説明

熱源装置及び暖房装置

【課題】熱エネルギの利用効率を高めることにある。
【解決手段】熱媒(温水HM1)を貯留手段(貯湯タンク4)に貯留して蓄熱させ、放熱負荷や放熱手段(低温暖房器52)を通過した熱媒(温水HM1)を貯留手段(貯湯タンク4)側に流す循環流量(L−L1 )と、分流路(24)側に流す循環流量(L1 )とに分配して両者を合流させ、貯留手段(貯湯タンク4)の貯留熱媒が持つ熱エネルギの利用を最小限にして放熱量を抑制することにより、熱エネルギを節減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水等の熱媒を溜めるタンク側で熱交換する熱源装置に関し、例えば、太陽熱源を利用する熱源装置及び暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内暖房等の各種暖房に用いられる熱源装置には燃料ガスや灯油等の燃焼熱に加え、熱源に太陽熱が利用される。熱源装置に太陽熱を用いることは自然エネルギを利用するので、熱エネルギの効率的な利用が図られ、炭酸ガスを排出することがない等、有益である。
【0003】
この熱源装置に関し、太陽熱給湯暖房装置として上水が供給される貯湯槽に第1及び第2の熱交換器が設置され、第1の熱交換器に太陽熱集熱器で集熱した熱媒を循環させて熱交換し、第2の熱交換器にボイラで加熱した温水の熱を熱交換することが知られている(特許文献1)。この太陽熱給湯暖房装置では、貯湯槽内の上水の加熱に太陽熱が利用され、加熱した上水が温水として供給される。また、ボイラで加熱した温水は暖房や浴槽追焚きに利用される。
【0004】
また、燃焼排気を熱源に用いる熱源装置では、熱媒の熱を第1の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換し、燃焼排気の潜熱を第2の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換する熱源装置や、熱交換装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−134432号公報
【特許文献2】特開2007−315700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
居住空間における暖房に関し、空調用暖房には高温(例えば、80〔℃〕)側熱源と、床用暖房には低温(例えば、60〔℃〕、40〔℃〕)側熱源の2系統が用いられる。太陽熱を利用するソーラーシステムでは、太陽熱の集熱で温められた温水を暖房に利用する場合、貯湯温水の温度が要求温度より低ければ、バーナの燃焼熱で要求温度まで加熱すればよい。また、貯湯温水の温度が要求温度より高ければ、その温水を暖房回路に循環させることができない。この場合、低い温度の水等の熱媒で温水温度を要求温度に低下させることが必要となり、その温水温度を要求温度まで低下させる分だけ熱エネルギの利用効率が低下する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、熱エネルギの利用効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱源装置又は暖房装置は、熱媒を貯留手段に貯留して蓄熱させ、放熱負荷や放熱手段を通過した熱媒を貯留手段側に流す循環流量と、分流路側に流す循環流量とに分配して両者を合流させ、貯留手段の貯留熱媒が持つ熱エネルギの利用を最小限にして放熱量を抑制することにより、熱エネルギを節減する。
【0009】
本発明の第1の側面である熱源装置は、熱媒が溜められる貯留手段と、放熱負荷に前記熱媒を循環させる循環路と、前記貯留手段の入側と出側との間の前記循環路に形成され、前記放熱負荷を通過した前記熱媒を分流して前記貯留手段の前記出側の前記熱媒に合流させる分流路と、前記放熱負荷を通過した前記熱媒を前記貯留手段に流す熱媒流量と、前記分流路に流す熱媒流量とに分配する流量分配手段とを備え、前記流量分配手段による前記熱媒の分配比率により、前記放熱負荷に流れる前記熱媒の温度を加減する構成である。
【0010】
また、本発明の第2の側面である暖房装置は、上記熱源装置と同一の構成を備えるとともに、放熱負荷として暖房用熱源である放熱手段を備えた構成である。
【0011】
斯かる構成によれば、放熱負荷又は放熱手段で放熱された熱媒の温度が所定温度より低い場合には、所定温度に到達させるために加熱する必要がある。貯留手段には熱媒が溜められており、その温度が所定温度より高ければ、その熱媒の熱を利用することができる。そこで、放熱負荷又は放熱手段を通過した熱媒を分流路に流す熱媒流量と、貯留手段に流す熱媒流量とに分配し、両者の分配比率を流量分配手段によって調整すれば、放熱負荷又は放熱手段に流す熱媒の温度を所定温度に制御することができる。この場合、熱媒の温度を所定温度に制御する場合に、流量分配手段による分配比率の調整により、貯留手段にある熱媒の利用量を最小限に最適化でき、貯留手段側の熱媒の熱エネルギを節減することができ、熱エネルギの利用効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
(1) 貯留手段に熱媒によって蓄熱された熱エネルギの利用が最小限に抑えられ、最適化できるので、熱エネルギの利用効率を高めることができる。
【0013】
(2) 貯留手段側の熱媒の温度と放熱負荷又は放熱手段で放熱された熱媒の温度とにより、熱エネルギの利用量を加減でき、設備コストの低減に寄与することができる。
【0014】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る暖房・給湯・追焚装置の一例を示す図である。
【図2】制御装置及びリモコン装置の一例を示す図である。
【図3】貯湯タンク切替弁の一例を示す断面図である。
【図4】貯湯タンク切替弁の切替え機能を示す図である。
【図5】貯湯タンク切替弁の制御位置及び制御内容を示す図である。
【図6】貯湯タンク切替弁による流量切替えを示す図である。
【図7】貯湯タンクを利用した低温暖房動作を説明するための図である。
【図8】貯湯タンクを利用した低温暖房動作を示すフローチャートである。
【図9】貯湯タンクを利用した低温暖房動作を説明するための図である。
【図10】貯湯タンクを利用した高温暖房動作を説明するための図である。
【図11】貯湯タンクを利用した給湯動作を説明するための図である。
【図12】貯湯タンクを利用した注湯動作を説明するための図である。
【図13】貯湯タンクを利用した追焚動作を説明するための図である。
【図14】集熱動作を説明するための図である。
【図15】集熱動作を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係る暖房・給湯・追焚装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
【0017】
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、暖房・給湯・追焚装置を示す図である。図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0018】
この暖房・給湯・追焚装置2は熱源装置又は暖房装置の一例である。この暖房・給湯・追焚装置2には、第1の熱媒体として温水HM1を溜める貯湯タンク4と、温水HM1を循環させる循環路6とが備えられている。貯湯タンク4は、温水HM1を溜める貯留手段の一例であるとともに、温水HM1を以て蓄熱する蓄熱手段の一例でもある。
【0019】
貯湯タンク4には、温水HM1の加熱手段として太陽熱集熱回路8が設置されている。この太陽熱集熱回路8は、熱源に太陽熱を利用して集熱し、第2の熱媒体として温水HM2を循環させ、その熱を温水HM1に熱交換する手段の一例である。この太陽熱集熱回路8には、集熱パネル10、熱交換部としての太陽熱用熱交換器12、集熱ポンプ14、ソーラー切替弁16、バイパス路18が備えられている。集熱パネル10は、太陽熱を集熱し、その熱を温水HM2に熱交換する熱交換手段の一例である。集熱パネル10に代え、燃焼熱や排熱を利用した熱源を用いてもよい。太陽熱用熱交換器12は、温水HM2の熱を温水HM1に熱交換する手段の一例である。集熱ポンプ14は、温水HM2に太陽熱を熱交換する際や、温水HM2を温水HM1に熱交換する際に用いられる温水圧送手段の一例である。バイパス路18はソーラー切替弁16を介して太陽熱集熱回路8を分岐させ、太陽熱用熱交換器12の側路であって、温水HM2の温度が低い場合に温水HM2を循環させる。集熱パネル10の入側には温度センサ20、集熱パネル10の出側には温度センサ22が設置され、温度センサ20の検出温度T1が太陽熱用熱交換器12による温水HM2の熱交換前の温度、温度センサ22の検出温度T2が熱交換後の温水HM2の温度であり、これらの検出温度がソーラー切替弁16の切替えによるバイパス路18の開閉や集熱ポンプ14の制御に用いられる。
【0020】
循環路6には、分流路24と、循環ポンプ26と、温水HM1を加熱するための一次熱交換器28と、二次熱交換器30とが備えられ、温水HM1の熱を利用する手段として低温暖房回路32、高温暖房回路34、給湯回路36、追焚回路38が備えられている。
【0021】
分流路24は、貯湯タンク4の入側と出側との間の循環路6に連結された管路であって、温水HM1を分流して貯留タンク4の出側の温水HM1に合流させる手段の一例である。循環路6と分流路24との分岐点には貯湯タンク切替弁40が設置され、この貯湯タンク切替弁40は、貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路24に流れる温水流量とに分配する流量分配手段の一例である。貯湯タンク切替弁40の入側の循環路6には温度センサ42、貯湯タンク4の出側付近には温度センサ44が設置され、これらの検出温度T3、T4が貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路24に流れる温水流量との分配比率の設定や制御に用いられる。温度センサ44は熱媒である温水HM1の温度を検出する第1の温度センサ、温度センサ42は負荷側から循環路6に戻る温水HM1の温度を検出する第2の温度センサである。
【0022】
循環ポンプ26は、温水HM1の圧送手段の一例であって、温水HM1の熱利用や一次及び二次熱交換器28、30による加熱の際等に駆動され、循環路6に温水HM1を循環させる。
【0023】
一次熱交換器28は、燃料ガスの燃焼手段の一例として設置されたバーナ46の燃焼排気から主として顕熱を温水HM1に熱交換する第1の熱交換手段である。二次熱交換器30は、バーナ46の燃焼排気から主として潜熱を温水HM1に熱交換する第2の熱交換手段であって、温水HM1の予備加熱に用いられる。一次熱交換器28の出側の循環路6には温度センサ48、二次熱交換器30の出側の循環路6には温度センサ50が設置され、これらの検出温度T5、T6がバーナ46の燃焼制御に用いられる。
【0024】
低温暖房回路32は、循環路6の二次熱交換器30の出側と貯湯タンク切替弁40の入側とから分岐され、低温暖房器52に低温側の温水HM1を循環させる管路である。低温暖房器52は、温水HM1の第1の放熱負荷又は放熱手段の一例であって、例えば、床暖房器である。
【0025】
高温暖房回路34は、循環路6の一次熱交換器28の出側と貯湯タンク切替弁40の入側とから分岐され、高温暖房器54に高温側の温水HM1を循環させる管路である。高温暖房器54は、温水HM1の第2の放熱負荷又は放熱手段の一例であって、例えば、温風暖房器である。
【0026】
給湯回路36は給水Wを温水HM1で加熱して温水HWとして出湯する管路であって、この実施の形態では、給湯用熱交換器56と、二次熱交換器58と、バイパス路60とを備える。給湯用熱交換器56は、温水HM1の熱を給水Wに熱交換する熱交換手段である。この給湯用熱交換器56は、給湯用熱交換手段の一例であって、循環路6に高温分配弁62を介して分岐された循環路6Aに設置され、循環路6Aを通して温水HM1が循環する。二次熱交換器58は、既述のバーナ46の燃焼排気から主として潜熱を給水Wに熱交換する手段であって、給水Wが常温の上水であれば、効率よく潜熱を給水Wに熱交換することができる。この予備加熱された給水Wには、給湯用熱交換器56により温水HM1の熱が熱交換され、高温の温水HWが得られる。バイパス路60は、この温水HWに上水Wをミキシングする手段であって、図示しないミキシング弁を用いて高温の温水HWを適温化することができる。給湯回路36の上水Wの入側には温度センサ64、温水HWの出湯側には温度センサ66が設置され、これらの検出温度T7、T8等が出湯温度の制御としてバーナ46の燃焼制御やバイパス路60側への給水Wとのミキシング比率の制御に用いられる。
【0027】
追焚回路38は、温水HM1の熱を浴槽68にある浴槽水BWに熱交換し、浴槽水BWを入浴に適する温度に昇温する手段の一例である。この追焚回路38は追焚用熱交換器70と、追焚ポンプ72とを備える。追焚用熱交換器70は、温水HM1の熱を浴槽水BWに熱交換する熱交換手段の一例であって、循環路6に高温分配弁62を介して分岐された循環路6Bに設置され、循環路6Bを通して温水HM1が循環する。追焚ポンプ72は、追焚時、浴槽水BWを浴槽68から追焚用熱交換器70を通して浴槽68に循環させる手段である。追焚回路38の浴槽68の出側には温度センサ74が設置され、その検出温度T9が追焚制御に用いられる。
【0028】
この追焚回路38と給湯回路36との間には注湯回路76が接続され、この注湯回路76は、注湯電磁弁78を介して給湯回路36と追焚回路38とを連結している。注湯電磁弁78は、上水W側と浴槽水BWとを絶縁する手段の一例である。
【0029】
循環路6の設置エリアには温度センサ80が設置され、この温度センサ80によって外気温度T10が検出される。
【0030】
そして、これら検出温度T1〜T10は制御情報として制御装置82(図2)に取り込まれ、集熱ポンプ14、循環ポンプ26、追焚ポンプ72の駆動やバーナ46の燃焼が制御装置82(図2)の駆動出力によって制御される。
【0031】
この制御装置82について、図2を参照する。図2は、制御装置を示す図である。図2に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0032】
この制御装置82は、コンピュータによって構成されており、CPU(Central Processing Unit )84、ROM(Read-Only Memory)86、RAM(Random-Access Memory)88、タイマ90、カウンタ92等を備える。CPU84はROM86にある制御プログラムを実行し、検出温度等を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。RAM88はプログラムの実行エリアを構成する。タイマ90は計時手段の一例であって、時間制御のための時間情報を生成する。カウンタ92は、計数可能な検出情報を計数し、また、アナログ情報であってもディジタル化された情報を計数する。
【0033】
この制御装置82には、リモコン装置94が有線又は無線により接続されている。リモコン装置94は、ユーザの操作装置であって、制御部96と、操作部98と、表示部100とを備え、ユーザの生活エリアに設置される。
【0034】
制御部96は、操作部98からの操作入力を受け、その操作能力に基づく制御情報を制御装置82に通知する。操作部98はキーボードやタッチセンサ等で構成される。制御部96はコンピュータによって構成されており、CPU102、ROM104、RAM106等を備える。CPU102はROM104にある制御プログラムを実行し、制御出力を発生する。RAM106はプログラムの実行エリアを構成する。この制御部96は制御装置82と連係し、制御装置82に対する制御命令を出力し、制御装置82からの出力情報を受け、制御状態等を表す提示出力を表示部100に提供する。
【0035】
表示部100は制御部96の表示制御に基づき、制御部96から提供される提示出力に基づく視認可能な表示を行う。
【0036】
次に、貯湯タンク切替弁40について、図3、図4、図5及び図6を参照する。図3は、貯湯タンク切替弁の一例を示す断面図、図4は、切替弁の切替機能を示す図、図5は、制御位置と弁の開閉を示す図、図6は、制御位置と流量比率を示す図である。
【0037】
この貯湯タンク切替弁40は、既述の通り、循環路6と分流路24との分岐点に設置される流路切替手段である。この貯湯タンク切替弁40には、図3に示すように、弁本体108に入側ポート110、第1及び第2の出側ポート112、114が備えられている。入側ポート110には低温暖房器52側の循環路6が接続され、出側ポート112には貯湯タンク4側の循環路6が接続され、また、出側ポート114には分流路24が接続されている。この弁本体108の弁室116には弁118が回転可能に設置され、その弁軸120には駆動モータ122が取り付けられている。
【0038】
この貯湯タンク切替弁40は、図4に示すように、弁118の制御位置A、B、C、Dの切替ポイントを備え、制御位置A、Dがリミット位置であり、角度θは、弁118の回転角度を示している。各制御位置A、B、C、Dに対し、図5に示すように、制御位置Aでは貯湯タンク4側に全開、制御位置Bでは貯湯タンク4側:分流路24側=1:1の開度、制御位置Cでは貯湯タンク4側:分流路24側=1:2の開度、制御位置Dでは貯湯タンク4側が全閉となる。
【0039】
このような開度の切替えにより、図6に示すように、制御位置A、B、C、Dに対し、貯湯タンク4側と分流路24側との流量比率となり、Lは温水HM1の全流量、L1 は分流路24側に分流する温水HM1の流量、L−L1 は貯湯タンク4側に分流する温水HM1の流量である。
【0040】
次に、この暖房・給湯・追焚装置2について、貯湯タンク4の温水HM1を利用する低温暖房動作、高温暖房動作、給湯動作、浴槽注湯動作、浴槽水追焚動作を説明し、温水HM1を加熱のための集熱動作を説明する。
【0041】
(1) 低温暖房動作
【0042】
この低温暖房動作について、図7、図8及び図9を参照する。図7は、低温暖房における温水HM1の循環を説明するための図、図8は、低温暖房における貯湯タンク切替弁40の切替動作を示す図、図9は、低温暖房における温水HM1の他の循環を説明するための図である。
【0043】
この低温暖房動作では、図7に太線で示すように、低温暖房器52に循環させて低温化した温水HM1に貯湯タンク4にある高温の温水HM1を混合し、低温暖房器52に要求温度の温水HM1を循環させる。
【0044】
この低温暖房動作の処理手順は、図8に示すように、検出温度T3と検出温度T4とを比較する(ステップS11)。検出温度T3は、温水HM1の低温暖房器52の出側温度であり、検出温度T4は、貯湯タンク4の温水HM1の温度である。温水HM1の検出温度T4が検出温度T3より高ければ(T4>T3)、温水HM1の加熱に貯湯タンク4の温水HM1を利用できる。
【0045】
そこで、T4≦T3であれば(ステップS11のNO)、貯湯タンク4の温水HM1を利用する必要がないので、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を全閉とする(ステップS12)。
【0046】
T4>T3であれば(ステップS11のYES)、貯湯タンク4の温水HM1を利用することが可能なので、低温暖房単独運転であるか否かを判定する(ステップS13)。低温暖房単独運転でなければ(ステップS13のNO)、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を全開とする(ステップS14)。この場合、分流路24を利用しない。
【0047】
低温暖房単独運転であれば(ステップS13のYES)、貯湯タンク4の温水HM1の検出温度T4が低温暖房要求温度Tf以上(T4≧Tf)であるか否かを判定する(ステップS15)。T4<Tfであれば(ステップS13のNO)、貯湯タンク4の温水HM1のみでは低温暖房運転に利用できないが、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を全開とする(ステップS14)。
【0048】
T4≧Tfであれば(ステップS15のYES)、バーナ46の燃焼は不要となり、貯湯タンク切替弁40の弁開度を調整し、低温暖房要求温度Tfになるよう貯湯タンク4から提供される温水HM1と、低温暖房器52からの戻り温水HM1とをミキシングする(ステップS16)。
【0049】
貯湯タンク4から提供される温水HM1と、低温暖房器52からの戻り温水HM1との混合比率は、
a)貯湯タンク4側の流量:分流路24側の流量=1:0
b)貯湯タンク4側の流量:分流路24側の流量=1:1
c)貯湯タンク4側の流量:分流路24側の流量=1:2
d)貯湯タンク4側の流量:分流路24側の流量=0:1
の4パターンである。なお、これは一例であり、パターンを増やしたり、割合を変えてもよい。
【0050】
この場合、低温暖房単独以外(ステップS13のNO)及び、T4<Tfの場合には(ステップS15のNO)、貯湯タンク切替弁40での調整制御ではなく、燃焼制御(図9)に切り替える。即ち、バーナ46により燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱の潜熱又は顕熱により、温水HM1を加熱するので、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側全開とする(ステップS14)。T4≦T3の場合には、蓄熱無しと判断し、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側全閉とする(ステップS12)。
【0051】
ここで、貯湯タンク切替弁40に循環路6から流入する温水HM1の流量をL、分流路24に分流する温水HM1の流量をL1 、貯湯タンク4に流れる温水HM1の流量を(L−L1 )、T3を貯湯タンク切替弁40に流入する温水HM1の検出温度、T4を貯湯タンク4の温水HM1の検出温度、Tfを低温暖房要求温度とし、流量Lに対する流量(L−L1 )を温度T3、T4、Tfで表すと、
(L−L1 )/L=1−L1 /L
=1−(T4−Tf)/(T4−T3)
=(T4−T3−T4+Tf)/(T4−T3)
=(Tf−T3)/(T4−T3) ・・・(1)
となる。ここで、流量L1 と流量(L−L1 )との流量比率{L1 :(L−L1 )}を温度で表すと、
1 :(L−L1
=(T4−Tf)/(T4−T3):(Tf−T3)/(T4−T3)
=T4−Tf:Tf−T3 ・・・(2)
となる。
【0052】
そこで、貯湯タンク4の温水温度が低温暖房器52の要求温度に比べて、低温、適温、又は高温時の制御を説明する。
【0053】
ア)貯湯タンク4の温水温度が低温暖房器52の要求温度より低い場合(低温)
【0054】
低温暖房器52から運転信号が制御装置82に入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。貯湯タンク4の温水HM1の検出温度T4が低温暖房器52の要求温度Tfより低い場合においても、T4>T3であれば、貯湯タンク切替弁40を分流路24側を全閉状態とし、貯湯タンク4の温水HM1を利用する。この場合、低温暖房器52に要求温度の温水HM1を送り込むことができない。循環ポンプ26から送り出された温水HM1の検出温度T6が低温暖房器52の要求温度より低いため、一次熱交換器28及び二次熱交換器30で温水HM1を加熱する。燃焼加熱により、検出温度T3が検出温度T4より高くなると、貯湯タンク切替弁40を分流路24側を全開にする。
【0055】
イ)貯湯タンク4の温水温度が低温暖房器52の要求温度と同じ場合(適温)
【0056】
低温暖房器52から運転信号が制御装置82に入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。貯湯タンク4の温水HM1の検出温度T4が低温暖房器52の要求温度と同じ場合(適温)では、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を全開とする。循環ポンプ26から送り出された温水HM1の検出温度T6が低温暖房器52の要求温度であれば、低温暖房器52に貯湯タンク4から温水HM1がそのまま送り込まれる。
【0057】
ウ)貯湯タンク4の温水温度が低温暖房器52の要求温度より高い場合(高温)
【0058】
この場合、燃焼による温度調整は行わず、弁開度の調整のみを行う。低温暖房器52から運転信号が制御装置82に入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。貯湯タンク4の温水HM1の検出温度T4が低温暖房器52の要求温度より高い場合には、貯湯タンク切替弁40の弁開度を調整する。この弁開度は運転開始時は式(2) により決定され、その後、要求温度より検出温度T6が高い場合、貯湯タンク4側より、分流路24側に流れる温水HM1(即ち、低温暖房器52の戻り温水HM1側)を多くし、貯湯タンク4からの温水HM1の温度を下げる。この状態で循環ポンプ26から送り出された温水HM1の検出温度T6が低温暖房器52の要求温度であれば、その弁開度を保持し、低温暖房器52に温水HM1を循環し続ける。
【0059】
前述の調整にもかかわらず、温水HM1の検出温度T6が低温暖房器52の要求温度より高い場合には、貯湯タンク切替弁40を分流路24側に切り替え、貯湯タンク4内の温水HM1の使用を停止する。燃焼加熱は行わないため、低温暖房器52の放熱により検出温度T6は徐々に下がるので、後述の制御が行われる。
【0060】
また、温水HM1の検出温度T6が低温暖房器52の要求温度を下回った場合には、貯湯タンク切替弁40の弁解度を調整し、貯湯タンク4内の温水HM1の使用量を増加し、温水HM1の温度を上昇させる。その温度が低温暖房器52の要求温度であれば低温暖房器52へ循環をし続ける。
【0061】
このように、貯湯タンク4側の温水HM1は、温水HM1の低温暖房器52側での温度低下の分だけが流量に応じて利用され、貯湯タンク4側の蓄熱量の節減が図られる。
【0062】
ところで、バーナ46の燃焼制御を伴う一次熱交換器28及び二次熱交換器30で温水HM1を加熱する場合には、通常はT4<T3のとき貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側全閉とするが、図9に示すように、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側全開とし、二次熱交換器30で温水HM1に燃焼排気の潜熱を熱交換して低温暖房器52に循環させる。この場合、一次熱交換器28で燃焼排気の顕熱を熱交換した温水HM1は、循環路6Aを通して貯湯タンク4に循環させる。これにより、低温暖房器52に流れる温水HW1を要求温度に制御できるとともに、貯湯タンク4の温水HW1を昇温させ、蓄熱させることができる。
【0063】
(2) 高温暖房動作
【0064】
この高温暖房動作について、図10を参照する。図10は、高温暖房における温水HM1の循環を説明するための図である。
【0065】
この高温暖房動作は、図10に示すように、高温暖房器54に温水HM1を循環させ、高温の温水HM1により放熱させる動作である。
【0066】
この場合、高温暖房器54から運転信号が制御装置82にに入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。温度センサ42の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とを比較し、T4>T3の場合、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を開状態にする。貯湯タンク4の温水HM1は、循環ポンプ26から二次熱交換器30、一次熱交換器28に送り込まれる。一次熱交換器28の出側にある温度センサ48の検出温度T5が放熱暖房に適する一定温度として例えば、80〔℃〕になるようにバーナ46の燃焼を制御する。なお、貯湯タンク4の温水HM1が放熱暖房に適する一定温度である例えば、80〔℃〕であれば、一次熱交換器28による加熱は行わない。
【0067】
高温化された温水HM1は、高温暖房器54に流れ、放熱を行う。この場合、循環路6の高温分配弁62に流れた温水HM1は循環路6Aに分流されて給湯用熱交換器56を通り、高温暖房器54からの戻り温水HM1と合流し、貯湯タンク4に至る。この場合、循環路6Aで形成された給湯用熱交換器56の回路は高温暖房器54が運転可能になるまでの循環回路及び給湯要求の際に即応可能な給湯用加熱路として使用される。
【0068】
高温暖房器54を通過して熱が奪われた温水HM1と、給湯用熱交換器56からの戻り温水HM1とが混合されるが、この混合温水HM1は温度センサ42で検出される。この検出温度T3は、貯湯タンク4の出側にある温度センサ44の検出温度T4と比較される。T4<T3であれば、貯湯タンク切替弁40の開度は貯湯タンク4側から分流路24側へ切り替えられ、貯湯タンク4の温水HM1の使用を停止する。即ち、温水HM1による蓄熱を行い、その節減を図る。
【0069】
(3) 給湯動作
【0070】
この給湯動作について、図11を参照する。図11は、給湯動作における温水HM1の循環を説明するための図である。
【0071】
この給湯動作は、図11に示すように、給湯用熱交換器56に温水HM1を循環させ、給水Wに温水HM1の熱を熱交換し、温水HWとして給湯する動作である。
【0072】
この場合、給水口から暖房・給湯・追焚装置2に入った給水Wは、温度センサ64、水量センサ、水制御弁等を経てバイパス路60の分岐点に至る。バイパス路60側に流れる給水Wはミキシングのために温水HWに混合される。また、二次熱交換器58を経て給湯用熱交換器56に流れた給水Wは、給湯用熱交換器56で温水HM1の熱と熱交換が行われ、温水HWとなってバイパス路60の分岐点に設置されているミキシング弁を通過する。ミキシング弁の開度は、温度センサ66の検出温度T8が設定温度になるように調整され、給湯用熱交換器56により加熱された高温の温水HWが給水Wと混合されて設定温度に調整され、出湯口から出湯される。
【0073】
この場合、温水HM1の循環動作は次の通りである。給湯回路36にある水量センサが流水を感知すると、循環ポンプ26が運転を開始する。温度センサ42の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とが比較される。T4>T3の場合には、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を開状態にする。貯湯タンク4の温水HM1は、循環ポンプ26に吸い込まれ、二次熱交換器30及び一次熱交換器28に送り込まれる。これら一次熱交換器28及び二次熱交換器30を通過した温水HM1の温度は温度センサ48で検出され、その検出温度T5が一定の温度として例えば、80〔℃〕になるように、バーナ46の燃焼制御が行われる。なお、貯湯タンク4の温水HM1がその一定温度である例えば、80〔℃〕であれば、バーナ46による加熱は行わない。
【0074】
一定温度即ち、80〔℃〕の温水HM1は給湯用熱交換器56で給水W側との熱交換を行う。例えば、給湯能力を24号とした場合、その熱量は41.86〔kW〕(36,000〔kcal/h〕)である。貯湯タンク4の温水温度が80〔℃〕で循環ポンプ26の循環量が約12〔リットル/min〕であれば、貯湯タンク4に戻る温水HM1の温度が約30〔℃〕で、貯湯タンク4の温水HM1の全てを給湯熱交換に使用したとすれば、貯湯タンク4内の温水温度は約30〔℃〕となる。給湯号数が減少すれば、貯湯タンク4に戻る温水HM1の温度低下が少なく、貯湯タンク4の温水温度は、常に30〔℃〕以上となる。
【0075】
また、給湯用熱交換器56で熱を奪われた温水HM1の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とを比較する。T4<T3であれば、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側から分流路24側へ切り替え、貯湯タンク4の温水HM1を使用しない。これにより、貯湯タンク4の温水HM1の使用による熱損失が抑制される。
【0076】
(4) 浴槽注湯動作
【0077】
この浴槽注湯動作について、図12を参照する。図12は、浴槽注湯動作における温水HM1の循環及び注湯を説明するための図である。
【0078】
この浴槽注湯動作は、図12に示すように、給湯用熱交換器56に温水HM1を循環させ、給水Wに温水HM1の熱を熱交換して得られる温水HWを浴槽68側に注湯する動作である。
【0079】
給湯時、注湯電磁弁78を開くと、給湯回路36が追焚回路38に連結され、給湯回路36から分岐された注湯回路76に流れる温水HWが追焚用熱交換器70を経て浴槽68に注湯される。この場合、追焚ポンプ72は使用しない。給水Wが上水であれば、十分な水圧があるので、温水HWはその水圧を利用して浴槽68に注湯される。
【0080】
(5) 浴槽水追焚動作
【0081】
この浴槽水追焚動作について、図13を参照する。図13は、浴槽水追焚動作における温水HM1の循環及び追焚を説明するための図である。
【0082】
この浴槽水追焚動作は、図13に示すように、追焚用熱交換器70に温水HM1を循環させ、浴槽水BWに温水HM1の熱を熱交換する動作である。
【0083】
リモコン装置94から追焚運転信号が制御装置82に入力されると、追焚ポンプ72の運転を開始させる。これにより、浴槽水BWは、追焚回路38に循環され、追焚用熱交換器70で温水HM1の熱が熱交換され、加熱される。温度センサ74の検出温度T9が設定温度に達すれば、追焚運転を終了し、追焚ポンプ72の運転を停止させる。
【0084】
この場合、追焚運転信号が制御装置82に入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。温度センサ42の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とが比較され、T4>T3であれば、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側に切り替える。貯湯タンク4の温水HM1は、循環ポンプ26に吸い込まれ、二次熱交換器30及び一次熱交換器28に送り込まれる。これら一次熱交換器28及び二次熱交換器30を通過した温水HM1の温度は温度センサ48で検出され、その検出温度T5が一定の温度として例えば、80〔℃〕になるように、バーナ46の燃焼制御が行われる。なお、貯湯タンク4の温水HM1がその一定温度である例えば、80〔℃〕であれば、バーナ46による加熱は行わない。
【0085】
高温分配弁62を循環路6B側にも開き、循環路6B側に温水HM1を流し、追焚回路38と循環路6Bとの間で温水HM1の熱を浴槽水BWに熱交換する。この場合、高温分配弁62は給湯用熱交換器56側にも温水HM1を流す。追焚用熱交換器70で浴槽水BWに熱を奪われた温水HM1は、循環路6Aにある給湯用熱交換器56を通過した温水HM1と合流し、貯湯タンク4に戻される。高温分配弁62から給湯用熱交換器56を通る循環路6Aは、給湯要求の際に即応可能な給湯用回路として使用する。
【0086】
追焚用熱交換器70で熱を奪われた温水HM1は、給湯用熱交換器56を通過した温水HM1と混合され、その混合温水HM1の検出温度T3と検出温度T4とを比較し、T4<T3であれば、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側から分流路24側へ切り替え、貯湯タンク4の温水HM1を使用しない。即ち、温水HM1による蓄熱を行い、その節減を図る。
【0087】
(6) 太陽熱集熱動作
【0088】
この太陽熱集熱動作について、図14及び図15を参照する。図14は、太陽熱集熱動作における温水HM1の循環を説明するための図、図15は、集熱動作を示すフローチャートである。
【0089】
この太陽熱集熱動作は、図14に示すように、太陽熱集熱回路8に温水HM2を循環させ、太陽熱を温水HM2に熱交換し、温水HM2の熱を貯湯タンク4内にある太陽熱用熱交換器12で温水HM1に熱交換する動作である。
【0090】
太陽熱による温水HM2の温度上昇は、日射量に関係し、その試験結果によれば、冬季でも約30〔℃〕の上昇が期待できることが確認されている。季節にかかわらず、貯湯タンク4の温水温度は約30〔℃〕であるため、太陽熱用熱媒である温水HM2と熱交換する太陽熱用熱交換器12を備える貯湯タンク4では、冬期でも30〔℃〕の温度上昇があり、貯湯タンク4の温水温度は30〔℃〕+30〔℃〕で約60〔℃〕に上昇させることができる。この場合、既述の低温暖房器52の要求温度が例えば、60〔℃〕であれば、貯湯タンク4に蓄えられた温水HM1の熱を低温暖房器52の放熱に利用できる。夏期であれば、これ以上の熱利用ができることは勿論である。
【0091】
この太陽熱集熱回路8に利用できる太陽熱について、季節により日の出、日の入り時刻が変わり、日射のある時間帯も変化する。季節(夏季・冬季・中間期)により集熱ポンプ14の運転開始時刻及び停止時刻をリモコン装置94を通して制御装置82に設定する。季節の判断は、温度センサ80の検出温度T10を用いればよい。
【0092】
そこで、設定時刻が集熱ポンプ14の運転開始時刻になると集熱ポンプ14を運転する。温水HM2が太陽熱集熱回路8に循環し、温度センサ20が集熱パネル10に入る温水HM2の温度を検出する。集熱パネル10は温水HM2を太陽熱で加熱する手段であるから、日射があれば、集熱パネル10を通過した温水HM2の検出温度T2が上昇する。そこで、T2>T1であれば、太陽熱の集熱有りと判断し、集熱ポンプ14の運転を継続する。これに対し、T2≦T1であれば、集熱パネル10を通過した温水HM2の温度が低下したのであるから、太陽熱の集熱無しと判断し、集熱ポンプ14の運転を停止し、集熱動作を終了する。
【0093】
この場合、集熱パネル10においては温度上昇(T2>T1)があれば、その検出温度T2が温度センサ44の検出温度T4より低い場合(T2<T4)には、貯湯タンク4の温水HM1の熱が温水HM2に奪われることになり、熱損失を来す。これを防止するため、ソーラー切替弁16をバイパス路18側に切り替えて循環させる。この循環は、T2>T4になるまで継続し、T2>T4になれば、ソーラー切替弁16を太陽熱用熱交換器12側に切り替え、温水HM2の熱を貯湯タンク4内の温水HM1に熱交換を行う。そして、設定時刻が集熱ポンプ10の停止時刻になれば、集熱ポンプ10の運転を停止する。
【0094】
この結果、太陽熱の集熱を温水HM2に行い、その温水HM2の熱を温水HM1に熱交換することにより、貯湯タンク4に温水HM1を通じて蓄熱することができる。
【0095】
この集熱動作では、図15に示すように、集熱運転開始時刻になると (ステップS2l) 、集熱ポンプ14を運転する (ステップS22) 。このとき、ソーラー切替弁16は貯湯タンク4側が閉となっている(ステップS23)。温水HM2は太陽熱集熱回路8を循環し、検出温度T2と検出温度T4とを比較し(ステップS24)、T2>T4であれば、ソーラー切替弁16を貯湯タンク4側を開とし(ステップS25)、太陽熱を温水HM2に蓄熱する。
【0096】
T2>T4でなければ、ソーラー切替弁16は貯湯タンク4側を閉に維持し(ステップS26)、検出温度T1を記憶手段として例えば、RAM88に記憶する(ステップS27)。その検出時点から一定時間例えば、t秒後に検出温度T2と記憶している検出温度T1’とを比較する(ステップS28)。T2>T1’であれば、集熱パネル10で集熱があるので、ステップS24に戻り、蓄熱可能か否かを判断する。また、T2>T1’でなければ、集熱ができないので、集熱ポンプ14を停止し(ステップS29)、所定のインターバル運転(ステップS30)を経てステップS21に戻る。同様の集熱動作を継続的に行う。
【0097】
上記実施の形態によって改善される事項は以下の通りである。
【0098】
(1) この暖房・給湯・追焚装置2では、太陽熱集熱制御と給湯暖房制御とを並列化している。太陽熱集熱は日射のある時間に行われ、貯湯タンク4に蓄熱される。給湯及び暖房には、貯湯タンク4に蓄熱されていれば、貯湯タンク4の温水HM1の熱を利用する。利用時は循環する温水HM1の温度が太陽熱により上昇するため、バーナ46の燃焼により消費する燃料ガスの消費が低減され、貯湯タンク4の温水HM1の熱を利用する分だけ熱効率を上昇させることができる。さらに、暖められた温水HM1は直接暖房負荷へ循環するため太陽熱を効率よく暖房に使用することができる。
【0099】
(2) この暖房・給湯・追焚装置2では、給水へ蓄熱する従来のソーラーシステムと異なり、給水への蓄熱をしていないため、給水温度は太陽熱により上昇することがない。これは、燃焼排気の潜熱を熱源に利用する潜熱回収装置である二次熱交換器30に循環する温水HM1の温度を低くできるため、二次熱交換器30の性能を損なうことなく利用でき、熱エネルギを効率よく利用できる。
【0100】
(3) 予熱側はバーナ46で温水HM1を80〔℃〕に加熱し、その循環量が約12〔リットル/min〕であるため、給湯用熱交換器56から戻る温水HM1の温度は約30〔℃〕であり、この制御は季節に関係なく行うことができる。よって、温水HM1は常に30〔℃〕以上に維持でき、この温水HM1に太陽熱を蓄熱させるため、冬期でも約60〔℃〕の温水HM1を得ることができ、暖房負荷に直接、温水HM1を循環することにより、太陽熱を効率よく使用することができる。
【0101】
(4) 暖房・給湯・追焚装置2の試験データによれば、温水HM1の最高温度は約80〔℃〕である。低温暖房運転では低温暖房負荷に循環する温度を60〔℃〕若しくは40〔℃〕になるように制御するが、貯湯タンク4の温水温度が高温の場合にはその温水温度の温水HM1をそのまま低温暖房回路へ循環させることはできない。そこで、貯湯タンク切替弁40の開度を調整し、低温暖房負荷からの戻り温水HM1と貯湯タンク4の温水HM1とを混合させて低温暖房の要求温度まで下げて循環させる制御を行うことができ、極めて効率的な温水HM1による蓄熱とその熱利用の節約を実現できる。
【0102】
(5) このように、貯湯タンク4への流路切替えのため、開度を調整できる温水分配弁(貯湯タンク切替弁40)を用いており、貯湯タンク4の温水HM1が暖房要求温度より高い場合には、その開度を調整し、暖房端末からの戻り温水HM1と貯湯タンク4の温水HM1を混ぜ合わせて、要求温度の温水にすることで暖房回路に温水を循環することを可能にし、熱エネルギの利用効率を高めることができる。
【0103】
〔第2の実施の形態〕
【0104】
上記第1の実施の形態では、温水HM1の加熱にバーナ46の燃焼排気から潜熱を用いる場合について説明したが、図16に示すように、二次熱交換器30(図1)を用いないで、一次熱交換器28を加熱源にしてもよい。
【0105】
〔他の実施の形態〕
【0106】
(1) 上記実施の形態では、高温水分配式の暖房給湯用熱源機の暖房回路に太陽熱集熱回路8を接続し、太陽熱を熱源に利用し、太陽熱との熱交換により得られた高温水を給湯、低温暖房にも利用しているが、本発明はこのような熱源に太陽熱を利用するものに限定されない。上記実施の形態は一例であって、太陽熱に代え燃焼熱やエンジンの排熱を熱源に用いてもよい。
【0107】
(2) 上記実施の形態では、熱媒体として温水HM1、HM2を利用したが、温水以外の熱媒流体を用いてもよい。
【0108】
(3) 上記実施の形態では、貯湯タンク4にある温水HM1の温度を検出する温度センサ4を貯湯タンク4外の循環路6側に設置しているが、貯湯タンク4内に設置して温水HM1の温度を検出してもよい。
【0109】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、太陽熱や燃焼熱を熱源に用いた給湯装置や、暖房・給湯・追焚装置等の熱源装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0111】
2 暖房・給湯・追焚装置 4 貯湯タンク
6 循環路
24 分流路
32 低温暖房回路
40 貯湯タンク切替弁
42、44 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒が溜められる貯留手段と、
放熱負荷に前記熱媒を循環させる循環路と、
前記貯留手段の入側と出側との間の前記循環路に形成され、前記放熱負荷を通過した前記熱媒を分流して前記貯留手段の前記出側の前記熱媒に合流させる分流路と、
前記放熱負荷を通過した前記熱媒を前記貯留手段に流す熱媒流量と、前記分流路に流す熱媒流量とに分配する流量分配手段と、
を備え、前記流量分配手段による前記熱媒の分配比率により、前記放熱負荷に流れる前記熱媒の温度を加減することを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
前記貯留手段にある熱媒の温度を検出する第1の温度センサと、
前記放熱負荷を通過して前記循環路に戻る熱媒の温度を検出する第2の温度センサと、
を備え、前記第1の温度センサの検出温度と前記第2の温度センサの検出温度とを利用し、前記流量分配手段による前記熱媒の分配比率を制御することを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項3】
前記貯留手段又は前記循環路に設置され、熱交換により前記熱媒を加熱する熱交換手段を備えることを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項4】
前記熱媒を加熱する熱源に太陽熱を用いることを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項5】
燃焼排気が持つ顕熱を前記熱媒に熱交換する第1の熱交換手段又は前記燃焼排気が持つ潜熱を前記熱媒に熱交換する第2の熱交換手段の何れか一方又は双方を前記循環路に備え、前記熱媒の温度が所定温度未満の場合に前記熱媒を前記第1の熱交換手段又は前記第2の熱交換手段の何れか一方又は双方で加熱することを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項6】
前記循環路に流れる前記熱媒の熱を給湯水に熱交換する給湯熱交換手段を備えることを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項7】
前記循環路に流れる前記熱媒の熱を浴槽水に熱交換する追焚熱交換手段を備えることを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項8】
熱媒が溜められる貯留手段と、
前記熱媒を循環させ、前記熱媒の熱を放熱する放熱手段と、
前記放熱手段に前記熱媒を循環させる循環路と、
前記貯留手段の入側と出側との間の前記循環路に形成され、前記放熱手段を通過した前記熱媒を分流して前記貯留手段の前記出側の前記熱媒に合流させる分流路と、
前記放熱手段を通過した前記熱媒を前記貯留手段に流す熱媒流量と、前記分流路に流す熱媒流量とに分配する流量分配手段と、
を備え、前記流量分配手段による前記熱媒の分配比率により、前記放熱手段に流れる前記熱媒の温度を加減することを特徴とする暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−286137(P2010−286137A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138430(P2009−138430)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】