説明

熱転写用結像システム

ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムが開示されている。この結像システムはパターン化光ビームを発光するように構成された光源アセンブリを含む。パターン化光ビームは複数の別個の出力光セグメントを含み、これらのセグメントの重複は多くても部分的である。この結像システムは複数の別個の出力光セグメントを受光するとともに転写面上へ投影して、複数の別個の出力光セグメントの実質的な重畳により投影光セグメントを形成する光中継アセンブリをさらに含む。転写可能材料を含むドナーフィルムが転写面にある基板に近接配置されると、投影光セグメントは基板上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは結像システムに関し、特にはドナーフィルムから基板へ材料を転写するレーザ誘起熱結像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画素化ディスプレイは情報を表示するために一般的に使用されている。一例には液晶コンピュータモニタおよびテレビジョン、携帯電話などの用途に用いられる有機発光ディスプレイ、および携帯デジタルビデオディスプレイがある。フォトリソグラフィ、光アブレーション、およびレーザ転写法(LITI)などの様々な方法を用いてディスプレイの画素をパターン化することができる。LITIは有機電子ディスプレイ内の有機材料をパターニングする際に特に適切であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
広くは、本発明は結像システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態において、ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムは、パターン化光ビームを発光するように構成された光源アセンブリを含む。パターン化光ビームは複数の別個の出力光セグメントを含み、これらのセグメントの重複は多くても部分的である。光学結像システムは複数の別個の出力光セグメントを受光するとともに転写面上へ投影して、複数の別個の出力光セグメントの実質的な重畳により投影光セグメントを形成する光中継アセンブリをさらに含む。転写可能材料を含むドナーフィルムが転写面にある基板に近接配置されたときに、投影光セグメントは基板上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0005】
本発明の他の実施形態では、ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムは、パターン化光ビームを発光するように構成された光源アセンブリを含む。パターン化光ビームは別個の出力光セグメントの出力アレイを含む。出力アレイはn列とm行とを有し、nは2以上である。1列内の別個の出力光セグメントの重複は多くても部分的である。光学結像システムは出力アレイを受光するとともに転写面上へ投影して、転写面内に別個の投影光セグメントの投影アレイを形成する光中継アセンブリをさらに含む。投影アレイはn列と1行とを有する。1投影列内の別個の投影光セグメントの各々は出力アレイの対応列内の別個の出力光セグメントの実質的に完全な重複により形成され、転写可能材料を含むとともに担体に近接配置されたドナーフィルムが転写面にある基板に近接配置されたときに、別個の投影光セグメントの各々が担体から基板上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0006】
本発明の他の実施形態では、ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムは、パターン化光ビームを発光可能である光源を含む。パターン化光ビームは2個以上の発光セグメントを含む。各発光セグメントは第1の方向に沿った第1の均一性を有する。光学結像システムは、2個以上の発光セグメントを受光し、各発光セグメントを均質化するとともに対応均質化光セグメントを透過する光ホモジナイザをさらに含む。各透過均質化光セグメントは第1の方向に沿った第3の均一性を有する。各透過均質化光セグメントの第3の均一性は各対応発光セグメントの第1の均一性より大きい。光学結像システムは、透過均質化光セグメントの各々を受光するとともに各透過均質化光セグメントを、第1の方向に沿ったn個の別個の光サブセグメントの1行にパターン化するマスクをさらに含む。nは21以上である。個々の光サブセグメントの各々は第1の方向に沿った長さを有する。マスクは別個の光サブセグメントの各々の長さを1ミクロン以下の精度で約50ミクロン〜約150ミクロンの範囲の任意の値に設定可能である。光学結像システムは基板をさらに含む。光学結像システムは、n個の別個の光サブセグメントの各行を第1の方向に沿って投影倍率1で基板上に投影することにより、第1の方向に沿ったn個の別個の投影光セグメントの単一行を形成する第1のレンズ系をさらに含む。1番目とn番目の別個の投影光セグメントとの間の距離が少なくとも10mmである。転写可能材料を含むとともに担体に近接配置されたドナーフィルムが第1のレンズと基板との間で基板に近接配置されると、n個の別個の投影光セグメントの各々が担体から基板上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0007】
本発明の他の実施形態では、ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムは、2つ以上の組の光バーアセンブリを含む光源を含む。光バーアセンブリの各組は2つ以上の光バーを含む。組の各光バーが偏光を発光可能である。組の少なくとも1つの光バーから発光された偏光の第1の偏光方向が組の少なくとも他の光バーから発光された偏光の第2の偏光方向とは異なる。偏光ビームコンバイナは第1および第2の偏光方向の間の差を用いて組の2つ以上の光バーから発光された偏光を合成して合成発光ビームを形成する。空間フィルタは、1組の発光体からの少なくとも1つの合成発光ビームを反射するとともに他の組の発光体からの少なくとも1つの合成発光ビーム透過することにより、2つ以上の組の発光体からの合成発光ビームを合成する。合成発光ビームの合成がパターン化光ビームを形成する。パターン化光ビームが1個以上の発光セグメントを含む。各発光セグメントは第3の方向に沿った第1の均一性を有する。光学結像システムは、1個以上の発光セグメントを受光し、各発光セグメントを均質化するとともに対応均質化光セグメントを透過する光ホモジナイザをさらに含む。各透過均質化光セグメントは第3の方向に沿った第3の均一性を有する。各透過均質化光セグメントの第3の均一性が各対応発光セグメントの第1の均一性より大きい。光学結像システムは、透過均質化光セグメントの各々を受光するとともに第3の方向に沿ったn個の個々の光サブセグメントの1行にパターン化するマスクをさらに含む。nは21以上である。別個の光サブセグメントの各々は第3の方向に沿った長さを有する。マスクは別個の光サブセグメントの各々の長さを1ミクロン以下の精度で約50ミクロン〜約150ミクロンの範囲の任意の値に設定可能である。光学結像システムは基板をさらに含む。光学結像システムは、n個の別個の光サブセグメントの各行を第3の方向に沿って投影倍率1で基板上に投影することにより、第3の方向に沿ったn個の別個の投影光セグメントの単一行を形成する第1のレンズ系をさらに含む。1番目とn番目の別個の投影光セグメントとの間の距離が少なくとも10ミリメートルである。担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが第1のレンズと基板との間で基板に近接配置されたときに、n個の個々の投影光セグメントの各々が担体から基板上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0008】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで本発明をより完全に理解および評価されよう。
【0009】
特に記さない限り、種々の図面は一定の縮尺で描かれていないことは理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は一般に結像システムに適用される。本発明は特に、パターン化を短時間で達成して例えば処理コストを削減することが望ましい、ディスプレイの画素をパターン化するレーザ誘起熱結像システムに適用する。
【0011】
明細書において多数の図面で用いられる同じ参照番号は同一または同様な特性および機能を有する同一または同様な要素を指す。
【0012】
図24は、本発明の一実施形態による結像システム2400のブロック図を図示する。結像システム2400は、光源アセンブリ2410と光中継アセンブリ2420とを含む。
【0013】
本発明の特定の一実施形態では、光源アセンブリ2410の出力光2415はパターン化光ビームを含み、このパターンは複数の別個の出力光セグメントを含む。個々の光セグメントは互いに分離可能であり、これは任意の2個のセグメント間にほとんど重複がないことを意味する。一般に任意の2個の個々の出力光セグメントの重複は多くても部分的である。光中継アセンブリ2420は複数の別個の出力光セグメントを受光するとともに転写面2430上へ投影して、複数の出力光セグメントの実質的な重畳により投影光セグメントを形成する。投影光セグメントのパワーは複数の出力光セグメントのパワーの合計に近くなる。さらにまた担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが転写面2430にある基板に近接配置されると、投影光セグメントは担体から基板上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0014】
本発明の他の実施形態において光源アセンブリ2410の出力光2415はパターン化光ビームを含み、このパターンは別個の出力光セグメントの出力アレイを含み、出力アレイはn列とm行とを有し、nが2以上であり、mが2以上である場合がある。アレイ列の個々の出力光セグメントを互いに分離することができる。一般に1アレイ列の任意の2個の出力光セグメントの重複は多くても部分的である。光中継アセンブリ2430は出力アレイを受け取るとともに転写面2430上へ投影して、転写面内に個々の投影光セグメントの投影アレイを形成する。投影アレイはn列と単一行とを有し、1列内の別個の投影光セグメントの各々は出力アレイの対応する列内の別個の出力光セグメントの実質的に十分な重複により形成される。担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが転写面内にある基板に近接配置されると、別個の投影光セグメントの各々は担体から基板上への転送可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0015】
本発明の他の実施形態において、光源アセンブリ2410の出力光2415は別個の光セグメントの二次元出力アレイを含み、出力アレイはn列とm行とを有し、nは2以上である。m行はp群に分割され、各群は少なくとも2行の別個の光サブセグメントを含み、2群以上に含まれる行はない。光中継アセンブリ2420は、各群内のすべての行を重畳することによりm×nアレイの別個の光サブセグメントを転写面2430上へ転写して、転写面2430面内に投影光セグメントの投影アレイを形成し、投影アレイはn列とp行とを有する。各投影光セグメントは転写可能材料の転写を誘起することが可能である。各投影光セグメントは、担体上に塗布されるとともに転写面2430内にある基板に近接配置された転写可能材料の転写を誘起することが可能である。pが1である場合、m行は実質的に完全に重畳されてn個の投影光セグメントの単一行を形成している。
【0016】
図1は本発明の一態様による結像システム100の例示的ブロック図を示し、各ブロックは結像システム内の異なる構成要素またはサブアセンブリを説明する。本発明の結像システムは必ずしも図1に示したブロックをすべて含む必要はない。さらにまた本発明による結像システムは、図1に図示しない追加ブロックを有してもよい。結像システム100は光源110と、第1の光中継器120と、光ホモジナイザ130と、第2の光中継器140と、マスク150と、第3の光中継器160と、基板170とを含む。
【0017】
結像システム100は、光源110により提供される光を基板170上に投影するため、例えば投影光は担体から基板170上への、担体上に塗布されるとともに基板170に近接配置された転写可能材料の転写を誘起することが可能である。
【0018】
結像システム100を用いてディスプレイ構成要素を選択的に転写し、故にパターン化することができる。例えば結像システム100を用いて放射性物質、カラーフィルタ(例えば赤色、緑色および青色)、ブラックマトリクス、電極、トランジスタ、絶縁体、およびスペーサをディスプレイ基板上に転写し得る。本発明の一実施形態による結像システム100の重要な特徴は高いスループットであり、スループットはある単位時間、例えば1時間にパターン化されるディスプレイまたはディスプレイ構成要素の数である。このようにスループットは、カラーフィルタおよびブラックマトリクスなどの様々なディスプレイ構成要素をパターン化するのに必要な時間に関する。高いスループットは低い処理製造コストにつながり、したがって最終的に安価なディスプレイ製品になるため一般に望ましい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、スループットを向上する際に特に重要である結像システム100の特徴は、基板170における光強度である。一般に基板170における光105の強度は、材料転写を誘起するために閾値より高い必要がある。さらにまた閾値を超える光強度のため、より高い光強度は概してカラーフィルタ材料などの材料をドナーフィルムから、例えばディスプレイ基板上に転写するのに必要な時間の削減になる。このように高い強度またはパワーを有する光105は全体スループットを向上することができる。本発明は基板170における高いビーム強度を送達することによりスループットを大幅に向上することが可能な様々な実施形態を提供する。
【0020】
本発明の一実施形態による結像システム100の他の重要な特徴は特に基板170におけるビーム均一性である。非均一光105は例えば転写可能材料の部分的転写または非転写、もしくは転写可能材料または隣接要素のダメージを生じる恐れがある。このように、本発明の一実施形態によるホモジナイザ130の機能は、1つまたは複数の方向でビーム均一性を改善することである。
【0021】
結像システム100は、入射光103を受光して所望の所定パターンまたは形状にパターン化された出力光、104にパターン化するマスク150をさらに含む。光パターンにより誘起される最終的な転写がすべて意図する箇所で生じ、転写および意図する箇所間の位置合わせが良好になるように、マスク150により生成された光パターンは少なくとも倍率内ではディスプレイ上の対応する画素設計に実質的に一致していることが好ましい。
【0022】
結像システム100は多数の光中継器(例えば図示のように第1の光中継器120、第2の光中継器140、および第3の光中継器160)をさらに含む。これらの光中継器の各々は、少なくとも部分的に光を前のブロックまたはサブアセンブリから次のブロックまたはサブアセンブリに転送することを目的とする。例えば第3の光中継器160は、主にマスク150によりパターン化された光を基板170上に投影するように設計されている。他の例として、第1の光中継器120は光源110により発光された光をホモジナイザ130に転送するように設計し得る。各光中継器はレンズ、ミラー、位相差板、ビームスプリッタ、ビームコンバイナ、およびビームエキスパンダなどの構成要素を含み得る。さらにまた、1つまたは複数の光中継器は視準、拡大、結像、焦点合わせまたは収差の低減などの他の機能も行い得る。
【0023】
図2は、本発明の特定の一実施形態による結像システム200の概略三次元図を図示する。結像システム200は光源210と、ホモジナイザ230と、マスク250と、レンズ系260と、基板270とを含む。
【0024】
光源210は、概ねz軸などの方向に沿って伝播するパターン化光ビーム215を発光する。パターン化光ビーム215は1個または複数の発光セグメントを含む。図2に示した特定例において、パターン化光ビーム215は3個の発光セグメント211A、211Bおよび211Cを含み、各発光セグメントはz軸に沿って伝播するとともに、光セグメントの伝播方向に垂直な少なくとも一方向に沿って有限範囲を有する。具体的には各発光セグメントは、z軸に沿った伝播方向に対してxおよびy方向のうちの少なくとも1つに沿って有限範囲を有する。図2に示した例示的実施形態において、発光セグメント211A、211Bおよび211Cの各々はxおよびy方向に沿った有限範囲を有する。各発光セグメントは異なる方向に沿って異なる強度またはビーム均一性プロファイルを有することができる。具体的には発光セグメント211A、211Bおよび211Cの各々は、x軸に沿ったビーム均一性とy軸に沿ったビーム均一性とを有し、x、yおよびz方向は図2に示すように互いに垂直である。さらに各発光セグメントはz軸に沿って伝播するにつれて発散、集光、または実質的に平行状態のままである。このように発光セグメント211A、211Bおよび211Cの各々はx軸に沿った発散角とy軸に沿った発散角とを有する。本発明において光ビームの発散は半波高全幅(FWHM)における光ビームの角度の広がりを指す。各発光セグメントの発散およびビーム均一性を図3〜図5を参照してさらに説明する。
【0025】
図3Aは発光セグメント211Aの一部分を示す。xy面の発光セグメント211Aの断面、例えば断面211A−1はy軸(方向AA’)に沿った均一性プロファイルとx軸(方向BB’)に沿った均一性プロファイルとを有することができる。図4Aはy軸に沿った発光セグメント211Aの均一性プロファイル211A−y(断面211A−1)を示す。同様に図4Bはx軸に沿った発光セグメント211Aの均一性プロファイル211A−x(同じ断面211A−1)を示す。図4Aおよび図4Bの垂直軸は、文字Iにより示される光強度を表わす。図4Aおよび図4Bの水平および垂直軸は正確な縮尺で図示していない。図4Aおよび図4Bに示す例において、発光セグメント211Aは、y軸に沿ったかなり非均一な強度プロファイル211A−yとx軸に沿ったガウス強度プロファイル211A−xとを有する。発光セグメント211Aは、平頂または均一プロファイルなどのx軸に沿った他の強度プロファイル、もしくは結像用途で有利であり得る任意の他のプロファイルを有することができる。さらにまた結像システム200は、1つの強度プロファイルを他の強度プロファイルに変換する光学デバイスを含み得る。例えば結像システム200は、ガウス強度プロファイルを均一または平頂強度プロファイルに変換する光学デバイスを含み得る。ガウスプロファイルなどの非均一強度プロファイルを均一強度プロファイルに変換する1つのそのような光学デバイスは、米国特許第6,654,183号明細書に開示されている。
【0026】
図5Aおよび図5Bは、2つの異なる方向に沿った発光セグメント211Aの発散を図示する。具体的には図5Aはy−z平面内の発光セグメント211Aの発散、すなわち光セグメントがz軸に沿って伝播する際のy方向に沿った発散を図示する。α1はy軸に沿った発光セグメント211Aの全発散角である。同様に図5Bはx−z平面内の発光セグメント211Aの発散、すなわち光セグメントがz軸に沿って伝播する際のx方向に沿った発散を図示する。α2はx軸に沿った発光セグメント211Aの全発散角である。
【0027】
図2に戻って参照すると、ホモジナイザ230はその入力面230Aからパターン化光215を受光する。ホモジナイザ230は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の方向の受光パターン化光215の各発光セグメントのビーム均一性を改善するように設計されている。具体的にはホモジナイザ230は、主にy軸に沿った各受光発光セグメントの均一性を改善するように設計されている。例えばホモジナイザ230は、y軸に沿った発光セグメント211A(光セグメントの範囲内)の均一性を改善するように設計されており、図4Aに示した強度プロファイル211A−yである。発光セグメント211A、211B、および211Cの各々はy軸に沿ったホモジナイザ230により均質化される。ホモジナイザ230は本発明の特定の一実施形態において2つ以上の方向に沿った受光発光セグメントを均質化し得るが、ホモジナイザ230はy方向に沿って各受光発光セグメントを均質化するがx方向に沿っては均質化しない。このように本発明の特定の一実施形態によれば、ホモジナイザ230はパターン化光ビーム215を第1の方向に沿って均質化するが第2の方向に沿っては均質化せず、第1の方向は第2の方向とは異なる。
【0028】
ホモジナイザ230は各均質化発光セグメントをその出力面230Bから透過すると、透過均質化光セグメント231A、231Bおよび231Cを含む均質化パターン化光ビーム235になる。光セグメント231Aは光セグメント211Aに対応し、光セグメント231Bは光セグメント211Bに対応し、さらに光セグメント231Cは光セグメント211Cに対応する。図2に示す例示的実施形態では均質化パターン化光ビーム235はz軸に沿って伝播するが、一般には均質化パターン化光ビーム235は異なる方向に伝播し、方向の変化(パターン化光ビーム215に対して)は例えばホモジナイザ230により生じ得る。
【0029】
透過均質化光セグメント231A、231Bおよび231Cの各々の断面は、x軸に沿ったビーム均一性プロファイルと、y軸に沿ったビーム均一性プロファイルとを有する。加えて各透過均質化光セグメントはz軸に沿って伝播するにつれて発散、集光、または実質的に平行状態のままである。このように透過均質化光セグメント231A、231Bおよび231Cの各々は、x軸に沿った発散角とy軸に沿った発散角とを有する。各透過均質化光セグメントの発散およびビーム均一性を図3、図4および図6を参照してさらに説明する。
【0030】
図3Bは均質化光セグメント231Aの一部分を示す。xy平面の均質化光セグメント231Aの断面、例えば断面231A−1はy軸(方向CC’)に沿った均一性プロファイルとx軸(方向DD’)に沿った均一性プロファイルとを有することができる。図4Aはy軸に沿った均質化光セグメント231Aの均一性プロファイル231A−y(断面231A−1内)を示す。y軸に沿った光セグメントの一般的範囲内で231A−yは211A−yより均一であることが分かる。同様に図4Bはx軸に沿った光セグメント231Aの均一性プロファイル231A−x(同じ断面231A−1内)を示す。強度プロファイル211A−xおよび231A−xが基本的に重複していることが分かる。このようにホモジナイザ230はy軸に沿った均質化発光セグメント211Aを有するが、x軸に沿った発光セグメント211Aの均一性はほとんど変化しなかった。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、y軸に沿った均質化光セグメントの均一性は、対応する発光セグメントより少なくとも10倍以上であることが好ましく、20倍以上であることがより好ましく、30倍以上であることがさらに好ましい。
【0032】
図6Aおよび図6Bは、2つの異なる方向に沿った透過均質化光セグメント231Aの発散を図示する。具体的には図6Aはy−z平面内の透過均質化光セグメント231Aの発散、すなわち光セグメントがz軸に沿って伝播する際のy方向に沿った発散を図示する。α’1はy軸に沿った透過均質化光セグメント231Aの全発散角である。同様に図6Bはx−z平面内の透過均質化光セグメント231Aの発散、すなわち光セグメントがz軸に沿って伝播する際のx方向に沿った発散を図示する。α’2はx軸に沿った発光セグメント211Aの全発散角である。
【0033】
一般にα1およびα’1は同等である必要はない。同様にα2およびα’2は同等である必要はない。しかし本発明の一態様によればα2およびα’2は同等であるがα1およびα’1は同等ではない。このように本発明のこの特定の態様によればホモジナイザ230はy方向に沿った各発光セグメントの発散角を変えるが、x方向に沿っては変えない。本発明の他の態様によればα2およびα’2は同等であるとともに、α1およびα’1も同等である。本発明のいくつかの実施形態では図23に示すように、光中継器2310(図1の光中継器120など)は光源210とホモジナイザ230との間に配置されている。図23は本発明の特定の一実施形態による結像システムの一部分の概略側面図を図示する。具体的には図23は、光源210とホモジナイザ230との間に配置された光中継器2310を示す。光中継器2310は主に、例えば光源210からホモジナイザ230へ光を転送するように設計することができる。このような場合、光中継器2310およびホモジナイザ230の一方または両方がα1、α2またはその両方に影響し得る。本発明の一態様によれば、光中継器2310およびホモジナイザ230の一方または両方はα1を変えるがα2は変えない。本発明の好適な実施形態ではα’1はαと1同等であるとともにα’2はα2と同等である。光中継器2310はxおよびy方向に沿って異なる拡大比率を有し得る。本発明の特定の一実施形態において光中継器2310は光源210の出力面2305の画像をホモジナイザ230の入力面230A上に形成する。このように出力面2305および入力面230Aは光中継器2310に対して被写体像関係を形成する。本発明の好適な実施形態において光中継器2310はxおよびy方向に沿って同等の拡大比率を有する。本発明の他の好適な実施形態において、xおよびy方向に沿った光中継器2310の拡大比率はほぼ1に等しい。
【0034】
ホモジナイザ230は任意の三次元形状、例えば六面体などの多面体を有することができる。ホモジナイザ230は中実または中空のいずれでもよい。ホモジナイザ230は、反射、全反射、屈折、散乱、または回折もしくはそれらの組み合わせなどの任意の適当な光学的方法、あるいは入力光を均質化するのに用い得る任意の他の適当な方法により入力光を均質化し得る。
【0035】
ホモジナイザ230の光透過率は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、さらに80%以上であることがなお好ましい。ここで光透過率とは、入射面230Aに入射する全光強度に対する出力面230Bを出射する全光強度の比である。
【0036】
図2に戻って参照すると、マスク250は透過均質化光セグメントの各々を受光するとともにy方向に沿ったn個の光セグメントの行にパターン化する。ここでnは2以上であり得る。このようにマスク250の光出力は多数の光行(図2では3つ)を含むマスクパターン化光ビーム255であり、各光行は多数の光セグメント(図2では再度3つ)を有する。本発明によればnは10を超えることが好ましく、20を超えることがより好ましく、30を超えることがさらに好ましく、さらに50を超えることがなお好ましい。図2に示した例示的実施形態ではマスク250は、光セグメント231Aを光行255−1を形成する3個の光サブセグメント251A−1、251A−2、および251A−3に、光セグメント231Bを光行255−2を形成する3個の光サブセグメント251B−1、251B−2、および251B−3に、さらに光セグメント231Cを光行255−3を形成する3個の光サブセグメント251C−1、251C−2、および251C−3にパターン化する。そのため図2に示した例示的実施形態においてnは3に等しい、各個々の光サブセグメントは矩形断面などの任意の断面を有し得るが、この場合各サブセグメントはy方向に沿った長さとx方向に沿った幅とを有する。図7はxy平面内の光サブセグメント251A−1、251A−2および251A−3の断面を示す。光サブセグメント251A−1は長さL1と幅W1とを有し、光サブセグメント251A−2は長さL2と幅W2とを有し、さらに光サブセグメント251A−3は長さL3と幅W3とを有する。一般にマスク250は、受光した対応均質化光セグメントの長さにより通常は限定される任意の値の各個々の光サブセグメントの長さの設定を可能にする。
【0037】
マスク250は、入射光をパターン化するのに適した任意のタイプのマスクであり得る。例えばマスク250は例えば、薄い光非透過板内に複数の穴を有するシャドーマスクを含み得る。マスク250は光回折を用いた回折素子を含むことにより入射光をパターン化し得る。マスク250は光弁もしくは液晶によるSLMまたは切換可能ミラーSLMなどの空間光変調器(SLM)を含み得る。マスク250はデジタルマイクロミラーデバイスまたは回折格子ライトバルブなどのマイクロ電気機械システムを含み得る。マスク250は対象波長において実質的に光学的に透明または非透過のいずれかである一定または永久パターンを有する光マスクを含み得る。光マスクの作製に使用可能な例示的方法には、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、印刷、または光学的に透明および非透過領域を有する一定のパターンを生成し得る任意の他の方法がある。
【0038】
本発明の特定の一実施形態によれば、マスク250は別個の光サブセグメントの各々の長さを、約0.1ミクロン以上の精度で約0.2〜約2500ミクロンの範囲、より好ましくは約0.1ミクロン以上の精度で約1〜約500ミクロンの範囲、さらに好ましくは約1ミクロン以上の精度で約10〜約300ミクロンの範囲、さらになお好ましくは約1ミクロン以上の精度で約50〜約150ミクロンの範囲の任意の値に設定することができる。通常、精度δを用いてマスク250はサブセグメントの長さをL±δミクロンに設定することが可能であり、ここでLは所与の好適な範囲の任意の長さの値である。例えば1ミクロンの精度によりマスク250はサブセグメントの長さをL±1ミクロンに設定可能であり、ここでLは約10ミクロン〜約300ミクロン、または約50ミクロン〜約150ミクロンなどの好適な範囲の任意の長さの値である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば長さLaの場合、ここでLaは約50ミクロン〜約3000ミクロンの範囲の任意の値であるが、マスク250は別個の光サブセグメントの各々の長さを、約0.1ミクロン以上の精度で約0.9La〜約1.1Laの範囲の任意の値に設定するように構成可能である。本発明の他の実施形態によれば長さLaの場合、ここでLaは約5ミクロン〜約500ミクロンの範囲の任意の値であるが、マスク250は別個の光サブセグメントの各々の長さを、約0.1ミクロン以上の精度で約0.8La〜約1.2Laの範囲の任意の値に設定するように構成可能である。
【0040】
図7に戻って参照すると、光サブセグメント251A−1と251A−2との間の距離はd1であるとともに、光サブセグメント251A−3と251A−2との間の距離はd2である。一般に隣接の個々の光サブセグメント間の距離は用途における任意の値であり得る。本発明の一実施形態によればマスク250は任意の2個の隣接する別個の光サブセグメント間の距離を0.1ミクロン以上に設定するように設計可能である。
【0041】
本発明の特定の一実施形態においてすべての光サブセグメントは実質的に同じ長さを有するとともに実質的に同等に離間している。さらにまた隣接光サブセグメント間の間隔は各光サブセグメントの長さのほぼ2倍である。
【0042】
図2に戻って参照すると、レンズ系260はマスクパターン化光ビーム255を基板270上に投影する。このようにレンズ系260はn個の個々の光サブセグメントの各光行(光行255−1など)を基板270上に投影する。
【0043】
さらにまたレンズ系260は、各行からの対応するサブセグメント(すなわちパターン化光ビーム255内の列を形成するサブセグメント)が基板270上で実質的に一致するように、光行255−1、255−2および255−3の各々を基板270上に投影する。例えばレンズ系260は光サブセグメント251A−1、251B−1および251C−1を基板270上に投影して、単一の投影光セグメント270Aを形成する。同様にレンズ系260は光サブセグメント251A−2、251B−2および251C−2を基板270上に投影して、単一の投影光セグメント270Bを形成する。さらに他の実施形態としてレンズ系260は光サブセグメント251A−3、251B−3および251C−3を基板270上に投影して、単一の投影光セグメント270Cを形成する。そのためレンズ系260は基板270上でy方向に沿ったn個の個々の投影光セグメントの単一行を形成する。
【0044】
本発明の好適な実施形態において第1と第nすなわち最後の投影光セグメントとの間の距離は少なくとも5ミリメートル、より好適には少なくとも10ミリメートル、さらに好適には少なくとも15ミリメートル、さらになお好適には少なくとも20mmである。
【0045】
本発明の一実施形態によればマスクパターン化光ビーム255は、別個の光サブセグメントの二次元アレイを含み、ここでアレイはn列およびm行を有する。m行はp群に分割され、各群は少なくとも2行の別個の光サブセグメントを含み、ここで2つ以上の群に含まれる行はない。さらにまたレンズ系260は、各群のすべての行を重畳することによりm×nアレイの個々の光セグメントを基板270上に投影して投影光セグメントのアレイを形成し、ここでアレイはn列およびp行を有する。pが1である場合、パターン化光ビーム255内のm行のすべてが重畳されてn個の投影光セグメントの行を形成する。
【0046】
このような投影光セグメントのアレイを用いて、例えば同じ大きさのアレイの転写可能な材料を担体から基板270上に転写することができる。そのため本発明を用いてディスプレイ構成要素に画素のアレイを同時にパターン化することができる。さらにまた投影光セグメントのアレイを用いて、例えばステップアンドリピートプロセスを用いることによりディスプレイ構成要素全体に画素をパターン化することができる。
【0047】
基板270上へ投影した対応サブセグメントの重畳または重複を、図2からの結像システム200の一部分の概略側面図を示す図8を参照してさらに説明する。具体的には図8はマスク250と、レンズ系260と、基板270とを示す。図8はマスク250の出力として且つz方向に沿って伝播する光サブセグメント251A−1、251B−1、および251C−1をさらに示す。図8は基板270上への投影光セグメント270Aをさらに示す。本発明の特定の一実施形態によればレンズ系260は、転送光サブセグメントが基板270上で一致するように、光サブセグメント251A−1、251B−1および251C−1を基板270上に投影、中継または転送することにより単一の投影光セグメント270Aを形成する。
【0048】
対応光サブセグメントを基板270上に重畳する利点は、各投影光セグメントに対する光強度の増加である。その結果セグメント270Aなどの各投影光セグメントは、より短い時間で転写可能な材料の転写を誘起して全体のスループットを向上させることが可能であり得る。
【0049】
本発明において、第1の平面から第2の平面への光の投影は第1の平面から第2の平面への光の転送を指す。このように第2の平面は第1の平面の画像面内にある必要はない。具体的には図2を参照すると、マスク250の出射面252と基板270の表面271とは概して、レンズ系260に対して被写体像関係を形成していない。換言すればレンズ系260は表面252を基板271上に結像する必要はない。
【0050】
本発明の特定の一実施形態においてレンズ系260は、表面252を基板271上にy方向に沿って結像するがx方向に沿っては結像しない。このように、レンズ系260はマスク250からの出力光(すなわちパターン化光ビーム255)をxおよびy方向の両方に沿って基板270上に投影するが、このレンズ系は出力光を基板271上にy方向に沿って結像するがx方向に沿っては結像しない。そのためレンズ系260はマスク250と基板270との間のような拡大係数と、x軸に沿ったそれら2つの間の投影倍率係数とを有し得る。図8に戻って参照すると光サブセグメント251A−1はy軸に沿った長さL1とx軸に沿った高さW1とを有する。同様に投影光セグメント270Aはy軸に沿った長さL0とx軸に沿った高さW0とを有する。このようにレンズ系260は拡大係数L0/L1と投影倍率係数W0/W1とを有する。
【0051】
本発明の好適な実施形態によればマスク250と基板270との間のようなレンズ系260の拡大係数は5未満であり、より好適には3未満であり、さらに好適には2未満である。本発明の他の好適な実施形態では拡大係数は約0.8〜約1.2の範囲であり、より好適には約0.9〜約1.1の範囲であり、さらに好適には約0.95〜約1.05の範囲である。本発明のさらに他の好適な実施形態において拡大係数はほぼ1に等しい。
【0052】
さらにまた、マスク250と基板270との間のようなレンズ系260の投影倍率係数は好適には約0.02〜約1の範囲であり、より好適には約0.04〜約0.2の範囲であり、さらに好適には約0.05〜約0.2の範囲であり、さらになお好適には約0.06〜約0.1の範囲である。
【0053】
本発明の好適な実施形態ではレンズ系260は、y軸に沿って約1の拡大係数と約0.06〜約0.1の範囲の投影倍率係数とを有するアナモルフィックレンズ系である。
【0054】
図8に戻って参照すると、光セグメント270Aなどの投影光セグメントはxおよびy方向に沿った任意の強度プロファイルを有し得る。さらにまた光セグメント270Aは異なる方向に沿って異なる強度プロファイルを有し得る。本発明の一実施形態によれば投影光セグメントはy軸に沿って実質的に均一な強度プロファイルまたは平頂強度プロファイルと、x軸に沿ってガウス強度プロファイルとを有する。本発明の他の実施形態によれば投影光セグメントはxおよびy方向の両方に沿って実質的に均一な強度プロファイルを有する。
【0055】
本発明によれば、担体に塗布された転写可能材料を含むドナーフィルムがレンズ系260と基板270との間で基板270に接してまたは近接配置されると、n個の別個の光セグメント(図2のセグメント270A、270Bおよび270Cなど)の各々は、担体から基板270上への転写可能材料の転写を誘起することが可能である。このような材料の転写を図9および図10を参照してさらに説明する。
【0056】
図9はドナーフィルムから基板上への転写可能材料の転写の例を図示する、本発明による結像システムの一部分の概略側面図を示す。具体的には図9は任意の台280上に配置された基板270を示し、台280はx、yおよびz方向などの1つまたは複数の方向に沿って所定の方法で移動可能であり、図9のx方向はその中心に点を有する円で示された頁の平面に対して垂直である。図9はドナーフィルムが基板270に面した状態で担体920上に塗布されたドナーフィルム910を含む転写フィルム905をさらに示す。ドナーフィルム910は転写可能材料を含む。転写可能材料およびそれを含むドナーフィルムの例は、例えば米国特許第5,747,217号明細書、同第5,935,758号明細書、同第6,114,088号明細書、同第6,194,119号明細書、同第5,521,035号明細書、同第5,766,827号明細書、同第5,308,737号明細書、同第5,725,989号明細書および同第5,998,085号明細書に既に記載されている。
【0057】
図9はドナーフィルム910と基板270との間の間隙「R」を示す。一般にRが非常に小さくなり得るが、その場合ドナーフィルム910は基板270に接しまたは近接し得る。Rは例えば担体920の上側に圧力を加えることにより小さくすることができる。他の例として、間隙領域に真空を印加することにより間隙Rを低減することができる。図9は基板270上に投影光セグメント270A、270Bおよび270Cをさらに示す。これらの投影光セグメントはレンズ系260によって基板270上に形成される。ビーム軌跡930A、930Bおよび930Cは、それぞれレンズ系260から投影光セグメント270A、270Bおよび270Cへの例示的光投影経路を示す。各投影光セグメントは、投影光セグメントにより照明されるフィルム910の領域のドナーフィルム910を転写することが可能である。例えば投影光セグメント270Bはドナーフィルム910の部分920Bの転写が可能であり、部分920Bは投影光セグメント270Bにより照明されるドナーフィルム910の一部分に対応している。同様に投影光セグメント270Aおよび270Cはそれぞれドナーフィルム920の部分920Aおよび920Cの転写が可能である。このような転写の結果が図10に概略的に示されており、ドナーフィルム910の部分920A、920Bおよび920Cが担体920から基板270上に転写されている。一般にドナーフィルム920の転写部分はフィルムの対応する照明部分と同じ形状または大きさを有していてもいなくてもよい。本発明の一実施形態では転写領域の大きさは、ドナーフィルム910の対応照明領域の大きさの30%以内であり、より好適には20%以内であり、さらに好適には10%以内である。本発明の他の実施形態ではドナーフィルム920の転写部分の大きさおよび形状は対応する照明領域と実質的に同じである。
【0058】
転写フィルム905は図9に示されない追加層またはフィルム、例えば光熱変換フィルムを含み得る。転写フィルム905に含まれ得る様々な層の例は、例えば米国特許第5,521,035号明細書、同第6,114,088号明細書、同第5,725,989号明細書、同第6,194,119号明細書および同第5,695,907号明細書に既に開示されている。
【0059】
図2に戻って参照すると、シャッタを光源210から基板270のビーム経路に沿った1つまたは複数の箇所に配置することにより、基板270上の投影光セグメントを「オン」または「オフ」にし得る。1つのこのようなシャッタの一例が図9に概略的に示されており、シャッタ940がレンズ系260と基板270との間に配置されている。このようにシャッタ940が開放されると、投影光セグメント270A、270Bおよび270Cが基板270上に形成されるとともにドナーフィルム910の各部分の転写が可能になる。同様にシャッタ940が閉鎖されると、光は基板270に到達できないためドナーフィルム910の転写は誘起されない。台280がxy平面内の特定の経路に沿って移動される場合、投影光セグメント270Aなどの投影光セグメントは台280が取る経路に密接に追従する形状または形態の転写を誘起できる。例えば投影光セグメント270A、270Bおよび270Cがすべてオンである間に台280がx軸に沿って移動されるときは、投影光セグメントはドナーフィルム910をx軸に沿った3本の線の形態で基板270上に転写することができる。一方例えば台280が固定型である場合には、転写領域は投影光セグメントの大きさに密接に対応することができる。従って本発明の一実施形態による結像システムを用いて転写可能材料を所定の形態、例えばディスプレイ内の画素に対応する個々の画素、または例えばディスプレイ内の対応する列を覆う平行線、または特定の用途のディスプレイ構成要素をパターン化する際に所望であり得る任意の他の形状または形態などで転写することができる。
【0060】
光源250の全光出力は、投影光セグメント270A、270Bおよび270Cがドナーフィルムから基板270へ転写可能材料の転写を誘起可能であるように十分に高いことが好ましい。本発明の一実施形態において、光源250の全出力は少なくとも200ワットであり、少なくとも400ワットであることがより好ましく、少なくとも600ワットであることがさらに好ましく、少なくとも800ワットであることがさらに好ましく、さらに少なくとも900ワットであることがなお好ましい。さらにまた光源250の光出力はパルスまたは連続のいずれでもよい。
【0061】
本発明の一実施形態において、基板270に送出される全光出力は少なくとも50ワットであり、少なくとも100ワットであることがより好ましく、少なくとも150ワットであることがさらに好ましく、さらに少なくとも200ワットであることがなお好ましい。
【0062】
図2に戻って参照すると、本発明の一実施形態によればマスク250は各均質化光セグメント(セグメント231Aなど)を別個の光サブセグメント(サブセグメント251A−1、251A−2および251A−3など)の1行にパターン化することが可能であり、各サブセグメントの長さは高精度で設定することができる。マスク250のいくつかの実施形態をここで説明する。
【0063】
図11はマスク250の特定の実施形態としてのマスク1100の概略上面図を図示する。マスク1100は多数の光透過領域あるいは光非透過領域内の部分を含む。具体的には例示的マスク1100は光非透過領域1110に取り囲まれた3つの光透過領域1130A、1130Bおよび1130Cを有する。本発明の一態様によれば、各透過部分は軸に沿って中心がある。例えば光透過部1130Cは軸1143C上に中心がある。さらにまた本発明の一実施形態によれば、軸1143Cはx軸に沿って配向されている。
【0064】
光非透過により、領域1110により透過され得る任意の光がドナーフィルムから基板270上への転写可能な材料の転写を誘起することが不可能であるように十分に低い光出力または強度を有することを意味する。本発明の一実施形態において領域1110の全光透過は30%未満であることが好ましく、20%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさらに好ましく、さらに5%未満であることがなお好ましい。領域1110は光学的に反射、吸収、回折、またはそれらの組み合わせであることにより光学的に非透過でもよい。領域1110は例えば反射金属コーティングを含むことにより光学的に反射性でもよい。反射金属コーティングに用いることができる例示的金属材料には、銀、金、クロム、アルミニウム、銅、またはそれらの組み合わせ、もしくは任意の他の適当な反射金属材料がある。概してすべての金属は若干の残存光吸収性を有する。このようにマスク1100への高強度光入射は反射金属層に、故にマスク1100に大量の熱を発生させることができる。発生した熱は金属コーティングに損傷を与える恐れがあるだけでなくマスク内に熱膨張、しかも非均一熱膨張を生じることにより、マスクの様々な特徴の目的寸法に大幅な変化をもたらす恐れがある。
【0065】
他の例として領域1110は、光干渉により対象の波長において光を反射する多層誘電体コーティングを含むことにより光学的に反射性であり得る。このような場合、多層誘電体コーティング内の1つまたは複数の層は、例えば対象の波長において4分の1波長の厚さであり得る。
【0066】
他の例として領域1110は、反射金属層上に配置された反射性多層誘電体コーティングを含むことにより光学的に反射性であり得る。この例では多層誘電体コーティングは入射光の大部分を反射することが可能であり、光学吸収は基本的にほとんどない。多層誘電体コーティングにより透過され得る任意の残存光は金属層により反射される。このような構造の利点は、金属層に損傷を与えるまたは許容不可能な量の熱を生じる恐れがある高い強度の入射光に金属が直接露出されないということである。
【0067】
領域1110は、この領域により反射されうる任意の光が軸外方向、すなわち光入射方向から十分に異なる方向に反射されて、結像システム200内の他の要素を回避するように構成可能である。
【0068】
簡易化のため且つ一般性を失わずに、3つの光学的に透明または透過領域1130A、1130Bおよび1130Cが同じ形状および寸法を有すると仮定する。具体的には透明領域の各々は下辺に対して長さL4(x軸に沿った箇所X1に対応する)と、上辺に対して長さL5(x軸に沿った箇所X2に対応する)と、高さW4(X1とX2との間の距離に対応する)を有する台形である。図11はx軸に沿った箇所X0でマスク1100に入射する均質化光セグメント231A(図2から)を示す。マスク1100が均質化光セグメント231Aを、それぞれ透明領域1120A、1120Bおよび1120Cに対応する3個の光サブセグメント251A−1、251A−2および251A−3にパターン化することは理解できよう。ここで各サブセグメント(図7を参照)の長さはL’4、光入射の箇所のX0における各台形の長さである。本発明の特定の一実施形態によるマスク1100の主要特徴は、各光セグメント(サブセグメント251A−1など)の長さを、x軸に沿った適当な箇所を選択することにより基本的に約L4〜約L5の範囲の任意の値に設定することができることである。
【0069】
市販のパターニング方法またはマスクを作製するのに適当な任意のパターニング技術のいずれかまたは組み合わせを用いてマスク1100を作製することができる。例示的パターニング方法にはフォトリソグラフィ、インクジェット印刷、レーザアブレーション、フォトブリーチング、電子ビームリソグラフィ、機械加工、イオンミリング、反応性イオンエッチング等がある。前記例示的パターニング方法の1つまたは複数は例えば25cm×25cmもの大きなマスクを、基本的に全体領域にわたり1ミクロンまたは0.1ミクロン以上もの寸法精度で、1ミクロンより小さいおよび例えば100ミクロンより大きい特徴をパターニングすることが可能である。
【0070】
図11に戻って参照すると「活性領域」をマスク1100に対して規定することが可能であり、活性領域は入射ビームをパターン化するのに用いられるマスク内のすべての光学的に透明な特徴を含む最も小さい外周により規定される。例えばマスク1100の場合、矩形活性領域をy軸に沿った長さL6とx軸に沿った幅W4とで規定することができる。寸法W4およびL6は、マスク1100が用いられる特定の用途に従って任意の値を取ることができる。具体的には本発明によればマスク1100の活性領域は約5mm×5mm〜約40cm×40cmの範囲の任意の領域を覆うことができる。
【0071】
図11は各透明な開口(領域1130Cなど)の長さ(y軸に沿った寸法)がL4とL5との間で基本的に連続的に変化するマスクパターンを示す。図12はマスク250の他の実施形態としてのマスク1200の概略上面図を図示し、各透明な開口の長さがx軸に沿った数箇所において個々の段差で変化する。マスク1100と同様にマスク1200は光非透過領域1210により取り囲まれた3つの光透過領域1230A、1230Bおよび1230Cを含み、領域1210はマスク1100内の領域1110と同様に光非透過に作製し得る。
【0072】
マスク1100と同様に簡易化のため且つ一般性を失わずに、3つの光学的透明領域1230A、1230Bおよび1230Cが同じ形状および寸法を有すると仮定する。具体的には透明領域の各々が3個のセグメントを含み、各セグメントが一定の長さを有する。例えば光透過領域1230Cは一定の長さL7を有する底部透明セグメントと、一定の長さL8を有する中央透明セグメントと、一定の長さL9を有する上部透明セグメントとを有する。このように光学的透明領域1230Cの長さはX4で段差変化し、X5で他の段差変化をする。さらにまた光透過領域1230Cは座標X3とX7との間の距離である高さW5を有する。図12はx軸に沿った箇所X6におけるマスク1200に入射する均質化光セグメント231Aも示す。そのため図12の例において、マスク1200は均質化光セグメント231Aを、それぞれ透明領域1220A、1220Bおよび1220Cに対応する3個の光サブセグメント251A−1、251A−2および251A−3にパターン化し、ここで各サブセグメントの長さはL9である。マスク1200の利点は、入射光の箇所の僅かな変化(すなわちX6の僅かな変化)が各パターン化光サブセグメントの長さに影響しないことである。同時に各光サブセグメントの長さは、例えば入射光およびマスク1200の一方または両方を移動させることにより、個々の値のうちの1つ、この場合3つの値L7、L8およびL9のうちの1つであり得る。
【0073】
マスク1100と同様に矩形「活性領域」は、y軸に沿った長さL10とx軸に沿った幅W5とを有するマスク1200に対して規定することができる。
【0074】
図13はマスク250の他の実施形態としてのマスク1300の概略上面図を図示し、各透明開口の長さはx軸に沿って一定である。マスク1100と同様にマスク1300は光非透過領域1310により取り囲まれた多数の、例えば3つの光透過領域1330A、1330Bおよび1330Cなどを含み、領域1310はマスク1100内の領域1110と同様に光非透過に作製可能である。
【0075】
マスク1100と同様に簡易化のため且つ一般性を失わずに、3つの光学的透明領域1330A、1330Bおよび1330Cが同じ形状および寸法を有すると仮定する。具体的には透明領域の各々が一定の長さL11と高さW6とを有する矩形形状を有する。箇所X8とX9との間の任意の箇所X10においてマスク1300に入射する均質化光セグメント231Aは、それぞれ透明領域1320A、1320Bおよび1320Cに対応する3個の光サブセグメント251A−1、251A−2および251A−3への化均質化光セグメントのパターニングを生じ、ここで各サブセグメントの長さはL11である。マスク1300の利点は、入射光の箇所の大きな変化(すなわちX10の大きな変化)でさえL11、すなわち各パターン化光サブセグメントの長さに影響しないことである。
【0076】
マスク1100と同様に矩形「活性領域」を、y軸に沿った長さL12とx軸に沿った高さW6とを有するマスク1300に対して規定することができる。
【0077】
図11〜図13で説明したマスク250の例示的実施形態の各々において、実施形態は3つの個々の光学的透明領域を含むことにより、各実施形態は入射均質化光セグメントを3個の光サブセグメントにパターン化することが可能である。本発明によればM、マスク250内の個々の光学的透明領域の数は10を超えることが好ましく、20を超えることがより好ましく、30を超えることがさらにより好ましく、さらに50を超えることがなお好ましい。
【0078】
例えば図11の領域1130A、図12の領域1230B、および図13の領域1320Cなどの光透過領域の全光透過率(対象波長における)、特に正光透過率(これも対象波長における)は、光学的透明領域の全体領域内で非常に均一である。本発明の一態様によれば、本発明の任意の実施形態によるマスクの光透過領域の全領域内の全光透過率の均一性は、1%以下であり、10-2%以下であることがより好適であり、10-3%以下であることがさらに好適であり、10-4%以下であることがより好適であり、さらに10-5%以下であることがなお好適である。このことは、例えば10-4%以下の光均一性により、光透過領域内の任意の2点における全光透過率間のパーセント差が10-4以下であることを意味する。
【0079】
さらにまた内部光透過率を、必要に応じてすべての界面(またはフレネル)反射損失を除いて、全光透過率(対象波長における)としてマスクの光透過領域内の任意の箇所に対して規定し得る。マスクの光透過領域内の任意の点における本発明の任意の実施形態によるマスクの内部光透過率は、少なくとも99%であり、少なくとも99.9%であることがより好ましく、99.99%であることがさらに好ましく、さらに少なくとも99.999%であることがさらに好ましい。
【0080】
本発明の一実施形態においてマスク250は効率よく入射光ビームをパターン化することが可能であり、ほとんど全体光損失がないことを意味する。このようにマスク250は入射光の大部分を排除することなく入射光ビームをパターン化することが可能である。例えば結像システム200は光再循環機構を含むことにより、高い全体光透過率を維持しつつ入射光をパターン化することができる。他の例として結像システム200は入射光の大部分または基本的にはすべてをマスク250の光透過部へ向ける光学装置含むことができる。例えば円柱マイクロレンズなどのマイクロレンズのアレイを用いて入射光をマスク250の異なる光透過部へ向けることができる。入射光をマスク250の透明部に再指向する光学装置の例は米国特許第6,366,339号明細書に見出せる。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、結像システム200は高い全体光透過率を有し、ここで全体光透過率は、光源210の全体光出力に対する基板270に送達される全体光量の比を指す。本発明の一実施形態によれば結像システム200の全体光透過率は少なくとも20%であり、少なくとも30%であることがより好ましく、少なくとも40%であることがさらに好ましく、さらに少なくとも50%であることがなお好ましい。本発明の他の実施形態によれば結像システム200の全体光透過率は少なくとも70%であり、さらに少なくとも80%であることがより好ましい。
【0082】
本発明の任意の実施形態によるマスクは主マスクと1つまたは複数のプレマスクとを含み得るが、ここでプレマスクは主として、主マスクの光非透過領域を例えば高い強度入射光ビームにより生じ得るダメージから保護するように構成可能である。さらにまた主マスクの各光透過領域は1つまたは複数のプレマスクの対応光透過領域を有する。加えてプレマスク内の光透過領域により提供される開口または光学開口は、主マスク内の対応光透過率領域により提供される開口または光学開口より大きい。このようにプレマスク内の光学的透明領域の周囲は主マスク内の対応透明領域の周囲の外にある。図14は本発明の一実施形態によるマスク1400の一部分の概略側面図を図示し、マスクはプレマスクを含む。具体的には光マスク1400は主マスク1410と主マスク1410に近接配置されたプレマスク1420とを含む。主マスク1410は光非透過領域1430A、1430Bおよび1430Cならびに光透過領域1440Aおよび1440Bを含む。同様にプレマスク1420は光非透過領域1430A’、1430B’および1430C’、ならびに光透過領域1440A’および1440B’を含む。光透過領域1440Aおよび1440Bはそれぞれ長さL13およびL14を有する。L’ 13がL13より大きく、L’ 14がL14より大きいということが図14から分かる。このように例えば透明領域1440A’により提供された光学開口が、対応透明領域1440Aにより提供された光学開口より大きい。主マスク内の対応光学的透明領域より大きい光学的透明領域を有するプレマスク1420の利点は、プレマスクと主マスクとの間の位置合わせの容易さである。さらなる利点はマスクまたはプレマスクによる不注意による僅かな移動、またはプレマスク1420の任意の熱的膨張が光サブセグメント(図2の光サブセグメント251A−1など)の線幅を変化させないことである。
【0083】
図11に戻って参照すると、入射均質化光セグメント231Aの強度は、光非透過領域1110の残存光吸収がマスク1100を熱的に膨張させ得るように十分に高く(且つ光透過領域においてより小さい範囲)なり得る。マスク内の熱膨張は、例えば膨張が投影光セグメント(例えば図2の光セグメント270A、270B、および270C)とパターン化されるディスプレイ構成要素との間の容認できない位置ずれを生じるため、長さL’4などのマスク内の特徴の寸法を許容可能な値を超えて変化させる場合がある。1つまたは複数のプレマスクを設けることにより、主マスク内の熱膨張の望ましくない影響を緩和することができる。代替的または追加的手法は、マスクに例えば残存光吸収により生じる望ましくない熱的影響を補償する冷却機構を提供することである。冷却は例えば冷気をマスク上方に流すことにより提供することができる。他の例は冷却室1510内に封入されたマスク1505を含むマスクアセンブリ1500の概略側面図を示す図15に図示されている。冷却室1510はマスク1505内で発生した熱を除去する冷媒1540を含む。冷却室1510は冷媒1540を冷却室1510に出し入れする任意の入口1520と出口1530とを有する。図15に表示する冷却機構は開放または閉鎖冷却システムの一部であり得る。冷媒1540は空気などの気体、もしくはアルゴンまたは窒素などの化学的不活性気体であり得る。冷媒1540は水、または改質水溶液などの液体であり得る。冷却室1510は光透過入力窓1511と入射光ビームの通過を提供する出力窓1512とをさらに含む。
【0084】
いくつかの用途において、本発明の結像システムの少なくともいくつかの構成要素または部分を比較的一定の温度に維持することが望ましいまたは必要である場合がある。いくつかの用途において、光学素子およびその素子を正しい場所に保持する台のすべてを含む結像システムの全体を比較的一定の温度に維持することが望ましいまたは必要である場合がある。例えばディスプレイ構成要素のパターニング中に正確な位置合わせを維持するために比較的一定の温度が必要である場合がある。このように結像システムの直接の一部ではない要素、ディスプレイ構成要素またはドナーフィルムなども一定の温度に維持されることが必要である場合がある。例えば結像システムの各要素またはサブアセンブリ毎に専用温度制御システムを設けることにより一定の全体温度の維持を達成し得る。温度制御室などの温度制御筐体内に結像システム全体を配置することにより温度を比較的一定の値に維持し得る。
【0085】
図2に戻って参照すると、光源210はパターン化光ビーム215を発光することが可能である。以下において光源210の異なる実施形態を若干詳細に説明する。図16は本発明の特定の一実施形態による光バーアセンブリ1600の概略三次元図を図示する。本発明の一実施形態において、光源250は1つまたは複数の光バーアセンブリ1600を含む。光バーアセンブリ1600は光バー1610とコリメーティングレンズアセンブリ1630とを含む。光バー1610は複数の個々の発光体1620を含む。例えば図16は4つのそのような発光体を示す。
【0086】
発光体1620は1つまたは複数の別個の対象波長、1つまたは連続波長範囲、もしくはそれらの組み合わせの光を発光することが可能である。さらにまた発光体1620は、紫外域、近紫外域、可視域、近赤外域、または赤外域、もしくはそれらの組み合わせなどの電磁スペクトルの任意の範囲の光を発光し得る。本発明の特定の一実施形態において、各発光体1620は約700ナノメートル〜約1700nmの範囲の1つまたは複数の波長の光を発光し、約750ナノメートル〜約1200nmの範囲であることがより好ましく、約750ナノメートル〜約900nmの範囲であることがさらに好ましく、約770ナノメートル〜約830nmの範囲であることがさらに好ましく、さらに約780ナノメートル〜約820nmの範囲であることがなお好ましい。
【0087】
一般に発光体1620は任意の断面プロファイルを有する光を発光することができる。例えば図16に示した発光体1620の各々は矩形プロファイルを有する光を発光し、光バー1610の出力面1612における矩形プロファイルはy軸に沿った長さleとx軸に沿った高さweとを有する。他の例示的プロファイルには円形、楕円形、四角形などの多角形、菱形、平行四辺形、台形、長方形、正方形、または三角形がある。さらにまた発光体1620により発光される光の大きさおよび寸法は、有用性、結像システム全体の設計、および対象の特定用途のようなパラメータによって変化し得る。本発明の特定の一実施形態において、発光体1620は多角形プロファイルを有する光を発光することが好ましく、四角形プロファイルがより好ましく、さらに長方形プロファイルがなお好ましい。
【0088】
さらにまた本発明の特定の一実施形態によれば、発光体1620は長方形プロファイルを有する光を発光し、leが約25〜約400ミクロンの範囲であるとともにweが約0.1〜約10ミクロンの範囲であることが好ましく、leが約50〜約300ミクロンの範囲であるとともにweが約0.3〜約5ミクロンの範囲であることがより好ましく、さらにleが約75〜約225ミクロンの範囲であるとともにweが約0.5〜約3ミクロンの範囲であることがなお好ましい。さらにまたse、隣接する発光体1620間の距離は約25ミクロン〜約400ミクロンの範囲であることが好ましく、約50ミクロン〜約300ミクロンの範囲であることがより好ましく、さらに約75ミクロン〜約225ミクロンの範囲であることがなお好ましい。
【0089】
発光体1620により発光され且つコリメーティングレンズアセンブリ1630を通過する前の光は、y軸に沿って全発散角α”1とx軸に沿って全発散角α”2とを有し、α”1は通例約2度〜約15度の範囲であり得るとともに、α”2は通例約5度〜約50度の範囲であり得る。
【0090】
簡易化、図示を容易にするため且つ一般性を失わずに、図16はコリメーティングレンズアセンブリ1630と光バー1610の出力面1612との間の物理的距離を示す。しかしほとんどの用途において、コリメーティングレンズアセンブリ1630は例えば光学接着剤により光バー1610の出力面1612に取り付けられることが望ましい場合がある。いくつかの用途において屈折率整合材料などの光透過材料がコリメーティングレンズアセンブリ1630と光バー1610との間の間隙を満たすことにより例えば反射損失を低減し得る。
【0091】
コリメーティングレンズアセンブリ1630は発散角α”1およびα”2を低減するように設計し得る。本発明の一実施形態においてコリメーティングレンズアセンブリ1630は、α”1に大きく影響を与えることなく発散角α”2を大幅に低減する。このようにコリメーティングレンズアセンブリ1630は円柱レンズのように動作することができるが、多数のレンズをその光学的パワーの方向が図16に示したようにx軸に沿って配向されている状態で含み得る。本発明のこの実施形態によればコリメーティングレンズアセンブリ1630はx軸に沿って各発光体1620の出力光を実質的に平行にする。各発光体1620により発光され且つコリメーティングレンズアセンブリにより透過された光は、x軸に沿った全発散角α2とy軸に沿った全発散角α1とを有し、ここでα1はα”1とほぼ同じであり得る。α2は1度以下であることが好ましく、0.5度以下であることがより好ましく、0.1度以下であることがさらに好ましく、0.05度以下であることがさらに好ましく、さらに0.03度以下であることがなお好ましい。
【0092】
本発明の一態様によれば、比較的小さいse(例えばseは225ミクロン以下である)と組み合わせた比較的大きいα”1(例えばα”1は少なくとも30度である)により、発光体1620から発光された光がyz平面(y軸に沿った)内で部分的に混合して重複することができるため、発光セグメント1611A、コリメーティングレンズアセンブリ1630の光出力はxy平面内の連続プロファイスを有するように見える。具体的には発光セグメント1611Aは、図4Aに示したプロファイル211A−yと同様なy軸に沿った均一性プロファイルと、図4Bに示したプロファイル211A−xと同様なx軸に沿った均一性プロファイルとを有する。発光セグメント1611Aは図2に示した発光セグメントのうちの1つ、例えば光セグメント211Aであり得る。
【0093】
光バーアセンブリは2つ以上の光バー1610、例えば図17に示した光バーアセンブリを含み得る。図17は本発明の他の実施形態による光バーアセンブリ1700の概略三次元図を図示する。光バーアセンブリ1700は2つの別個の光バー1710Aおよび1710Bのスタックを含む。光バー1710Aおよび1710Bの各々はそれぞれ複数の発光体1720Aおよび1720Bを含む。例えば図17は各光バー内の3つの発光体を示す。光バーアセンブリ1700はコリメーティングレンズアセンブリ1730をさらに含む。概して各光バーは1つまたは複数の方向に光コリメーションを提供するその独自の専用コリメーティングレンズ系を必要とする。同様にコリメーティングレンズアセンブリ1730は、2つのコリメーティングレンズサブアセンブリ1730Aおよび1730Bを含み、1つのサブアセンブリが各光バーのためのものである。本発明の一態様によれば各レンズサブアセンブリは、その対応する光バーにより発光された光をx方向に実質的に平行にするがy方向には平行にしない。コリメーティングレンズサブアセンブリ1730Aおよび1730Bはコリメーティングレンズアセンブリ1730を形成する別体部分であってもよく、またはレンズアセンブリの一体部分であってもよい。
【0094】
本発明の他の一態様によれば、コリメーティングレンズアセンブリ1730の出力は発光セグメント1711Aおよび1711Bを含み、各々矩形プロファイルを有するとともにz軸に沿って伝播する。具体的には発光セグメント1711Aおよび1711Bの各々は図4Aに示したプロファイル211A−yと同様なy軸に沿った均一性プロファイルと、図4Bに示したプロファイル211A−xと同様なx軸に沿った均一性プロファイルとを有する。発光セグメント1711Aおよび1711Bは例えば図2に示した発光セグメントのうちの2つ、例えば発光セグメント211Aおよび211Bであり得る。
【0095】
図17は各々発光体(それぞれ1720Aおよび1720B)の一次元アレイを有する2つの別個の光バー1710Aおよび1710Bを積み重ねることによる発光体の二次元アレイを示す。一方図18は発光体1820の単体二次元アレイ(例えば図18に示すような3×3のアレイ)を含む光バー1800を図示し、ここで発光体1820は発光体1620と同様であり得る。具体的には光バーアセンブリ1800は発光体1820の3行1840A、1840Bおよび1840Cを含み、発光体の各行は3つの発光体を含む。光バーアセンブリ1800は3つのコリメーティングレンズサブアセンブリ1830A、1830Bおよび1830Cを含むコリメーティングレンズアセンブリ1830をさらに含み、各々発光体の対応する行からの出力光をx方向に実質的に平行にするが、y方向にはしないように設計されている。
【0096】
本発明の一態様によればコリメーティングレンズアセンブリ1830の出力は発光セグメント1811A、1811Bおよび1811Cを含み、各々矩形プロファイルを有するとともにz軸に沿って伝播する。具体的には発光セグメント1811A、1811Bおよび1811Cの各々は、図4Aに示したプロファイル211A−yと同様なy軸に沿った均一性プロファイルと、図4Bに示したプロファイル211A−xと同様なx軸に沿った均一性プロファイルとを有する。発光セグメント1811A、1811Bおよび1811Cは例えば図2に示した3個の発光セグメント211A、211Bおよび211Cであり得る。
【0097】
図2に戻って参照すると本発明の一実施形態によれば、複数の発光セグメントを含むパターン化光ビーム215は、2個以上の組の発光セグメントを合成することにより形成することが可能であり、ここで各組を例えば図16〜図18に示したような光バーにより作製することができる。図19は2組の発光セグメントを合成して新たなより大きい組の発光セグメントを形成する概略三次元図を図示する。具体的には図19は第1の組の発光セグメント1911−1と第2の組の発光セグメント1911−2とを示し、ここで各組の発光セグメントは図16〜図18に示したような光バーアセンブリの出力であり得る。図19に示した例示的実施形態において、第1の組の発光セグメント1911−1は3個の発光セグメント1911B、1911Dおよび1911Fを含み、各発光セグメントは図16を参照して説明した光セグメント1611Aと同様であり得る。同様に第2の組の発光セグメント1911−2は3個の発光セグメント1911A、1911Cおよび1911Eを含み、各発光セグメントは光セグメント1611Aと同様であり得る。
【0098】
図19は高い正光透過率および反射率の交互領域を有する光コンバイナ1950をさらに示す。具体的にはコンバイナ1950は、各々が高い正光反射率を有する領域1950A、1950Cおよび1950Eならびに、各々が高い正光透過率を有する領域1950B、1950Dおよび1950Fを有する。ビームコンバイナ1950は、ビームコンバイナの各光透過領域が対応発光セグメントを第1の組の光セグメントから透過するとともにビームコンバイナの各光反射領域が対応発光セグメントを第2の組の光セグメントから反射して、透過および反射発光セグメントがセグメント間で混合または部分的に重複することなく同じ方向に沿って伝播する光セグメントの新たな大きい組を形成するように配向されている。例えば第1の組の光セグメント1911−1は、図20Aに示すようにxy平面内の断面プロファイルを有してz方向に沿って伝播することができる。さらにまた第2の組の光セグメント1911−2は、図20Bに示すようにxz平面内の断面プロファイルを有してy方向に沿って伝播することができる。光コンバイナ1950をyz平面に垂直な平面内に位置するように配向することができるとともに、yまたはz軸に対して45度の角度をなすことができる。さらにまた図20Aおよび図20Bから分かるように、第1の組の発光セグメントは、x軸に沿って第2の組の発光セグメントに対して位置ずれしている。さらにまた光コンバイナ1950は、第1の組の発光セグメント1911B、1911Dおよび1911Fがコンバイナの透過領域1950B、1950Dおよび1950Fと整列するとともに、第2の組の発光セグメント1911A、1911Cおよび1911Eがコンバイナの反射領域1950A、1950Cおよび1950Eと整列するように位置決めされている。その結果ビームコンバイナ1950は発光セグメント1911B、1911Dおよび1911Fを透過して発光セグメント1911B’、1911D’および1911F’を形成するとともに、発光セグメント1911A、1911Cおよび1911Eを反射して発光セグメント1911A’、1911C’および1911E’を形成するため、反射および透過発光セグメントはz方向に沿って伝播する発光セグメント1911A’〜1911F’を含むパターン化光ビーム1912を形成する。本発明の一態様において、x軸に沿った発光セグメント間の光混合または部分的重複はほとんどない。本発明の他の態様ではx軸に沿った発光セグメント間に若干の重複がある。本発明の好適な実施形態において、発光セグメント間のいかなる重複も多くても部分的であり、その重複が隣接発光セグメント間で約50%以下であるということを意味する。パターン化光ビーム1912は図20Cに示すようなxy平面内の断面プロファイルを有するとともに、例えば図2に示したパターン化光ビーム215であり得る。
【0099】
図19に示すような発光セグメントの組を合成する利点は、全体スループットの増加につながる基板270(図2)における光パワーまたは強度の増大である。パターン化光ビーム1912を光コンバイナ1950と同様な光コンバイナを用いて同様なパターン化光ビームと合成することにより、より多くの発光セグメントを有し、そのため基板270においてさらに大きな光パワーまたは強度を有する新たなパターン化光ビームを形成し得ることは理解できよう。このように図19を参照して説明した合成方法を用いて2つ以上の組の発光セグメントを合成することにより、図2に示したパターン化光ビーム215などのパターン化光ビームを形成する。
【0100】
本発明の特定の一実施形態によれば光コンバイナ1950を用いて、n’個の発光セグメントを有する第1の組の発光セグメントを、同様にn’個の発光セグメントを有する第2の組の発光セグメントと合成することにより、2n’個の発光セグメントを有するパターン化光ビームを形成する。ここでn’は少なくとも1であることが好ましく、少なくとも2であることがより好ましく、少なくとも3であることがさらに好ましく、さらに少なくとも4であることがなお好ましい。本発明の特定の一実施形態においてn’は8である。
【0101】
図21は本発明の他の実施形態による2つ以上の組の発光セグメントを合成してより大きい組の発光セグメントを形成する異なる方法の概略上面である。具体的には図21はy方向に沿って伝播する第1の組の発光セグメント2111−1と、z方向に沿って伝播する第2の組の発光セグメント2111−2とを示す。各組の光は偏光されている。例えば各組は直線配向平行偏光を有し、偏光の方向が符号2102により示すようなyz平面内にあるということを意味する。図21は偏光方向を平行から垂直に変化させて垂直偏光を有する第1の組2111−1’を形成するように組2111−1の経路内に配置された位相差要素2110をさらに示し、ここで垂直偏光により偏光方向が符号2101により示すようなx軸(yz平面に垂直)に沿っているということを意味する。
【0102】
図21は平行および垂直偏光間の差を用いて第1および第2の組を合成する偏光ビームコンバイナ2120をさらに示す。例えば図21は第2の組から光を受光する入力面2121と、第1の組から光を受光する入力面2122とを有する立方体偏光ビームコンバイナ2120を示す。偏光ビームコンバイナ2120は、垂直偏光を有する光を反射するとともに平行透過を有する光を透過する特性を有する斜辺2125を有する。このように偏光ビームコンバイナ2120は、第1の組からの光を反射するとともに第2の組からの透過光を透過することにより、第1の組からの光を第2の組からの光と合成してパターン化光ビーム2115−1を形成する。パターン化光ビーム2115−1は例えば図2のパターン化光ビーム215であり得る。
【0103】
偏光斜辺2125は第1の偏光を有する光を反射するとともに第2の偏光を有する光を透過することが可能な任意の偏光素子であり得る。ここで第1および第2の偏光は異なる。例えば偏光斜辺2125は、例えば米国特許第2,403,731号明細書に記載されているような多層誘電体フィルムであり得る。偏光斜辺2125は多層有機光フィルムまたは、例えば米国特許第6,486,997号明細書に以前に記載されているワイヤグリッド偏光子であり得る。概して偏光ビームコンバイナ2120は、ある偏光の光を反射するとともに異なる偏光の光を透過することが可能な任意の偏光感知素子であり得る。
【0104】
本発明の一実施形態において、第1の組2111−1の発光セグメントは第2の組2111−2の発光セグメントとx軸に沿って実質的に位置合わせされているため、ビームコンバイナ2120により合成される場合、その2組からの対応セグメントが実質的に重複する。本発明の他の実施形態において、第1の組2111−1の発光セグメントは第2の組2111−2の発光セグメントに対してx軸に沿ってずれているため、ビームコンバイナ2120により合成される場合、パターン化光ビーム2150内の発光セグメントの数は第1および第2の組の発光セグメントの全数である。パターン化光ビーム2150は例えば図2のパターン化光ビーム215であり得る。
【0105】
必要に応じて偏光ビームコンバイナ2120と同様な偏光ビームコンバイナ2130を用いて、第3の組の発光セグメント2111−3(位相差板2110’を通過する)からの光を第4の組の発光セグメント2111−4と合成して、パターン化光ビーム2115−2を形成することができる。ここでパターン化光ビーム2115−2は例えば図2のパターン化光ビーム215であり得る。
【0106】
本発明の一実施形態において、図19の光コンバイナ1950と同様に光コンバイナ2150を用いることにより、パターン化光ビーム2115−1と2115−2とを合成してパターン化光ビーム2115−3を形成し得る。
【0107】
図22は本発明の他の実施形態による光源2210を図示する。図22も図示の簡略化のため結像システム200の一部分を示す。光源2210は例えば図2に示した光源210であり得る。光源2210は複数、例えば3つの発光デバイス2220A、2220Bおよび2220Cを含む。発光デバイスの各々は例えばファイバ光源などの導光体光源であり得る。例えば各発光デバイスはレーザの出力に結合された光ファイバであり得る。このように発光デバイス2220A、2220Bおよび2220Cの出力光は偏光され得る。
【0108】
光源2210は、発光デバイスの出力光を1つまたは複数の方向に平行にするまたは部分的に平行にするコリメーティングレンズアセンブリ2225A、2225Bおよび2225Cをさらに含む。加えて光コリメーティングレンズアセンブリ2225A、2225Bおよび2225Cは、発光デバイスの出力で行うことが望ましいビーム形成、偏光、遅延、または任意の他の機能などのさらなる機能を行い得る。
【0109】
光源2210は発光デバイスの各々の出力光を受光するとともにマスク250にわたって各受光出力を走査するスキャナ2230をさらに含む。図22に示す例示的スキャナはPP’、ミラーの中心軸を中心に高速回転する多角形状ミラー2230である。多角形形状ミラー2230の各面2231は高い正光反射性を有する。多角形状ミラー2230は回転すると、発光セグメント2211A、2211Bおよび2211Cを含むパターン化光ビーム2215を形成する。パターン化光ビーム2215は例えば図2に示したパターン化光ビーム215であり得る。この場合発光セグメント2211A、2211Bおよび2211Cは発光セグメント211A、211Bおよび211Cであり得る。発光セグメント2211A、2211Bおよび2211Cは最終的に(例えば光ホモジナイザ230を通過した後)受光されてマスク250によりパターン化され得る。
【0110】
他のタイプの光スキャナを用いて発光デバイス2220A、2220Bおよび2220Cの光出力を走査することができる。例示的光スキャナにはガルバノミラー(広帯域または共振)、ホログフラフィックスキャナ、電気光学スキャナ、音響光学スキャナ、光学機械スキャナ、または個々の発光セグメントを形成するのに適し得る任意の他の走査方法がある。
【0111】
本発明の一実施形態によれば、2つ以上の結像システムを用いてディスプレイ構成要素を同時にパターン化することができる。ここで例えば各結像システムはディスプレイ構成要素の異なる領域をパターン化する。
【0112】
図9に戻って参照すると、ドナーフィルム910の十分な部分を転写することにより転写フィルム905を処理した後、処理済転写フィルム905を未処理転写フィルム905と交換して転写プロセスを継続し得る。処理済転写フィルム905の個々のシートを除去するとともに未処理転写フィルム905を正しい位置に配置することにより交換を達成し得る。このようにディスプレイ構成要素のパターニングは数枚の転写フィルム905を用いることにより達成し得る。代替例として転写フィルム905を連続形状、例えば連続ロールで提供し得る。この場合連続ロールの一部分を図9に示すように被処理位置に配置し得るとともに、その適切な位置にある部分が処理されると、そのロールは前方に割送りされて処理位置にそのロールの未処理部分を配置することができる。
【0113】
いくつかの用途において例えば空気内より、例えばアルゴンまたは窒素環境内を意味する不活性環境内において、担体フィルム920から基板270への転写可能材料の転写を行うことは望ましくまたは必要である場合がある。これは転写フィルム905が十分に強い光で照明される場合、例えば酸素の存在下で望ましくない化学反応を受け得る材料または層を含み得るためである場合がある。さらにまたいくつかの用途において転写フィルム950の処理を含むいくつかまたはすべての取り扱いを不活性環境で行う必要がある場合がある。
【0114】
上記に引用されたすべての特許、特許出願および他の公開を完全に再現するように本明細書に参照により援用する。本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明をそれらの実施例の詳細に限定しようとするものではないことは理解されよう。むしろ添付の特許請求の範囲により規定されるように本発明の趣旨および範囲内にあるすべての変形例、実施形態および代替例をすべて網羅しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態による結像システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による結像システムの概略三次元図である。
【図3A】ホモジナイザを通過する前の発光セグメントの概略三次元図である。
【図3B】ホモジナイザを通過した後の発光セグメントの概略三次元図である。
【図4A】図3Aに示した発光セグメントに対する、2つの異なる方向に沿ったビーム均一性を図示する図である。
【図4B】図3Bに示した発光セグメントに対する、2つの異なる方向に沿ったビーム均一性を図示する図である。
【図5A】2つの異なる方向に沿った発光セグメントの発散を図示する図である。
【図5B】2つの異なる方向に沿った発光セグメントの発散を図示する図である。
【図6A】2つの異なる方向に沿った均質化光セグメントの発散を図示する図である。
【図6B】2つの異なる方向に沿った均質化光セグメントの発散を図示する図である。
【図7】本発明の一実施形態によるマスクによってパターン化された光の一部分の断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるマスクによってパターン化された光の重畳の概略側面図である。
【図9】本発明の一実施形態による転写可能材料の転写の概略側面図である。
【図10】本発明の一実施形態による転写された転写可能材料の概略側面図である。
【図11】本発明の一実施形態によるマスクの概略上面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるマスクの概略上面図である。
【図13】本発明の一実施形態によるマスクの概略上面図である。
【図14】本発明の一実施形態によるプレマスクを有するマスクの概略側面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるマスクアセンブリの概略側面図である。
【図16】本発明の一実施形態による光バーアセンブリの概略三次元図である。
【図17】本発明の一実施形態による光バーアセンブリの概略三次元図である。
【図18】本発明の一実施形態による光バーアセンブリの概略三次元図である。
【図19】本発明の一実施形態による2組の発光セグメントを合成する光コンバイナの概略三次元図である。
【図20A】図19に示した2組の発光セグメントおよびその結果得られる2組の合成を示す断面図である。
【図20B】図19に示した2組の発光セグメントおよびその結果得られる2組の合成を示す断面図である。
【図20C】図19に示した2組の発光セグメントおよびその結果得られる2組の合成を示す断面図である。
【図21】異なる組の発光セグメントを合成する偏光ビームコンバイナの概略上面図である。
【図22】本発明の一実施形態による光源および結像システムの一部の概略三次元図である。
【図23】本発明の一実施形態による結像システムの一部分の概略側面図である。
【図24】本発明の一実施形態による結像システムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムであって、
パターン化光ビームを発光するように構成され、前記パターン化光ビームが複数の別個の出力光セグメントを含み、前記別個の出力光セグメントの重複は多くても部分的である、光源アセンブリと、
前記複数の別個の出力光セグメントを受光するとともに転写面上へ投影して、前記複数の別個の出力光セグメントの実質的な重畳により投影光セグメントを形成し、担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが前記転写面にある基板に近接配置されたときに、前記投影光セグメントが前記担体から前記基板上への前記転写可能材料の転写を誘起することが可能である、光中継アセンブリとを備える、光学結像システム。
【請求項2】
前記複数の別個の出力光セグメントは実質的に同じ大きさを有する、請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項3】
ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムであって、
パターン化光ビームを発光するように構成され、前記パターン化光ビームが別個の出力光セグメントの出力アレイを含み、前記出力アレイがn列とm行とを有し、nが2以上であり、1列内の前記別個の出力光セグメントの重複は多くても部分的である、光源アセンブリと、
前記出力アレイを受光するとともに転写面上へ投影して、前記転写面内に別個の投影光セグメントの投影アレイを形成し、前記投影アレイがn列と1行とを有し、1列内の別個の投影光セグメントの各々が前記出力アレイの対応列内の前記別個の出力光セグメントの実質的に完全な重複により形成され、担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが前記転写面にある基板に近接配置されると、前記別個の投影光セグメントの各々が前記担体から前記基板上への前記転写可能材料の転写を誘起することが可能である、光中継アセンブリとを備える、光学結像システム。
【請求項4】
mが2以上である、請求項3に記載の光学結像システム。
【請求項5】
ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムであって、
パターン化光ビームを発光可能であり、前記パターン化光ビームが2個以上の発光セグメントを含み、各発光セグメントが、
第1の全発散角および第1の方向に沿った第1の均一性、並びに
第2の全発散角および第2の方向に沿った第2の均一性を有する、光源と、
前記2個以上の発光セグメントを入力面から受光し、各発光セグメントを均質化するとともに対応均質化光セグメントを出力面から透過する光ホモジナイザであって、各透過均質化光セグメントが、
第3の全発散角および前記第1の方向に沿った第3の均一性、並びに
第4の全発散角および前記第2の方向に沿った第4の均一性を有し、
各透過均質化光セグメントの前記第3の均一性が各対応発光セグメントの前記第1の均一性より大きい、光ホモジナイザと、
透過均質化光セグメントの各々を受光するとともに各透過均質化光セグメントを、前記第1の方向に沿ったn個の別個の光サブセグメントの1行にパターン化するマスクであって、nが21以上であり、別個の光サブセグメントの各々が前記第1の方向に沿った長さおよび前記第2の方向に沿った高さを有する、マスクと、
基板と、
n個の別個の光サブセグメントの各行を前記第1の方向に沿って投影倍率1で前記基板上に投影することにより、前記第1の方向に沿ったn個の別個の投影光セグメントの単一行を形成し、1番目とn番目の別個の投影光セグメントとの間の距離が少なくとも10ミリメートルである、第1のレンズ系とを備え、
前記マスクが別個の光サブセグメントの各々の長さを1ミクロン以下の精度で約50ミクロン〜約150ミクロンの範囲の任意の値に設定可能であり、
担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが前記第1のレンズ系と前記基板との間で前記基板に近接配置されたときに、前記n個の別個の投影光セグメントの各々が前記担体から前記基板上への前記転写可能材料の転写を誘起することが可能である、光学結像システム。
【請求項6】
前記発光セグメントのうちの少なくともいくつかが前記第2の方向に沿って部分的に重複する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項7】
前記第1の方向が前記第2の方向に実質的に垂直である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項8】
前記光源が前記発光パターン化光ビームを第3の方向に沿って平行にする第2のレンズ系を備える、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項9】
前記第3の方向が前記第1および第2の方向に実質的に垂直である、請求項8に記載の光学結像システム。
【請求項10】
前記光源が複数のレーザダイオードエミッタを備える、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項11】
前記光源が1つ以上のレーザダイオードバーを備え、各バーが複数のレーザダイオードエミッタを含む、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項12】
前記光源が少なくとも2つのレーザダイオードバーを備える、請求項11に記載の光学結像システム。
【請求項13】
前記1つ以上のレーザダイオードバーの各々が前記第1の方向に沿って配置されている、請求項11に記載の光学結像システム。
【請求項14】
各発光セグメントの前記第2の発散角がゼロに近い、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項15】
前記光ホモジナイザが光ロッドを備える、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項16】
前記光ホモジナイザの少なくとも一部分が中空である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項17】
前記光ホモジナイザの少なくとも一部分が中実である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項18】
前記光ホモジナイザが先細である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項19】
前記光ホモジナイザの前記入力面が長方形である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項20】
前記光ホモジナイザの前記出力面が長方形である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項21】
前記光ホモジナイザの前記入力面が正方形である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項22】
前記光ホモジナイザの前記出力面が正方形である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項23】
前記光ホモジナイザの前記出力面が前記光ホモジナイザの前記入力面に実質的に平行である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項24】
前記光ホモジナイザが反射、全反射、屈折、散乱、および回折のうちの1つ以上により各発光セグメントを均質化する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項25】
前記光ホモジナイザが各発光セグメントを前記第1の方向に沿って均質化するが、前記第2の方向に沿っては均質化しない、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項26】
前記光ホモジナイザが光パワーを有する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項27】
各透過均質化光セグメントの前記第4の全発散角が、各発光セグメントの前記第2の全発散角と実質的に同等である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項28】
各透過均質化光セグメントの前記第4の全発散角がゼロに近い、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項29】
各透過均質化光セグメントの前記第3の均一性が、各対応発光セグメントの前記第1の均一性より少なくとも10倍大きい、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項30】
各透過均質化光セグメントの前記第3の均一性が、各対応発光セグメントの前記第1の均一性より少なくとも20倍大きい、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項31】
前記マスクが複数の光学透過部分を含み、各部分が軸上に中心があり、各部分の各軸が前記第2の方向に沿っている、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項32】
各部分が前記第1の方向に沿った長さと前記第2の方向に沿った高さとを有し、少なくとも1つの部分に対して、前記部分の高さに沿ったある箇所における前記部分の長さが、前記部分の高さに沿った異なる箇所における前記部分の長さとは異なる、請求項31に記載の光学結像システム。
【請求項33】
前記複数の光透過部分が光を正透過する、請求項31に記載の光学結像システム。
【請求項34】
少なくとも1つの部分が、光を正透過不可能な領域に取り囲まれている、請求項31に記載の光学結像システム。
【請求項35】
前記領域が光学的に反射性である、請求項34に記載の光学結像システム。
【請求項36】
前記領域が光学的に吸収性である、請求項34に記載の光学結像システム。
【請求項37】
前記領域が光学的に拡散性である、請求項34に記載の光学結像システム。
【請求項38】
前記第1のレンズ系がアナモルフィックである、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項39】
前記第1のレンズ系が前記マスクを前記ドナーフィルム上に前記第1の方向に沿って結像するが、前記第2の方向に沿っては結像しない、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項40】
前記第1のレンズ系がn個の別個の光サブセグメントの各行を前記第2の方向に沿って前記ドナーフィルム上に焦点を合わせる、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項41】
前記n個の別個の投影光セグメントが同等に離間している、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項42】
前記n個の別個の投影光セグメントの各々が前記第1の方向に沿って実質的に同じ長さを有する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項43】
前記n個の別個の投影光セグメントの各々が前記第2の方向に沿って実質的に同じ高さを有する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項44】
少なくとも1個の個々の投影光セグメントが前記第1の方向に沿って実質的に均一な強度プロファイルと前記第2の方向に沿って実質的にガウスプロファイルとを有する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項45】
少なくとも1個の別個の投影光セグメントが前記第1および第2の方向に沿って実質的に均一な強度プロファイルを有する、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項46】
前記基板が台の上に配置され、前記台が前記第1および第2の方向に沿って移動可能である、請求項5に記載の光学結像システム。
【請求項47】
請求項5に記載の前記光学結像システムを用いて構成されたディスプレイシステム。
【請求項48】
OLEDデバイスを備える、請求項47に記載のディスプレイシステム。
【請求項49】
ドナーフィルムから基板への材料の選択的熱転写用光学結像システムであって、
2つ以上の組の光バーアセンブリを含み、光バーアセンブリの各組が、
2つ以上の光バーであって、前記組の各光バーが偏光を発光可能であり、前記組の少なくとも1つの光バーから発光された偏光の第1の偏光方向が前記組の少なくとも他の光バーから発光された偏光の第2の偏光方向とは異なる、2つ以上の光バー、並びに
前記第1および第2の偏光方向の間の差を用いて前記組の前記2つ以上の光バーから発光された偏光を合成して合成発光ビームを形成する偏光ビームコンバイナを含む、光源と、
1組の発光体からの少なくとも1つの合成発光ビームを反射するとともに他の組の発光体からの少なくとも1つの合成発光ビーム透過することにより、前記2つ以上の組の発光体からの前記合成発光ビームを合成する空間フィルタであって、前記合成発光ビームの合成がパターン化光ビームを形成し、前記パターン化光ビームが1個以上の発光セグメントを含み、各発光セグメントが、
第1の全発散角および第3の方向に沿った第1の均一性、並びに
第2の全発散角および第4の方向に沿った第2の均一性を有し、前記第3の方向が前記第4の方向とは異なる、空間フィルタと、
前記1個以上の発光セグメントを入力面から受光し、各発光セグメントを均質化するとともに対応均質化光セグメントを出力面から透過する光ホモジナイザであって、各透過均質化光セグメントが、
第3の全発散角および前記第3の方向に沿った第3の均一性、並びに
第4の全発散角および前記第4の方向に沿った第4の均一性を有し、
各透過均質化光セグメントの前記第3の均一性が各対応発光セグメントの前記第1の均一性より大きい、光ホモジナイザと、
透過均質化光セグメントの各々を受光するとともに各透過均質化光セグメントを、前記第3の方向に沿ったn個の別個の光サブセグメントの1行にパターン化するマスクであって、nが21以上であり、別個の光サブセグメントの各々が前記第3の方向に沿った長さと前記第4の方向に沿った高さとを有する、マスクと、
基板と、
n個の別個の光サブセグメントの各行を前記第3の方向に沿って投影倍率1で前記基板上に投影することにより、前記第3の方向に沿ったn個の別個の投影光セグメントの単一行を形成し、1番目とn番目の別個の投影光セグメントとの間の距離が少なくとも10ミリメートルである、第1のレンズ系とを備え、
前記マスクが別個の光サブセグメントの各々の長さを1ミクロン以下の精度で約50ミクロン〜約150ミクロンの範囲の任意の値に設定可能であり、
担体に近接配置された転写可能材料を含むドナーフィルムが前記第1のレンズ系と前記基板との間で前記基板に近接配置されたときに、前記n個の別個の投影光セグメントの各々が前記担体から前記基板上への前記転写可能材料の転写を誘起することが可能である、光学結像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2008−502519(P2008−502519A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527237(P2007−527237)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013508
【国際公開番号】WO2006/001892
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】