークに吸着されており、加熱すると部分的に遊離する。その際、接着剤中で発泡または気泡形成が起き、それにより接着剤の付着性および凝集性も全体的に低下する。したがってこれを回避する必要がある。
【0073】
熱活性化接着性の接着剤の場合、脱離または化学反応で生じるガス状の流体、例えば水蒸気による気泡形成は、0.2MPa超のプレス圧で回避されることが観察され、その際、高い架橋温度に対しては0.5MPa超の圧力が必要であることが分かった。つまり、本発明により使用される圧力がこの値より明らかに高ければ、付随的に接着剤層中での気泡形成が阻止される。ただし、低粘度の接着剤(例えば液状接着材料)および幾つかの低温で溶融する熱可塑性接着剤に関しては、0.2MPaを超える圧力の場合、接着剤が接着接合部から流れ出てしまうので、本発明による方法の一部の用途には場合によってはあまり適し得ないことを指摘しておく。
【0074】
原理的には、誘導加熱の際の加熱速度は任意に選択することができるが、最低2.5℃/s〜最高200℃/s、特に最低10℃/s〜最高100℃/sの加熱速度が有利であることが分かった。加熱速度の上限を抑えることにより、加熱速度と共に上昇する接着剤および/または接着基材の熱による損傷の危険性ならびに接着剤の制御不能な溶融のリスクが減少する。このような加熱速度の上限の抑制は、例えば、電流を通しにくい金属から成る導電層を使用する、つまり銅の代わりにアルミニウムを、それどころかアルミニウムの代わりにニッケルを使用することにより簡単に達成することができる。
【0075】
加熱速度の上限を抑えるさらなる簡単な方法は、導電層として、平面状に広がっておりその面の広がりにおいて不連続的に断絶されたまたは穿孔状の金属製形成物、つまり例えばエキスパンドメタル、ワイヤ織物、ワイヤ編物、ストリップ織物、ストリップ編物、ならびに穴またはスリットの開いた金属フィルムを使用することである。
【0076】
本発明によれば、接着のために、平面要素の接着面全体を同時に誘導加熱することができ、これは、特に隙間のない幾何形状を有する小さな接着面、例えば面積の小さな円形の接着面の場合に有意義であり得る。しかしその代わりに、平面要素の全接着面の一部だけを同時に誘導加熱することもでき、これは、特に開いた幾何形状を有する大きな接着面の場合に有意義であり得る。
【0077】
平面要素の全接着面の一部だけを同時に加熱する場合、これは例えば、インダクタおよびプレス装置の位置に対する予備複合体の位置を変えることによって達成することができる。すなわち予備複合体が小さい場合は、固定設置されたインダクタおよびプレス装置の構成の傍を予備複合体を連続的または不連続的に案内することが好ましく、しかし予備複合体が大きい場合は、固定された予備複合体の傍を、インダクタおよびプレス装置の構成を連続的または不連続的に案内してもよい。
【0078】
この相対運動により、時間的および空間的な加熱プロファイルが得られ、この加熱プロファイルのパラメータは、製造すべき最終複合体のそれぞれの幾何形状および最終複合体のその後の使用目的に対応して選択することができる。
【0079】
ところで、誘導加熱がそれぞれ平面要素全体を同時に加熱するように実施される場合、誘導加熱中のどの時点でも、加熱されている接着面が、平面要素の加熱されている領域の大部分を占めると、特に有利であることが分かった。これは、接着に寄与する領域のほかには、平面要素の接着に寄与しない領域がそれぞれ少ししか加熱されない場合である。その際、熱活性化接着可能な平面要素のうち、ある時点でその時々に誘導加熱される領域の面積(つまり平面要素のうち、その時々に同時に加熱される、接着の際に接着に寄与する領域および接着の際に接着に寄与しない領域)と、この領域内の接着面積(つまり平面要素のうち、その時々に同時に加熱される、接着に寄与する領域)の比率が、2:1未満、特に1.5:1未満、それどころか1.2:1未満であると有利である。つまり、平面要素のうち、その時々に同時に加熱される領域内で接着に寄与しない領域は、最大でも接着に寄与する領域と同じ面積であり、好ましくは接着に寄与する領域の面積の半分未満、それどころか5分の1にすぎない。
【0080】
熱活性化接着可能な平面要素が、唯一の熱活性化接着性の接着剤層しか備えていない場合、平面要素は、接着基材をさらなる接着基材とブリッジ状に結合するように、接着基材の表面に配置することができる。これに対し、熱活性化接着可能な平面要素が、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着剤層に加えて、さらなる熱活性化接着性の接着層を備えている場合は、誘導加熱の前に、予備複合体の熱活性化接着可能な平面要素のこのさらなる熱活性化接着性の接着層をさらなる接着基材と接触させることにより、予備複合体をさらなる接着基材と接触させることができる。
【0081】
この予備複合体では、さらなる熱活性化接着性の接着層とさらなる接着基材の間の結合を緩く、まだ非持続的にすることができ、この場合、このさらなる熱活性化接着性の接着層は、最終誘導加熱の際に、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着層と一緒に熱により活性化される。しかしその代わりにこの結合を既に持続的に固定することもでき、これは例えば、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着層が、さらなる熱活性化接着性の接着層とは異なっており、かつ少なくとも1つの熱活性化接着性の接着層の活性化温度が、さらなる熱活性化接着性の接着層の活性化温度より高い場合に実現することができる。その際、予備複合体を製造するには、最初にさらなる熱活性化接着性の接着層をさらなる接着基材と接触させ、こうしてできた平面要素とさらなる接着基材とから成る貼り付いていない予備予備複合体を、誘導的に動作しない加熱機構、例えば従来の炉、熱放射器、または接触加熱により加熱することができる。その際、予備予備複合体を、さらなる熱活性化接着性の接着層は既に熱により活性化されるが、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着層は活性化されない温度に加熱する。
【0082】
さらに、本発明による方法のステップの前に、または本発明による方法のステップの後に、または本発明による方法の2つのステップの間に、さらなるプロセスステップを実施することができる。例えば誘導加熱が終了してからも後プレス継続時間の間、例えば、熱により活性化される架橋反応の進行中に、または接着剤を冷却している間に接合部品を固定するために、つまり物理的または化学的な効果による接着接合部の強化を可能にするために、圧力を維持することができる。この後プレス継続時間中は、既に形成された最終複合体を加熱する必要はなく(したがってこの場合、後プレスのために、それ自体はインダクタを備えていないさらなるプレス装置を使用することができ、つまりさらなるプレス装置を使用することでサイクルタイムを短くすることができる)、または外部の冷却ユニットを用いて冷却することができ、または後プレス継続時間中の少なくとも一部で新たに、例えばさらなる誘導加熱の枠内で加熱することができる。この場合、接着接合部内の温度を維持することができ、その際、後加熱を、最初の加熱より低い加熱速度または低い温度で実施することができる。
【0083】
磁場を介して導入されるパワー仕事率は、様々なやり方で影響を及ぼすことができ、その際、原理的にはすべての適切な方法を使用することができる。したがって例えば、発生コイルを貫流する電流の強さを相応に適合させることができる。実際にはさらに、交番磁界を規則的に中断させて(間欠的に)駆動し、これにより交番磁界の実効作用時間に影響を及ぼすのが有利であることが分かった。この場合、交番磁界が「パルス状に」される、つまり周期的にオンおよびオフされる。典型的には、誘導加熱の際の交番磁界のパルス持続時間は1秒未満、特に0.1秒未満であり、2つのパルスの間の休止時間は1秒未満、特に0.1秒未満である。パルス状に間欠させた駆動により、非常に均質な加熱を達成することができ、かつ局所的な過熱を減少させまたはそれどころか完全に回避することができる。
【0084】
本発明による方法は、例えば家庭用電子機器、娯楽用電子機器、または通信用電子機器の分野の電子機器の(例えば携帯電話、PDA、ノート型パソコンおよびその他の計算機、デジタルカメラ、表示機器、例えばディスプレイ、電子書籍端末、または有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)用の、ならびに太陽電池モジュール、例えば電気化学的な色素太陽電池、有機太陽電池、または薄層電池用の)構成ユニットを接着するために用いることが好ましい。構成ユニットとは、本願では電子機器内で使用されるすべての構成要素および構成要素の集合体のことであり、例えば電子部品(個別のおよび集積された部品)、ハウジング部品、電子モジュール、アンテナ、表示パネル、保護スクリーン、未実装基板および/または実装基板、およびその類似物である。
【0085】
本方法は、誘導加熱のために一般的に使われているインダクタおよびプレス装置を用いて実施することができる。プレス装置としては、プレス圧を掛けるのに適したすべての装置を使用することができ、例としては不連続的に動作するプレス機、例えば空気圧式もしくは液圧式のプレス、偏心プレス、クランクプレス、トグルレバープレス、ねじプレス、またはその類似物であり、あるいは連続的に動作するプレス機、例えばプレスローラである。この装置は、独立したユニットとして提供することができ、あるいはインダクタと結合して存在していてもよい。例えば、第1のプレス工具として少なくとも1つのプレススタンプ要素を含む装置が用いられ、このプレススタンプ要素がさらに誘導加熱手段を備えていることが好ましい。これにより誘導場を、形成すべき接着部位の非常に近くに近づけることができ、したがって空間的にもこの接着部位の面に制限することができる。
【0086】
誘導加熱手段(インダクタ)としては、すべての一般的で適切な構成が考慮され、つまり例えば交流電流が貫流するコイル、導体ループ、または導体であり、これらは電流が流れることによって適切な強さの交番磁界を生成する。つまり加熱に必要な磁場強度は、相応の電流が貫流する相応の巻数およびコイル長の例えばポイントインダクタとしてのコイル構成によって提供することができる。このコイル構成は、フェロ磁性の磁心なしで形成することができ、あるいは例えば鉄または圧縮されたフェライト粉末から成る磁心を備えることもできる。こうして生成された磁場に予備複合体を直接曝すことができる。もちろんその代わりに、上記のコイル構成を、磁場伝達器(変圧器)の一次側の一次巻線として配置することも可能であり、この磁場伝達器の二次側では、二次巻線が対応してより高い電流を提供する。したがって予備複合体のすぐ近くに配置された本来の界磁コイルは、電流がより高いのでより少ない巻数を有することができ、これにより交番磁界の強さが低下することはない。
【0087】
次に、このような、少なくとも1つのプレススタンプ要素と、このプレススタンプ要素に組み込まれた少なくとも1つの誘導加熱手段とを備える、組み合わされた装置の一般的な実施形態を説明する。本発明の意味におけるプレススタンプ要素とは、定義された圧力を面に掛けることができるすべてのアセンブリを指す。プレススタンプ要素は、圧力を連続的に(例えばローラとして)または不連続的に(例えばプレスプランジャとして)掛けることができ、その際、掛ける圧力は、時間によって変化しなくても、また規定した時間的推移をたどってもよい。その際、この装置は少なくとも300N、特に少なくとも600Nのプレス力に適合されていなければならない。
【0088】
相応の圧力を掛けるために、少なくとも1つのプレススタンプ要素は、第2のプレス工具として対向支持体を必要とし、この対向支持体は、受動的に(例えば固定支持体として)形成することができ、あるいは例えばさらなるプレススタンプ要素として能動的に圧力の発生に寄与することができる。その際、少なくとも1つのプレススタンプ要素の表面は、接着部の達成すべき形状に対応して形成することができ、したがって例えば平坦なプレス面を、あるいは少なくとも部分的には3次元空間においてアーチ状に反ったプレス面を有することができ、つまり少なくともプレス面の1つまたは複数の部分領域内では3次元空間においてアーチ状に反っていることができる。その際、このアーチ状に反ったプレス面は、予備複合体のそれぞれの領域の形状と相補的に形成されていることが望ましい。
【0089】
対向支持体(つまり例えば固定支持体またはさらなるプレススタンプ要素)が、好ましくはフェリ磁性のヨーク部分、ならびにそれに加えてまたはその代わりにさらなる誘導加熱手段を備えることが有利である。両方とも同じ効果を示し、つまり磁場の侵入深度を上昇させ、これにより均一な加熱を提供し、したがって3次元空間において丸く膨らんでいても、接着面全体にわたって接着が均質に形成される。
【0090】
このようなヨーク部分は、例えばフェライトのような材料から形成することができ、このような材料は、さらなるプレススタンプ要素内に組み込まれ、磁場を局所的に引き付け、実際の接着領域に集中させ、したがって磁場の侵入深度を上昇させる。その際、このヨークは、例えばヨーク部分の形状を、達成すべき接着面の形状に適合させることにより、特に大きな侵入深度を必要とする領域内にだけ磁場を引き付けるように配置することができる。好ましくはフェリ磁性のこのようなヨーク部分を使用することにより、一方では加熱場の側面の広がりを制限し、しかしもう一方では結合すべき接着基材内への磁場の十分な侵入深度も提供し、したがって技術的に有意義な加熱速度が達成される。これにより特に、実質的に角のある小さな面で形成された幾何形状を有する接着も、高い均質性でしたがって高い強度で作ることができる。このような角半径5mm未満の角ばった接着構造は、従来の誘導加熱方法では、均一に過熱なく、したがってあまり破損なく生成することはできず、したがってこれまでに知られている接着は、一般的にはほぼ丸い、または少なくとも丸みの強い幾何形状を有している。
【0091】
さらに、接着接合部内で局所的に作用する交番磁界の増強を、さらなるプレススタンプ要素内のさらなる誘導加熱手段によって達成することもできる。そのためには、さらなる誘導加熱手段の交番磁界の位相位置を、少なくとも1つの誘導加熱手段の交番磁界の位相位置と同調させ、またはそれどころか同期させることが有意義であり、これにより磁場は相互に相殺されて弱まるのではなく、むしろ強化される。
【0092】
さらなる利点および適用可能性は、添付した図面に基づいて以下に詳しく説明する試験結果から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による原理を試験するために用いられた、本発明による方法を実施するための試験構造の概略的な縦断面図である。
【図2】達成された接着強度を、断続的に作用する交番磁界のパルス持続時間および交番磁界の作用時間に対して示す等値線図であり、個々の線図は、導電層の材料と層厚が異なる熱活性化接着可能な平面要素とに関して作成されたものである。
【図3】達成された接着強度を、断続的に作用する交番磁界のパルス持続時間および交番磁界の作用時間に対して示す等値線図であり、個々の線図は、導電層の層厚が異なる特に薄い導電層を備えた熱活性化接着可能な平面要素に関して作成されたものである。
【図4】熱活性化接着可能な平面要素に関し、達成された接着強度を、導電層の厚さおよび交番磁界の作用時間に対して示す等値線図である。
【図5】本発明による原理に関するさらなる試験で用いられた、本発明による方法を実施するための第2の試験構造の概略的な縦断面図である。
【図6】本発明による原理の規定通りの適合に関するさらなる実験で用いられた本発明による方法を実施するための第3の試験構造の概略的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
サンプル試験は、図1に概略的に示した構成で行った。このために、接着基材として幅20mm、長さ100mm、および厚さ3mmのそれぞれ2つのポリカーボネートプレート10(「ポリカーボネートバー」)を、様々な熱活性化接着可能な平面要素20を用い、本発明による方法に従って相互に接着し、その際、接着接合部では接着基材を10mmだけ重ね合わせ、したがって辺の長さが10mm×20mmの長方形の接着面を形成した。比較試験では、両方のポリカーボネートプレート10の一方を、面積が同じで厚さ1.5mmのアルミニウムプレートに取り替えた。
【0095】
熱活性化接着性の接着層としては、別に説明がなければ、ニトリルゴムおよびフェノール樹脂をベースとする接着剤を備えた熱活性化接着可能な接着テープを使用したが、この接着テープはtesa HAF 84xxの名称で様々な厚さのものが市販されている(この様々な厚さは、製品名のうち総称記号として表示された部分「xx」の実際の表示から分かる)。ここでは層厚30μmの接着層(tesa HAF 8405)および層厚60μmの接着層(tesa HAF 8410)を使用した。
【0096】
導電層のためのモデル構造として、定義された組成および層厚の金属フィルムを使用した。それぞれこの金属フィルムの各側面に接着層を100℃の温度でラミネートし、その結果、金属フィルムの両方の側面に同一組成の接着層を備えた両面で熱活性化接着可能な平面要素ができた。このラミネート温度では、接着剤中での化学的な架橋反応はまだ開始されず、接着層を金属フィルムに付着させ得るだけである。10μm〜50μmの範囲内の層厚について、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、および鋼(St1.4310)から成るフィルムを調査した。
【0097】
本接着方法は、IFF GmbH社、IsmaningのEW5Fタイプの誘導設備を改変したものを用いて実施した。ここでは、交番磁界を局所的に提供するためのインダクタとして、水冷式で電流が貫流する1つの導体だけから成る誘導場伝達器を用いた。この導体は、磁場伝達用変圧器の二次コイル側として使用され、同軸変圧器において一次コイル側で生成された伝達場と相互作用する。この誘導場伝達器をポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成るマトリクス内に埋め込み、こうして得られた構成を、プレス装置の下側のプレススタンプ要素40として使用した。予備複合体を熱活性化接着可能な平面要素の側面と垂直に加圧する下側のプレススタンプ要素40と上側のプレススタンプ要素30の間の押圧力は、それぞれ2MPaであった。
【0098】
試験のため、改変した誘導設備を用い、30%〜70%の範囲内のパルス幅で、10kHz〜30kHzの範囲内の周波数の交番磁界を生成した。パルス幅は、交番磁界の周期全体の時間(パルス持続時間と隣接する2つのパルスの間の休止時間の合計)に対する交番磁界のパルス持続時間(パルス長)の割合を百分率で示したものである。熱活性化接着可能な平面要素がパルス状の交番磁界に曝される時間(つまり誘導加熱時間)は、ここでは3秒〜9秒の範囲内であった。さらに、すべての試験が10秒の後プレス時間を加えて実施され、後プレス時間中は、接着剤の熱活性化の場合と同じ周波数の交番磁界内で、パルス幅20%(パルス持続時間と休止時間の比が1:4の場合に相当する)で後誘導加熱を行った。
【0099】
最初に、本発明による方法の原理が適切かどうかを調べるために、熱活性化接着性の接着層として、合成ゴムおよびエポキシド樹脂をベースとする接着可能な接着テープを使用した(tesa HAF 8863、厚さ50μm)。その他の実験で現実に即したモデル接着層として使用したニトリルゴム・フェノール樹脂接着テープでは、接着の際に重縮合反応において副生成物が生成され、この副生成物が、小さな押圧力では接着層を発泡させるが、合成ゴムおよびエポキシド樹脂をベースとする接着層ではそうはならない。したがってこの系は、それぞれのプロセス操作に応じて場合によっては起こりうる熱分解プロセスに関する情報を調べるのに特に適しており、その際、接着層の強い発泡が試験を損なうことはない。
【0100】
このために、厚さ36μmのアルミニウムフィルムのそれぞれの側面に、それぞれこの接着層の1つを100℃の温度でラミネートした。このように低いラミネート温度では、化学的架橋反応はまだ開始されず、接着層を金属フィルムに付着させ得るだけであり、これにより、両面で熱活性化接着可能な平面要素のための予備複合体の一種が得られる。
【0101】
続いて、改変した誘導設備を用いて誘導加熱を実施し、そのために周波数20kHz、パルス幅70%の交番磁界を9秒の間印加した。場合によっては起こる熱分解に対する押圧力の影響を調べるために、この一連の試験では同一の試料を様々な押圧力で加圧し、得られた接着を視覚的に評価した。掛けた押圧力は、0.2MPa、0.5MPa、0.8MPa、1MPa、2MPa、および3.5MPaであった。
【0102】
1MPa未満の押圧力で加圧した場合、誘導加熱の進行中に決まって接着層が黒っぽく変色した。このような黒ずみは特に、それぞれ調査した検査区域の縁部で観察され、接着層の熱分解が原因とされた。これに対し押圧力が1MPa以上の場合は、このような黒色化は認められなかった。つまり本発明による方法の使用により、誘導加熱中の接着層の熱による損傷の発生も阻止され、または少なくとも著しく低減されることが明らかである。
【0103】
さらなる試験では、得られた接着の品質に関するパラメータとして、様々な熱活性化接着可能な平面要素および様々なプロセスパラメータについてこのように得られた複合体の接着強度を求めた。このために、DIN 53283に準拠する動的引張せん断試験において、23℃で、試験速度1mm/minに対する接着強度をそれぞれ量的に決定した(単位はN/cm)。この調査の包括的な一連の試験の結果から選び出した代表的なものが、図2、図3、および図4の個々の線図に示されている。
【0104】
それぞれの個々の線図は等値線図を示しており、この等値線図では、誘導加熱時間(s)(横座標)およびさらなる値(百分率でのパルス幅(%)または導電層の層厚(μm);縦座標)に対してそれぞれ決定された接着強度(N/cm)が等値線として示されており、その際、それぞれの動的接着力の値は、該当する等値線(等力線)上に示されている。すべての等値線図において認められるのは、接着強度が一般的に、誘導加熱時間と共に、かつパルス幅または層厚が増大するにつれて上昇することである。
【0105】
図2には、導電層としての様々な金属フィルムに関する一連の測定が示されており、列は左から右に、アルミニウムから成る層、ニッケルから成る層、および鋼St1.4310から成る層を表しており、行は上から下に、この導電層の様々な層厚50μm、43μm、および36μmを表している。金属フィルムの2つの側面のそれぞれに、熱活性化接着性の接着層として厚さ60μmの両面接着可能に形成された接着テープ(tesa HAF 8410)をそれぞれラミネートした。それぞれ達成された接着強度が、接着中に断続的に作用する交番磁界のパルス持続時間(後処理は常に20%のパルス幅で行った)および交番磁界の作用時間に対して示されている。
【0106】
これらの試験では、磁性金属から成る導電層を使用する場合(ニッケルおよびSt1.4310の場合)、同じ層厚の非磁性のアルミニウムフィルムを使用する場合よりも有意に低い接着強度になることが示された。つまり磁性金属では、非磁性金属の場合より交番磁界の加熱パワーの吸収が低かった。この結果は意外である。なぜならもともとは、磁性金属を使用すると渦電流加熱と磁化反転損失による加熱が組み合わさって発生し、したがってより高い加熱速度を示すであろうと予測されていたからである。しかしながらこのことは実験によって証明できなかった。
【0107】
図3には、導電層としての薄い銅フィルムに関する一連の測定が示されており、その際、線図は左から右に、10μm、17.5μm、および25μmの層厚の銅フィルムに関して得られたものである。銅フィルムの2つの側面のそれぞれに、熱活性化接着性の接着層として厚さ30μmの両面接着性に形成された接着テープ(tesa HAF 8405)をそれぞれラミネートし、したがってこの一連の測定では、ラミネートにおける熱活性化接着性の接着層の厚さは一定である。導電層の層厚が増大するにつれてより高い強度が達成されることが観察されたが、これは、導電層によって吸収される交番磁界の加熱パワーが増加していると解釈される。
【0108】
図4には、導電層としての銅フィルムを備えた平面要素に関する等値線図が示されており、ここではすべての測定データにおいて、断続的に作用する交番磁界のパルス持続時間(パルス幅)は70%であった。したがって図4に示したデータは、図3の個々の線図の上縁に示されたデータの概要に相当する。この図から接着強度が導電層の厚さに依存していることが明らかなので、薄い熱活性化接着可能な平面要素により、短い加熱時間でも既に非常に高い接着強度を実現できることを認識することができ、この接着強度は、プロセスパラメータにより高い再現性で調整することができる。
【0109】
比較測定のために、熱活性化接着可能な平面要素として、厚さ60μmの熱活性化接着性の接着層(tesa HAF 8410)を導電層なしで使用した。この平面要素を用い、上述のポリカーボネートプレートの1つを同じ面積で厚さ1.5mmのアルミニウムプレートと接着させた。一方のポリカーボネートプレートをアルミニウムプレートと交換したのは、接着基材の十分に高い熱伝導性を保証するために必要だったことであり、つまり比較試験においては、接着剤の活性化に必要な熱を外部から加熱プレスにより予備複合体内に導入することができた(接触加熱方法)。活性化のために、予備複合体を2MPaの圧力下で5秒または10秒の間加熱した。こうして得られた複合体の接着強度は、加熱時間が5秒の場合で610N/cm、加熱時間が10秒の場合で640N/cmと決定された。
【0110】
図2、図3、および図4に示した結果と比較すると、比較試験は、本発明による方法を使用することにより従来の接触加熱方法においてと同じ接着強度の接着結合が作れることを証明している。この結果は意外である。というのも使用した平面要素では、平面要素の内部に配置された金属フィルムのせいで境界面が比較例より多く存在しており、通常はこの場合、例えば熱により接着剤から分解した生成物が金属フィルムの表面に集まり、それに伴って、いずれにせよ複合体の弱い面として形成されているこの境界面で金属フィルムから接着層が剥がれることにより、まさにこの境界面で複合体の特に激しい弱体化が観察されるからである。
【0111】
つまりこれらの例は、本発明による方法によって、従来の方法で得られる接着結合と少なくとも等価値の接着結合を作ることができ、インダクタと接着接合部の間の3mmの距離は問題なく乗り越えることができ、これに加えて10秒未満の接着時間が実現できることを示している。
【0112】
本発明による方法の課題は、接着の際の、特に電子部品の熱による損傷を回避することであった。本発明による方法が、原理的にこれに適しているかどうかを検査するため、さらなる試験では電子アセンブリのすぐ近くで接着を実施した。このために、図5に示した一般的な構造において、2つのポリカーボネートプレート10(「ポリカーボネートバー」)を、熱活性化接着可能な平面要素20を介し、本発明による方法に従い、下側のプレススタンプ要素30と、インダクタが組み込まれた上側のプレススタンプ要素40を使用して相互に接着させ、その際、両方のポリカーボネートプレート10の一方には、印刷されたアンテナおよびこのアンテナと結合されたRFIDチップを備えた、アンテナ構成を改変したRFIDラベル60(Rako社)を、接着面の縁とRFIDチップの間隔が5mmになるように固定した。この場合、RFIDラベル60の金属製の構成要素が、下側のプレススタンプ要素の誘導加熱手段を配置した領域の真上にならないように注意した。接着面を、70%のパルス幅で10秒の間誘導加熱し、こうして得られた複合体にも、上述の後処理を施した。
【0113】
接着後に、RFIDラベル(特にRFIDチップ)をその機能性について調査した。その際、RFIDラベルの機能性の低下は観察されなかった。これに対し、接触加熱方法によって得られた接着の場合、RFIDチップは読み出せなくなっていた。
【0114】
さらなる比較試験において、RFIDラベルを圧力下で誘導加熱し、それによって接着し、ただしインダクタとプレス装置を別々のユニットとして形成した。このさらなる試験では、たいていのRFIDチップは接着後にまだ読み出し可能であったが、読み出せなくなったRFIDチップの割合は、組み込まれた装置を使用した場合よりかなり大きかった。組み込まれた装置を使用した場合には、RFIDチップにはほとんど損傷がなかった。接着の際にRFIDチップが損傷するリスクが有意に低いのは、組み込まれた装置を使用した場合の磁場の空間的集中がより強いためと見なされた。
【0115】
上記の試験は、本発明による方法が、実際に損傷のない所望の接着を実現するのに適していることを証明している。
【0116】
最後にさらなる一連の試験で、プレス加熱装置の2つのプレススタンプ要素の一方中に配置されたフェリ磁性のヨーク部分の効率を調べた。試験構成は図6に概略的に示されている。
【0117】
層厚50μmのアルミニウムから成る導電層と、このアルミニウム層の両面にそれぞれ層厚60μmの2つの熱活性化接着性の接着層(tesa HAF 8410)とを備えた熱活性化接着可能な平面要素20を、上のポリカーボネートプレート10と下のポリカーボネートプレート11の間で接着させた。前述の試験とは異なりここでは接着の際に、誘導加熱手段(インダクタ)も含む下側のプレススタンプ要素40と直接接触している下のポリカーボネートプレート11の厚さに変化を付け、すなわち厚さが3mm、6mm、および9mmのプレートを使用した。さらに、上側のプレススタンプ要素30内に、長さ30mm、幅5mm、および高さも同様に5mmのフェライトから成るヨーク50をヨーク部分として組み入れた。このヨークは、接着接合部の真上に配置され、その際、接着接合部の長手軸をヨークの長手軸と一致するように位置合わせした。
【0118】
ここでも誘導加熱は上述の条件の下、2MPaのプレス圧で、加熱時間10秒および後処理を伴って行った。こうして得られた複合体をその接着強度について(それぞれN/cm)、DIN 53283に準拠する動的引張せん断試験において、23℃で、検査速度1mm/minで試験した。比較試験として、同じ条件下で接着が生成されたが、ただしこの試験で使用した上側のプレススタンプ要素30はヨークを備えていなかった。
【0119】
厚さが3mm、6mm、および9mmの下の接着基材に対し、ヨーク50を使用した場合は、接着強度がそれぞれ490N/cm、480N/cm、260N/cmと決定された。これに対して上側のプレススタンプ要素30がヨークを有さなかった場合は、接着強度がそれぞれ510N/cm、240N/cm、50N/cmと決定された。したがってヨークを使用しなかった場合には、達成される接着強度に対して下の接着基材の厚さがかなり大きく影響し、これに対しヨークを使用した場合はより低い作用が観察されたことが認められる。これは、プレス工具の上側の部品内にヨークがあることの有利な影響を示している。なぜならこの場合、肉厚の部品または立体的に曲げられた部品、つまり接着接合部とインダクタの間隔が非常に大きくなるか、または均一でない部品でさえも、均質に接着することができるからである。
【0120】
したがって上述の例示的な試験は、負荷に耐え得る接着を電子機器においても損傷なしに生成するための、本発明による方法および本発明による装置の優れた適合性を証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱活性化接着可能な平面要素を、熱伝導率が高くても5W/mKの接着基材と接着する方法であって、
少なくとも1つの導電層と、少なくとも1つの熱活性化接着性の接着層とを備えており、接着面の形状に合わせて裁断された形状を有する、熱活性化接着可能な平面要素を用意するステップと、
接着基材を熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と接触させ、これにより予備複合体を形成するステップと、
前記予備複合体を、周波数が最低100Hz〜最高200kHzの交番磁界内で最長20秒の間誘導加熱し、これにより最終複合体を形成するステップと、
を含む方法において、
前記予備複合体が、誘導加熱と同時に、少なくとも1MPa、特に少なくとも3MPaの圧力で熱活性化接着可能な平面要素の側面部分と垂直に加圧されることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
熱活性化接着可能な平面要素として、さらなる熱活性化接着性の接着層を備えた平面要素が用意され、誘導加熱の前に、予備複合体の熱活性化接着可能な平面要素の前記さらなる熱活性化接着性の接着層をさらなる接着基材と接触させることにより、予備複合体がさらなる接着基材と接触することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの導電層として、層厚が75μm未満、特に30μm未満、またはさらに15μm未満の層を使用する平面要素が、熱活性化接着可能な平面要素として用意されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
熱活性化接着可能な平面要素として、その形状が開いた接着面の幾何形状に適合されている平面要素が用意されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
熱活性化接着可能な平面要素として、最小ストランド幅が5mm未満、特に3mm未満、またはさらに2mm未満の平面要素が用意されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
接着基材として、3次元空間においてアーチ状に反った接着面を有する接着基材が使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
誘導加熱が終了してからも後プレス継続時間中は圧力が維持され、その際、最終複合体が、後プレス継続時間中の少なくとも一部で新たに誘導加熱されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
誘導加熱の際の加熱速度が、最低2.5℃/s〜最高200℃/s、特に最低10℃/s〜最高100℃/sであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
熱活性化接着可能な平面要素のその時々に同時に誘導加熱される領域と前記領域内の接着面の面積比率が、2:1未満、特に1.5:1未満、またはさらに1.2:1未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
誘導加熱と、少なくとも1つのプレススタンプ要素を備えた装置による加圧とが実施され、前記プレススタンプ要素が誘導加熱手段を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
電子機器の構成ユニットを接着するための請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプレススタンプ要素が誘導加熱手段を備えており、装置が少なくとも300N、特に少なくとも600Nのプレス力に適合されていることを特徴とする少なくとも1つのプレススタンプ要素を備えた装置。
【請求項13】
少なくとも1つのプレススタンプ要素が、少なくとも部分的には3次元空間においてアーチ状に反ったプレス面を有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
フェロ磁性、フェリ磁性、常磁性、もしくは反磁性の少なくとも1つのヨーク部分、またはさらなる誘導加熱手段を備えた、さらなるプレススタンプ要素を有することを特徴とする請求項12または13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509464(P2013−509464A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535724(P2012−535724)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065073
【国際公開番号】WO2011/051097
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】