説明

燃料濾過装置

【課題】交換を要するほどにフィルタの目詰まりが進行した状態において、内燃機関が出力低下状態になることの回避を図った燃料濾過装置を提供する。
【解決手段】燃料中の異物を濾過するフィルタとして、2つのフィルタ(第1フィルタ31及び第2フィルタ32)を備える。そして、第1フィルタ31が配置される第1流通経路30aと第2フィルタ32が配置される第2流通経路30bとを並列配置させ、第2流通経路30bのうち第2フィルタ32の下流側部分にバルブ33(流路切替手段)を設ける。これにより、第1フィルタ31が目詰まりしていない通常時には、バルブ33が閉じることにより、第1フィルタ31へ燃料を流通させるとともに第2フィルタ32への流通を遮断し、第1フィルタ31の目詰まり発生時には、バルブ33が開放作動することにより、第2フィルタ32へ燃料を流通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料中の異物を濾過するフィルタを備えた燃料濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載内燃機関の燃焼に供する燃料に対し、その燃料中の異物を濾過するフィルタを車両に備えることが一般的である。そして、特許文献1等には、フィルタの前後差圧が所定圧を超えた場合や、車両の走行距離が所定距離を超えた場合等に、フィルタの交換を運転者に促すよう警告ランプ等で報知する旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−90126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィルタの目詰まりが進行すると、内燃機関への燃料供給不足により内燃機関の出力が急激に低下する場合がある。この場合には、フィルタ交換を促す報知が為されたとしても、フィルタを交換するまでの間は出力低下状態での内燃機関の運転を強いられ、最悪の場合には内燃機関の停止に至る。
【0005】
本発明は、交換を要するほどにフィルタの目詰まりが進行した状態において、内燃機関が出力低下状態になることの回避を図った燃料濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明では、燃料中の異物を濾過する第1フィルタ及び第2フィルタと、前記第1フィルタが目詰まりしていない通常時には、前記第1フィルタへ燃料を流通させるとともに前記第2フィルタへの流通を遮断し、前記第1フィルタの目詰まりが所定以上に進行した目詰まり時には、前記第2フィルタへ燃料を流通させるよう流通経路を切り替える流路切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、通常時には、第1フィルタへ燃料を流通させるとともに第2フィルタへの流通を遮断するので、第1フィルタにより燃料中の異物を捕捉して第2フィルタでは捕捉させないこととなる。そして目詰まり時には、第2フィルタへ燃料を流通させるので、通常時には使用していなかった第2フィルタが、目詰まりした第1フィルタに代わって燃料中の異物を捕捉することとなる。したがって、通常時に使用する第1フィルタが交換を要するほどに目詰まり進行した場合には、第1フィルタを交換するまでの間、第2フィルタを使用した状態で内燃機関を運転できるので、内燃機関への燃料供給不足を解消して出力低下状態になることを回避できる。
【0009】
請求項2記載の発明では、前記流路切替手段は、前記通常時には前記第2フィルタへ通じる流通路を閉塞し、前記目詰まり時には前記流通路を開放するバルブを有して構成されていることを特徴とする。
【0010】
このようにバルブを用いて流通経路を切り替えれば、「通常時には第1フィルタへ燃料を流通させるとともに第2フィルタへの流通を遮断し、目詰まり時には第2フィルタへ燃料を流通させるよう流通経路を切り替える」といった上記請求項1記載の構成を簡素な構成で実現できる。
【0011】
請求項3記載の発明では、前記バルブは、当該バルブの前後差圧が設定圧を超えた時に開弁作動する機械式バルブであるとともに、前記前後差圧が前記第1フィルタの目詰まり度合いに応じて変化するよう配置されていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、通常時と目詰まり時との流通経路の切り替えを機械式バルブで実現できるので、電磁式バルブを用いて電子制御することにより前記切り替えを実現させる場合に必要となる、電子回路等の電子制御手段を不要にできる。
【0013】
請求項4記載の発明では、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、燃料ポンプへ吸入される燃料の吸入経路に配置され(図1参照)、前記第1フィルタの下流側通路を前記バルブの下流側通路と連通させ、前記目詰まりの進行に伴い前記第1フィルタの下流側圧力が低下して、前記バルブの下流側圧力が所定圧を下回った場合に、前記バルブは開弁作動するよう設定されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第1及び第2フィルタを燃料ポンプの吸入経路側に配置した場合において、機械式バルブを用いて通常時と目詰まり時との流通経路の切り替えを行うことを、簡素な構成で実現可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明では、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、燃料ポンプから吐出される燃料の吐出経路に配置され(図4参照)、前記第2フィルタの下流側通路を前記バルブの上流側通路と連通させ、前記目詰まりの進行に伴い前記第2フィルタの下流側圧力が上昇して、前記バルブの上流側圧力が所定圧を上回った場合に、前記バルブは開弁作動するよう設定されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、第1及び第2フィルタを燃料ポンプの吐出経路側に配置した場合において、機械式バルブを用いて通常時と目詰まり時との流通経路の切り替えを行うことを、簡素な構成で実現可能となる。
【0017】
請求項6記載の発明では、前記流通路を開放するよう前記バルブが開弁作動した時に、開弁信号を出力する出力手段を備えることを特徴とする。
【0018】
これによれば、第1フィルタの目詰まりが交換を要するほどに進行した時点で、第2フィルタへ通じる流通路を開放するようバルブが開弁作動することに伴い開弁信号が出力されるので、この開弁信号の有無に基づき第1フィルタの交換時期を把握することができる。つまり、流通経路を切り替えるバルブを利用して第1フィルタの交換時期を把握できるので、第1フィルタの目詰まり状態を検出する専用の検出手段(例えば、第1フィルタの前後差圧を検出する差圧センサ)を不要にできる。
【0019】
請求項7記載の発明では、燃料入口及び燃料出口を形成するフィルタヘッドと、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタを保持して前記フィルタヘッドに取り付けられるフィルタ保持部材と、を備え、前記フィルタ保持部材は、前記燃料入口から流入した燃料が前記第1フィルタ及び前記第2フィルタの一方を通過して前記燃料出口から流出するよう内部に燃料通路を形成し、かつ、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタを保持したまま前記フィルタヘッドに対して脱着可能に構成されていることを特徴とする。
【0020】
ここで、第2フィルタは通常時には使用しないものの、第1フィルタの目詰まりに伴い使用を繰り返していくと、第2フィルタにも目詰まりが発生する。そのため、第2フィルタを交換することなく継続して使用すると、第1フィルタを交換するまでの間の出力低下状態を回避できなくなる。
【0021】
これに対し上記請求項7記載の発明では、第1及び第2フィルタの両方をフィルタ保持部材に保持させ、両フィルタを保持したままでフィルタ保持部材をフィルタヘッドに対して脱着可能とするので、第1フィルタを第2フィルタとともにフィルタ保持部材ごと交換することができる。或いは、フィルタ保持部材をフィルタヘッドから取り外した後、フィルタ保持部材に保持されている両フィルタを交換することができる。よって、両フィルタをフィルタヘッドから別々に取り外して交換する構成とした場合に比べて、第2フィルタの交換し忘れを抑制できる。さらに、上記請求項7記載の発明によれば、第2フィルタの交換作業を第1フィルタの交換作業と同時に行うことができるので、両フィルタの交換の作業性を向上できる。
【0022】
請求項8記載の発明では、前記第2フィルタの濾過面積を前記第1フィルタの濾過面積よりも小さくしたことを特徴とする。第2フィルタは、第1フィルタに比べて使用頻度が低いので、このように第2フィルタを第1フィルタより小さくすることで、通常時における第1フィルタの機能及び目詰まり時における第2フィルタの機能を十分に発揮させつつ、燃料濾過装置の搭載スペースを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる燃料濾過装置が設けられた、燃料供給システムの概略を示す図。
【図2】第1実施形態にかかる燃料濾過装置の作動状態を示す図であり、(a)は通常時の作動状態、(b)は目詰まり発生時の作動状態を示す図。
【図3】第1実施形態にかかる燃料濾過装置の構造を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる燃料濾過装置が設けられた、燃料供給システムの概略を示す図。
【図5】第2実施形態にかかる燃料濾過装置の作動状態を示す図であり、(a)は通常時の作動状態、(b)は目詰まり発生時の作動状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態の燃料濾過装置は、例えば自動車用ディーゼルエンジン(内燃機関)を対象にしたコモンレール式燃料供給システムに設けられている。
【0026】
まず図1を参照して、本実施形態に係るコモンレール式燃料供給システムの概略について説明する。このシステムは、大きくは、ECU10(電子制御ユニット)が、各種センサからのセンサ出力を取り込み、それら各センサ出力に基づいて燃料供給系を構成する各装置の駆動を制御するように構成されている。ECU10は、吸入調整弁(詳しくは後述)に対する電流供給量を調整してポンプ装置40の燃料吐出量を所望の値に制御することで、コモンレール50内の燃料圧力(レール圧センサ51にて測定される時々の燃料圧力)を目標値(目標燃圧)にフィードバック制御している。そして、その燃料圧力に基づいて、対象エンジンの所定シリンダに対する燃料噴射量、ひいては同エンジンの出力(出力軸の回転速度やトルク)を所望の大きさに制御している。
【0027】
ここで、燃料供給装置を構成する諸々の装置は、燃料上流側から、燃料タンク20、燃料濾過装置30、ポンプ装置40、コモンレール50、及びインジェクタ60(燃料噴射弁)の順に配設されている。そしてこのシステムでは、燃料タンク20内の燃料がポンプ装置40により圧送されることで、システム内の対象装置に対して燃料の供給が行われるようになっている。
【0028】
次に、ポンプ装置40の構成について説明する。
【0029】
ポンプ装置40は、以下に説明するフィードポンプ41(燃料ポンプ)及び高圧ポンプ42を備えており、フィードポンプ41によって燃料タンク20から汲み上げられた燃料を高圧ポンプ42にて加圧して吐出するように構成されている。そしてこの際、高圧ポンプ42に送られる燃料量は、高圧ポンプ42の燃料吸入側に設けられた吸入調整弁(図示せず)によって調量されるようになっている。
【0030】
フィードポンプ41は、上記燃料タンク20の燃料を入口43から吸引して高圧ポンプ42へ送る、いわゆる低圧供給ポンプとして機能するものであり、トロコイドポンプを適用することが望ましい。吸入調整弁は、ECU10により制御されることで、フィードポンプ41から高圧ポンプ42へ吸入される燃料量を調節する。すなわち、フィードポンプ41により送られた燃料は、この吸入調整弁によって必要吐出量に調整されて高圧ポンプ42へ流入することとなり、これにより、ポンプ装置40からコモンレール50へ圧送される燃料の吐出量が制御される。
【0031】
高圧ポンプ42は、吸入調整弁によって調量された燃料を加圧して外部へ吐出するプランジャポンプである。なお、フィードポンプ41及び高圧ポンプ42は、駆動軸44の回転により駆動され、その駆動軸44は、クランク軸70(エンジンの出力軸)の回転に伴い駆動される。つまり、フィードポンプ41及び高圧ポンプ42は、エンジン出力による動力で駆動される。以上に説明した如くポンプ装置40が作動すると、燃料タンク20内の燃料は、フィードポンプ41の作動により汲み上げられ、吸入調整弁によって流量調整された後、高圧ポンプ42の作動によりコモンレール50へ加圧供給(圧送)される。
【0032】
コモンレール50は、上記ポンプ装置40から圧送された燃料を高圧状態で蓄えてこれを、シリンダ#1〜#4の各々に設けられた高圧配管52を通じて、各シリンダのインジェクタ60(燃料噴射弁)へそれぞれ供給するものである。インジェクタ60は、各シリンダ#1〜#4内の各燃焼室に対してそれぞれ設けられており、上記コモンレール50に蓄圧・保持された高圧燃料を噴射する。なお、インジェクタ60に供給された燃料の余剰分は、低圧配管53を通じて燃料タンク20に戻される。
【0033】
次に、本実施形態の要部である燃料濾過装置30の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、燃料濾過装置30の内部において燃料が流通する経路を模式的に示す図であり、図3は、燃料濾過装置30の構造を示す断面図である。
【0034】
図2及び図1に示すように、燃料濾過装置30は、フィードポンプ41の下流側に配置されており、フィードポンプ41の吸入負圧により燃料濾過装置30内部を燃料が流通する。また、燃料濾過装置30は、燃料中の異物を濾過するフィルタとして、2つのフィルタ(第1フィルタ31及び第2フィルタ32)を備えている。燃料濾過装置30の内部に形成される流通経路には、第1フィルタ31が配置される第1流通経路30a、及び第2フィルタ32が配置される第2流通経路30bが設けられている。これら両流通経路30a,30bは並列配置となるよう連通している。
【0035】
そして、第2流通経路30bのうち第2フィルタ32の下流側部分には、第2流通経路30bを開閉するバルブ33(流路切替手段)が設けられている。このバルブ33は、流通路を開閉する弁体331、及び弁体331を閉弁方向に付勢するスプリング332を備えて構成される機械式のバルブであり、バルブ33の前後差圧が設定圧を超えた時に開弁作動するものである。
【0036】
第1フィルタ31が目詰まりしていない通常時には、バルブ33の弁体331が閉弁するようスプリング33の弾性力は設定されている(図2(a)参照)。すなわち、バルブ33の前記設定圧は、通常時におけるバルブ33の前後差圧よりも高い。
【0037】
そして、第1フィルタ31の目詰まりが進行してくると、第1フィルタ31の前後差圧が大きくなる。つまり、フィードポンプ41の吸入負圧が大きくなり、第1フィルタ31の下流側圧力が低下する。そして、このように第1フィルタ31の下流側圧力が低下すれば、バルブ33の下流側圧力も同時に低下することとなるので、バルブ33の前後差圧が大きくなり、図2(b)に示すようにバルブ33の弁体331がスプリング33の弾性力に抗して開弁するよう作動する。換言すれば、第1フィルタ31が交換を要するほどに目詰まり進行した時点(以下、単に「目詰まり発生時点」と記載)で弁体331が開弁するよう、スプリング33の弾性力は設定されている。すなわち、バルブ33の前記設定圧は、第1フィルタ31の目詰まり発生時点でのバルブ33の前後差圧と一致するよう設定されており、目詰まり発生時の前記負圧に基づき設定されている。
【0038】
以上により、通常時には、第1フィルタ31へ燃料が流通して第2フィルタ32への流通はバルブ33により遮断され、図2(a)中の点線に示すよう第1流通経路30aを燃料が流通して、第2フィルタ32はバイパスされる。一方、目詰まり発生時には、バルブ33の開弁作動に伴い図2(b)中の点線に示すよう第2フィルタ32へ燃料が流通する。
【0039】
次に、燃料濾過装置30の具体的な構造について説明する。
【0040】
図3に示すように、燃料濾過装置30は、第1及び第2フィルタ31,32と、燃料入口通路341(燃料入口)及び燃料出口通路342(燃料出口)を形成する金属製のフィルタヘッド34と、第1及び第2フィルタ31,32を保持してフィルタヘッド34に取り付けられるフィルタ保持部材と、を備えて構成されている。なお、以下の説明では、フィルタヘッド34に対してフィルタ保持部材の側(図3の下側)を「下側」、フィルタ保持部材の反対側(図3の上側)を「上側」と記載する。
【0041】
フィルタヘッド34は円柱形状であり、燃料入口通路341及び燃料出口通路342はフィルタヘッド34の円柱外周面に開口している。燃料入口通路341には、燃料タンク20と連通する入口配管54(図1及び図2参照)が接続され、燃料出口通路342には、ポンプ装置40と連通する出口配管55(図1及び図2参照)が接続されている。
【0042】
フィルタヘッド34の円柱下端面には、燃料入口通路341と連通する環状の入口溝343、及び燃料出口通路342と連通する環状の出口溝344が形成されている。なお、燃料出口通路342は第1流通路345及び第2流通路346に分岐しており、前記出口溝344は、第1流通路345を介して燃料出口通路342と連通する。そして、第1流通路345及び出口溝344は、図2を用いて先に説明した第1流通経路30aの一部分を構成し、第2流通路346は、図2に示す第2流通経路30bの一部を構成する。
【0043】
第2流通路346には、バルブ33の弁体331及びスプリング332を収容するバルブ収容室347が形成されている。そして、バルブ収容室347のシート面348に弁体331が着座することで第2流通路346は遮断され、シート面348から弁体331が離座することにより第2流通路346は開放される。
【0044】
さらに、バルブ収容室347には、バルブ33が開弁作動した時に開弁信号を出力するスイッチ333(出力手段)が設けられている。このスイッチ333には、シート面348から離座する弁体331により押し動かされる接触式のスイッチが採用されている。そして、スイッチ333のオン信号(開弁信号)は通信線334を通じてECU10へ送信される。ECU10は、開弁信号を受信すると、第1フィルタ31の交換を促すよう車両運転者に報知する。例えば、車速計等の各種計器が配置されたインストルメントパネルの表示部に、ウォーニング表示をさせることで前記報知を行う。
【0045】
フィルタ保持部材は、以下に詳述するケース35、蓋部材36、外側パイプ361、内側パイプ362、仕切りプレート363、上側ステー371、中間ステー372、及び下側ステー373から構成されている。なお、フィルタ保持部材を構成する全ての部材35,36,361〜363,371〜373は金属製であり、各々の部材同士は、例えば溶接により接続されている。
【0046】
ケース35は、上方が開口する有低の円筒形状に形成されており、ケースの開口は蓋部材36により閉塞されている。そして、ケース35及び蓋部材36の内部にて、第1及び第2フィルタ31,32を収容する収容空間35aを形成する。
【0047】
蓋部材36は、外周端がケース35に溶接される円板形状であり、蓋部材36には、以下に説明する入口孔36a、第1出口孔36b、及び第2出口孔36cが形成されている。入口孔36aは、入口溝343と収容空間35aとを連通させる貫通孔であり、入口溝343に沿って環状に形成されている。第1出口孔36bは、出口溝344と収容空間35aとを連通させる貫通孔であり、出口溝344に沿って環状に形成されている。第2出口孔36cは、第2流通路346と収容空間35aとを連通させる貫通孔である。なお、第1出口孔36b及び出口溝344は、入口孔36a及び入口溝343の環状内側に位置し、第2出口孔36c及び第2流通路346は、第1出口孔36b及び出口溝344の環状内側に位置する。
【0048】
外側パイプ361及び内側パイプ362は上下方向に延びる円筒形状であり、内側パイプ362は外側パイプ361の円筒内部に配置されている。内側パイプ362の円筒上端部は、円筒内部362aが第2出口孔36cと連通するよう蓋部材36の下側の面に溶接されている。外側パイプ361の円筒上端部は、円筒内部361aが第1出口孔36bと連通するよう蓋部材36の下側の面に溶接されている。したがって、内側パイプ362の円筒内部362aは、図2に示す第2流通経路30bの一部を構成することとなり、外側パイプ361の円筒内部361aは、図2に示す第1流通経路30aの一部分を構成することとなる。
【0049】
仕切りプレート363は、外側パイプ361の円筒内部を上下方向に仕切る円板形状に形成され、外側パイプ361の円筒内部のうち仕切りプレート363の上側部分(符号361aに示す部分)は、第1出口孔36bと連通して先述の如く第2流通経路30bを構成し、仕切りプレート363の下側部分(符号361bに示す部分)は、内側パイプ362の円筒内部362aと連通して第1流通経路30aの一部分を構成する。
【0050】
上側ステー371及び中間ステー372は、外側パイプ361の外周面から径方向外側に延びる円板形状であり、下側ステー373は、外側パイプ361の円筒開口端に溶接されて外側パイプ361の円筒内部361bを閉塞する円板形状である。上側ステー371及び中間ステー372の間には第1フィルタ31が、中間ステー372及び下側ステー373の間には第2フィルタ32が嵌め込まれて保持されている。
【0051】
そして、外側パイプ361のうち第1フィルタ31と対向する部分には、図2に示す第1流通経路30aを構成する第1連通孔361cが複数形成され、外側パイプ361のうち第2フィルタ32と対向する部分には、図2に示す第2流通経路30bを構成する第2連通孔361dが複数形成されている。
【0052】
以上の構成により、入口配管54から燃料濾過装置30へ流入した燃料は、燃料入口通路341、入口溝343、入口孔36aを通じて収容空間35aへ流入する。その後、以下に詳述する第1流通経路30a又は第2流通経路30bを流通した後、燃料出口通路342を流通して出口配管55へと流れる。
【0053】
燃料を第1フィルタ31へ流通させる第1流通経路30aは、上流側から順に、第1連通孔361c、外側パイプ361の円筒内部361a、第1出口孔36b、出口溝344、及び第1流通路345により構成される。燃料を第2フィルタ31へ流通させる第2流通経路30bは、上流側から順に、第2連通孔361d、外側パイプ361の円筒内部361b、内側パイプ362の開口部362bとその円筒内部362a、第2出口孔36c、及びバルブ収容室347により構成される。
【0054】
第1フィルタ31及び第2フィルタ32は、例えば複数枚の濾材を貼り合わせて構成されたフィルタエレメントであり、第1及び第2フィルタ31,32は各々別体に形成されたエレメントである。そして、第2フィルタ32の濾過面積を第1フィルタ31の濾過面積よりも小さく設定している。フィルタエレメントは、燃料(軽油)中に含まれる異物を捕捉する機能、燃料中の水分を除去する機能、及び燃料中のワックス成分を除去する機能を有する。このような第1及び第2フィルタ31,32は、捕捉した異物及びワックス成分等が使用時間の経過とともにフィルタエレメントに堆積して目詰まりしてくる。そして、一定以上の目詰まりが生じたフィルタエレメントは寿命であり交換を要する。
【0055】
第1フィルタ31を交換する場合には、フィルタ保持部材をフィルタヘッド34から取り外す。ここで、ケース35の上端部351をフィルタヘッド34に螺子結合することで、フィルタ保持部材はフィルタヘッド34に対して脱着可能に取り付けられている。なお、螺子で締結した状態(図3に示す状態)においては、フィルタヘッド34の下面と蓋部材36の上面との間は密着した状態となっており、特に、入口溝343と入口孔36aとの間、出口溝344と第1出口孔36bとの間、第2流通路346と第2出口孔36cとの間は、シール部材(例えばOリング)によりシールされて燃料が漏れることを防止している。
【0056】
そして、目詰まりした第1フィルタ31を新品の第1フィルタ31に交換する場合には、ケース35の上端部351をフィルタヘッド34から取り外し、新品の第1及び第2フィルタ31,32が保持された新たなフィルタ保持部材をフィルタヘッド34に取り付ける。つまり、第1フィルタ31を新品に交換する場合には、フィルタ保持部材及び第2フィルタ32ごと第1フィルタ31を交換する。
【0057】
次に、図3に示す燃料濾過装置30の作動について説明する。
【0058】
第1フィルタ31が目詰まりしていない通常時には、バルブ33の閉弁により、第2フィルタ32へ通じる第2流通路346は閉塞される(図3及び図2(a)に示す状態)。そのため、燃料入口通路341から流入して、入口溝343、入口孔36aを通じて収容空間35aへ流入した燃料は、第2流通経路30bを流れることなく、第1流通経路30aを流れる。つまり、第1フィルタ31へ流通して第2フィルタ32への流通は遮断される。
【0059】
そして、第1フィルタ31の目詰まりが進行してくると、フィードポンプ41の吸入負圧が大きくなり、第1フィルタ31の下流側圧力(燃料出口通路342の圧力)が低下する。すると、バルブ33の下流側圧力(バルブ収容室347の圧力)が低下してバルブ33は開弁作動する(図2(b)に示す状態)。そのため、燃料入口通路341から流入した燃料は、第1フィルタ31の目詰まりにより圧力損失が高くなっている第1流通経路30aへは流れず、第1フィルタ31に比べて圧力損失が低くなっている目詰まりしていない第2フィルタ32を流れることとなる。
【0060】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0061】
(1)通常時に使用する第1フィルタ31に加え第2フィルタ32を備える。そして、通常時には、第1フィルタ31へ燃料が流通して第2フィルタ32への流通はバルブ33により遮断され、第1フィルタ31の目詰まり発生時には、バルブ33の開弁作動に伴い第2フィルタ32へ燃料が流通する。そのため、通常時には、第1フィルタ31によりフィルタ機能を発揮させて第2フィルタ32では燃料中の異物を捕捉させず、第1フィルタ31の目詰まり発生時には、通常時には使用していなかった第2フィルタ32にフィルタ機能を発揮させることとなる。したがって、第1フィルタ31の目詰まり発生時には、第1フィルタ31を交換するまでの間、第2フィルタ32を使用した状態で内燃機関を運転できるので、内燃機関への燃料供給不足を解消して出力低下状態になることを回避できる。
【0062】
(2)本実施形態では、フィードポンプ41の下流側に配置された燃料濾過装置30を対象とし、フィードポンプ41の吸入負圧により燃料濾過装置30内部を燃料が流通するものである。そして、このような吸入負圧タイプの燃料濾過装置30において、第1フィルタ31の下流側通路をバルブ33の下流側と連通させ、第1フィルタ31の目詰まり発生に伴い第1フィルタ31の下流側圧力が低下して、バルブ33の下流側圧力が所定圧を下回った場合に、バルブ33は開弁作動するよう設定されている。そのため、通常時と目詰まり発生時とで第1及び第2流通経路30a,30bを切り替えることを、バルブ33に電磁式バルブを用いることなく機械式バルブを採用しつつ実現できる。よって、電磁式バルブを用いて電子制御する場合に必要となる電子回路等の電子制御手段を不要にできるとともに、安価な機械式バルブを採用してコストダウンを図ることができる。
【0063】
(3)ここで、第2フィルタ32は通常時には使用しないものの、第1フィルタ31の目詰まりに伴い使用を繰り返していくと第2フィルタ32にも目詰まりが発生するため、第2フィルタ32も交換を要する。この点を鑑みた本実施形態では、第1及び第2フィルタ31,32の両方を1つのフィルタ保持部材に保持させ、両フィルタ31,32を保持したままでフィルタ保持部材をフィルタヘッド34に対して脱着可能とする。よって、第1フィルタ31を新品に交換する場合には、フィルタ保持部材及び第2フィルタ32ごと第1フィルタ31を交換することとなるので、両フィルタ31,32をフィルタヘッド34から別々に取り外して交換する構成とした場合に比べて、第2フィルタ32の交換し忘れを抑制できる。さらに、本実施形態によれば、第2フィルタ32の交換作業を第1フィルタ31の交換作業と同時に行うことができるので、両フィルタ31,32の交換の作業性を向上できる。
【0064】
(4)本実施形態では、第1フィルタ31の目詰まり発生に伴いバルブ33が開弁作動すると、スイッチ333により開弁信号がECU10に出力されるので、この開弁信号の有無に基づき第1フィルタの交換時期をECU10は把握することができる。つまり、第1及び第2流通経路30a,30bを切り替えるバルブ33を利用して第1フィルタ31の交換時期(目詰まり発生時期)を把握できるので、第1フィルタ31の目詰まり状態を検出する専用の検出手段(例えば、第1フィルタ31の前後差圧を検出する差圧センサ)を不要にできる。
【0065】
(5)本実施形態では、第2フィルタ32の濾過面積を第1フィルタ31の濾過面積よりも小さくする。具体的には、円筒形状である両フィルタ31,32の径方向寸法については同一にしつつ、第2フィルタ32の円筒軸方向(上下方向)寸法については、第1フィルタ31よりも小さくする。第2フィルタ32は第1フィルタ31に比べて使用頻度が低いので、このように第2フィルタ32を第1フィルタ31より小さくすることで、通常時における第1フィルタ31のフィルタ機能、及び目詰まり発生時における第2フィルタ32のフィルタ機能を十分に発揮させつつ、燃料濾過装置30の上下方向における搭載スペースを小さくできる。
【0066】
(第2実施形態)
図1に示す上記第1実施形態では、フィードポンプ41及び高圧ポンプ42を同一ケース内に収容してポンプ装置40を構成し、燃料濾過装置30をフィードポンプ41の下流側に配置している。つまり、上記第1実施形態にかかる燃料濾過装置30は、フィードポンプ41の吸入負圧により第1及び第2流通経路30a,30bに燃料を流通させる吸入負圧タイプである。
【0067】
これに対し、図4に示す本実施形態にかかるポンプ装置40はフィードポンプ41及び高圧ポンプ42を別体に構成しており、燃料濾過装置30をフィードポンプ41の上流側に配置している。つまり、本実施形態にかかる燃料濾過装置30は、フィードポンプ41の吐出圧により第1及び第2流通経路30a,30bに燃料を流通させる吐出圧(正圧)タイプである。なお、本実施形態にかかる燃料濾過装置30の構造は図3に示す上記第1実施形態と同じであり、後述するバルブ33の設定圧が異なるだけである。
【0068】
すなわち、図5に示す如く本実施形態の燃料濾過装置30は、上記第1実施形態と同様にして2つのフィルタ(第1フィルタ31及び第2フィルタ32)を備えている。燃料濾過装置30の内部に形成される流通経路には、第1フィルタ31が配置される第1流通経路30a、及び第2フィルタ32が配置される第2流通経路30bが設けられ、両流通経路30a,30bは並列配置となるよう連通している。そして、第2流通経路30bのうち第2フィルタ32の下流側部分には、第2流通経路30bを開閉するバルブ33が設けられ、このバルブ33は、前後差圧が設定圧を超えた時に開弁作動する。
【0069】
第1フィルタ31が目詰まりしていない通常時には、バルブ33の弁体331が閉弁するようスプリング33の弾性力は設定されている(図5(a)参照)。すなわち、バルブ33の前記設定圧は、通常時におけるバルブ33の前後差圧よりも高い。
【0070】
そして、第1フィルタ31の目詰まりが進行してくると、第1フィルタ31の上流側圧力、つまりフィードポンプ41の吐出側の圧力(正圧)が大きくなる。そして、このようにフィードポンプ41の正圧が大きくなれば、第2フィルタ32の上流側及び下流側の圧力が上昇し、バルブ33の上流側圧力も同時に上昇することとなるので、バルブ33の前後差圧が大きくなり、図5(b)に示すようにバルブ33の弁体331がスプリング33の弾性力に抗して開弁するよう作動する。換言すれば、第1フィルタ31の目詰まり発生時点で弁体331が開弁するよう、スプリング33の弾性力は設定されている。すなわち、バルブ33の前記設定圧は、第1フィルタ31の目詰まり発生時点におけるバルブ33の前後差圧と一致するよう設定されており、目詰まり発生時の前記正圧に基づき設定されている。
【0071】
以上詳述した本実施形態によれば、上記(1),(3)〜(5)の効果が得られるとともに、上記(2)と同様にして以下の効果が得られるようになる。
【0072】
(6)本実施形態では、フィードポンプ41の上流側に配置された燃料濾過装置30を対象とし、フィードポンプ41の吐出圧により燃料濾過装置30内部を燃料が流通するものである。そして、このような吐出正圧タイプの燃料濾過装置30において、第2フィルタ32の下流側通路をバルブ33の上流側と連通させ、第1フィルタ31の目詰まり発生に伴い第2フィルタ32の下流側圧力が上昇して、バルブ33の上流側圧力が所定圧を上回った場合に、バルブ33は開弁作動するよう設定されている。そのため、通常時と目詰まり発生時とで第1及び第2流通経路30a,30bを切り替えることを、バルブ33に電磁式バルブを用いることなく機械式バルブを採用しつつ実現できる。よって、電磁式バルブを用いて電子制御する場合に必要となる電子回路等の電子制御手段を不要にできるとともに、安価な機械式バルブを採用してコストダウンを図ることができる。
【0073】
さらに、上記第1及び第2実施形態にかかる燃料濾過装置30によれば、フィードポンプ41の上流側に配置する場合とフィードポンプ41の下流側に配置する場合とで、バルブ33の設定圧を変更するだけでいずれの場合の燃料濾過装置30にも適用できる。つまり、吸入負圧タイプの場合には、目詰まり発生時におけるバルブ33の下流側圧力(負圧)に基づきバルブ33を選定し、正圧タイプの場合には、目詰まり発生時におけるバルブ33の上流側圧力(正圧)に基づきバルブ33を選定すればよく、燃料濾過装置30のうちバルブ33以外の構成を両タイプにおいて共通化できる。
【0074】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、第1及び第2フィルタ31,32は各々別体に形成されたエレメントであるが、1つのエレメントにより第1及び第2フィルタ31,32を構成してもよい。つまり、図3に示す中間ステー372を廃止して、1つのエレメントの下流側において仕切りプレート363により、第1流通経路30aと第2流通経路30bとを仕切ることで、1つのエレメントのうち仕切りプレート363よりも上側の部分を第1フィルタ31として機能させ、仕切りプレート363よりも下側の部分を第2フィルタ32として機能させるようにしてもよい。これによれば、第1及び第2フィルタ31,32を各々別体のエレメントで構成した場合に比べて、中間ステー372を廃止できる等、燃料濾過装置30の構造を簡素にできる。但し、上記第1及び第2実施形態の如く、第1及び第2フィルタ31,32を中間ステー372で仕切る構成とした場合には、通常時において燃料中の異物により第2フィルタ32が汚れる度合いを低減できる。
【0076】
・上記各実施形態では、第1フィルタ31を交換する場合には、第2フィルタ32ごと第1フィルタ31を交換するよう構成しているが、フィルタ保持部材に対して第1及び第2フィルタ31,32をそれぞれ脱着可能に構成し、フィルタ保持部材をフィルタヘッド34から取り外した後、第1及び第2フィルタ31,32をそれぞれ別々に交換可能に構成してもよい。これによれば、第1フィルタ31交換時に第2フィルタ32の目詰まりが進行していなければ、第2フィルタ32を交換することなく継続して使用することができる。
【0077】
・上記各実施形態では、1つのフィルタ保持部材に第1及び第2フィルタ31,32を保持させているが、別々のフィルタ保持部材に第1及び第2フィルタ31,32の各々を保持させるよう構成してもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、バルブ33にスイッチ333を設け、当該スイッチ333からの開弁信号の有無に基づき第1フィルタ31の目詰まり発生を検出しているが、本発明はこのような検出手法に限られるものではなく、例えばバルブ33の前後差圧を検出する差圧センサを設けて、当該差圧センサの検出信号に基づき目詰まり発生を検出するようにしてもよい。或いは、車両走行距離に基づき目詰まり発生を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
30…燃料濾過装置、31…第1フィルタ、32…第2フィルタ、33…バルブ(流路切替手段)、333…スイッチ(出力手段)、34…フィルタヘッド、342…燃料出口通路(バルブの下流側通路、燃料出口通路)、345…第1流通路(第1フィルタの下流側通路)、346…第2流通路(バルブの上流側通路(第2フィルタへ通じる流通路))、35…ケース(フィルタ保持部材)、36…蓋部材(フィルタ保持部材)、361…外側パイプ(フィルタ保持部材)、361b…外側パイプの円筒内部(第2フィルタの下流側通路)、362a…内側パイプの円筒内部(第2フィルタの下流側通路)、362…内側パイプ(フィルタ保持部材)、363…仕切りプレート(フィルタ保持部材)、371…上側ステー(フィルタ保持部材)、372…中間ステー(フィルタ保持部材)、373…下側ステー(フィルタ保持部材)、41…フィードポンプ(燃料ポンプ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料中の異物を濾過する第1フィルタ及び第2フィルタと、
前記第1フィルタが目詰まりしていない通常時には、前記第1フィルタへ燃料を流通させるとともに前記第2フィルタへの流通を遮断し、前記第1フィルタの目詰まりが所定以上に進行した目詰まり時には、前記第2フィルタへ燃料を流通させるよう流通経路を切り替える流路切替手段と、
を備えることを特徴とする燃料濾過装置。
【請求項2】
前記流路切替手段は、前記通常時には前記第2フィルタへ通じる流通路を閉塞し、前記目詰まり時には前記流通路を開放するバルブを有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料濾過装置。
【請求項3】
前記バルブは、当該バルブの前後差圧が設定圧を超えた時に開弁作動する機械式バルブであるとともに、前記前後差圧が前記第1フィルタの目詰まり度合いに応じて変化するよう配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料濾過装置。
【請求項4】
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、燃料ポンプへ吸入される燃料の吸入経路に配置され、
前記第1フィルタの下流側通路を前記バルブの下流側通路と連通させ、
前記目詰まりの進行に伴い前記第1フィルタの下流側圧力が低下して、前記バルブの下流側圧力が所定圧を下回った場合に、前記バルブは開弁作動するよう設定されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料濾過装置。
【請求項5】
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、燃料ポンプから吐出される燃料の吐出経路に配置され、
前記第2フィルタの下流側通路を前記バルブの上流側通路と連通させ、
前記目詰まりの進行に伴い前記第2フィルタの下流側圧力が上昇して、前記バルブの上流側圧力が所定圧を上回った場合に、前記バルブは開弁作動するよう設定されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料濾過装置。
【請求項6】
前記流通路を開放するよう前記バルブが開弁作動した時に、開弁信号を出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の燃料濾過装置。
【請求項7】
燃料入口及び燃料出口を形成するフィルタヘッドと、
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタを保持して前記フィルタヘッドに取り付けられるフィルタ保持部材と、
を備え、
前記フィルタ保持部材は、前記燃料入口から流入した燃料が前記第1フィルタ及び前記第2フィルタの一方を通過して前記燃料出口から流出するよう内部に燃料通路を形成し、かつ、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタを保持したまま前記フィルタヘッドに対して脱着可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃料濾過装置。
【請求項8】
前記第2フィルタの濾過面積を前記第1フィルタの濾過面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の燃料濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−180733(P2010−180733A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23342(P2009−23342)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】