説明

燃料キャップ用テザー

【課題】 燃料キャップに連結されるリング部からフィラーリッドに連結される係止部までの紐状部の長さを適宜変更可能でデザインの異なる車体に対して共用化を図ることのできる燃料キャップ用テザーを提供する。
【解決手段】 本発明の燃料キャップ用テザー3は、一端部に形成されて燃料キャップ2に連結されるリング部4から他端部に形成されてフィラーリッド1に連結される係止部5までの基幹長紐状部6の長手方向途中に、基幹長紐状部6の長さを伸長可能とする伸長部7が形成され、基幹長紐状部6の少なくとも一部を切断することにより一端部から他端部までの長さが伸長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料キャップに一端が連結される燃料キャップ用テザーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車では、燃料キャップ用テザーの一端部側のリング部を燃料用キャップに接続し、他端部を車体の燃料給油口のフィラーリッド(給油蓋)に接続して、給油の際の燃料キャップの紛失防止を図る構成が採用されている。
【0003】
その燃料キャップ用テザーには、その燃料キャップとそのフィラーリッドとの間の紐状部の長手方向途中に弾性屈曲部を設けて、捻りや捩れに対して燃料キャップ用テザーが極力破断されないようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−136946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車体の燃料給油口の部分はレイアウト上の制約が厳しく、燃料キャップ用テザーが長すぎるとフィラーリッドの開閉時に紐状部がその燃料給油口の周辺部分に設けられた周辺部品に引っかかる、燃料給油口内に収まりきれずに、フィラーリッドを閉じる際にその紐状部を噛み込む可能性がある等の観点から、車体のデザイン毎に紐状部の長さが適正となるように燃料キャップ用テザーを成形しなければならず、デザインの異なる車体について共用化を図ることができないために、コスト高となる一因となっている。
【0005】
なお、上記特開2004−136946号公報に開示の燃料キャップ用テザーでは、弾性屈曲部で伸縮する構造となっているので、車体のデザイン毎に多少の長さの違いに対処可能であるが、弾性屈曲部が車体形状と干渉するおそれがある他、弾性限界内での長さ以上には対処できない不都合がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、燃料キャップに連結されるリング部からフィラーリッドに連結される係止部までの紐状部の長さを適宜変更可能でデザインの異なる車体に対して共用化を図ることのできる燃料キャップ用テザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の燃料キャップ用テザーは、一端部に燃料キャップに連結されるリング部と、他端部にフィラーリッドに連結される係止部と、前記リング部と前記係止部とを連結する基幹長紐状部と、からなる燃料キャップ用テザーにおいて、前記基幹長紐状部には、該基幹長紐状部の長さを伸長可能とする伸長部が形成され、前記基幹長紐状部の少なくとも一部を切断することにより前記リング部から前記係止部までの長さが伸長されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、燃料キャップに連結されるリング部からフィラーリッドに連結される係止部までの紐状部の長さを適宜変更可能でデザインの異なる車体に対して共用化を図ることができ、燃料キャップ用テザーのコスト低減を図ることができる。
【0009】
その際、適宜箇所を切断するのみで、紐状部の長さを変えることができるので、その作業も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に係わる発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0011】
(実施例1)
図1は本発明に係わる燃料キャップ用テザーが車体の燃料給油口の部分に取り付けられている状態を示し、この図1において、1はフィラーリッド、2は燃料キャップ、3は燃料キャップ用テザーである。
【0012】
この燃料キャップ用テザー3は、例えば樹脂成形により形成され、その一端部には、図2に示すように燃料キャップ2に連結されるリング部4が形成される一方、その他端部にはフィラーリッド1に設けられた留め具(図示せず)に係止される係止部としてのクリップ部5が形成されている。
【0013】
このような燃料キャップ用テザー3のリング部4からクリップ部5までが基幹長紐状部6とされている。燃料キャップ用テザー3は、その基幹長紐状部6の長手方向途中にリング部4の周回り方向に枝分かれする複数の枝部7を有する。ここでは、枝部7は7a〜7eにより形成されている。
【0014】
枝部7aはリング部4の半円に沿って円弧状に延びる形状とされ、本実施例では、枝部7aは基幹長紐状部6の根元部6aと180度反対部分でリング部4に連結されている。枝部7b〜7eは、リング部4の周回り方向に間隔を開けるようにしつつその枝部7aとリング部4とを連結する構成とされている。
【0015】
ここで、枝部7は、燃料キャップ用テザー3の長さを伸長する伸長部としての役割を果たし、図2(a)に示す基幹長紐状部6の根元部6aを切断して除去すると、図2(b)に示すように、枝部7bが新たに基幹長紐状部6の根元部6aになり、燃料キャップ用テザー3の基幹長紐状部6が長くなる。また、図2(c)に示すように、枝部7bを切断して除去すると、枝部7cが新たに基幹長紐状部6の根元部6aになり、燃料キャップ用テザー3の基幹長紐状部6が更に長くなる。同様に、図2(d)に示すように、枝部7cを切断して除去すると、枝部7dが新たに基幹長紐状部6の根元部6aになり、ついで、図2(e)に示すように、枝部7dを切断して除去すると、枝部7eが新たに基幹長紐状部6の根元部6aになり、図2(f)に示すように、枝部7eを切断して除去すると、枝部7aの先端部分が新たに基幹長紐状部6の根元部6aになり、根元部6a、枝部7bないし7eを逐次切断して除去することにより燃料キャップ用テザー3の基幹長紐状部6の長さを伸ばすことができる。
【0016】
このように、この実施例1に係わる燃料キャップ用テザー3によれば、基幹長紐状部6の長さが適宜変更可能なのでデザインの異なる車体に対して共用化を図ることができる。
【0017】
その際、基幹長紐状部6の適宜箇所を切断するのみで、長さを変えることができるので、その作業も容易である。
【0018】
とくに、リング部2の近傍に枝部7を集中して形成したので、燃料給油口の狭い空間内でも、枝部7がその周辺部分に設けられた周辺部品に引っかかったりフィラーリッド1に噛み込んだりすることなく、燃料キャップ用テザー3の共用化を図ることができる。
(実施例2)
図3はこの発明の実施例2に係わる燃料キャップ用テザー3Aの平面図であって、図3(a)に示すように、燃料キャップ用テザー3の基幹長紐状部6の長手方向途中に、伸長部としてのリング状部6bを形成し、このリング状部6bを直径方向に横断する基幹長紐状部3Aの横断部6cを切断部としたものであり、図3(b)に示すように、横断部6cを切断して除去することにより、燃料キャップ用テザー3の基幹長紐状部6の長さを伸長することができる。
【0019】
この実施例2による場合、リング状部6bが弾性を有することになるので、長さの調整がより一層容易となる。また、燃料キャップ2の近傍に存在する周辺部品と干渉する可能性がある場合には、これを避けることが可能である。
【0020】
図4は、そのリング状部6bを基幹長紐状部6の長手方向に複数個形成したものであり、横断部6cの適宜箇所を切断することにより燃料キャップ用テザー3Bの長さを複数段階に渡って長くでき、長さ調整の自由度が向上する。
【0021】
図5は、燃料キャップ用テザー3Cの基幹長紐状部6の長手方向途中に、伸長部としての複数個の半リング状部6b’を形成し、互いに隣合う半リング状部6b’を基幹長紐状部6を境にして反対側に形成し、各半リング状部6b’を直径方向に横断して連結する基幹長紐状部の横断部6c’を切断部としたものである。この図5に示す燃料キャップ用テザー3Cによれば、図4に示す燃料キャップ用テザー3Bに比べて、その成形材料の節約を図ることができる。
(実施例3)
図6はこの発明の実施例3に係わる燃料キャップ用テザー3Dの平面図であって、この図6に示す燃料キャップ用テザー3Dは、基幹長紐状部6の途中にこれに沿って伸びる複雑形状湾曲部8を伸長部として形成したものである。この複雑形状湾曲部8は図7(a)に示すように基幹長紐状部6に対して対称形状に形成されており、ここでは、この複雑形状湾曲部8は折り畳み部8aを有し、図6(b)に示すように、この複雑形状湾曲部8を横断する横断部8bを切断すると、複雑形状湾曲部8の折り畳部8aが展開されて、基幹長紐状部6の長さが伸びる構成とされている。
【0022】
この実施例3に示す燃料キャップ用テザー3Dによれば、燃料用キャップ2の近傍に存在する周辺部品と干渉する可能性がある場合には、これを避けることができると共に、基幹長紐状部6の周辺部に干渉物がある場合にもこれを避けることができる。
(実施例4)
図7はこの発明の実施例4に係わる燃料キャップ用テザー3Eの平面図であって、リング部4に沿う方向に延びる伸長部としての複雑形状湾曲部8Aを基幹長紐状部6の根元部16aに形成したものである。この複雑形状湾曲部8Aは基幹長紐状部6に対して対称形状のはしご状部9から構成され、このはしご状部9には複数個の掛け渡し部9a、9bがそれぞれ形成されている。
【0023】
この燃料キャップ用テザー3Eによれば、図7(a)に示す根元部16aを切断して除去すれば、図7(b)に示すように燃料キャップ用テザー3Eの長さを弾性により伸ばすことができる。同様に、図7(c)に示すように掛け渡し部9aを切断すれば、更にその長さを伸ばすでき、掛け渡し部9bを切断すれば、その長さがより長くなる。
【0024】
この実施例4に記載の燃料キャップ用テザー3Eによれば、リング部2の近傍に伸長部を集中して形成されているので、燃料給油口の狭い空間内でも、伸長部がその周辺部分に設けられた周辺部品に引っかかったりフィラーリッド1に噛み込んだりすることなく、燃料キャップ用テザー3Eの共用化を図ることができるという実施例1の燃料キャップ用テザー3の効果に加え、燃料キャップ用テザー3Eの基幹長紐状部6の一部を切断して長さを伸ばしたときでも、基幹長紐状部6が不自然に曲がった形状となるのを避けることができるので、燃料キャップ用テザー3Eの一部を切断して長さを伸ばして使用した場合でも、疲労が少ないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係わる燃料キャップ用テザーが取り付けられた車体の給油口近傍の一例を示す外観図である。
【図2】本発明の実施例1の燃料キャップ用テザーの説明図であって、(a)は切断前の燃料キャップ用テザーの平面図を示し、(b)は(a)に示す根元部6aを切断した状態を示し、(c)は(b)に示す枝部7bを切断した状態を示し、(d)は(c)に示す枝部7cを切断した状態を示し、(e)は(d)に示す枝部7dを切断した状態を示し、(f)は(e)に示す枝部7eを切断した状態を示す。
【図3】本発明の実施例2の燃料キャップ用テザーの説明図であって、(a)は切断前の燃料キャップ用テザーの平面図を示し、(b)は(a)に示す横断部6cを切断した状態を示す。
【図4】本発明の実施例2の燃料キャップ用テザーの更なる説明図であって、リング状部6bが基幹長紐状部6の長手方向に複数個形成された燃料キャップ用テザーの平面図である。
【図5】本発明の実施例2の燃料キャップ用テザーの更なる説明図であって、半リング状部6b’が基幹長紐状部6の長手方向に複数個形成された燃料キャップ用テザーの平面図である。
【図6】本発明の実施例3の燃料キャップ用テザーの平面図であって、(a)は基幹長紐状部6の途中にこれに寄り添って伸びる複雑形状湾曲部が形成されている状態を示し、(b)は基幹長紐状部の一部を切断して複雑形状湾曲部が展開されている状態を示す。
【図7】本発明の実施例4に係わる燃料キャップ用テザーの平面図であって、(a)はリング部に沿う方向に延びる複雑形状部を基幹長紐状部の根元部に形成した状態を示し、(b)、(c)はその複雑形状湾曲部の一部を逐次切断した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1…フィラーリッド
2…燃料キャップ
3…燃料キャップ用テザー
4…リング部
5…クリップ部(係止部)
6…基幹長紐状部
7…枝部(伸長部)
6b…リング状部
6b’…半リング状部
6c、6c’…横断部
8、8A…複雑形状湾曲部
9…はしご状部
9a、9b…掛け渡し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に燃料キャップに連結されるリング部と、他端部にフィラーリッドに連結される係止部と、前記リング部と前記係止部とを連結する基幹長紐状部と、からなる燃料キャップ用テザーにおいて、
前記基幹長紐状部には、該基幹長紐状部の長さを伸長可能とする伸長部が形成され、前記基幹長紐状部の少なくとも一部を切断することにより前記リング部から前記係止部までの長さが伸長されることを特徴とする燃料キャップ用テザー。
【請求項2】
前記伸長部が前記リング部の周回り方向に枝分かれして複数個形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料キャップ用テザー。
【請求項3】
前記伸長部が前記基幹長紐状部の長手方向途中に形成されたリング状部から構成され、該リング状部を直径方向に横断する基幹長紐状部の横断部を切断することにより前記リング部から前記係止部までの長さが伸長されることを特徴とする請求項1に記載の燃料キャップ用テザー。
【請求項4】
前記リング状部が前記基幹長紐状部の長手方向に複数個形成されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料キャップ用テザー。
【請求項5】
前記伸長部が前記基幹長紐状部の長手方向途中に形成された複数個の半リング状部から構成され、互いに隣合う半リング状部が前記基幹長紐状部を境にして反対側に形成され、各半リング状部を直径方向に横断して連結する基幹長紐状部の横断部を切断することにより前記リング部から前記係止部までの長さが伸長されることを特徴とする請求項3に記載の燃料キャップ用テザー。
【請求項6】
前記伸長部が前記基幹長紐状部の長手方向に沿って伸びる複雑形状湾曲部からなっていることを特徴とする請求項1に記載の燃料キャップ用テザー。
【請求項7】
前記複雑形状湾曲部は、前記リング部に沿う方向に向かって延びるとともにはしご状部を有し、該はしご状部に設けられた掛け渡し部を切断することにより前記リング部から前記係止部までの長さが伸長されることを特徴とする請求項6に記載の燃料キャップ用テザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−248459(P2006−248459A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70430(P2005−70430)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】