説明

熱硬化性樹脂繊維

本発明は、熱硬化性樹脂繊維構成要素(10、30、40、44、50、210、310、410)、熱硬化性樹脂繊維構成要素を含む複合材材料(12、26、28、29、34、36、43、48、54、58、62)、当該複合材材料を使用して製造された複合材物品及び該複合材物品の製造方法に関するものである。これらの熱硬化性樹脂繊維構成要素は、熱硬化性樹脂の単繊維又は共に混合された複数の繊維を含むことができる。使用される熱硬化性樹脂の特性及び特徴は、それから製造される材料に従って選択される。これらの熱硬化性繊維構成要素は補強用繊維(14、31、38、114、214、314、60、414)に織り込まれてプレプレグ材となることができる。熱可塑性構成要素(32、46、52)は、熱硬化性繊維構成要素と混合され、同時に織り込まれることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂繊維、特に(ただし限定ではない)繊維補強複合材材料及び複合材物品の製造に使用される熱硬化性樹脂繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維補強複合材は、一般に、硬化性樹脂マトリックス中に補強用の繊維を含む。この補強用繊維は樹脂マトリックスには溶解せず、通常は樹脂マトリックスを剛化及び強化させることにより特に硬化後に該マトリックスを補強する。このような補強用繊維のうち好適なものとしては、炭素、ガラス、アラミド、セラミック及び当業者に周知の他のものが挙げられる。
【0003】
複合材料中におけるマトリックス樹脂及び補強用繊維の物性と化学的性質との共同的性質は、一般に、この配合物が硬化したときに、得られた複合材物品が、このような部品を航空宇宙産業、自動車産業、海洋産業及び土木工学産業など多くの産業において応用することを可能にする相当な強度及び比較的軽量の特徴を有するというようなものである。樹脂及び繊維は、当業者であれば周知のように、所望の特性を有する複合材材料及び複合材物品を生じさるように注意深く選択される。
【0004】
繊維補強複合材材料及び繊維補強複合材材料から作られた物品を形成させるための多数の公知の方法が存在する。所定の成形型や複合材物品を形成させるための硬化用型に設置する前に、マトリックス樹脂と補強用繊維とを混合させることを伴う方法が存在する。プレプレグ材は、通常シート状又はテープ状で存在する、予め選択された補強用繊維とマトリックス樹脂との配合物である。既知のプレプレグ材構造の利益及び不利益は、当業者に周知である。
【0005】
別の繊維補強複合材の製造方法は、乾燥補強繊維を成形型又は型に設置し、次いで、トランスファー成形及び液状樹脂注入といった技術を使用して樹脂を繊維に注入することを含む。また、このような樹脂注入技術の利益及び不利益も当業者には周知である。
【0006】
一般に、マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、シアヌル酸エステル、BMI又はそれらの組合せなどの熱硬化性樹脂を含む。プレプレグ材の製造の際には、一般的に、既知の技術に従って熱硬化性樹脂を補強用繊維の層に導入して該層に完全に又は部分的に含浸させる。マトリックス樹脂を補強用繊維層に液体の状態で導入して該繊維上に樹脂層を形成させるか、該繊維層に部分的に含浸させるか、又は完全に含浸させることができ、或いは、該繊維層の表面上に配置される、予め形成された樹脂層として導入できる。このようなプレプレグ材において、マトリックス樹脂は、概して、熱硬化性樹脂と、該熱硬化性樹脂の硬化を促進させるための硬化剤とを含む。結果として、このようなプレプレグ材の保存寿命が限られ、多くの場合、保存寿命を凍結保存又は冷蔵保存を実用的なレベルにまで延長することが必要となる。
【0007】
この樹脂注入技術では、通常マトリックス樹脂を液体の状態で導入して、硬化する間に乾燥繊維層に完全に含浸させる。また、一般に、熱硬化性樹脂は、高温及び/又は高圧の条件と組み合わせて補強用繊維構造内で熱硬化性樹脂を硬化させることで繊維補強マトリックスを有する複合材部品若しくは複合材物品を形成させる数種の硬化剤と共に導入される。
【0008】
このような既知の繊維補強複合材物品製造技術では、硬化した繊維補強複合材物品の内部に望ましくない空洞部分や間隙の形成を防止し又は最小化させることが一般的な目的である。これらの空洞部分等は完成品の内部に弱点を与えるからである。未硬化のプレプレグ材を型や成形型に設置する場合には、多数のものが互いに重なり合うことが望ましい場合が多い。多くの場合、これらの層間に空気が閉じこめられるが、硬化プロセス中にこれらの空洞部分を除去するのに役立つ様々な技術が存在する。しかしながら、これらの技術は、複雑で高価なプロセス及び装置、例えば、樹脂状の層間から空気を追い出すのに必要な条件を生み出すオートクレーブを伴い得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
複合材材料の他の形態は、繊維補強材を含有しない。例えば、樹脂製接着剤は、液状熱硬化性樹脂と硬化剤、触媒、硬化剤などの他の構成要素との組合せを含む場合が多い。このような材料の早すぎる硬化を防止するために、該熱硬化性樹脂及び硬化剤は、多くの場合、接着が必要とされるまで別々に保持される。しかしながら、これでは不便な場合が多いので、熱硬化性樹脂と硬化剤とを予め正確に決定された量で一緒に与えることが好都合であると考えられるが、通常、これによって保存寿命が短くなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、複合材材料の製造時に使用するための、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素を提供する。
【0011】
該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、複数の熱硬化性樹脂繊維を含むことができる。該熱硬化性樹脂繊維構成要素内の繊維は、連続的及び/又は不連続的、一方向性、撚り及び/又は編み合わせであることができる。
【0012】
該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、好ましくは、エポキシ樹脂、シアヌル酸エステル樹脂、BMI(ビスマレイミド)、ポリベンゾキサジン、ポリイミド、フェノール樹脂及びポリエステルのうち1種以上を含む。該繊維構成要素中の繊維は、多数の熱硬化性樹脂のブレンドを含むことができ、及び/又は、該構成要素は、様々な熱硬化性樹脂及び/又はそれらのブレンドを有する複数の異なる繊維を含むことができる。
【0013】
該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、数種の添加剤、例えば、特に硬化したときに熱硬化性繊維構成要素を強靱にするように作用することができる1種以上の熱可塑性物質を含むことができる。これらの添加剤は、熱硬化性樹脂繊維構成要素の内部で溶解できる。好ましくは、該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、硬化剤をほとんど又は全く含まない。これは、熱硬化性樹脂繊維構成要素に比較的長い保存寿命を持たせるであろう。或いは、熱硬化性繊維構成要素は硬化剤を含むことができるが、ただし、該硬化剤は、好ましくは、保存条件下では硬化を促進させることができず、例えば、該硬化剤は比較的低温で抑制され得る。すなわち、この構成要素を冷凍又は冷蔵条件下で保存する場合に抑制され得る。
【0014】
好ましくは、該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、一般に粘着性ではないので、手作業での取り扱いが容易である。好ましくは、該熱硬化性物質は、23℃の温度で5×104Pasを超える、より好ましくは2×105Pasを超える粘度を有する。好ましくは、この粘度は、硬化中に2×103Pas未満にまで低下する。
【0015】
好ましくは、該繊維構成要素は、3〜50ミクロン、最も好ましくは5〜10ミクロンの直径を有する。
【0016】
好ましくは、該構成要素は、冷凍保存されたときに12ヶ月を超える保存寿命を有し、好ましくは、周囲温度(18℃〜23℃)で保存された場合に3〜12ヶ月の保存寿命を有する。
【0017】
好ましくは、該硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素は、N,N,N,N−テトラグリシジル−4’4−ジアミノジフェニルメタン及びポリエーテルスルホンを含む。好ましくは、該ポリエーテルスルホンはN,N,N,N−テトラグリシジル−4’4−ジアミノジフェニルメタン内に溶解する。
【0018】
好ましくは、該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、本発明のさらなる態様に従う樹脂系の一部を含み、この系は、熱硬化性樹脂繊維構成要素の硬化を促進させるための硬化剤をさらに含む。
【0019】
該硬化剤は、おそらくは樹脂注入と同様の技術を使用して、硬化の開始時又は開始直後に熱硬化性樹脂繊維構成要素に導入できる。この方法では、該複合材材料は、不可欠な硬化剤が存在しない状態では明らかに硬化しないという点で安定なため、比較的長い保存寿命を享受する。
【0020】
その代わりに又はそれに加えて、該硬化剤は熱硬化性樹脂繊維構成要素と会合可能であるが、ただし、これは該熱硬化性樹脂の硬化が促進されない形態であることを条件とする。例えば、該硬化剤は、熱硬化性樹脂繊維間の硬化相互作用が冷蔵及び冷凍などの好適な保存条件下で比較的緩やか又は実質的に回避されるように該熱硬化性樹脂繊維との接触及び相互作用を低減させるために、粒状又は繊維状、或いは他の非常に粘性の状態といった固体状のものであることができる。
【0021】
該硬化剤は、触媒、硬化剤のうち1種以上を含むことができる。好適な硬化剤の例としては、ジシアニミド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−メチレンビス(2,6’−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、3,5’−ジエチルトルエン−2,4/2,6−ジアミン、N,N’−(メチル−1,3−フェニレン)ビス[N,N’−ジメチル尿素]、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素と補強用繊維構成要素とを含む複合材材料を提供する。
【0023】
該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、複数の熱硬化性樹脂繊維を含むことができ、かつ、前の13の段落のいずれかに記載されたものであることができる。好ましくは、それぞれの繊維構成要素の外径は実質的に同一であり、好ましくは炭素補強用繊維構成要素については5〜7ミクロン、ガラス補強用繊維構成要素については15〜20ミクロンである。
【0024】
補強用繊維構成要素は、炭素、ガラス、アラミド、セラミックのうち1種以上を含むことができる。熱硬化性樹脂繊維構成要素対補強用樹脂繊維構成要素の比は50:50〜10:90v/vの範囲内にある。
【0025】
熱硬化性樹脂繊維構成要素は、樹脂系の一部を含むことができ、本発明に従うこの系は、前の3つの段落に記載されるような複合材材料と硬化剤とを含む。好ましくは、熱硬化性樹脂繊維構成要素は、この硬化可能な熱硬化性樹脂繊維を硬化させることが望まれるまで、該硬化剤と接触しないようにする。この硬化剤は、好ましくは処理温度では液体である。
【0026】
その代わりに又はそれに加えて、該硬化剤は、繊維又は粒状物といった固体であることができ、この場合には、熱硬化性樹脂繊維のいくつか又は全てと硬化剤とが接触していてもよいが、ただし、それらの物理的性質及び/又は保存条件は、それらの硬化相互作用が比較的穏やかである、或いは実質的に回避されるようなものである。
【0027】
該樹脂系は、他の添加剤、例えば熱可塑性物質をさらに含むことができる。
【0028】
該補強用繊維構成要素中の繊維又は補強用繊維のいくつか若しくは全ては、織られたもの、編まれたもの、連続的若しくは不連続的なもの、一方向に若しくはランダムに配向されたもの、細断されたもの、よじれたもの、編み合わされたものであることができ、或いは実際には複合物品の製造のために好適な任意の形態にあることができる。
【0029】
熱硬化性樹脂繊維構成要素及び補強用繊維構成要素は、互いに織られ、編まれ、撚られ及び/又は編み合わされることなどによって混合できる。1種以上の熱硬化性樹脂繊維は、1種以上の補強用繊維の周囲にかつその長さに沿って撚りあわされることが可能であり、及び/又は1種以上の補強用繊維は、1種以上の熱硬化性樹脂繊維の周囲にかつその長さに沿って撚りあわされることが可能である。その代わりに又はそれに加えて、該熱硬化性樹脂繊維構成要素及び補強用繊維構成要素は、概して平行な配置で互いに横に並んで延びることができる。
【0030】
その代わりに又はそれに加えて、該複合材材料は、少なくとも一つの各表面上に接触する熱硬化性樹脂繊維の層及び補強用繊維の層を含むことができる。繊維の各層は、織られたもの、編まれたもの、連続的若しくは不連続的なもの、一方向に又はランダムに配置されたものであることができ、また、シート、織物又はマットの形態にあることができる。
【0031】
該熱硬化性樹脂構成要素は、該補強用構成要素内に均一に分布するように、場合によっては該補強用構成要素を通して概ね均一に分布するように、或いは該補強用繊維構成要素のなかの予め決定されかつ選択された1箇所以上の領域で、織られ、編まれ、又はそうでなければ補強用繊維構成要素に通されることができる。
【0032】
その代わりに又はそれに加えて、該補強用繊維構成要素は、該熱硬化性樹脂繊維構成要素内に概ね均一に分布し、好ましくは該熱硬化性樹脂繊維構成要素を通して概ね均一に分布するように、又は該熱硬化性樹脂繊維構成要素内における予め決定されかつ選択された1箇所以上の領域で、織られ、編まれ又はそうでなければ熱硬化性樹脂繊維構成要素に通されることができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素及びさらなる非補強用繊維構成要素を含む複合材材料を提供する。
【0034】
該熱硬化性樹脂繊維構成要素は、好ましくは上記のとおりのものである。
【0035】
該非補強用繊維構成要素は熱可塑性繊維構成要素を含むことができ、これは同様に複数の熱可塑性繊維を含むことができる。
【0036】
該熱可塑性繊維構成要素は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリシロキサン及び様々なタイプのゴムなどの熱可塑性重合体の1種を含むことができる。該熱可塑性構成要素又は該熱可塑性構成要素の少なくともいくつかは、半結晶性であることができる。
【0037】
好ましくは、熱可塑性繊維構成要素は、硬化する場合特に複合材材料を強化するように作用する。
【0038】
好ましくは、熱硬化性樹脂繊維対非補強用繊維構成要素の比は、90/10〜70/30の範囲、最も好ましくは80/20v/vである。
【0039】
その代わりに又はそれに加えて、該非補強用繊維構成要素は、硬化剤、例えばここで説明したもののうちの1種以上を含むことができる。
【0040】
熱硬化性樹脂繊維構成要素及び非補強用繊維構成要素は、上段落のいずれかで説明した複合材料を形成するように互いに混合できる。
【0041】
好ましくは、複合材材料は、硬化剤、すなわち、さらに熱硬化性樹脂構成要素の硬化を促進するための硬化剤を含むことができる樹脂系の一部を有する。この硬化剤は、上で説明したとおりのものである。
【0042】
したがって、本発明は、前段落で説明した樹脂系をさらに提供する。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、熱硬化性樹脂繊維構成要素と、さらなる非補強用繊維構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料を提供する。
【0044】
好ましくは、熱硬化性樹脂繊維構成要素は上記のとおりのものである。
【0045】
好ましくは、非補強用繊維構成要素は上記のとおりである。
【0046】
好ましくは、補強用繊維構成要素は上記のとおりである。
【0047】
好ましくは、繊維構成要素は、製織、加撚、縫い、撚りあわせ、スレッディング又は他の任意の好適な方法などにより混合され、かつ、一緒になってシート、テープ又は他の予備成形体を形成することができる。上記材料中におけるそれぞれの繊維構成要素は、複合材材料内、望ましくは複合材材料を通して実質的に均一に分布することができる。その代わりに又はそれに加えて、それぞれの繊維構成要素の位置及び量は、比較的高い樹脂靱性の領域、比較的高い及び/又は低いVfの領域などのような所望の特性を有する材料及びそれから作られた硬化物品を与えるように選択されかつ予め決定され得る。
【0048】
これら3タイプの繊維のうちの2つは、ある方法で互いに混合し、例えば、互いに撚りあわせ、次いで、これら2つのものと第3のタイプの繊維とを同じ方法又は異なる方法、例えば、織り、スレッド、縫いなどで混合できる。
【0049】
該複合材材料は、硬化中に補強用繊維構成要素を十分に湿潤させるのに必要な全ての樹脂を含むことができる。しかしながら、所定の実施形態では、非繊維質熱硬化性樹脂を含めて熱硬化性樹脂を複合材材料内に付与若しくは添加することができ、及び/又はさらなる樹脂を樹脂注入技術などによって硬化中に上記材料に導入することができ、或いは、該材料のさらなる構成要素として、例えば樹脂層や該材料の表面上の空間領域にある離散的な量の樹脂として与えることができる。
【0050】
非補強用繊維構成要素は、補強用樹脂繊維構成要素により熱硬化性樹脂繊維構成要素からは間隔があいていてよく、それによって非補強用繊維構成要素と熱硬化性樹脂繊維構成要素との接触を防止することができる。これは、非補強用構成要素が硬化剤を含む場合に特に有用かもしれない。
【0051】
本発明のさらなる態様によれば、複合材物品の製造方法であって、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素を硬化条件に付して該構成要素を完全に又は部分的に硬化することを含むものを提供する。
【0052】
本発明のさらなる態様によれば、上記の複合材材料を硬化条件に付すことを含む複合材物品の製造方法を提供する。
【0053】
熱硬化性樹脂繊維構成要素又は複合材材料を硬化プロセスの開始時又は開始直前に硬化剤と混合することができるが、この場合、該硬化剤は、好ましくは液体として該樹脂繊維構成要素に導入され、好ましくは繊維構成要素又は複合材材料が成形及び硬化のために設置されている型又は成形型に直接導入される。繊維構成要素又は複合材材料は、予備成形体の形態にあることができる。
【0054】
その代わりに又はそれに加えて、硬化剤は、粒状物又は繊維などの固体として樹脂繊維構成要素又は複合材材料に導入できる。
【0055】
その代わりに又はそれに加えて、硬化剤は複合材材料内に含まれることができ、その硬化作用は硬化条件の適用により促進されることができる。
【0056】
本発明のさらなる態様によれば、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素を使用し、かつ、該構成要素を、該熱硬化性樹脂繊維を硬化させるための条件に付して製造された複合材物品を提供する。
【0057】
本発明のさらなる態様によれば、複合材材料を上記のように該複合材材料を硬化させるための条件に付すことによって製造された複合材物品を提供する。
【0058】
これらの条件は、熱硬化性樹脂繊維構成要素及び/又は複合材材料への硬化剤の導入を含むことができ、かつ、複合材材料への硬化剤の含浸を含むことができる。
【0059】
ここで、本発明の実施形態を、添付した図面を参照しつつ、単なる例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1a】図1aは本発明に従う熱硬化性樹脂繊維構成要素の図である。
【図1b】図1bは図1aの熱硬化性樹脂繊維構成要素の断面図である。
【図1c】図1cは本発明の熱硬化性樹脂繊維の製造に好適な器具を示す図である。
【図2】図2は本発明に従う熱硬化性樹脂繊維構成要素と補強用繊維構成要素とを含む複合材材料の縦方向の断面図である。
【図3】図3は発明の別の実施形態に従う、熱硬化性樹脂繊維構成要素と補強用繊維構成要素とを含む複合材材料の断面図である。
【図4a】図4aは本発明のさらなる実施形態に従う、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素と補強用繊維構成要素とを含む複合材材料の縦方向の断面図である。
【図4b】図4bは本発明に従うさらなる複合材材料の縦方向の断面図である。
【図4c】図4cは、図4bの複合材材料の一実施形態の横方向の断面図である。
【図4d】図4dは図4bの複合材材料の別の実施形態の横方向の断面図である。
【図5a】図5aは硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素とさらなる繊維構成要素とを含む複合材材料を示す図である。
【図5b】図5bは熱硬化性樹脂繊維構成要素とさらなる繊維構成要素とを含むさらなる複合材材料を示す図である。
【図6】図6は、本発明に従う、硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素と熱可塑性繊維構成要素とを含む複合材材料のさらなる実施形態である。
【図7】図7は本発明の実施形態に従う、熱硬化性樹脂繊維構成要素と、熱可塑性繊維構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料を示す図である。
【図8】図8は、本発明のさらなる実施形態に従う、熱硬化性樹脂繊維構成要素と、熱可塑性繊維構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料縦方向の断面図である。
【図9】図9は、本発明のさらなる実施形態に従う、熱硬化性樹脂繊維構成要素と、熱可塑性繊維構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料の断面図である。
【図10】図10は本発明のさらなる実施形態に従う複合材材料縦方向の断面図である。
【図11】図11は本発明のさらなる実施形態に従う複合材材料縦方向の断面図である。
【図12】図12は本発明の別の実施形態に従う複合材材料の縦方向の断面図である。
【図13】図13は本発明の複合材材料の製造方法を示す図である。
【図14】図14は本発明に従う複合材材料の別の製造方法を示す図である。
【図15】図15は、硬化用の型装置内に設置された、本発明に従う多層複合材、すなわち予備成形体を示す図である。
【図16】図16は、トウの配置に使用されている本発明を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、熱硬化性樹脂繊維構成要素、熱硬化性樹脂繊維を含む複合材材料及びこのような複合材材料を使用して製造された複合材物品並びに該複合材物品の製造方法に関するものである。
【0062】
図1は複合材材料の製造に使用するための硬化可能な熱硬化性繊維樹脂構成要素10の一部を示す図である。
【0063】
この熱硬化性繊維構成要素10は細長い。該繊維構成要素10の寸法は、所望の複合材材料を製造するのに好適となるように設計できるが、ただし、これらは、通常、1〜50ミクロンの範囲内の直径を有するであろう。熱硬化性樹脂繊維構成要素10は、熱硬化性樹脂の単繊維を含むことができる。或いは、繊維構成要素10は、スレッド又は紡績糸を形成するように共に混合された複数の繊維を含むことができると考えられる。
【0064】
図1bは、このような繊維構成要素の方向Ibにおける断面を示している。この繊維は、例えばそれらを加撚することによって又は繊維のスレッド若しくは紡績糸を形成させるための他の任意の好適な方法によって混合できる。使用される熱硬化性樹脂の特性及び特徴は、それから製造される材料に従って選択される。該熱硬化性繊維構成要素内の繊維又はその1種以上は熱硬化性樹脂のブレンドであることができる。その代わりに又はそれに加えて、該熱硬化性樹脂繊維構成要素内の様々な繊維は様々な樹脂を含むことができるため、例えば、構成要素は、数種の樹脂のうちの1種又はそれらのブレンド(該ブレンドを構成する該樹脂において他のものとは異なる組合せとなるように)をそれぞれ含む2種の異なるタイプの繊維を有することができる。そのため、例えば、繊維の一方のタイプがエポキシ樹脂を含むことができ、他方がシアヌル酸エステル樹脂を含むことができるであろう。さらなる選択肢では、該熱硬化性繊維構成要素は、それぞれ同種の樹脂のブレンドを含むが、該ブレンド内の樹脂が異なる量で存在するという点で、それぞれの組成が相違する2種以上のタイプの繊維を含むことができる。例えば、繊維の一方のタイプは数種のエポキシ樹脂のブレンドを含むことができ、該構成要素内の他のものは、同じエポキシ樹脂の異なるブレンドを含むことができる。該構成要素中における任意の添加剤の性質は同一であっても、異なるタイプの繊維間で相違してもよい。
【0065】
本発明は、当業者が樹脂組成物を処方し、そしてその組成物を繊維の形で熱硬化性樹脂繊維構成要素に取り込んで、所望の物理的特性と化学的特性とを有する硬化性複合材材料及びそれから作られた物品を作製できるようにするものである。
【0066】
好適な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂類、シアヌル酸エステル樹脂類、BMI類(ビスマレイミド類)、ポリペンゾキサジン、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリエステル類及び当業者に周知の他のものが挙げられる。
【0067】
樹脂繊維構成要素10は、硬化した特に熱硬化性樹脂の靱性を向上させるために与えることができる熱可塑性重合体などの添加剤を含むことができる。熱可塑性物質のタイプと量は、該構成要素内の様々なタイプの繊維間で相違することができる。
【0068】
所定の実施形態では、熱硬化性樹脂繊維構成要素10は硬化剤を含まない。これは、繊維構成要素10が安定であることを確保し、それによって繊維10に比較的長い貯蔵寿命又は保存寿命を与える。
【0069】
しかしながら、いくらかの硬化剤を繊維構成要素10に、好ましくは硬化を開始又は促進させるための特定の条件にさらされるまで熱硬化性樹脂の硬化を促進しない形式で与えることも本発明の範囲内にある。
【0070】
図1cは、本発明に従う熱硬化性樹脂繊維構成要素10を製造する単純な方法を示している。液状熱硬化性樹脂(溶融物)は、貯蔵タンクTの基部B内にある開口部Hから構成されるダイ又は紡糸口金を介して吐出される。圧力を加えて該樹脂をダイから押し出すことができる。樹脂繊維Fが該タンクの基部から出てくるときに、通常はこれらのものを冷却して固化させてから、巻き取りホイールW上に集める。
【0071】
タンクTが静止状態にある場合には、熱硬化性樹脂繊維Fは、単繊維又は熱硬化性樹脂のストランドを含み、それぞれが本発明の熱硬化性樹脂繊維構成要素10に対応するであろう。
【0072】
タンクTが垂直軸の周りを回転する場合には、繊維Fがダイから出てくると互いに巻き付けられる。次いで、この撚糸又は熱硬化性樹脂繊維構成要素10は、プロセス進行の間巻き取りホイール上に集められる。
【0073】
図1cの装置は、そこから出る熱硬化性樹脂のせいぜい4本のストランド又は繊維Fを示している。しかしながら、開口部Hは、1個の開口から数千の開口までを範囲とすることができることが分かるであろう。
【0074】
この製造方法は、タンクTに単一のタイプの熱硬化性樹脂処方物を装入する場合には、単一の処方物の熱硬化性繊維構成要素を製造することができる。
【0075】
しかしながら、タンクTは、多数の別々のチャンバーであってそのそれぞれに異なる樹脂処方物を装入することができるものに細分できる。これは、異なる樹脂組成物及び/又は処方物を有する複数の繊維を含む本発明に従う熱硬化性樹脂繊維構成要素10を製造するのを可能にする。
【0076】
好適な硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素は、N,N,N,N−テトラグリシジル−4’4−ジアミノジフェニルメタン及びそれに溶解されるポリエーテルスルホンを使用して製造された。
【0077】
熱硬化性樹脂繊維構成要素は、概して手触りが非粘着質であるため、手作業での取り扱いが容易である。熱硬化性樹脂構成要素10は、一般に、約23℃の温度で5×104Pasよりも大きい粘度、より好ましくは2×105Pasを超える粘度を有する。以下で議論するように、硬化中に粘度は2×103Pas未満に降下し、含浸を促進させる。
【0078】
熱硬化性樹脂繊維構成要素は、一般に、3〜50ミクロン、最も好ましくは5〜10ミクロンの直径を有する。繊維の寸法は、製造される各繊維の直径及び構成要素10内の繊維の数を参照して設計できる。
【0079】
この処方物に従う熱硬化性樹脂は、冷凍保存されたときには12ヶ月を超える保存寿命、周囲温度(18〜23℃)で保存された場合には3〜12ヶ月の保存寿命を有する。
【0080】
本発明に従う熱硬化性樹脂繊維10は、多くの科学技術及び産業に応用され、特に興味深いのは、硬化性複合材材料及びそれから作られた複合材物品を製造する際に当該繊維10を使用することである。
【0081】
図2は、補強繊維構成要素14に織られる上記硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素10を含む硬化性複合材材料12の断面図である。図の全てにおいて、熱硬化性樹脂構成要素は誇張された直径で示されている。これは、説明を明確にするためのである。一般に、熱硬化性樹脂構成要素の直径は、繊維の充填を促進させるために、該複合材材料内の他の繊維構成要素の直径と同一又は同等である。
【0082】
補強用繊維構成要素14は、炭素、ガラス、アラミド、セラミック又は当業者に知られている他の材料など、既知の任意のタイプのものであることができる。
【0083】
補強用繊維構成要素14は、織られたマット、編まれたマット、連続的なマット、不連続的なマット、一方向性のマット、細断されたマット、ランダムなマット又は当業者に知られている当該材料の他の任意の構造であることができる。図2の補強用繊維構成要素は、層の形態をとる。
【0084】
このような複合材材料12には多数の利点がある。
【0085】
まず、熱硬化性樹脂繊維構成要素10は安定であり、硬化剤の存在が制限され又は硬化剤が禁止されているため一般に早期の硬化に対する抵抗性があるが、これは、複合材材料12に良好な貯蔵特性と比較的長い保存寿命とを与える。
【0086】
繊維層14の厚み(T)を貫いて、かつ、その長さ(Lで示される方向)に沿って繊維構成要素10をスレッディングさせることにより、繊維層14全体にわたる熱硬化性樹脂構成要素10の良好でかつ概ね均一な分布となることが確保される。これにより、硬化の間に繊維層14内への熱硬化性樹脂の均一かつ迅速な含浸が提供される。
【0087】
この繊維構成要素10を均一に分布させることができる能力により、比較的少量の樹脂を繊維層14に取り入れることが可能になると共に、さらに硬化中に十分な含浸と「湿潤」とが達成され、それによって硬化前には90:10(90%vf)程度に高い補強用繊維対熱硬化性樹脂比で、硬化後には55〜65%VfまでのVf低下で、複合材材料を製造することが可能になる。
【0088】
また、構成要素10の繊維形態は、優れた排気特性を与える。というのは、繊維10は、移動が大きくは損なわれず、そのため硬化中に空気の除去が大きくは損なわれないからである。
【0089】
さらなる利点は、概ね非粘着性の熱硬化性繊維10により、材料12に良好な操作特性が与えられることである。
【0090】
複合材材料12は、プレプレグ材又は予備成形物の形態にあるとみなすことができ、また、これを切断して造形し、そして従来のプレプレグ材及び予備成形物成形技術に従って成形することができる。
【0091】
一般に、図2の複合材材料12を使用して硬化複合材物品を製造するために、材料12を一般的に知られている技術に従って硬化させる。該構成要素自体の中に十分な硬化剤が存在せず又は硬化剤が全く存在しない場合には、硬化プロセスには、硬化剤を熱硬化性樹脂繊維構成要素10に導入することが必要である。硬化剤は、典型的には硬化剤と触媒とを含み、かつ、典型的には処理温度で非常に低い粘度を有する非常に流動的なものである。これは、硬化剤が繊維層14に迅速に含浸し、かつ、材料12を「湿潤」させることを可能にする。繊維層14内の空気は、以下で説明するように、硬化剤の含浸中及び硬化中に追い出される。
【0092】
図15は本発明に従う複合材材料から複合材物品を製造するために使用できる単一の成形装置15を示す図である。この装置15は、成形型表面18を有する型又は成形型16を備え、該表面18上には複合材材料12a、12b、12cの3層を有するスタック17が設置されている。下層及び上層12a、12cは、図2に示す複合材材料12を備え、中間層12bは、図4aに関連して説明した複合材材料を示す。しかしながら、積み重ねられる複合材材料の性質、数及び方向は、当業者であれば、成形物品の所望の特徴に従い、かつ、既知の技術に従って変更及び選択できる。実際、このスタックは、樹脂、乾燥繊維、ベール、接着剤、コア、シンタクチックフォーム及び硬化複合材物品の製造に慣用的に使用される任意の他の好適な材料及び構造の層を有することができる。
【0093】
この装置はスタック17の外部周辺をシール22により従来の態様で密封した不浸透性重合体バッグ20を含む単純な真空バッグ装置を備える。
【0094】
所望の複合材スタック17を形成し、しかも膜20aの概ね真下で密封したら、硬化剤を導入する。これは、樹脂トランスファー成形、液状樹脂注入及び当業者に周知の他のものなど、樹脂注入技術に類似する技術を使用して行うことができる。
【0095】
上記のように、硬化剤は、非常に低粘度の液体として導入され、スタック17を急速に湿潤させる。硬化剤は、通常、粘度を減少させるために、複合材材料に導入される前に加熱され、続いて、湿潤したスタック17を好適な硬化条件に付すが、これは、昇温及び/又は真空条件を含むことができる。図15では、空気の除去及び間隙形成の防止を容易にするための出口24を示しており、この出口を介して空気を膜20の下から引き出しす。。
【0096】
本発明の複合材材料を使用して形成された複合材物品は、空隙をほとんど又は全く有していないことが分かった。熱硬化性繊維構成要素の繊維状の性質により排気が促進される。該構造内の空気を、繊維を超えて引き出すことができ、その後繊維は溶融し始める。温度が上昇すると、樹脂構成要素が溶融して補強用繊維を湿潤させる。該熱硬化性繊維構成要素を繊維質補強材全体にわたって完全かつ均一に分布させることができることにより、複数層の形態かそうでないかを問わず、該構造体全体にわたって均一な硬化が確保され、該複合材の特定の領域内における早期の硬化が概ね防止され、それによって、樹脂が繊維補強材層全体にわって均一には分布しない既知の装置において生じる可能性のある空気の閉じこめが防止される。
【0097】
図3は本発明のさらなる実施形態に従う複合材材料26の断面図である。この実施形態では、熱硬化性繊維構成要素10a、bは、2つの方法で補強用繊維構成要素14に混合されている。繊維構成要素10aは、図2に関連して説明した実施形態と同様に、構成要素14の厚みを貫いて織られ又は編まれている。
【0098】
繊維構成要素10bは、補強用繊維構成要素14の長さに沿って該構成要素内に通され又は織られているが、ただし、厚みTには及んでいない。
【0099】
この構成は、より多くの熱硬化性樹脂を補強用繊維構成要素14内に分布させて、硬化中及び硬化後の均一な含浸を促進させることを可能にする。さらに、所望ならば、補強用繊維14内に1種以上の繊維構成要素10を製織又はスレッディングすることにより、各熱硬化性樹脂繊維構成要素10a、b内の様々な熱可塑性樹脂及び他の添加剤を材料26に取り入れることが可能になる。
【0100】
熱硬化性樹脂繊維構成要素の多くの組合せを補強用繊維構成要素14と混合して(及びその逆)、所望の特性を有する複合材材料及びそれから作られた物品を製造できることが分かるであろう。
【0101】
図4aは、熱硬化性繊維構成要素10bが補強用繊維層14内にそれに沿って通された、本発明のさらなる実施形態に従う複合材材料28を示している。熱硬化性繊維構成要素10bは同一であってよく、又はそれらのいくつか若しくは全ては配合の点で異なっていてよい。
【0102】
熱硬化性樹脂繊維構成要素をスレッディング、製織、縫いなどを含めた任意の好適な技術を使用して補強用繊維構成要素と混合できることが分かるであろう。
【0103】
樹脂繊維10を繊維層14の1以上の表面に設置すること、その上に置くこと又は該表面に浅く織り込むことも、本発明の範囲内にある。しかしながら、このような構成は、一般に、上記の利点の全て、特に繊維層14の厚みを貫いて混合されたものの利点を享受しないため、例示はしない。
【0104】
図4bは、一方向の熱硬化性樹脂構成要素10dが長さ方向に延びる一方向の補強用繊維構成要素31を含む複合材材料29を示している。図4cは、材料29全体にわたる熱硬化性樹脂繊維構成要素10dの概ね均一な分布を示す材料29の断面である。図4dは、材料29が熱硬化性物質10dを有する層の形態にあり、その中に概ね均一に分布した構成要素31を補強する別の構成を示している。
【0105】
図5aは一般らせん構造で非補強用繊維構成要素32(一実施形態では、これは熱可塑性である)が巻き付けられた硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素30を備える複合材材料34を示す図である。熱可塑性重合体は、熱硬化性樹脂の靱性を改善させることが知られており、また、熱硬化性物質の繊維と熱可塑性物質の繊維との混合繊維を含む複合材材料34を提供すると、その後強化繊維補強複合材物品か又は非繊維補強複合材材料及び物品のいずれかを製造するために使用できる安定な材料、例えば接着材が得られる。
【0106】
また、一般の繊維又はスレッド様の構成を有する材料34を、上記実施形態で説明したのと概ね同様の態様で織り、通し、編み、さもなくば繊維補強材、特に繊維質材料の層と混合することもできる。
【0107】
熱硬化性繊維構成要素30の周囲に巻き付けられる熱可塑性繊維構成要素32の利点は、熱硬化性物質に対する熱可塑性物質の均一な分布を与え、それによって均一な靱性を提供することである。
【0108】
熱可塑性繊維構成要素32は、当業者に知られておりかつ繊維構造に形成可能な熱可塑性重合体のいずれか1種又は多数の熱可塑性重合体を含むことができる。このような重合体の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリシロキサン及び他のタイプの様々なゴムが挙げられる。一般に、熱可塑性構成要素は半結晶性であることが好ましい。
【0109】
本発明の熱可塑性繊維構成要素は、熱可塑性物質の1種以上の繊維を含むことができる。
【0110】
熱硬化性樹脂繊維構成要素対熱可塑性繊維構成要素の比は、複合材材料及び最終的にはそれから製造された複合材物品の所望の特性に従って変更及び決定できる。
【0111】
ほとんどの用途について、熱硬化性樹脂繊維対熱可塑性構成要素の比は、90/10〜70/30の範囲にあり、最も好ましくは約80/20v/vである。
【0112】
熱可塑性構成要素32を図5bに示すように熱硬化性樹脂繊維構成要素30上にまき散らすことができる。
【0113】
また、図6に概略的に示すように、熱硬化性繊維構成要素を熱可塑性構成要素の周囲に巻き付けること、及び熱硬化性物質と熱可塑性物質とを手作業で編み合わすことも本発明の範囲内にある。
【0114】
例示はしていないが、図5a及び図6の説明と同様の補強用繊維構成要素(符号30は補強用繊維構成要素を表し、32は熱可塑性樹脂構成要素又は熱硬化性樹脂構成要素を表す)の周囲に巻き付けることも本発明の範囲内にある。
【0115】
補強用繊維のスレッド又は糸の周囲に熱硬化性樹脂繊維を巻き付けることは、長さに沿って切断される点にまで目的を持って伸ばされた、本質的に炭素繊維を含む伸長・切断補強繊維において特定の用途に応用される。これは、特定の風合い及び順応性の利点を提供するが、該炭素繊維材料の構造を本来的に弱める。該伸長切断糸の周囲に本発明の熱硬化性樹脂の繊維を包み込むと、該伸長切断糸を安定化させかつ強化することが分かった。
【0116】
別の実施形態では、非補強用繊維構成要素32は硬化剤を含む。
【0117】
硬化剤は、熱硬化性樹脂構成要素30を硬化条件に付したときに該構成要素を完全に硬化させるのに十分な量で与えることができ、或いは必要な硬化剤の一部を含むことができる。
【0118】
ただし、熱硬化性樹脂との硬化相互作用を全く又はほとんどを有しないことが好ましい。これは、概ね固体の2種の繊維構成要素間の限られた物理的接触により及び/又は硬化剤が温度感性でありかつ所定の温度(一般にこれ未満で上記材料が保存されるであろう)未満で相当の硬化特性を示さないことによって達成できる。
【0119】
また、非補強用構成要素32は、1種以上の硬化剤と、1種以上の熱可塑性物質と、1種以上の他の添加剤とのブレンドであることができることも本発明の範囲内にある。
【0120】
また、本発明は、熱硬化性樹脂繊維構成要素と、非補強用繊維構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料も提供する。
【0121】
図7は複合材材料36を示す図であり、該材料は中心補強用繊維構成要素38を備え、該構成要素の周囲には、二重らせん型の配置を形成するように、熱硬化性繊維構成要素40と、それに対して間隔を開けた状態でさらなる非補強用繊維構成要素42とが巻き付けられている。このような配置は、その後に複合材物品及び部品を形成するのに使用できる安定な複合材材料を与えることができる。材料36は、補強用繊維構成要素38の周囲にその長さに沿って熱硬化性樹脂構成要素とさらなる非補強用繊維構成要素との概ね均一な分布を提供する。
【0122】
別の配置では、中心構成要素38は熱硬化性物質又はさらなる非補強用繊維構成要素であることができ、その他のもの及び補強用繊維構成要素が概ね二重らせんの配置でその周囲に巻き付けられ得る。このさらなる非補強用繊維構成要素は上記のようなものであってよく、或いは材料36に含まれる他の熱硬化性繊維構成要素と同一であっても異なっていてもよい第2の熱硬化性繊維構成要素を含むことができる。
【0123】
この二重らせん配置は、概ね等置された配置であることができ、或いはその繊維構成要素は、より接近しかつより伸長した配置で又は複数の構成要素が好ましくは互いにその周囲に巻き付けられ又は絡みつけられる任意の好適な配置で走ることができる。
【0124】
図13は、図7に関連して説明した複合材材料を製造する装置及び方法を示す図である。
【0125】
単一の容器V1、V2内にある2つの別個の容器又はチャンバーに液状樹脂を充填する。例えば、V1に熱硬化性樹脂処方物を充填することができ、容器V2にさらなる(同一の又は異なる組成物であることができる)熱硬化性樹脂若しくは場合によっては熱可塑性物質、硬化剤又はこれらの組合せを充填することができる。容器V1及びV2は加熱できる。圧力を概ね矢印Pの方向に加える。容器V1及びV2の基部内に又は基部に向かって、液体材料が引き出される孔又はスリット(図示しない)の形であることができる開口が存在する。容器V1とV2との間には、補強用繊維Yの繊維又は糸が中心に向かって延び、そしてこれは、該材料(図示しない)の供給源から巻き取りホイール又はボビンBに延びている。容器V1及びV2は補強用繊維Yの周囲を回転し、その結果、それぞれの容器V1及びV2から出る樹脂のスレッドが糸Yの周囲に巻き付けられる。容器V1及びV2の相対的な回転速度と、ボビンBへの繊維Yの巻き取り速度とは、中心糸上への樹脂スレッドの配置が要求どおりとなるように調整される。
【0126】
図8は、熱硬化性構成要素と、熱可塑性構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料43のさらなる実施形態を例示するものである。複合材材料43は、上記のような繊維質材料114の層を含む。熱硬化性構成要素44のスレッドは、厚みTを貫きかつ繊維層114の長さに沿って(矢印Lの方向に)織られ又は編まれており、また、熱可塑性繊維構成要素46は該層内に通されている。熱硬化性繊維44及び熱可塑性構成要素46を置き換えることができることが分かるであろう。
【0127】
図9は、熱硬化性構成要素50と熱可塑性構成要素52との両方を、望ましくは概ね均一に間隔を開けた配置で、繊維層114の厚みを貫いて織られ又は通され又は編まれている、さらなる複合材材料48を示している。
【0128】
これらの配置の全てにおいて排気特性が良好であり、また、硬化中に、熱硬化性構成要素と熱可塑性構成要素とが繊維層114内に全体にわたって均一に混じり合って本質的に空間のない均質でかつ均一に強化された硬化複合材物品を与えることが示される。
【0129】
図10は、複合材材料54の断面図であり、該材料は、補強用繊維構成要素214を含み、該構成要素には熱硬化性樹脂構成要素210が通されており、また、材料54の側には追加の材料である層56があり、該層は、補強用繊維構成要素214の表面上につながれた又はその中に部分的に含浸された樹脂層を含むことができる。
【0130】
層56は、任意の材料のものであることができ、かつ、例えば、硬化中に補強用繊維構成要素214の「湿潤」を完了させるのに必要なさらなる樹脂を含むことができる。この追加の樹脂は、通常、熱硬化性樹脂繊維構成要素210によって与えられる熱硬化性樹脂の量が補強用繊維構成要素54を完全に湿らせるのには不十分な場合にのみ必要となるに過ぎないであろう。
【0131】
図11は、熱硬化性樹脂繊維構成要素310が略城郭風の配置で編まれた補強用繊維構成要素314を含む材料58を示す別の実施形態である。材料58の一方の側には、繊維補強材料60のさらなる層があり、これは、乾燥繊維を含むことができ又は部分的に若しくは完全に含浸した繊維補強プレプレグ材を含むことができる。
【0132】
図12は、図4aの実施形態と同様の態様で複数の熱硬化性樹脂繊維構成要素410が通された補強用繊維構成要素414を有する複合材材料62を含むさらなる実施形態を示す。
【0133】
補強用繊維構成要素414の側には、樹脂の小塊又はさらに均一な他のパターン64がある。これらのものは、熱硬化性樹脂繊維構成要素410から熱硬化性樹脂を追加して硬化中に補強繊維構成要素414全体にわたり熱硬化性樹脂が適切に含浸しかつ湿潤するのを確保するために与えられ得る。また、この樹脂小塊又はパターン64(図10の実施形態の層56と同様の態様で)は、概ね乾燥した別の複合材材料への表面接着をも与え、それによって硬化にわたって又は硬化中に該複合材材料の配置を容易にする。
【0134】
上で議論した複合材材料の全ては、いかなる硬化剤も又は十分な硬化剤(この場合、熱硬化性樹脂繊維構成要素の硬化を促進させるのに必要な硬化剤は、硬化が起こるべきときまで前記材料から遠ざけられる)が無いように製造できる。上記のように、硬化剤は、触媒と硬化剤とを典型的に含み、かつ、「保管」後又は保管プロセス中に樹脂注入に類似する技術及び当業者に周知の他の技術によって型中又は成形型表面上に軽質液体の状態で複合材料に導入される。
【0135】
硬化剤の非常に低い粘度のため、これらの硬化剤は、噴射又はさらには塗装などの他の技術でも適用できるが、ただし、特に真空条件が適用されない後者の場合には、交互に積み重ねられた複合材材料間に硬化を適用することが好ましいであろう。
【0136】
また、上記のように、硬化剤のいくらか又は全てを複合材材料の一部分として与えることも本発明の範囲内にある。これらの実施形態について、硬化剤は、固体であるか、又はそうでなければ貯蔵条件下において該材料内でのその移動を防止する又は妨げるように高粘度のものであり、及び/又は、これらのものは、感温性があるか、又はそうでなければ複合材材料において比較的不活性な状態で存在することができる。
【0137】
一実施形態では、硬化剤は、繊維構成要素又は粒状の形態にあることができ、かつ、上記の複合材料内に存在することができるが、ただし、望ましくない早期の相互作用及び硬化を妨げるように熱硬化性繊維構成要素からは間隔を開けて存在する。例えば、硬化剤が繊維の形態にある場合には、これは図7における実施形態の繊維構成要素40、42のうちの一方を含むことができ、該構成要素の他方は、それとは間隔が開いた熱硬化性樹脂構成要素である。非貯蔵条件、硬化条件又は予備硬化条件の適用時には、熱硬化性繊維構成要素及び硬化剤繊維構成要素は、溶融及び融合して反応して硬化するであろう。補強用繊維構成要素は、該材料内において熱硬化性樹脂繊維構成要素を硬化剤から離すように作用することができる。
【0138】
図14は、本発明に従う複合材材料を形成させるのに好適なさらなる装置を示す図である。この装置は、従来のプレプレグ材を形成する際に知られている装置と非常に類似するものである。複合材材料に導入される繊維がこれまでには知られていない熱硬化性樹脂繊維を含む点に進歩がある。
【0139】
図14には、それぞれ本発明に従う複合材材料を形成させる際に使用するための繊維質材料を与える繊維1、2、3の3つの供給源が示されている。
【0140】
例えば、供給源1は、本発明に従う熱硬化性樹脂繊維構成要素の供給源を含むことができる。供給源2及び3は、補強用繊維構成要素、他の非補強用繊維構成要素、さらなる熱硬化性樹脂繊維構成要素又は他の様々な組合せを含むこともできる。
【0141】
本質的には、それぞれの供給源1、2、3からの繊維構成要素は、ドラムD1、D2の周囲に供給され、そしてローラーR1、R2を通って供給されて共にひとまとめにされて複合材材料が形成され、次いで、さらなる樹脂層、支持基板などのような従来技術に従ってさらに処理加工される。
【0142】
図14の装置は、例えば、図4a、4b、4c、4d、図12に関連して説明した複合材材料を形成させるのに好適である。装置14によって製造される複合材材料のさらなる処理加工としては、例えば図3及び図8に示されるような複合材材料を製造するための編みを挙げることができる。
【0143】
また、本発明の材料は、トウ配置方法においても使用できる。図16は、トウ配置で使用される本発明の熱硬化性繊維構成要素の使用を示す図である。
【0144】
この装置は、通常、トウ配置用の従来型の装置である。しかしながら、熱硬化性繊維は、補強用繊維及び硬化剤繊維(又はより熱硬化性の繊維又は任意の他の繊維)と共に配置ヘッドHに供給される。次いで、ヘッドHに供給される3つの繊維構成要素を、巻き付けを達成するためにその軸の周りを回転する心棒M上に設置し、その周りに巻き付ける。ヘッドHは、心棒Mの長さを上下に移動して繊維の均一な巻き付けを確保する。
【0145】
該ヘッドに供給される繊維の数と性質は、心棒M上に巻き付けられる繊維の性質と数に従って変更できる。例えば、1以上の熱硬化性繊維構成要素をヘッドHに供給できる。この複数の熱硬化性繊維構成要素は、同一であっても互いに異なってもよい。補強用繊維の数と性質も変更できる。硬化剤は、繊維の状態で与えなくてもよく、他の方法で適用できる。例えば、硬化剤は、上で議論するように補強用繊維構成要素及び/又は熱硬化性繊維構成要素内に供給できる。さらなる非補強用繊維構成要素を使用することができる。
【0146】
トウ配置技術を使用して採用できるかなりの数の選択肢及びバリエーション、並びにこのような技術において本発明に従う熱硬化性樹脂繊維構成要素を使用する利点について、当業者であれば明白であろう。
【0147】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の変更を行うことが可能である。
【0148】
上記実施形態において、例示した熱硬化性繊維構成要素及び非補強用繊維構成要素の数が特に少ないことが分かるであろう。単繊維を含む構成要素及び単繊維構成要素を使用することは本発明の範囲内にあるが、多くの(おそらくは数百又は数千の)繊維構成要素を本発明の複合材材料に与えることも一般的であろう。
【0149】
さらに、本発明の熱硬化性樹脂繊維構成要素を使用して製造できる複合材材料については非常に多くの構成が存在すること、及び、上記実施形態は、本発明に従って製造できる材料の顕著な利点と幅広い用途と配置とを例示するために選択された選択肢に過ぎないことが分かるであろう。
【0150】
本発明の多くの用途については、複合材材料であって、構造全体にわたって均一な特性を示す複合材物品の製造のために与えられる全ての熱硬化性繊維構成要素がその全体にわたり又は概ね全体にわたり均一に分布したものを提供することが通常は優先される。
【0151】
しかしながら、所定の用途については、異なる繊維構成要素の分布は意図的に不均一であり、そして中の構成要素が不均一な材料を形成させるように選択できであり、そのためある領域又は範囲とは異なる特別設計の特性を有する他の領域又は範囲を有する物品を製造することが可能である。構成要素、特に本発明の熱可塑性樹脂構成要素は、このような材料及び物品の製造を促進させる。
【0152】
例えば、熱硬化性構成要素及び/又は非補強用構成要素は、図面を参照しつつ、厚みTを貫きかつ長さLに沿って延びるように説明しかつ例示してきたが、これらのものは、該長さの一部、該長さの多数の部分、該厚みの途中などまでに延びるように与えることができる。また、勿論、このような材料は、一般には所定の幅も有し、多くの場合これは層又はシートの形態であり、しかも、構成要素は、この幅にわたって所定の位置又は領域にのみ与えることができる。
【0153】
構成要素の繊維質形態は、このような選択的な態様で容易に与えられる構成要素をもたらす。これらのものは、例えば、単に所定の位置で補強用繊維に編み込まれ、及び/又は補強用繊維のマトリックスに織り込まれ、若しくはそうでなければ通されることが可能である。さらに、特に図5及び7を参照しながら例示した構成要素は、中心構成要素の長さに沿って所定の間隔の開いた領域に備えられ得る。
【0154】
また、本発明に従う複合材材料は、接着材及び他の非繊維補強材料としても応用されるであろう。前記実施形態、特にいずれの補強用繊維構成要素も存在しないものこのような用途に使用できる。
【0155】
本明細書においては、特に重要だと思われる本発明の特徴に対して注意を促そうとするものであるが、本出願人は、特に強調したかどうかを問わず、図面で言及し及び/又は図面に示した特許性のある任意の特徴又は特徴の組合せに関して保護を請求するものであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0156】
10 熱硬化性繊維構成要素
12 硬化性複合材材料
14 補強繊維構成要素
15 成型装置
17 スタック
20 不浸透性バッグ
28 複合材材料
30 熱硬化性繊維構成要素
32 熱可塑性繊維構成要素
36 複合材材料
38 中心補強用繊維構成要素
40 熱硬化性繊維構成要素
43 複合材材料
44 熱硬化性構成要素
46 熱可塑性繊維構成要素
50 熱硬化性構成要素
52 熱可塑性構成要素
54 複合材材料
56 層
60 繊維補強材料
62 複合材材料
114 繊維質材料
210 熱硬化性樹脂構成要素
214 補強用繊維構成要素
310 熱硬化性樹脂繊維構成要素
314 補強用繊維構成要素
410 熱交差性樹脂繊維構成要素
414 補強用繊維構成要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材材料の製造に使用するための硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素が複数の熱硬化性樹脂繊維を含む、請求項1に記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素内の1種以上の繊維が連続的である、請求項2に記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素内の1種以上の繊維が不連続的である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項5】
前記繊維が一方向性である、請求項2〜4のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項6】
前記繊維が編み合わされたものである、請求項2〜5のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素がエポキシ樹脂、シアヌル酸エステル樹脂、BMI(ビスマレイミド)、ポリペンゾキサジン、ポリイミド、フェノール樹脂及びポリエステルのうち1種以上を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項8】
前記繊維構成要素内の1種以上の繊維が多数の熱硬化性樹脂のブレンドを含む、請求項2〜7のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項9】
前記構成要素が様々な熱硬化性樹脂及び/又はそれらのブレンドを含む複数の異なる繊維を有する、請求項2〜8のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素が、特に硬化したときに該熱硬化性繊維構成要素を強化するように作用する1種以上の熱可塑性物質を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項11】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素が硬化剤をほとんど又は全く含まない、請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項12】
前記熱硬化性繊維構成要素が硬化剤を含み、該硬化剤は比較的低温では阻害され、そのため該構成要素が冷凍条件又は冷蔵条件で保存される場合に阻害される、請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項13】
前記熱硬化性構成要素が23℃の温度で5×104Pasを超える粘度を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項14】
前記熱硬化性構成要素が23℃の温度で2×105Pasを超える粘度を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項15】
前記繊維構成要素が3〜50ミクロンの直径を有する、請求項1〜14のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項16】
前記繊維構成要素が5〜10ミクロンの直径を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項17】
前記硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素がN,N,N,N−テトラグリシジル−4’4−ジアミノジフェニルメタン及びポリエーテルスルホンを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項18】
熱硬化性樹脂繊維構成要素と該熱硬化性樹脂繊維構成要素の硬化を促進させるための硬化剤とを含む複合材材料。
【請求項19】
前記硬化剤が、前記熱硬化性樹脂繊維との接触及び相互作用を、該繊維間の硬化相互作用が冷凍及び冷蔵といった好適な保存条件下で比較的緩やか又は実質的に回避されるように低減させるように、粒状若しくは繊維状といった固体又は他の非常に粘性の状態である、請求項18に記載の複合材材料。
【請求項20】
硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素と補強用繊維構成要素とを含む複合材材料。
【請求項21】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素が請求項1〜17のいずれかに記載のものである請求項20に記載の複合材材料。
【請求項22】
前記それぞれの繊維構成要素の外径が実質的に同一である、請求項20又は請求項21に記載の複合材材料。
【請求項23】
前記補強用繊維構成要素が炭素、ガラス、アラミド、セラミックのうち1種以上を含む、請求項20〜22のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項24】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素対補強用樹脂繊維構成要素の比が50:50〜10:90v/vの範囲内にある、請求項20〜23のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項25】
前記硬化性の熱硬化性樹脂繊維を硬化させることが望まれるまで前記熱硬化性樹脂繊維構成要素と接触しないように位置する硬化剤が与えられた、請求項20〜24のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項26】
前記補強用繊維構成要素中の繊維又は補強用繊維のいくつか若しくは全てが織られたもの、編まれたもの、連続的若しくは不連続的なもの、一方向に又はランダムに配向されたもの、細断されたもの、よじれたもの、編み合わされたものである、請求項20〜25のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項27】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素及び前記補強用繊維構成要素が共に織り、編み、撚り及び/又は編み合わせることによって混合された、請求項20〜26のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項28】
1種以上の熱硬化性樹脂繊維が1種以上の補強用繊維の周りにその長さに沿って巻き付けられた、請求項20〜27のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項29】
1種以上の補強用繊維が1種以上の補強用繊維の周りにその長さに沿って巻き付けられた、請求項20〜27のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項30】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素及び前記補強用繊維構成要素が略平行な配置で互いに並んで伸びている、請求項20〜27のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項31】
前記複合材材料は、熱硬化性樹脂繊維の層と補強用繊維の層とが少なくとも一つのそれぞれの表面上で接触してなる、請求項20〜30のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項32】
繊維の各層が織られたもの、編まれたもの、連続的若しくは不連続的なもの、一方向のもの又はランダムに配置されたものである、請求項31に記載の複合材材料。
【請求項33】
前記熱硬化性樹脂構成要素が、概ね均一に分布するように、織られ、編まれ、又はそうでなければ前記補強用繊維構成要素に通された、請求項20〜32のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項34】
前記熱硬化性樹脂構成要素が前記補強用繊維構成要素の1以上の所定の選択された領域で該構成要素内に織り込まれ、編み込まれ又はそうでなければ通されている、請求項20〜32のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項35】
前記補強用繊維構成要素が、前記熱硬化性樹脂繊維構成要素内に概ね均一に分布するように、該熱硬化性樹脂繊維構成要素に織り込まれ、編み込まれ又はそうでなければ通されている、請求項20〜32のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項36】
前記補強用繊維構成要素が、前記熱硬化性樹脂繊維構成要素内における予め決定されかつ選択された1箇所以上の領域で該熱硬化性構成要素に織り込まれ、編み込まれ又はそうでなければ通されている、請求項20〜32のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項37】
硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素と、さらなる非補強用繊維構成要素とを含む複合材材料。
【請求項38】
前記硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素が請求項1〜17のいずれかに記載されたものである、請求項37に記載の複合材材料。
【請求項39】
前記非補強用繊維構成要素が熱可塑性繊維構成要素を含む、請求項37又は請求項38に記載の複合材材料。
【請求項40】
前記熱可塑性繊維構成要素が複数の熱可塑性構成要素を含む、請求項39に記載の複合材材料。
【請求項41】
前記熱可塑性繊維構成要素がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリシロキサン及び様々なタイプのゴムなどの熱可塑性重合体の1種を含む、請求項39又は40に記載の複合材材料。
【請求項42】
熱硬化性樹脂繊維対非補強用繊維構成要素の比が90/10〜70/30、最も好ましくは80/20v/vである、請求項37〜41のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項43】
前記非補強用繊維構成要素が硬化剤を含んでいてよい、請求項37〜42のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項44】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素及び前記非補強用繊維構成要素が互いに混合されて複合材材料を形成した、請求項37〜43のいずれかに記載の複合材材料。
【請求項45】
熱硬化性樹脂繊維構成要素と、さらなる非補強用繊維構成要素と、補強用繊維構成要素とを含む複合材材料。
【請求項46】
前記3タイプの繊維のうちの2つ構成要素が所定の方法で共に混合され、続いて、同じ方法で又は異なる方法でこれら2つの構成要素が第3のタイプの繊維構成要素と混合された、請求項45に記載の複合材材料。
【請求項47】
前記非補強用繊維構成要素が、前記補強用樹脂繊維構成要素によって前記熱硬化性樹脂繊維構成要素から間隔が開けられている、請求項45又は46に記載の複合材材料。
【請求項48】
硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素を硬化条件に付して該構成要素を完全に又は部分的に硬化することを含む、複合材物品の製造方法。
【請求項49】
請求項1〜17のいずれかに記載の複合材材料を硬化条件に付すことを含む、複合材物品の製造方法。
【請求項50】
前記熱硬化性樹脂繊維構成要素又は複合材材料と硬化剤とを硬化プロセスの開始時又は開始直前に混合させる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記複合材材料内に硬化剤を含ませ、前記硬化条件を適用することによってその硬化作用を促進させる、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
硬化可能な熱硬化性樹脂繊維構成要素を使用し、かつ、該構成要素を、該熱硬化性樹脂繊維を硬化させるための条件に付して製造された複合材物品。
【請求項53】
請求項37〜47のいずれかに記載の複合材材料を、該複合材材料を硬化させるための条件に付すことによって製造された複合材物品。
【請求項54】
添付図面を参照しつつ本明細書において実質的に説明したとおりの硬化性の熱硬化性樹脂繊維構成要素。
【請求項55】
添付図面を参照しつつ本明細書において実質的に説明したとおりの複合材材料。
【請求項56】
添付図面を参照しつつ本明細書において実質的に説明したとおりの複合材材料。
【請求項57】
添付図面を参照しつつ本明細書において説明したとおりの複合材物品の製造方法。
【請求項58】
請求項1〜57のいずれかに記載の発明と同一の発明の範囲内にある又はそれに関連するかどうかを問わず、本明細書において開示した新規な主題又は新規な主題を含む組合せ。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−534149(P2010−534149A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517476(P2010−517476)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002378
【国際公開番号】WO2009/013458
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(500471032)アドバンスト コンポジッツ グループ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】