説明

熱陰極電離真空計のための圧力制御脱ガスシステム

【課題】ゲージ圧の関数として脱ガス電力レベルを制御することにより、電子衝撃方法および通電加熱方法の脱ガス運転中に熱陰極電離真空計を運転する。
【解決手段】脱ガス電力レベルを上げながら、ゲージ圧の変化率を監視する。監視変化率からゲージ圧が圧力上限を超える可能性があると判断された場合、脱ガス電力の増加を停止あるいは脱ガス電力を減少させる。この運転を所定の最終的脱ガス条件を満たすまで継続する。脱ガス運転が無事終了した後、ディスプレイにその旨を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として熱陰極電離真空計に関する。特に、本発明は、熱陰極電離真空計の脱ガス運転を制御するためのシステムである。
【背景技術】
【0002】
熱陰極電離真空計(ベヤードアルパート真空計等)は一般に真空容器の超低圧(10−3Torr未満等)の測定に用いられる。これらのタイプの真空計は周知で、例えば、Harveyの米国特許第3,576,465号およびBills他の米国特許第5,250,906号等に開示される。これら真空計の各種特徴は、次の刊行物にも記載されている。A.Berman、「Total Pressure Measurements in Vacuum Technology」、168頁−171頁および190頁−193頁、1985年;J.M.Lafferty、「Foundations of Vacuum Science and Technology」、414頁−419頁、1988年;A.Roth,「Vacuum Technology」第2版、312頁−319頁;P.A.Redhead他、「The Physical Basis of Ultrahigh Vacuum」、米国物理学会、307頁−308頁、1993年;およびR.N.Peacock、「Total Pressure Gauging Techniques」、HPS Division of MKS Instrument,Inc., Boulder.co,1988年。
【0003】
簡潔に言うと、熱陰極電離真空計は、しばしば測定子に封入されるフィラメント、グリッドおよびコレクタを含む。運転中、グリッド電源によってグリッドに電圧(一般に約180v)を印加し、フィラメント電源によってフィラメントにバイアス電圧(一般に約30v)を印加する。機器制御システムによって設定および制御される電子電流(一般に約0.1−10mA)がフィラメントとグリッドの間を流れる。このような運転状態で、真空計の圧力に比例する大きさの電流がコレクタを流れることになる。感度係数として知られる比例定数の値は、真空計の幾何形状および運転パラメータと、室内の気体の種類を含む多数の要因によって決まる。測定中の圧力と真空計の運転パラメータとの関係は次の式によって定義される。
P=I/KI
ここで、P=測定中の圧力
=コレクタ電流
=電子電流
K=感度係数
【0004】
上記に一覧した参照文献に記載されるように、その測定精度を強化するためには真空計を定期的に「脱ガス」する必要がある。脱ガス運転によって、真空計のグリッドその他構造に吸着したガスを取り除く。これらの吸着ガスを除去しないと、これらが、測定中に様々な電子またはイオンプロセスを介して測定(電離)ボリューム内に放出されることがある。この放出ガスは真空計またはシステムボリューム内では当初、気相ではなかったため、その収集によって紛らわしい成分や誤差項が測定に加わることになる。
【0005】
脱ガス運転の実行には一般に2つの方法が用いられる。これらは電子衝撃(EB)方法および通電加熱(IR)方法として知られる。いずれの方法も、一定の最終的脱ガス条件を満たすまで(所定期間中3W、またはグリッド内で熱/温度または色を得るだけの所定の電力等)、真空計に増加電力レベル(一般的な測定モード運転条件以上)を適用することが含まれる。この加熱は一般に、照明した室内で見た時、構造を可視オレンジ色にす
るのに充分なものである。電子衝撃方法の脱ガス運転中、グリッド電圧は通常運転電圧より高い固定値に上げる(2−4倍で300vから600vの間等)一方、電子電流Iを代表的な運転電流より高い固定値に上げる(約10倍で約20mA等)。この運転中、グリッドは電子の衝撃により有効に加熱される。EB方法を用いる脱ガス運転中、真空計に適用される電力は、次の公式によって計算する。
EB=I(V−Vfb
ここで、WEB=EB脱ガス中に真空計に適用される電力
=電子電流
=グリッド電圧
fb=フィラメントバイアス電圧
【0006】
通電加熱方法の脱ガス運転中、グリッドに電流(約2A等)を通すことによりグリッドは抵抗加熱される。IR方法を用いる脱ガス運転中、真空計に適用される電力は次の公式によって計算される。
I2R=I
ここで、WI2R=IR脱ガス中に真空計に適用される電力
=グリッド電流
R=グリッドの抵抗
【0007】
上述の通り、脱ガス運転中に真空計構造からそれた吸着ガスは、真空計の示す圧力に加えられる。不幸なことに、熱陰極電離真空計は、比較的高い圧力(約5×10−5Torrより高い圧力等)で脱ガスされると損傷しやすい。そのため、安全な運転閾値を超えて圧力が増加するのを防ぐのに充分な速度での脱ガス運転中、真空計を取り付けたシステムの真空ポンピングがそれたガスを抜くことができないと、正常運転中の真空計が損傷する可能性がある。管内に形成されるグロー放電による真空計陰極のコーティングの剥離や除去は、比較的高圧での脱ガスに起因するこの種の損傷の例である。
【0008】
この種の損傷を防ぐため、真空計制御システムは一般に、真空計の測定する圧力を連続的に監視するか、測定圧力が所定の安全圧力上限を超えると脱ガス運転を終了あるいは真空計運転も共に終了するという自動「遮断」機能を含む。このような状況での遮断防止に役立てるため、一部の真空計制御システムは、脱ガス運転電力レベル(グリッド電圧または電子電流)を最終的脱ガス電力値まで徐々に上げる。しかしながら、このような制御システム機能によっても、圧力上限を超えることがあり、その場合、システムは自動的に遮断される。感度係数がグリッド電圧、電子電流、真空計動作圧によって変化することから、脱ガス運転には圧力測定の誤差や関連する複雑性が増す。
【0009】
この種の制御システムによって脱ガス運転が終了されたり、真空計運転が終了されたりすると、運転の再開にはオペレータによる動作が必要になるのが一般的である。この必要性は、真空計の出力を監視して取り付けた真空システムの制御に利用している時、大きな不利益となる。真空計を停止すると、圧力測定を必要とする他の真空システムコンポーネントが不要に遮断されることがある。脱ガス運転(真空計運転でなく)を終了する状況では、正確な圧力測定に必要な脱ガス機能が完全に実行されていないことがある。その結果、その後の圧力測定が不正確になる可能性がある。さらに、脱ガス運転が無事に完了したかどうか制御システムがオペレータに指示したり表示したりしないことがしばしばあるため、オペレータは脱ガス運転の過圧遮断があったことに気づかないことさえ多い。
【0010】
そのため、熱陰極電離真空計の改良脱ガスシステムが継続的に必要とされている。特に、脱ガス運転または真空計自体を遮断する可能性を最小限にしながら、真空計を有効に脱ガスできる制御システムおよび方法が必要とされている。商業的に実現可能とするには、このようなシステムは効率的に実装可能でなければならない。また、そのシステムは、起動した後のオペレータの行動をほとんど必要としないものであるのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、熱陰極電離真空計の実装効率よく有効な脱ガスシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例は、真空計に脱ガス電力レベルを適用すること、ゲージ圧を決定すること、およびゲージ圧の関数として脱ガス電力レベルを制御することが含まれる。脱ガス電力レベルの制御には、ゲージ圧が所定の圧力上限に達しないようにするため、ゲージ圧の関数としての脱ガス電力レベルの増減を含むことができる。
【0013】
ある実施例では、ゲージ圧の関数としての脱ガス電力レベルの制御には、ゲージ圧が所定のセトルタイム中、ゲージ圧が圧力上限未満の場合、脱ガス電力レベルを上げることが含まれる。ゲージ圧が圧力上限より大きい場合、脱ガス電力レベルを下げる。電力レベルの増減は、段階的に行うことができる。
【0014】
別の実施例では、ゲージ圧の関数としての脱ガス電力レベルの制御は、ゲージ圧の増加の変化率の監視と、ゲージ圧の変化率から、ゲージ圧が圧力上限まで上がるか否か判断することと、変化率からゲージ圧が圧力上限まで上がると判断された場合、電力レベル増加を下げることを含む。
【0015】
本発明のさらに別の実施例では、脱ガス運転は最終的脱ガス条件が満たされるまで継続する。ディスプレイを起動して、脱ガス運転が無事終了したことを表示することができる。圧力超過状態が検出された場合、脱ガス運転の終了も表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】熱陰極電離真空計の略図と、本発明にかかる真空計脱ガス運転の実行に用いることができるゲージ供給/制御システムのブロック図である。
【図2】本発明にかかる脱ガス運転実行のための制御アルゴリズムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、真空システム9に取り付けられ、真空計脱ガスのため本発明に従って運転することができる供給/制御システム10に相互接続された熱陰極電離真空計8のブロック図
である。真空計8は、グリッド12、フィラメント14、およびコレクタ16を含み、これらはすべて測定子18に封入される。真空計8の他の実施例(図示せず)は、真空システム9に直接挿入される電極構造を有する。供給/制御システム10の図示の実施例は、
グリッド電源20、フィラメント加熱電源22、フィラメントバイアス電源25、フィラメント電源制御24、電子電流(I)センサ26、コレクタ電流(I)センサ28、および制御システム30を含む。供給/制御システム10は、通常圧力監視モードと、本
発明にかかる脱ガスモードとの両方で真空計8を運転するよう制御可能である。下記に述べる制御システム30の脱ガスモード機能を除き、制御システム30の機能(すなわち、圧力監視モード中)と供給/制御システム10および真空計8の構成部品は、従来の設計および運転でよい。
【0018】
制御システム30は、ディスプレイ、メモリ、およびデジタル・アナログ変換器(別途図示せず)を含むマイクロプロセッサ・ベースのシステムでよい。制御システム30を接続し、制御信号をグリッド電源20、フィラメント電源22、フィラメントバイアス電源25、およびフィラメント電源制御24に送る。制御システム30からの制御信号に対応
し、グリッド電源20は、真空計8のための指定のグリッド電圧を生成する。通常圧力監視運転中、制御システムは一般にグリッド電源20を約180ボルトで運転せしめ、フィラメントバイアス電源25を約30ボルトで運転せしめる。フィラメント電源22は指定のフィラメント電圧を生成し、バイアス電源25によって大地に対してバイアスをかけたフィラメントを加熱し、グリッド12に電子電流を供給する。フィラメント電源22は、制御システム30から受ける制御信号によってオン・オフする。電源22が供給する電子電流は、制御システム30から受ける制御信号に対応してフィラメント電源制御24によって制御する。通常の圧力監視運転中、電子電流は一般に0・1−10mAの範囲となる。実際の電子電流はセンサ26が測定し、測定値はフィラメント電源制御24が用いて、制御システム30の指定する電子電流を維持する。実際のコレクタ電流の測定値は、コレクタ電流センサ28によって制御システム30に送られる。通常圧力監視運転中、制御システム30は、発明の背景部分で上記説明したような従来の方法で、真空計測定子18内の圧力を計算することができる。圧力監視運転のパラメータ(感度係数Kを含む)と制御アルゴリズムは、制御システム30のメモリ(図示せず)に格納することができる。
【0019】
本発明の実施例は、様々な真空計運転条件における感度係数Kを記述する格納データを含む。格納データは、例えば、様々な運転条件における感度係数値のルックアップ・テーブルの形式でも、感度係数と運転条件との間の数学的関係を記述するデータでもよい。様々なゲージ運転条件の例には、脱ガス運転中の真空計のグリッド電圧および電子電流値(脱ガス電力レベル等)を含む。脱ガス運転中に真空計が露出される条件に対応する感度係数の関数としてゲージ圧を計算することにより、圧力決定精度を強化することができる。
【0020】
制御システム30の実施例は、本発明にかかる脱ガス運転中、グリッド電源20、フィラメント電源22、およびフィラメント電源制御24を制御するようプログラムする。センサ26および28による電子電流およびコレクタ電流の測定値は制御パラメータとして用いる。感度係数および電力変化ステップを含む、脱ガス運転中に制御システム30が用いるパラメータは、メモリに格納できる。本発明にかかる脱ガス運転中、制御システム10は、真空計8に適用される電力の増加を、ゲージ圧が所定の圧力上限を超えないよう、測定ゲージ圧の関数として制御せしめる。一般に、このような電力増加は、所定の最終的脱ガス電力条件が満たされるまで継続する。
【0021】
図2は、本発明にかかる脱ガス運転を実行するための1方法のブロック図である。オペレータは一般に、制御システム30のスイッチその他インタフェース(図示せず)を起動することにより脱ガス運転を開始する(ステップ40)。すると、真空計8に適用された電力は、装置が通常の圧力監視運転中に動作する電力レベルより多い所定量または所定速度で増加する。この電力レベル増加ステップを全体として42に示す。例えば電子衝撃(EB)脱ガス運転中は、制御システム30は一般にグリッド電源20を300−600ボルトの所定の電圧範囲で動作させる。その後のステップ42における電力増加は、脱ガス運転中、フィラメント電源22に電子電流を増加せしめることによって達成できる。
【0022】
ある実施例では、ステップ42の電力増加は段階的ステップ(例えば、約0.1Wの増分)で行い、増加の間にセトルタイム(約1秒等)を置いて、真空計8の圧力が平衡値に達することができるようにする。そして真空計8内の圧力を、ステップ44に示すように制御システム30によって計算する。監視圧力が所定の「安全な」圧力上限(5×10−5Torr等)未満の場合(ステップ46)だが、セトルタイムが経過していない場合(ステップ48)、これらステップ44−48を繰り返す。実際、真空計8内の圧力は、セトルタイム中、定期的に(1秒毎等)監視できる。いつでも、ステップ46において監視圧力が圧力上限を超えたと判断されれば、脱ガス電力をステップ50に示すように下げることができる。ある実施例では、脱ガス電力をステップ50で0.1Wステップで下げる。圧力超過状態は、脱ガスプロセスに無関係なシステム故障によって生じる場合もある。
【0023】
従って、制御システム30はステップ51で他の真空システムの故障やオーバーライドが発生しているか否かを判断する。アクティブな場合、真空計をステップ55でオフにして、損傷を防止する。他のシステム故障がステップ51で特定されない場合、システムは真空計監視ステップ44に戻る。
【0024】
測定圧力が、セトルタイム中、圧力上限未満にとどまり、3W等の所定の最大真空計電力に達しなかった場合(ステップ53)、脱ガス電力をステップ42で再び増加し、監視ステップ44−48を繰り返す。所定の最終的脱ガス条件を満たすまで(所定期間で、脱ガス電力が3Wに増加した等)、このような電力増加および圧力監視ステップ42−48を繰り返す(ステップ52)。最終的脱ガス条件を満たすと、ステップ54に示すように脱ガス運転を終了する。制御システム30はまた、ディスプレイを起動して、脱ガス運転が無事終了したことを示すことができる。ステップ53で、最大真空計電力に達したと判断された場合、制御システム30は真空計監視ステップ44に戻る。
【0025】
脱ガス運転中、制御システム30の脱ガス機能は、上述の段階的脱ガス電力の増加を実行する際、デジタル・ポテンショメータとして有効に作用する。この制御およびフィードバック機能はまた、アナログ制御ループ、パルス幅変調(PWM)その他デジタル・アナログ変換アプローチによっても実行できる。
【0026】
本発明の他の実施例では、制御システム30は、現在のゲージ圧とゲージ圧の変化率の両方を監視および計算しながら、脱ガス電力を上げる。脱ガス電力は、この実施例では連続して上げることができる。いつでも、監視される圧力変化率に基づき、ゲージ圧が圧力上限を超えるかもしれないと判断された場合は、脱ガス電力レベルの増加を制御システム30によって下げることができる(脱ガス電力レベル増加を緩やかにするか、電力レベルを一定に保つか、下げる等)。すなわち、制御システム30によって様々な制御アルゴリズムをインプリメントして、本発明の脱ガス運転を提供することができる。
【0027】
本発明による脱ガス運転は多くの重要な利点を提供する。電力増加を監視圧力の関数として制御することにより、真空計をオフにしたり、脱ガス運転を終了したりしなければならないような圧力超過状況に真空計がさらされる可能性を最小限にすることができる。これにより、真空計の通常運転中の圧力測定精度を向上することができる。圧力超過状況に遭遇した場合、オペレータはシステムの取る是正措置を正確に通知されることができる。脱ガス機能はまた、真空計の供給/ 制御システムに効率的に実装することができる。
【0028】
本発明を好適な実施例を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく形式および詳細を変更可能なことを理解するであろう。例として、実施例は、電子衝撃方法の脱ガス技術と関連して説明したが、本発明は通電加熱方法の脱ガス技術と関連しても用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
8 熱陰極電離真空計
9 真空システム
10 供給/制御システム
12 グリッド
14 フィラメント
16 コレクタ
20 グリッド電源
22 フィラメント加熱電源
24 フィラメント電源制御
25 フィラメントバイアス電源
26 電子電流(I)センサ
28 コレクタ電流(I)センサ
30 制御システム
K 感度係数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱ガス運転中に、フィラメントと、グリッドと、コレクタを有する電離真空計を制御する制御方法であって、
グリッドに吸収されたガスを飛ばすのに十分な電力レベルまで、真空計に印加する電力が増加する間、コレクタ電流値と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流値と、感度係数値の関数として、電離真空計内のガス圧を測定及び監視する工程と、
グリッドに印加する電圧と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流と、圧力を含む真空計の運転パラメータを監視する工程と、
真空計内のガスの圧力を計測するために使用される感度係数値を、グリッド電圧と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流と、圧力を含む特定の運転条件下で、精密な圧力の計算を提供する特定の感度係数値に調整する工程と、
測定された真空計内のガスの圧力を、グリッドに吸収されたガスを飛ばすのに必要な電力レベルで、グロー放電が真空計に損傷を与えることを避けるために、予め定めた安全な圧力上限と比較する工程と、
予め定めた安全な圧力上限を超えて、真空計内の圧力の増加を回避する比率で、グリッドに吸収されたガスを飛ばし続けるための電力レベルまで、真空計に供給する電力を調整する工程を有していることを特徴とする制御方法。
【請求項2】
予め定めたセトルタイム中に真空計内の圧力が圧力上限未満である場合、脱ガスのための電力レベルを増加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
予め定めたセトルタイム中に真空計内の圧力が圧力上限未満であり、且つ、予め定めた最終的脱ガス条件を満たさない場合、脱ガスのための電力レベルを増加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
最終的脱ガス条件が、予め定めた時間中に、真空計に予め定めた最大限の電力を印加する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
脱ガスのための電力レベルを増加することが、脱ガスのための電力レベルを段階的に増加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
測定された真空計内のガスの圧力が、予め定めた安全な圧力上限を超えたとき、脱圧ガスのための電力レベルを減少する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
測定された真空計内のガスの圧力の増加の変化割合を監視する工程と、
測定された圧力が予め定めた圧力上限まで増加する場合、それを測定された圧力の増加の変化割合から判断する工程と、
真空計内の圧力の変化割合から、真空計内の圧力が圧力上限まで増加すると判断された場合、真空計に供給される電力レベルの増加の割合を減少させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項8】
予め定めた脱ガス条件に到達したとき、真空計に供給する電力を、グリッドに吸収されたガスを飛ばすために必要な電力レベルより下げて、脱ガス運転を終了する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項9】
予め定めた安全な圧力上限が、5×10−5Torrであることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項10】
グリッドへ電圧を印加して、電流を流して、真空計に供給された脱ガス電力レベルを増加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項11】
グリッド電圧の増加と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流の増加により、真空計に供給された脱ガス電力レベルを増加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項12】
脱ガス運転中に、フィラメントと、グリッドと、コレクタを有する電離真空計を制御するシステムであって、
グリッドに吸収されたガスを飛ばすのに十分な電力レベルまで、真空計に印加する電力が増加する間、コレクタ電流値と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流値と、感度係数値の関数として、電離真空計内のガス圧を測定及び監視する手段と、
グリッドに印加する電圧と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流と、圧力を含む真空計の運転パラメータを監視する手段と、
真空計内のガスの圧力を計測するために使用される感度係数値を、グリッド電圧と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流と、圧力を含む特定の運転条件下で、精密な圧力の計算を提供する特定の感度係数値に調整する手段と、
測定された真空計内のガスの圧力を、グリッドに吸収されたガスを飛ばすのに必要な電力レベルで、グロー放電が真空計に損傷を与えることを避けるために、予め定めた安全な圧力上限と比較する手段と、
予め定めた安全な圧力上限を超えて、真空計内の圧力の増加を回避する比率で、グリッドに吸収されたガスを飛ばし続けるための電力レベルまで、真空計に供給する電力を調整する手段を有していることを特徴とするシステム。
【請求項13】
互いに隣接配置されたフィラメントと、グリッドと、コレクタを有する熱陰極電離真空計の脱ガス制御システムであって、
グリッドに接続されたグリッド電源と、
前記グリッド電源は、前記グリッドに供給する電圧の調整を制御部からの入力により制御することが可能であり、
フィラメントに接続されたフィラメントバイアス及びフィラメント電流電源と、
前記フィラメントバイアスと前記フィラメント電流電源は、フィラメントに印加する電圧の調整、及びフィラメントとグリッドの間を流れる電子電流の調整をフィラメント電源制御からの入力により制御することが可能であり、
フィラメントとフィラメントバイアスと電流電源に接続され、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流の表示情報を検出し、表示情報をフィラメントバイアスと電流電源に入力する電流電源センサと、
コレクタと制御システムに接続され、コレクタ電流を検出し、コレクタ電流を制御システムに入力するコレクタ電流センサと、
前記制御システムは、グリッド電源に接続され、グリッド電圧を制御する信号を、グリッド電源に入力し、また、フィラメント電源制御に接続され、フィラメント電圧と電子電流レベルの信号を、フィラメントバイアス及び電流電源に入力し、
前記制御システムは、
(1)コレクタ電流センサのコレクタ電流値と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流の値と、感度係数値を含む入力から、真空計内のガスの圧力の計算と監視を行うことと、
(2)更新されたグリッド電圧と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流と、圧力値を含む、監視される運転条件の少なくとも一部を基礎として、感度係数値の最適値を求め、最適な感度係数値を、真空計内のガス圧の計算のために使用することと、
(3)真空計内のガス圧を、真空計に損傷を与えることを避けるために、予め定めた安全な圧力上限と比較することと、
(4)真空計内の圧力が、予め定めた安全な圧力上限より小さいとき、真空計に印加される電力を増加することと、
(5)真空計内の圧力が、予め定めた安全な圧力上限より大きいとき、真空計に印加される電力を減少すること
をプログラムされていることを特徴とする脱ガス制御システム。
【請求項14】
グリッド電源が、制御システムからの信号により、グリッドに印加する電圧及びグリッドを流れる電流を、増加及び減少を制御されることを特徴とする請求項13に記載の脱ガス制御システム。
【請求項15】
フィラメント電源制御が、制御システムからの信号により、フィラメントに印加する電圧の増加及び減少と、フィラメントとグリッドの間を流れる電子電流の増加及び増減を制御されることを特徴とする請求項13に記載の脱ガス制御システム。
【請求項16】
制御システムが、
真空計に印加される電力のレベルを監視することと、
監視されている真空計に印加される電力のレベルを、予め定めた時間内に、十分な程度の脱ガスが行われる予め定めた最大限の電力レベルと比較することと、
監視されている電力のレベルが最大限の電力レベルに到達したとき、予め定めた時間の間、最大限の電力レベルで維持するための信号を発信することと、
グリッドに吸収されたガスを飛ばすのに十分な電力レベルより低くなるように、真空計に供給する電力を減少する信号を発信すること
をプログラムされていることを特徴とする請求項13に記載の脱ガス制御システム。
【請求項17】
制御システムが、
真空計内の計測されたガスの圧力が、増加する変化率を監視することと、
計測された圧力が、予め定めた安全な圧力上限まで増加した場合、真空計内の計測されたガスの圧力が増加する変化率を判定することと、
真空計内の圧力が圧力上限まで増加することが、真空計内圧力の変化率から決定された場合、真空計に供給する電力レベルが増加する変化率を減少させること
をプログラムされていることを特徴とする請求項13に記載の脱ガス制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−128169(P2011−128169A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39836(P2011−39836)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2004−524778(P2004−524778)の分割
【原出願日】平成15年7月25日(2003.7.25)
【出願人】(501325369)エムケイエス インスツルメンツ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INC.
【Fターム(参考)】