説明

燃料フィルタ

【課題】動力燃料に混入される異物を除去する燃料フィルタにおいて、燃料フィルタ自体にサブタンクの機能を組み込むことにより、燃料タンク内に配設される部品点数を削減し、もって製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンクの小型化を図る。
【解決手段】互いに一体的に結合したフィルタ部材30と器形側壁部材40とは、燃料タンク5の内底7に沿って配設されるサブタンクの底部および側壁部として機能するように器形Sをなしている。このため、燃料フィルタ20のみでサブタンクとしての機能を確保することができる。また、フィルタ部材30は、燃料タンク5の内底7に当接する内底7当接側からフィルタ部材30を通じて燃料吸入口12にガソリンGが吸入されるように形成されている。このため、燃料フィルタ20は、ガソリンGをエンジンに供給するにあたって、ガソリンGに混入される異物を除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたり、動力燃料に混入される異物を除去する燃料フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
二輪や四輪のエンジンを搭載する自動車にあっては、動力燃料を貯留しておく燃料タンクを備える。この燃料タンクに貯留された動力燃料には、ゴミ等の異物が混入している場合がある。このため、エンジンに供給する動力燃料から、混入される異物を除去するために、動力燃料を濾過するための燃料フィルタが配設されている。この燃料フィルタは、燃料タンク内に貯留される動力燃料を吸入するように、燃料タンク内に配設される燃料吸入口に対して設けられるものが知られている。このように燃料吸入口に燃料フィルタが設けられていると、貯留される動力燃料を吸入する際に、同時に動力燃料を濾過することができる利点がある。
【0003】
ところで、上記した燃料吸入口にあっては、燃料タンク内に設けられるサブタンクに対して配設されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。燃料吸入口が、このようにサブタンクに対して配設されていると、燃料タンク内に貯留される動力燃料が少なくなってしまう場合でも、サブタンク内に貯留される動力燃料を吸入することができる利点がある。なお、このようにサブタンクに対して配設される燃料フィルタは、動力燃料が少なくない場合の通常時であっても、動力燃料を濾過することとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−245214
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1にて開示される燃料フィルタにあっては、サブタンクに対して配設される燃料吸入口に対して設けられるものであるため、サブタンクに対して燃料フィルタを配置固定させるための配置固定部品が必要となる。そうすると、配置固定部品を設けることによって部品点数が嵩張ることとなり、燃料フィルタを配設する際の製造コストが高価となってしまったり、燃料フィルタを配設する際の組付け作業が煩雑化したり、さらに燃料タンクの大型化にも繋がるという指摘があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたり、動力燃料に混入される異物を除去する燃料フィルタにおいて、燃料フィルタ自体にサブタンクの機能を組み込むことにより、燃料タンク内に配設される部品点数を削減し、もって製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンクの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る燃料フィルタは、次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係る燃料フィルタは、燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたり、動力燃料に混入される異物を除去する燃料フィルタであって、前記燃料タンク内に配設されて前記動力燃料を吸入する燃料吸入口に対して接続されるフィルタ部材を備え、前記フィルタ部材は、前記燃料タンクの内底に沿いつつ該内底に当接して配設されており、前記フィルタ部材には、該フィルタ部材を器形底部として機能させ自身は器形側壁部として機能する側壁部材が、該フィルタ部材の周縁に対して一体的に結合されており、このように互いに一体的に結合した前記フィルタ部材と前記側壁部材とは、前記燃料タンクの前記内底に沿って配設されるサブタンクの底部および側壁部として機能するように器形をなし、前記フィルタ部材は、前記燃料タンクの前記内底に当接する内底当接側から該フィルタ部材を通じて前記燃料吸入口に動力燃料が吸入されるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係る燃料フィルタによれば、互いに一体的に結合したフィルタ部材と側壁部材とは、燃料タンクの内底に沿って配設されるサブタンクの底部および側壁部として機能するように器形をなしているので、燃料フィルタのみでサブタンクとしての機能を確保することができる。これによって、この第1の発明に係る燃料フィルタを燃料タンク内に配設するだけで、燃料タンクにサブタンクが設けられた機能と同等の機能を確保することができる。
また、この第1の発明に係る燃料フィルタによれば、フィルタ部材は、燃料タンクの内底に当接する内底当接側からフィルタ部材を通じて燃料吸入口に動力燃料が吸入されるように形成されているので、広く利用される燃料フィルタと同様、燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたって、動力燃料に混入される異物を除去することができる。
このようにして、この第1の発明に係る燃料フィルタによれば、燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたり、動力燃料に混入される異物を除去することができつつ、燃料フィルタ自体にサブタンクの機能が組み込まれることにより、サブタンクに取り付けるにあたっての部材を削減することができる。これによって、燃料タンク内に配設される部品点数を削減し、もって製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンクの小型化を図ることができる。
【0009】
第2の発明に係る燃料フィルタは、前記第1の発明に係る燃料フィルタにおいて、前記フィルタ部材は、動力燃料に混入される微細な異物を除去する不織布フィルタと、該不織布フィルタの外周を覆うようにして設けられるメッシュフィルタとを備え、前記メッシュフィルタは、動力燃料を吸着する機能を具備していることを特徴とする。
この第2の発明に係る燃料フィルタによれば、フィルタ部材は、動力燃料に混入される微細な異物を除去する不織布フィルタを備えているので、燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたり、動力燃料に混入される微細な異物を除去することができる。
また、この第2の発明に係る燃料フィルタによれば、フィルタ部材は、上記した不織布フィルタの外周を覆うようにして設けられ且つ動力燃料を吸着する機能を具備するメッシュフィルタを備えているので、燃料タンク内に貯留される動力燃料が少なくなってきた場合であっても、動力燃料は燃料フィルタに対して吸着させられるように集められることとなる。これによって、燃料タンク内に貯留される動力燃料が少なくなってきた場合でも、燃料吸入口に動力燃料が吸入され易くでき、エンジンに供給される動力燃料の燃料切れを防ぎ易くできる。
【0010】
第3の発明に係る燃料フィルタは、前記第1または前記第2の発明に係る燃料フィルタにおいて、前記側壁部材は、前記フィルタ部材の周縁を形成する材料の融点より低い融点を有する材料で形成されており、熱せられることにより該側壁部材自身が溶融して該フィルタ部材の周縁に溶着して該フィルタ部材の周縁と一体的に結合することを特徴とする。
この第3の発明に係る燃料フィルタによれば、側壁部材は、熱せられることにより側壁部材自身が溶融してフィルタ部材の周縁に溶着してフィルタ部材の周縁と一体的に結合するので、フィルタ部材の周縁と側壁部材とを一体的に結合させる結合部材(組付け部材)を、削除することができる。これによって、部材点数を削減することができて、製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンクの小型化を図ることができる。
なお、この第3の発明に係る燃料フィルタによれば、例えば側壁部材をインサート成形品として形成した場合には、側壁部材の成形と、フィルタ部材の周縁との側壁部材の一体的な結合とを同時に行うことができて、製造作業性に有利となる。
【0011】
第4の発明に係る燃料フィルタは、前記第1または前記第2の発明に係る燃料フィルタにおいて、前記側壁部材は、嵌め合い構造を用いることにより、前記フィルタ部材の周縁に対して一体的に結合することを特徴とする。
この第4の発明に係る燃料フィルタによれば、側壁部材は嵌め合い構造を用いることによりフィルタ部材の周縁に対して一体的に結合するので、嵌め合い作業のみでフィルタ部材の周縁と側壁部材とを一体的に結合させることができ、組付け作業を簡単化することができる。これによって、燃料フィルタを製造するにあたっての作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係る燃料フィルタによれば、燃料フィルタ自体にサブタンクの機能が組み込まれることにより、サブタンクに取り付けるにあたっての部材を削減することができる。もって、燃料タンク内に配設される部品点数を削減できて、製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンクの小型化を図ることができる。
第2の発明に係る燃料フィルタによれば、燃料タンク内に貯留される動力燃料が少なくなってきた場合でも、燃料吸入口に動力燃料が吸入され易いものとすることができ、エンジンに供給される動力燃料の燃料切れを防ぎ易いものとすることができる。
第3の発明に係る燃料フィルタによれば、フィルタ部材の周縁と側壁部材とを一体的に結合させる結合部材(組付け部材)を削除することができ、部材点数を削減することができる。
第4の発明に係る燃料フィルタによれば、組付け作業を簡単化することができ、燃料フィルタを製造するにあたっての作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】燃料供給装置に設けられる燃料フィルタを断面模式的に簡略化して示す断面模式図である。
【図2】図1の燃料供給装置に設けられる燃料フィルタについての変形例を示す断面模式図である。
【図3】図1においてサブタンクとして燃料フィルタが機能する例を示す断面模式図である。
【図4】図2においてサブタンクとして燃料フィルタが機能する例を示す断面模式図である。
【図5】フィルタ部材と器形側壁部材とを一体化するにあたって一の溶着例の手順を示す拡大断面模式図である。
【図6】フィルタ部材と器形側壁部材とを一体化するにあたって他の溶着例を示す拡大断面模式図である。
【図7】フィルタ部材と器形側壁部材とを一体化するにあたって圧入嵌合の例を示す拡大断面模式図である。
【図8】フィルタ部材と器形側壁部材とを一体化するにあたって一のフック嵌合の例を示す拡大断面模式図である。
【図9】フィルタ部材と器形側壁部材とを一体化するにあたって他のフック嵌合の例を示す拡大断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る燃料フィルタを実施するための第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、四輪自動車に搭載されてガソリンGを貯留する燃料タンク5の底部分の一部を図示するものであり、燃料供給装置10に設けられる燃料フィルタ20を断面模式的に簡略化して示す断面模式図である。
エンジンで駆動する四輪自動車にあっては、動力燃料としてのガソリンGを用いている。このため、このような四輪自動車は、図1に示すようなガソリンGを貯留する燃料タンク5が搭載されている。また、燃料タンク5内には、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGをエンジンに供給するための燃料供給装置10が配設されている。
この燃料供給装置10は、図1に示すように、概略、供給管11と、ポンプ13と、プレッシャレギュレータ15と、燃料フィルタ20とを備えて構成されるものである。なお、この燃料供給装置10を構成する供給管11、ポンプ13、プレッシャレギュレータ15、燃料フィルタ20は一体化状態で配設されている。
供給管11は、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGをエンジンに供給するための供給流路となるものである。このため、燃料タンク5内に配置される供給管11の開き口は、燃料タンク5内のガソリンGを吸入する燃料吸入口12として構成される。この燃料吸入口12は、次に説明するが、燃料タンク5の内底7に沿いつつ内底7に当接するフィルタ部材30に接続されるものである。具体的には、燃料吸入口12は、図1に示すように、フィルタ部材30内部に存するようにフィルタ部材30に対して配置される。このため、供給管11の燃料吸入口12は、燃料タンク5の内底7近くに配置されることとなる。
ポンプ13は、燃料タンク5内のガソリンGを供給管11によりエンジンに供給するために配設されるものである。具体的には、ポンプ13は、供給管11内に存するガソリンGをエンジンに送るように送り圧縮力を加えるためのものである。プレッシャレギュレータ15は、エンジンにガソリンGを適切に供給するにあたって、ポンプ13による送り圧縮力を調圧するためのものである。このため、プレッシャレギュレータ15は、ポンプ13に対して取り付けられており、圧縮されたガソリンGを調圧するに際して生ずる余剰ガソリンを燃料タンク5内に戻すようになっている。具体的には、プレッシャレギュレータ15には、調圧の際に生ずる余剰ガソリンを燃料タンク5内に戻すガソリン吐出口16が設けられている。このガソリン吐出口16は、次に説明する器形Sの流入口47の上方に位置されるように設定されている。つまり、ガソリン吐出口16から吐出される余剰ガソリンは、流入口47からサブタンクとして機能する器形Sの内に入るようにされている。
ここで、上記したように設けられる供給管11の燃料吸入口12に、次に詳述するフィルタ部材30を具備する燃料フィルタ20が配設されるようになっている。なお、このように構成された燃料供給装置10は、燃料タンク5内のガソリンGが少量となった場合でも、この燃料タンク5の内底7に残るガソリンGを供給することができるように、燃料タンク5の内底7に接地するように配置されている。すなわち、燃料タンク5の内底7と対向配置される燃料タンク5の上壁(不図示)に一端側が固定され且つ燃料供給装置10のポンプ13に他端側が固定される付勢スプリング19により、燃料供給装置10は燃料タンク5の内底7に接地するように付勢されている。つまり、内底7に向けて付勢される燃料供給装置10は、最も内底7側に存する燃料フィルタ20が、この燃料タンク5の内底7に接地することとなる。
【0015】
燃料フィルタ20は、上記したように、燃料供給装置10の供給管11の燃料吸入口12に対して配設されるものとなっている。この燃料フィルタ20は、図1に示すように、概略、フィルタ部材30と、器形側壁部材40とを備える。なお、器形側壁部材40は、本発明に係る側壁部材に相当する部材である。
フィルタ部材30は、上記したようにガソリンGを吸入する燃料吸入口12に対して接続されるものであり、供給管11の燃料タンク5の内底7に沿いつつ内底7に当接して配設されるものである。なお、燃料吸入口12は、上記したようにフィルタ部材30内部に存するようにフィルタ部材30に対して配置される。
このフィルタ部材30は、サブタンクとして機能するように形成される器形Sのうち、器形底部として機能する部分である。このフィルタ部材30は、図示するように、概略、不織布フィルタ33と、メッシュフィルタ35とを備える。
不織布フィルタ33は、広く利用される不織布により形成されるフィルタであり、ガソリンGに混入される微細な異物を除去するものである。なお、不織布フィルタ33の大きさとしては、後に説明するサブタンクの底部としての機能を発揮可能な範囲に亘る広さにて設定され、且つ、燃料吸入口12によってガソリンGを吸入するに際しガソリンGに混入される微細な異物を好ましく除去可能な厚さにて設定される。なお、上記したように、燃料吸入口12はフィルタ部材30内部に存するようにフィルタ部材30に対して配置されるものであるが、詳しくはこのフィルタ部材30の不織布フィルタ33内部に存するように、燃料吸入口12はフィルタ部材30に対して配置されるものとなっている。
メッシュフィルタ35は、この不織布フィルタ33の外周を覆うようにして設けられるものであり、ガソリンGを吸着する機能を具備する。具体的には、メッシュフィルタ35は、細かい網目形状のナイロン樹脂にて形成される。具体的には、メッシュフィルタ35は、上記した不織布フィルタ33より一回り大きい形状を有する2枚の平板状メッシュフィルタを、上記した不織布フィルタ33の両面から挟み込むように配置した状態で、この2枚の平板状メッシュフィルタの端縁同士を溶着させることによって一体化し、不織布フィルタ33の外周を覆うように形成される。ここで、互いに溶着される2枚の平板状メッシュフィルタの端縁同士は、図1に示すようにフィルタ部材30の周縁32を構成する部分となっている。なお、このメッシュフィルタ35は、細かい網目形状のナイロン樹脂にて形成されるものであるため、この細かい網目内にガソリンGを保持する機能を有する。このため、メッシュフィルタ35の細かい網目内に保持されたガソリンGは、他のガソリンGを吸着させるように作用するようになる。もって、このメッシュフィルタ35は、上記したガソリンGを吸着する機能を発揮するものとなっている。
なお、上記したように、供給管11の燃料吸入口12は、不織布フィルタ33内部に存するようにフィルタ部材30に対して配置されるものであるため、フィルタ部材30の中央部31と一致するメッシュフィルタ35の中央部36には、不織布フィルタ33内部に燃料吸入口12を配置することができるように、供給管11を挿通する貫通孔37が設けられている。なお、このフィルタ部材30は、上記したように燃料タンク5の内底7に接地するようになっており、燃料タンク5の内底7に当接する内底7の当接側から、このフィルタ部材30を通じてガソリンGを燃料吸入口12に吸入可能に配設されている。また、フィルタ部材30は、このフィルタ部材30を通じて後に説明するサブタンクのように機能する器形S内のガソリンGを燃料吸入口12に吸入可能に配設されている。
【0016】
このように形成されたフィルタ部材30には、器形側壁部材40が配設されている。この器形側壁部材40は、フィルタ部材30の周縁32に対して一体的に結合するように配設されている。具体的には、器形側壁部材40は、概略、結合部41と、側壁部43と、上壁部45とを備え、ポリアセタール樹脂にて一体成形されることにより形成される。なお、この器形側壁部材40の材料としてのポリアセタール樹脂は、上記したフィルタ部材30の周縁32を形成するメッシュフィルタ35の材料としてのナイロン樹脂に比して、低い融点を有する樹脂となっている。
上記した器形側壁部材40の各部を説明する。結合部41は、上記したフィルタ部材30の周縁32と結合する部分である。結合部41は、上記したフィルタ部材30の周縁32を嵌め込みできるように、断面視略コ字状をなして形成されている。この結合部41は、上記したようにポリアセタール樹脂にて形成されるものであるため、フィルタ部材30の周縁32に対して低い融点を有する。このため、この結合部41を適宜加熱すると、フィルタ部材30の周縁32は溶融せずに結合部41が溶融しはじめる。そうすると、この結合部41は、フィルタ部材30の周縁32に対して溶着し、結合部41を含む器形側壁部材40は、フィルタ部材30の周縁32に対して一体的に結合したものとなる。なお、この器形側壁部材40の結合部41がフィルタ部材30の周縁32に対して一体的に結合すると、次に説明する側壁部43は、サブタンクとして機能するように形成される器形Sの器形側壁部として機能することとなる。
【0017】
側壁部43は、結合部41がフィルタ部材30の周縁32に対して一体的に結合される場合に、サブタンクのように形成される器形Sの器形側壁部として機能する部分である。この側壁部43は、このような器形Sの器形側壁部として機能するように、フィルタ部材30の周縁32から燃料タンク5内の上方に延びるように形成される。より詳しくは、側壁部43は、フィルタ部材30の周縁32から図示上方に延び、且つ図示上方に向かうにしたがってフィルタ部材30の中央部31に向かうように傾斜して形成されている。
上壁部45は、上記した側壁部43の上端縁部分に沿って適宜に内フランジをなすように適宜に内に突出した壁形状を有して形成される。この上壁部45は、後に説明する器形Sの器形上壁部として機能する部分であり、燃料タンク5が車両走行に伴って揺れることによって器形Sの内に存するガソリンGが、器形S外にこぼれてしまい難くするように機能する。このため、このように上壁部45が設けられていると、サブタンクとして機能させる側壁部43の高さを抑えることができて、燃料タンク5自体の小型化を図ることができる。なお、この内フランジをなすように形成される上壁部45の内周側は、外部からガソリンGを流入可能に開口する流入口47が形成されている。
このようにしてフィルタ部材30と器形側壁部材40とは、一体的に結合することによりサブタンクとして機能する器形Sにて形成される。つまり、フィルタ部材30と器形側壁部材40とは、燃料タンク5の内底7に沿って配設されるサブタンクの底部および側壁部として機能する器形Sを形成することとなる。なお、フィルタ部材30は、燃料タンク5の内底7に当接する内底7当接側からフィルタ部材30を通じて燃料吸入口12にガソリンGを吸入するに際し、ガソリンGに混入する微細な異物を除去する。
【0018】
なお、上記したように構成される燃料フィルタ20の器形側壁部材40は、次のように構成されるものであってよい。
図2は、図1の燃料供給装置10に設けられる燃料フィルタ20についての変形例(燃料供給装置10A、燃料フィルタ20A)を示す断面模式図である。ここで図2に示す燃料フィルタ20Aは、上記した燃料フィルタ20の器形側壁部材40の構成のみを変更した例となっている。このため、以下においては、燃料フィルタ20Aのうち、上記と相違する器形側壁部材40Aについてのみを説明し、上記した燃料フィルタ20と一致する構成については同一符号を付し説明を省略する。
図2に示す燃料フィルタ20Aの器形側壁部材40Aは、上記した燃料フィルタ20の器形側壁部材40と比較して、側壁部43Aが延在する方向と上壁部45が設けられていない点とが、上記した燃料フィルタ20の器形側壁部材40と相違する。具体的には、器形側壁部材40Aの側壁部43Aは、図2に示すように、フィルタ部材30が延在する方向に対して直交方向(図示鉛直上方向)に延びるように延在して形成される。また、この器形側壁部材40Aには、上記した器形側壁部材40に設けられていた上壁部45が設けられていない。つまり、この器形側壁部材40Aの側壁部43Aの上端縁部分は、単純に開口された形状にて形成されている。なお、フィルタ部材30の周縁32に対して溶着する結合部41については、上記した燃料フィルタ20の器形側壁部材40の構成と同一に構成される。
このように器形側壁部材40Aを構成した場合には、器形Sの器形側壁部として機能する側壁部43Aの構造をシンプル化することができ、器形側壁部材40Aを製造するにあたってのコストや煩雑さを抑えることができる。
【0019】
上記したように構成される燃料フィルタ20,20Aによれば、次のような作用効果を奏することができる。
図3は、図1においてサブタンクとして燃料フィルタ20が機能する例を示す断面模式図である。図4は、図2においてサブタンクとして燃料フィルタ20Aが機能する例を示す断面模式図である。なお、図3および図4においては、サブタンクとしての機能を分かり易くするため、燃料タンク5内のガソリンGが少なくなった場合に図示右側方向に荷重がかかってガソリンGが偏っているのを示している。
図3および図4に示すように、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、互いに一体的に結合したフィルタ部材30と器形側壁部材40,40Aとは、燃料タンク5の内底7に沿って配設されるサブタンクの底部および側壁部として機能するように器形Sをなしているので、燃料フィルタ20,20Aのみでサブタンクとしての機能を確保することができる。これによって、上記した燃料フィルタ20,20Aを燃料タンク5内の供給管11の燃料吸入口12に対して配設するだけで、燃料タンク5にサブタンクが設けられた機能と同等の機能を確保することができる。
また、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、フィルタ部材30は、燃料タンク5の内底7に当接する内底7当接側からフィルタ部材30を通じて燃料吸入口12にガソリンGが吸入されるように形成されている。これにより、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、広く利用される燃料フィルタと同様、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGをエンジンに供給するにあたって、ガソリンGに混入される異物を除去することができる。
このようにして、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGをエンジンに供給するにあたり、ガソリンGに混入される異物を除去することができつつ、燃料フィルタ20,20A自体にサブタンクの機能が組み込まれることにより、サブタンクに取り付けるにあたっての部材を削減することができる。これによって、燃料タンク5内に配設される部品点数を削減し、もって製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンク5の小型化を図ることができる。
また、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、フィルタ部材30は、ガソリンGに混入される微細な異物を除去する不織布フィルタ33を備えているので、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGをエンジンに供給するにあたり、ガソリンGに混入される微細な異物を除去することができる。また、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、フィルタ部材30は、上記した不織布フィルタ33の外周を覆うようにして設けられ且つガソリンGを吸着する機能を具備するメッシュフィルタ35を備えているので、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGが少なくなってきた場合であっても、ガソリンGは燃料フィルタ20,20Aに対して吸着させられるように集められることとなる。これによって、燃料タンク5内に貯留されるガソリンGが少なくなってきた場合でも、燃料吸入口12にガソリンGが吸入され易くでき、エンジンに供給されるガソリンGの燃料切れを防ぎ易くできる。
また、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、器形側壁部材40の結合部41は、熱せられることにより器形側壁部材40,40Aの結合部41自身が溶融してフィルタ部材30の周縁32に溶着してフィルタ部材30の周縁32と一体的に結合するので、フィルタ部材30の周縁32と器形側壁部材40,40Aとを一体的に結合させる結合部材(組付け部材)を、削除することができる。これによって、部材点数を削減することができて、製造コストを安価にし、組付け作業性を向上させ、さらに燃料タンク5の小型化を図ることができる。
なお、上記した燃料フィルタ20,20Aによれば、例えば器形側壁部材40,40Aをインサート成形品として形成した場合には、器形側壁部材40,40Aの成形と、フィルタ部材30の周縁32との器形側壁部材40,40Aの一体的な結合とを同時に行うことができて、製造作業性に有利となる。
【0020】
[第2の実施の形態]
ところで、上記した第1の実施の形態では、熱せられることにより器形側壁部材40,40Aの結合部41自身が溶融してフィルタ部材30の周縁32に溶着し、これにより器形側壁部材40の結合部41,40Aはフィルタ部材30の周縁32と一体的に結合する例について説明するものであった。しかしながら、フィルタ部材30と器形側壁部材40,40Aとを一体的に結合させるにあたっては、次のように一体的に結合させるものであってよい。
なお、以下に説明する燃料フィルタ20Bでは、上記した燃料フィルタ20,20Aのうち、器形側壁部材40,40Aがフィルタ部材30の周縁32と一体的に結合する構成に関して、上記した第1の実施の形態とは相違するものとなっている。このため、以下の説明する燃料フィルタ20Bでは、この器形側壁部材40,40Aがフィルタ部材30の周縁32と一体的に結合する部分について重点的に説明し、上記した燃料フィルタ20,20Aと同一に構成される部分については同一符号を付して説明を省略する。
図5は、燃料フィルタ20Bのうち器形側壁部材60がフィルタ部材30の周縁32と一体的に結合する部分を拡大して示す図である。この図5では、フィルタ部材30と器形側壁部材60とが一体化するにあたって一の溶着例の手順を示している。なお、この器形側壁部材60は、結合部61のみが上記した器形側壁部材40の結合部41と相違する構成となっており、その他の構成に関しては上記した器形側壁部材40と同様に構成される。
図5に示すように、フィルタ部材30の周縁32と結合する結合部61は、フィルタ部材30の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有する。具体的には、結合部61は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部61aと、フィルタ部材30の周縁32を挟み込んで第一結合部61aとは反対側に配置される第二結合部61bとを備える。この第一結合部61aと第二結合部61bとは、上記と同様、フィルタ部材30の周縁32に対して低い融点を有した材料であるポリアセタール樹脂にて形成される。このため、この第一結合部61aと第二結合部61bとを適宜加熱すると、互いは溶融することによって接着する(接着部63)ようになっている。ここで、この第一結合部61aと第二結合部61bとの双方には、フィルタ部材30の周縁32を保持するための保持部62a,62bが形成されている。この保持部62a,62bは、第一結合部61aと第二結合部61bとが接着部63にて接着した場合に、フィルタ部材30の周縁32を挟み込むように保持する部分である。この保持部62a,62bは、フィルタ部材30の周縁32を強固に挟み込むために、適宜の段差形状を有して形成される。このため、図示するように、フィルタ部材30の周縁32を保持部62a,62bに挟み込んで、第一結合部61aと第二結合部61bとを接着部63にて接着した場合には、保持部62a,62bは、フィルタ部材30の周縁32に折曲部32aを形成しつつ、この周縁32を強固に挟み込んで保持するようになっている。具体的には、保持部62a,62bがフィルタ部材30の周縁32を挟み込んだ場合には、この周縁32の端縁部分は、フィルタ部材30が延在する方向に対して交差方向(図示鉛直上方向)に折曲されるようになって折曲部32aが形成される。なお、図示するように、第一結合部61aと第二結合部61bとが接着部63にて接着する際に、2枚の平板状メッシュフィルタが一体化してメッシュフィルタ35を形成するようになっている。
このようにフィルタ部材30の周縁32に折曲部32aが形成された状態で、この折曲部32aを含む周縁32を保持部62a,62bにより挟み込んで保持し、接着部63にて溶着させることにより第一結合部61aと第二結合部61bとを接着した場合には、フィルタ部材30と器形側壁部材60との結合部分の結合を強固な結合状態とすることができる。つまり、上記したようにサブタンクの底部および側壁部として機能するように器形Sをなすにあたって、フィルタ部材30と器形側壁部材60との間の結合部分に形成される隙間を極力無くすことができ、この器形S内に貯留されるガソリンGの漏れを極力少なくすることができる。
【0021】
また、上記した例のほか、次のようにしてフィルタ部材50と器形側壁部材60とを構成して互いを一体的に結合させるものであってよい。
図6は、燃料フィルタ20Cの他の溶着例を示す拡大断面模式図である。この図6では、フィルタ部材50と器形側壁部材70とを一体化するにあたって、フィルタ部材50と器形側壁部材70との構成が僅かに変更されている。このため、以下の説明する燃料フィルタ20Cでは、フィルタ部材50と器形側壁部材70とのうち、上記した燃料フィルタ20,20Aと同一に構成される部分については同一符号を付して説明を省略する。なお、図6(A),図6(B),図6(C)は、結合部分の形状例を列記するものである。
図示するように、フィルタ部材50は、上記したフィルタ部材30とは相違し、不織布フィルタ33の内部に骨部材55が埋設されて構成される。この骨部材55は、フィルタ部材50自身の剛性等を確保するために適宜のリブ56を有して形成されるものである。この骨部材55は、上記したメッシュフィルタ35の材料と同様のナイロン樹脂が材料に選択されて形成される。また、この骨部材55は、上記したメッシュフィルタ35の配設範囲より僅かに広い範囲にて形成されている。このため、骨部材55の端縁57は、フィルタ部材30の周縁32から外方に突出する範囲に亘って形成される。また、器形側壁部材70は、結合部71のみが上記した器形側壁部材40の結合部41と相違する構成となっており、上記した燃料フィルタ20Bの器形側壁部材60のように、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有する。つまり、結合部71は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部71aと、フィルタ部材30の周縁32を挟み込んで第一結合部71aとは反対側に配置される第二結合部71bとを備える。また、この器形側壁部材70は、第一結合部71aと第二結合部71bとによってフィルタ部材50の周縁32を挟み込んだ場合には、骨部材55の端縁57も同時に挟み込むようになっている。
ここで、骨部材55の端縁部57は、図6(A),図6(B),図6(C)に示すような凹凸形状を有して形成されている。具体的には、図6(A)における骨部材55の端縁部57a(57)は、上下個所を凸とするように膨出する形状を有して形成されている。また、図6(B)における骨部材55の端縁部57b(57)は、上個所を凸とするように膨出する形状を有し且つ下個所を凹とするように屈曲する形状を有して形成されている。また、図6(C)における骨部材55の端縁部57c(57)は、上下個所を凹とするように凹み形状を有して形成されている。なお、図6(A),図6(B),図6(C)に示す結合部71(71a,71b)は、これらの骨部材55の端縁部57(57a,57b,57c)の形状に適宜対応して形成されている。
このように図6(A),図6(B),図6(C)に示す骨部材55の端縁部57(57a,57b,57c)が適宜に凹凸形状を有して形成された場合には、上記した第1の実施の形態と比べて、第一結合部71aと第二結合部71bとの接着面積を拡大させるとともに、接着時の面圧も大きく確保することができる。これによって、フィルタ部材30Aを構成する骨部材55の端縁57(57a,57b,57c)に対する第一結合部71aと第二結合部71bとのシール性を高めることができる。
なお、図6(A),図6(B),図6(C)に示すように、第二結合部71bは、第一結合部71aに設けられた外フランジ部54を挟持することができるように、外フランジ部54挟み込む略コ字状の挟み込み部75を有して形成されている。このため、フィルタ部材50を挟み込んだ状態で、第二結合部71bの挟み込み部75に第一結合部71aの外フランジ部54を圧入することにより、第一結合部71aと第二結合部71bとを一体化するものであってもよい。
【0022】
[第3の実施の形態]
次に説明する図7の第3の実施の形態にあっては、器形側壁部材80,90をフィルタ部材30,50の周縁32に対して一体的に結合するにあたって、嵌め合い構造を用いることにより、器形側壁部材80,90をフィルタ部材30の周縁32に結合させる例である。なお、以下に説明する第3の実施の形態では、器形側壁部材80,90の結合部81,91に関する構成、およびフィルタ部材30,50の周縁32部分近くに関する構成について、上記した燃料フィルタ20,20A,20B,20Cの構成と相違するものとなっている。このため、以下には、器形側壁部材80,90の結合部81,91に関する構成、フィルタ部材50の周縁32部分近くに関する構成について重点的に説明し、上記した燃料フィルタ20,20A,20B,20Cと同一に構成される部分については同一符号を付して説明を省略するものとする。なお、骨部材55および結合部81,91は、適宜個所にて連接構造を有して形成されている。
図7に列記される燃料フィルタ20Dは、フィルタ部材30,50と器形側壁部材80,90とを一体化するにあたっての嵌め合い構造を示す拡大断面模式図である。この図7に列記される燃料フィルタ20Dは、フィルタ部材30,50と器形側壁部材80,90とを一体化するにあたって圧入嵌合させる例を示している。なお、図7(A),図7(B),図7(C)は、図示上下方向に圧入嵌合させる例であり、図7(D)は、図示左右方向に圧入嵌合させる例である。また、図7(A)の燃料フィルタ20Dは、上記した骨部材55を具備しないフィルタ部材30にて構成されており、図7(B),図7(C),図7(D)の燃料フィルタ20Dは、上記した骨部材55を具備するフィルタ部材50にて構成されている。以下、各図について個別に説明する。
すなわち、図7(A)に示す燃料フィルタ20Dでは、図示するように、フィルタ部材30の周縁32と結合する結合部81は、フィルタ部材30の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有する。具体的には、結合部81は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部83と、フィルタ部材30の周縁32を挟み込んで第一結合部83とは反対側に配置される第二結合部84とを備える。ここで、この第一結合部83と第二結合部84との双方には、フィルタ部材30の周縁32を保持するための保持部85,86が形成されている。また、第一結合部83の保持部85の外側(図示右側)には、図示下方に突出する圧入凸部87aが設けられている。これに対し、第二結合部84の保持部86の外側(図示右側)には、図示下方に凹む圧入凹部88aが設けられている。このため、図示するように、フィルタ部材30の周縁32を保持部85,86に挟み込んで、第一結合部83の圧入凸部87aを第二結合部84の圧入凹部88aに圧入して嵌合させた場合には、この第一結合部83と第二結合部84とはフィルタ部材30の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材80は、フィルタ部材30の周縁32に対して結合することとなる。
【0023】
図7(B)および図7(C)に示す燃料フィルタ20Dにあっても、図示するように、フィルタ部材30の周縁32と結合する結合部81は、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有する。具体的には、結合部81は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部83と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部83とは反対側に配置される第二結合部84とを備える。ここで、この第一結合部83と第二結合部84との双方には、フィルタ部材30の周縁32を保持するための保持部85,86が形成されている。第一結合部83の保持部85の外側(図示右側)には、図示下方に突出する圧入凸部87bが設けられている。また、第二結合部84の保持部86の外側(図示右側)には、図示上方に突出する圧入凸部88bが設けられている。これに対して、骨部材55d(55)の端縁57d(57)には、これらの圧入凸部87b,88bを圧入させるための嵌入凹部58dが設けられている。このため、図示するように、フィルタ部材50の周縁32を保持部85,86に挟み込んで、圧入凸部87b,88bを嵌入凹部58dに圧入して嵌合させた場合には、この第一結合部83と第二結合部84とはフィルタ部材50の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材80は、フィルタ部材50の周縁32に対して結合することとなる。
なお、図7(B)の燃料フィルタ20Dと図7(C)の燃料フィルタ20Dとは、骨部材55の構成に関して相違するものであり、その他の構成に関しては同様に構成される。具体的には、図7(C)に示す骨部材55e(55)の端縁57e(57)は、上記した図7(B)に示す骨部材55d(55)の端縁57d(57)に比して拡大した形状にて形成されている。このため、この骨部材55eの端縁57eに形成される嵌入凹部58eは、上記した嵌入凹部58dに比して圧入の深さが長く設定されており、且つ底を有して形成されている。また、この嵌入凹部58dに圧入して嵌合させる圧入凸部87cおよび圧入凸部88cも圧入の深さが長く設定されている。この図7(C)に示すように燃料フィルタ20Dを構成した場合には、圧入嵌合をより確実に行うことができる。
図7(D)に示す燃料フィルタ20Dでは、図示するように、フィルタ部材50の周縁32と結合する結合部91は、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有しつつ、これらを挟持するホルダ95を具備して構成される。具体的には、結合部91は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部93と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部93とは反対側に配置される第二結合部94と、フィルタ部材50の周縁32を第一結合部93と第二結合部94とにより挟み込んだ状態でこれら全体を挟持するホルダ95とを備える。なお、図示するように、ホルダ95によって挟持されることにより、第一結合部93と第二結合部94とは、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むとともに、骨部材55f(55)の端縁57f(57)も挟み込んでいる。また、図示するように、これら第一結合部93、第二結合部94、フィルタ部材50の周縁32、骨部材55f(55)の端縁57fの互いの端面同士は、面一に揃えられてホルダ95により挟持されるものとなっている。つまり、器形側壁部材90は、フィルタ部材30の周縁32に対して結合することとなる。
【0024】
[第4の実施の形態]
次に説明する図8および図9の第4の実施の形態にあっても、上記した第3の実施の形態のように、器形側壁部材180,190をフィルタ部材30,50の周縁32に対して一体的に結合するにあたって、嵌め合い構造を用いることにより、器形側壁部材180,190をフィルタ部材30の周縁32に結合させる例である。なお、以下に説明する第4の実施の形態にあっても、器形側壁部材180,190の結合部181,191に関する構成、およびフィルタ部材30,50の周縁32部分近くに関する構成について、上記した燃料フィルタ20,20A,20B,20Cの構成と相違するものとなっている。このため、以下には、器形側壁部材180,190の結合部181,191に関する構成、フィルタ部材50の周縁32部分近くに関する構成について重点的に説明し、上記した燃料フィルタ20,20A,20B,20Cと同一に構成される部分については同一符号を付して説明を省略するものとする。なお、骨部材55および結合部181,191は、適宜個所にて連接構造を有して形成されている。
図8および図9に列記される燃料フィルタ20Eは、フィルタ部材30,50と器形側壁部材180,190とを一体化するにあたっての嵌め合い構造を示す拡大断面模式図である。この図8および図9に列記される燃料フィルタ20Eは、フィルタ部材30,50と器形側壁部材180,190とを一体化するにあたってフック嵌合させる例を示している。なお、図8(A),図8(B),図8(C),図8(D),図9(A),図9(B)は、図示上下方向にフック嵌合させる例であり、図9(C)は、図示左右方向にフック嵌合させる例である。また、図8(A)の燃料フィルタ20Eは、上記した骨部材55を具備しないフィルタ部材30にて構成されており、図8(B),図8(C),図8(D),図9(A),図9(B),図9(C)の燃料フィルタ20Dは、上記した骨部材55を具備するフィルタ部材50にて構成されている。以下、各図について個別に説明する。
すなわち、図8(A)に示す燃料フィルタ20Eは、図7(A)に示し説明した燃料フィルタ20Dと比較し、圧入嵌合する部分がフック嵌合に代替されている点で相違するものとなっている。つまり、図8(A)に示す燃料フィルタ20Eでは、フィルタ部材30の周縁32と結合する結合部181は、フィルタ部材30の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有する。具体的には、結合部181は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部183と、フィルタ部材30の周縁32を挟み込んで第一結合部183とは反対側に配置される第二結合部184とを備える。ここで、この第一結合部183と第二結合部184との双方には、フィルタ部材30の周縁32を保持するための保持部185,186が形成されている。また、第一結合部183の保持部185の外側(図示右側)には、図示下方に突出する雄フック部187aが設けられている。これに対し、第二結合部184の保持部186の外側(図示右側)には、図示下方に凹む雌フック部188aが設けられている。このため、図示するように、フィルタ部材30の周縁32を保持部185,186に挟み込んで、第一結合部183の雄フック部187aを第二結合部84の雌フック部188aにフックさせるように嵌合させた場合には、この第一結合部183と第二結合部184とはフィルタ部材30の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材180は、フィルタ部材30の周縁32に対して結合することとなる。
【0025】
図8(B)および図8(C)に示す燃料フィルタ20Eにあっても、図示するように、フィルタ部材50の周縁32と結合する結合部181は、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有する。具体的には、結合部181は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部183と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部183とは反対側に配置される第二結合部184とを備える。ここで、この第一結合部183と第二結合部184との双方には、フィルタ部材50の周縁32を保持するための保持部185,186が形成されている。第一結合部183の保持部185の外側(図示右側)には、雌フック部187bが設けられている。また、第二結合部184の保持部186の外側(図示右側)にも、雌フック部188bが設けられている。これに対して、骨部材55g(55)の端縁57g(57)には、これらの雌フック部187b,188bにフックさせるように嵌合させるための雄フック部58g,58gが設けられている。このため、図示するように、フィルタ部材50の周縁32を保持部185,186に挟み込んで、雌フック部187b,188bに雄フック部58g,58gをフックさせるように嵌合させた場合には、この第一結合部183と第二結合部184とはフィルタ部材50の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材180は、フィルタ部材50の周縁32に対して結合することとなる。
なお、図8(B)の燃料フィルタ20Eと図8(C)の燃料フィルタ20Eとは、骨部材55の構成に関して相違するものであり、その他の構成に関しては同様に構成される。具体的には、図8(C)に示す骨部材55h(55)の端縁57h(57)は、上記した図8(B)に示す骨部材55g(55)の端縁57g(57)に比して拡大した形状にて形成されている。なお、第一結合部183と第二結合部184とは、この拡大した形状にて形成される骨部材55h(55)の端縁57h(57)に対応するように形成されている。また、この骨部材55hの端縁57hに形成される図示符号58h,58hは雄フック部であり、第一結合部183と第二結合部184とに形成される図示符号187c,188cは雌フック部である。
図8(D)に示す燃料フィルタ20Eは、上記した図8(C)に示す燃料フィルタ20Eの雄雌フックの関係が逆転して配設される例である。具体的には、上記と同様となるが、結合部181は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部183と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部183とは反対側に配置される第二結合部184とを備え、この第一結合部183と第二結合部184との双方には、フィルタ部材50の周縁32を保持するための保持部185,186が形成されている。この第一結合部183と第二結合部184とには、雄フック部187d,188dが設けられている。これに対して、骨部材55i(55)の端縁57i(57)には、これらの雄フック部187d,188dをフックさせるように嵌合させるための雌フック部58i,58iが設けられている。このため、図示するように、フィルタ部材50の周縁32を保持部185,186に挟み込んで、雌フック部58i,58iに雄フック部187d,188dをフックさせるように嵌合させた場合には、この第一結合部183と第二結合部184とはフィルタ部材50の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材180は、フィルタ部材50の周縁32に対して結合することとなる。
【0026】
図9(A)に示す燃料フィルタ20Eは、上記した図8(A)に示す燃料フィルタ20Eの雄雌フックの関係が逆転して配設される例である。具体的には、上記と同様となるが、結合部181は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部183と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部183とは反対側に配置される第二結合部184とを備える。また、第一結合部183には、雌フック部187eが設けられている。これに対し、第二結合部184には、雄フック部188eが設けられている。また、フィルタ部材50の周縁32と、骨部材55j(55)の端縁57j(57)とには、貫通孔35j,58jが設けられている。このため、第二結合部184に設けられた雄フック部188eを、貫通孔35j,58jに挿通させ、第一結合部183に設けられた雌フック部187eにフックさせるように嵌合させた場合には、この第一結合部183と第二結合部184とはフィルタ部材50の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材180は、フィルタ部材50の周縁32に対して結合することとなる。
図9(B)に示す燃料フィルタ20Eは、上記した図8(A)に示す燃料フィルタ20Eを構成するフィルタ部材50を、骨部材55を具備するフィルタ部材50に代替して構成される例である。具体的には、上記と同様となるが、結合部181は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部183と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部183とは反対側に配置される第二結合部184とを備える。また、第一結合部183には、雄フック部187fが設けられている。これに対し、第二結合部184には、雌フック部188fが設けられている。また、骨部材55k(55)の端縁57k(57)は、フィルタ部材50の周縁32と重畳するように拡大して配設されている。このため、第一結合部183に設けられた雄フック部187fを、第二結合部184に設けられた雌フック部188fにフックさせるように嵌合させた場合には、この第一結合部183と第二結合部184とはフィルタ部材50の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材180は、フィルタ部材50の周縁32に対して結合することとなる。
図9(C)に示す燃料フィルタ20Eは、図7(D)に示し説明した燃料フィルタ20Dと比較し、圧入嵌合する部分がフック嵌合に代替されている点で相違するものとなっている。つまり、図9(C)に示す燃料フィルタ20Eでは、図示するように、フィルタ部材50の周縁32と結合する結合部191は、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むように図示上下に分割された構造を有しつつ、これらを挟持するホルダ195を具備して構成される。具体的には、結合部191は、上記した側壁部43と一体的に成形される第一結合部193と、フィルタ部材50の周縁32を挟み込んで第一結合部193とは反対側に配置される第二結合部194と、フィルタ部材50の周縁32を第一結合部193と第二結合部194とにより挟み込んだ状態でこれら全体を挟持するホルダ195とを備える。なお、図示するように、第一結合部193と第二結合部194とは、フィルタ部材50の周縁32を挟み込むとともに、骨部材55l(55)の端縁57l(57)も挟み込んでいる。ここで、第一結合部193には図示上方に突出する雄フック部197が設けられており、第二結合部194にも図示下方に突出する雄フック部198が設けられている。これに対し、ホルダ195には、図示上下位置に雌フック部199,199が設けられている。このため、第一結合部193と第二結合部194とに設けられる雄フック部197,198を、ホルダ195に設けられる雌フック部199,199にフックさせるように嵌合させた場合には、ホルダ195は、第一結合部193と第二結合部194とを介してフィルタ部材50の周縁32を固く挟持しつつ一体化することができる。つまり、器形側壁部材190は、フィルタ部材50の周縁32に対して結合することとなる。
このようにして、図7の第3の実施形態の燃料フィルタ20Dおよび図8,図9の第4の実施形態の燃料フィルタ20Eによれば、器形側壁部材80,90,180,190は、嵌め合い構造を用いることによりフィルタ部材30,50の周縁32に対して一体的に結合するので、嵌め合い作業のみでフィルタ部材30,50の周縁32と、器形側壁部材80,90,180,190とを一体的に結合させることができ、組付け作業を簡単化することができる。これによって、燃料フィルタ20D,20Eを製造するにあたっての作業性を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明に係る燃料フィルタにあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜に変更することができる。
例えば、本発明に係る側壁部材としては、上記した器形側壁部材の形状に限定されることなく、フィルタ部材の周縁に対して一体的に結合されて器形側壁部として機能するものであれば、適宜様々な形状が選択することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
5 燃料タンク
7 内底
10,10A 燃料供給装置
11 供給管
12 燃料吸入口
13 ポンプ
15 プレッシャレギュレータ
16 ガソリン吐出口
19 付勢スプリング
20,20A,20B,20C,20D,20E 燃料フィルタ
30,50 フィルタ部材
31 フィルタ部材の中央部
32 周縁
33 不織布フィルタ
35 メッシュフィルタ
36 メッシュフィルタの中央部
37 貫通孔
40,40A,80,90,180,190 器形側壁部材(側壁部材)
41 結合部
43,43A 側壁部
45 上壁部
47 流入口
55 骨部材
G ガソリン
S 器形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に貯留される動力燃料をエンジンに供給するにあたり、動力燃料に混入される異物を除去する燃料フィルタであって、
前記燃料タンク内に配設されて前記動力燃料を吸入する燃料吸入口に対して接続されるフィルタ部材を備え、
前記フィルタ部材は、前記燃料タンクの内底に沿いつつ該内底に当接して配設されており、
前記フィルタ部材には、該フィルタ部材を器形底部として機能させ自身は器形側壁部として機能する側壁部材が、該フィルタ部材の周縁に対して一体的に結合されており、
このように互いに一体的に結合した前記フィルタ部材と前記側壁部材とは、前記燃料タンクの前記内底に沿って配設されるサブタンクの底部および側壁部として機能するように器形をなし、
前記フィルタ部材は、前記燃料タンクの前記内底に当接する内底当接側から該フィルタ部材を通じて前記燃料吸入口に動力燃料が吸入されるように形成されていることを特徴とする燃料フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料フィルタにおいて、
前記フィルタ部材は、動力燃料に混入される微細な異物を除去する不織布フィルタと、該不織布フィルタの外周を覆うようにして設けられるメッシュフィルタとを備え、
前記メッシュフィルタは、動力燃料を吸着する機能を具備していることを特徴とする燃料フィルタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料フィルタにおいて、
前記側壁部材は、前記フィルタ部材の周縁を形成する材料の融点より低い融点を有する材料で形成されており、熱せられることにより該側壁部材自身が溶融して該フィルタ部材の周縁に溶着して該フィルタ部材の周縁と一体的に結合することを特徴とする燃料フィルタ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の燃料フィルタにおいて、
前記側壁部材は、嵌め合い構造を用いることにより、前記フィルタ部材の周縁に対して一体的に結合することを特徴とする燃料フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−163198(P2011−163198A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26395(P2010−26395)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】