説明

燃料防盗装置およびこれを備えた燃料用タンク

【課題】屋外設置型燃料タンクに設けられている、給油口、油量計、通気管等から、燃料を抜き取ることを有効に防止することができる燃料防盗装置、およびこれを備えた燃料用タンクを提供する。
【解決手段】 屋外設置形燃料用タンク1において、燃料タンクの上部に設けられた油量計3又は通気管4の少なくとも一方と給油口2の両者に、燃料防盗装置を施してなることを特徴とする燃料用タンク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
原油価格の高騰に伴い、燃料用タンクから燃料を抜き取る盗難が増加している。 本発明は、この燃料の盗難を防止するための燃料防盗装置およびこの燃料防盗装置を備えた燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置としては、燃料の盗難によく使われる燃料吸引チューブが、挿入出来ないように、網や横棒等の進入阻止手段を施した燃料盗難防止用キャップを給油口等に嵌めたり、給油口等に施錠手段を設けたりしたものが一般的である(例えば特許文献1または2参照)。
【特許文献1】特開平11−100060号公報
【特許文献2】特開2008−64369号公報
【0003】
しかし、特許文献1に記載のものは、円筒の長さが浅いと給油ガンが挿入出来ず、うまく給油が出来なかったり、オートストップ機能が働かない虞があり、特許文献2に記載のものは、では留守中に燃料の供給が出来ない、また保護カバーは破壊され易くこれにより盗難が可能となるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、屋外設置型燃料タンクに設けられている、給油口、油量計、通気管等から、燃料を抜き取ることを有効に防止することができるとともに、従来の前記した問題が生じない燃料防盗装置、およびこれを備えた燃料用タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、屋外設置型燃料タンクに設けられている、給油口、油量計、通気管等から、燃料を抜き取ることを防止するために考えられたもので、その具体的な解決手段は、次の通りである。
【0006】
(1) 屋外設置型燃料用タンクの給油口に、有孔円筒管を傾斜可能に挿入してなることを特徴とする燃料用タンクの給油口における燃料防盗装置とする。
【0007】
(2) 前記(1)項において、屋外設置型燃料用タンクの給油口に、上端周縁に鍔部を設けるとともに、この鍔部の下方における上部に上方への抜止め用折り返し片を設け、かつ底部に燃料用吸引チューブが挿入不可能な邪魔板を取り付けてなる有孔円筒管を挿入する。
【0008】
(3) 前記(1)項において、屋外設置型燃料用タンクの給油口に挿入する有孔円筒管を、2枚の半割管を抱き合わせて、円筒管を形成するとともに、前記円筒管の上端周縁に上下二段の鍔部を形成し、かつ半割管の内部に拡径手段を設けて、円筒管の上部が拡径しうるように半割管の下端部同士を連結して、前記拡径手段によって円筒管の上部を拡径させることにより、前記二段の鍔部の間で給油口の周縁部を保持する。
【0009】
(4) 前記(1)項において、屋外設置型燃料用タンクの給油口に、上端周縁に鍔部を有し、下部を閉塞してなる金網製円筒管を挿入し、かつ前記鍔部を給油口の周縁に固着する。
【0010】
(5) 屋外設置型燃料用タンクの油量計の口金の上面に配設された閉塞板の下面に、この閉塞板の直径方向の一端位置において、口金の下面を係止する係止片を設けて、この係止片と閉塞板をもって口金を挾持するとともに、直径方向の他端位置において、キーの開閉操作により、口金の下面を係止し、かつこの係止を解除しうるキー装置を取り付けてなる燃料タンクの油量計における燃料防盗装置とする。
【0011】
(6) 屋外設置型燃料用タンクの通気管の管路に金網又は複数の孔を設けた板体を管路を閉塞するように配設してなる燃料タンクの通気管における燃料防盗装置とする。
【0012】
(7) 屋外設置形燃料用タンクにおいて、燃料タンクの上部に設けられた油量計又は通気管の少なくとも一方と給油口の両者に、燃料防盗装置を施してなることを特徴とする燃料用タンクとする。
【0013】
(8) 燃料防盗装置が、前記(1)〜(6)のいずれかである前記(7)記載の燃料用タンクとする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によると、有孔円筒管が傾斜可能であるため給油ガンの先端を確実に挿入・保持出来、オートストップ等給油ガンの機能を十分活用できる。
【0015】
請求項2の発明によると、単に給油口から有孔円筒管を挿入するだけで、簡単に防盗装置を取り付けることができる。
【0016】
請求項3の発明によると、拡径手段の操作により、有孔円筒管の着脱が容易に行うことができる。
【0017】
請求項4の発明によると、有孔円筒管を金網製円筒管で形成してあるので、円筒管の上端周縁の鍔部を給油口の周縁に固定しても、金網で形成されているため給油ガンの先端を挿入しても傾斜し、給油ガンの機能を十分発揮できる。
【0018】
請求項5の発明によると、油量計取付部からの燃料盗難を有効に防止できる。
【0019】
請求項6の発明によると、通気管からの燃料盗難を有効に防止できる。
【0020】
請求項7の発明によると、給油口だけでなく、油量計又は通気管の少なくとも一方に燃料の防盗手段が施してあるので、燃料の盗難をより完全に防止することができる。
【0021】
請求項8の発明によると、給油口だけでなく、油量計又は通気管の少なくとも一方に燃料の防盗手段が施してあるので、燃料の盗難をより完全に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施形態を挙げて、添付図面を参照し乍ら説明する。
図1に示すように、屋外設置型燃料タンク1には、上部に給油口2、油量計3、通気管4が、下部には送油口5が設けられている。
【0023】
給油口に取り付ける図2に示す燃料防盗装置は、金属製又は合成樹脂製の有孔円筒管6の上端部に鍔部7を設け、給油口の周縁部8で保持されるようになっている。
【0024】
有孔円筒管6の上部には、ばね状の外側への返しにより、上方への抜止めのための抜止め用折り返し片9が設けられており、給油口から有孔円筒管6を挿入すると有孔円筒管6は、抜止め用折り返し片9により、上方に抜けないようになっている。
【0025】
有孔円筒管6の下部は、燃料の吸引チューブをタンク内に進入し得ないように、板状の邪魔板10により、閉塞されている。
【0026】
邪魔板10は、吸引チューブが燃料タンクの内部に進入し得ないようになっていればよく、板状、金網状、小孔板等のいずれであっても良い。
【0027】
有孔円筒管6の周壁には小窓11が設けられており、給油口より、供給される燃料をタンク内に貯留出来るようになっている。
【0028】
有孔円筒管6の周壁には小窓11に換えて、あるいは同時に多数の小孔(図示省略)が設けられている。
【0029】
給油する際には、蓋12を取り外し、給油タンクのホースあるいは給油ガンの先端を有孔円筒管6内に挿入し、給油することができる。
【0030】
この際、給油ガンが有効に機能するように、想像線で示すごとく、有孔円筒管6は傾斜するようになっており、給油ガンを人が保持しなくても給油出き、給油ガンのオートストップ機能等も支障なく活用することができる。
【0031】
吸引チューブ等を用いて燃料を吸引しようとすると、吸引チューブは有孔円筒管6内よりタンク内に進入することが出きず、有孔円筒管6の邪魔板10より上位の燃料しか吸引することは出きない。
【0032】
図3〜図6は、他の実施例を示し、燃料用タンクの給油口に挿入する有孔円筒管を、2枚の半割管13a,13bを抱き合わせて、円筒管13を形成し、前記円筒管13の上端周縁に二段の鍔部14a,14bを形成し、半割管の内部に拡径手段を設けて、円筒管13の上部が拡径しうるように半割管の下端部同士をピン15で連結してあり、前記拡径によって、前記二段の鍔部14a,14bの間で給油口の周縁部8を保持しうるようになっている。
【0033】
反割管13a,13bの下部には図5に示す様に、縦長孔16a,16bが設けられており、山折り円盤状の開脚板17の下端部に設けられた固定片17a,17bが挿入できるようになっている。
【0034】
山折り円盤状の開脚板17の中心の孔にボルト18を挿通し、ピン15の軸19に設けた雌ねじ孔20に螺合することができ、ボルト18の頭部21の六角形の凹部に、図6で示す六角形の断面を有するL型治具22を差し込み、回転させることにより、開脚板17が開脚し、円筒管13の上部が拡径するようになっている。
【0035】
円筒管13の上部を縮径するには上記治具22を逆回転すればよい。
なお簡単に円筒管を外せないように、山折り円盤状の開脚板17とほぼ同様な形状を有する目隠板23が開脚板17の上部に取り付けられており、目隠板23の中心に設けられた孔24を通してL型治具22により上述の拡径・縮径の操作を行うようになっている。
【0036】
図7〜図10は、他の実施例を示し、燃料用タンクの給油口に挿入する有孔円筒管を、2枚の半割管25a,25bを抱き合わせて、円筒管25を形成し、前記円筒管25の上端周縁に二段の鍔部26a,26bを形成し、半割管の内部に拡径手段を設けて、円筒管25の上部が拡径しうるように半割管の下端部を半月状の底板27に固着し、底板27同士を蝶番28で連結してある。前記拡径により、前記二段の鍔部26a,26bの間で給油口の周縁部8を保持しうるようになっている。
【0037】
反割管25a,25bは、図9に示す様に、上方には小孔29が下方には、小窓30が設けられており、下端部には、底板取付け片31が、設けられており、底板27の周縁部に溶接等により、固着するようになっている。また底板取付け片31の上方には抜止め片32が形成されており、円筒状にした際、内側へ折曲されるようになっている。
【0038】
上述の円筒管25を給油口2に挿入し、給油口の周縁部8を鍔部26aと鍔部26bの間に位置させた状態で、工業用錠前33を円筒管25に挿入することにより、円筒管25の上部が拡径するようになっている。
【0039】
工業用錠前33は、楕円形の取付板34に取り付けられており、取付板34の長手方向の寸法が、ほぼ周縁部8の内径と一致しているため、円筒管25は周縁部8に摺動可能に固定されるようになっている。
取付板34は円筒管25内で突っ張り状態で固定されており、工業用錠前33のキー操作により、止め金35が90度回転するようになっている。
【0040】
工業用錠前33を挿入する際は、取付板34と止め金35は同方向の状態で挿入し、キー操作で止め金35を90度回転させると、止め金35は抜止め片32により上方への移動は出きなくなっている。
【0041】
キー36には、図10で示す様に、治具37が溶接等により固定されており、給油口2より、キー36付きの治具37を挿入し、工業用錠前33を操作し、引き出すことにより、円筒管25からの工業用錠前33の脱着が可能である。
【0042】
図11は他の実施例を示す正面図である。
燃料用タンクの給油口に挿入する有孔円筒管を、筒状の金網製とし、上端周縁に鍔部39を取付け、下部を針金40等により閉塞した例である。
【0043】
本実施例によれば、給油口2の周縁部8に、鍔部39を溶接等により、固着してあり、金網製であるので給油ガンを挿入した際、給油ガンの先端とともに傾斜可能であり、吸引チューブの挿入も金網に阻止されて、タンク内へは挿入することは出きない。
【0044】
図12及び図13図は、油量計における燃料の防盗装置を示す、部分正面図及び閉塞板の平面図である。
油量計3の口金41の上面に配設された閉塞板42の下面に、この閉塞板42の直径方向の一端位置において、口金41の下面を係止する係止片44を設けて、この係止片44と閉塞板42をもって口金41を挾持するとともに、直径方向の他端位置において、キーの開閉操作により、口金の下面を係止し、かつこの係止を解除しうるキー装置45が取り付けてある。
【0045】
係止片44とキー装置45の係止片45aが直径方向に直線状になった時は施錠状態となり閉塞板42は口金41から外すことはできない。
【0046】
キー装置45を解除すれば係止片44のみが口金41の裏面を係止することになるので、少し閉塞板42をずらせば簡単に閉塞板42を口金41から取外すことが出きる。
【0047】
なお油量計3は、透明なプラスチック製保護カバー46を被せてあり、保護カバー46には目盛り47が付してあり、フロート43の高さにより、タンク内の油量が判るようになっている。
【0048】
図14〜図17は、通気管における燃料の防盗装置に関する図であり、図14は、燃料タンクの通気管の取付部を示す一部断面正面図であり、図15〜図17は、防盗装置を構成する金属板の平面図である。
【0049】
通気管4は、通常燃料タンクの上面にねじ込み式で取り付けられていることが多い。
したがって、通気管を取り外し、吸引チューブを差し込めば、簡単に燃料を盗むことが可能である。
【0050】
そこで、通気管4の管路に金網又は複数の孔を設けた金属板47を取り付けて吸引チューブ等がタンク内に挿入出きないようにしたものである。
【0051】
図15は、金網を取り付けた金属板47を示す例である。
【0052】
図16は、複数の孔を設けた金属板48を示す例である。
【0053】
図17は、半月状の孔を設けた金属板49を示す例である。
【0054】
図14〜図17は、通気管4の管路に金網又は複数の孔を設けた金属板を取り付ける例を示したが、タンク本体における通気管4の管路に直接金網又は複数の孔を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の燃料タンクの正面図である。
【図2】給油口における防盗装置の一実施形態を示す正面図である。
【図3】給油口における防盗装置の他の実施形態を示す正面図である。
【図4】図3における底面図である。
【図5】図3における側面図である。
【図6】図3に示す実施形態における治具を示す正面図である。
【図7】給油口における防盗装置の他の実施形態を示す正面図である。
【図8】図7における平面図である。
【図9】図7における半割管の展開図である。
【図10】図7に示す実施形態における治具を示す正面図である。
【図11】給油口における防盗装置の他の実施形態を示す正面図である。
【図12】油量計における防盗装置の一実施形態を示す部分正面図である。
【図13】図12における閉塞板の平面図である。
【図14】通気管における防盗装置の一実施形態を示す一部断面正面図である。
【図15】金網を取り付けた金属板を示す平面図である。
【図16】複数の孔を設けた金属板を示す平面図である。
【図17】半月状の孔を設けた金属板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 燃料タンク
2 給油口
3 油量計
4 通気管
5 送油口
6 有孔円筒管
7 鍔部
8 周縁部
9 抜止め用折り返し片
10 邪魔板
11 小窓
12 蓋
13 円筒管
13a,13b半割管
14 鍔部
14a,14b摺動体
15 ピン
16a,16b上向き突片
17 開脚板
17a,17b固定片
18 ボルト
19 軸
20 雌ねじ孔
21 頭部
22 L型治具
23 目隠板
24 孔
25 円筒管
26a,26b 鍔部
27 底板
28 蝶番
29 小孔
30 小窓
31 板取付け片
32 抜止め片
33 工業用錠前
34 取付板
35 止め金
36 キー
37 治具
38 有孔円筒管
39 鍔部
40 針金
41 口金
42 閉塞板
43 フロート
44 係止片
45 キー装置
45a係止片
46 保護カバー
47 金属板
48 金属板
49 金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外設置型燃料用タンクの給油口に、有孔円筒管を傾斜可能に挿入してなることを特徴とする燃料用タンクの給油口における燃料防盗装置。
【請求項2】
屋外設置型燃料用タンクの給油口に、上端周縁に鍔部を設けるとともに、この鍔部の下方における上部に上方への抜止め用折り返し片を設け、かつ底部に燃料用吸引チューブが挿入不可能な邪魔板を取り付けた有孔円筒管を挿入してなる請求項1記載の燃料防盗装置。
【請求項3】
屋外設置型燃料用タンクの給油口に挿入する有孔円筒管を、2枚の半割管を抱き合わせて、円筒管を形成するとともに、前記円筒管の上端周縁に上下二段の鍔部を形成し、かつ半割管の内部に拡径手段を設けて、円筒管の上部が拡径しうるように半割管の下端部同士を連結して、前記拡径手段によって円筒管の上部を拡径させることにより、前記二段の鍔部の間で給油口の周縁部を保持した請求項1記載の燃料防盗装置。
【請求項4】
屋外設置型燃料用タンクの給油口に、上端周縁に鍔部を有し、下部を閉塞してなる金網製円筒管を挿入し、かつ前記鍔部を給油口の周縁に固着した請求項1記載の燃料防盗装置。
【請求項5】
屋外設置型燃料用タンクの油量計の口金の上面に配設された閉塞板の下面に、この閉塞板の直径方向の一端位置において、口金の下面を係止する係止片を設けて、この係止片と閉塞板をもって口金を挾持するとともに、直径方向の他端位置において、キーの開閉操作により、口金の下面を係止し、かつこの係止を解除しうるキー装置を取り付けてなる燃料タンクの油量計における燃料防盗装置。
【請求項6】
屋外設置型燃料用タンクの通気管の管路に金網又は複数の孔を設けた板体を管路を閉塞するように配設してなる燃料タンクの通気管における燃料防盗装置。
【請求項7】
屋外設置形燃料用タンクにおいて、燃料タンクの上部に設けられた油量計又は通気管の少なくとも一方と給油口の両者に、燃料防盗装置を施してなることを特徴とする燃料用タンク。
【請求項8】
燃料防盗装置が、請求項1〜6のいずれかである請求項7記載の燃料用タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−83552(P2010−83552A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255167(P2008−255167)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(596103400)株式会社サンダイヤ (2)
【Fターム(参考)】