説明

熱転写ラミネートフィルム、熱転写シートおよび画像形成装置

【課題】2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感を実現し、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることが可能な印画物を提供することを可能にする。
【解決手段】基材フィルム11と、前記基材フィルム11の一方側の第1面S1側に形成されていて250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルム11の膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する非転写性離型層12と、前記非転写性離型層12に形成された画像保護層13とを有する熱転写ラミネートフィルム10である。また、前記基材フィルム11に、前記熱転写ラミネートフィルム10と、前記第1面S1側に形成されていて熱転写により画像を形成するインク層31とを有する熱転写シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写ラミネートフィルム、熱転写シートおよび画像形成装置に関するものである。
【0002】
従来より、印画紙に形成された画像、例えば、昇華性もしくは熱拡散性染料を使用した昇華型熱転写方式により形成されたインク画像には、そのインク画像保護するために熱可塑性樹脂からなる画像保護層をラミネートすることがなされている。
【0003】
画像保護層のラミネート方法については、熱ローラを用いてインク画像上に熱圧着する方法や、常温で接着剤を用いてインク画像上に接着する方法などが知られている。
また、基材フィルムとこの基材フィルム上に形成された熱可塑性樹脂からなる画像保護層とを有する画像ラミネートフィルムがある。この画像ラミネートフィルムの画像保護層を部分的に加熱加圧することにより、加熱部分の画像保護層のみを印画紙上に転写することができるようにしたものである。すなわち、熱転写ラミネートフィルムを使用する方法が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0004】
このような熱転写ラミネートフィルムを使用することにより、画像劣化の要因となるガスから画像を遮断することができる。また紫外線吸収性能を持たせて画像の変退色を防止することができる。また画像を形成しているインクが消しゴム等の各種可塑剤を含む物品へ移行することを防止することができる。このように、熱転写ラミネートフィルムを使用することにより、耐可塑剤性の付与、耐摩耗性の付与、耐皮脂性の付与といった様々な機能を持たせることができる。
【0005】
ところで、インク画像上に画像保護層をラミネートした印画物は、単なる画像印刷物にとどまらず、証明写真などの銀塩写真の代替目的としても使用されている。
【0006】
上述した熱転写方式では、基材フィルムとこの基材フィルム上に形成された熱可塑性樹脂からなる画像保護層のうち、画像保護層のみを部分的に加熱加圧することにより加熱部分の画像保護層のみを印画紙上に熱転写する。このため、画像保護層と基材フィルムとの剥離性などに主眼が置かれた材料設計となっているので、得られた印画物が有する光沢感と言った付加価値的な機能を制御するには至っていないのが現状である。
熱転写ヘッドは、その構造として、主走査方向に向かって、ヒーター部分が連続的に配列した構造をとっている。印画時には、そのヒーター部分が300℃以上の高温状態となる。その熱転写ヘッドからインクリボン(特に熱転写ラミネートフィルム)の厚み方向に熱エネルギーが伝達したとき、熱転写ラミネートフィルムを構成する各層および印画紙受容層に対して、熱転写ヘッドのヒーター部分の配列に対応した熱分布が発生する。上記各層としては、耐熱滑性層、基材フィルム、必要であれば易接着層もしくはプライマー層、非転写性離型層、画像保護層、接着層がある。そして、上記各層を構成する樹脂材料が溶融状態に達したときにも、同様な分布を持つようになる。
この結果、熱転写ヘッドを走査した後、インクリボンは、300℃以上の高温状態から冷却されていくことになる。この冷却期間に、インクリボンを構成する基材フィルムが熱変形(熱収縮)を起こすことから、同時に非転写性離型層および画像保護層との界面にまで、その変形が及ぶようになる。これにより、インクリボンが非転写性離型層と画像保護層界面で剥離され、画像保護層表面が露出した状態において、凹凸形状が形成され、表面形状があれることになる。このように表面があれた印画物に対して入射された光は、そのあれた表面で散乱されるので、印画物表面の光沢感が損なわれてしまうという欠点がある。
【0007】
従来、このような印画物の画像保護層表面に形成された凹凸形状により、光の散乱が起こり、光沢感が損なわれてしまうことに対し、以下のような対策が講じられてきた。
その一つに、熱転写ラミネートフィルムより画像保護層をインク面に熱転写した印画物に対し、表面粗さ25μm以下の平滑性表面を有するローラで2次的に加圧処理を施すことにより、光沢感を付与する方法(例えば、特許文献4参照。)があった。
また、熱転写ヘッドのヒーター部下流側に平坦な加圧面を設け、押す潰すことにより平滑面を得ることができる方法(例えば、特許文献5参照。)があった。
このように、印画物に対して表面加工処理を施すことにより、光沢感を向上させる方法が提案されている。
【0008】
また、画像保護層を転写した後の表面の光沢度の異方性を維持し、また高い光沢度を維持することができる昇華型熱転写リボン用のポリエステルフィルムなども提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0009】
しかし、これらの手段を用いた場合には、印画物に対して、2次的に処理を施す必要があり、昇華型プリンターのシステムそのものが大掛かりになる。また、2次処理を施すため、材料を余分に使用するなど、コスト的な不利益が生じる。さらに、基材フィルムを平滑化させるだけでは、銀塩写真と同様な光沢感を得るには不十分であった。
【0010】
【特許文献1】特開昭59-76298号公報
【特許文献2】特開昭59-85973号公報
【特許文献3】特開昭60-204397号公報
【特許文献4】特開昭63-209993号公報
【特許文献5】特開2005-125747号公報
【特許文献6】特開2007-160768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、基材フィルムを平滑化させるだけでは、銀塩写真と同様な光沢感を得るには不十分であるために、2次的に処理を施す必要がある点である。
【0012】
本発明は、2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感を実現し、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることが可能な印画物を提供することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の熱転写ラミネートフィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方側の第1面側に形成されていて250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂からなる非転写性離型層と、前記非転写性離型層に形成された画像保護層とを有する。
【0014】
本発明の熱転写ラミネートフィルムでは、熱転写ヘッドを走査した後、熱転写シート(例えばインクリボン)は、300℃以上の高温状態から冷却されていくことになる。この冷却期間に、熱転写シートを構成する基材フィルムが熱変形(熱収縮)を起こす。この基材フィルムの変形による凹凸は、熱転写ヘッドが押し当てられた側の面(基材フィルムの第1面とは反対側の第2面)にとどまらず、反対側の第1面(画像保護層側の面)にも及ぶ。しかし基材フィルムの変形は、非転写性離型層が250℃以上の溶融温度を有することによって、熱転写ヘッドの熱により流動性を有するようになった非転写性離型層の基材フィルム側の表層で吸収され、非転写性離型層の画像保護層側の面には及ばない。
一方、非転写性離型層は、その溶融温度が250℃よりも低いものでは、耐熱性が低いため、熱転写ヘッド走査後の基材フィルムの熱変形を非転写性離型層の画像保護層側に伝えてしまい、画像保護層の離型面の表面粗さが大きな面となる。
しかも非転写性離型層が基材フィルムの膜厚の20%以上の膜厚を有することから非転写性離型層の変形が画素保護層側には及ばない。
したがって、250℃以上の溶融温度を有してかつ基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する非転写性離型層を用いることによって、非転写性離型層から離型された熱転写された画像保護層の離型面は平滑面となる。
【0015】
本発明の熱転写シートは、基材フィルムと、前記基板フィルムの一方側の第1面に形成されていて、250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂からなる非転写性離型層と、前記非転写性離型層に形成された画像保護層と、前記基材フィルムの前記第1面側に形成されていて熱転写により画像を形成するインク層とを有する。
【0016】
本発明の熱転写シートでは、熱転写ヘッド(図示せず)が基材フィルムの第2面側に押し当てられる。そして走査した後に、基材フィルムが熱変形(熱収縮)を起こして基材フィルム面に凹凸を生じても、その凹凸は、基材フィルムの第1面側の非転写性離型層の表層(基材フィルム側の面)で吸収する。このため、基材フィルムの変形による面の凹凸の影響は、非転写性離型層の画像保護層側の面には及ばない。
すなわち、非転写性離型層が250℃以上の溶融温度を有することによって、熱転写ヘッドの熱により流動性を有するようになった非転写性離型層の基材フィルム側の表層で吸収され、非転写性離型層の画像保護層側の面には及ばない。しかも非転写性離型層が基材フィルムの膜厚の20%以上の膜厚を有することから非転写性離型層の変形が画素保護層側には及ばない。
したがって、熱転写ヘッドが基材フィルムに押し当てられて基材フィルムが変形(例えば、圧力、熱等による変形)を起こしても、画像保護層の離型面は平滑面を維持する。
【0017】
本発明の画像形成装置は、被記録媒体を所定方向に搬送する搬送手段と、前記被記録媒体の表面に、熱転写して画像を形成するインク層と、熱転写してその画像を保護する画像保護層とを有する熱転写シートと、前記熱転写シートを走行させる熱転写シート走行手段と、前記被記録媒体の表面に前記熱転写シートのインク層または画像保護層を熱転写させる熱転写ヘッドとを備え、前記画像保護層は、前記熱転写シートの基材フィルムの一方側の第1面に、250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂からなる非転写性離型層を介して形成されている。
【0018】
本発明の画像形成装置では、本発明の熱転写シートを用いる。これによって、熱転写ヘッドが基材フィルム側に押し当てられる。そして走査した後に、基材フィルムが熱変形(熱収縮)を起こして基材フィルム面に凹凸を生じても、その凹凸を、基材フィルム側の非転写性離型層の表層が流動的に変形して吸収する。このため、変形による基材フィルム面の凹凸の影響は、非転写性離型層の画像保護層側の面には及ばない。
すなわち、非転写性離型層が250℃以上の溶融温度を有することによって、熱転写ヘッドの熱により流動性を有するようになった非転写性離型層の基材フィルム側の表層で吸収され、非転写性離型層の画像保護層側の面には及ばない。しかも非転写性離型層が基材フィルムの膜厚の20%以上の膜厚を有することから非転写性離型層の変形が画素保護層側には及ばない。
したがって、熱転写ヘッドが基材フィルムに押し当てられて基材フィルムが変形(例えば、圧力、熱等による変形)を起こしても、画像保護層の離型面は平滑面を維持する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱転写ラミネートフィルムは、基材フィルムが変形(例えば、圧力、熱等による変形)を起こしても、画像保護層の離型面は平滑面に維持できる。よって、画像保護層を印画物に転写したときの画像保護層の表面は、2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感が実現され、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることができるという利点がある。
【0020】
本発明の熱転写シートは、基材フィルムが熱変形(熱収縮)を起こしても、画像保護層の離型面は平滑面に維持できる。よって、画像保護層を印画物に転写したときの画像保護層の表面は、2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感が実現され、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることができるという利点がある。
【0021】
本発明の画像形成装置は、基材フィルムが熱変形(熱収縮)を起こしても、画像保護層の離型面は平滑面に維持できる。よって、画像保護層を印画物に転写したときの画像保護層の表面は、2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感が実現され、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の熱転写ラミネートフィルムに係る一実施の形態を、図1の膜厚方向の部分断面図によって説明する。
【0023】
図1に示すように、熱転写ラミネートフィルム10は、基材フィルム11の一方側の第1面S1側に非転写性離型層12を介して画像保護層13が容易に剥離できるように形成されている。
さらに画像保護層13には、印画物に接着させやすくするための接着層14が形成されている。
また、基材フィルム11の第1面S1とは反対側の第2面S2には、基材フィルム11の滑走を円滑にするための耐熱滑性層15が形成されている。この耐熱滑性層15は、熱転写方式の画像形成装置(例えば、熱転写プリンター)の熱転写ヘッド(図示せず)が、基材フィルム11とスティッキングもしくは融着することを防止する作用を有している。この耐熱滑性層15は、基材フィルム11の耐熱性やスリップ性が良好である場合には、特に設ける必要はない。
また、基材フィルム11と非転写性離型層12の接着性が十分に得られない場合にのみ、易接着層もしくはプライマー層16を設けることも可能である。
なお、図1では、接着層14、耐熱滑性層15、易接着層もしくはプライマー層16を設けた場合を示した。
【0024】
以下、本発明の熱転写ラミネートフィルムを詳細に説明する。
【0025】
上記基材フィルム11は、従来のインクリボンとして使用されているものと同じ基材をそのまま使用することができる。または、その他のものも使用することもでき、特に制限されるものではない。好ましい基材フィルム11の具体例としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの汎用プラスチックフィルム、およびポリイミドフィルムのようなスーパーエンジニアリングプラスチックフィルムなどが挙げられる。
上記非転写性離型層12との接着性を確保するために、易接着層もしくはプライマー層16を形成してもよい。基材フィルム11に求められる特性としては、積層された各種塗膜を保持し、また、熱転写ヘッドによる熱エネルギーに耐えるものであることが必要であり、耐熱性、機械的強度、寸法安定性、供給安定性およびコスト面などを考慮して選定されることが望ましい。また、本発明では、画素保護層13を熱転写したときの画像保護層13の表面が超光沢感を得ることを目的としており、高い表面平滑性を有することも必要となる。
【0026】
上記基材フィルム11と上記非転写性離型層12との間に易接着層16を設ける場合には、その厚みは均一にするのが望ましい。まず、基材フィルム11の延伸処理前に数μmの厚みの易接着層16を形成しておく。その後、基材フィルム11を2軸延伸処理することによって、易接着層16の厚みを1μm以下として均一な薄膜易接着層を形成することができる。
【0027】
また、上記基材フィルム11と上記非転写性離型層12との間にプライマー層16を設ける場合には、それぞれの樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、プライマー層16にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などを使用することができる。
【0028】
上記非転写性離型層12は、250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する耐熱性樹脂で形成する。
このような耐熱性樹脂の一例としては、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、またはそれらの共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。
【0029】
上記耐熱性樹脂で非転写性離型層12が形成される。このことによって、熱転写プリンター印画時に熱転写ヘッドの熱エネルギーにより基材フィルム11が変形した場合でも、非転写性離型層12がその耐熱性および膜厚の効果により、非転写性離型層12の画像保護層13側の面は熱変形を起こすことがない。よって、非転写性離型層12の画像保護層13側の面は平坦な表面形状を保持する。この効果により、非転写性離型層12と画像保護層13との界面が常に平坦かつ平滑な面形状を維持するため、その界面で画像保護層13が剥離された後も、画像保護層13の表面は平坦かつ平滑な面形状を維持する。そして、剥離された後の画像保護層13の表面によって、高い光沢感を有する印画物が形成される。
【0030】
上記非転写性離型層12の表面に形成する上記画像保護層13は、熱転写ヘッド(図示せず)の熱エネルギーにより印画物表面(図示せず)に熱転写される層である。すなわち、印画物の最表層に位置する熱可塑性樹脂層である。使用できる樹脂としては、ポリスチレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、印画物に耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性などの機能を付与することができる。また、紫外線吸収剤を添加することにより、耐光性を向上させることができる。使用できる紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、シュウ酸アニリド誘導体などが挙げられる。
【0031】
上記画像保護層13の表面に設ける上記接着層14は、例えば、ポリエステル系、セルロース系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体などの熱可塑性樹脂などから形成することができる。印画物との接着性を上げるために、比較的、ガラス転移温度を低く設計する必要があり、好ましくは、40℃〜100℃程度であることが望ましい。また、各種画像保存性(耐熱性、耐光性、暗所保存性など)に優れていることも同時に確認する必要がある。
【0032】
上記基材フィルム11上に、上記非転写性離型層12、上記画像保護層13、上記接着層14を形成する方法には以下の方法がある。例えば、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、ロールコーティングなど、その他様々な形成方法で上記樹脂を含む塗工液を塗工および乾燥する方法が挙げられる。このとき、上記非転写性離型層12の塗工膜厚は、好ましくは0.1μm〜5μm程度であり、上記画像保護層13の塗工膜厚は、好ましくは0.1μm〜20μm程度であり、上記接着層14の塗工膜厚は、好ましくは0.1μm〜10μm程度である。
【0033】
上記耐熱滑性層15は、例えば、酢酸セルロース、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などから形成することができる。耐熱滑性層15は、熱転写ヘッド(図示せず)と基材フィルム11がスティッキングあるいは融着することなく走行できることが必要であり、このため、耐熱性の高い樹脂であると望ましい。また、熱転写ヘッド(図示せず)との間の摩擦係数が加熱時、非加熱時とに依らず、ほとんど一定に保たれていることが望ましく、そのため、必要に応じてシリコーンオイル、ワックス、脂肪酸エステル、リン酸エステルなどの滑剤、または有機系、無機系のフィラーを添加しても良い。また、耐熱滑性層15は、基材フィルム11の耐熱性やスリップ性が良好である場合には、特に設ける必要はない。
【0034】
次に、本発明の熱転写ラミネートフィルムの実施例を以下に説明する。
【0035】
まず、基材フィルム11について説明する。基材フィルム11は、ポリエステルフィルム基材を用いた。このポリエステルフィルム基材には、一例として、4.5μmの厚さ有する三菱化学ポリエステルフィルム製、K604E4.5Wを用いた。
この基材フィルム11の一方側の第1面S1に表1の組成物1〜組成物5に記載した非転写性離型層12を乾燥厚で例えば0.5μm、0.9μm、1.3μm、2.5μmとなるように塗工し、乾燥(例えば、100℃、2分のベーキング)させ、熱転写ラミネートフィルム10の非転写性離型層12を形成した。
組成物1からなり膜厚が0.9μm、1.3μm、2.5μmのそれぞれの非転写性離型層12を用いたものを実施例1−1〜実施例1−3とする。
組成物2からなり膜厚が0.9μm、1.3μm、2.5μmのそれぞれの非転写性離型層12を用いたものを実施例2−1〜実施例2−3とする。
組成物3からなり膜厚が0.9μm、1.3μm、2.5μmのそれぞれの非転写性離型層12を用いたものを実施例3−1〜実施例3−3とする。
組成物4からなり膜厚が0.9μm、1.3μm、2.5μmのそれぞれの非転写性離型層12を用いたものを実施例4−1〜実施例4−3とする。
組成物5からなり膜厚が2.5μmの非転写性離型層12を用いたものを実施例5とする。
一方、膜厚が0.5μmの組成物1〜組成物4の非転写性離型層12を用いたものを比較例1〜比較例4とする。また、組成物5からなり膜厚が0.5μm、0.9μm、1.3μmのそれぞれの非転写性離型層12を用いたものを比較例5−1〜比較例5−3とする。
【0036】
【表1】

【0037】
続いて、前述した組成物1〜組成物5の非転写性離型層12の上に、表2に示す画像保護層を乾燥厚で例えば0.8μmとなるように塗工し、乾燥(120℃、1分のベーキング)させ、画像保護層13を形成した。
続いて、上記画像保護層13の上に、表2に示す接着層を乾燥厚で例えば0.8μmとなるように塗工し、乾燥(100℃、1分のベーキング)させ、接着層14を形成した。これによって、基材フィルム11の第1面S1側に、組成物1〜組成物5に記載した非転写性離型層12、画像保護層13、接着層14が積層された熱転写ラミネートフィルム10を形成した。
【0038】
【表2】

【0039】
次に、比較例6について説明する。
【0040】
まず、基材フィルム11について説明する。基材フィルム11は、ポリエステルフィルム基材を用いた。このポリエステルフィルム基材には、一例として、6.0μmの厚さ有する三菱化学ポリエステルフィルム製、K200−6Eを用いた。
この基材フィルム11の一方側の第1面S1に、前記表2に示す画像保護層を乾燥厚で例えば0.8μmとなるように塗工し、乾燥(120℃、1分のベーキング)させ、画像保護層13を形成した。さらに、前記表2に示す接着層を乾燥厚で例えば0.8μmとなるように塗工し、乾燥(100℃、1分のベーキング)させ、接着層14を形成した。これによって、基材フィルム11の第1面S1側に、画像保護層13、接着層14が積層された比較例6の熱転写ラミネートフィルムを形成した
【0041】
上記各実施例および比較例の基材フィルム11の裏面(第1面S1とは反対側の第2面S2)には、耐熱滑性層15を形成している。
【0042】
上記実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例6で得られた熱転写ラミネートフィルムを用いて、画像保護層13を熱転写した。
その結果、非転写性離型層12が、表1に記載の組成物1〜組成物4の溶融温度が250℃以上である耐熱性樹脂で形成され、非転写性離型層12の膜厚が基材フィルム11に対して20%以上である熱転写ラミネートフィルム10では、熱転写ヘッドの熱エネルギーによる基材フィルム11の変形の影響が画像保護層13に及ぶことが抑制できる。そして、実施例1〜実施例5の熱転写ラミネートフィルム10により熱転写された画像保護層13の表面は、20°光沢度および3次元表面粗度プロファイルが比較例に対して改善されることが確認できた。
上記20°光沢度とは、日本工業規格Z8741の鏡面光沢度−測定方法の20度鏡面光沢に規定される光沢度測定によって測定される光沢度である。
【0043】
具体的には、上記実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例6で得られた各熱転写ラミネートフィルムを用いて、ソニー株式会社製UP−DR150プリンターにて、ソニー株式会社製UP−DR150用純正印画紙に白ベタを印画した。そして、得られた印画物の20°光沢度および3次元表面粗度プロファイルを解析し、本発明で使用した非転写性離型層12の効果を検証した。
20°光沢度の評価結果を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
上記表3中、基材厚比とは、次の式で定義される値である。
基材厚比(%)=100×(各組成物の膜厚/基材フィルム厚(4.5μm))
上記各組成物とは、非転写性離型層12である。
【0046】
この結果から、非転写性離型層12は、溶融温度が250℃以上の組成物1〜4であり、基材厚比が20%を超えると、20°光沢度値がそれぞれの比較例に対して10〜20%程度向上し、光沢感評価でも非常に高い評価となっていることがわかる。溶融温度が200℃の組成物5の場合、非転写性離型層12の膜厚が2.5μmと厚くなった場合にのみ、光沢感評価でも高い評価となった。
また、非転写性離型層12は、0.9μm以上2.5μm以下では、20°光沢度値がそれぞれの比較例に対して10%〜20%程度向上し、光沢感評価でも非常に高い評価となっていることがわかる。
上記評価結果から、非転写性離型層12は、250℃以上の溶融温度を有してかつ基材フィルム11の膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂とした。なお、非転写性離型層12の膜厚は、熱転写ヘッドの熱を画像保護層13に伝えて、画像保護層13を熱転写することができる膜厚以下であれば、上記基材厚比よりも大きい基材厚比であっても差し支えない。
【0047】
参考として、図2に、実施例1−1と比較例1の3次元表面粗度の測定結果を示す。
図2(1)は、実施例1−1の非転写性離型層を用いた熱転写ラミネートフィルムを用いて形成された画像保護層の表面粗度のプロファイルを示すデータの一例である。また、図2(2)は、比較例1の非転写性離型層を用いた熱転写ラミネートフィルムを用いて形成された画像保護層の表面粗度のプロファイルを示すデータの一例である。なお、図2(1)、(2)ともに、同じスケールで、縦軸に等間隔に測定した表面粗さを示し、横軸に表面粗さの測定長さを示した。
【0048】
図2に示すように、上記実施例1−1と比較例1で得られた印画物表面の平滑性を比較すると、実施例1−1の方がより平滑化されていることが確認できる。この結果からも、基材フィルムと画像保護層との間に設けた非転写性離型層が基材フィルムの変形の影響を抑制し、非転写性離型層と画像保護層との界面が平坦な形状に維持されていることがわかった。
【0049】
上記、熱転写ラミネートフィルムは、画像データと同様にして熱転写ヘッドの熱エネルギーにより画像保護層が熱転写される。このとき、熱転写ラミネートフィルムをインク層が形成されている熱転写シート(一般にインクリボンという)の一部として形成すれば、インク画像の熱転写と画像保護層(ラミネートフィルム)の熱転写とを一貫して行うことができる。
【0050】
本発明の熱転写ラミネートフィルム10では、熱転写ヘッド(図示せず)が基材フィルム11に押し当てられ、走査した後に、基材フィルム11が熱変形(熱収縮)を起こして基材フィルム面に凹凸を生じる。この基材フィルム11の変形による凹凸は、熱転写ヘッドが押し当てられた側の面(基材フィルム11の第1面S1とは反対側の第2面S2)にとどまらず、反対側の第1面S1(画像保護層13側の面)にも及ぶ。しかし基材フィルム11の変形は、非転写性離型層12が250℃以上の溶融温度を有することによって、熱転写ヘッドの熱により流動性を有するようになった非転写性離型層12の基材フィルム11側の表層で吸収され、非転写性離型層12の画像保護層13側の面には及ばない。
【0051】
一方、非転写性離型層12は、その溶融温度が250℃よりも低いものでは、耐熱性が低いため、熱転写ヘッドによる基材フィルム11の変形を非転写性離型層12の画像保護層13側に伝えてしまい、画像保護層13の離型面の表面粗さが大きな面となる。
【0052】
また、非転写性離型層12が基材フィルム11の膜厚の20%以上の膜厚を有することから非転写性離型層12の変形が画素保護層13側には及ばない。
【0053】
したがって、250℃以上の溶融温度を有してかつ基材フィルム11の膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する非転写性離型層12を用いることによって、非転写性離型層12から離型された熱転写された画像保護層13の離型面は平滑面となる。
よって、画像保護層13を印画物に転写したときの画像保護層13の表面は、2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感が実現され、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることができるという利点がある。
【0054】
上記非転写性離型層12に用いる耐熱性樹脂の溶融温度は、一般的に樹脂の溶融温度を測定する高化式フローテスターで測定したものである。上記表1に示した溶融温度は、島津製作所製のCFT−500Aを用いて測定しており、フロー条件は、圧力が100kg/cm2、速度が6℃/min.、ノズルサイズが1mmφ×10mmとなっているものである。
【0055】
本発明の熱転写シートに係る一実施の形態を、図3の模式的平面図および模式的断面図によって説明する。図3(1)に模式的平面図を示し、図3(2)に模式的断面図を示した。
【0056】
図3(1)、(2)に示すように、熱転写シート30は、基材フィルム11に第1面S1側に、易接着層16を介して、その搬送方向に沿ってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インク層31(31Y)、31(31M)、31(31C)が形成されている。さらに、上記基材フィルム11の一部に、本発明の熱転写ラミネートフィルム10が形成されている。すなわち、基材フィルム11に、易接着層16を介して、非転写性離型層12が形成され、この非転写性離型層12上に透明な画像保護層13が形成されている。さらに、画像保護層13上には印画物への接着性を高めるための接着層14が形成されている。
そして上記インク層31(31Y)、31(31M)、31(31C)および熱転写ラミネートフィルム10が順次周期的に形成された構成となっている。各インク層31は、例えば昇華性染料からなる。
また上記熱転写ラミネートフィルム10は、上記インク層31(Y)、31(M)、31(C)に続いて配置されている。
また熱転写シート30では、各インク層31(31Y)、31(31M)、31(31C)の各端部と熱転写ラミネートフィルム10の近傍にセンサーマーク35が形成されている。
また上記基材フィルム11の裏面(第2面S2)側には、印画時や表面性改質処理時の熱転写ヘッドとインクリボンとの摩擦を下げ、インクリボンの安定した走行をさせることなどを主目的とした耐熱滑性層15が形成されている。
【0057】
上記各インク層31(31Y)、31(31M)、31(31C)は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酪酸酢酸セルロース、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレンなどのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、各種樹脂をバインダー樹脂として使用することができる。
上記、バインダー樹脂中に、色素染料が分散または溶解した状態で存在して、各インク層31(31Y)、31(31M)、31(31C)が形成されている。
ここで用いている色素染料は、通常、複数種類混合して使用されることが多く、熱移行性を有することが必要である。
すなわち、インク層中より色素染料分子単位で熱拡散することが必要である。色素染料は、従来より公知の熱転写方式にて使用される色素染料であればいずれも本発明に有効に使用可能であり、特に限定されない。例えば、好ましい色素染料としては、イエロー染料としては、アゾ系、ジスアゾ系、メチン系、スチリル系、ピリドン・アゾ系、などおよび、それらの混合系を挙げることができる。マゼンタ系染料としては、アゾ系、アントラキノン系、スチリル系、複素環系アゾ染料などおよび、それらの混合系を挙げることができる。シアン系染料としては、アントラキノン系、ナフトキノン系、複素環アゾ染料、インドアニリン系など、およびそれらの混合系染料を挙げることができる。
色素染料に求められる特性としては、熱転写ヘッドの熱エネルギー範囲で、容易に昇華、熱拡散することが挙げられる。また、熱転写ヘッドの熱エネルギー範囲で、熱分解しないこと、合成が容易であること、画像保存性に優れていること(熱、光、温度、薬品に対して安定であること)、好ましい吸収波長帯を有すること、インク層中にて再結晶化しにくいこと等が挙げられる。
【0058】
上記熱転写シート30を用いて画像形成装置(例えば熱転写プリンター)により熱転写印画を行う場合には、プリンターの熱転写ヘッドにより、上記熱転写ラミネートフィルム10のうち、画像保護層13および接着層14の部分をインク画像上に熱転写することにより印画物を得ることできる。すなわち、熱転写シート30上のインク層31が熱転写されて画像が形成された後に、熱転写シート30上の一部に形成された熱転写ラミネートフィルム10のうち、非転写性離型層12と画像保護層13との界面で剥離が起こり、画像保護層13およびその上に設けられた接着層14がインク画像上に熱転写される。
【0059】
本発明の熱転写シート30では、熱転写ヘッド(図示せず)が基材フィルム11の第2面S2側に押し当てられる。そして走査した後に、基材フィルム11が熱変形(熱収縮)を起こして基材フィルム面に凹凸を生じても、その凹凸は、基材フィルム11の第1面S1側の非転写性離型層12の表層(基材フィルム11側の面)で吸収する。このため、基材フィルム11の変形(例えば、圧力、熱等による変形)による面の凹凸の影響は、非転写性離型層12の画像保護層13側の面には及ばない。
すなわち、非転写性離型層12が250℃以上の溶融温度を有してかつ基材フィルム11の膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有することから、基材フィルム11の非転写性離型層12側が変形しても、その変形は非転写性離型層12の基材フィルム11側の表層で吸収され、画素保護層13側にはその変形が及ばない。したがって、熱転写ヘッドが基材フィルム11に押し当てられ、走査した後に、基材フィルム11が熱変形(熱収縮)を起こして基材フィルム面に凹凸を生じても、画像保護層13の離型面は平滑面を維持する。
よって、画像保護層13を印画物に転写したときの画像保護層13の表面は、2次的処理を施さずとも、銀塩写真で得られているような光沢感が実現され、ユーザーの官能部分に訴えるような光沢感、表面平滑性を得ることができるという利点がある。
【0060】
次に、本発明の画像形成装置に係る一実施の形態を、図4の画像形成装置の印画主要部の概略構成図によって説明する。
【0061】
図4に示すように、上記印画主要部は、熱転写シート(インクリボンともいう)30を供給する走行手段として、供給リール61と、上記熱転写シート30を巻き取る巻き取りリール62を備えている。それとともに、上記熱転写シート30を印画位置に案内するガイドローラ63、64を備えている。上記ガイドローラ63、64の間には、印画位置を形成する熱転写ヘッド51が設けられている。
また、上記熱転写ヘッド51に対応する印画位置に被記録媒体71(以下、受像シート71として説明する。)を回転させることで搬送する搬送手段としてプラテン65が設けられている。この受像シート71には、熱転写による印画が可能な用紙、例えば印画紙が用いられる。
【0062】
上記構成の印画主要部の詳細の一例を、以下に説明する。
【0063】
上記供給リール61に巻かれた熱転写シート30は、ガイドローラ63、64によって支持された状態で、駆動モータ(図示せず)により回転駆動される巻き取りリール62に巻き取られる。
上記供給リール61には、例えば、図示しないトルクリミッタが配置され、一定のトルクで熱転写シート30にバックテンションを与えている。
また、上記巻き取りリール62には、例えば、図示しない光学センサにより構成される巻き取り検出用エンコーダが配置されている。
【0064】
上記熱転写シート30には、前述したように、例えば、1頁分の染料としてイエロー、マゼンタおよびシアンの色染料がそれぞれ所定の長さで塗布されている。
また、熱転写シート30は各頁分の色染料の先頭位置に頁先頭マークおよび巻き径マークが塗布されているとともに、各色染料の先頭位置に各色を識別する色識別マークが塗布されている。上記各マークは、前述したセンサーマーク35(前記図3参照)に対応する。
【0065】
これにより画像形成装置50では、熱転写シート30の走行経路に設けられた光学センサ52がそれぞれ頁先頭マークおよび色識別マークを検出し、この検出結果に基づいて熱転写シート30の各染料の先頭部分の位置決めを行う。
【0066】
図示はしないが、上記熱熱転写ヘッド51が設けられたヘッドユニットは、回動軸によって回動自在に保持された加圧レバーの一端に着脱自在に取り付けられている。加圧レバーの他端はリンクを介してカム板に揺動自在に取り付けられている。これにより、ヘッドユニットは、ヘッド駆動モータによって上記カム板が回転駆動されることにより昇降され、上下方向に移動可能な中間位置、この中間位置から上昇してリボンから離間する初期位置、中間位置から下降して受像シート71に当接する最下位置に位置決めされている。
これによって、ヘッドユニットは熱転写シート30を装填する際等には初期位置に移動し、プラテン65上に受像シート71が載置された際には最下位置に移動する。
ヘッドユニットの昇降状態は、例えば、カム板の切り欠き部の近傍に設けられた光学センサによって検出される。熱転写ヘッド51は端面型で構成され、受像シート71の幅方向全体にわたって熱転写シート30を介して受像シート71に当接する。
これにより受像シート71が矢印の方向に移動されると受像シート71の全面にわたって所望の画像が印画されるようになっている。
【0067】
上記のような印画主要部を有する画像形成装置50を用いて、受像シート71に画像を印刷し、印画物を得る。
【0068】
次に、印画紙上への画像形成方法について説明する。
【0069】
画像形成装置50で使用される熱転写シート30には、巻き取り側(巻き取りリール62)から供給側(供給リール61)に向かって、例えば、前記図3によって説明したように、イエローインクのインク層31Y、マゼンタインクのインク層31M、シアンインクのインク層31Cおよび画像保護層13が順番で繰り返し配列された熱転写シート30を用いる。
【0070】
そして上記画像形成装置50を用いることによって、イエロー、マゼンタ、シアンの順で各色成分の画像を、受像シート71の表面に設けられた受像層(印画面)側に昇華熱転写した後、画像保護層13を印画面の全面に昇華熱転写する。
このように、この画像形成装置50では、画像保護層13によるラミネート情報は他の色情報の画像形成と同一の印画工程で行われる。
【0071】
上記カラープリントでは、耐光性、耐皮脂性等を上げるために、印画した後、その表面に画像保護層13を形成することから、印画物の退色が抑制され、保存性が高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の熱転写ラミネートフィルムに係る一実施の形態を示した膜厚方向の部分断面図である。
【図2】実施例1−1と比較例1の3次元表面粗度の測定結果を示した図である。
【図3】本発明の熱転写シートに係る一実施の形態を示した模式的平面図および模式的断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置に係る一実施の形態を示した画像形成装置の印画主要部の概略構成図である。
【符号の説明】
【0073】
10…熱転写ラミネートフィルム、11…基材フィルム、12…非転写性離型層、13…画像保護層、30…熱転写シート、31…インク層、50…画素形成装置、51…熱転写ヘッド、71…被記録媒体(受像シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
前記基材フィルムの一方側の第1面側に形成されていて250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂からなる非転写性離型層と、
前記非転写性離型層に形成された画像保護層とを有する
熱転写ラミネートフィルム。
【請求項2】
前記非転写性離型層は、分子量が10万以上のポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルアセトアセタール・ポリビニルブチラール共重合体もしくはポリメチルメタクリレート樹脂である
請求項1記載の熱転写ラミネートフィルム。
【請求項3】
前記画像保護層上に接着層が形成されている
請求項1記載の熱転写ラミネートフィルム。
【請求項4】
基材フィルムと、
前記基板フィルムの一方側の第1面に形成されていて、250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂からなる非転写性離型層と、
前記非転写性離型層に形成された画像保護層と、
前記基材フィルムの前記第1面側に形成されていて熱転写により画像を形成するインク層とを有する
熱転写シート。
【請求項5】
被記録媒体を所定方向に搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体の表面に、熱転写して画像を形成するインク層と、熱転写してその画像を保護する画像保護層とを有する熱転写シートと、
前記熱転写シートを走行させる熱転写シート走行手段と、
前記被記録媒体の表面に前記熱転写シートのインク層または画像保護層を熱転写させる熱転写ヘッドとを備え、
前記画像保護層は、前記熱転写シートの基材フィルムの一方側の第1面に、250℃以上の溶融温度を有してかつ前記基材フィルムの膜厚の20%以上で56%以下の膜厚を有する樹脂からなる非転写性離型層を介して形成されている
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−292040(P2009−292040A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147952(P2008−147952)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】