説明

熱電金属間化合物の製造方法

(1)成分A、BおよびXを供し、次いで、成分A、BおよびXの固相反応によって、充填スクッテルダイト構造およびAの式を有する金属間化合物を形成し;(2)さらなるXの存在下、工程(1)において生成された充填スクッテルダイト構造を有する金属間化合物を溶融し;次いで(3)金属間化合物の相形成温度に等しいか、またはそれより高い温度でさらなるXの存在下、工程(2)の金属間化合物をアニーリングすることを含むことを特徴とする金属間化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電学、特に、金属間化合物およびその製造方法の技術分野に関する。これらの材料は、温度勾配を利用して電力を生成できるか、または加温/冷却アプリケーションのために電力供給され得る。
【背景技術】
【0002】
環境問題の意識の高まりは、様々なエネルギー生成方法におけるエネルギー効率の増加に対する要望に導いた。かなりの関心が、熱電物質の生成、開発および使用に注がれている。熱電物質は、熱の流れを電流に変換し、またその逆にも変換する。従って、これらの物質は、例えば、熱排気ガスからエネルギーを抽出するための発電所冷却塔における周囲からの電気の生成のために探求されている。構想が描かれた他の現実的な用途には、太陽熱発電が可能ではない宇宙船に電力を供給するための原子力電力生成アプリケーションが含まれる。通常のバルク熱電物質の熱電能、従って性能指数は、現在、電力または宇宙アプリケーションに十分でない。
【0003】
自動車産業において、熱電物質を用いて、熱を電気エネルギーに直接的に転換でき、燃料がより効率的に発電に使用されることを可能にできる。自動車における発電機は、排気ガスから熱を利用することにより、陳腐化しかねない。また、熱電的廃熱利用は、ディーゼル−電気機関車、機関車用ディーゼルエンジン、自動車用ディーゼルエンジン、ディーゼル−電気ハイブリッドバス、燃料電池等のごとき輸送手段に適用可能である。
【0004】
また、熱電デバイスの冷却性能も他の環境問題の解決策と考えられている。特に、容器、例えば、冷蔵庫から熱を抽出するための熱電物質の使用は、潜在的に損害を与える冷媒の必要性を除去する。更に、かかるデバイスは、冷却器/加熱器および空調設備の新しい設計を可能にする。
【0005】
熱電物質は、それらの設計の単純性により前記の用途に特に好ましい。半導体成分は、丈夫でかつ高度の信頼性を有し、故障率が低い。熱電物質の使用において、電力の生成または温度勾配の生成のいずれにおいても、大気への汚染物質の放出はない。
【0006】
更に、熱電物質は拡張性(scalable)があり、従って、例えば、熱電マイクロデバイス中で小型発電に理想的である。熱電冷却器は、生体医用ラボオンチップのアプリケーションおよびオプトエレクトロニクスのための温度調節を何百倍も既存の技術より速くかつより正確に可能にするであろう。ミクロ熱電発電機は、熱電腕時計のごとき自己電力供給マイクロエレクトロニクスを可能とし、またはマイクロコンバスタと組み合わせて、ポータブルエレクトロニクスのLiイオンバッテリーに取って代わるであろう。かかる物質の使用がバッテリーの信頼性における改善を可能とできることが望まれる。
【0007】
本発明は、先行技術と関連した問題の少なくともいくつかを克服するか、または少なくとも緩和することを目標とする。
【0008】
熱電アプリケーションのための物質の適合性は、その無次元性能指数ZTによって決定される。 ZT=(SσT)/(k)[式中、S、σ、kおよびTは、各々、熱電能(ゼーベック係数)、電気伝導率、熱伝導率および温度である。熱伝導率「k」は、2つの寄与−電子(k)および格子(k)の寄与の和である。良好な熱電物質は、大きなZT値を有する。この大きな値は、大きなゼーベック係数、高い電気伝導率および/または低い熱伝導率に起因し得る。電子特性は、キャリアー濃度の調節により最適化できる出力因子SσTによって決定される。
【0009】
ZTは、それが測定される温度で特定され得る。例えば、ZT600Kは、絶対温度600度での物質の熱電気の無次元性能指数である。
【0010】
二成分系スクッテルダイトは、100meVの小さなバンドギャップ、高いキャリア移動度および適度のゼーベック係数を持つ半導体である。二成分系スクッテルダイト化合物は、空間群Im3を持つ体心立方構造で結晶化し、形態MX[式中、Mは一般的にFe、Co、RhまたはIrであって、XはP、AsまたはSbである]を有する。優れた電子特性を有するにもかかわらず、二成分系スクッテルダイトは、最新技術の熱電物質と競合するのに余りにも高い熱伝導率を有する。しかしながら、充填スクッテルダイトは非常に低い熱伝導率を有する。従って、充填スクッテルダイトは、それらのより低い熱伝導率により、熱電物質としてますますポピュラーである。
【0011】
充填スクッテルダイトは、二成分系スクッテルダイトの結晶構造中の大きな間隙に希土類ゲスト原子を介在的に挿入することにより形成できる。充填スクッテルダイト用の化学組成物は、Z12[式中、Zは、ゲスト原子、典型的には、希土類原子を表し、yはその充填比である]と表現できる。二成分系スクッテルダイトと比較して、希土類で充填スクッテルダイトの格子熱伝導率は、広範囲の温度範囲にわたりかなり低下する。格子(k)による熱伝導率が最小化されるので、ZTが最大化される。充填スクッテルダイトのこの特性は、重希土類原子による熱運搬用低周波フォノンの散乱によるものであり、それはスクッテルダイト結晶構造中の介在的な間隙の内部でガラガラ運動(rattle)する。充填スクッテルダイトは、魅力的な電気輸送特性を所有し、従来の熱電物質よりもかなり大きな性能指数を達成するための有望な候補物として機能する。
【0012】
これらの物質の熱電能は、フォノングラス電子モデルの点から理解できる。充填原子は、スクッテルダイト構造中のゆったりしたサイズの間隙の内部で「ガラガラ運動する」ことができる。低周波フォノンモードの生成は、フォノン−フォノン散乱を増加させ、次にはkの大きさを減少させる。
【0013】
値ZT=1は、熱電物質の質の基準と考えることができる。近年、n型およびp型希土類で充填したスクッテルダイトの双方は、500℃を超えて、約1のZT値を有することが報告されている。本発明の1つの目的は、600Kにて1.4または1.5を超える値を有する熱電物質を提供すること、および冷却および電力アプリケーションの双方についての新規物質を探索することである。
【0014】
電力および発電機のアプリケーションについては、高電気伝導率および低熱伝導率を持つ、高い性能指数を与える物質および製造技術の必要性が存在する。また、熱電能の大きさが、温度上昇につれて増加することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、熱電学、特に、金属間化合物およびその製造方法の技術分野に関する。これらの材料は、温度勾配を利用して電力を生成できるか、または加温/冷却適用のために電力供給され得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様において、本発明は、金属間化合物の製造方法を提供し、その方法は、
(1)成分A、BおよびXを供し、ここに、A、BおよびXは以下の通りである:
Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、In、Ca、Sr、BaおよびTl、およびそれらの2以上の混合物から選択され;
Bは1以上の遷移金属原子から選択され;かつ
Xは1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択される;
次いで、成分A、BおよびXの固相反応によって、充填スクッテルダイト構造および

[式中、A、BおよびXは前記定義に同じであり、
aは、すべてのA原子の和であり、0<a≦1である;
bは、すべてのB原子の和であり、3.5≦b≦4であって;
cは、すべてのX原子の和であり、8≦c≦12である]
の式を有する金属間化合物を形成し、
(2)さらなるXの存在下、工程(1)において生成された充填スクッテルダイト構造を有する金属間化合物を溶融し;次いで
(3)金属間化合物の相形成温度に等しいか、またはそれより高い温度にてさらなるXの存在下、工程(2)の金属間化合物をアニーリングする
ことを含むことを特徴とする。
【0017】
第2の態様において、本発明は、≧0.9のZT600K値を示し、
式:A’a’ B’b’ X’c’
[式中、A’は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、Ca、Sr、BaおよびTlの少なくとも2つ、ならびにそれらの3以上の混合物から選択され;
B’は1以上の遷移金属原子から選択され;
X’は1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択され;
a’は、すべてのA’原子の和であり、0<a’≦1である;
b’は、すべてのB’原子の和であり、3.5≦b’≦4であって;
c’は、すべてのX’原子の和であり、10≦c’≦12である]
を有する金属間化合物を提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載されたプロセスによって得ることができる金属間化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、温度範囲10〜600Kにおける、(a)Ce0.85FeSb12、(b)Ce0.85Fe2.8Co1.2Sb12、(c)Ce0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12および(d)Ce0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12についての熱電能の変動を示す。
【図2】図2は、温度範囲10〜600Kにおける(a)La0.85FeSb12、(b)La0.85Fe2.8Co1.2Sb12、(c)La0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12および(d)Ce0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12についての熱電能の変動を示す。
【図3】図3は、温度範囲10〜600Kにおける(a)Ce0.4Yb0.53FeSb12、(b)アニーリングされたCe0.4Yb0.53FeSb12、(c)Ce0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12、(d)アニーリングされたCe0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12、(e)アニーリングされたLa0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12の温度プロットに対する抵抗率を示す。
【図4】図4は、Sb蒸気中でのアニーリング前後のいくつかの充填スクッテルダイト組成物についての性能指数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、今やさらに記載されるであろう。以下の一節において、本発明の異なる態様が詳細に定義される。そのように定義された各態様は、明確に反対に示されない限りは、いずれの他の態様も組み合せ得る。特に、好ましいかまたは有利であると示されたいずれの特徴も、好ましいかまたは有利であると示されたいずれの他の特徴と組み合せ得る。
【0021】
有利には、本発明者らは、本発明の方法を用いることにより、熱電気特性を改善した金属間化合物が提供され得ることを見出した。
【0022】
好ましくは、本発明の方法は、≧0.9、より好ましくは≧1、≧1.1または≧1.2のZT600k値を示す金属間化合物を生成する。
【0023】
本発明の方法は少なくとも3工程を含む。しかしながら、さらなる工程は、これらの3つの工程前、工程中および/または工程後に組込まれ得ると理解されるであろう。
【0024】
第1の工程は、成分A、BおよびXを提供することを含み、ここに、A、BおよびXは以下である:
Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、In、Ca、Sr、BaおよびTl、ならびにそれらの2以上の混合物から選択され;
Bは1以上の遷移金属原子から選択され;および
Xは1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択される。
【0025】
成分A、BおよびXの固相反応は、充填スクッテルダイト構造および以下の式

[式中、A、BおよびXは前記定義に同じであり、
aは、すべてのA原子の和であり、0<a≦1である;
bは、すべてのB原子の和であり、3.5≦b≦4であって;
cは、すべてのX原子の和であり、8≦c≦12である]
を有する金属間化合物を提供する。
【0026】
好ましくは、A、BおよびXの化学量論的混合物を一緒に反応させて、式Aの金属間化合物を形成する。
【0027】
典型的には、成分A、BおよびXは元素のインゴットとして提供されるであろう。かかるインゴットは容易に商業上入手可能である。通常の固相反応技術はよく知られている。Aの式の充填スクッテルダイト構造は、例えば、適当な期間中の適当な時間に真空容器中で一緒に元素のインゴットを焼成することにより生成し得る。焼成は、真空ガラス管中で密閉するような従来方式による真空下、または不活性雰囲気下で好ましくは行われる。不活性雰囲気は、生成された金属間物の汚染、酸化または分解を防ぐ。別法としてまたはさらに、非反応性金属管を用い得る。
【0028】
好ましくは、充填スクッテルダイト構造およびAの式を有する金属間化合物を形成するA、BおよびXの固相反応は、500℃〜900℃の温度範囲にて、1〜7日間加熱することにより行われる。
【0029】
好ましくは、本発明の方法において、Aは希土類元素およびそれらの2以上の混合物から選択される。好ましくは、Aは、La、CeおよびYbのうちの1以上から選択される。最も好ましくは、AはCeおよびYb、またはLaおよびYbである。
【0030】
好ましくは、本発明の方法において、Bは、Fe、Co、Rh、Ru、OsおよびIrのうちの1以上から選択される。より好ましくは、BはFeおよびCoである。BはFeであり得る。
【0031】
好ましくは、Xは、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、S、SeおよびTeから選択される。さらにより好ましくは、XはP、AsまたはSbである。最も好ましくは、XはSbである。
【0032】
「a」は、金属間化合物A中のすべてのA原子の和である。有利には、「a」は、0.5〜1の範囲にあり、より好ましくは「a」は、0.8〜1の範囲にあり、最も好ましくは「a」は1である。「a」は、範囲0.81〜0.87であり得る。
【0033】
「b」は、金属間化合物A中のすべてのB原子の和である。好ましくは、「b」は、3.8〜4の範囲にあり、最も好ましくは「b」は4である。
【0034】
「c」は、金属間化合物A中のすべてのXの原子の和である。好ましくは、「c」は11〜12の範囲にある。
【0035】
第2の工程は、さらなるXの存在下、工程(1)で生成された充填スクッテルダイト構造を有する金属間化合物を溶融することを含む。溶融物は、アークおよび/または誘導溶融炉(induction melter)を用いて運び得る。溶融工程は、例えば、石英管中での真空溶融であり得る。
【0036】
「さらなるX」なる用語を本明細書において用いて、充填スクッテルダイトが、充填スクッテルダイト構造に由来しなかった、少なくともいくらかのXの存在下で溶融されることを意味する。さらなるXは、溶融前に反応チャンバ中の充填スクッテルダイトに所望により添加し得る。
【0037】
第3の工程は、充填スクッテルダイトの相形成温度に等しいかまたはそれより高い温度でのX富化の環境下で充填スクッテルダイトをアニーリングすることを含む。特に、本発明の方法において、金属間化合物は、さらなるXの存在下でアニーリングされる。
【0038】
「さらなるX」なる用語を本明細書に用いて、充填スクッテルダイトが、充填スクッテルダイト構造に由来しない少なくともいくつかのXの存在下でアニーリングされることを意味する。さらなるXは、アニーリング前に反応チャンバ中の充填スクッテルダイトに所望により添加し得る。
【0039】
好ましくは、さらなるXは、式Aの充填スクッテルダイト構造中に存在するXと同じである。好ましくは、XはP、AsまたはSbである。最も好ましくは、XはSbである。
【0040】
アニーリングによって、金属間物を加熱して、その構造中のストレスを軽減すると理解されべきである。アニーリングは、拡散が発生できる温度までの加熱を含む。高温での金属の維持は、転位、間隙、凍結応力および他の不安定な状態を低減させる。アニーリングプロセスにおけるいくつかの段階があり、第1は回収相であり、その結果、結晶の欠点およびそれらが引き起こす内部応力の除去を通して金属を軟化させる。第2相は、再結晶であり、新しい粒が核となり成長して、内部応力により歪んだものを交換する。最後に、非常に遅い冷却相を用いて、柔軟性を誘導し、内部応力を取り除き、その構造を精製し、低温加工特性を改善する。遅い冷却は、示差熱収縮による応力を再導入できる温度勾配を最小化する。
【0041】
アニーリングのプロセスは、ゲスト原子が結晶格子中の置換位置に組み込まれるのを可能にし、その結果、物質の電気的な特性の大幅な変化をもたらす。アニーリングが固形物質内の原子の拡散により生じるので、物質はその平衡状態の方向へ進む。加熱は、新しい結合を破壊または形成するために必要とされるエネルギーを提供することにより、拡散速度を増加させるのに必要である。原子の移動は、金属中の転位を再分布および破壊する効果を有する。
【0042】
また、歪んだ金属中のプロセス開始のギブズの自由エネルギーの量は、アニーリングプロセスによって低下させる。実践および産業において、ギブズの自由エネルギーのこの低下は、「応力緩和」といわれる。
【0043】
かくして、内部応力の軽減は熱力学的に自然なプロセスであるが、室温では、それは非常に遅いプロセスである。従って、アニーリングプロセスが生じる高温は、この遅いとはいえ自然なプロセスを促進するように機能する。
【0044】
Xにおける雰囲気富化でのアニーリング工程(好ましくは、雰囲気はSbおよび所望によりYbを含む)は、化合物が、非常にわずかの格子間隙を持つ高温の相構造に位置することを可能にし、これらの間隙は、提供された過剰な蒸気によって充填される。特定の理論によって拘束されることを望むことなく、この間隙充填は、その物質の熱電気特性を改善するように機能するようである。これは、n型およびp型のドープ半導体の多数の電子特性が格子構造中の間隙を有することから発生するので驚くべきことである。
【0045】
また、アニーリング工程(3)は、さらなるA(ここに、Aは前記定義に同じ)の存在下で実施し得る。
【0046】
本発明の方法は、溶融工程(2)前の工程(1)において供された金属間化合物をペレット化する工程をさらに含み得る。
【0047】
有利には、アニーリング工程は、6時間、12時間、24時間を超える期間、より好ましくは72時間より長期間、最も好ましくは1週間を超える期間で行なわれる。アニーリングは、50℃以上で目標化合物の相形成温度未満で好ましくは行なわれる。YbFeSb12の相形成温度は、例えば、約650℃である。
【0048】
1つの具体例において、本発明は、金属間化合物の製造方法を提供し、その方法は:
(1)成分A、BおよびXを供し、ここに、A、BおよびXは以下である:
Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、Ca、Sr、BaおよびTlの少なくとも2つ、ならびにそれらの3以上の混合物から選択され;
Bは1以上の遷移金属原子から選択され;
Xは1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択され、
次いで、成分A、BおよびXの固相反応により、充填スクッテルダイト構造および以下の式

[式中、A、BおよびXは前記定義に同じであり;
aは、すべてのA原子の和であり、0<a≦1である;
bは、すべてのB原子の和であり、3.5≦b≦4であって;
cは、すべてのX原子の和であり、8≦c≦12である]
を有する金属間化合物を形成し;
(2)さらなるXの存在下、工程(1)において生成した充填スクッテルダイト構造を有する金属間化合物を溶融し;次いで、
(3)金属間化合物の相形成温度に等しいか、またはそれより高い温度にてさらなるXの存在下で工程(2)の金属間化合物をアニーリングする
ことを含む。
【0049】
本発明者らは、≧0.9のZT600K値を示し、式:
A’a’B’b’X’c’
[式中、A’は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、Ca、Sr、BaおよびTlの少なくとも2つ、ならびにそれらの3以上の混合物から選択され;
B’は、1以上の遷移金属原子から選択され;
X’は1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択され;
a’は、すべてのA’原子の和であり、0<a’≦1である;
b’は、すべてのB’原子の和であり、3.5≦b’≦4であって;
c’は、すべてのX’原子の和であり、10≦c’≦12である]
を有する金属間化合物を調製した。
【0050】
好ましくは、金属間化合物は、式A’B’X’12[式中、A’、B’およびX’は前記定義に同じである]を有する。しかしながら、その化合物は、この正確な化学量論的な式のものでなくてもよく、その化合物の構造中のA’、B’および/またはX’原子の数におけるいくらかの不足が存在してもよい。
【0051】
好ましくは、金属間化合物は、充填スクッテルダイト構造(例えば、LaFe12)を有する。アントノミド(Antonomide)は、充填スクッテルダイト構造の例である。それらは、Sb原子の四角形の平面環を持つ体心立方構造を有する。金属原子、例えば、鉄は、単純立方のサブ格子を形成し、ゲスト原子は単位セル中で2つの残りのホールを占有する。
【0052】
好ましくは、A’は、少なくとも2つの希土類元素およびそれらの3以上の混合物から選択される。より好ましくは、A’は、La、CeおよびYbのうちの2以上から選択される。最も好ましくは、A’はCeおよびYb、またはLaおよびYbである。
【0053】
好ましくは、B’は、好ましくは1以上のFe、Co、Rh、Ru、OsおよびIrである。より好ましくは、A’はFeおよびCoである。さらにより好ましくは、A’はFeである。
【0054】
好ましくは、X’は、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、S、SeまたはTeから選択される。より好ましくは、XはP、AsまたはSbある。最も好ましくは、X’はSbである。
【0055】
「a’」は、金属間化合物中のすべてのA’原子の和である。有利には「a’」は、0.5〜1の範囲にあり、より好ましくは「a’」は0.8〜1の範囲にあり、最も好ましくは「a’」は1である。「a’」は、0.81〜0.87の範囲にあり得る。
【0056】
「b’」は、金属間化合物中のすべてのB’原子の和である。好ましくは、「b’」は3.8〜4の範囲にあり、最も好ましくは「b’」は4である。
【0057】
「c’」は、金属間化合物中のすべてのX’原子の和である。好ましくは「c’」は、11〜12の範囲にある。
【0058】
本明細書に記載された金属間化合物は、先行技術化合物に対して改善された熱電特性を示す。特に、金属間化合物は、高い無次元性能指数(ZT)値を有する。好ましくは、本明細書に記載された金属間化合物は、≧1のZT600K値、好ましくは≧1.1のZT600K値、さらにより好ましくは≧1.2のZT600K値を示す。
【0059】
本発明の好ましい実施例において、A’はCeおよびYbであり、B’はFeであって、X’はSbである。例えば、金属間化合物は、式Ce0.4Yb0.53FeSb12を有し得る。
【0060】
本発明のもう一つの実施例において、A’はLaおよびYbであり、B’はFeであって、X’はSbである。例えば、金属間化合物は、式La0.4Yb0.53FeSb12を有し得る。
【0061】
本発明のもう一つの実施例において、A’はLaおよびYbであり、B’はFeおよびCoであって、X’はSbである。例えば、金属間化合物は、式La0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12を有し得る。
【0062】
別法の具体例において、A’はCeおよびYbであるかまたはA’はCeおよびLaであり、B’はFeおよびCoであって、X’はSbである。特に、式Ce0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12およびCe0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12を有する金属間化合物は、特に、1.2までまたは1.2を超え得る高い無次元性能指数の数値を有することが示されている。
【0063】
本発明者は、充填スクッテルダイト構造中のFe部位でのCo置換が、性能指数を有利に増加させることが判明したことを見出した。また、コバルトは、それが充填スクッテルダイトをドープするための安価な物質であるという有利さを有する。本発明の好ましい具体例において、B’はFeおよびCoである。
【0064】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載された金属間化合物を含むフィルムが提供される。フィルムは、10nm〜10ミクロン、または10nm〜1ミクロンの直径を有する薄いフィルムであり得る。フィルムは、当該技術分野において公知の標準的技術、例えば、スパッタリング技術、パルスレーザー堆積法を用いて作製し得る。本発明の1つの具体例において、本明細書に記載された金属間化合物は、基材上に沈着し得る。例えば、基材は、金属、合金および/またはセラミックであり得る。
【0065】
本発明のもう一つの態様において、本明細書に記載された金属間化合物を含むウエハーが提供される。
【0066】
本発明のもう一つの態様において、本明細書に記載された金属間化合物を含むペルチェクーラーが提供される。
【0067】
本発明のもう一つの態様において、本明細書に記載された金属間化合物を含む熱電発電機が提供される。
【0068】
本発明のさらなる態様において、熱電物質としての、本明細書に記載された金属間化合物の使用が提供される。
【0069】
前記のごとき充填スクッテルダイト化合物を含むペルチェクーラー/ヒーターデバイスは、入力電気を変換して、そのデバイス内の大きな温度勾配を創製することにおいて、高効率を有するであろう。本発明による充填スクッテルダイト化合物を含む熱電発電機は、供された温度勾配からの電気の生成において高効率を有するであろう。
【0070】
本発明のもう一つの態様において、本明細書に記載された金属間化合物を含む磁気抵抗器が提供される。
【0071】
本発明の熱電物質が、磁気抵抗器中で使用される場合、温度範囲の拡張に対して磁気抵抗の温度安定性の改善を示すことが判明している。
【0072】
本発明のさらなる態様において、第1の電極、第2の電極およびそれらの間の中間層を含む多層が提供され、該中間層は、本明細書に記載された金属間化合物を含む。
【0073】
本発明は、今や、以下の非限定の実施例を参照して記載されるであろう。
【0074】
実施例
化合物Z1−XYbFeSb12およびZ1−XYbFe3.9Co0.01Sb12(Z=Ce、La)を、Sigma Aldrichから購入したLa、Ce、Yb、Fe、CoおよびSbの高純度出発インゴットから合成した。次いで、これらの反応物の化学量論的混合物を真空(<10−6mbar)石英管の中で密閉した。次いで、試料を0.5°/分の勾配で400℃に非常にゆっくりと加熱した。試料は48時間この温度で維持した。次いで、温度を700℃に1週間上昇させた。最後に、試料を室温に冷却した。
【0075】
次いで、得られた各試料をペレットにプレスし、誘導溶融した。過剰のYbおよびSbを溶融に先立って添加した。次いで、得られた密度の高いペレットを700℃で24時間アニーリングした。
【0076】
相形成を粉末X線回折法によって確認し、顕微鏡観察/組成物分析をSEM/EDX技術を用いて行う。温度の関数としての電気抵抗の測定は、バネ接点を用いて、DC4プローブ技術を用いて行った。熱電能(S)測定は差動法によってその温度範囲で行った。低温測定は閉電路式冷却機(close circuit refrigerator)の支援で行った。高温測定は炉を用いて行い、Pt熱電対は白金箔とハンダ付けし、温度をEurotherm温度調節器によって制御した。次いで、性能指数ZTをZT=(SσT)/(k)によって算出する。その熱伝導率(k)は定常状態技術を用いてカスタム設計されたシステムにおいて測定した。
【0077】
熱電能測定については、試料をダイヤモンドホイールによって棒型試料にカットした。これらの棒型試料をヒーターとヒートシンクとして働く銅ブロックとの間にクランプし、温度計および接続を組込んだ。ヒーターはスプリングにより試料に押圧した。金(箔)の盤をヒーターの頂部および銅ブロックの底部で、電気的に絶縁し熱伝導するエポキシで固定して、試料の均質な横方向温度および電気的絶縁を保証した。2つのクロメル/コンスタンタン熱電対は、試料を横切って確立された安定した温度勾配(ΔT、典型的には1K)を測定し、電圧(熱電電圧)を測定した。抵抗率測定は標準的なファンデルポー4プローブ法により行った。
【0078】
図1および2は、温度範囲10〜600Kにおける化合物(Ce,Yb)FeSb12および(La,Yb)FeSb12のゼーベック係数を示す。ゼーベック係数がすべての組成物について600Kまでの温度で増加することが注目できる。
【0079】
(Ce,Yb)FeSb12および(La,Yb)FeSb12の抵抗率プロットを図3に示す。そのすべての化合物の抵抗率は、金属挙動を示した。表Iおよび図3に示すごとく、室温抵抗率は、双方のシリーズにおけるYbドーピングで減少した。温度の関数としての抵抗率の線形変動は、Fe富化の充填スクッテルダイトにおいて見出された半金属挙動により説明できる。
【0080】
図4は、アニーリング前後のCe0.4Yb0.53FeSb12およびCe0.4Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12につき算出した無次元性能指数を示す。組成物Ce0.4Yb0.53FeSb12は、室温でZT=0.27を有し、温度上昇につれてZT=0.61に増加する。Sb雰囲気中のアニーリングは、熱電能、かくして、性能指数に対する顕著な効果を有した。アニーリングされたCe0.4Yb0.53FeSb12の性能指数は、300Kおよび600Kで、各々、0.48および1.1に達する。
【0081】
表Iは、(Ce,Yb)FeSb12および(La,Yb)FeSb12ならびに関連化合物についての抵抗率の値(ρ)(括弧内の値は600Kに相当する)、ゼーベック係数(S)、熱伝導率(λ)ならびに300Kおよび600Kでの性能指数ZTを要約する。
【0082】
【表1】

【0083】
すべての化合物の熱伝導率(k)は、電子的寄与を差し引いた後に計算した。電子的寄与は、測定されたρ値からヴィーデマン−フランツ則の関係k=LσT(Lは、ローレンツ数=2.44×10−8WΩK−2である)から見積った。格子熱伝導率の温度依存は、50K<T<100Kの間で見積った。RTを超えて、kは温度依存を600Kまで外挿することにより計算した。300Kでのk値は、CoSbのものより相当に低く、それは恐らく、「A」部位でのランダムに分布したイオンのガラガラ運動(ratting motion)によるものであろう。
【0084】
熱伝導率はYbドーピングとともに、アニーリングに際して減少する。2.6Wm−1−1のより低い熱伝導率は、組成物Ce0.85Fe2.8Co1.2Sb12およびCe0.40Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12について得られる。比較的低い熱伝導率は、高濃度の粒および粒子境界に帰することができる。同様の傾向は、Ce0.40Yb0.53Fe2.8Co1.2Sb12につき得た2.9の最低のkを持つシリーズLa0.9Yb0.1FeSb12において観察される。
【0085】
最大の熱伝導率は、(Ce,Yb)FeSb12および(La,Yb)FeSb12シリーズにおける、各々、組成物Ce0.85FeSb12およびLa0.40FeSb12について測定されている。理論に結び付けられることを望むことなく、これらのイオンの混合は、原子価揺動に導くこともでき、熱伝導率を減少させる。Ybは、小さく重い充填原子である。より重く、より小さな充填ゲスト原子の熱伝導率は、より大きく、より軽い原子と比較して、格子熱伝導率の著しい減少に導くようである。
【0086】
親化合物と比較したCeおよびYbのドープによるkの低下は、格子中の十二面の間隙の有効な充填を高めるようである。恐らく、ウムクラップ散乱が高温体制で優勢であるが、粒境界散乱によるフォノン散乱が、低温で優性であると推測され得る。加えて、共振散乱および点欠陥散乱は中間温度での挙動を決定できた。発明者らのケースにおいて、ドーピングおよびアニーリングに際して、RTを超えたその熱電的な性能指数は、格子熱伝導率の寄与の低下における点欠陥および共振散乱により優勢である。
【0087】
Fe部位でのCoの置換は、主としてゼーベック係数の増加により、性能指数を1.2までわずかに増加させる。同様の挙動は、La−Yb−Fe−Sbシリーズにおいて観察され、300Kおよび600KでアニーリングされたLa0.4Yb0.53FeSb12につき、各々、0.28および0.95のZTであった。
【0088】
Fe部位でのCoの置換は、(Ce,Yb)シリーズと同様に、300Kでの0.4から600Kでの1.24までZT値を増加させる。ZTに対するアニーリングの影響がかなりであることは驚くべきことである。ZTの増加は、Sにおける増加およびρにおける減少のバランス効果の結果である。これらの双方の試料は、室温を超える比較的高い出力因子を有する。1.4より高い値は、本明細書に記載された技術、あるいは当該領域における専門家により理解されるかまたはこれらの充填スクッテルダイトへのさらなる検討により理解される当該技術におけるわずかな変更を用いて達成できる。
【0089】
充填材原子およびアニーリング処理の役割は、(Ce,Yb)FeSb12および(La,Yb)FeSb12充填スクッテルダイトの熱電能において検討した。無次元性能指数は、Sb雰囲気におけるアニーリングに際して、劇的に増加する。Sb富化雰囲気におけるアニーリングは、熱電能を増加させ、熱伝導率を低下させる。これは、同時の間隙充填および最適化されたアニーリングによってこれらの物質における無次元性能指数を増強するための経路を提供する。これらの物質の結果は、将来的なマイクロエレクトロニクス技術の適用のための有望な特徴を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)成分A、BおよびXを供し、ここに、A、BおよびXは以下の通りであり:
Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、In、Ca、Sr、BaおよびTl、およびそれらの2以上の混合物から選択され;
Bは1以上の遷移金属原子から選択され;かつ
Xは1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択される;
次いで、成分A、BおよびXの固相反応によって、充填スクッテルダイト構造および

[式中、A、BおよびXは前記定義に同じであり、
aは、すべてのA原子の和であり、0<a≦1である;
bは、すべてのB原子の和であり、3.5≦b≦4であって;
cは、すべてのX原子の和であり、8≦c≦12である]
の式を有する金属間化合物を形成し、
(2)さらなるXの存在下、工程(1)において生成された充填スクッテルダイト構造を有する金属間化合物を溶融し;次いで
(3)金属間化合物の相形成温度に等しいか、またはそれより高い温度にてさらなるXの存在下、工程(2)の金属間化合物をアニーリングする
ことを含む、金属間化合物の製造方法。
【請求項2】
A、BおよびXが、化学量論的な量において供される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
充填スクッテルダイト構造およびAの式を有する金属間化合物を形成するためのA、BおよびXの固相反応が、500℃〜900℃の温度範囲で1〜7日間加熱することにより行われる請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
金属間化合物が、アークおよび/または誘導溶融炉を用いて溶融される請求項1〜3のいずれか1記載の方法。
【請求項5】
溶融工程(2)前に工程(1)におけて供された金属間化合物をペレット化する工程をさらに含む請求項1〜4のいずれか1記載の方法。
【請求項6】
アニーリング工程(3)が、24時間を超える期間行なわれる請求項1〜5のいずれか1記載の方法。
【請求項7】
アニーリング工程(3)が、72時間を超える期間行なわれる請求項6記載の方法。
【請求項8】
アニーリング工程(3)が、1週を超える期間行なわれる請求項7記載の方法。
【請求項9】
Aが、希土類元素およびそれらの2以上の混合物から選択される請求項1〜8のいずれか1記載の方法。
【請求項10】
Aが、1以上のLa、CeおよびYbから選択される請求項1〜9のいずれか1記載の方法。
【請求項11】
Bが、Fe、Co、Rh、Ru、OsおよびIrから選択される請求項1〜10のいずれか1記載の方法。
【請求項12】
Bが、FeおよびCoである請求項1〜11のいずれか1記載の方法。
【請求項13】
Xが、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、S、SeおよびTeから選択される請求項1〜12のいずれか1記載の方法。
【請求項14】
XがP、AsまたはSbである請求項1〜13のいずれか1記載の方法。
【請求項15】
Xが、Sbである請求項1〜14のいずれか1記載の方法。
【請求項16】
aが、0.5〜1の範囲にある請求項1〜15のいずれか1記載の方法。
【請求項17】
aが、0.8〜0.87の範囲にある請求項1〜16のいずれか1記載の方法。
【請求項18】
bが4である請求項1〜17のいずれか1記載の方法。
【請求項19】
cが12である請求項1〜18のいずれか1記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得られた金属間化合物。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得られた、≧0.9のZT600K値を示す金属間化合物。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得られた、≧1.1のZT600K値を示す金属間化合物。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得られた、≧1.2のZT600K値を示す金属間化合物。
【請求項24】
≧0.9のZT600K値を示し、かつ
式:A’a’ B’b’ X’c’
[式中、A’は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Yb、Ca、Sr、BaおよびTlの少なくとも2つ、ならびにそれらの3以上の混合物から選択され;
B’は1以上の遷移金属原子から選択され;
X’は1以上のIIIA〜VIIA族原子から選択され;
a’は、すべてのA’原子の和であり、0<a’≦1である;
b’は、すべてのB’原子の和であり、3.5≦b’≦4であって;
c’は、すべてのX’原子の和であり、10≦c’≦12である]
を有する金属間化合物。
【請求項25】
充填スクッテルダイト構造を有する請求項24記載の金属間化合物。
【請求項26】
A’が少なくとも2つの希土類元素およびそれらの3以上の混合物から選択される請求項24または25記載の金属間化合物。
【請求項27】
A’が、La、CeおよびYbの少なくとも2つから選択される請求項24〜26のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項28】
B’が、Fe、Co、Rh、Ru、OsおよびIrから選択される請求項24〜27のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項29】
B’がFeおよびCoである請求項28記載の金属間化合物。
【請求項30】
X’が、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、S、SeおよびTeから選択される請求項24〜29のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項31】
X’がP、AsまたはSbである請求項30記載の金属間化合物。
【請求項32】
X’がSbである請求項31記載の金属間化合物。
【請求項33】
a’が、0.5〜1の範囲にある請求項24〜31のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項34】
a’が、0.8〜0.87の範囲にある請求項24〜33のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項35】
b’が4である請求項24〜34のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項36】
c’が12である請求項24〜35のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項37】
≧1のZT600K値を示す請求項24〜36のいずれか1記載の金属間化合物。
【請求項38】
≧1.1のZT600K値を示す請求項37記載の金属間化合物。
【請求項39】
≧1.2のZT600K値を示す請求項38記載の金属間化合物。
【請求項40】
請求項20〜39のいずれかに記載の金属間化合物を含むペルチェクーラー。
【請求項41】
請求項20〜39のいずれかに記載の金属間化合物を含む熱電発電機。
【請求項42】
請求項20〜39のいずれかに記載の金属間化合物を含む磁気抵抗器。
【請求項43】
熱電物質としての請求項20〜39のいずれかに記載の金属間化合物の使用。
【請求項44】
第1の電極、第2の電極およびそれらの間の中間層を含み、該中間層は、請求項20〜39のいずれかに記載の金属間化合物を含む多層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−510479(P2011−510479A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538901(P2010−538901)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004209
【国際公開番号】WO2009/077767
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(510173177)バイオメトリック・テクノロジー・ソリューションズ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOMETRIC TECHNOLOGY SOLUTIONS LIMITED