説明

燃料供給機用樹脂製カバー部品

【課題】吸水時の寸法変化が小さく、且つ、衝撃性、剛性が高く、酸素指数が26以上の燃料供給機に使用される樹脂カバー部品を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド10〜70重量部、(B)ポリフェニレンエーテル10〜50重量部、(C)ゴム状重合体1〜50重量部、(D)フィラー強化材0.01〜50重量部からなる混合物100重量部に対して、(E)酸化防止剤を0.01〜10重量部添加してなる熱可塑性樹脂組成物を成形し、酸素指数26以上の樹脂成形体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂成形体であり、車両の燃料供給機に使用される樹脂製カバー部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテルは機械的性質・電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では、酸素指数が小さく、耐ガソリン性及び成形加工性に劣るという大きな欠点を有している。これを改良するためにポリフェニレンエーテルにポリアミドを配合する技術が提案され、現在では非常に多種多様な用途に使用される材料となっている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、塗装用の大型成形品に使用されつつある。その中で、大型成形品を特殊な用途、例えば車両用の燃料供給機に使用しようとした場合に、消防法上、消防法第三章及び危険物の規制に関する政令の規定に基づき、並びにこれらを実施するため、危険物の規制に関する総理府令の中、燃料供給部品のカバーに使用する際、「難燃性を有する材料で造られた外装を設けること」及び危険物保安技術協会の”固定給油設備等本体にかかわる事項”に対し、「使用する高分子成形体には酸素指数が26以上の性能を有する組成物を使用すること」という規制がある。このような部品に使用する場合に、高分子材料の酸素指数が重要な課題であった。一般に難燃剤を含まないポリフェニレンエーテルの酸素指数は24程度で、一方のポリアミドの酸素指数は、難燃剤を含まない場合28程度である。これら2種類を配合してなる組成物を通常の成形方法で得られた成形体は、酸素指数の低いポリフェニレンエーテルに依存し、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、酸素指数24程度で低く、燃料供給機に用いられてこられなかった。
【0004】
また、特許文献2にはポリフェニレンオキサイド系樹脂と特定のポリアミド樹脂に充填剤、難燃剤を配合して成る組成物が開示されているが、ガラス繊維を用いているために、該組成物で成形された成形品の反りが実用化のレベルに達していなかった。
【0005】
また、反り対策のために、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル成形品を、成形品を金属部品と組合せて用いる場合には、高湿度環境下で樹脂成形品の吸水寸法変化が問題で、寸法差による不具合を生じる。
【0006】
一方、線膨張係数とアイゾット(Izod)衝撃値の向上を図る手法として、平均粒子径が8μm以下、特に5μm以下の小さい板状無機フィラーをポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂に配合する試みがなされてきた。例えば、平均粒子径5μm以下、アスペクト比5以上のタルクを配合する技術(特許文献3)、平均粒子径5μm以下、アスペクト比3以上の板状無機フィラーを配合する技術(特許文献4)、平均粒子径3μm以下で且つ、ある特定の粒子径分布を持つ板状無機フィラーを配合する技術(特許文献5)等が開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの技術においては難燃性までは考慮されておらず、また、平均粒子径の小さい板状無機フィラーを使用することで、その表面積が大きい故、結果として、著しい流動性の低下を招く。しかも大きな部品を成形する場合、その形状にあまり依存せず、そりが小さいこととできるだけ衝撃強度を高くするという相反する要求もあり、汎用的に用いられている板状フィラーでは、衝撃性と反りのバランスを実用製品レベルで両立できないという課題があった。
【0008】
こういった市場の要求に対して、上述した従来技術では酸素指数、吸水寸法変化、反り性、流動性、衝撃性、耐ガソリン性、剛性のバランスが、十分に満足する実用化のレベルには達していないのが現状であった。
【0009】
【特許文献1】特公昭45−997号公報
【特許文献2】特開昭61−130368号公報
【特許文献3】特許第2715499号公報
【特許文献4】特許第321435号公報
【特許文献5】特開2002−194207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、吸水時の寸法変化が小さく、且つ、衝撃性、剛性が高く、酸素指数が26以上の燃料供給機に使用される樹脂製カバー部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、その手段として、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル/ゴム重合体からなる樹脂組成物に酸化防止剤と特定形状のフィラーを配合した場合に、高い酸素指数が得られ、且つ、実製品化特性に適した剛性、衝撃性、流動性を有することを見出し、該組成物を成形して得られた樹脂成形体が燃料供給機のカバー部品に使用できることを見出し、本発明に至った。
【0012】
即ち本発明は、(A)ポリアミド、(B)ポリフェニレンエーテル、(C)ゴム状重合体、(D)フィラー強化材、(E)酸化防止剤を含む熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体であり、酸素指数26以上であることを特徴とする燃料供給機用樹脂製カバー部品である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂成形体の酸素指数が大きく改善でき、さらに剛性、吸水寸法特性、流動性、衝撃性、ガソリン性、反り性も改善できることから、良好な燃料供給機の樹脂カバー部品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の樹脂カバー部品を得るための熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分について詳しく述べる。
【0015】
(A)ポリアミド
本発明で使用することのできるポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖繰り返し単位中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、いずれも使用することができる。
【0016】
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式及び芳香族ジアミンが挙げられ、具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルナノメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
【0018】
ジカルボン酸としては、大別して脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸が挙げられ、具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,1,3−トリデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。
【0019】
ラクタム類としては、具体的にはε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
【0020】
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。
【0021】
本発明においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を、単独或いは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類のいずれもが使用できる。
【0022】
また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
【0023】
特に本発明で有用に用いることのできるポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12、ポリアミド/MXD(m−キシリレンジアミン)/6、ポリアミド6,T、ポリアミド6,I、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6/6,T/6,I、ポリアミド6,6/6,T/6,I、ポリアミド6/12/6,T、ポリアミド6,6/12/6,T、ポリアミド6/12/6,I、ポリアミド6,6/12/6,Iなどが挙げられ、複数のポリアミドを押出機等で共重合化したポリアミド類及びこれらのブレンド物も使用することができる。
【0024】
好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,I、またはそれらの混合物である。より好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド6、またはポリアミド6,6とポリアミド6、ポリアミド6,6とポリアミド6,6/6,Iのブレンド物であり、更に好ましくはポリアミド6、またはポリアミド6とポリアミド6,6のブレンド物である。
【0025】
樹脂組成物の衝撃性の低下を抑制するため、本発明で使用されるポリアミドの相対粘度は、2.0以上であることが好ましい。さらに樹脂組成物の流動性と面衝撃性のバランスを向上させるためには、ポリアミドの相対粘度が、2.2〜2.8の範囲がより好ましく、さらに好ましくは、2.2〜2.7の範囲である。
【0026】
尚、本発明でいう相対粘度とは、JIS K6920−1:2000に準拠して測定した値である。具体的には、98%濃硫酸に、1g/100cm3の濃度でポリアミドを溶解し、オストワルド型粘度計により25℃で測定した流下時間をt1、98%濃硫酸単体の25℃での流下時間をt0として、
ηr=t1/t0
で示される値である。
【0027】
本発明においてポリアミドを混合物として用いた場合の相対粘度は、組成物中に含まれるポリアミド成分を分離して測定する方法、もしくは、原料とするポリアミド成分のηrを測定する濃度(1g/100cm3)の溶液として、それらを配合比に応じて混合した混合溶液を実測する方法で知ることができる。
【0028】
また、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平1−163262号公報に記載されているような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
【0029】
これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、CuI、CuCl2、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられる。また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるアルカリ金属のハロゲン化塩も好適に使用することができる。これらは、もちろん併用添加しても構わない。
【0030】
金属系安定剤及び、またはアルカリ金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド樹脂の100質量部に対して、0.001〜1質量部である。
【0031】
(B)ポリフェニレンエーテル
本発明で使用できるポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
【0032】
【化1】

【0033】
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、またはハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている。)を表わす。〕
【0034】
本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されているような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
【0035】
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
【0036】
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が使用でき、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報及び同63−152628号公報等に記載されている製造方法等を挙げることができる。
【0037】
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
【0038】
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
【0039】
また、本発明において使用できるポリフェニレンエーテルは、全部または一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
【0040】
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、またはグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
【0041】
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度でポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶融混練して反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び(2)の方法が好ましい。
【0042】
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、またはグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物について具体的に説明する。
【0043】
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0044】
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の1個または2個がエステルになっているものも使用可能である。
【0045】
分子内に炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを同時に有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。
【0046】
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
【0047】
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基とを同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式Cn2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式Cn2n-5OH、Cn2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
【0048】
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0049】
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
【0050】
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
【0051】
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3質量%である。
【0052】
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または変性化合物の重合体が残存していても構わない。
【0053】
ポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対し、50質量部未満の量であればスチレン系熱可塑性樹脂を配合しても構わない。本発明でいうスチレン系熱可塑性樹脂としては、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
【0054】
(C)ゴム状重合体
本発明に使用できるゴム状重合体は、好ましくは、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]と少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]から構成される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、及び、エチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる1種以上である。
【0055】
ここでいう芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]における「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]における「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
【0056】
この場合、例えば芳香族ビニル化合物ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物もしくは他の化合物が結合されているブロックの場合であっても、該ブロックの50質量%が芳香族ビニル化合物より形成されていれば、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]とみなす。また、共役ジエン化合物の場合においても同様である。
【0057】
本発明における芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体で使用することのできる芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
【0058】
また、共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
【0059】
該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の共役ジエン化合物のソフトセグメント部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、10〜40%が最も好ましい。
【0060】
本発明における芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]がA−B型、A−B−A型、A−B−A−B型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。また、これらの混合物であってももちろん構わない。
【0061】
これらの中でもA−B−A型、A−B−A−B型がより好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
【0062】
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物に使用することのできる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素添加された芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]の脂肪族二重結合を0を超えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加された芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは98%以上である。
【0063】
本発明において用いられるゴム状重合体(C)としては、水素添加されていない芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体と水素添加された芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体との混合物も問題なく使用可能である。
【0064】
また、本発明において、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]を55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体(C1)と、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]を20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体(C2)を含む2種類以上の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の混合物であることが好ましい。
【0065】
また、その混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量が10,000以上30,000未満、且つ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量が50,000以上100,000未満の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは、ブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量が10,000以上25,000未満、且つ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量が50,000以上80,000未満である。
【0066】
流動性と面衝撃強度を著しく改良するために、上記(C1)成分と(C2)成分とを含む2種類以上のブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量と、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量を上述の範囲内に調整することが好ましい。
【0067】
本発明でいう芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量、及び、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量は、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とブロック共重合体中の全ての芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]の質量%及びブロック共重合体中の全ての共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]の質量%より算出することができる。
【0068】
具体的には、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量の事を指す。[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G,K−800RL,K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm,圧力15〜17kg/cm2]。この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。
【0069】
また、熱可塑性樹脂組成物中に含まれているブロック共重合体の数平均分子量は、例えばペレットを20〜50μm厚みにミクロトームでスライスし、これをクロロホルム中に浸漬し、80℃程度に設定した恒温振とう機を用いて1時間程度抽出し、クロロホルム中にポリフェニレンエーテルとブロック共重合体を溶解させる。これを濾別し、濾液中に濾液の3倍以上のメタノールを滴下して再沈殿させ、真空乾燥する。得られた粉体状のサンプルを更に塩化メチレンに溶解し、−10℃の環境で12時間静置する。析出した成分(ポリフェニレンエーテル成分)を濾別し、濾液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置で測定することで確認することができる。
【0070】
1種類のブロック共重合体の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式により求めることができる。
【0071】
Mn(a),n={Mn×a/(a+b)}/N(a) (1)
【0072】
上記式中において、Mn(a),nは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量、Mnは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの数平均分子量、aは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]の質量%、bは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]の質量%、及びN(a)は芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]の数を表す。
【0073】
さらに、(C1)成分と(C2)成分を含む2種類以上のブロック共重合体の混合物では、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量は、下式により求めることができる。
【0074】
Mn(a),av=Σ(Mn(a),n×Cn) (2)
【0075】
上式中において、Mn(a),avはブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量、Mn(a),nは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロック[A]の数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの重量分率を表す。
【0076】
一方、1種類の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式により求めることができる。
【0077】
Mn(b),n={Mn×b/(a+b)}/N(b) (3)
【0078】
上記式中において、Mn(b),nは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量、Mnは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの数平均分子量、aは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]の質量%、bは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]の質量%、及びN(b)は芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]の数を表す。
【0079】
さらに、(C1)成分と(C2)成分を含む2種類以上のブロック共重合体の混合物では、混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量は、下式により求めることができる。
【0080】
Mn(b),av=Σ(Mn(b),n×Cn) (4)
【0081】
上記式中において、Mn(b),avはブロック共重合体の混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量、Mn(b),nは芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロック[B]の数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体nの重量分率を表す。
【0082】
また、本発明において、(C)成分が、数平均分子量120,000未満のブロック共重合体からのみ構成される混合物にすることにより、流動性と面衝撃性のバランスをさらに向上させることができるのでより好ましい。さらに、数平均分子量80,000より大きく120,000未満のブロック共重合体からのみ構成される混合物にすることが特に好ましい。
【0083】
これら芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
【0084】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用するブロック共重合体中には、パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合したものを用いても構わない。パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合する事により、樹脂組成物の加工性を向上させることができる。この際の好ましいパラフィンを主成分とするオイルの量はブロック共重合体100質量部に対して、1〜70質量部である。70質量部以上混合すると取り扱い性に劣る。
【0085】
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及び、パラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50質量%以上のものである。より好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90質量%、ナフテン環含有化合物が10〜40質量%、芳香環含有化合物が5質量%以下のものである。
【0086】
これら、パラフィンを主成分とするオイルは市販されており、例えば出光興産(株)製のPW380等が挙げられる。
【0087】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用することのできる前記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、特開2001−302911号公報に記載されているようなシングルサイト触媒で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく使用可能である。
【0088】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用するゴム状重合体は、全部または一部が変性されたゴム状重合体であっても構わない。
【0089】
ここでいう変性されたゴム状重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、またはグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたゴム状重合体を指す。
【0090】
該変性されたゴム状重合体の製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でゴム状重合体の軟化点温度以上250℃以下の範囲の温度でゴム状重合体と変性化合物とを溶融混練し反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でゴム状重合体の軟化点以下の温度で、ゴム状重合体と変性化合物とを溶液中で反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でゴム状重合体の軟化点以下の温度で、ゴム状重合体と変性化合物とを溶融させることなく反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行なう方法が最も好ましい。
【0091】
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、またはグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルについて述べた変性化合物と同じものが使用できる。
【0092】
(D)フィラー強化材
本発明のフィラー強化材は、実製品化特性を損なわないものであればかまわないが、好ましくは、平均粒子径9μm以上20μm以下で且つ、粒子径の小さい方から25%の粒径(d25%)と75%の粒径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.0以上2.5以下である。より好ましい板状無機フィラーの平均粒子径は、9μm以上16μm以下、さらに好ましくは、10μm以上16μm以下、最も好ましくは、12μm以上16μm以下である。即ち、平均粒子径が5μm以下の小さい板状無機フィラーではなく、平均粒子径が9〜20μmの比較的大きい粒子径の板状無機フィラーを使用することで、流動性と面衝撃強度のバランスを更に高くする事が可能となる。
【0093】
また、この板状無機フィラーの粒子径の測定において、粒子径の小さい方から25%の粒径(d25%)と75%の粒径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.0以上2.2以下であることがより好ましい。さらに、粒子径10μm以下の割合が50%以下で、且つ粒子径20μm以上の割合が25%以下あることがさらに好ましく、粒子径10μm以下の割合が40%以下で、且つ粒子径20μm以上の割合が20%以下であることが特に好ましい。
【0094】
ここでいう平均粒子径及び粒子径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した体積基準の粒子径である。また、板状無機フィラーの分散媒としてエタノールを用いて測定される値である。具体的には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所(株)製)を用いて、エタノールの分散媒でブランク測定を行った後、測定試料を規定の透過率(95%〜70%)になるように入れて測定することにより求めることができる。なお、分散媒中への試料の分散は、超音波を1分間照射することにより行なう。
【0095】
本発明のフィラー強化材は、上記の形状であれば、例えばカオリナイト、タルク、絹雲母、白雲母及び金雲母等の雲母類、クロライト、モンモリロナイト、ハロサイト等の層状粘土鉱物、ガラスフレーク、金属板状粒子等の人造板状フィラーを粉砕及び/または篩分けして得たものを使用することができる。特に、珪酸マグネシウムを主成分とする天然鉱物を精製、粉砕及び分級したタルクが好ましい。また、人工的に合成したものも使用可能である。これらの充填剤を一種以上配合することが可能である。
【0096】
また、本発明のフィラー強化材は樹脂との親和性を向上させる目的で添加される、シランカップリング剤等の表面処理剤を含んでいても構わない。その量に制限はないが、概ね板状無機フィラー100質量部に対して5質量部を超えない範囲である。
【0097】
(E)酸化防止剤
本発明に用いることのできる酸化防止剤は、実製品化特性を損なわないものであればかまわないが、好ましくは、リン系酸化防止剤であって、さらに好ましくは、亜リン酸エステル系の酸化防止剤である。これらの酸化防止剤を、前記(A)〜(D)からなる組成物100質量部に対して0.01〜10質量部配合することにより、本発明の主体である酸素指数が26を超え、好ましくは30以上になる。好ましくは、0.1以上2質量部以下で、さらに好ましい量は、0.15以上1質量部以下である。例えば、リン系酸化防止剤として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ/ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロシキベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタテトライルビス(2,6−ジ−t−ビチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−t−ジフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどがある。具体的には、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトとして市販されている旭電化(株)製「PEP−36」が極めて重要な効果を示すものである。
【0098】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合割合は、(A)ポリアミド樹脂10〜70質量部、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜50質量部、(C)ゴム状重合体1〜50質量部、(D)フィラー強化材0.01〜50質量部であり、(A)+(B)+(C)+(D)の組成物100質量部に対して(E)酸化防止剤0.15〜10質量部添加して用いる。より好ましくは、(A)ポリアミド樹脂20〜60質量部、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部、(C)ゴム状重合体5〜30質量部、(D)フィラー強化材10〜30質量部であり、(A)+(B)+(C)+(D)の組成物100質量部に対して(E)酸化防止剤0.1〜2質量部添加して用いる。
【0099】
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、相溶化剤を添加しても構わない。相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良することである。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。いずれにしても得られる熱可塑性樹脂組成物は改良された相溶性を示す事が望ましい。
【0100】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8−48869号公報及び特開平9−124926号公報等に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤は全て使用可能であり、併用使用も可能である。
【0101】
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられ、それらの中でも無水マレイン酸が最も好ましい。
【0102】
本発明で使用することのできる相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0103】
本発明では、上記した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて熱可塑性樹脂組成物に付加的成分を添加しても構わない。付加的成分の具体例を以下に挙げる。
【0104】
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル、モンタン酸金属塩類等)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ホスファイト系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
【0105】
これらの成分の具体的な添加量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、合計で100質量部を超えない範囲である。
【0106】
次に、燃料供給機について述べる。本発明の樹脂製カバー部品は燃料供給機用であり、該燃料供給機とは、一般には車両に燃料を供給する機械であり、車両とは種々の目的に使用される車輪のついた移動体を示すもので、動力を有する。動力源には、エンジンなどの内燃機関、電気によるモーターなどを動力源として移動可能である。その動力源に直接及び間接的に供給しなければならない燃料を示すのもので、ガソリン、軽油、水素ガス、液体水素、メタノール、天然ガス、エタノール、プロパンガス、水などの物質及び混合物を供給するステーションで使用される燃料供給機である。
【0107】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はないが、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられるが、中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は通常ペレット状にて得られる。このペレットを用いて各種成形、例えば圧縮成形、射出成形、押出成形等により成形品とすることができる。
【0108】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を得るための製法は特に限定はないが、その例のいくつかを以下に列挙する。
【0109】
〔1〕少なくとも上流部に1箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体、ポリアミド及びフィラー強化材及び酸化防止剤を供給し溶融混練する方法。
【0110】
〔2〕少なくとも上流部(第1供給口)及び中流部(第2供給口)の2箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド及びフィラー強化材及び酸化防止剤を供給し溶融混練する方法。
【0111】
〔3〕少なくとも上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)、下流部(第3供給口)の3箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミドを供給して溶融混練し、さらに第3供給口よりフィラー強化材、さらに酸化防止剤を供給し溶融混練する方法、等が挙げられる。
【0112】
これらの中でも上記〔3〕の方法が最も好ましい。
【0113】
また、溶融混練温度も特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
【0114】
本発明の燃料供給機の樹脂製カバー部品は、通常上記ペレットの射出成形によって得られるが、通常の射出成形の他に本発明の目的を損なわない範囲で、ガスアシスト成形、二色成形などの特殊な射出成形によって得られる樹脂成形体により達成できる。その場合の射出成形条件としては、例えば、成形温度が250〜310℃の範囲、金型温度が40〜120℃の範囲にて成形する方法が例示できる。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を実施例及び比較例により、詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に示されたものに限定されるものではない。
【0116】
(使用した原料)
実施例等において使用した原料は次のとおりである。
【0117】
(A)ポリアミド(以下、PAと略記)
PA−1:ポリアミド6
相対粘度ηr(98%硫酸/25℃)=2.3(JIS K6810)
PA−2:ポリアミド6,6
相対粘度ηr(98%硫酸/25℃)=2.6(JIS K6810)
【0118】
(B)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記)
PPE−1:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
旭化成ケミカルズ(株)製
還元粘度:0.42dl/g(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
PPE−2:PPE−1の無水マレイン酸変性物
PPE−1100質量部に対して、ラジカル開始剤0.1質量部及び無水マレイン酸1.5質量部を添加し、二軸押出機を用いてシリンダー温度320℃で溶融混練して作製した。尚、無水マレイン酸の付加率は、0.5%であった。
【0119】
(C)ゴム状重合体(以下、SEBSと略記)
SEBS−1:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=250,000
ポリスチレンブロック1個当たりの数平均分子量=41,300
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=167,500
スチレン成分合計含有量=33質量%
1,2−ビニル含有量=33%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
SEBS−2:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=100,000
ポリスチレンブロック1個当たりの数平均分子量=15,000
水素添加ポリイソプレンの数平均分子量=70,000
スチレン成分合計含有量=30質量%
ポリイソプレン部の水素添加率=98%以上
SEBS−3:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=97,000
ポリスチレンブロック1個当たりの数平均分子量=29,100
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=38,800
スチレン成分合計含有量=60質量%
1,2−ビニル含有量=36%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
【0120】
(D)フィラー強化材
タルク−1:平均粒子径=8.89μm、メジアン径=8.38μm、
d75%/d25%=1.64、
粒子径10μm以下の割合=68%、粒子径20μm以上の割合=1%
タルク−2:平均粒子径:11.85μm、メジアン径:10.68μm
d75%/d25%=1.91、
粒子径10μm以下の割合=45%、粒子径20μm以上の割合=9%
タルク−3:平均粒子径:13.62μm、メジアン径:12.31μm
d75%/d25%=1.88、
粒子径10μm以下の割合=33%、粒子径20μm以上の割合=15%
タルク−4:平均粒子径:17.67μm、メジアン径:12.41μm
d75%/d25%=2.64、
粒子径10μm以下の割合=38%、粒子径20μm以上の割合=27%
【0121】
(E)酸化防止剤
アデカスタブ PEP−36(旭電化(株)製)
【0122】
(測定方法)
実施例、比較例中の評価は次の方法で行った。
【0123】
<流動性(MFR)>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、ASTM D1238に準拠して、温度280℃、荷重5kgの条件下での10分間あたりの流出量を求めた。
【0124】
<面衝撃強度(Dart)>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×3mmの平板試験片を作成し、グラフィックインパクトテスター(東洋精機社製)を用いて、ホルダ径φ40mm、ストライカー径12.7mm、ストライカー重量6.5kgを使用し、高さ128cmから衝撃試験を行い、全吸収エネルギーを測定した。
【0125】
<曲げ試験>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定)を用いて、ASTM D790に記載のTYPE I試験片を作成した。曲げ試験は、ASTM D790に準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0126】
<吸水寸法変化率>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、日精樹脂工業(株)製FE120成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて120×80×3mmの平板試験片を作成した。
【0127】
初期の収縮は、成形品を外気とは接触しないようにシールできるアルミ袋に入れ、シールする。その後12時間放置したのち、アルミ袋を開封し、取り出された平板の長辺/短辺の寸法を測定した(初期収縮)。その測定した平板を80℃温水に120時間浸漬後、23℃水中に移す。その後製品が40度以下になったところで、すばやく水中より取り出し、水分を布等でふき取る。そして、平板の流動方向の寸法を測定した(飽和吸水時の収縮率)。
金型寸法に対する変化量を次式に従い求めた。
【0128】
初期成形収縮率(INT)={{(金型寸法)−(成形品寸法)}/(金型寸法)}×100(%)
【0129】
飽和吸水成形収縮率(FULL)={{(金型寸法)−(飽和吸水時の成形品寸法)}/(金型寸法)}×100(%)
【0130】
吸水寸法変化率(%)=飽和吸水成形収縮率(FULL)―初期成形収縮率(INT)
【0131】
<吸水率>
成形直後の平板と吸水した平板の重量を求め次式により算出した。
【0132】
吸水率={((吸水した平板の重量)−(成形直後の平板の重量))/(成形直後の平板の重量)}×100(%)
【0133】
ここで使用した平板は、吸水寸法変化率の測定で記載した平板と同じものである。
【0134】
<反り性>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて、平板を作成した。平板の形状は、150×150×2mmで、1φのゲートが1辺の中央で成形品のエッジから10mmの部分にある。そりの測定は、成形された平板を平面に置き、ゲート側の両端面2箇所を指で抑えて反対側の両端2箇所について平面と平板とのすき間の量を測定する。今度は、同じ平面を180℃回転させ、ゲートと反対側にある両端面2箇所を指で抑えて反対側の両端2箇所について平面と平板とのすき間の量を測定する。こうして測定された4点のすき間の量を平均して、反り量を求めた。
【0135】
<耐ガソリン性>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×3mmの平板試験片を作成し、その平板試験片を市販のガソリンをビーカーにいれて、浸漬試験を実施した。その後、目視にて観察し、初期状態と外観、色目の変化を観察した。
【0136】
<相対粘度ηr>
95.5±0.03%硫酸に1.0g/dlの濃度でポリマーを溶解し、25℃、オストワルド粘度管で測定した。
【0137】
<酸素指数>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて、ISOダンベル試験片を作成した。その試験片をJIS K7201−2(ISO 4589−2)によって試験ができるように切削した。その試験片を用いて酸素指数を求めた。評価した試験片は、成形後、切削以外の塗装や溶着などの加工は施されていないものを該評価方法に即して評価して酸素指数を求めた。
【0138】
(実施例及び比較例の製造方法)
上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)及び下流部(第3供給口)の供給口を有する二軸押出機〔ZSK−58MC:コペリオン社製(ドイツ)〕を用いて、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量400kg/hrに設定した条件下で、表1に記載の組成にて、第1供給口より、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体を供給し、第2供給口より、ポリアミド及び酸化防止剤を供給し、更に、第3供給口より、種々のタルクを供給して溶融混練することにより、樹脂組成物のペレットを作成した。
【0139】
得られた該ペレットについて上述した各種試験を行った。結果を表1に示す。
【0140】
【表1】

【0141】
実施例においては、酸素指数が26以上で、かつ優れた吸水寸法安定性を保持しながら面衝撃強度、反り性と流動性のバランスを向上させた組成物が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド、(B)ポリフェニレンエーテル、(C)ゴム状重合体、(D)フィラー強化材、(E)酸化防止剤を含む熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体であり、酸素指数26以上であることを特徴とする燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂組成物が、(A)成分が10〜70質量部、(B)成分が10〜50質量部、(C)成分が1〜50質量部、(D)成分が0.01〜50質量部からなる混合物100質量部に対して、(E)成分を0.01〜10質量部添加してなる請求項1に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項3】
前記(E)成分の酸化防止剤がリン系酸化防止剤である請求項1又は2に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項4】
前記リン系酸化防止剤が亜リン酸エステルである請求項3に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項5】
前記(D)成分のフィラー強化材が板状無機フィラーである請求項1〜4のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項6】
前記板状無機フィラーがタルクであることを特徴とする請求項5に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項7】
前記タルクの平均粒子径が9μm以上20μm以下である請求項6に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項8】
前記タルクの平均粒子径が9μm以上16μm以下である請求項6に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項9】
前記(C)成分のゴム状重合体が、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、及び/又は、水素添加された芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項10】
前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体が、
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体(C1)と、
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体(C2)と、
を含む2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、
該混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上30,000未満であり、且つ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上100,000未満である請求項9に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項11】
前記2種類以上のブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上25,000未満であり、且つ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上80,000未満である請求項10に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項12】
(C)成分のゴム状重合体が、数平均分子量が80,000より大きく120,000未満のブロック共重合体からのみ構成される混合物である請求項11に記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項13】
前記(E)成分が、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであり、且つ、(D)成分が、平均粒子径が9μm以上20μm以下のタルクである請求項9〜12のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項14】
前記(E)成分が、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであり、且つ、(D)成分が、平均粒子径が9μm以上16μm以下のタルクである請求項9〜12のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項15】
酸素指数が30以上である請求項1〜14のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項16】
酸素指数が32以上である請求項1〜14のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。
【請求項17】
車両に用いる請求項1〜16のいずれかに記載の燃料供給機用樹脂製カバー部品。

【公開番号】特開2007−314673(P2007−314673A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146232(P2006−146232)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】