説明

燃料電池のガス流路構造

【課題】
カソード側セパレータの突起部下の滞留生成水を効率的にアノード側へ逆拡散させ、燃料電池の高温・性能を向上することができる燃料電池のガス流路構造を提供する。
【解決手段】
アノード側セパレータ20の突起22の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積をカソード側セパレータ30の突起32の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積よりも狭くする。突起22間に形成される燃料ガス流路21の流路ピッチを突起32間に形成される酸化ガス流路31の流路ピッチよりも小さくして、突起32と突起22とをずらして配置する。膜電極接合体10とのコンタクト率を、カソード側セパレータ30の突起32による膜電極接合体10とのコンタクト率よりも小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のガス流路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質形燃料電池は、図5(a)に示すように、イオン交換膜からなる電解質膜51と前記膜の一面に配置されたアノード(燃料極)52、ガス拡散層54、前記電解質膜の他面に配置されたカソード(酸素極)53、及びガス拡散層55とからなる膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)と、アノード、カソードに燃料ガス(水素)及び酸化剤ガス(酸素、通常は空気)を供給するためのガス流路61,71を形成するための突起62,72を有するセパレータ60,70とを、交互に配置している。そして、燃料電池は前記MEAとセパレータからなる単電池(単セル)の積層体を締め付けて一体化したスタックからなる。固体高分子電解質形燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること等の利点を有することから、特に、車両等の移動体用電源として注目されている。図5(a)の一般的な燃料電池(単セル)では、アノード側セパレータ60の突起62のコンタクト率と、カソード側セパレータ70の突起72のコンタクト率は同一としている。又、突起62と突起72のそれぞれの1個当たりのMEAとの接触面積も互いに同一としている。さらに、ガス流路61とガス流路71の流路ピッチも同一としている。
【0003】
この種の燃料電池の実用化のためには、小型化及び低コスト化が求められている。このため、冷却・加湿系を簡略化できる高温・無加湿運転条件の下で行うことが可能な燃料電池が望まれている。
【0004】
前記高温・無加湿運転を行うために、カソード側生成水の逆拡散、すなわち、カソード側からアノード側への生成水の拡散を促進することが有効である(特許文献1)。そのためには、アノード流路(燃料ガス流路)において、生成水の蒸発を促進させることが効果的である。
【0005】
蒸発促進のためには、アノード流路(燃料ガス流路)において、セパレータがアノードに接触する突起部の面積を狭くし、突起部間の距離、すなわち、燃料ガス流路流路幅を広くして、流路が占める比率を大にすることが提案されている(特許文献2)。
【0006】
特許文献2の燃料電池(単セル)では、アノード側セパレータ60の突起62のコンタクト率は、カソード側セパレータ70の突起72のコンタクト率よりも小さくしている。又、突起62と突起72のそれぞれの1個当たりのMEAとの接触面積もアノード側の突起62のほうを狭くしている。又、ガス流路61とガス流路71の流路ピッチは同一とし、図5(b)に示すように、突起62,72の中心が一致させるようにして互いに対向配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−259758号公報
【特許文献2】特開2004−342442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、アノード流路側に拡散してきた生成水は、燃料ガス流路側のセパレータの突起部下に溜まりやすいため、従来の構成では、生成水の逆拡散の促進が効率的に行われているとは言いにくい問題がある。すなわち、図5(a)に示す従来の一般的な燃料電池の構成及び特許文献2のように、アノード側に配置されて膜電極接合体に接するセパレータの突起部の流路ピッチと、カソード側に配置されて膜電極接合体に接するセパレータの突起部の流路ピッチを同一とし、両セパレータの突起部同士が対向するように配置した場合は、カソード側の突起部下の中央部の生成水の逆拡散がしにくい問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決して、カソード側セパレータの突起部下の滞留生成水を効率的にアノード側へ逆拡散させ、燃料電池の高温・性能を向上することができる燃料電池のガス流路構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置しその表面にガス拡散層を有する膜電極接合体がアノード側セパレータ及びカソード側セパレータ間に配置され、前記各セパレータには前記膜電極接合体に接する複数の突起部を有し、アノード側セパレータの突起部間が燃料ガス流路となり、カソード側セパレータの突起間が酸化ガス流路となる燃料電池のガス流路構造において、前記アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積以下とし、前記アノード側セパレータの突起部間に形成される燃料ガス流路の流路ピッチと、前記カソード側セパレータの突起部間に形成される酸化ガス流路の流路ピッチを異ならしめて、カソード側セパレータの突起部とアノード側セパレータの突起部との一部又は全部をずらして配置したことを特徴とする燃料電池のガス流路構造を要旨としている。
【0011】
請求項1の発明の構成によれば、アノード側セパレータの突起部の膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積が、カソード側セパレータの突起部の膜電極接合体の1個当たりの接触面積以下とし、燃料ガス流路と酸化ガス流路の流路ピッチを異ならしめて、カソード側セパレータの突起部とアノード側セパレータの突起部とをずらして配置することにより、カソード側セパレータの突起部下に滞留した生成水は、アノード側セパレータの突起部下を除いた膜電極接合体の領域への移動距離が、そうでない場合よりも短くなる。このため、カソード側セパレータの突起部下に滞留した生成水の逆拡散効率が高まる。すなわち、逆拡散されるまでのカソード側の突起下に滞留した生成水が、アノード側セパレータのガス流路までに辿る距離が短くなり、逆拡散効果を促進できる。特に、カソード側セパレータの突起部とアノード側セパレータの突起部の一部又は全部をずらして配置しているため、カソード側セパレータの突起部の中央部に滞留した生成水の逆拡散効率が高まる。
【0012】
なお、ずらして配置するとは、アノード側セパレータの突起部とカソード側セパレータの突起部とが対向している各突起部の中心が一致して対向していないことをいう。
請求項2の発明は、請求項1において、前記燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも小さくしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明では、燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも小さくした場合においても、請求項1の作用を容易に実現する。
請求項3の発明は、請求項2において、前記アノード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率を、前記カソード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率よりも小さくしたことを特徴とする。コンタクト率は、ガス拡散層の突起部側に向く表面の全面積に対する突起部の全部の接触面積の割合である。
【0014】
請求項3の発明によれば、アノード側セパレータの突起部による膜電極接合体とのコンタクト率を、前記カソード側セパレータの突起部による膜電極接合体とのコンタクト率よりも小さくし、かつ、燃料ガス流路の流路ピッチが、酸化ガス流路の流路ピッチよりも小さくしているため、アノード側セパレータの突起部の数が増加し、アノード側セパレータの突起部と膜電極接合体との集電抵抗の低減が可能となる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項2において、前記アノード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率を、前記カソード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率と同じにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明によれば、アノード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率を、前記カソード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率と同じにすることにより、コンタクト率が異なる場合に比して、両セパレータの突起部による膜電極接合体に対する損傷を抑制する。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1において、前記燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも大きくしたことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも大きくした場合でも、請求項1に記載の作用を容易に実現する。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5において、前記アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積と同じとしたことを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明によれば、アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積と同じにしても、請求項1の記載の作用を容易に実現する。
【0020】
請求項7の発明は、請求項5において、前記アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積よりも狭くしたことを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明によれば、アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積よりも狭くしたことにより、すなわちコンタクト率は、カソード側がアノード側よりも大きいため、酸化ガス流路の酸化ガスによる生成水の蒸発を抑制できる効果(蓋効果)を有して、より積極的に逆拡散を向上する。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項において、前記アノード側セパレータ及び前記カソード側セパレータの少なくともいずれか一方のセパレータは、多孔体流路を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明によれば、アノード側セパレータ及び前記カソード側セパレータの少なくともいずれか一方のセパレータを多孔体流路を含む構成としても、請求項1乃至請求項7のいずれかの作用を容易に実現する。
【0024】
請求項9の発明によれば、請求項1乃至請求項8のいずれか1項において、前記
アノード側セパレータの突起部がガス流れ方向と直交する方向に延びる短辺と前記ガス流れ方向に沿って延びる長辺を有する矩形状に形成され、前記短辺の長さを前記膜電極接合体のアノード側のガス拡散層の厚み以下としたことを特徴とする。
【0025】
請求項9の発明によれば、膜電極接合体のアノード電極からアノード側のガス拡散層(GDL)を通した燃料ガス流路への生成水の蒸発を阻害することがなく、この燃料ガス流路での蒸発促進効果により、生成水の逆拡散が促進され、結果としてより高温性能を向上する。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項において、前記アノード側セパレータの突起部が円形状に形成され、前記アノード側セパレータの突起部の半径を前記膜電極接合体のアノード側のガス拡散層の厚み以下としたことを特徴とする。
【0027】
請求項10の発明によれば、膜電極接合体のアノード電極からアノード側のガス拡散層(GDL)を通した燃料ガス流路への生成水の蒸発を阻害することがなく、この燃料ガス流路での蒸発促進効果により、生成水の逆拡散が促進され、結果としてより高温性能を向上する。
【0028】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項において、前記アノード側セパレータ及び前記カソード側セパレータの少なくともいずれか一方が金属板のプレス加工により形成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項11の発明によれば、アノード側セパレータ及びカソード側セパレータの少なくともいずれか一方が金属板のプレス加工により形成されたガス流路構造において、請求項1乃至請求項10のいずれかの作用を容易に実現する。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、アノード側セパレータの突起部の膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、カソード側セパレータの突起部の膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積以下とし、燃料ガス流路と酸化ガス流路の流路ピッチを異ならしめることにより、カソード側セパレータの突起部下の滞留生成水を効率的にアノード側へ逆拡散させ、燃料電池の高温・性能を向上することができる。特に、カソード側セパレータの突起部とアノード側セパレータの突起部とをずらして配置しているため、カソード側セパレータの突起部の中央部に滞留した生成水の逆拡散効率を高めることができる。
【0031】
請求項2の発明によれば、燃料ガス流路の流路ピッチを、燃料ガス流路の流路ピッチよりも小さくした場合においても、請求項1の効果を容易に実現できる。
請求項3の発明によれば、アノード側セパレータの突起部の数が増加し、アノード側セパレータの突起部と膜電極接合体との集電抵抗の低減ができる。
【0032】
請求項4の発明によれば、アノード側セパレータの突起部による膜電極接合体とのコンタクト率を、カソード側セパレータの突起部による膜電極接合体とのコンタクト率と同じにすることにより、コンタクト率が異なる場合に比して、両セパレータの突起部による膜電極接合体に対する損傷を抑制できる。
【0033】
請求項5の発明によれば、燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも大きくした場合でも、請求項1に記載の効果を容易に実現できる。
請求項6の発明によれば、アノード側セパレータの突起部の膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、カソード側セパレータの突起部の膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積と同じにしても、請求項1の記載の効果を容易に実現する。
【0034】
請求項7の発明によれば、酸化ガス流路の酸化ガスによる生成水の蒸発を抑制できる効果(蓋効果)を有して、より積極的に逆拡散を向上できる。
請求項8の発明によれば、アノード側セパレータ及び前記カソード側セパレータの少なくともいずれか一方のセパレータを多孔体流路を含む構成としても、請求項1乃至請求項7のいずれかの作用を容易に実現できる。
【0035】
請求項9及び請求項10の発明によれば、膜電極接合体のアノード電極からアノード側のガス拡散層(GDL)を通した燃料ガス流路への生成水の蒸発を阻害することがなく、この燃料ガス流路での蒸発促進効果により、生成水の逆拡散が促進され、結果としてより高温性能を向上できる。
【0036】
請求項11の発明によれば、アノード側セパレータ及びカソード側セパレータの少なくともいずれか一方が金属板のプレス加工により形成されたガス流路構造において、請求項1乃至請求項10のいずれかの効果を容易に実現する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図。
【図2】(a)は、従来例の燃料電池のガス流路構造の断面図、(b)は、本発明の第1実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図。
【図3】実施形態の拡散流速と、コンタクト幅/GDLの厚みの特性図。
【図4】(a)は第2実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図、(b)は第3実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図、(c)は第4実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図。
【図5】(a)は、一般的な従来例の一実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図、(b)は、特許文献2の一実施形態の燃料電池のガス流路構造の断面図。
【図6】セパレータの要部斜視図。
【図7】多孔体流路の斜視図。
【図8】多孔体流路の端面図。
【図9】他の多孔体流路の斜視図。
【図10】他の多孔体流路の斜視図。
【図11】他の多孔体流路の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の燃料電池のガス流路構造を図1、図2(a)、図3、及び図6を参照して説明する。
【0039】
燃料電池は、図1に示す単セルTを単数、又は複数が積層されて構成されている。単セルTは、膜電極接合体10と、膜電極接合体10の両側面を挟むように配置されて、外部から導入されたガスを供給するアノード側セパレータ20及びカソード側セパレータ30と、両セパレータ20,30と膜電極接合体10間に介在配置された図示しない樹脂フレーム(ガスケット)から構成されている。
【0040】
膜電極接合体10(MEA:Membrane−Electrode Assembly)は、イオン交換膜からなる電解質膜11と、この電解質膜の一面に配置された触媒層からなるアノード(燃料極)12及び電解質膜11の他面に配置された触媒層からなるカソード(空気極)13とからなる。
【0041】
電解質膜11は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料で作製されている。固体高分子材料としてはフッ素系の高分子膜(例えば、デュポン社製のナフィオン膜等)がある。アノード12及びカソード13は、白金微粒子を担持させた導電性カーボンブラックにより形成されている。
【0042】
膜電極接合体10とアノード側セパレータ20及びカソード側セパレータ30との間には、それぞれガス拡散層(GDL)14、15が配置されている。ガス拡散層14,15は、アノード(触媒層)12,カソード(触媒層)13に積層され、導電性を有するカーボンペーパーにより構成されている。なお、触媒層に含まれる白金は、水素をプロトンと電子に分けるのを促進したり酸素とプロトンと電子から水を生成する反応を促進する作用を有するものであるが、同様の作用を有するものであれば白金以外のものを用いてもよい。また、ガス拡散層14,15は、カーボンペーパーのほか、炭素繊維からなるカーボンクロス又はカーボンフェルトによって形成してもよく、十分なガス拡散性及び導電性を有していればよい。
【0043】
アノード側セパレータ20及びカソード側セパレータ30は、カーボン、または金属板、又は導電性樹脂、または金属板と樹脂フレーム、の何れかまたはその組み合わせからなる。
【0044】
アノード側セパレータ20には、アノード12に燃料ガス(水素)を供給するための燃料ガス流路21が形成されている。燃料ガス流路21は、アノード側セパレータ20のガス拡散層14に接触する側の面に形成された突起部としての突起22の間に形成されて、ガス流れ方向に沿って延出され溝状に形成されている。
【0045】
カソード側セパレータ30には、カソード13に酸化ガス(酸素、通常は空気)を供給するための酸化ガス流路31が形成されている。酸化ガス流路31は、カソード側セパレータ30の拡散層15に接触する側の面に形成された突起部としての突起32の間に形成されて、ガス流れ方向に沿って延出され溝状に形成されている。
【0046】
図2(a)は、アノード側セパレータ20及びカソード側セパレータ30は、平板状の金属板に対してプレス加工により、それぞれ突起22,32を形成した例である。なお、図2(a)では、後述の作用の説明のため、突起22と突起32の中心は一致させて図示している。
【0047】
突起22,32は、その先端面が、ガス拡散層14,15に対して押圧することにより接触している。突起22,32は、図5に示すように、ガス流れ方向に連続した突起(リブ状の突起)であってもよいし、或いは、突起22,32は、非連続の突起としてもよい。図1では、ガス流れ方向は、図面において、直交する方向である。なお、燃料ガス及び酸化剤ガスのガス流れ方向は平行流でもよく、或いは対向流でもよい。
【0048】
非連続の突起22,32にした場合、突起22、32の先端のセル面(セパレータ面)と平行な面内の形状は、正方形状、矩形状などにしてもよく、或いは円形状としてもよい。矩形状とする場合は、ガス流れ方向と直交する方向を矩形の短辺とし、ガス流れ方向を矩形の長辺とする。
【0049】
突起22の先端のセル面(セパレータ面)と平行な面内の形状が、正方形状、矩形状、或いは円形状の場合、突起22のコンタクト幅(ガス流れ方向とは直交する方向の辺の幅)は、ガス拡散層14の厚み以下としている。すなわち、突起22が矩形状の場合は、突起22の短辺の長さをコンタクト幅とする。又、突起22が円形状の場合は、突起22の半径をコンタクト幅とする。
【0050】
(突起、及びガス流路の大小関係について)
次に、突起22,32、及び燃料ガス流路21,酸化ガス流路31の大小関係について説明する。
【0051】
本実施形態では、アノード(図1では、「An」と表記)側の突起22のガス拡散層14に対するコンタクト率は、カソード(図1では、「Ca」と表記)側の突起32のガス拡散層15に対するコンタクト率よりも小さくしている。すなわち、Ca側の突起32のコンタクト率をAn側の突起22よりも大きくしている。
【0052】
又、An側の突起22の1箇所当たりのガス拡散層14との接触面積は、Ca側の突起32の1箇所当たりのガス拡散層15との接触面積よりも狭くしている。図1では、突起32の1箇所当たりのガス拡散層15の接触面積を「面積/個」で表している(以下、他の実施形態についても同様である。)。又、An側の燃料ガス流路21の流路ピッチは、Ca側の酸化ガス流路31の流路ピッチよりも小さくしている。
【0053】
(実施形態の作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
燃料ガス流路21に水素ガスが供給され、酸化ガス流路31に酸化ガス(酸素又は空気)が供給されると、アノード側では、水素を水素イオン(プロトン)と電子にする反応が行われる。水素イオンはアノード12、電解質膜11を介してカソード側に移動する。又、カソード側では酸素と水素イオンおよび電子(隣りの膜電極接合体10のアノードで生成した電子がカソード側セパレータ30等を通してくる)ため、電気化学反応により水を生成する。カソード側で生成された水(生成水)は、アノード側に逆拡散するが一部の生成水は、突起32下に滞留しやすい。
【0054】
この場合、カソード側セパレータ30の突起32下に滞留した生成水は、アノード側セパレータ20の突起22下を除いた膜電極接合体10の領域への移動距離が、そうでない場合よりも短くなる。上記の移動距離が短くなることを説明する。
【0055】
図2(a)は、本実施形態の場合であり、図2(b)は、従来例の場合である。なお、従来例のガス流路構造は、本実施形態の構成の一部においてその大きさが異なるだけであるため、本実施形態の各部材に相当する構成には、同一符号を付す。従来例は、コンタクト率は、カソード側よりもアノード側が小さく、突起の1箇所当たりの面積は、カソード側よりもアノード側が狭く、流路ピッチはカソード側もアノード側も同じとし、カソード側とアノード側の両方の突起22,32は、互いにその中心が一致するように配置されている。
【0056】
本実施形態及び従来例において、突起32の中央下に滞留した生成水の位置をPで印すと、Pから突起22に隣接する燃料ガス流路21迄の長さ(最短移動距離)を従来例ではL1とし、本実施形態ではL2とする。すると、従来例では、流路ピッチは、カソード側もアノード側も同じとするとともに、互いにその中心が一致するように配置されているため、本実施形態の流路ピッチは、アノード側の燃料ガス流路21の方がカソード側の酸化ガス流路31よりも小さくしているため、L1>L2となる。このため、本実施形態の方が、中央鋳下に滞留した生成水の最短移動距離L2が従来例よりも短いため逆拡散効率が高くなる。すなわち、逆拡散されるまでのカソード側の突起32下に滞留した生成水が、アノード側セパレータ20の燃料ガス流路21までに辿る距離が短くなり、逆拡散効果を促進できる。なお、図2(a)では、説明の便宜上、突起22と突起32の中心は一致させて図示している。
【0057】
又、本実施形態では、カソード側セパレータ30の突起32とアノード側セパレータ20の突起22とをずらして配置しているため、カソード側セパレータの突起部の中央部に滞留した生成水の逆拡散効率が高まる。
【0058】
なお、実際は、図2(a)のように突起32と、突起22との中心が一致する場合よりも、一致しない場合が多いため、より、突起32の下に滞留した生成水の逆拡散が効率的に行われることが期待できる。
【0059】
又、本実施形態では、アノード側セパレータ20の突起22による膜電極接合体10とのコンタクト率を、カソード側セパレータ30の突起32による膜電極接合体10とのコンタクト率よりも小さくし、かつ、燃料ガス流路21の流路ピッチが、酸化ガス流路31の流路ピッチよりも小さくしているため、アノード側セパレータ20の突起32の数が、増加するため、アノード側セパレータ20の突起22と膜電極接合体10との集電抵抗の低減ができる。
【0060】
又、突起22の先端のセル面(セパレータ面)と平行な面内の形状が、正方形状、矩形状、或いは円形状の場合、突起22のコンタクト幅(ガス流れ方向とは直交する方向の辺の幅)は、ガス拡散層14(GDL)の厚み以下としている。すなわち、突起22が矩形状の場合は、突起22の短辺の長さをコンタクト幅とする。又、突起22が円形状の場合は、突起22の半径をコンタクト幅としている。
【0061】
この実施形態では、上記のような構成の突起にすることにより、蒸発促進が可能となる。図3は、フィツクの拡散法則から、拡散係数・濃度を一定とし、拡散距離をコンタクト幅/GDLの厚みから規定し、拡散流速の算出を行った結果を図示したものである。同図において、横軸は、コンタクト幅とガス拡散層14の厚みの比とし、縦軸は拡散流速である。
【0062】
図3に示すように、拡散距離をコンタクト幅/GDLの厚み=1に変曲点があり、コンタクト幅がGDLの厚み以下であると、拡散が良好であることが分かる。すなわち、突起22のコンタクト幅をガス拡散層14の厚み以下にすると、アノード12からのガス拡散層14を通した燃料ガス流路21への蒸発を阻害することがなく、このアノード側の蒸発促進効果により、生成水の逆拡散が促進され、結果として、高温性能を向上させることができる。
【0063】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池のガス流路構造は、アノード側セパレータ20の突起22(突起部)の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積を、カソード側セパレータ30の突起32(突起部)の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積よりも狭くしている。又、アノード側セパレータ20の突起22間に形成される燃料ガス流路21の流路ピッチを、カソード側セパレータ30の突起32間に形成される酸化ガス流路31の流路ピッチよりも小さくして、突起32と突起22とをずらして配置している。
【0064】
この結果、カソード側セパレータ30の突起32下の滞留生成水を効率的にアノード側へ逆拡散させ、燃料電池の高温・性能を向上することができる。特に、カソード側セパレータ30の突起32とアノード側セパレータ20の突起22とをずらして配置しているため、カソード側セパレータ30の突起32の中央部に滞留した生成水の逆拡散効率を高めることができる。
【0065】
(2) 本実施形態の燃料電池のガス流路構造は、酸化ガス流路31の流路ピッチを、燃料ガス流路の流路ピッチよりも小さくした場合においても、上記(1)の効果を容易に実現できる。
【0066】
(3) 本実施形態の燃料電池のガス流路構造は、アノード側セパレータ20の突起22による膜電極接合体10とのコンタクト率を、カソード側セパレータ30の突起32による膜電極接合体10とのコンタクト率よりも小さくしている。この結果、アノード側セパレータ20の突起22の数が増加し、アノード側セパレータ20の突起22と膜電極接合体10との集電抵抗の低減ができる。
【0067】
(4) 本実施形態の変形例のガス流路構造では、アノード側セパレータ20の突起22がガス流れ方向と直交する方向に延びる短辺とガス流れ方向に沿って延びる長辺を有する矩形状に形成されている。又、短辺の長さを膜電極接合体10のアノード側のガス拡散層14の厚み以下としている。この結果、コンタクト幅がガス拡散層14(GDL)の厚み以下であると、拡散が良好となり、アノード12からのガス拡散層14を通した燃料ガス流路21への蒸発を阻害することがなく、このアノード側の蒸発促進効果により、生成水の逆拡散が促進され、結果として、高温性能を向上させることができる。
【0068】
(5) 本実施形態の他の変形例のガス流路構造では、アノード側セパレータ20の突起22が円形状に形成されている。又、アノード側セパレータ20の突起22の半径を膜電極接合体10のアノード側のガス拡散層14の厚み以下としている。この結果、この変形例においても、上記(4)と同等の効果を奏する。
【0069】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、図4(a)を参照して説明する。なお、本実施形態を含め以下の実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成又は相当する構成については、その実施形態の構成に付した符号を付けて異なる構成を中心に説明する。
【0070】
第2実施形態では、第1実施形態の構成中、アノード側セパレータ20の突起22による膜電極接合体10とのコンタクト率と、カソード側セパレータ30の突起32による膜電極接合体10とのコンタクト率と同じにしている。他の構成は第1実施形態と同一である。すなわち、アノード側セパレータ20の突起22(突起部)の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積を、カソード側セパレータ30の突起32(突起部)の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積よりも狭くしている。又、アノード側セパレータ20の突起22間に形成される燃料ガス流路21の流路ピッチを、カソード側セパレータ30の突起32間に形成される酸化ガス流路31の流路ピッチよりも小さくして、突起32と突起22とをずらして配置している。
【0071】
(作用)
コンタクト率が異なる場合では、コンタクト率が小さい方の突起の膜電極接合体10に対する食い込みが大きくなり、損傷の虞がある。これに対して、第2実施形態では、アノード側セパレータ20の突起22による膜電極接合体10とのコンタクト率と、カソード側セパレータ30の突起32による膜電極接合体10とのコンタクト率を同じにしているため、一方の突起側による偏った食い込みがなくなり、セパレータの突起22,32による膜電極接合体10に対する食い込みの損傷を抑制する。
【0072】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 第2実施形態では、アノード側セパレータ20の突起22による膜電極接合体10とのコンタクト率を、カソード側セパレータ30の突起32による膜電極接合体10とのコンタクト率と同じにすることにより、コンタクト率が異なる場合に比して、両セパレータの突起による膜電極接合体10に対する損傷を抑制できる。
【0073】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図4(b)を参照して説明する。
第3実施形態では、第1実施形態の構成中、アノード側セパレータ20の突起22(突起部)の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積を、カソード側セパレータ30の突起32(突起部)の膜電極接合体10に対する1個当たりの接触面積と同じとし、燃料ガス流路21の流路ピッチを、酸化ガス流路31の流路ピッチよりも大きくして、突起32と突起22とをずらして配置しているところが異なっている。コンタクト率の関係は、第1実施形態と同様である。
【0074】
上記のように構成した第3実施形態は、燃料ガス流路21の流路ピッチが、酸化ガス流路31の流路ピッチよりも大きくしているため、第1実施形態よりて集電抵抗は大きくなるが、他の効果を第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を図4(c)を参照して説明する。
第4実施形態は、第1実施形態の構成中、燃料ガス流路21の流路ピッチを、酸化ガス流路31の流路ピッチよりも大きくして、突起32と突起22とをずらして配置しているところが異なっている。コンタクト率、及び、膜電極接合体10に対するアノード側の突起22とカソード側の突起32のそれぞれの1個当たりの接触面積の大小関係は第1実施形態と同様である。
【0076】
第4実施形態では、コンタクト率は、カソード側がアノード側よりも大きいため、酸化ガス流路31の酸化ガスによる生成水の蒸発を抑制できる効果(蓋効果)を有して、より積極的に逆拡散を向上する。
【0077】
(多孔体の実施形態)
次に、多孔体を備えるセパレータの実施形態について説明する。
第1〜第4実施形態では、アノード側セパレータ20及びカソード側セパレータ30は、セパレータ自身に突起22,32を設けることにより、ガス流路(燃料ガス流路21、酸化ガス流路31)を形成したが、この構成に限定されるものではない。平板状のセパレータ本体(図示しない)、及び、前記セパレータ本体と膜電極接合体10との間に介在配置される多孔体とにより、アノード側セパレータ及びカソード側セパレータの内、少なくともいずれか一方を構成するようにしてもよい。多孔体は多孔体流路を形成するためのものである。
【0078】
多孔体の実施形態を図7〜図11に示す。
(多孔体の実施形態1)
図7に示す多孔体120は、六角形状を半割にした山形の突起部121aを千鳥状に多数箇所に備える様に、ラスカットメタルにより形成され、各突起部121a及びその貫通孔121bにより形成されたガス流路を通して燃料ガス(又は酸化ガス)が流れるようになっている。この多孔体120では、突起部121aのうち、頂部121cのうち、多孔体120を圧延してできる平面が当接面121dとされており、この当接面121dが、ガス拡散層14,15に当接する。図8に示すように、突起部121aを正面視した場合、当接面121dの幅Aと貫通孔121bの幅Bの大小関係は、A>B、A=B、A<Bのいずれであってもよい。
【0079】
この多孔体120の場合、突起部121a間がガス流路となる。
(多孔体の実施形態2)
図9に示す多孔体130は、外周に円弧曲面を有するように山形の突起部131aを多数列備える、金属板をプレス加工することにより形成され、各突起部131a及びその貫通孔131bにより形成されたガス流路を通して燃料ガス(又は酸化ガス)が流れるようになっている。この多孔体130では、突起部131aのうち、頂部131cは円弧曲面又は平面を有しており、この頂部131cが、ガス拡散層14,15に当接する。なお、図9に示す頂部131cは円弧面を有するように図示されている。
【0080】
この多孔体130の場合、列状に配置された突起部121a群の列間がガス流路となる。
(多孔体の実施形態3)
図10の多孔体140は、金属板をプレス加工することにより形成され、平板部140aには、円弧曲面、或いは平面を有する多数の山形の突起部141,142がそれぞれ対をなした状態で点在するように成形されている。
【0081】
又、突起部141,142同士は、ガス流れ方向にずらして、かつ、ガス流れ方向とは直交する方向においては、ガスがストレートに流れる領域140bを残すようにして、配置されている。このような多孔体140において、領域140bの部分がガス流路となる。
【0082】
(多孔体の実施形態4)
図11に示す多孔体150は、金属板をプレス加工することにより形成され、平板部150aには、多数の山形の突起部151,152,153,154がそれぞれ隣接した組をなした状態で、かつ、各突起部はガス流れ方向に沿って列をなすようにして点在するように成形されている。
【0083】
又、突起部151,152、153,154同士は、ガス流れ方向にずらして、かつ、ガス流れ方向とは直交する方向においては、ガスがストレートに流れる領域150b及びガスが縫うようにして流れる領域150cを残すようにして、配置されている。又、突起部151,154は、突起部152,153の各頂部152a,153aよりもガス流れ方向に長い頂部151a,154aを有する。
【0084】
このような多孔体150において、領域150b及び領域150cの部分がガス流路となる。
前記多孔体120〜150を使用して、第1実施形態〜第4実施形態で説明した各突起部の膜電極接合体10のとのコンタクト率、面積/1個、流路ピッチの大小関係を構築してもよい。
【0085】
なお、多孔体は、上記した構成に限定されるものではなく、ガス流路の途中で、突起部の形状パターンを変更するようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
【0086】
・ 第1実施形態では、非連続の突起22,32にした場合、突起22、32の先端のセル面(セパレータ面)と平行な面内の形状は、正方形状、矩形状、或いは円形状としてもよいことを説明したが、楕円形状、台形状、菱形状、三角形状、多角形状等の他の形状にしてもよい。
【0087】
・ 第1実施形態では、アノード側セパレータ20及びカソード側セパレータ30の両者を、平板の金属板をプレス加工により形成したがアノード側セパレータ20、カソード側セパレータ30のうち、いずれか一方のみを、平板の金属板をプレス加工により形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10…膜電極接合体、
11…電解質膜、
12…アノード、
13…カソード、
14…ガス拡散層、
15…ガス拡散層、
20…アノード側セパレータ、
21…燃料ガス流路、
22…突起(突起部)、
30…カソード側セパレータ、
31…酸化ガス流路、
32…突起(突起部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置しその表面にガス拡散層を有する膜電極接合体がアノード側セパレータ及びカソード側セパレータ間に配置され、前記各セパレータには前記膜電極接合体に接する複数の突起部を有し、アノード側セパレータの突起部間が燃料両ガス流路となり、カソード側セパレータの突起間が酸化ガス流路となる燃料電池のガス流路構造において、
前記アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積以下とし、
前記アノード側セパレータの突起部間に形成される燃料ガス流路の流路ピッチと、前記カソード側セパレータの突起部間に形成される酸化ガス流路の流路ピッチを異ならしめて、カソード側セパレータの突起部とアノード側セパレータの突起部の一部又は全部をずらして配置したことを特徴とする燃料電池のガス流路構造。
【請求項2】
前記燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項3】
前記アノード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率を、前記カソード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率よりも小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項4】
前記アノード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率を、前記カソード側セパレータの突起部による前記膜電極接合体とのコンタクト率と同じにしたことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項5】
前記燃料ガス流路の流路ピッチを、酸化ガス流路の流路ピッチよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項6】
前記アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積と同じとしたことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項7】
前記アノード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積を、前記カソード側セパレータの突起部の前記膜電極接合体に対する1個当たりの接触面積よりも狭くしたことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項8】
前記アノード側セパレータ及び前記カソード側セパレータの少なくともいずれか一方のセパレータは、多孔体流路を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項9】
前記アノード側セパレータの突起部がガス流れ方向と直交する方向に延びる短辺と前記ガス流れ方向に沿って延びる長辺を有する矩形状に形成され、
前記短辺の長さを前記膜電極接合体のアノード側のガス拡散層の厚み以下としたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項10】
前記アノード側セパレータの突起部が円形状に形成され、
前記アノード側セパレータの突起部の半径を前記膜電極接合体のアノード側のガス拡散層の厚み以下としたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池のガス流路構造。
【請求項11】
前記アノード側セパレータ及び前記カソード側セパレータの少なくともいずれか一方が金属板のプレス加工により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の燃料電池のガス流路構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−4458(P2013−4458A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137361(P2011−137361)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】