説明

熱間等方圧加圧装置

【課題】 熱間等方圧加圧装置においてホットゾーン内を均熱に保ったまま高い冷却効率を実現する。
【解決手段】本発明にかかる熱間等方圧加圧装置1は、高圧容器2の内側に内ケーシング3及び外ケーシング4と加熱手段7とを備えており、内外ケーシング3、4との間を下方から上方に向かって導かれた圧媒ガスを外ケーシング4の上部から外ケーシング4の外側に案内し、高圧容器2の内周面に沿って上方から下方に案内しつつ冷却し、外ケーシング4の下部から内ケーシング3と外ケーシング4との間に戻すように圧媒ガスを強制循環する第1冷却手段と、内ケーシング3の内側に形成されるホットゾーン内の圧媒ガスをホットゾーンの外側に導き、外側に導かれた圧媒ガスを第1冷却手段により強制循環する圧媒ガスに合流させて冷却を行い、冷却された圧媒ガスをホットゾーン内に戻す第2冷却手段と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間等方圧加圧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HIP法(熱間等方圧加圧装置を用いたプレス方法)は、数10〜数100MPaの高圧圧媒ガス雰囲気のもと、焼結製品(セラミックス等)や鋳造製品等の被処理物をその再結晶温度以上の高温にして処理するものであり、被処理物中の残留気孔を消滅させることができるという特徴がある。そのため、このHIP法は、機械的特性の向上、特性のバラツキの低減、歩留まり向上などの効果が確認されており、今日、広く工業的に使用されるに至っている。
【0003】
ところで、実際の工業生産の現場では処理の迅速化が強く望まれており、そのためにはHIP処理の工程の中でも時間がかかる冷却工程を短時間で行うことが必要不可欠とされている。そこで、従来の熱間等方圧加圧装置(以下、HIP装置という)では、炉内を均熱に保持したまま冷却速度を向上させるさまざまな技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、被処理物を収容する高圧容器の内側に断熱層とケーシングとを設けて高圧容器の内側を2室に分け、断熱層及びケーシングで熱的にも気密的にも隔離された内側を等方圧加圧処理を行うホットゾーン(炉室)としたHIP装置が開示されている。このホットゾーンには炉室内ガス撹拌用ファンが、ホットゾーンの外側には冷却用ガス強制循環ファンが設けられており、ホットゾーンの内外で圧媒ガスをそれぞれ個別に循環できるようになっている。そして、ホットゾーンの内外で循環する圧媒ガスはケーシングを介して熱交換可能となっており、ホットゾーン内にある熱を内側の循環流にのせてケーシングに伝熱し、次にケーシングから外側の循環流にのせて高圧容器の容器壁から容器外に排熱することでホットゾーンを効率的に冷却することが可能となっている。
【0004】
一方、特許文献2には、特許文献1と同様に高圧容器の内側に断熱層を設けたHIP装置が開示されている。この特許文献2のHIP装置が特許文献1のものと異なっている点は、圧媒ガスを供給する3つのイジェクタを備えている点である。つまり、3つのイジェクタのうち、第1のイジェクタは断熱層の外側を循環することで冷却された圧媒ガスを第2のイジェクタに送っており、第3のイジェクタは断熱層の外側を循環する第1のイジェクタより高温の圧媒ガスを第2のイジェクタに送っている。そして、第2のイジェクタは、第1及び第3のイジェクタから送られた温度が異なる圧媒ガス同士を混合し、混合によって温度調整された圧媒ガスをホットゾーン内に直接供給することでホットゾーンを効率的に冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−34638号公報
【特許文献2】米国特許第6514066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のHIP装置では、ホットゾーンが断熱層及びケーシングで熱的にも気密的にも隔離されているため、ホットゾーン内を均熱的に保持しやすい構造となっている。しかし、その反面、ホットゾーン内を冷却する際は断熱層が邪魔になってホットゾーン内の熱を高圧容器外に移動させにくく、冷却効率を高めるにも限界がある。特に、ホットゾーン内の温度が300℃程度まで下がると、冷却効率が著しく低下して冷却に長い時間を要する場合がある。
【0007】
一方、特許文献2のHIP装置では、特許文献1のものとは異なりホットゾーン内に冷却された圧媒ガスを直接供給するため高い冷却効率を維持でき、第2のイジェクタでホットゾーン内に供給する圧媒ガスの温度調整も可能となっているので、ホットゾーン内を均熱的に保持することも可能である。
しかし、特許文献2のHIP装置では、第1のイジェクタの吸気口は断熱層の外側を循環する圧媒ガスの流れとは離れた場所に設けられており、断熱層の外側を循環する圧媒ガスの流れがイジェクタによる吸気で強まることは殆ど期待できない。つまり、断熱層の外側を循環する圧媒ガスは自然対流で循環しているに過ぎないので、圧媒ガスの流量はあまり大きくなることがない。それゆえ、ホットゾーン内の熱が高圧容器に送られるには相当の時間がかかり、高い冷却効果を発揮させることは到底不可能である。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、HIP処理後に処理室(ホットゾーン)内を効率良く且つ短時間で冷却することができるHIP装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のHIP装置は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のHIP装置は、被処理物を収容する高圧容器の内側に、当該被処理物を取り囲むように配設されたガス不透過性の内ケーシングと、当該内ケーシングを外側から取り囲むように配設されたガス不透過性の外ケーシングと、前記内ケーシングの内側に設けられて前記被処理物の周囲にホットゾーンを形成する加熱手段と、を備えており、前記内ケーシング及び外ケーシングにより断熱的に保持されたホットゾーン内の圧媒ガスを用いて前記被処理物に対して等方圧加圧処理を行うものであって、次に示す第1冷却手段と第2冷却手段とを用いて前記ホットゾーン内の圧媒ガスの冷却が可能とされていることを特徴とするものである。
【0010】
この第1冷却手段は、前記内ケーシングと外ケーシングとの間を下方から上方に向かって導かれた圧媒ガスを外ケーシングの上部から外ケーシングの外側に案内し、案内された圧媒ガスを高圧容器の内周面に沿って上方から下方に案内しつつ冷却し、冷却された圧媒ガスを外ケーシングの下部から内ケーシングと外ケーシングとの間に戻すように圧媒ガスを強制循環するものである。
【0011】
また、第2冷却手段は、前記ホットゾーン内の圧媒ガスをホットゾーンの外側に導き、外側に導かれた圧媒ガスを前記第1冷却手段により強制循環する圧媒ガスに合流させて冷却を行い、冷却された圧媒ガスの一部をホットゾーンの下方からホットゾーン内に戻すように圧媒ガスを循環するものである。
このようにすれば、第1冷却手段では、圧媒ガスが高圧容器の内周面に接触しつつ強制的に循環するので、この第1冷却手段の冷却能力を高めることができる。一方、第2冷却手段では、ホットゾーン内で高温になった圧媒ガスの一部を第1冷却手段に合流させ、強制循環により冷却能力が高められた第1冷却手段を用いて冷却が行われるので、ホットゾーン内からの熱を効率的に高圧容器の外部に逃がすことができる。加えて、第1冷却手段に合流させられた圧媒ガスの一部は冷却後に直接ホットゾーンに送り込まれるので、ホットゾーン内を効率的に冷却することが可能となる。
【0012】
具体的には、このような第1冷却手段としては、前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、前記高圧容器と外ケーシングとの間に設けられて、前記上開口部から流出し、当該高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、前記外ケーシングの下部に形成されて前記冷却後の圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、前記圧媒ガスを強制循環する強制循環手段と、を備えたものを用いることができる。
【0013】
なお、前記第1弁手段は、前記上開口部を開閉することで高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断可能な構成とされていても良い。
また、第2冷却手段としては、前記内ケーシングに形成されて前記加熱手段に接触した圧媒ガスを第1冷却手段により循環する圧媒ガスに合流させる第1流通孔と、前記内ケーシングの下側に形成されて前記冷却後の圧媒ガスの一部をホットゾーン側に戻す第2流通孔と、前記第2流通孔を開閉する第2弁手段と、を備えたものを用いることができる。
【0014】
なお、第2冷却手段が前記被処理物と加熱手段との間に当該被処理物を囲むように配設される仕切板を備えている場合にあっては、前記加熱手段と内ケーシングとの間に導かれた圧媒ガスを上方から下方に案内して前記第1流通孔に送ると共に、前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスをホットゾーン側に戻す構成を採用することもできる。
また、この場合にあっては、前記第2冷却手段は、前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスと、前記第2流通孔から導かれた前記冷却後の圧媒ガスと、を所定の混合率で混合し、混合後の圧媒ガスをホットゾーン内に噴出させるガス流増幅手段を備えていても良い。
【0015】
さらに、本発明のHIP装置は、被処理物を収容する高圧容器の内側に、当該被処理物を取り囲むように配設されたガス不透過性の内ケーシングと、当該内ケーシングを外側から取り囲むように配設されたガス不透過性の外ケーシングと、前記内ケーシングの内側に設けられて前記被処理物の周囲にホットゾーンを形成する加熱手段と、を備えており、前記内ケーシング及び外ケーシングにより断熱的に保持されたホットゾーン内の圧媒ガスを用いて前記被処理物に対して等方圧加圧処理を行うものであって、前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、前記上開口部から外側に案内され、高圧容器と外ケーシングとの間に形成された前記圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、前記外ケーシングの下部に形成されると共に前記高圧容器の内周面に接触することで冷却された圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、前記ホットゾーン内の圧媒ガスを加熱手段と内ケーシングとの間に導き、導かれた圧媒ガスを前記加熱手段に接触させながら上方から下方に向けて案内し、案内された圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間を循環する圧媒ガスに合流させる第1流通孔と、前記内ケーシングの下側に形成されて前記冷却後の圧媒ガスの一部をホットゾーン側に戻す第2流通孔と、前記第2流通孔を開閉することで冷却後の圧媒ガスをホットゾーン内に導いてホットゾーン内を冷却する第2弁手段と、を備えていることを特徴とするものであっても良い。
【0016】
なお、上述した第1冷却手段は、前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、前記外ケーシングの下部に形成されて前記冷却後の圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、前記上開口部に設けられて且つ高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、前記下開口部に設けられ且つ前記内ケーシングと外ケーシングとの間に冷却後の圧媒ガスを強制的に戻すケーシング側強制循環手段と、を備えているものであっても良い。
【0017】
また、前記第1冷却手段としては、前記上開口部と下開口部とを備えたものであって、前記下開口部に設けられて且つ高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、前記上開口部に設けられ且つ前記内ケーシングと外ケーシングとの間に冷却後の圧媒ガスを強制的に戻すケーシング側強制循環手段と、を備えているものを用いても良い。
【0018】
なお、上述のように上下開口部、第1弁手段、ケーシング側強制循環手段を備えた第1冷却手段を備えている場合にあっては、前記第2冷却手段は、前記内ケーシングに形成されて前記加熱手段に接触した圧媒ガスを第1冷却手段により循環する圧媒ガスに合流させる第1流通孔と、前記内ケーシングの下側に形成されて前記冷却後の圧媒ガスの一部をホットゾーン側に戻す第2流通孔と、前記第2流通孔に設けられ且つ当該第2流通孔を通じて前記冷却後の圧媒ガスをホットゾーン側に強制的に戻すホットゾーン側強制循環手段と、を備えているのが好ましい。
【0019】
また、上述の場合にあっては、前記第2冷却手段は、前記被処理物と加熱手段との間に当該被処理物を囲むように配設される仕切板を備えており、前記加熱手段と内ケーシングとの間に導かれた圧媒ガスを上方から下方に案内して前記第1流通孔に送ると共に、前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスをホットゾーン側に戻す構成とされているのが好ましく、また前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスと、前記第2流通孔から導かれた前記冷却後の圧媒ガスと、を所定の混合率で混合し、混合後の圧媒ガスをホットゾーン内に噴出させるガス流増幅手段を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のHIP装置によれば、HIP処理後に処理室(ホットゾーン)内を効率良く且つ短時間で冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態のHIP装置の正面図である。
【図2】モードAの冷却を行っている第1実施形態のHIP装置の正面図である。
【図3】モードBの冷却を行っている第1実施形態のHIP装置の正面図である。
【図4】モードCの冷却を行っている第1実施形態のHIP装置の正面図である。
【図5】モードCの冷却を行っている第2実施形態のHIP装置の正面図である。
【図6】モードCの冷却を行っている第3実施形態のHIP装置の正面図である。
【図7】モードCの冷却を行っている第4実施形態のHIP装置の正面図である。
【図8】モードCの冷却を行っている第4実施形態のHIP装置の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「第1実施形態」
以下、本発明に係る熱間等方圧加圧装置の第1実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態の熱間等方圧加圧装置(以下、HIP装置1と呼ぶ)を示している。このHIP装置1は、被処理物Wを収容する高圧容器2を有しており、この高圧容器2の内側には被処理物Wを取り囲むように配設されたガス不透過性の内ケーシング3と、この内ケーシング3を外側から取り囲むように配設されたガス不透過性の外ケーシング4と、が備えられている。内ケーシング3と外ケーシング4との間には断熱層5が設けられており、この断熱層5により内ケーシング3の内部は外部から断熱的に隔離されている。
【0023】
また、HIP装置1は、内ケーシング3の内側に被処理物Wを支持する支持台6と圧媒ガスを加熱する加熱手段7とを備えていて、支持台6の上側には加熱手段7と被処理物Wとの間を仕切る仕切板8が設けられている。HIP装置1は、仕切板8の外側に設けられた加熱手段7で加熱された圧媒ガスを仕切板8の内側に供給し、この被処理物Wの周囲に被処理物Wを取り囲むようにホットゾーンを形成し、このホットゾーン内で被処理物Wに熱間等方圧加圧処理(以下、HIP処理という)を行えるようになっている。
【0024】
以降では、HIP装置1を構成する各部材を詳しく説明する。
図1に示すように、高圧容器2は、上下方向に沿った軸心回りに円筒状に形成された容器本体9と、この容器本体9の上側(図1の紙面における上側)の開口を塞ぐ蓋体10と、容器本体9の下側(図1の紙面における下側)の開口を塞ぐ底体11とを備えており、これらの部材を図示を省略するシールを介して組み合わせることで内部が空洞となるように形成されている。高圧容器2には供給配管や排出配管(図示略)が連結されており、これらの配管を通じて高温高圧の圧媒ガス(HIP処理が可能なように10〜300MPa程度に昇圧されたアルゴンガスや窒素ガス)を容器に供給・排出できるようになっている。そして、高圧容器2内には外ケーシング4が内蔵されている。
【0025】
外ケーシング4は、上下方向を向く軸心回りに略円柱状に形成された筺体であり、高圧容器2の内周面から距離をあけて高圧容器2の内側に配備されており、高圧容器2の内周面との間に圧媒ガスを上下方向に沿って流通可能な外側流路12を形成できるようになっている。そして、外側流路12には、この外側流路12を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段17が設けられている。
【0026】
外ケーシング4は、下方に向かって開口した逆コップ状の外ケーシング本体13と、この外ケーシング本体13の開口を塞ぐ外ケーシング底体14とを備えており、その内部は空洞とされている。これらの外ケーシング本体13及び外ケーシング底体14はいずれもHIP処理の温度条件に合わせてステンレス、ニッケル合金、モリブデン合金またはグラファイトなどのガス不透過性の耐熱材料で形成されている。
【0027】
外ケーシング本体13の上部には上開口部15が形成されており、外ケーシング4の内側の圧媒ガスを下方から上方に導いて外ケーシング4の外側に案内できるようになっている。また、外ケーシング4の下部には、上開口部15と同様に外ケーシング4の外側にある圧媒ガスを上下方向に沿って内側に流通させる下開口部16が形成されている。上開口部15にはこの上開口部15を開閉することで圧媒ガスの流通を確保する第1弁手段17が設けられている。
【0028】
この第1弁手段17は、外ケーシング4の上開口部15を塞ぐことができる程度の大きさに形成された栓部材18と、この栓部材18を上下方向に移動させる移動手段19とを備えている。第1弁手段17では、高圧容器2の外側に設けられた移動手段19を用いて栓部材18を上下いずれかの方向に移動させることで、上開口部15を開閉して圧媒ガスの流通と遮断とを任意に切り換えることができるようになっている。
【0029】
内ケーシング3は、外ケーシング4の内側に配備された筺体であって、上下方向に沿った軸心回りに略円柱状に形成されている。内ケーシング3は、外ケーシング4の内周面から径内方向に距離をあけて設けられており、外ケーシング4との間に隙間を形成できるようになっている。この隙間には、カーボンファイバを編み込んだ黒鉛質材料やセラミックファイバなどの多孔質材料で形成されたガス流通性の断熱層5が配備されている。この断熱層5を透過して圧媒ガスを上下方向に沿って流通可能な内側流路22が形成されている。
【0030】
内ケーシング3は、外ケーシング4と同様の耐熱材料を用いて形成された逆コップ状の内ケーシング本体20とその開口を塞ぐ内ケーシング底体21とを備えている。内ケーシング本体20の下部には内ケーシング3の内側にある圧媒ガスを外側(内側流路22)に流通させる第1流通孔23が形成されており、また内ケーシング底体21には内側流路22を流通する圧媒ガスの一部を内ケーシング3の内側に流入させる第2流通孔24が形成されている。この内側流路22と上述した外側流路12とが交わる下開口部16には強制循環手段25が設けられており、また第2流通孔24にはこの第2流通孔24を開閉することでホットゾーン内に戻る圧媒ガスの流量を調整する第2弁手段26が設けられている。
【0031】
強制循環手段25は、外側流路12及び内側流路22上に設けられて、これらの流路に沿って圧媒ガスを強制的に循環するものである。本実施形態では、強制循環手段25は上述したように内側流路22と外側流路12とが交わる下開口部16に設けられている。強制循環手段25は、高圧容器2の底体11に設けられたモータ27と、このモータ27から下開口部16を通って上方に伸びる軸部28と、軸部28の先端に取り付けられた撹拌翼29とを備えている。この撹拌翼29は、内側流路22における下開口部16に対応した位置に備えられており、圧媒ガスに下方から上方に向かう流れを発生できるようになっている。それゆえ、撹拌翼29をモータ27で回転させると、外側流路12の圧媒ガスが下開口部16を通って内側流路22に強制的に流れ込み、外側流路12及び内側流路22を通る圧媒ガスの循環量を大きくすることができる。
【0032】
内ケーシング3の下部に設けられている第2弁手段26は、内ケーシング3に設けられた第2流通孔24を開閉することで、内側流路22を通る圧媒ガスの一部をホットゾーン内に戻すものである。第2弁手段26は、内ケーシング底体21に形成された第2流通孔24を塞ぐことができる程度の大きさに形成された栓部材30と、この栓部材30を上下方向に移動させる移動手段31とを備えている。第2弁手段26は、第1弁手段17と同様に移動手段31を用いて栓部材30を下方に移動させることで第2流通孔24を通ってホットゾーン内に帰還する圧媒ガスの流量を調整することができるようになっている。
【0033】
ホットゾーン内で被処理物Wを支持する支持台6は、内ケーシング3の内側に配備されており、内ケーシング底体21の上面に接するように内ケーシング底体21の上側に配備されている。支持台6の上側中央には被処理物Wを載置可能な製品架台32があり、この製品架台32の周囲を全周に亘って取り囲むように仕切板8が上下方向に沿って設けられている。また、支持台6の内部には、内ケーシング3の内側を循環する圧媒ガスと、内ケーシング3の外側を循環する圧媒ガスとを混合するガス流増幅手段33が設けられている。
【0034】
支持台6の上側に設けられる仕切板8は、ガスを透過しない板材で円筒状に形成されており、その上端は内ケーシング3の上面のやや下方まで伸びている。つまり、仕切板8の上端と内ケーシング3との間には圧媒ガスを内外に流通する隙間34が形成されており、この隙間34を介して仕切板8の内側にある圧媒ガスは仕切板8の外側に移動できるようになっている。
【0035】
仕切板8の外側に設けられる加熱手段7は、上下方向に並んで配置された3つのヒータで構成されている。加熱手段7は、内ケーシング3の内周面と仕切板8との双方から径方向にそれぞれ距離をあけて配備されており、加熱手段7の内側と外側とにそれぞれ圧媒ガスを上方から下方に向かって流通させるガス流通路35を形成している。加熱手段7の外側のガス流通路35は上述した内ケーシング3の第1流通孔23に連通しており、ホットゾーン内の圧媒ガスを第1流通孔23から外側流路12に案内できるようになっている。また、加熱手段7の内側のガス流通路35はガス流増幅手段33に連通しており、圧媒ガスをホットゾーン内で循環できるようになっている。
【0036】
ガス流増幅手段33は、支持台6に設けられて、内側流路22を流れる低温の圧媒ガスを第2流通孔24から導いて、この低温の圧媒ガスとホットゾーン内を循環する高温の圧媒ガスとを混合してホットゾーン内に戻すものである。ガス流増幅手段33は、支持台6に設けられており、第2流通孔24から流入した圧媒ガスを貯留するガス貯留部36と、このガス貯留部36の圧媒ガスを支持台6の内部に案内する第1ガス導入路37と、加熱手段7の内側のガス流通路35を通る圧媒ガスを支持台6の内部に案内する第2ガス導入路38と、第1ガス導入路37と第2ガス導入路38とをそれぞれ通って送られてきた圧媒ガス同士を混合する混合室39と、混合室39で混合された圧媒ガスをホットゾーンに噴出させるテーパ状のノズル部40とを備えている。
【0037】
ガス貯留部36は、内ケーシング底体21と上方に向かって凹状(ノズル状)に形成された支持台6の下面との間に形成された空間であって、第2流通孔24を介して内側流路22を流れる圧媒ガスを一時的に貯留できるようになっている。このガス貯留部36の圧媒ガスは、支持台6の内部に上下方向に沿って形成された第1ガス導入路37を通って、支持台6の内部に形成された混合室39に送られる。一方、加熱手段7の内側のガス流通路35の圧媒ガスは、ガス流通路35を通ってホットゾーンの下側に導かれた後、水平方向に沿って支持台6を貫通するように形成された第2ガス導入路38を通って混合室39に導入される。
【0038】
混合室39は、支持台6の内部に形成されており、第1ガス導入路37と第2ガス導入路38とをそれぞれ通って送られてきた互いに温度が異なる圧媒ガス同士を混合できるようになっており、ホットゾーン内を循環する高温の圧媒ガスと後述する第1冷却手段で冷却された低温の圧媒ガスとを所望の混合率で混合することで圧媒ガスの温度を調整することができる構成となっている。
【0039】
このような混合室39では、低温の圧媒ガスが高温の圧媒ガスとの混合で加熱されることで膨張した状態となっており、混合室39の上方に設けられたテーパ状のノズル部40からホットゾーン内に供給される際は噴射状となっている。それゆえ、このノズル部40から噴射される圧媒ガスを用いて、ホットゾーン内の圧媒ガスを強制的に撹拌することができる。
【0040】
以上述べた構成を備える本発明のHIP装置1は、被処理物Wに対して均熱状態でHIP処理を行う装置であって、HIP処理を行った後、被処理物Wを取り出すためにホットゾーン内を冷却するに際して、特徴的な冷却手法を採用したものである。
以下、この冷却手法について説明する。
まず、本発明のHIP装置1は、上記した外ケーシング4と内ケーシング3との間に形成された内側流路22を下方から上方に向かって導かれた圧媒ガスを、外ケーシング4の上開口部15から外側流路12に案内し、案内された圧媒ガスを外側流路12に沿って上方から下方に案内しつつ高圧容器2に接することで冷却し、冷却された圧媒ガスを外ケーシング4の下開口部16から内側流路22に戻すように圧媒ガスを循環して冷却を行う第1環状流路41(第1冷却手段)を有している。
【0041】
また、HIP装置1は、第1環状流路41に加えて、ホットゾーン内の圧媒ガスをホットゾーンの外側に導き、外側に導かれた圧媒ガスを上述した第1環状流路41(第1冷却手段)により循環する圧媒ガスに合流させて冷却を行い、冷却された圧媒ガスの一部をホットゾーンの下方からホットゾーン内に戻すように圧媒ガスを循環して冷却を行う第2環状流路43(第2冷却手段)を有している。
【0042】
これらの第1環状流路41及び/又は第2環状流路43(第1冷却手段及び/又は第2冷却手段)を用いて、ホットゾーン内を冷却する方法は以下の通りである。
図1に示すように、上述の構成を備えたHIP装置1でHIP処理を行う際は、第1弁手段17を閉状態としておき、上開口部15から外側流路12への圧媒ガスの流通を規制する。この状態で、加熱手段7を用いて圧媒ガスを加熱すると、断熱層5で囲まれたホットゾーン内の圧媒ガスが加熱されて、被処理物Wに対して均熱状態でHIP処理を行うことが可能になる。
【0043】
このようにして被処理物WにHIP処理を行った後、被処理物Wを取り出すためにホットゾーン内を冷却しなければならない。このホットゾーンの冷却は、HIP処理の中で最も時間が必要とされる工程であり、できる限り冷却効率を高めて短時間でホットゾーンの冷却を可能とするのが好ましい。このようにホットゾーン内を急速に冷却する方法には、次に示すモードA〜モードCのような冷却モードがある。
【0044】
図2に示すモードAの冷却方法は、前述した第1環状流路41を圧媒が自然対流することで、冷却を行うものである。
すなわち、図1に示すHIP装置1において、第1弁手段17を用いて上開口部15を開状態にし、内側流路22と外側流路12との圧媒ガスの流通を可能にする。
そうすると、内側流路22の圧媒ガスは、外側流路12のものよりホットゾーンに近い位置にあって温度も高いので、内側流路22内を下方から上方に向かって移動し、やがて内側流路22の上側にある上開口部15まで移動して上開口部15から外側流路12に移動する。このようにして外側流路12に移動した圧媒ガスは、高圧容器2の内周面との接触により冷却されて温度も下がるので、外側流路12に沿って上方から下方に向かって移動し、やがて外側流路12の下側に移動する。そして、外側流路12の下側に移動した圧媒ガスは下開口部16から内側流路22に戻り、外側流路12と内側流路22とを順に巡回しホットゾーンの冷却を促進する。
【0045】
このようにしてモードAの冷却方法では、自然対流により圧媒ガスの冷却が行われるが、自然対流が故に圧媒ガスの循環量(流速)をそれ程大きくすることはできないし、高い冷却効果も期待できない。しかし、例えばHIP処理直後のホットゾーン内が高温になっている間は、高圧容器2の外側との温度差が大きいため、ある程度の冷却効果を期待することができる。
【0046】
一方、図2に示すモードBの冷却方法は、前述した第1環状流路41を圧媒が強制循環手段25により強制対流することで、冷却を行うものであり、強制循環により圧媒ガスの循環量を増加させている点でモードAの冷却方法と異なっている。
すなわち、下開口部16の下側に設けられた撹拌翼29による強制循環手段25を用いて外側流路12を流れる圧媒ガスを強制的に内側流路22に引き込むと、それに対応して外側流路12を流れる圧媒ガスの流れと内側流路22を流れる圧媒ガスの流れとが強まり、モードAと同じ循環経路を用いていても圧媒ガスの循環量をモードA以上に大きくすることができ、モードA以上の冷却効果を発揮させることができる。
【0047】
しかしながら、上述のモードAやモードBの冷却方法では、ホットゾーン内が断熱層5で熱的に隔離されたままの状態であるため、圧媒ガスが殆どホットゾーン外に移動することがない。それゆえ、特にホットゾーン内の温度が300℃以下に下がってしまうと、殆ど冷却効果が期待できなくなり、冷却に長い時間が必要となってしまう。
そこで、本発明のHIP装置1では、第1環状流路41と第2環状流路43との両方を用いて(第1冷却手段に加えて第2冷却手段を利用して)、図4に示すモードCの冷却方法をも実施できるようにしているのである。
【0048】
すなわち、モードCの冷却方法では、まず第1弁手段17を用いて上開口部15を開状態にすると共に第2弁手段26を用いて第2流通孔24も開状態にする。この状態で強制循環手段25の撹拌翼29を回転させるようにすると、モードBと同じように第1環状流路41に沿って圧媒ガスが強制循環して冷却が行われる。
このとき、ホットゾーン内の圧媒ガスは、仕切板8の上端であって仕切板8と内ケーシング3との間に形成された上下方向の隙間34からホットゾーンの外側に移動し、加熱手段7の上部で2つの流れに分かれ、径外方向において、加熱手段7の内面側と外面とを流下するように分岐する。
【0049】
加熱手段7の外面側に流れ込んだ圧媒ガスは、上方から下方に向かって移動し、第1流通孔23から内側流路22を流れる圧媒ガスに合流する。そして、第1環状流路41に沿って上開口部15及び外側流路12を通過しつつ冷却され、強制循環手段25により下開口部16を通って内側流路22に戻される。このようにして内側流路22に戻された圧媒ガスは、開状態とされた第2流通孔24を通ってガス流増幅手段33のガス貯留部36に導かれる。
【0050】
一方、加熱手段7の内面側に流れ込んだ圧媒ガスも、上方から下方に向かって移動し、ホットゾーンの下側からガス流増幅手段33の第2ガス導入路38に導かれる。そして、ガス流増幅手段33では、加熱手段7の上部で分岐した圧媒ガス同士が混合されて一緒になり、ホットゾーンに戻される。このとき、加熱手段7の内面側を通って循環される圧媒ガスは殆ど冷却されていないが、外側のガス流通路35を通って循環される圧媒ガスは第1環状流路41で十分に冷却されているため、低温になっている。それゆえ、混合室で両者を混合すればホットゾーン内に戻される圧媒ガスの温度を調整することができる。
【0051】
このように、モードCの冷却、言い換えるならば、第1環状流路41(第1冷却手段)及び第2環状流路43(第2冷却手段)を用いて、ホットゾーン内を冷却することにより、ホットゾーン内を不均一に冷却することを防ぎつつ、効率良く冷却を行うことができるようになる。
つまり、第2弁手段26を用いて第2流通孔24を通る圧媒ガスの流量を調整すれば、第1環状流路41を通って冷却される圧媒ガスの循環量と、第2環状流路43を通って循環される圧媒ガスの循環量との比率が変化し、第1環状流路41により高圧容器2外に排熱される排熱量と第2環状流路43により高圧容器2外に排熱される排熱量とのバランスを取ることが可能となる。
【0052】
例えば、高圧容器2の内周面から熱交換により高圧容器2外に排熱が可能であるといっても、排熱される熱量には限界がある。この排熱可能な熱量は、HIP装置1の構成や冷却条件、あるいは冷却が進むにつれて変化するホットゾーンの温度などにあわせて変化する。しかし、上述のように第1環状流路41及び第2環状流路43の排熱量のバランスをとることができれば、冷却条件やホットゾーンの温度などの変化にあわせて最適な冷却が行え、ホットゾーン(処理室)内を極めて短時間で冷却することが可能となる。
【0053】
また、第2弁手段26を用いれば、第2流通孔24を通ってガス流増幅手段33に供給される低温の圧媒ガスの流量を調整することもでき、ガス流増幅手段33で混合される圧媒ガスの温度を調整することもできる。それゆえ、ホットゾーン内に低温の圧媒ガスが大量に流れ込むことでホットゾーンの温度が急激に変化することを防げ、急激な温度変化により高圧容器2や加熱手段7が破損することを防止することが可能となる。
「第2実施形態」
次に、本発明のHIP装置1の第2実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
【0054】
図5は、第2実施形態の熱間等方圧加圧装置を示している。図5に示すように、第2実施形態のHIP装置1は、上述した強制循環手段25に代えてケーシング側強制循環手段49を備え、また第2弁手段26に代えてホットゾーン側強制循環手段44を備えている。
以下、第2実施形態のHIP装置1の構成を詳しく説明する。
【0055】
第2実施形態のHIP装置1は、第1実施形態と同様に内ケーシング3、外ケーシング4、加熱手段7、上開口部15、第1弁手段17、下開口部16、第1流通孔23及び第2流通孔24を備えている。
下開口部16は、外ケーシング4の下部に形成されており、外ケーシング4の外側にある圧媒ガスを外ケーシング4の内側に流通させる構成となっている。下開口部16が形成される外ケーシング4は、第1実施形態と同様に下方に向かって開口した逆コップ状に形成されているが、第1実施形態とは異なりこの逆コップには底体(外ケーシング底体14)がない。外ケーシング4の下端は高圧容器2の底体11に接するまで下方に伸びており、高圧容器2の底体11よりやや上方の外ケーシング4の外周壁に上述した下開口部16がこの外周壁を径方向に貫通するように形成されている。この下開口部16は高圧容器2の軸心回りに(周方向に)複数箇所に亘って(図例では2箇所)形成されており、これら複数の下開口部16にはそれぞれケーシング側強制循環手段49が設けられている。
【0056】
ケーシング側強制循環手段49は、下開口部16に対応して周方向(高圧容器2の軸心回り)に複数設けられ、径方向を向く水平軸回りに回転自在な撹拌翼50を備えていて、この撹拌翼50を用いて外ケーシング4の外側から下開口部16を通って内側に圧媒ガスを強制的に流入させることが可能となっている。
このケーシング側強制循環手段49を用いて外ケーシング4の内側に導入された圧媒ガスの一部は内ケーシング3と外ケーシング4との間(第1環状流路41)に流れ込み、残りは第1流通孔23に案内される。
【0057】
第2実施形態の内ケーシング3は、第1実施形態と同様に内ケーシング本体20と内ケーシング底体21とを備えているが、第1実施形態とは異なり内ケーシング底体21が内ケーシング本体20より径小に形成されており、内ケーシング底体21と内ケーシング本体20の内周面との間に径方向に圧媒ガスが流通可能な隙間を形成できるようになっている。そして、内ケーシング本体20の下端は外ケーシング4と同様に高圧容器2の底体11に接するまで下方に伸びていて、この底体11よりやや上方の内ケーシング本体20の外周壁に上述した第1流通孔23が形成されている。
【0058】
この第1流通孔23は、第1実施形態と同様に内ケーシング3の内側にある圧媒ガスを内ケーシング3の外側に案内するものであるが、第2実施形態では内ケーシング3の外側にある圧媒ガスを内ケーシング3の内側に案内できるようにもなっている。この第1流通孔23は、第1実施形態より上下方向に長く形成されていて、その下側では内ケーシング3の内側に向かって圧媒ガスが流れ、また上側では外側に向かって圧媒ガスが流れる構成となっている。このようにして第1流通孔23を通じて案内された圧媒ガスは、内ケーシング底体21と高圧容器2の底体11との間に形成された空間に一旦貯留される。
【0059】
内ケーシング底体21は、高圧容器2の底体11に対して上下方向に距離をおいて配備されており、高圧容器2の底体11に立設状に設けられた支持部46を介して底体11の上方に設置されている。そして、この内ケーシング底体21の中央には、内ケーシング底体21と底体11との間の空間に一時的に貯留された圧媒ガスを内ケーシング3の内側に案内する第2流通孔24が上下方向に貫通状に形成されている。
【0060】
第2流通孔24は内ケーシング底体21の中央に形成された貫通孔であり、この第2流通孔24にはホットゾーン側強制循環手段44が設けられている。
ホットゾーン側強制循環手段44は、第1実施形態の強制循環手段とほぼ同じ構成を備えたものであり、高圧容器2の底体11に設けられたモータ47と、このモータ47から第2流通孔24を通って上方に伸びる軸部48と、軸部48の先端に取り付けられたガス導入ファン45とを備えている。このようにホットゾーン側強制循環手段44は第1実施形態の強制循環手段と構成上は類似しているが、第2流通孔24からホットゾーン内に流れ込む圧媒ガスの循環だけを行っている点で機能面では第1実施形態と大きく異なっている。つまり、ホットゾーン側強制循環手段44では、モータ47の回転数はケーシング側強制循環手段49とは独立に制御可能とされており、ケーシング側強制循環手段49の撹拌翼50の回転数に影響されることなくガス導入ファン45の回転数を変更することができる構成となっていて、第2流通孔24からホットゾーン内に流れ込む圧媒ガスの循環量だけを個別に調整できるようになっている。
【0061】
なお、上述した高圧容器2の底体11は、径方向に2つの部材を組み合わせた構成となっていて、底体11の径内側11aは径外側11bに対して上下に昇降させることができるようになっている。この底体11の径内側11aの上部には、支持部46を介してガス流増幅手段33、製品架台32及び仕切板8が設けられており、この底体11の径内側11aを下降させることで被処理物Wが載置された製品架台32を高圧容器2の下方に引き抜いて、被処理物Wを取り替えたりメンテナンスを行ったりすることができるようになっている。
【0062】
次に、第2実施形態のHIP装置1を用いてHIP処理後の冷却を行う方法を説明する。
第2実施形態のHIP装置1においても、第1実施形態のHIP装置1と同様に第1環状流路41を圧媒が自然対流することでモードAの冷却方法が行われる。第2実施形態の冷却方法が第1実施形態と異なっているのはモードB及びモードCの冷却方法である。
【0063】
図6に示すように、モードBの冷却方法においては、第1弁手段17を用いて上開口部15を開状態にし、内側流路22と外側流路12との圧媒ガスの流通を可能にした上で、ケーシング側強制循環手段49だけを作動する。そうすると、外側流路12に沿って上方から下方に向かって移動しつつ冷却された圧媒ガスが、下開口部16を通って内側流路22に強制的に戻され、外側流路12と内側流路22とを順に巡回する圧媒ガスの循環量が増加してホットゾーンの冷却が飛躍的に促進される。
【0064】
このモードBの冷却の際にさらにホットゾーン側強制循環手段44を作動させると以下に示すようなモードCの冷却が行われる。
まず、第2流通孔24を通じて内ケーシング3の内側に案内された圧媒ガスは内ケーシング底体21と底体11との間の空間に貯留されている。この状態でホットゾーン側強制循環手段44を作動させると圧媒ガスがホットゾーン側強制循環手段44によりガス流増幅手段33のガス貯留部36側に強制的に流れ込み、ガス流増幅手段33を経てホットゾーン内を上方に向かって移動する。そして、仕切板8の上端まで移動した圧媒ガスは加熱手段7の上部で2つの流れに分かれ、分岐した圧媒ガスの一部は隙間34からホットゾーンの外側に移動し、残りはガス流増幅手段33に戻される。
【0065】
第2実施形態のモードCの冷却方法では、上述のように第1環状流路41やホットゾーン側強制循環手段44を循環する全体の循環量はケーシング側強制循環手段49により調整され、この全体の循環量のうち第2環状流路43を流れる循環量はケーシング側強制循環手段49とは独立にホットゾーン側強制循環手段44により調整される。このような特徴を備えることで第2実施形態のHIP装置1では次のような効果が奏される。
【0066】
冷却過程においては、ホットゾーン内の圧媒ガスの温度や圧力が急激に変化する。このように圧媒ガスの温度や圧力が急激に変化する間、最適な冷却速度で冷却を行うためには、第1環状流路41を流れる循環流量やそれから分岐してホットゾーン内へ導入される圧媒ガスの流量を精緻に制御することが重要である。
つまり、上述のようにケーシング側強制循環手段49とケーシング側強制循環手段49とが個別に且つ独立に制御することができれば、第1環状流路41を流れる循環流量やホットゾーン内へ導入される圧媒ガスの流量を無段階かつ広範囲の比率で調整することができるため、冷却過程の全範囲にわたって最適な流量制御が可能となる。
【0067】
例えば、第1環状流路41の循環量を大きくしたまま第2環状流路43の循環量を小さくしたい場合、第1実施形態のHIP装置1では強制循環手段による循環量を大きく保ったまま第2弁手段26を少しだけ開けるという微妙な弁操作が必要となる。しかし、第2実施形態のHIP装置1ではケーシング側強制循環手段49による循環量を大きく保ったままホットゾーン側強制循環手段44の回転数だけを増加させるだけで良く、非常に簡単な操作で循環量を精緻に調整することができる。
【0068】
また、第1環状流路41の循環量を小さくしたまま第2環状流路43の循環量を大きくしたい場合には、弁の開度だけで第2環状流路43の循環量を調整する第1実施形態のHIP装置1では循環量の調整が困難になる場合があるが、このような場合であっても第2実施形態のHIP装置1では簡単な操作で循環量を大きくすることができ、調整精度や操作性の点で有利である。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態のHIP装置1を説明する。
【0069】
図6に示すように、第3実施形態のHIP装置1は、第2実施形態のHIP装置において、第1弁手段17及びケーシング側強制循環手段49を設ける位置を上開口部15と下開口部16との間で入れ替えたような構成となっている。すなわち、この第3実施形態のHIP装置1は、第1弁手段17が下開口部16を開閉することで高圧容器2と外ケーシング4との間を流れる圧媒ガスの流通を遮断可能な構成とされていて、ケーシング側強制循環手段49が上開口部15に配備されているものである。
【0070】
第3実施形態の第1弁手段17は、径方向に水平に伸びたロッド部分とこのロッド部分の径外側の端部に設けられて外ケーシング4の下開口部16を塞ぐことができる大きさに形成された円盤状の部分とを備えた栓部材18と、この栓部材18を高圧容器2の径方向に移動させる移動手段19とを備えていて、この移動手段19により栓部材18が径方向に移動して下開口部16を塞ぐ構成となっている。また、栓部材18の中途側には、下開口部16を気密的に閉鎖するために栓部材18に付勢力を発揮する付勢手段53が配備されている。
【0071】
一方、ケーシング側強制循環手段49は、高圧容器2の蓋体10に設けられたモータ51と、このモータ51から上開口部15を通って下方に伸びる軸部52と、軸部52の先端(下端)に取り付けられた撹拌翼50とを備えていて、モータ51により撹拌翼50を回転させることで外ケーシング4の内側にある圧媒ガスを上開口部15を通じて外側に案内できるようになっている。
【0072】
第3実施形態のHIP装置1でも、図6に示すモードCの冷却や、それに先だってモードBの冷却が行われ、第2実施形態のHIP装置と同様な効果が奏される。これらの効果に加えて、第3実施形態のHIP装置1では、シール性が要求される第1弁手段17が比較的低温な高圧容器2の下側に配備されているため、長時間に亘って使用してもシール性が損なわれないという特徴がある。
【0073】
一方、ケーシング側強制循環手段49は高温の高圧容器2の上側に配備されることになるが、特に高温に弱いモータ51を一般に水冷が行われる高圧容器2の蓋体10に設けているため、ケーシング側強制循環手段49が高温で破損することもない。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態のHIP装置1を説明する。
【0074】
図7や図8に示されるように、第4実施形態のHIP装置1は、第2実施形態または第3実施形態のHIP装置1において、冷却後の圧媒ガスをホットゾーン内で上方から下方に向かって案内する構成を採用したものである。
この第4実施形態のHIP装置1は、製品架台32に設けられているガス流通用のすべての穴に上下方向に伸びると共に内部に圧媒ガスが流通可能なガスの流通管54を備えている。このガスの流通管54は、製品架台32の上面に上端が開口すると共に第2ガス導入路38に下端が開口しており、製品架台32の上側の圧媒ガスを直接第2ガス導入路38に案内できる構成となっている。製品架台32の下側には、ガス流増幅手段33から吹き出した圧媒ガスを、製品架台32の下面に沿って径外側に案内できる空間が形成されている。この空間は加熱手段7と仕切板8との間に上下方向に沿って形成された隙間55に連通していて、ガス流増幅手段33から吹き出した圧媒ガスを隙間55に案内できるようになっている。
【0075】
第4実施形態のHIP装置1を用いてホットゾーン内を冷却する際は、ガス流増幅手段33から製品架台32の下側に吹き出した冷却後の圧媒ガスは、製品架台32の下面に沿って径外側に向かって流れ、隙間55に入った所で上方に向かう流れと下方に向かう流れとに分岐される。そして、下方に向かって流れる圧媒ガスは第2ガス導入路38を通ってガス流増幅手段33に戻るが、上方に向かって流れる圧媒ガスは隙間55の上端に達した後再び分岐し、隙間34からホットゾーン内に入ってこのホットゾーン内を上方から下方に向かって案内される。そして、ガスの流通管54を通って第2ガス導入路38に案内された後、第2ガス導入路38を経由してガス流増幅手段33に帰還する。
【0076】
このように圧媒ガスをホットゾーン内で上方から下方に向けて案内すれば、冷却された低温の圧媒ガスが上方から直接ホットゾーンに供給されるため、被処理物W及びこの被処理物Wが収容されたホットゾーン内を短時間で効率的に冷却することが可能となる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 熱間等方圧加圧装置
2 高圧容器
3 内ケーシング
4 外ケーシング
5 断熱層
6 支持台
7 加熱手段
8 仕切板
9 容器本体
10 蓋体
11 底体
11a底体の径内側
11b底体の径外側
12 外側流路
13 外ケーシング本体
14 外ケーシング底体
15 上開口部
16 下開口部
17 第1弁手段
18 第1弁手段の栓部材
19 第1弁手段の移動手段
20 内ケーシング本体
21 内ケーシング底体
22 内側流路
23 第1流通孔
24 第2流通孔
25 強制循環手段
26 第2弁手段
27 モータ
28 軸部
29 撹拌翼
30 第2弁手段の栓部材
31 第2弁手段の移動手段
32 製品架台
33 ガス流増幅手段
34 隙間
35 ガス流通路
36 ガス貯留部
37 第1ガス導入路
38 第2ガス導入路
39 混合室
40 ノズル部
41 第1環状流路
43 第2環状流路
44 ホットゾーン側強制循環手段
45 ガス導入ファン
46 支持部
47 ホットゾーン側強制循環手段のモータ
48 ホットゾーン側強制循環手段の軸部
49 ケーシング側強制循環手段
50 撹拌翼
51 モータ
52 軸部
53 付勢手段
54 ガスの流通管
55 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容する高圧容器の内側に、当該被処理物を取り囲むように配設されたガス不透過性の内ケーシングと、当該内ケーシングを外側から取り囲むように配設されたガス不透過性の外ケーシングと、前記内ケーシングの内側に設けられて前記被処理物の周囲にホットゾーンを形成する加熱手段と、を備えており、前記内ケーシング及び外ケーシングにより断熱的に保持されたホットゾーン内の圧媒ガスを用いて前記被処理物に対して等方圧加圧処理を行う熱間等方圧加圧装置であって、
前記内ケーシングと外ケーシングとの間を下方から上方に向かって導かれた圧媒ガスを外ケーシングの上部から外ケーシングの外側に案内し、案内された圧媒ガスを高圧容器の内周面に沿って上方から下方に案内しつつ冷却し、冷却された圧媒ガスを外ケーシングの下部から内ケーシングと外ケーシングとの間に戻すように圧媒ガスを強制循環する第1冷却手段と、
前記ホットゾーン内の圧媒ガスをホットゾーンの外側に導き、外側に導かれた圧媒ガスを前記第1冷却手段により強制循環する圧媒ガスに合流させて冷却を行い、冷却された圧媒ガスの一部をホットゾーンの下方からホットゾーン内に戻すように圧媒ガスを循環する第2冷却手段と、
を用いて前記ホットゾーン内の圧媒ガスの冷却が可能とされていることを特徴とする熱間等方圧加圧装置。
【請求項2】
前記第1冷却手段は、
前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、
前記高圧容器と外ケーシングとの間に設けられて、前記上開口部から流出し、当該高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、
前記外ケーシングの下部に形成されて前記冷却後の圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、
前記圧媒ガスを強制循環する強制循環手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項3】
前記第1弁手段は、前記上開口部を開閉することで高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断可能な構成とされていることを特徴とする請求項2に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項4】
前記第2冷却手段は、
前記内ケーシングに形成されて前記加熱手段に接触した圧媒ガスを第1冷却手段により循環する圧媒ガスに合流させる第1流通孔と、
前記内ケーシングの下側に形成されて前記冷却後の圧媒ガスの一部をホットゾーン側に戻す第2流通孔と、
前記第2流通孔を開閉する第2弁手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項5】
前記第2冷却手段は、
前記被処理物と加熱手段との間に当該被処理物を囲むように配設される仕切板を備えており、
前記加熱手段と内ケーシングとの間に導かれた圧媒ガスを上方から下方に案内して前記第1流通孔に送ると共に、前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスをホットゾーン側に戻す構成とされていることを特徴とする請求項4に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項6】
前記第2冷却手段は、
前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスと、前記第2流通孔から導かれた前記冷却後の圧媒ガスと、を所定の混合率で混合し、混合後の圧媒ガスをホットゾーン内に噴出させるガス流増幅手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項7】
被処理物を収容する高圧容器の内側に、当該被処理物を取り囲むように配設されたガス不透過性の内ケーシングと、当該内ケーシングを外側から取り囲むように配設されたガス不透過性の外ケーシングと、前記内ケーシングの内側に設けられて前記被処理物の周囲にホットゾーンを形成する加熱手段と、を備えており、前記内ケーシング及び外ケーシングにより断熱的に保持されたホットゾーン内の圧媒ガスを用いて前記被処理物に対して等方圧加圧処理を行う熱間等方圧加圧装置であって、
前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、
前記上開口部から外側に案内され、高圧容器と外ケーシングとの間に形成された前記圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、
前記外ケーシングの下部に形成されると共に前記高圧容器の内周面に接触することで冷却された圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、
前記ホットゾーン内の圧媒ガスを加熱手段と内ケーシングとの間に導き、導かれた圧媒ガスを前記加熱手段に接触させながら上方から下方に向けて案内し、案内された圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間を循環する圧媒ガスに合流させる第1流通孔と、
前記内ケーシングの下側に形成されて前記冷却後の圧媒ガスの一部をホットゾーン側に戻す第2流通孔と、
前記第2流通孔を開閉することで冷却後の圧媒ガスをホットゾーン内に導いてホットゾーン内を冷却する第2弁手段と、
を備えていることを特徴とする熱間等方圧加圧装置。
【請求項8】
前記第1冷却手段は、
前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、
前記外ケーシングの下部に形成されて前記冷却後の圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、
前記上開口部に設けられて且つ高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、
前記下開口部に設けられ且つ前記内ケーシングと外ケーシングとの間に冷却後の圧媒ガスを強制的に戻すケーシング側強制循環手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項9】
前記第1冷却手段は、
前記外ケーシングの上部に形成されて前記内ケーシングと外ケーシングとの間の圧媒ガスを外ケーシングの外側に案内する上開口部と、
前記外ケーシングの下部に形成されて前記冷却後の圧媒ガスを内ケーシングと外ケーシングとの間に戻す下開口部と、
前記下開口部に設けられて且つ高圧容器と外ケーシングとの間を流れる圧媒ガスの流通を遮断する第1弁手段と、
前記上開口部に設けられ且つ前記内ケーシングと外ケーシングとの間に冷却後の圧媒ガスを強制的に戻すケーシング側強制循環手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項10】
前記第2冷却手段は、
前記内ケーシングに形成されて前記加熱手段に接触した圧媒ガスを第1冷却手段により循環する圧媒ガスに合流させる第1流通孔と、
前記内ケーシングの下側に形成されて前記冷却後の圧媒ガスの一部をホットゾーン側に戻す第2流通孔と、
前記第2流通孔に設けられ且つ当該第2流通孔を通じて前記冷却後の圧媒ガスをホットゾーン側に強制的に戻すホットゾーン側強制循環手段と、
を備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項11】
前記第2冷却手段は、
前記被処理物と加熱手段との間に当該被処理物を囲むように配設される仕切板を備えており、
前記加熱手段と内ケーシングとの間に導かれた圧媒ガスを上方から下方に案内して前記第1流通孔に送ると共に、前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスをホットゾーン側に戻す構成とされていることを特徴とする請求項8〜10にいずれかに記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項12】
前記第2冷却手段は、
前記加熱手段と仕切板との間に導かれた圧媒ガスと、前記第2流通孔から導かれた前記冷却後の圧媒ガスと、を所定の混合率で混合し、混合後の圧媒ガスをホットゾーン内に噴出させるガス流増幅手段を備えていることを特徴とする請求項11に記載の熱間等方圧加圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−127886(P2011−127886A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87840(P2010−87840)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】