説明

熱源装置、その熱媒流量の制御方法及び制御プログラム

【課題】熱媒を利用した熱源装置に関し、熱媒の流量測定をすることなく、被加熱流体側の熱需要に応じて熱媒流量の最適化を図るとともに、熱源装置の設置条件毎に特別な調整を施す必要がなく、また、熱源装置の使用状況等により、供給される熱媒に生じる差圧の変動に左右されずに安定した熱媒の供給を実現する。
【解決手段】連続的に供給される熱媒を熱源とする熱源装置に関し、熱媒の流量測定をすることなく、熱媒と熱交換をする被加熱流体側の要求熱量と、熱媒側の差圧、温度変化等の限られた熱交換情報を利用することにより、熱媒流量の最適化を図り、効率的な熱交換を実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水、加熱ガス等の加熱流体や、冷水、冷却ガス等の冷却流体の熱を熱源とする熱源装置に関し、特に、熱媒側の流量情報を参酌することなく、給湯需要に応じて熱媒の流れを制御する熱源装置、その熱媒流量の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱供給プラント、工場排気、その他の熱源器等、外部から提供される熱媒を熱源とする熱源装置として例えば、集合住宅や各種の施設等において、熱媒と被加熱流体との熱交換により間接加熱を行う所謂液々熱交換器を用いた熱源装置が知られている。外部から供給される加熱流体や冷却流体の熱を熱源に用いて熱媒を生成し、この熱媒を熱源とする各熱源装置へと供給すれば、熱の有効利用を図ることができ、新たな熱量を発生させないので、省エネルギ化を図ることができ、しかも、熱源装置側に加熱手段を設置することがないので、熱源装置側の設備の簡略化や設置スペースの削減に寄与するという利点がある。
【0003】
このような熱源装置に関し、外部から供給される熱媒を給湯、風呂の追焚、暖房等の熱源とし、その熱媒と上水とで熱交換をする構成において、給湯温度の調整をするミキシングバルブと熱交換器へ供給される上水の流量を調整する定流量弁の設置位置により給湯能力の無駄をなくすことについて、特許文献1の「給湯装置」がある。また外部から供給される熱媒を利用する熱交換ユニットについて、給湯時の要求温度に対する応答性を高めるために、熱交換器での熱媒温度を一定に保温することについて、特許文献2の「熱交換ユニット」がある。さらに熱媒供給型の熱交換を行う給湯器について、暖房運転中に風呂給湯を行う場合に上水が必要以上に加熱されることを防止する特許文献3の「給湯機」がある。また間接給湯について、水栓を開くことにより給湯側の上流と下流との間に生じる差圧に応じて熱媒流量を調整する特許文献4の「間接給湯装置」がある。
【特許文献1】特開平08−200806号公報(段落番号0006、0007)
【特許文献2】特開平11−281069号公報(段落番号0015、0016)
【特許文献3】特開2004−278960号公報(段落番号0014、0027〜0030)
【特許文献4】特開昭59−225244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱媒を複数の熱源装置に供給する場合では、熱媒供給能力等により各施設毎に供給熱媒量が制限されている。外部から熱媒の供給を受ける熱源装置では、その設置場所や稼動状況によって、各施設毎の熱媒供給循環路で熱媒に生じる差圧が変動し、それが熱媒流量を変動させる。このような熱媒流量の変動の抑制には、各熱源装置毎に例えば、定流量弁や機械式の比例弁等を使用し、熱媒供給量を規制する対策が取られる。
【0005】
しかし、定流量弁等を用いて熱媒流量を制御すると、熱媒供給循環路上での圧力損失が大きくなる等の不都合があり、熱媒を循環路に送り出す供給圧力が低い場合には、熱媒供給型の熱源装置が使用できない等の不都合もある。
【0006】
また、熱媒流量の制御手段に機械式の比例弁を用いる比例制御方式では、被加熱流体である上水の熱交換前の水温が考慮されずに一定量の熱媒を供給するため、例えば、上水の水温が高くなっても、水温が低い場合と同量の熱媒が熱交換器に供給されることになり、熱エネルギーの過剰供給等、熱媒供給側への負担を増大させてしまう。
【0007】
その他、複数の熱交換器に熱媒を供給する場合には、熱源である加熱手段の種類や熱媒を循環路に圧送するポンプ能力、熱媒を利用する施設の数等、熱源装置の設置条件により、熱媒に作用する圧力は一定にはならない。このため、熱源装置の設置時にその設置条件に適合させる調整は困難であり、また熱媒流路に流量計を設置して常に熱媒流量の制御を行えば、定流量弁を用いた場合と同様に流路抵抗を増大させることになる。
【0008】
斯かる課題について、既述の特許文献1〜4にその開示はなく、それを解決する手段や着想についての開示もない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、熱媒の流量測定をすることなく、被加熱流体側の熱需要に応じて熱媒流量の最適化を図ることにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、設置条件毎に特別な調整を施す必要がなく、熱源装置の使用状況等により、供給される熱媒に生じる差圧の変動に左右されずに安定した熱媒の供給を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、連続的に供給される熱媒を熱源とする熱源装置に関し、熱媒の流量測定をすることなく、熱媒と熱交換をする被加熱流体側の要求熱量と、熱媒側の差圧、温度変化等の限られた熱交換情報を利用することにより、熱媒流量の最適化を図り、効率的な熱交換を実現している。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第1の側面は、供給される熱媒を熱源に用いる熱源装置であって、前記熱媒と加熱すべき被加熱流体との間で熱交換させる熱交換手段と、前記被加熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段と、前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記被加熱流体の流量を検出する流量検出手段と、前記熱交換手段に供給される前記熱媒の流量を調整する流量調整手段と、前記熱交換手段の入側と出側との間の基準差圧における熱媒流量、前記流量調整手段の調整量を記憶する記憶手段と、前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度と、前記記憶手段にある前記熱媒流量及び前記調整量とにより、前記熱媒の流量を測定することなく、前記被加熱流体の要求熱量に対応する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御する制御部とを備える構成である。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0013】
この熱源装置において、好ましくは、前記制御部は、前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度とを用いて交換熱量を求め、この交換熱量から現在の熱媒流量を求め、かつ、前記基準差圧に対応する前記熱媒の差圧を求め、この差圧と前記被加熱流体側の要求熱量とにより目標熱媒流量を求め、この目標熱媒流量に対する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御する構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0014】
この熱源装置において、好ましくは、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記流量検出手段による前記被加熱流体の検出流量と、前記第2の温度検出手段による熱交換前の前記熱媒の検出温度と、前記被加熱流体の要求熱量に応じた熱媒流量とから熱交換後の前記熱媒の目標温度を算出し、その熱媒の目標温度と前記第1の温度検出手段による熱交換後の前記熱媒の検出温度との温度差が所定の範囲内になるように前記流量調整手段の調整量を制御する構成である。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第2の側面は、供給される熱媒を熱源に用いる熱源装置の熱媒流量制御方法であって、前記熱媒と加熱すべき被加熱流体との間で熱交換手段により熱交換させる処理と、前記被加熱流体の温度を第1の温度検出手段で検出する処理と、前記熱媒の温度を第2の温度検出手段で検出する処理と、前記被加熱流体の流量を検出する処理と、前記熱交換手段に供給される前記熱媒の流量を流量調整手段で調整する処理と、前記熱交換手段の入側と出側との間の基準差圧における熱媒流量、前記流量調整手段の調整量を記憶する処理と、前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度と、前記記憶手段にある前記熱媒流量及び前記調整量とにより、前記熱媒の流量を測定することなく、前記被加熱流体の要求熱量に対応する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御する処理とを含む構成である。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0016】
この熱源装置の熱媒流量制御方法において、好ましくは、前記制御処理は、前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度とを用いて交換熱量を求め、この交換熱量から現在の熱媒流量を求め、かつ、前記基準差圧に対応する前記熱媒の差圧を求め、この差圧と前記被加熱流体側の要求熱量とにより目標熱媒流量を求め、この目標熱媒流量に対する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0017】
この熱源装置の熱媒流量制御方法において、好ましくは、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記被加熱流体の検出流量と、前記第2の温度検出手段による熱交換前の前記熱媒の検出温度と、前記被加熱流体の要求熱量に応じた熱媒流量とから熱交換後の前記熱媒の目標温度を算出し、その熱媒の目標温度と前記第1の温度検出手段による熱交換後の前記熱媒の検出温度との温度差が所定の範囲内になるように前記流量調整手段の調整量を制御する構成である。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0018】
上記目的を達成するための本発明の第3の側面は、コンピュータにより実行され、供給される熱媒と加熱すべき被加熱流体との間で熱交換手段により熱交換させる熱源装置の熱媒流量制御プログラムであって、前記被加熱流体の温度を取り込むステップと、前記熱媒の温度を取り込むステップと、前記被加熱流体の流量を取り込むステップと、前記熱交換手段に供給される前記熱媒の流量を調整するステップと、前記熱交換手段の入側と出側との間の基準差圧における熱媒流量、前記流量の調整量を記憶するステップと、前記被加熱流体の検出流量と、熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、熱交換前後の前記熱媒の検出温度と、基準差圧における前記熱媒流量及び前記流量の調整量とにより、前記熱媒の流量を測定することなく、前記被加熱流体の要求熱量に対応する前記流量の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御するステップとを含む構成である。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0019】
この熱源装置の熱媒流量制御プログラムにおいて、好ましくは、前記制御ステップは、前記被加熱流体の検出流量と、熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、熱交換前後の前記熱媒の検出温度とを用いて交換熱量を求め、この交換熱量から現在の熱媒流量を求め、かつ、前記基準差圧に対応する前記熱媒の差圧を求め、この差圧と前記被加熱流体側の要求熱量とにより目標熱媒流量を求め、この目標熱媒流量に対する前記熱媒の調整量を求め、この調整量に前記熱媒の流量を制御する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0020】
この熱源装置の熱媒流量制御プログラムにおいて、好ましくは、熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記被加熱流体の検出流量と、熱交換前の前記熱媒の検出温度と、前記被加熱流体の要求熱量に応じた熱媒流量とから熱交換後の前記熱媒の目標温度を算出し、その熱媒の目標温度と熱交換後の前記熱媒の検出温度との温度差が所定の範囲内になるように前記熱媒の流量を制御する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0022】
(1) 被加熱流体側の要求熱量により熱媒の必要流量を制御することができ、効率的な熱交換を実現できる。
【0023】
(2) 給湯時等に各熱源装置毎に熱媒にかかる現在の差圧に応じた制御を行うので、熱源装置の設置時において、その設置環境に応じた特別な調整を行う必要がない。
【0024】
(3) また上記のように熱媒にかかる差圧を計測してそれに応じた制御を行っているので、熱源装置の使用中に差圧が変動しても熱源装置の能力を一定に保つことができる。
【0025】
(4) 熱媒を供給される各熱源装置毎に熱媒にかかる差圧に応じた制御を行うことで、全体として加熱手段に対する負荷を低減することができ、エネルギー効率を上げることができる。
【0026】
(5) 各熱源装置に供給される熱媒流量を一定にする定流量弁等の補助設備の設置が不要となるため、設備のコストを低減させることができ、また補助設備の設置により生じる循環路での圧力損失が少ないため、熱媒の圧送力が小さい場合であっても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1の実施の形態〕
【0028】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る熱源装置を用いる熱交換システムを示した図である。
【0029】
この熱交換システム2は、熱源である熱媒4を供給する加熱ユニット6を備えている。熱媒4は、温水、冷水、蒸気等の流体であって、熱交換に必要な熱量を備えている。熱媒4は、油や加熱ガスであってもよい。加熱ユニット6には、その燃料としてガス、電気、灯油、燃料電池等があり、その燃料をエネルギーとして熱媒4に変換する。
【0030】
加熱ユニット6には熱媒4を需要者側に効率的に循環させる主循環路8が接続され、この主循環路8は往管8Aと戻管8Bとを以て構成されており、往管8A及び戻管8Bの終端部には定流量弁10が接続され連結されている。加熱ユニット6には、図示しないが、熱媒4を主循環路8等に強制循環させるためのポンプが設置されている。
【0031】
主循環路8には、複数の分岐循環路81、82、83・・・8Nが分岐され、熱媒4が各分岐循環路81、82、83・・・8Nにより需要側に供給されている。この場合、分岐循環路81は往管81Aと戻管81B、分岐循環路82は往管82Aと戻管82B、分岐循環路83は往管83Aと戻管83B・・・分岐循環路8Nは往管8NAと戻管8NBで構成されている。各往管81A、82A、83A・・・8NA、各戻管81B、82B、83B・・・8NBには熱媒4の供給又は停止を切り換えるための開閉弁11が設置されている。分岐循環路81、82、83・・・8Nの単位は住戸や施設等であってもよい。この場合、分岐循環路81には、複数の分岐循環路811、812・・・・・81Nが分岐されている。往管811A、812A・・・・・81NA、戻管811B、812B・・・・・81NBにも、熱媒4の供給又は停止を切り換えるための開閉弁11が設置されている。
【0032】
そして、この場合、分岐循環路812の往管812Aと戻管812Bには熱媒4を熱源に用いる熱源装置20が接続され、この実施の形態では、熱媒4と上水Wとの熱交換により、給湯する構成である。
【0033】
斯かる構成によれば、熱源装置20に対する熱需要に応じて熱媒4から熱量の供給を受け、給湯の他、図示していないが、暖房用熱媒加熱や浴槽水加熱等が行われる。
【0034】
なお、循環路8の往管8Aの終端部側には排出弁12、循環路81の往管81Aの終端部側には同様に排出弁13が設けられ、循環路8の熱媒4を排出弁12を開くことにより廃棄することができ、また、循環路81側の熱媒4を排出弁13を開くことにより廃棄することができる。
【0035】
次に、熱源装置20の構成について、図2を参照して説明する。図2は、熱源装置20の構成例を示す図である。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0036】
この熱源装置20は、循環路の往管812Aを通ってきた熱媒4を熱源装置20の内部に循環させて熱交換を行い、その後循環路の戻管812Bへと排出する構成である。
【0037】
熱源装置20は、給湯加熱を行う熱交換器16及びその熱交換器16へと熱媒4を循環させる循環路812、及び上水Wを熱交換器16へと導く水管路26により構成されている。循環路812上には、熱媒4の熱交換前後の温度を検出する第2の温度検出手段として熱媒入温度センサ18及び熱媒出温度センサ22が設置されている。また循環路812の往管812A上には、熱交換器16への熱媒4の流量を調整する流量調整手段として熱媒制御弁24が設置されている。なお、流量調整手段については、熱媒制御弁24に限られず、ポンプ等を用いる構成としてもよい。
【0038】
また被加熱流体として例えば上水Wを流す水管路26上には、水制御弁28、バイパス管路30、バイパスミキシング弁32、流量検出手段として水量センサ34、上水側の温度を検出する第1の温度検出手段として入水温センサ36、出湯温センサ38、及び混合温センサ40を有している。そして、その他には、給湯量や熱媒4の流量制御等を行う制御部42(図3)が設けられている。バイパス管路30は、上水Wを熱交換器16の入り口側と出口側とに分流させるものである。水量センサ34は、上水Wの流量を検出し、入水温センサ36及び出湯温センサ38は、それぞれ熱交換前後の上水Wの温度を検出するものであり、混合温センサ40は、熱交換後の湯とバイパス管路30を通過してきた上水Wとを混合した後の出湯温度を検出する。そして各種センサで検出された検出値は、制御部42へと送られる。なお、上述した循環路812上及び水管路26上の各温度センサについては、例えばサーミスタ温度計を用いることができる。
【0039】
熱交換の動作については、例えば給湯栓が開状態になると、水管路26に上水Wが流入し、一定量の水量が流れたことを水量センサ34が検出すると熱媒制御弁24を開状態にし、熱交換器16において熱交換を開始する。そして熱交換により加熱された高温の湯は、バイパス管路30を通過してくる低温の上水Wと混合され、混合温センサ40の検出温度に応じてバイパスミキシング弁32の開度を制御して所望の温度に調整されて出湯する。
【0040】
次に、熱源装置の制御部について、図3を参照して説明する。図3は、制御部42の構成例を示す図である。なお、図3において図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0041】
熱源装置20の制御部42は、コンピュータにより構成されており、その内部はCPU(Central Processing Unit )44、記憶手段としてRAM(Random-Access Memory)46及びROM(Read-Only Memory)48、CPU44の動作タイミング及び各種時間計測を行うクロック50等が備えられている。ROM48には、流量制御プログラム300、熱媒流量及び弁開度の算出プログラム310、差圧計算プログラム320等の各種制御プログラムが格納されている。熱媒流量及び弁開度の算出プログラム310は、例えば、基準差圧が1〔kgf/cm2 〕における熱媒流量と流量調整手段の調整量に関するプログラムである。RAM46は記憶手段としてだけでなく、後述する差圧計算や流量制御に関する作業領域としても用いられ、その構成にはRAMの他、不揮発性メモリとして例えば、EEPROM等を用いてもよい。
【0042】
また制御部42は、各種検出回路からの検出値の取込みを行うI/F(Inter Face)52、A/D変換回路54、制御指令に対して熱源装置4の各部分への動作指令を行う駆動装置56、給湯温度設定等を行う外部リモコン58及び電源回路59との運転指令に関する送受信を行う送受信回路60等から構成されている。
【0043】
熱源装置20に設置された入水温センサ36、出湯温センサ38、混合温センサ40、熱媒入温度センサ18、熱媒出温度センサ22、水量センサ34からの検出信号は、I/F52から取込まれ、A/D変換回路54を通してディジタル信号に変換された後、CPU44に取込まれる。そしてROM48から各種制御プログラムを読込み、上記の検出値を用いて給湯号数演算、熱媒流量演算、差圧計算、熱媒流量補正演算等の制御処理を実行し、駆動装置56から各制御弁等に動作指令を送信する。またその計算値等をRAM46に記録して、次回の熱媒流量の制御等に用いることができるように構成されている。
【0044】
次に、給湯熱媒制御について、図4を参照して説明する。図4は、給湯熱媒制御のフローチャートである。
【0045】
熱源装置20の給湯熱媒制御は、熱媒4と被加熱流体である上水Wとの交換熱量を算出するとともに、循環路812上において熱媒4にかかる差圧を算出して、設定温度の湯を給湯するように熱媒4の流入量を変化させるため、流量調整手段の調整量として熱媒制御弁24の弁開度の制御を行うものである。
【0046】
給湯熱媒制御では、まず給湯需要が発生した場合、熱源装置20が給湯可能な状態か、例えば、異常停止状態となっていないか、運転ONの状態か、給湯温度異常のため給湯停止状態となっていないか等のチェックを行う(ステップS1)。そして給湯可能(ステップS1のYES)ならば、給湯栓が開かれることにより水量センサ34が上水Wの流水を検出したかをチェックする(ステップS2)。
【0047】
上水Wの流水を検出した場合(ステップS2のYES)、後述する給湯開始時の差圧計算により、熱源装置20の使用状態(図7)に応じて、ROM48に記録されている熱媒差圧の算出値、もしくは所定の基準差圧(例えば、1〔kgf/cm2 〕)に基づいて、予め規定されている熱媒流量(例えば、20〔L/min〕)が流れるように熱媒制御弁24を開いて給湯を開始し、熱媒差圧の計算を行う(ステップS3)。給湯を開始したら、給湯処理を終了しているか否かの判定として、再度上水Wの流水を検出したかの判断を行う(ステップS4)。
【0048】
上水Wの流水を検出した場合(ステップS4のYES)、給湯側の設定温度による必要給湯号数を算出し、ROM48に記憶されている必要給湯号数に応じた熱媒流量テーブルから目標給湯熱媒流量を決める(ステップS5)。なお目標熱媒流量の決定は、上記のように算出した必要号数を一定値ごとに区切ってテーブルを持つ以外に、必要給湯号数に応じて熱媒流量を細かく算出するようにしてもよい。
【0049】
ここで、上述した必要給湯号数と目標熱媒流量との関係を示すテーブルの一例を示す
【0050】
【表1】

【0051】
目標給湯熱媒流量が決定したら、現在の熱媒制御弁24の開度に設定されている目標熱媒流量とステップS5で算出された目標給湯熱媒流量とを比較して、目標熱媒流量が変更されたか否かを判断する(ステップS6)。その比較により、目標熱媒流量の変更(ステップS6のYES)である場合、熱源装置20に流入させる熱媒4の流量を調整するため、FF(フィード・フォワード)制御により熱媒制御弁24の開度の変更を行う(ステップS7)。FF制御では、ステップS3で測定した差圧と、ステップS5で算出した目標熱媒流量を用いて、熱媒制御弁24の開度を設定する。また、目標熱媒流量の変更でない(ステップS6のNO)場合には、後述するFB(フィード・バック)制御により、熱媒出温度センサ22による熱交換後の熱媒4の検出温度から、熱媒4に生じる差圧変動や給湯需要の変化等に応じて、流入する熱媒4の流量と目標熱媒流量とが一致するように熱媒4の流量調整を行う(ステップS8)。
【0052】
また、給湯が不可能な状態の場合(ステップS1のNO)や上水Wの流水が検出されない場合(ステップS2及びステップS4のNO)には、熱媒制御弁24を閉じる(ステップS9)。
【0053】
次に、差圧計算の方法を図5を参照して説明する。図5は、差圧計算のフローチャートである。
【0054】
既述のように熱源装置20に供給される熱媒4の差圧が設置条件等によって一定ではないことから、同一の弁開度であっても熱媒4の流量が異なる。そこで、循環路812上に流路抵抗となる流量計や差圧計等を設置せずに熱媒4の流量制御を行うため、熱媒4に生じる現在の差圧を算出する手段を説明する。まず循環路812に現在流れている熱媒4の流量を算出する(ステップS10)。具体的には、被加熱流体である上水Wの流量と熱交換前後の上水Wの温度とから熱交換により授受される交換熱量を求め、その熱量から熱媒4の流量を算出する。次に、熱媒4の差圧が基準差圧として例えば1〔kgf/cm2 〕における熱媒流量及び弁開度の算出プログラム310をROM48から読み出し、現在設定されている熱媒制御弁24の開度から、基準差圧の時の熱媒4の流量を求める(ステップS11)。そして、ステップS10、S11で求めた流量を用いて差圧計算プログラム320により、熱媒4にかかる現在の差圧を算出する(ステップS12)。
【0055】
ステップS10で説明した現在の熱媒流量の算出について、図6を参照して説明する。図6は、熱交換器16の構成を示した図である。図2と同一部分には、同一の符号を付してある。
【0056】
熱交換器16は、循環路812及び水管路26がプレート62の内部で熱交換を行うように構成されている。このような構成において、現在の熱媒流量は、プレート62での熱媒側の与熱量と給湯側の受熱量が等しいとして熱媒流量を求める。ここで、算出する現在の熱媒流量をRn〔L/min〕とし、各センサから検出可能な値として、水量センサ34による被加熱側の給湯流量をRq〔L/min〕、混合温センサ40による出湯温度をTsth〔℃〕、入水温センサ36による入水温度をTqin〔℃〕、熱媒入温度センサ18による熱媒入温度をTnin〔℃〕、熱媒出温度センサ22による熱媒出温度をTnqo〔℃〕とおくと、上記条件より、これら流量と温度は定常状態で安定していることになる。
【0057】
上記の条件より、熱媒と上水Wとの温度と流量の積算値が、
【数1】

となる。この式(1) から現在の熱媒流Rnを求めるように変形すると、
【0058】
【数2】

となり、現在、循環路812に流れている熱媒4の流量Rnを算出することができる。
【0059】
次に、図5のステップS12による現在の差圧の算出方法について、具体的に説明する。差圧の算出については、流体のエネルギー保存の法則である定常ベルヌーイの式を用いて、異なる2種類の差圧と流量との関係比を求める。即ち定常ベルヌーイの式より、
【0060】
【数3】

となる。この式でρは密度、uは流速、gは重力加速度、hは測定場所の高さ、Uは熱エネルギー(比熱×温度)、Pは圧力である。式(3) の左辺について各項は、第1項が運動エネルギー、第2項が位置エネルギー、第3項が内部エネルギー、第4項が圧力を表している。この流量制御においては、同一場所における差圧と流量変化を算出することが目的であるので、式(3) の第2項の位置エネルギーは無視することができる。また外部からのエネルギーの加減はないので、第3項も無視することができる。
【0061】
この状態において、大気をP0とし、差圧P1の時の流速がuで、差圧P2の時の流速をvとすると、それぞれの差圧に対して、
【数4】

及び、
【数5】

が成り立つ。また式(4) を変形すると、
【0062】
【数6】

となり、式(5) を変形すると、
【数7】

となる。流量及び圧力の比を取るために両辺をそれぞれ割ると、
【0063】
【数8】

となり、従って、
【数9】

となる。これを変形すると、
【0064】
【数10】

となることから、流速は差圧の比の平方根に比例することになる。
【0065】
流量と流速の関係は、流体における連続の式より、
【数11】

となる。ここでsは断面積である。同じ弁開度の条件において断面積は一定であることから、式(10)の両辺に断面積sをかけると、
【0066】
【数12】

が成立する。予め差圧が1〔kgf/cm2 〕での流量と弁開度のデータを測定して記録しておき、そのデータから流量Rとなる弁開度に設定した時に、実際に流れた流量がrとすると、その設置場所の差圧pは式(12)より、
【数13】

となるので、これを変形すると、
【数14】

となる。ここでRは目標熱媒流量、r は式(2) の被加熱流体側の流量等から求められる熱媒の流量Rn である。
【0067】
以上より設置場所の差圧pを求めることができ、また差圧pにおける各弁開度での流量は、式(10)より求めることができる。そして、給湯熱媒の流量制御は、例えばステッピングモータ等により、駆動する弁体の開度で制御しているので、必要とする熱媒流量は、計算で求めた差圧から開度、熱媒流量を決定する。即ち、式(13)、(14)から、基準差圧(例えば、1〔kgf/cm2 〕)のときの流量Rと差圧が分かっていれば、同じ弁開度で流れる流量rが分かる。
【0068】
次に、図4のステップS3で行われる給湯開始時の差圧計算について、図7を参照して説明する。図7は、給湯開始時の差圧計算のフローチャートである。
【0069】
まず、電源の初回投入時には、RAM46に熱媒流量制御に必要な差圧等の情報を有していないので、電源が初回投入であるか否かを判断する(ステップS13)。そして電源について初回投入の場合(ステップS13のYES)には、熱媒4の差圧を1〔kgf/cm2 〕であると仮定し(ステップS14)、熱媒制御弁24を開いて給湯動作を開始する(ステップS15)。給湯開始時には、給湯温度の応答性をよくするために、熱媒制御弁24の開度を要求号数に応じた流量ではなく規定熱媒流量(例えば、20〔L/min〕)が流れるように設定する。弁の開度は、既述のように、基準差圧として1〔kgf/cm2 〕の時の熱媒流量と熱媒制御弁24の開度との関係を示すプログラムに基づいて制御される。
【0070】
そして、差圧が1〔kgf/cm2 〕とした場合の現在の弁開度に対する熱媒流量と、上記式(2) を用いて算出した実際に流れている現在の熱媒流量から、式(14)を用いて、現在の差圧を算出し、RAM46に記憶する(ステップS16)。
【0071】
また、電源が初回投入でない場合(ステップS13のNO)には、前回の給湯終了から所定時間T(例えば、10分)が経過しているか否かを判断する(ステップS17)。前回の給湯終了から所定時間Tが経過している(ステップS17のYES)場合、RAM46に記憶されている前回算出した差圧pを読み出し、前記と同様に規定熱媒流量(例えば、20〔L/min〕)が流れるように熱媒制御弁24の開度を設定する(ステップS18)。差圧pにおける弁開度の設定は、既述の式(13)より、差圧p及び現在の熱媒流量rが分かっているので、差圧が基準差圧として1〔kgf/cm2 〕のときの流量Rを求め、その流量Rから弁の開度を求めることができる。熱媒制御弁24の開度を設定した後、現在の差圧を算出する(ステップS16)。
【0072】
前回の給湯終了から所定時間T(例えば、10分)が経過していない(ステップS17のNO)場合、給湯要求に対する応答性のロスを減らすために前回算出した差圧情報を利用し、規定熱媒流量(例えば、20〔L/ min〕)が流れるように熱媒制御弁24を開く(ステップS19)。この場合には、熱媒4の差圧状態に変化が少ないものとして、差圧計算は行わない。
【0073】
(FF制御について)
【0074】
上記ステップS7(図4)におけるFF制御について説明する。既述のように、供給される熱媒の差圧が異なれば一定の弁開度に対する流量が異なる。従って、熱媒4の流量から熱媒制御弁24の開度を決めるには現在の差圧を求める必要がある。ステップS7では、ステップS6の判断により目標熱媒流量が変更された場合に熱媒制御弁24の開度の変更を行うものである。即ち、上記のようにステップS15、S18、S19において、給湯開始時に所定の差圧(例えば基準差圧、又は前回計測の差圧)で給湯を開始した場合や給湯中の給湯量の変更等によって目標熱媒流量の変更があった場合に、FF制御により熱媒制御弁24の開度変更を行う。
【0075】
FF制御では、ステップS16において算出した熱媒差圧、及びステップS5で算出した目標熱媒流量により、式(14)を利用して制御を行う。即ち、式(14)のpを算出した熱媒差圧、rを現在の差圧での目標熱媒流量として、基準差圧1〔kgf/cm2 〕での熱媒流量Rを求めることができる。そしてROM48に記憶されている熱媒流量及び弁開度の算出プログラム310に基づいて、熱媒制御弁24の開度を制御する。
【0076】
(FB制御について)
【0077】
ステップS8の給湯熱媒流量のFB制御について、図8を参照して説明する。図8は、給湯熱媒流量のFB制御に関するフローチャートである。
【0078】
熱源装置20では、目標熱媒流量に応じた弁開度の調整や供給されてくる熱媒4への圧送力の変動等により、差圧が変動してしまい、ステップS3もしくはステップS7で設定された熱媒流量に変動が生じるため、FB制御を行う。
【0079】
FB制御では、熱交換で上水Wの受け取る熱量と、ステップS5で算出した目標熱媒流量と、熱交換前の熱媒4の温度とを用いて、目標熱媒流量で流れた場合の熱交換後の温度を目標値として算出し、その目標値と、熱媒出温度センサ22による検出温度とを比較して、熱媒流量の制御を行うものである。そこで、まず、式(1) より、熱媒4の熱交換後の温度である給湯熱媒出温度の目標値を算出する(ステップS20)。具体的には、式(1) を変形して、
【0080】
【数15】

とする。この式(15)より、熱交換による与熱量と受熱量が等しいとすれば、目標熱媒流量Rx、給湯流量Rq、熱媒入温度Tnin、目標出湯温度Tsth、入水温度Tqinは、一定である。なお、式(15)において、Rq×(Tsth−Tqin)の部分は、単位換算により給湯側の実号数を表す。
【0081】
そして、ステップS20で算出した給湯熱媒出温度の目標値と、熱媒出温度センサ22で検出した現在の給湯熱媒出温度とが一致するか否かを比較する(ステップS21)。現在の給湯熱媒出温度と目標値とが等しい(ステップS21のYES)場合、要求通りの熱媒流量で熱交換が行われているので、差圧計算をした後、その現在の差圧の算出値をRAM46に記憶して(ステップS22)、FB制御を終了する。
【0082】
現在の給湯熱媒出温度と目標値とが異なる(ステップS21のNO)場合、現在の給湯熱媒出温度が目標値よりも低いか否かの判断を行う(ステップS23)、現在の給湯熱媒出温度が目標値よりも低い(ステップS23のYES)場合、熱媒の入り温度と出温度との差が大きく、熱媒4の流量が少ないということであるので、熱媒4の流量を目標熱媒流量にするため、熱媒制御弁24を開いて流量を増加させる(ステップS24)。また、逆に現在の給湯熱媒出温度が、目標値よりも高い場合(ステップS23のNO)、熱媒流量を減らすために熱媒制御弁24を閉める(ステップS25)。
【0083】
FB制御では、式(15)から求められる目標値である目標熱媒出温度Tnqoを設定値とし、現在の給湯熱媒戻り温度を制御変数、熱媒制御弁24の弁開度を操作変数としてPI(Proportion Integral )制御を行う。なお、FB制御は、現在の給湯熱媒出温度と目標値とが等しくなるまで行う場合の他、偏差が所定値になった場合に終了する構成としてもよい。
【0084】
既述の熱媒流量制御について、図9を参照して説明する。図9は、熱媒流量制御のブロック図である。
【0085】
熱媒流量制御は、制御部42のコンピュータにより行われる。まず、外部リモコン等で設定された設定給湯温度200及び流量検出手段である水量センサ34、入水温センサ36の検出値により給湯号数演算処理202を行う。ここで算出された給湯号数に応じて、目標熱媒流量決定手段204がステップS5(図4)において目標熱媒流量を決める。この熱媒流量の決定では、例えばROM48等に記憶されている上記表1の目標熱媒流量決定用テーブル206を利用する。
【0086】
また水量センサ34では、ステップS2、S4(図4)における上水Wの流水判定207の他、給湯開始状態の判定208(例えば、ステップS13、S17)を行う。
【0087】
熱媒4の設定流量は、給湯条件切換手段209により設定される。給湯条件切換手段209は、給湯開始状態の判定処理208の結果に基づいて、目標熱媒流量決定手段204で決定した熱媒流量と初期設定流量210とを切り換える。即ち、熱源装置20の運転状態状態(例えば、図7のステップS13、S17)に応じて、給湯設定温度に応じた目標熱媒流量とROM48に記憶されている初期設定流量210とを切り換える。そして設定された熱媒流量に応じた熱媒制御弁24の開度演算212を行う。
【0088】
熱媒制御弁24の開度演算処理212では、熱媒4に生じる差圧状態に基づいて演算を行う。従って、例えば、ステップS13、S17(図7)の給湯開始状態判定処理208に応じて、差圧条件切換手段213により、差圧条件を1〔kgf/ cm2 〕214とRAM46等の差圧記憶部216に記憶してある差圧とを切り換えて開度の演算を行う。この場合、弁開度については、ROM48に記憶されている熱媒流量及び弁開度の算出プログラム310等の参照用テーブル218を用いる。
【0089】
次に熱媒流量のFB制御に関しては、入水温センサ36、混合温センサ40、水量センサ34の検出値から実給湯号数の演算222を行う。そしてこの実給湯号数、熱媒入温度センサ18による検出温度、目標熱媒流量等により給湯熱媒出温度の目標値の算出処理224を行う。そして流量制御プログラム300等に基づく給湯熱媒出温度判定手段226及び熱媒出温度センサ22により、熱媒制御弁24の開度補正228を行なう他、実熱媒流量の算出230を行なう。
【0090】
給湯開始状態の判定処理208や目標熱媒流量の決定処理204から、ステップS6(図4)で行われる目標熱媒流量の変更判定処理220が行われ、その判定結果に基づいて、流量制御切換手段231により、上記FF制御である熱媒制御弁開度演算212とFB制御である熱媒制御弁開度補正228とを切り換える。そして弁調整切換手段233により、熱媒制御弁24の開度制御を行うか否かを切り換える。弁調整切換手段233は、上水Wの流水判定207により、流量制御切換手段231による熱媒制御弁24の切替え制御と上水Wの流水停止等に基づく制御弁の閉データ232とを切り換える。
【0091】
また、上記目標熱媒流量の変更や熱媒制御弁の開度補正等をした場合には、実熱媒流量の算出処理230結果等から差圧算出処理234を行う。そして、算出された差圧を差圧記憶部216に記憶するか否かについて、差圧記憶判定処理235で判定され、その判定に基づいて差圧記憶処理切換手段236を切り換える。
【0092】
〔第2の実施の形態〕
【0093】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る熱源装置について、図10、図11を参照して説明する。図10は、熱交換システム2を示す図であり、図11は、熱源装置20の構成を示す図である。図10、図11において、図1、図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0094】
この実施の形態は、加熱ユニット6から圧送されてくる熱媒4を給湯の他、浴槽への給湯、暖房端末64の運転及び全自動風呂装置66の追焚に利用するようにした熱源装置20である。なお、暖房端末64は、例えば、高温用と低温用に分かれた構成として、高温側を浴室暖房乾燥機などに使用する構成としても良い。
【0095】
(浴槽給湯機能)
【0096】
この熱源装置20には、浴槽68への給湯機能として、水管路26から湯HWを浴槽側へと導く風呂用給湯路70が設置され、その風呂用給湯路70上には、浴槽68への給湯量を制御する注湯制御弁71、注湯量センサ72、水管路26への逆流を防ぐ逆止弁73、74が設けられている。浴槽68への給湯は、風呂給湯栓を開くと、第1実施形態と同様に、前述の給湯加熱した湯HWを水管路26から風呂用給湯路70へと導かれる構成である。
【0097】
(暖房運転機能)
【0098】
熱源装置20の暖房は、暖房用熱交換器76、暖房用熱交換器76へと熱媒4を導く暖房用循環路78、暖房用熱媒80を暖房端末64へと循環させる暖房熱媒循環路82、暖房用熱媒80を溜めるタンク84から構成されており、暖房用循環路78上には、熱媒4の流量を制御する熱媒制御弁86、熱交換後の熱媒4の温度を検出する熱媒出温度センサ87が設置されている。また暖房熱媒循環路82上には、熱交換後の暖房用熱媒80を溜めるタンク84、熱交換後の熱媒温度を検出する暖房熱媒出温度センサ88、暖房用熱媒80を循環させるポンプ90、低温往き温度センサ92、低温調整弁94が設置されている。また、タンク84には、暖房用熱媒80を補給するための給水路96が設けられており、その給水路96上には給水流量を制御する補水電磁弁98が設けられている。低温調整弁94は、タンク84から暖房端末64へと通じる暖房熱媒循環路82上に設置されており、低温往き温度センサ92による検出温度に応じて熱交換後の暖房用熱媒80とタンク84から導かれる暖房用熱媒80とを混合して温度を調整するものである。
【0099】
暖房端末64を運転状態にすると、ポンプ90が作動し、熱媒制御弁86が「開」状態となる。そして暖房端末64からの負荷に対し、暖房熱媒出温度センサ88による検出温度に基づいて熱媒制御弁86の開度を比例制御し、暖房の設定温度を保つように制御される。なお、給湯と暖房運転を同時に行う場合には、前述のステップS5(図4)の目標熱媒流量の算出に使用する必要給湯号数及び目標熱媒流量を示すテーブルの例として、以下の表2を使用してもよい。
【0100】
【表2】

【0101】
(全自動風呂66の追焚機能)
【0102】
熱源装置20の風呂追焚機能として、風呂用給湯路70の一部を共有して追焚循環路100を構成し、その追焚循環路100には、風呂戻り温度センサ102、水位センサ104、切換弁106、ポンプ流水スイッチ108、ふろポンプ110が設置されている。また浴槽水の追焚は、前記暖房熱媒循環路82を流れる暖房用熱媒80と熱交換を行うように風呂用熱交換器112が設置されている。風呂戻り温度センサ102は、浴槽68から追焚循環路100へと流入する浴槽水BWの温度を検出し、水位センサ104は、浴槽64内の水位を検出する。また切換弁106は、追焚と浴槽給湯とを切り換える。
【0103】
風呂の温度が設定されると、ふろポンプ110が始動し、浴槽68内の湯BWが追焚循環路100内に流れ、流量が一定以上になるとポンプ流水スイッチ108がON状態になる。そして追焚用の熱媒である暖房用熱媒80を風呂用熱交換器112へと循環させるためにポンプ90が始動し、暖房熱媒制御弁86を「開」状態にして浴槽水の追焚を行う構成である。
【0104】
このような構成において、熱媒4の差圧計算及び熱媒流量制御を行うことにより、第1の実施の形態で説明した通り、熱媒4の流量測定をすることなく、被加熱流体側の熱需要に応じて熱媒流量の最適化を実現することができる。また設置場所や使用状況等の条件ごとに熱源装置調整を施す必要がなく、さらに熱媒を共有する他の熱源装置の使用状況等に左右されず安定した熱媒の供給を行うことが可能となる。
【0105】
〔その他の実施の形態〕
【0106】
(1) 上記実施の形態では、FB制御において、熱媒4にかかる差圧が低い場合、熱媒制御弁24の弁開度を全開状態にしても設定流量が流れず、FB制御の停止条件にならない場合もあり得る。そこで、このような場合には、熱媒入温度と熱媒出温度とが所定時間T2(例えば、30秒間)継続して安定状態となっていることが検出されたら、差圧1〔kgf/cm2 〕の熱媒制御弁24の全開状態での流量Rと、実際の熱媒流量rから差圧を算出する構成としてもよい。
【0107】
(2) 上記実施の形態において述べたように、給湯使用中に、暖房機能を使用し、その使用状況等に応じて、給湯必要号数を再計算して、熱媒流量を切り替える構成としてもよい。これにより無駄に熱媒4を流さないので、コストの節約や省エネ及び加熱ユニットへの負荷を減らすことが可能となる。
【0108】
(3) 上記実施の形態の給湯開始時の差圧計算において、熱媒4が所定温度以下で安定している場合、算出される差圧が非常に大きな値となり、使用可能な熱媒流量を超えるおそれがある。そこで、そのような場合には、給湯開始時に差圧計算を行わず、FB制御で熱媒流量が目標流量となったときに差圧計算を行う構成としてもよい。
【0109】
(4) 上記実施の形態において、暖房単独運転時には、前回給湯使用時に計測した差圧を用いて暖房熱媒流量及び暖房弁開度制御を行う構成としてもよく、暖房機能と給湯機能の併用時には、給湯側で算出される差圧を使用して上記の制御を行う構成としてもよい。また電源投入後、停電復帰後、もしくは給湯熱媒弁のエラー解除後の給湯動作により差圧が計測されるまでは、1〔kgf/cm2 〕で暖房運転をさせる構成としてもよい。
【0110】
(5) 上記実施の形態において、暖房単独運転時にRAM46に記憶されている前回の給湯使用時の差圧で熱媒流量が最大となる弁開度に達しているにもかかわらず、暖房の設定温度に達しないとともに、暖房熱媒出温度が、暖房単独運転における最大流量を流したときの暖房熱媒出温度に達しない状態であり、熱媒入り温度、熱媒出温度、及び暖房往き温度が所定時間T3(例えば、30秒)の間安定していることが検出された場合、現在の差圧が前回の給湯使用時の差圧よりも低い状態であると判断して、熱媒制御弁86の開度を暖房単独運転時の熱媒最大流量開度よりも所定値(例えば、+5%)だけアップさせる構成としてもよい。
【0111】
(6) 上記実施の形態において、暖房熱媒循環路82を流れる熱交換後の暖房用熱媒80の暖房往き温度の目標温度を設定値とし、実際の測定温度を制御変数、熱媒制御弁86の弁開度を操作変数とするPI制御を用いて、暖房往き温度を熱媒流量でFB制御を行い、熱媒流量制御を行う構成としてもよい。
【0112】
(7) 上記実施の形態において、熱媒弁の開閉制御による暖房制御を行う場合、暖房側が無負荷に近い状態で制御を行うと、一定の弁開度に達したときに弁に振動音が発生することがある。そこで、熱媒制御弁86に前記の振動音が発生しない所定の最小開度を設定し、その最小弁開度と暖房用熱媒80の所定温度に基づいてON/OFF制御を行う構成としてもよい。即ち、熱媒制御弁86を前記最小開度にした場合であって、暖房往き温度が所定の暖房停止温度以上を所定時間(例えば、1分間)であることを検出した場合には、暖房をOFFにして熱媒制御弁86を閉じる。そして暖房往き温度が所定の暖房運転の開始温度未満になったら、暖房をONにして最小開度で熱媒制御弁86を開く構成としてもよい。また、熱媒制御弁86を前記の最小開度に移動させる際に、その移動速度が一定以上であると、前記のように振動による弁鳴り現象が生じ、さらに暖房往き温度のハンチング現象を引き起こす場合がある。そこで、熱媒制御弁86の閉動作において、最小開度から所定ステップ(例えば、+70ステップ)以下になったらPI制御の比例ゲインを減らし(例えば、元の1/3にする)、そして熱媒制御弁86の開動作において、最小開度から所定ステップ(例えば、+70ステップ)以上となったときには、比例ゲインを元に戻す構成としてもよい。
【0113】
(8) 上記実施の形態において、熱媒4と暖房用熱媒80との熱交換では、100%の熱交換がされても暖房用熱媒80の温度は、熱媒4の温度以上にはならない。そのため、暖房装置の設定温度に対して熱媒4の温度が低い場合には、熱媒制御弁86の開度を調整しても暖房の設定温度にならないおそれがある。また暖房単独運転時には、熱媒4の温度等から熱媒4の差圧を算出し、その差圧に応じて熱媒流量を増やす制御を行うので、上記のような場合には、要求温度にするために余分な量の熱媒4を流してしまうおそれがある。そこで、熱源装置20に供給されてくる熱媒4の温度が、予め定められている仕様温度よりも低い場合には、暖房の設定温度を熱媒4の測定温度よりも所定温度(例えば、−5℃)だけ低い温度にしかできない構成としてもよい。
【0114】
(9) 上記実施の形態において、給湯機能と暖房機能を同時に使用する場合、給湯側の余剰流量を暖房側に振り分けるように制御する構成としてもよい。
【0115】
(10)上記実施の形態において、制御基盤の電源保護のために、バイパスミキシング弁32や各熱媒制御弁の動作に用いられるステッピングモータについて、同時に動作可能なモータの個数を制限する構成としてもよい。また、この制限において、バイパスミキシング弁32については、給湯温度の調整を優先するために、常に動作可能とする構成としてもよい。さらに、上記の実施の形態(9) のように、給湯動作を優先させる場合には、熱媒制御弁24を熱媒制御弁86よりも優先して動作させる構成としてもよい。この構成の一例を表すと、熱媒制御弁24の動作中は、熱媒制御弁86の動作指令があっても給湯側を優先させる。また熱媒制御弁86の動作中に給湯指令が入ると、熱媒制御弁86の動作を中断して熱媒制御弁24を動作させ、熱媒制御弁24の動作完了後に熱媒制御弁86の動作を再開させる構成としてもよい。
【0116】
(11)上記実施の形態において、熱媒弁の固着防止のために所定条件に応じて原点検出処理を行う構成としてもよい。この原点検出処理は、差圧データを維持するものである。
【0117】
以上の通り、本発明の最も好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、熱媒流量を測定することなく、被加熱流体側の要求熱量に応じた最適な熱媒流量に調整でき、熱源装置の設置条件毎の調整の不要化、熱媒側の差圧変動による給湯流量等の変動がなく、効率的かつ安定した熱交換を実現することができ、各種の給湯熱源や暖房熱源等、各種の熱源装置として活用でき、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1の実施の形態に係る熱源装置を用いる熱交換システムを示す図である。
【図2】熱源装置の構成例を示す図である。
【図3】制御部の構成例を示す図である。
【図4】熱媒流量制御のフローチャートである。
【図5】差圧計算のフローチャートである。
【図6】熱交換器の構成例を示した図である。
【図7】給湯開始時の差圧計算のフローチャートである。
【図8】給湯熱媒流量のFB制御に関するフローチャートである。
【図9】熱媒流量制御のブロック図である。
【図10】第2の実施の形態に係る熱源装置を用いる熱交換システムを示す図である。
【図11】第2の実施の形態に係る熱源装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
6 加熱ユニット
8 主循環路
16 熱交換器
18 熱媒入温度センサ(第2の温度検出手段)
20 熱源装置
22 熱媒出温度センサ(第2の温度検出手段)
24 熱媒制御弁(流量調整手段)
26 水管路
34 水量センサ(流量検出手段)
36 入水温センサ(第1の温度検出手段)
38 出湯温センサ(第1の温度検出手段)
40 混合温センサ(第1の温度検出手段)
42 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される熱媒を熱源に用いる熱源装置であって、
前記熱媒と加熱すべき被加熱流体との間で熱交換させる熱交換手段と、
前記被加熱流体の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記熱媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記被加熱流体の流量を検出する流量検出手段と、
前記熱交換手段に供給される前記熱媒の流量を調整する流量調整手段と、
前記熱交換手段の入側と出側との間の基準差圧における熱媒流量、前記流量調整手段の調整量を記憶する記憶手段と、
前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度と、前記記憶手段にある前記熱媒流量及び前記調整量とにより、前記熱媒の流量を測定することなく、前記被加熱流体の要求熱量に対応する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
請求項1の熱源装置において、
前記制御部は、前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度とを用いて交換熱量を求め、この交換熱量から現在の熱媒流量を求め、かつ、前記基準差圧に対応する前記熱媒の差圧を求め、この差圧と前記被加熱流体側の要求熱量とにより目標熱媒流量を求め、この目標熱媒流量に対する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御することを特徴とする熱源装置。
【請求項3】
請求項1の熱源装置において、
前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記流量検出手段による前記被加熱流体の検出流量と、前記第2の温度検出手段による熱交換前の前記熱媒の検出温度と、前記被加熱流体の要求熱量に応じた熱媒流量とから熱交換後の前記熱媒の目標温度を算出し、その熱媒の目標温度と前記第1の温度検出手段による熱交換後の前記熱媒の検出温度との温度差が所定の範囲内になるように前記流量調整手段の調整量を制御することを特徴とする熱源装置。
【請求項4】
供給される熱媒を熱源に用いる熱源装置の熱媒流量制御方法であって、
前記熱媒と加熱すべき被加熱流体との間で熱交換手段により熱交換させる処理と、
前記被加熱流体の温度を第1の温度検出手段で検出する処理と、
前記熱媒の温度を第2の温度検出手段で検出する処理と、
前記被加熱流体の流量を検出する処理と、
前記熱交換手段に供給される前記熱媒の流量を流量調整手段で調整する処理と、
前記熱交換手段の入側と出側との間の基準差圧における熱媒流量、前記流量調整手段の調整量を記憶する処理と、
前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度と、前記記憶手段にある前記熱媒流量及び前記調整量とにより、前記熱媒の流量を測定することなく、前記被加熱流体の要求熱量に対応する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御する処理と、
を含むことを特徴とする熱源装置の熱媒流量制御方法。
【請求項5】
請求項4の熱源装置の熱媒流量制御方法において、
前記制御処理は、前記被加熱流体の検出流量と、前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記第2の温度検出手段による熱交換前後の前記熱媒の検出温度とを用いて交換熱量を求め、この交換熱量から現在の熱媒流量を求め、かつ、前記基準差圧に対応する前記熱媒の差圧を求め、この差圧と前記被加熱流体側の要求熱量とにより目標熱媒流量を求め、この目標熱媒流量に対する前記流量調整手段の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御することを特徴とする熱源装置の熱媒流量制御方法。
【請求項6】
請求項4の熱源装置の熱媒流量制御方法において、
前記第1の温度検出手段による熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記被加熱流体の検出流量と、前記第2の温度検出手段による熱交換前の前記熱媒の検出温度と、前記被加熱流体の要求熱量に応じた熱媒流量とから熱交換後の前記熱媒の目標温度を算出し、その熱媒の目標温度と前記第1の温度検出手段による熱交換後の前記熱媒の検出温度との温度差が所定の範囲内になるように前記流量調整手段の調整量を制御することを特徴とする熱源装置の熱媒流量制御方法。
【請求項7】
コンピュータにより実行され、供給される熱媒と加熱すべき被加熱流体との間で熱交換手段により熱交換させる熱源装置の熱媒流量制御プログラムであって、
前記被加熱流体の温度を取り込むステップと、
前記熱媒の温度を取り込むステップと、
前記被加熱流体の流量を取り込むステップと、
前記熱交換手段に供給される前記熱媒の流量を調整するステップと、
前記熱交換手段の入側と出側との間の基準差圧における熱媒流量、前記流量の調整量を記憶するステップと、
前記被加熱流体の検出流量と、熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、熱交換前後の前記熱媒の検出温度と、基準差圧における前記熱媒流量及び前記流量の調整量とにより、前記熱媒の流量を測定することなく、前記被加熱流体の要求熱量に対応する前記流量の調整量を求め、この調整量に前記流量調整手段を制御するステップと、
を含むことを特徴とする、熱源装置の熱媒流量制御プログラム。
【請求項8】
請求項7の熱源装置の熱媒流量制御プログラムにおいて、
前記制御ステップは、前記被加熱流体の検出流量と、熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、熱交換前後の前記熱媒の検出温度とを用いて交換熱量を求め、この交換熱量から現在の熱媒流量を求め、かつ、前記基準差圧に対応する前記熱媒の差圧を求め、この差圧と前記被加熱流体側の要求熱量とにより目標熱媒流量を求め、この目標熱媒流量に対する前記熱媒の調整量を求め、この調整量に前記熱媒の流量を制御することを特徴とする熱源装置の熱媒流量制御プログラム。
【請求項9】
請求項7の熱源装置の熱媒流量制御プログラムにおいて、
熱交換前後の前記被加熱流体の検出温度と、前記被加熱流体の検出流量と、熱交換前の前記熱媒の検出温度と、前記被加熱流体の要求熱量に応じた熱媒流量とから熱交換後の前記熱媒の目標温度を算出し、その熱媒の目標温度と熱交換後の前記熱媒の検出温度との温度差が所定の範囲内になるように前記熱媒の流量を制御することを特徴とする熱源装置の熱媒流量制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−255745(P2007−255745A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77880(P2006−77880)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】