説明

熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂成形材料及びその硬化物

【課題】硬化速度が極めて速い熱硬化性樹脂組成物及び成形材料ならびに硬化物を提供する。
【解決手段】ベンゾオキサジン樹脂及び式(1)の硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物。


(式中R1〜R12は水素、アルキル基または水酸基及び特定の置換基を有するベンゼンスルホニルオキシ基、2−ナフタレンスルホニルオキシ基および3−ナフタレンスルホニルオキシ基から選ばれる一つ以上の基。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂成形材料及びその硬化物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の汎用の熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂は、耐熱性、機械的強度および電気特性等の種々の優れた特性を有しており、成形材料、積層板および接着剤等の種々の用途に使用されている。フェノール樹脂には、硬化方法の異なるノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とがあるが、いずれのフェノール樹脂の硬化においても、硬化時にガスが発生するため、硬化物にボイドが発生しやすいという問題があった。
【0003】
これに対して、硬化時にガス発生のない樹脂として、ジヒドロベンゾオキサジン構造を有する樹脂が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)が、この樹脂は硬化速度の温度依存性が小さいものであり、例えば、射出成形などの成形方法においては、成形加工における生産時間を短縮するために、成形温度を高くすることにより速い硬化速度が得られる樹脂組成物として、これを用いて成形すると、樹脂組成物を溶融させる際に、成形温度よりも低い温度であっても溶融樹脂の硬化が進行し、樹脂の熱安定性が悪くなり、成形可能な条件幅が極めて制限される問題が生じて、成形加工性が損なわれてしまう。一方、樹脂の熱安定性に対応するために、樹脂組成物が溶融する成形温度より低い温度で硬化速度が遅くなる樹脂組成物として、これを用いると、成形温度での硬化速度も遅くなってしまい、生産性が低下する。そのため、成形温度では硬化速度が速く、生産時間を短縮でき、かつ、樹脂組成物が溶融する成形温度より低い温度では安定に存在するような、生産性と成形加工性がともに優れた熱硬化性樹脂組成物が強く望まれている。
【0004】
これまでも、ベンゾオキサジン樹脂の硬化触媒として有機酸の添加が提案されているが、生産性と成形加工性の両立という点において充分ではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開昭49−47378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、熱安定性に優れかつ硬化速度が極めて速い熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂成形材料及びその硬化物を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、ベンゾオキサジン樹脂において、シクロヘキシル化合物を触媒として用いることにより、硬化速度が極めて速い熱硬化性樹脂組成物を見出し、更に検討を進めることにより、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、
(1) ベンゾオキサジン樹脂及び一般式(1)で表わされる硬化触媒を含んでなる熱硬化性樹脂組成物、
【0009】
【化1】

(式中、R1〜R12は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基および式(2)〜(4)で表される基のいずれかを示す。前記R1〜R12の1つまたは2つ以上は式(2)、式(3)または式(4)で表される基であり、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化2】

(式中、R13〜R17は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アンモニオ基、トリアルキルアンモニオ基および式(5)〜(6)で表される基のいずれかを示す。)
【化3】

【化4】

【化5】

(式中、R18は、水素および炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。)
【化6】

(式中、R19は、水素および炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。)
【0010】
(2) 前記硬化触媒は、前記一般式(1)におけるR1〜R12として、前記式(2)、式(3)または式(4)で表される基を2つ以上有するものである第(1)項記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3) 前記硬化触媒は、一般式(1)において、式(2)、式(3)または式(4)で表される基を、R1およびR3として有する化合物、R1およびR5として有する化合物、R1およびR7として有する化合物、あるいはR1、R5およびR9としてとして有する化合物である第(1)項または第(2)項記載の熱硬化性樹脂組成物。
(4) 前記式(2)で表される基は、式(7)で表される基である第(1)項〜第(3)項記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0011】
【化7】

【0012】
(5) 前記一般式(1)で表わされる硬化触媒が、1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルまたは1,3,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルである第(1)項〜第(4)項のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(6) 前記熱硬化性樹脂組成物は、充填材を含むものである第(1)項〜第(5)項のいずれかに記載の熱硬化性樹脂成形材料、
(7) 第(1)項〜第(5)項のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物または第(6)項に記載の熱硬化性成形材料を硬化させてなる硬化物、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱安定性に優れ、硬化速度が極めて速い熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料が得られ、成形材料、積層板および接着剤等の、従来より熱硬化性フェノール樹脂組成物が用いられてきた用途に好適に用いられる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料より得られる硬化物は、ボイドが生じ難いものとなり、自動車用部品、機構部品および電機・電子部品等の用途に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、ベンゾオキサジン樹脂及び前記一般式(1)で表わされる硬化触媒を含んでなる熱硬化性樹脂組成物であり、このような成分とすることにより、熱安定性に優れ、硬化速度が極めて速い熱硬化性樹脂組成物が得られるものである。また、本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物を含む成形材料材であり、熱安定性に優れ、極めて速い硬化速度が得られるものである。さらに、本発明は、これらを硬化させて得られる硬化物である。
【0015】
本発明に用いるベンゾオキサジン樹脂としては、1分子内に少なくとも2つのオキサジン環を有し、開環重合により硬化する樹脂であれば、特に限定されるものではない。ベンゾオキサジン樹脂は、フェノール性水酸基を2つ以上有し、炭素環上の水酸基の隣接する位置に少なくとも1つが水素を有するフェノール性水酸基を有する化合物、1級アミン、及びホルマリン等のホルムアルデヒド類より合成することができる。
【0016】
前記ベンゾオキサジン樹脂を構成するフェノール性水酸基を有する化合物としては、多官能フェノール化合物、ビフェノール化合物、ビスフェノール化合物、トリスフェノール化合物およびフェノール樹脂等が挙げられる。前記多官能フェノール化合物としては、カテコール、ヒドロキノンおよびレゾルシノールなどが挙げられ、前記ビフェノール化合物としては、4,4’−ビフェノールおよび2,2’−ビフェノールなどが挙げられ、前記ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びこれらの位置異性体などが挙げられ、前記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂およびジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0017】
前記ベンゾオキサジン樹脂を構成する1級アミンとしては、メチルアミン、アニリン、トルイジンおよびアニシジンなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0018】
前記ベンゾオキサジン樹脂を構成するホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリン、ホルムアルデヒドの重合物であるパラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0019】
本発明に用いるベンゾオキサジン樹脂の具体的な合成例としては、前記炭素環上の水酸基に対してオルト位に少なくとも一つの水素を有するフェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基1モルに対して、前記1級アミン1モル、前記ホルムアルデヒド類2モルを、無溶媒または溶媒中で、反応させて得ることができる。反応における反応温度としては、一般的に70〜110℃で、好ましくは、90〜100℃で、反応時間としては、一般的に20分〜10時間反応させることができる。反応終了後は、溶媒を用いた場合、溶媒を留去し、必要に応じてアルカリ洗浄操作を行ない、未反応の前記成分を除去し、その後、120℃以下の温度で減圧乾燥することにより、ベンゾオキサジン樹脂が得られる。
【0020】
前記溶媒としては、メチルエチルケトン、トルエン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられ、これらは単独もしくは2種類以上を混合して使用することもできるが、特に限定されるものではない。
【0021】
本発明に用いる前記一般式(1)で表わされる硬化触媒としては、前記一般式(1)におけるR1〜R12として1つまたは2つ以上が式(2)、式(3)または式(4)で表される基を有するものであれば良い。前記硬化触媒としては、一般式(1)において、式(2)、式(3)または式(4)で表される基を、R1およびR3として有する化合物、R1およびR5として有する化合物、R1およびR7として有する化合物、あるいはR1、R5およびR9として有する化合物であることが好ましく、これらの化合物の、R1およびR3、R1およびR5、あるいはR1、R5およびR9は、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であっても良い。前記一般式(1)におけるR1〜R12としての炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基およびtert−ブチル基などが挙げられ、前記一般式(2)におけるR13〜R17としての炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基およびtert−ブチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基などが挙げられ、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などが挙げられ、トリアルキルアンモニオ基としてはトリメチルアンモニオ基などが挙げられ、前記一般式(5)におけるR18としての炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基およびtert−ブチル基などが挙げられ、前記一般式(6)におけるR19としての炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基およびtert−ブチル基などが挙げられる。また、前記一般式(2)で表される基としては、R15がメチル基でR13,R14,R16およびR17が水素を有するものが好ましい。
これら硬化触媒としての具体例としては、1,1−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,4−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,2,4−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,3,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのトリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,4,4−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,2,3,4−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,2,4,5−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのテトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,3,3,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,2,2,3,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,2,3,4,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,4,4,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,3,4,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,2,3,3,4,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,2,3,4,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,2,2,4,4,5−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,3,4,5,5−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,3,4,4,5−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,1,2,3,4,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,2,2,4,4,5,5−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,2,3,4,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,3,3,4,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,1,2,3,4,4,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのオクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,2,2,3,4,4,5,5−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,2,3,4,4,5,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,1,2,3,3,4,5,5,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,1,2,2,3,4,4,5,5,6−デカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのデカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6−ウンデカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
さらに、上記置換基を有するものとして、
1−メチル−2,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−3,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−4,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−3,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,6−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−3,5−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−2,5−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−1,4,4−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,6−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3,4−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−3,4,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,4−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,3,4−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3,6−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,4,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,3,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−2,4,6−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するトリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−2,2,5,5−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,4−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,6−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3,4,5−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,4,5−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−2,3,5,6−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するテトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−1,3,3,5,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,4,6,6−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,4,4,6−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3,3,4,6−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,3,4,4,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,4,5−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,4,6−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,5,6−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−2,3,4,5,6−ペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するペンタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−2,2,4,4,6,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,4,5,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,3,5,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,4,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,4,4,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,4,5,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,3,4,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,4,5−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,4,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,3,4,4,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するヘキサ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−2,2,3,3,5,6,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,4,4,5,5−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,3,3,5,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,4,4,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,5,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,3,4,5,6,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,4,6,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,5,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,4,5,5−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,3,4,5,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,4,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,4,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−1,2,3,4,4,5,6−ヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するヘプタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−2,2,3,3,5,5,6,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,3,4,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,4,4,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,4,5,6,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,4,4,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,3,3,4,5,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−1,2,2,3,4,5,5,6−オクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するオクタ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−1,2,2,3,3,5,5,6,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−2,2,3,3,4,5,5,6,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,3,4,5,6,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,4,4,5,5,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−メチル−1,2,2,3,3,4,5,5,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−1,2,2,3,4,4,5,6,6−ノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するノナ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1−メチル−1,2,2,3,3,4,5,5,6,6−デカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどのメチル基を有するデカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−メチル−1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ウンデカ(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1−ヒドロキシ−1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−2,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−3,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−1,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−2,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−3,5−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−2,6−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−1,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−2,5−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−2,4,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、
1,3−ジヒドロキシ−2,4,6−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,3,5−トリヒドロキシ−2,4,6−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5,6−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−4−メチル−3,5−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1−ヒドロキシ−4−メチル−2,3,5,6−テトラキス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチル−3,6−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルなどが挙げられ、これらの中でも、ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよびトリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルが好ましい。その中でも、1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルおよび1,3,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルが、最も好ましい。
さらに、上記の化合物において、p−トルエンスルホン酸で構成される基が、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、4−tert−ブチルベンゼンスルホン酸、4−メトキシベンゼンスルホン酸、4−エトキシベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、2−クロロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−ニトロベンゼンスルホン酸、4−ニトロベンゼンスルホン酸、2−ニトロソベンゼンスルホン酸、3−ニトロソベンゼンスルホン酸、4−ニトロソベンゼンスルホン酸、2−スルホベンゼンスルホン酸、3−スルホベンゼンスルホン酸、4−スルホベンゼンスルホン酸、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸、2−シアノベンゼンスルホン酸、3−シアノベンゼンスルホン酸、4−シアノベンゼンスルホン酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、2−アンモニオベンゼンスルホン酸、3−アンモニオベンゼンスルホン酸、4−アンモニオベンゼンスルホン酸、2−トリメチルアンモニオベンゼンスルホン酸、3−トリメチルアンモニオベンゼンスルホン酸、4−トリメチルアンモニオベンゼンスルホン酸、2−ホルミルベンゼンスルホン酸、3−ホルミルベンゼンスルホン酸または4−ホルミルベンゼンスルホン酸などで構成される基として有するものが挙げられる。
この中では、p−トルエンスルホン酸で構成される基が、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、2,4,6−トリメチルスルホン酸、2,4,6−トリイソプロピルスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、4−tert−ブチルベンゼンスルホン酸、4−メトキシベンゼンスルホン酸、4−エトキシベンゼンスルホン酸または4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸などで構成される基として有するものが特に好ましい。
【0022】
本発明に用いる充填材としては、有機充填材および無機充填材等、いずれでも用いることができる。前記有機充填材としては、例えば、木粉、合板粉、熱硬化性樹脂硬化物粉末および粉砕布などが挙げられ、これらの1種以上が使用でき、前記無機充填材としては、例えば、ガラスビーズ、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、クレーおよびマイカなどの粉末状のものや、ガラス繊維およびカーボン繊維などの繊維状のものが挙げられ、これらの1種以上が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
前記一般式(1)で表わされる硬化触媒の配合量としては、前記ベンゾオキサジン樹脂100重量部に対して、好ましい下限値が0.5重量部で、好ましい上限値が20重量部である。前記下限値未満では、充分な硬化速度を得にくいことがある。前記上限値を超えると、腐食の点から熱硬化させるのに用いる容器や金型の材質の制限を受けることがある。
【0024】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料において、充填材の配合量としては、前記ベンゾオキサジン樹脂および前記一般式(1)で表わされる硬化触媒100重量部に対して、好ましい下限値が30重量部で、好ましい上限値が400重量部である。前記下限値未満では、前記熱硬化性樹脂成形材料の硬化物である成形品の機械的強度が不充分なことがあり、前記上限値を超えると、成形時の流動性が低下して成形時に充填不良が発生することがある。
【0025】
本発明の熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料において、上記成分以外の成分として、必要に応じて、フェノール樹脂、エポキシ樹脂やシアネート樹脂などの樹脂、また、本発明に影響しない範囲で、硬化剤、硬化触媒や増粘剤などの流動固化特性を調整する添加剤、さらには、シランカップリング剤、着色剤、難燃剤及び離型剤などの一般的な熱硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂組成物に用いられる各種添加剤を用いることができる。
【0026】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ベンゾオキサジン樹脂、一般式(1)で表わされる硬化触媒、及び必要に応じて用いる各種添加剤を混合して製造することができるが、その混合方法としては特に制限されることはなく、例えば公知のミキサーで混合することによって得ることができ、溶融混合しても良い。本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて、熱硬化性成形材料とする場合は、その製造方法は特に制限されず、前記熱硬化性樹脂組成物および充填材、必要に応じて添加剤を混合し、例えば加熱ロールやニーダーなどによって溶融混合して得ることができる。
【0027】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱安定性に優れ、極めて硬化速度が速く、成形材料、積層板および接着剤等の種々の用途に好適に使用される。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、50℃以上、望ましくは80〜200℃に加熱することにより硬化物とすることができる。このようにして得られる硬化物は、ボイドが発生が極めて少ないものである。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制約されるものではない。
【0029】
(合成例1)
フェノール100重量部、37%ホルマリン63重量部および蓚酸0.5重量部の混合物を、100℃で3時間反応後、メタノール10重量部と蒸留水20重量部を添加して混合し、2時間静置した。反応混合物の上澄み液を除去した後、反応混合物の温度が140℃になるまで、常圧蒸留で脱水し、更に、0.9kPaまで、徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が230℃になるまで、減圧蒸留して、未反応フェノールを除去して、軟化点が80℃のノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂90重量部を得た。
【0030】
(合成例2)
アニリン86重量部に37%ホルマリン150重量部を添加し、100℃に昇温したのち、合成例1で得られたノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂100重量部を30分かけて添加した後、更に100℃で30分反応を進め、ベンゾオキサジン樹脂を得た。
【0031】
(実施例1)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂100重量部および1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル10重量部を、乳鉢で粉砕混合して、熱硬化性樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、硬化速度の指標であるゲルタイムの評価を行った。ゲルタイムは、110℃または170℃に保った熱板上に1gの試料をのせ、スパチュラで、常時、かき混ぜながら、スパチュラを持ち上げても、樹脂組成物が糸を引かなくなるまでの時間を測定した。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
【0032】
(実施例2〜12)
実施例1において、1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル10重量部に替えて、表1に示す硬化触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂を得て、評価した。
【0033】
【表1】

【0034】
(比較例1)
合成例1で得られたノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂100重量部およびヘキサメチレンテトラミン20重量部を乳鉢で粉砕混合して、熱硬化性樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価したところ、110℃におけるゲルタイムは1682秒であり、170℃におけるゲルタイムは29秒であった。
【0035】
(比較例2)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂100重量部およびp−トルエンスルホン酸10重量部を乳鉢で粉砕混合して、熱硬化性樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価したところ、110℃におけるゲルタイムは1155秒であり、170℃におけるゲルタイムは20秒であった。
【0036】
(比較例3)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂100重量部およびサリチル酸10重量部を乳鉢で粉砕混合して、熱硬化性樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価したところ、110℃におけるゲルタイムは1645秒であり、170℃におけるゲルタイムは36秒であった。
【0037】
(実施例13)
実施例2で得られた熱硬化性樹脂組成物115重量部、木紛150重量部、ステアリン酸3重量部およびカーボンブラック2重量部を混合した後、加熱ロールで混練し、更に冷却、粉砕して、それぞれ、成形材料を得た。得られた成形材料を用いて、硬化速度の指標であるバコール硬度の測定を行った。バコール硬度は、175℃に設定した移送成形用金型に、圧力20MPaで注入して50mmφ*3mm厚みの成形品を成形して得られた成形品をバコール硬度計(No.935)により硬度測定を行い、成形品のバコール硬度が40以上になった時の硬化時間で表す。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
【0038】
(実施例14及び比較例4、5)
実施例13において、熱硬化性樹脂組成物を表2に示すように置き換えた以外は、実施例13と同様にして成形材料を作製し評価した。
【0039】
【表2】

【0040】
上記の表1及び2の結果から明らかな様に、本発明の熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料は、成形温度よりも低い温度では安定であり、成形時には硬化速度が極めて速く、即ち生産性と成形加工性がともに優れている結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物は、その硬化物が耐熱性、機械的強度および電気特性等の種々の優れた特性を有していることから、積層板及び接着剤等の従来より熱硬化性フェノール樹脂組成物が用いられてきた用途や、同様に熱硬化性樹脂成形材料が用いられている自動車用部品、機構部品及び電機・電子部品等の用途に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾオキサジン樹脂及び一般式(1)で表わされる硬化触媒を含んでなる熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1〜R12は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基および式(2)〜(4)で表される基のいずれかを示す。前記R1〜R12の1つまたは2つ以上は式(2)、式(3)または式(4)で表される基であり、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化2】

(式中、R13〜R17は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アンモニオ基、トリアルキルアンモニオ基および式(5)〜(6)で表される基のいずれかを示す。)
【化3】

【化4】

【化5】

(式中、R18は、水素および炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。)
【化6】

(式中、R19は、水素および炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。)
【請求項2】
前記硬化触媒は、前記一般式(1)におけるR1〜R12として、前記式(2)、式(3)または式(4)で表される基を2つ以上有するものである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化触媒は、一般式(1)において、式(2)、式(3)または式(4)で表される基を、R1およびR3として有する化合物、R1およびR5として有する化合物、R1およびR7として有する化合物、あるいはR1、R5およびR9としてとして有する化合物である請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記式(2)で表される基は、式(7)で表される基である請求項1〜3記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化7】

【請求項5】
前記一般式(1)で表わされる硬化触媒が、1,2−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,3−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシル、1,4−ビス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルまたは1,3,5−トリス(p−トルエンスルホン酸)シクロヘキシルである請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂組成物は、充填材を含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂成形材料。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物または請求項6記載の熱硬化性樹脂成形材料を硬化させてなる硬化物。

【公開番号】特開2007−70550(P2007−70550A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261320(P2005−261320)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】