説明

燃料インジェクタ用ガスケット及びインジェクタのシール構造

【課題】製造工程数が増加することを回避できるとともに、インジェクタの振動に対する振動低減効果を向上させることができる燃料インジェクタ用ガスケット及びシール構造を提供することにある。
【解決手段】インジェクタ1とシリンダヘッド4との間には、重ね合わされた二つのガスケット8が配置されインジェクタ1とシリンダヘッド4との間をシールする。二つのガスケット8はどちらも単一材料としての鉄系の金属材料によって構成されている。そして、二つのガスケット8は、インジェクタ1から振動が伝えられた時には個々に振動することで互いに擦れ合い、シリンダヘッド4に伝える振動を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料インジェクタ用ガスケット及びインジェクタのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車に搭載されるエンジンでは、運転中に発生する騒音を低減することが望まれている。そして、これまでにエンジンから騒音が発生する原因の一つとしては、燃料インジェクタから燃料を噴射する際に内部のニードルが上下動することによって燃料インジェクタが振動することにあることが知られている。すなわち、ニードルの振動に伴って燃料インジェクタが振動すると、燃料インジェクタがシリンダヘッドと衝突し、その衝撃音(着座音)が騒音源となるのである。そこで、従来、内燃機関から発生する騒音を低減するために、燃料インジェクタから発生する振動に対する制振性能を有した燃料インジェクタ用ガスケットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された燃料インジェクタ用ガスケットおいては、金属不織布の空隙にゴムが充填されている金属/ゴム混合シートが設けられ、この金属/ゴム混合シートを複数枚積層することで構成される。そして、この金属/ゴム混合シートを製造する際には、ガスケット製品の形状に応じた金属不織布にゴム溶液を含浸させて金属不織布の空隙にゴムを充填し、その後ゴムの加熱加硫と混合シート全体の加熱圧縮成形とを行う。
【特許文献1】特開2006−71015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された燃料インジェクタ用ガスケットにおいて、ゴムと金属不織布とが一体に成形されることでなる金属/ゴム混合シートは、金属不織布にゴム溶液を含浸させる工程とゴムの加熱加硫及び混合シートの加熱圧縮成形を行う工程とを行わなければ製造することはできない。そのため、特許文献1に記載された燃料インジェクタ用ガスケットを製造するには工程を余分に行う必要があるため、製造容易性という観点からは見た場合には不利であった。
【0005】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造工程数が増加することを回避できるとともに、インジェクタの振動に対する振動低減効果を向上させることができる燃料インジェクタ用ガスケット及びシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、インジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間に挟まれて、前記インジェクタと前記シリンダヘッド又は前記吸気管との間をシールする燃料インジェクタ用ガスケットにおいて、単一材料から形成された環状のガスケット構成部品が複数重ねられて構成されたことを要旨とする。
【0007】
この発明では、別々のガスケット構成部品が複数枚重ねられて構成されたガスケットがインジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間に挟まれて使用され、ガスケットはインジェクタから燃料噴射が行われると振動する。この時、複数のガスケット構成部品が個々に振動することでガスケット構成部品同士の間にずれが生じ、各ガスケット構成部品の同士が擦れ合い摩擦力が発生する。そして、摩擦力が発生することで、シリンダヘッド又は吸気管に伝わる振動を低減することができる。したがって、ガスケット構成部品が複数枚重ねられることで構成されたガスケットによって発揮される振動低減効果を、一枚のガスケット構成部品のみから構成されるガスケットに比べて向上させることができる。
【0008】
また、ガスケット構成部品は単一材料から形成されているため、ガスケット構成部品を成形し重ね合わせるだけでガスケットを作製することができる。したがって、複合材料からガスケットを構成する場合のように複数の材料を一体に成形する工程を行う必要がないため、複合材料からなるシートを複数枚重ね合わせることで構成されたガスケットに比べて作製工数を小さくすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、複数の前記ガスケット構成部品にはそれぞれ前記ガスケット構成部品同士の径方向における相対位置が所定範囲よりずれることを規制する規制手段が設けられていることを要旨とする。
【0010】
この発明では、規制手段によって各ガスケット構成部品同士の相対位置は規制され、各ガスケット構成部品同士の相対位置が所定範囲よりずれた状態でインジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間に挟まれることを回避できる。したがって、ガスケット構成部品を複数重ね合わせることで構成されたガスケットであっても、予め決められた位置に装着された状態からずれることを回避できるため、ガスケットのシール性能が損なわれることを抑制できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、複数の前記ガスケット構成部品は全て同じ外径であることを要旨とする。
この発明では、各ガスケット構成部品の外径が全て同じであれば、ガスケット構成部品の一部がはみでないようにして、重ね合わせることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、インジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間をシールするシール構造において、単一材料から形成された複数のガスケットを重ね合わせ、重ねられた前記ガスケットを前記インジェクタと前記シリンダヘッド又は前記吸気管とによって挟まれる位置に配置したことを要旨とする。
【0013】
この発明では、複数のガスケットが重ね合わされたうえで、インジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間に挟まれて使用され、インジェクタから燃料噴射が行われると複数のガスケットはそれぞれ振動する。この時、重ね合わされた複数のガスケットは径方向において別々に振動し、各ガスケットは隣り合うガスケットと擦れ合うことで摩擦力が生じ、シリンダヘッド又は吸気管に伝わる振動を低減する。したがって、一枚のガスケットのみをインジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間に挟ませてシールする場合に比べて、インジェクタからシリンダヘッド又は吸気管に伝達される振動を低減することができる。
【0014】
また、単一材料から形成されたガスケットを使用するため、成形するだけでガスケットを作製することができる。したがって、複合材料からなるガスケットを作製する場合のように複数の材料を一体に成形する工程を行う必要がないため、複合材料からなるガスケットを作製する場合に比べて作製工数を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製造工程数が増加することを回避できるとともに、インジェクタの振動に対する振動低減効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、自動車用エンジンのシリンダヘッドとシリンダヘッドに取り付けられるインジェクタとの間をシールするガスケットに具体化した一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、インジェクタ1は、エンジンの燃焼室2への燃料添加を行うために用いられる。インジェクタ1は、クランプ3を貫通するとともにエンジンを構成するシリンダヘッド4にねじ込まれているボルト5が締め付けられるとクランプ3によってシリンダヘッド4側に押さえられ、シリンダヘッド4に取り付けられている。
【0018】
インジェクタ1は、ボルト5の締め付け時にクランプ3からの押圧力を受ける本体6と、インジェクタ1の先端に形成されたノズル7とを備えている。このノズル7には図示しない燃料の噴孔が形成されるとともに、その外周に円環状のガスケット8が二つ装着される。
【0019】
ガスケット構成部品としてのガスケット8は単一材料で形成され、この実施形態では鉄系の金属材料によって形成されている。図2(b)に示すように、ガスケット8の内径D1は、内周面9とノズル7との間に寸法公差程度の隙間が存在する大きさに形成され、かつ、ガスケット8の外径d1は本体6の外径よりも小さくなるように形成されている。
【0020】
図2(a)及び(b)に示すように、ガスケット8には、最も肉厚の部位を有するシール部10と、シール部10から内周側に向うにつれて肉厚が薄くなる内側テーパ部11と、シール部10から外周側に向うにつれて肉厚が薄くなる外側テーパ部12とが形成されている。また、シール部10にはガスケット8の軸方向、すなわち図2(b)で示す矢印Y1の方向と直交する第1シール面13及び第2シール面14がガスケット8の厚さ方向に設けられている。
【0021】
そして、インジェクタ1がシリンダヘッド4に取り付けられた時、図3に示すように、ノズル7はシリンダヘッド4の孔15に挿入され、同じ形状のガスケット8が二つ重ね合わされた状態で本体6とシリンダヘッド4とに挟まれて両者の間をシールする。この状態で、二つのガスケット8のうち、一つはシリンダヘッド4側に配置され、他方はインジェクタ1側に配置されている。二つのガスケット8はどちらも同じ外径d1であるとともに、ガスケット8の軸方向に沿って各ガスケット8の内周孔16とノズル7の中心とが一致するように重ねられている。また、インジェクタ1側に配置されたガスケット8がインジェクタ1によって押さえつけられることで、インジェクタ1と対向するガスケット8の第2シール面14はインジェクタ1と接するとともにシリンダヘッド4と対向するガスケット8の第1シール面13はシリンダヘッド4と接する。そのため、シリンダヘッド4とインジェクタ1とのシール性が確保されている。なお、インジェクタ1側のガスケット8がシリンダヘッド4側のガスケット8に圧着されることで、対向するシール面13,14同士は密着し、ふたつのガスケット8間のシール性は確保されている。
【0022】
次に、インジェクタ1とシリンダヘッド4とによって挟まれたガスケット8の作用について説明する。
エンジンが運転されるとインジェクタ1は燃料噴射を行うために内部の図示しないニードルを上下させるためインジェクタ1は振動し、各ガスケット8には径方向及び軸方向の振動が伝えられる。各ガスケット8に振動が伝えられると、各ガスケット8は別体であるため個々に振動し、各ガスケット8同士の径方向における相対位置はずれる。そのため、互いに接触しているガスケット8のシール面13,14同士は互いに擦れ合い、二つのガスケット8の間には摩擦力が生じる。二つのガスケット8の間に摩擦力が生じると、ガスケット8に加えられた振動が含む振動エネルギーは熱に変わり、シリンダヘッド4に伝わる振動は低減される。
【0023】
また、図4に示すように、ガスケット8が振動することで、ガスケット8は径方向に弾性変形する状態(図4の二点鎖線で示す状態)と元の状態(図4の実線で示す状態)とに移り変わることがある。この時、二つのガスケット8の間にはガスケット8の径方向においてずれHが生じる。そのため、各ガスケット8が径方向に弾性変形する状態と通常の状態との間を移り変わると、互いに接触しているシール面13,14同士は擦れ合い、二つのガスケット8の間には摩擦力が生じる。二つのガスケット8の間に摩擦力が生じると、ガスケット8に加えられた振動が含む振動エネルギーは熱に変わり、シリンダヘッド4に伝わる振動は低減される。
【0024】
したがって、この実施形態では、二つのガスケット8が元々有する振動低減効果に加えて、二つのガスケット8の間に摩擦力が生じる構造であるためさらなる振動低減効果を得ることができ、ガスケット8が発揮する振動低減効果を向上させることができる。そのため、インジェクタ1からシリンダヘッド4に伝わる振動は低減され、エンジンから発生する騒音を小さくすることができる。
【0025】
ここで、前記したガスケット8が発揮する振動低減効果を評価するために、次のような実験を行った。この実験では、シリンダブロックの代わりとして固定治具を準備し、固定治具上にシリンダヘッド4を取り付け、インジェクタ1とシリンダヘッド4との間にガスケットを挟ませたうえでシリンダヘッド4にインジェクタ1を取り付けた。なお、インジェクタ1は、実機に取り付ける場合と同様に、クランプ3でインジェクタ1をシリンダヘッド4側に押さえつけさせることで取り付けた。インジェクタ1がクランプ3によってシリンダヘッド4側に押さえつけられる時の力は、クランプ3を貫通してシリンダヘッド4にねじ込まれているボルト5を締め付ける時のトルクによって設定され、この実験では、ボルト5を25[N・m]の締め付けトルクで締め付けた。そして、加振器によってインジェクタ1のノズル7部分に加振力98N(10kgf)を加え、その時にガスケットを介してシリンダヘッド4に加えられた力と加速度とをシリンダヘッド4に取り付けられたインピーダンスヘッドによって計測した。次に、得られた計測結果とdB=20log(Y/X)という算出式を用いてデシベル値[dB]を算出した。なお、Xは、インジェクタに加えた加振力であり、Yは、インピーダンスヘッドによって測定した力と加速度とを基にして算出した加振力である。
【0026】
この実験では、鉄系の金属から形成され、内径D1が10mm、外径d1が20mm、最大厚さが1.5mmであるガスケット8が二つ重ね合わされることで構成されたガスケットを実施例として採用して前記した実験を行った。その実験結果を図5に実線で示す。また、実施例のガスケットと同じ材質である鉄系の金属から形成され、内径と外径が実施例のガスケットと同じで、最大厚さが3mmである単品のガスケットを比較例として採用して前記した実験を行った。その実験結果を図5に2点鎖線で示す。
【0027】
また、二つのガスケット8が重ね合わされることで構成された場合において、2〜3kHzにおけるデシベル値、3〜4kHzにおけるデシベル値及び2〜4kHzのデシベル値をそれぞれ平均した平均値を表1に示す。また、同様に、単品のガスケットの場合において、2〜3kHzにおけるデシベル値、3〜4kHzにおけるデシベル値及び2〜4kHzのデシベル値をそれぞれ平均した平均値を表1に示す。
【0028】
また、二つのガスケット8が重ね合わされることで構成された場合において、4〜5kHzにおけるデシベル値、5〜6kHzにおけるデシベル値及び4〜6kHzのデシベル値をそれぞれ平均した平均値を表2に示す。また、同様に、単品のガスケットの場合において、4〜5kHzにおけるデシベル値、5〜6kHzにおけるデシベル値及び4〜6kHzのデシベル値をそれぞれ平均した平均値を表2に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

表1より、実施例のガスケットでは、2〜3kHzの振動、及び3〜4kHzの振動に対する振動低減効果は比較例のガスケットが発揮する振動低減効果とほぼ同様であることがわかった。
【0031】
また、表2より、実施例のガスケットは、4〜5kHzの振動に対する振動低減効果が比較例のガスケットに比べて4.57dB優れ、5〜6kHzの振動に対する振動低減効果が比較例のガスケットに比べて5.61dB優れていることがわかった。したがって、実施例のガスケットは、2〜4kHzの振動に対する振動低減効果は比較例のガスケットと同等であり、4〜6kHzの振動に対しては比較例のガスケットより5.09dB大きい振動低減効果を発揮することがわかった。
【0032】
この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)重ね合わされた二つのガスケット8は、インジェクタ1とシリンダヘッド4との間に設けられ、インジェクタ1とシリンダヘッド4とによって挟まれている。したがって、二つのガスケット8が発揮する振動低減効果を向上させることができる。
【0033】
(2)ガスケット8は単一材料から形成されている。したがって、複数の材料を一体に成形する工程を行う必要がないため、例えば、金属不織布の空隙にゴムが充填されることで構成された複合材料からガスケットを形成する場合に比べて少ない工数で製造することができる。
【0034】
(3)二つのガスケット8はどちらも金属材料によって形成されている。したがって、例えば、ゴムと金属不織布とからなる複合材料によって構成されたガスケットに比べて、高い伝熱性を得ることができる。また、ガスケット8を金属材料から形成すれば、ゴムと金属不織布とからなる複合材料によって構成されたガスケットに比べ高い耐熱性を得ることができる。
【0035】
(4)衝撃が加えられる部位の材料にゴムが用いられたガスケットの場合には、高温状態のインジェクタから衝撃が加えられることによって劣化が進行してシール性・衝撃吸収性が低下し、十分な機能を発揮することができなくなるおそれが高い。しかし、ガスケット8を金属材料から形成すれば、高温状態のインジェクタ1からガスケット8に衝撃が加えられても、ガスケット8は耐熱性に優れるため劣化は進行し難く、ガスケット8の耐久性が向上する。
【0036】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ ガスケットの径方向における相対位置が所定範囲よりずれることを規制する規制手段をガスケットに設けてもよい。例えば、図6に示すように、平板状で、かつ、互いの外径が等しくなるように形成された第1ガスケット17及び第2ガスケット18を設け、第1ガスケット17の第2シール面17aに第1ガスケット17の内周に沿って一周するような突条19を設け、突条19より径が大きい凹部20を突条19と対応する第1シール面18aの部位に設けてもよい。突条19の外径は凹部20の径より小さくすることによって、第1ガスケット17と第2ガスケット18とが重ね合わされた時に突条19が凹部20に挿入されるように構成する。このように構成すれば、第1ガスケット17と第2ガスケット18との径方向における相対位置が所定範囲よりずれようとする際に突条19が凹部20に係合することで第1ガスケット17及び第2ガスケット18の移動を規制するため、突条19と凹部20とは規制手段として構成される。したがって、第1ガスケット17と第2ガスケット18との径方向における相対位置が所定範囲よりずれることは抑制される。そのため、第1ガスケット17と第2ガスケット18とが重ね合わされることで構成されるシール構造であっても、ガスケット8のシール性能が損なわれることを抑制できる。また、第2シール面17aに規制手段を構成する溝部を設け、第1シール面18aに規制手段を構成する突条を設けてもよい。この場合であっても、第1ガスケット17と第2ガスケット18との径方向における相対位置が所定範囲よりずれようとする際に突条が溝部に係合することで第1ガスケット17と第2ガスケット18との移動は規制される。
【0037】
○ 二つのガスケット8のうち、一方のガスケット8の外径d1を変更して、二つのガスケット8の外径が異なるように構成してもよい。例えば、シリンダヘッド4側に配置されるガスケット8の外径をインジェクタ1側に配置されるガスケット8の外径より大きくすることで、ガスケット8とシリンダヘッド4との接触面積を増やしガスケット8とシリンダヘッド4とのシール性を高めてもよい。また、インジェクタ1側に配置されるガスケット8の外径をシリンダヘッド4側に配置されるガスケット8の外径より大きくすることで、ガスケット8とインジェクタ1との接触面積を増やしガスケット8とインジェクタ1とのシール性を高めてもよい。
【0038】
○ ガスケット構成部品を3枚以上重ね合わせてガスケットを構成してもよい。例えば、ガスケット構成部品としてのガスケット8を3枚準備して、3枚のガスケット8を重ね合わせて構成してもよい。
【0039】
○ ガスケット8を構成する材料を変更してもよい。例えば、銅材料によってガスケット8を構成してもよい。また、金属材料で構成する代わりに、セラミック材料でガスケット8を構成してもよい。
【0040】
○ ガスケット8の形状を変更してもよい。例えば、ガスケット8の形状をテーパ部がない平板状に形成してもよい。また、ガスケット8をそれぞれ平面視楕円形状や平面視多角形状に形成してもよい。
【0041】
○ ガスケット8をシリンダヘッド4に取り付けられるインジェクタ1に用いる代わりに、吸気管に取り付けられるインジェクタ1に用いてもよい。この場合、インジェクタ1のノズル7を吸気管の孔に挿入した状態でインジェクタ1を吸気管に取り付けた時、ガスケットはインジェクタ1と吸気管との間に挟まれて使用される。
【0042】
○ 自動車用エンジンのシリンダヘッドとインジェクタとの間に本発明のガスケットを設ける代わりに、鉄道車用エンジンのシリンダヘッドとインジェクタとの間や、発電機用エンジンのシリンダヘッドとインジェクタとの間に本発明のガスケットを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態のガスケットが適用されるインジェクタのエンジンへの取付構造を示す断面図。
【図2】(a)はガスケットの斜視図、(b)は二つのガスケットが重ね合わされた状態における側断面図。
【図3】二つのガスケットがインジェクタとシリンダヘッドとに挟まれた状態を示す拡大断面図。
【図4】振動が加えられた時のガスケットの状態を示す模式図。
【図5】ガスケットに加えられる振動の周波数とデシベルとの関係を示すグラフ。
【図6】別の実施形態におけるガスケットの側断面図。
【符号の説明】
【0044】
d1…外径、1…インジェクタ、4…シリンダヘッド、8…ガスケット構成部品としてのガスケット、13…第1シール面、14…第2シール面、19…規制手段としての突条、20…規制手段としての凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間に挟まれて、前記インジェクタと前記シリンダヘッド又は前記吸気管との間をシールする燃料インジェクタ用ガスケットにおいて、
単一材料から形成された環状のガスケット構成部品が複数重ねられて構成された燃料インジェクタ用ガスケット。
【請求項2】
複数の前記ガスケット構成部品にはそれぞれ前記ガスケット構成部品同士の径方向における相対位置が所定範囲よりずれることを規制する規制手段が設けられている請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
複数の前記ガスケット構成部品は全て同じ外径である請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
インジェクタとシリンダヘッド又は吸気管との間をシールするシール構造において、
単一材料から形成された複数のガスケットを重ね、重ねられた前記ガスケットを前記インジェクタと前記シリンダヘッド又は前記吸気管とによって挟まれる位置に配置したインジェクタのシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−208775(P2008−208775A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46042(P2007−46042)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】