説明

燃料タンク構造

【課題】燃料タンク内に水分等の異物が存在していても液位を高精度で検知可能な燃料タンク構造を得る。
【解決手段】燃料タンク14内に備えられる静電容量センサユニット26は、底部14Bに沿って配置される燃料リファレンス部26Rを有する。燃料リファレンス部26Rの周囲の燃料が、ジェットポンプ48の駆動により流動されることで、水分が燃料リファレンス部26Rに接触することが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンクでは、収容された燃料の液位を正確に検知することが望まれる。たとえば特許文献1には、測定対と、この測定対の下に置かれた照合対とを備えた容量液体レベルセンサが記載されている。照合対は、タンク内の液体の中に完全に浸かることで、燃料(液体)の性状等に応じて照合対の静電容量を検知し、これを基に、測定対による液位検知をより正確に行うことが可能となる。
【0003】
ところで、照合対に水分が付着している場合でも、これに対応した静電容量になれば水の存在を検知できる。しかし、測定対による液位検知は、照合対での静電容量の基づいて行われるため、照合対に水分が付着していると、正確な液位検知ができなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−524618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、燃料タンク内に水分等の異物が存在していても液位を高精度で検知可能な燃料タンク構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、前記燃料タンクの内部で上下方向に沿って配置され燃料の接触範囲に応じて静電容量が変化する液位検知部と、前記燃料タンクの内部で燃料の最低液面よりも下に配置され燃料の性状に応じて静電容量が変化するリファレンス部と、前記リファレンス部に接触している流体が接触していない流体と入れ替わるようにリファレンス部の周辺の液体を流動させる流動手段と、を有する。
【0007】
この燃料タンク構造では、リファレンス部において、燃料の性状に応じた静電容量を検知するので、この検知結果に基づいて、液位検知部で検知した静電容量から、燃料タンク内の液位を検知することができる。
【0008】
リファレンス部の周辺の液体は、リファレンス部に接触している流体が接触していない流体と入れ替わるように、流動手段によって流動される。したがって、燃料タンク内に水分が存在していても、この水分がリファレンス部に接触した状態で滞留することが抑制される。これにより、リファレンス部において燃料の性状に応じた静電容量を高精度で検知でき、この結果を用いた液位検知部での液位検知も、高精度で行うことが可能になる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記リファレンス部が、前記燃料タンクの底壁と非接触で配置されている。
【0010】
水分は燃料よりも比重が大きいため、燃料タンク内の底壁近傍に存在することが多い。このように水分が燃料タンクの底壁近傍に存在していても、リファレンス部は燃料タンクの底壁と非接触となっている(底壁よりも高い位置にある)ので、リファレンス部への水分の接触を抑制できる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記燃料タンクの内部において前記リファレンス部の周囲に設けられた縦壁部、を有する。
【0012】
このため、燃料タンク内の水分が移動してリファレンス部に接触することが、縦壁部により抑制される。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記燃料タンク内に配置され燃料を貯留可能なサブカップと、前記サブカップの内部の燃料を外部に送出するための燃料ポンプと、を有し、前記流動手段が、前記燃料ポンプによって送出される燃料の一部が導入されることで負圧を生じさせ、該負圧により前記サブカップ内に燃料を送るジェットポンプを含んでいる。
【0014】
燃料タンク内の燃料が傾斜(偏在)した場合でも、サブカップ内に燃料が貯留されるので、このサブカップ内の燃料を燃料ポンプから外部に送出することができる。
【0015】
また、ジェットポンプを用いてサブカップ内に確実に燃料を送ることで、サブカップ内に燃料が貯留された状態をより確実に実現できる。
【0016】
そして、ジェットポンプの駆動により、サブカップへの燃料移動と、リファレンス部の周囲での液体の流動を同時に行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記サブカップと前記燃料ポンプとを少なくとも含んで燃料ポンプモジュールが構成され、前記液位検知部と前記リファレンス部の少なくとも一方が前記燃料ポンプモジュールと一体化されている。
【0018】
液位検知部とリファレンス部の少なくとも一方は燃料ポンプモジュールと一体化されているので、一体化された液位検知部又はリファレンス部を、燃料タンク内へ配置することが容易になると共に、燃料タンク内で形状や位置を安定的に維持できる。
【0019】
なお、燃料ポンプモジュールとしては、さらに、ジェットポンプを含んで構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成としたので、燃料タンク内に水分等の異物が存在していても液位を高精度で検知可能な燃料タンク構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造を構成するサブカップ及びその近傍を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造を構成するサブカップ及びその近傍を拡大して示す図2の矢印3方向矢視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造を構成するサブカップ及びその近傍を拡大して示す図3の4−4線断面図である。
【図5】本発明の燃料タンク構造に用いられる静電容量センサユニットを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態の燃料タンク構造を構成するサブカップ及びその近傍を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態の燃料タンク構造を構成するサブカップ及びその近傍を拡大して示す図6の7−7線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、本発明の第1実施形態の燃料タンク構造12が示されている。また、図2には、燃料タンク構造12に用いられるサブカップ24が示されている。
【0023】
この燃料タンク構造12は、内部に燃料GS(図1等参照)を収容可能な燃料タンク14を有している。燃料タンク14は、全体として略直方体の箱状に形成されている。
【0024】
燃料タンク14の上壁14Uの略中央には、挿入口16が形成されている。挿入口16からは、燃料ポンプモジュール22を挿入することができる。燃料ポンプモジュール22は、燃料タンク14内の燃料を図示しないエンジンに送出することができる。挿入口16は、燃料タンク14の外側から蓋部材18で閉塞される。
【0025】
挿入口16の周囲では、上壁14Uを下方に凹ませることにより、凹部20が形成されている。この凹部20を形成したことで、挿入口16に装着された蓋部材18は、上壁14Uから上方に突出しない、もしくは突出量が少なくなる構造とされている。相対的に、上壁14Uを、車体の図示しないフロアパネルに接近させ、燃料タンク14の容量を大きく確保することが可能な構造になっている。
【0026】
図2に詳細に示すように、燃料ポンプモジュール22は、上面が開放された略円筒状のサブカップ24を有している。サブカップ24の周壁には、上下方向に延在する2枚の縦壁24T、24Uが所定角度(図示の例では略90度)をなして形成されている。一方の縦壁24Tの下部には、サブカップ24の周壁を厚み方向に貫通する貫通孔24Hが形成されている。この貫通孔24Hを通じて、燃料タンク14内の燃料をサブカップ24内に導入することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、燃料タンク14として、底壁14Bと上壁14Uとが互いに接近又は離間することで、燃料タンク14の容積を可変とした構造としている。そして、図1に示すように、蓋部材18から下方に延出された1又は複数本(本実施形態では2本)のガイド棒34が、サブカップ24に設けられたガイド筒36に挿入されることで、底壁14Bと上壁14Uとが上記したように接近又は離間した場合でも、サブカップ24の位置及び姿勢が安定的に維持されるようにしている。
【0028】
さらに、本実施形態では、ガイド棒34には圧縮コイルスプリング38が装着されている。
【0029】
圧縮コイルスプリング38は、蓋部材18に対しガイド筒36を下方に付勢しており、この付勢力は、サブカップ24に作用する。これにより、サブカップ24の底壁24Bが、燃料タンク14の底壁14Bに接触した状態を確実に維持できるようにしている。ただし、本発明では、燃料タンク14として底壁14Bと上壁14Uとが接近又は離間する構造とされている必要はなく、この場合には、上記したガイド棒34、ガイド筒36及び圧縮コイルスプリング38等は省略可能である。
【0030】
サブカップ24内には燃料タンク14内の燃料の一部が貯留される。したがって、燃料タンク14に対し燃料GSが傾斜し偏在したとき(図2参照)でも、サブカップ24内に所定量の燃料が貯留された状態が維持される。
【0031】
サブカップ24内には、燃料ポンプ40が備えられている。燃料ポンプ40の下部には、燃料を吸引可能な燃料吸引口42が設けられている。燃料ポンプ40を駆動することで、サブカップ24内の燃料を、燃料吸引口42から吸引する。そして、燃料送出配管44を通じて、サブカップ24内の燃料を図示しないエンジンに向けて送り出すことができる。
【0032】
燃料ポンプ40の燃料吸引口42には、燃料フィルタ46が装着されている。燃料フィルタ46は、網目状の部材によって袋状に形成されており、その内部に、燃料吸引口42が位置している。燃料フィルタ46は、サブカップ24内の燃料GSを燃料吸引口42から吸引するときに、燃料中の異物を除去する作用を有している。
【0033】
図2〜図4に詳細に示すように、縦壁24Tの下部には、ジェットポンプ48が備えられている。ジェットポンプ48には、燃料ポンプ40によって外部に送出される燃料の一部が導入される導入配管54が接続されている。ジェットポンプ48では、導入配管54から導入された燃料によって、内部に負圧が生じる。そしてこの負圧により、サブカップ24の外部(燃料タンク14の内部)から燃料GSを吸引口48Bを通じて吸引し、貫通孔24Hを通じてサブカップ24内に燃料を送り込む作用を有している。ジェットポンプ48の近傍では、燃料タンク14内の燃料GSの流動が生じている。
【0034】
なお、本実施形態では、サブカップ24、燃料ポンプ40及びジェットポンプ48を含んで、燃料ポンプモジュール22が構成されている。
【0035】
サブカップ24の外側には、縦壁24Uの上下方向に沿って静電容量センサユニット26が取り付けられている。
【0036】
図5に詳細に示すように、静電容量センサユニット26は、樹脂フィルム等の折り曲げ可能な絶縁体によって、全体として長尺状に形成されたベース28を有している。ベース28の表面には複数の電極30がベース28の長手方向にそって一定間隔で配置されている。この電極30の部位に応じて、1つのベース28上に、燃料リファレンス部26R及び液位検知部26Lが構成されている。換言すれば、燃料リファレンス部26R及び液位検知部26Lが一体化されて静電容量センサユニット26が構成されている。
【0037】
そして、図4からも分かるように、燃料タンク14への搭載状態では、ベース28が燃料リファレンス部26Rと液位検知部26Lの間の湾曲部26Bで湾曲されており、液位検知部26Lに対し燃料リファレンス部26Rが直角方向の姿勢をとっている。
【0038】
複数の電極30は、燃料と接している部分と接していない部分とで、静電容量の値が異なる。また、接触している燃料の性状よっても、静電容量の値が異なる。この静電容量の値の違いを用いて、静電容量センサユニット26における燃料の接触範囲の広狭に応じた信号を出力できる。
【0039】
図5から分かるように、静電容量センサユニット26の上端部には、端子26Cが設けられている。端子26Cは図示しないセンサ回路と電気的に接続されており、燃料リファレンス部26R及び液位検知部26Lからの信号は、センサ回路に送られる。
【0040】
ここで、燃料リファレンス部26Rは、燃料タンク14の底壁14Bの近傍、すなわち、燃料タンク14に設定された最低液面LL(図1及び図3参照)よりも下方で、底壁14Bに沿って配置されている。通常状態(燃料GSが傾斜していない状態)では、この最低液面LLよりも下方には燃料GSが存在している。このため、燃料タンク14内の燃料量がわずかであっても、燃料リファレンス部26Rの全体が燃料に浸漬される可能性が高い。そして、燃料リファレンス部26Rは、接触している燃料の性状に応じて静電容量が異なることを利用して、燃料タンク14内の燃料性状(たとえば、ガソリンに対するエタノールの濃度)を検知することが可能である。
【0041】
これに対し、液位検知部26Lは、燃料タンク14内において、上下方向に沿って配置されている。このため、燃料タンク14内の燃料量に応じて、燃料に浸漬される部分の長さが変化し、静電容量も異なった値をとる。これを利用して、燃料タンク14内の燃料量を検知することが可能である。液位検知部26Lの下端は、最低液面LLよりも下側に位置している。
【0042】
ここで、図3からも分かるように、ジェットポンプ48の近傍では、燃料タンク14内の燃料GSの流動が生じているため、燃料リファレンス部26Rに接触していた液体は、接触していない液体と入れ替わるように流動する。
【0043】
縦壁24Uの下部からは、縦壁24T、24Uの双方と直交する台板50が、燃料タンク14の底壁14Bに沿って延出されている。静電容量センサユニット26の燃料リファレンス部26Rは、台板50上に支持されており、底壁14Bとは非接触になっている。したがって、燃料リファレンス部26Rは、燃料タンク14の底壁14Bに直接的に接触されて配置されている構成と比較すると、台板50の厚み分だけ、底壁14Bから高い位置に配置されていることになる。
【0044】
台板50の周囲には、上方に立設される侵入防止壁52が形成されている。侵入防止壁52は、燃料タンク14の底部に異物(固形物や水分を含む)が存在している場合でも、この異物が侵入防止壁52の内部(台板50上)に侵入することを防止でき、且つ燃料タンク14の底部の燃料GSが侵入防止壁52を越えて侵入防止壁52の内部(台板50上)に流入する程度の高さを有している。
【0045】
侵入防止壁52は、ジェットポンプ48の吸引口48Bを除く部位において切欠部52Eが形成されている。このため、台板50上の燃料GSがジェットポンプ48に向かって流れて吸引口48Bから吸引されるとき、この流れ方向の下流側では侵入防止壁52が開口されていることになり、燃料GSの吸引に対する障壁にならない。
【0046】
次に、本実施形態の燃料タンク構造12の作用を説明する。
【0047】
この燃料タンク構造12では、燃料ポンプ40の駆動により、サブカップ24内に貯留された燃料を、燃料送出配管44を通じてエンジン等に送出することができる。燃料タンク14内の燃料量が少なくなった状態で、燃料GSが傾斜し、燃料タンク14内において偏在した場合であっても、サブカップ24内に貯留された燃料GSは、燃料吸引口42の近傍に保持されているので、燃料GSが燃料吸引口42から離れてしまう現象(燃料切れ)を抑制することができる。
【0048】
燃料ポンプ40の駆動により、導入配管54を通じて燃料の一部がジェットポンプ48に導入される。これにより、ジェットポンプ48が駆動されるため、図3に矢印GFで示すように、吸引口48Bから燃料GSを吸引し、サブカップ24内に燃料を送ることができる。
【0049】
サブカップ24の外側には、静電容量センサユニット26が配置されている。特に、本実施形態の静電容量センサユニット26は、燃料リファレンス部26Rを有している。燃料リファレンス部26Rは、燃料タンク14の底部において底壁14Bに沿って配置されており、燃料リファレンス部26Rの全体が燃料GSに浸漬されている。したがって、燃料リファレンス部26Rの静電容量から燃料の性状に応じて異なることを利用して、燃料タンク14内の燃料の性状を知ることが可能である。
【0050】
また、静電容量センサユニット26の液位検知部26Lでは、燃料GSの液位に応じて静電容量が変化する。したがって、燃料リファレンス部26Rで検知された静電容量を基に(リファレンスとし)、これと、液位検知部26Lで検知された静電容量の値の比率から、燃料タンク14内の液位を知ることが可能である。
【0051】
図1及び図4に示すように、燃料タンク14の底部に、水分WTが存在している場合を想定する。この水分WTが静電容量センサユニット26の燃料リファレンス部26Rに接触すると、燃料リファレンス部26Rにおいて、燃料GSの性状に応じた正確な静電容量を検知できない。
【0052】
しかし、本実施形態の燃料タンク構造12では、燃料リファレンス部26Rが、台板50の厚み分だけ、底壁14Bから高い位置に配置されると共に、燃料リファレンス部26Rの周囲に侵入防止壁52が位置している。そして、この侵入防止壁52により、燃料リファレンス部26R上への水分WTの侵入が抑制されている。このため、燃料リファレンス部26Rへの水分WTの接触も抑制され、燃料リファレンス部26Rにおいて、燃料の性状に応じた静電容量をより正確に検知することが可能である。
【0053】
また、本実施形態の燃料タンク構造12では、燃料リファレンス部26Rが、ジェットポンプ48の吸引口48Bの近傍に位置している。これにより、ジェットポンプ48の駆動時には、燃料リファレンス部26Rの周辺の液体が流動され、燃料リファレンス部26Rに接触していた液体は、接触していない液体と入れ替わるように流動する。たとえば、水分WTが燃料リファレンス部26Rの近傍に存在した状態でも、ジェットポンプ48が駆動されると、水分WTが燃料リファレンス部26Rの近傍に滞留することが抑制される。この点においても、燃料リファレンス部26Rにおいて、燃料GSの性状に応じた静電容量をより正確に検知することが可能である。
【0054】
さらに、水分WTが侵入防止壁52の内部に侵入してしまっても、燃料リファレンス部26Rの周辺の液体流動により、この水分WTを侵入防止壁52の外部に排出することも可能である。
【0055】
また、水分WT以外の異物が燃料タンク14の底部に存在している場合でも、上記した水分WTの場合と同様に、燃料リファレンス部26Rへの異物の接触が抑制され、燃料リファレンス部26Rにおいて、燃料GSの性状に応じた静電容量をより正確に検知することが可能である。
【0056】
図6には、本発明の第2実施形態の燃料タンク構造72が部分的に拡大して示されている。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。また、燃料タンク構造72の全体構成も、第1実施形態(図1参照)と同一であるので、説明を省略する。
【0057】
第2実施形態の燃料タンク構造72では、第1実施形態の台板50及び侵入防止壁52に代えて、支持板74が形成されている。支持板74は、第1実施形態の台板50と同様に、静電容量センサユニット26の燃料リファレンス部26Rを支持しているが、支持板74は、燃料タンク14の底壁14Bから離間し、且つ底壁14Bと平行に形成されている。したがって、第2実施形態の燃料リファレンス部26Rは、第1実施形態よりも、底壁14Bを基準としてさらに高い位置にある。
【0058】
縦壁24Uと支持板74の間は、下に凸となるように湾曲された湾曲部76とされている。湾曲部76の上方には、湾曲部76との間に、静電容量センサユニット26の厚みと等しい間隔をあけて、対向片78が配置されている。湾曲部76と対向片78とでセンサガイドを構成しており、湾曲部76と対向片78との間に静電容量センサユニット26の湾曲部26Bが収容されて保持されている。
【0059】
対向片78の上部には、湾曲部76との間隔を上方に向けて漸増させる誘導面78Gが形成されている。対向片78と湾曲部76の間に、上方から静電容量センサユニット26を挿入する際に、誘導面78Gによって挿入が容易になる。
【0060】
なお、対向片78は、サブカップ24と一体成形されていてもよいし、別体で成形されたサブカップ24あるいは燃料タンク14に対し後工程で取り付けられる部材であってもよい。
【0061】
このような構成とされた第2実施形態の燃料タンク構造72では、燃料タンク14の底部に水分が存在していても、静電容量センサユニット26の燃料リファレンス部26Rが底壁14Bから隙間をあけた位置(第1実施形態よりも高い位置)に配置されている。水分WTは燃料GSよりも比重が大きく、燃料タンク14の底部に留まりやすいので、このように燃料リファレンス部26Rを高い位置に配置すれば、水分WTが燃料リファレンス部26Rに接触する可能性が低くなる。
【0062】
また、第1実施形態の燃料タンク構造12と同様に、燃料リファレンス部26Rが、ジェットポンプ48の吸引口48Bの近傍に位置している。これにより、ジェットポンプ48の駆動時に、燃料リファレンス部26Rに接触していた液体は、接触していない液体と入れ替わるように流動するので、水分WTが燃料リファレンス部26Rの近傍に滞留することが抑制される。これらにより、燃料リファレンス部26Rにおいて、燃料の性状に応じた静電容量をより正確に検知することが可能である。
【0063】
なお、上記各実施形態では、本発明の流動手段として、サブカップ24へ燃料を送り込むためのジェットポンプ48を挙げているが、要するに、燃料リファレンス部26Rの周辺の液体を流動させることができれば、流動手段はジェットポンプ48に限定されない。したがって、液体流動のためにスクリュウ等を設けてもよいが、部品点数が増加する。これに対し、サブカップ24に燃料を送り込むために設けられるジェットポンプ48を「流動手段」として用いれば、ジェットポンプ48が流動手段を兼ねることになり、流動手段をあらたに設ける必要がないので、部品点数の増加を招かない。
【0064】
上記では、燃料ポンプモジュール22として、サブカップ24、燃料ポンプ40及びジェットポンプ48を含む構成を挙げているが、たとえば、サブカップ24と燃料ポンプ40のみが一体化されて燃料ポンプモジュールが構成されていてもよい。
【0065】
また、上記では、燃料リファレンス部26Rと液位検知部26Lの双方が燃料ポンプモジュール22に取り付けられて一体化された例を挙げているが、燃料リファレンス部26Rと液位検知部26Lのいずれか一方のみを燃料ポンプモジュール22に取り付ける構成であっても、静電容量センサユニットを燃料ポンプモジュールと一体化できる。そして、一体化により、燃料タンク14内への配置が容易になると共に、燃料リファレンス部26Rと液位検知部26Lの形状や位置を安定的に維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
12 燃料タンク構造
14 燃料タンク
14B 底壁
22 燃料ポンプモジュール
24 サブカップ
24B 底壁
24T 縦壁
24U 縦壁
26 静電容量センサユニット
26L 液位検知部
26R 燃料リファレンス部
40 燃料ポンプ
48 ジェットポンプ(流動手段)
52 侵入防止壁(縦壁部)
72 燃料タンク構造
GS 燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、
前記燃料タンクの内部で上下方向に沿って配置され燃料の接触範囲に応じて静電容量が変化する液位検知部と、
前記燃料タンクの内部で燃料の最低液面よりも下に配置され燃料の性状に応じて静電容量が変化するリファレンス部と、
前記リファレンス部に接触している流体が接触していない流体と入れ替わるようにリファレンス部の周辺の液体を流動させる流動手段と、
を有する燃料タンク構造。
【請求項2】
前記リファレンス部が、前記燃料タンクの底壁と非接触で配置されている請求項1に記載の燃料タンク構造。
【請求項3】
前記燃料タンクの内部において前記リファレンス部の周囲に設けられた縦壁部、
を有する請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク構造。
【請求項4】
前記燃料タンク内に配置され燃料を貯留可能なサブカップと、
前記サブカップの内部の燃料を外部に送出するための燃料ポンプと、
を有し、
前記流動手段が、前記燃料ポンプによって送出される燃料の一部が導入されることで負圧を生じさせ、該負圧により前記サブカップ内に燃料を送るジェットポンプを含んでいる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料タンク装置。
【請求項5】
前記サブカップと前記燃料ポンプとを少なくとも含んで燃料ポンプモジュールが構成され、
前記液位検知部と前記リファレンス部の少なくとも一方が前記燃料ポンプモジュールと一体化されている請求項4に記載の燃料タンク構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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