説明

燃料電池の活性化方法、および燃料電池用活性化装置

【課題】燃料電池を組み立て直後、または長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などにおいても、いち早く高性能の電池出力を得ることができる燃料電池の活性化方法、この活性化方法を行うための燃料電池用活性化装置の提供。
【解決手段】酸素を含む酸化剤をカソードに供給し、水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料をアノードに供給して発電する燃料電池の活性化方法であって、アノードに還元剤を供給するとともに、カソードに不活性ガスを供給するか、もしくはカソードに不活性ガスを供給せずに、カソードとアノード間に固定抵抗もしくは導電体を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下に制御することにより活性化することを特徴とする燃料電池の活性化方法により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の活性化方法、および、この活性化方法を行うための燃料電池用活性化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜をカソード側触媒層とアノード側触媒層とで挟持したセルの前記カソード側触媒層と前記アノード側触媒層とをそれぞれカソード側ガス拡散層とアノード側ガス拡散層で挟持してカソードおよびアノードを構成した膜/電極接合体を備え、酸化剤をカソードに供給し、水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料をアノードに供給して発電するようになっている。
【0003】
図7は、固体高分子型燃料電池の単セルの基本構成を示す分解説明図である。シート状の固体高分子電解質膜41をそれぞれカーボンブラック粒子に貴金属粒子[主として白金(Pt)あるいは白金族金属(Ru、Rh、Pd、Os、Ir)]を担持したカソード側電極触媒層42およびアノード側電極触媒層43をホットプレスなどの熱処理により密着して接合して挟持してセルが構成される。
カソード側電極触媒層42およびアノード側電極触媒層43をそれぞれカーボンペーパー、カーボン織布などにカーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混合物を塗布した構造を持つカソード側ガス拡散層44およびアノード側ガス拡散層45で挟持してカソード46およびアノード47を構成した膜/電極接合体58が形成されている。
これらのカソード側ガス拡散層44およびアノード側ガス拡散層45は、それぞれ酸化剤ガス(例えば空気)および水素、天然ガス、都市ガス、LPG、ブタンなどの燃料ガスや、メタノール、エタノールなどの有機物燃料の供給・ 排出を行うと同時に、集電体としての機能を有し電流を外部に伝える働きをする。そして、膜/電極接合体58に面して反応ガス流通用のガス流路48を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路49を備えた導電性でかつガス不透過性の材料よりなる一組のセパレータ50により挟持して単セル51が構成される。
【0004】
上記固体高分子電解質膜41としては、スルホン酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン伝導性膜としたもの、フロロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフロライドの混合膜、フロロカーボンマトリックスにトリフロロエチレンをグラフト化したもの、及びパーフルオロスルホン酸樹脂(例えば、デュポン社製、商品名ナフィオン膜)を代表とするフッ素系イオン交換樹脂膜が用いられている。これらの固体高分子電解質膜41は分子中にプロトン交換基を有しており、含水量を飽和させると比抵抗が常温で20Ωcm以下となり、プロトン伝導性電解質として機能する。
【0005】
そして上記電極46、47のそれぞれに反応ガスが供給されると、下記の電気化学反応が生じ直流電力を発生する。
アノード側:H2 →2H++2e-
カソード側:1/2O2 +2H+ +2e- →H2 O
の反応が起こり、アノード47側で生成されたH+ イオンは固体高分子電解質膜41中をカソード46側に向かって移動し、e- (電子)は外部の負荷を通ってカソード46側に移動する。
一方、カソード46側では酸化剤ガスに含まれる酸素と、アノード47側から移動してきたH+ イオンおよびe- とが反応して水が生成される。かくして、固体高分子形燃料電池は、水素と酸素から直流電流を発生し、水を生成することになる。
【0006】
図8は、固体高分子形燃料電池スタック(積層体)の基本構成を示す断面図である。固体高分子形燃料電池スタック60は、多数の燃料電池用単セル51を積層し、集電板52、電気絶縁と熱絶縁を目的とする絶縁板53ならびに荷重を加えて積層状態を保持するための締付板54によって挟持し、ボルト55とナット57により締め付けられており、締め付け荷重は、皿バネ56により加えられている。
【0007】
しかし、固体高分子形燃料電池を組み立て直後、または長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などには、いち早く高性能の電池出力を得ることができないという問題があった。
そこで、固体高分子形燃料電池を脱イオン水で煮沸したり、またはガス供給路に温水を導入したり、またはガス供給路にアルコールを導入した後、脱イオン水で洗浄する、または固体高分子形燃料電池を高酸素利用率で発電し、低電位で保持するなどにより短時間で本来電池が有している高性能の電池出力を引き出せるようにした固体高分子形燃料電池の活性化方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−3718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の活性化方法は操作が煩雑であるという問題があった。
そして従来、燃料電池を組み立てた直後、または長時間未使用のまま放置した電池をそのまま作動させるなど活性化処理を行わない場合は、作動後、約10〜20時間経過しないと高性能の電池出力が得られないという問題があった。
本発明の第1の目的は、より簡単な方法を用いて、燃料電池を組み立て直後、または長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などにおいても、いち早く高性能の電池出力を得ることができる燃料電池の活性化方法を提供することであり、
本発明の第2の目的は、この活性化方法を行うための燃料電池用活性化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するための本発明の請求項1記載の発明は、酸素を含む酸化剤をカソードに供給し、水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料をアノードに供給して発電する燃料電池の活性化方法であって、
アノードに還元剤を供給するとともに、カソードに不活性ガスを供給するか、もしくはカソードに不活性ガスを供給せずに、カソードとアノード間に固定抵抗もしくは導電体を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下に制御することにより活性化することを特徴とする燃料電池の活性化方法である。
【0010】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池の活性化方法において、前記還元剤あるいはさらに前記不活性ガスが相対湿度90%以上の加湿ガスであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の燃料電池の活性化方法において、前記還元剤が加湿した水素ガスであることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池の活性化方法を行うための燃料電池用活性化装置であって、
アノードに還元剤を供給する還元剤供給手段と、
カソードに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
これらを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池用活性化装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1記載の発明は、酸素を含む酸化剤をカソードに供給し、水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料をアノードに供給して発電する燃料電池の活性化方法であって、
アノードに還元剤を供給するとともに、カソードに不活性ガスを供給するか、もしくはカソードに不活性ガスを供給せずに、カソードとアノード間に固定抵抗もしくは導電体を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下に制御することにより活性化することを特徴とする燃料電池の活性化方法であり、
アノードとともに、カソードも活性化でき、燃料電池を簡単に活性化できるので、燃料電池を組み立て直後、または長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などにおいても、いち早く高性能の電池出力を容易に得ることができるという顕著な効果を奏する。
カソードとアノード間に固定抵抗もしくは導電体を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下好ましくはなるべく0mVに近い値に制御することで触媒などの性能を損なうことなく早急に容易に経済的に活性化できるので、燃料電池を組み立て直後、または、長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などにおいても、より早く高性能の電池出力を容易に得ることができるという顕著な効果を奏する。
【0014】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池の活性化方法において、前記還元剤あるいはさらに前記不活性ガスが相対湿度90%以上の加湿ガスであることを特徴とするものであり、
加湿ガスを用いることにより燃料電池をさらに早急に活性化できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0015】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の燃料電池の活性化方法において、前記還元剤が加湿した水素ガスであることを特徴とするものであり、
前記還元剤として加湿した水素ガスを用いることにより燃料電池をさらに簡単に活性化できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0016】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池の活性化方法を行うための燃料電池用活性化装置であって、
アノードに還元剤を供給する還元剤供給手段と、
カソードに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
これらを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池用活性化装置であり、
この燃料電池用活性化装置を使用してセルスタックもしくは燃料電池を簡単に容易に確実に活性化できるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の燃料電池用活性化装置の1例を説明する説明図である。
図1において、1は本発明の燃料電池用活性化装置を示す。本発明の燃料電池用活性化装置1は、燃料電池(あるいはセルスタック。以下燃料電池と称す)2のアノードAおよびカソードCに、水素あるいはその他の還元剤から選択される少なくとも1つの還元剤あるいは加湿した水素ガス(以下、水素と称す)を所定の温度で所定時間供給する還元剤供給手段3(以下、手段3と称す)を備えている。この手段3は水素を燃料電池2のアノードAおよびカソードCに供給するための水素ボンベなどの水素供給源4と、水素供給源4からの水素を移送する水素供給ライン5と、水素供給ライン5の途中に設置された加湿手段6と、開閉弁7、8、9を備えている。
【0018】
また本発明の燃料電池用活性化装置1は、カソードCに水素を供給する替わりに、窒素、アルゴンあるいはその他の不活性ガスから選択される少なくとも1つの不活性ガス(以下、窒素と称す)を所定の温度で所定時間供給できる不活性ガス供給手段10(以下、手段10と称す)を備えている。この手段10は窒素を燃料電池2のカソードCに供給するための窒素ボンベなどの窒素供給源11と、窒素供給源11からの窒素を移送するための窒素供給ライン12と、窒素供給ライン12に設置された開閉弁13を備えている。
【0019】
なお図示しないが窒素供給ライン12に、燃料電池2のカソードCに供給するための窒素を必要に応じて加湿するために、前記水素供給ライン5の途中に設置された加湿手段6や開閉弁7、8と同様な加湿手段や開閉弁を設けることができる。
また本発明の燃料電池用活性化装置1は、制御手段14を備え、これらを制御するようになっている。
【0020】
(燃料電池用活性化装置1を用いて燃料電池2を活性化する参考例1)
この例1では、アノードAおよびカソードCに水素を供給して燃料電池2を活性化する。
開閉弁7、13を閉じ、開閉弁8、9を開け、そして手段3の水素供給源4から水素を水素供給ライン5を経て燃料電池2のアノードAおよびカソードCに供給して内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出する。水素供給源4から水素を所定の温度・圧力になるように図示しない温度・圧力調整装置で制御し、所定時間、水素供給ライン5を経て、燃料電池2のアノードAおよびカソードCに供給して燃料電池2を活性化する。制御手段14は温度・圧力・時間・弁開閉などを制御する。
なお、パージ終了後図示しないパージラインを閉め、水素供給ライン5を経て水素を供給することなく、所定温度・圧力・時間、水素雰囲気で水素燃料電池2のアノードAおよびカソードCを活性化することもできる。
【0021】
(燃料電池用活性化装置1を用いて燃料電池2を活性化する他の参考例2)
この例2では、アノードAおよびカソードCに加湿した水素を供給して燃料電池2を活性化する。
まず開閉弁8、13を閉じ、開閉弁7、9を開けて、手段3の水素供給源4から水素を水素供給ライン5を経て加湿手段6へ導入し、所定の加温・加湿を行い、加湿した水素を水素供給ライン5を経て燃料電池2のアノードAおよびカソードCに供給して内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出する。パージ終了後、加湿した水素を所定の温度・圧力になるように図示しない温度・圧力調整装置で制御し、所定時間、水素供給ライン5を経て燃料電池2のアノードAおよびカソードCに供給して燃料電池2を活性化する。制御手段14は湿度・温度・圧力・時間・弁開閉などを制御する。
なお、パージ終了後図示しないパージラインを閉め、水素供給ライン5を経て加湿した水素を供給することなく、所定温度・圧力・時間、加湿した水素雰囲気で水素燃料電池2のアノードAおよびカソードCを活性化することもできる。
【0022】
(燃料電池用活性化装置1を用いて燃料電池2を活性化する他の参考例3)
この例3では、アノードAに加湿した水素を供給し、そしてカソードCに窒素を供給して燃料電池2を活性化する。
開閉弁8、9を閉じ、開閉弁7、13を開けて、手段3の水素供給源4から水素を水素供給ライン5を経て加湿手段6へ導入し、所定の加温・加湿を行い、加湿した水素を水素供給ライン5を経て燃料電池2のアノードAに供給して内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出する。一方、手段10の窒素供給源11からは窒素を窒素供給ライン12を経て燃料電池2のカソードCに供給して内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出する。パージ終了後、加湿した水素を所定の温度・圧力になるように図示しない温度・圧力調整装置で制御し、所定時間、水素供給ライン5を経て、燃料電池2のアノードAに供給するとともに、手段10の窒素供給源11からは窒素を所定の温度・圧力になるように図示しない温度・圧力調整装置で制御し窒素供給ライン12を経て燃料電池2のカソードCに供給して、燃料電池2を活性化する。制御手段14は湿度・温度・圧力・時間・弁開閉などを制御する。
なお、パージ終了後図示しないパージラインを閉め、加湿した水素および窒素を供給することなく、所定温度・圧力・時間、加湿した水素および窒素雰囲気で水素燃料電池2のアノードAおよびカソードCを活性化することもできる。
【0023】
図2は参考用の燃料電池用活性化装置の例を説明する説明図である。
図2において、20は参考用の燃料電池用活性化装置を示す。
参考用の燃料電池用活性化装置20は、熱処理して作製されたセルあるいは膜/電極接合体(以下、MEAと称す)21を内部に入れて処理するための開閉可能な蓋22を備えるとともに所定温度に加熱するためのヒータやスチームなど用いる加熱手段23を備えた処理容器24と、前記処理容器24に水素を所定の温度・圧力で所定時間供給する供給手段25(以下、手段25と称す)を備えている。この手段25は水素を前記処理容器24に供給するための水素ボンベなどの水素供給源26と、水素供給源26からの水素を移送するための水素供給ライン27と、水素供給ライン27の途中に設置された加湿手段28と、開閉弁29、30、31を備えている。処理容器24に備えられた制御手段32は温度・圧力・時間・弁開閉などを制御する。
【0024】
(参考用の燃料電池用活性化装置20を用いてMEA21を活性化する例1)
この例1では、処理容器24内にMEA21を入れて水素を用いてMEA21を活性化する場合について説明する。
先ず、蓋22を開けて処理容器24内にMEA21を入れて蓋22を密閉して閉める。開閉弁29を閉じ、開閉弁30、31を開けて、手段25の水素供給源26から、水素供給ライン27を経て、水素を処理容器24内に送って内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出する。パージ終了後図示しないパージラインを閉める。処理容器24は加熱手段23により加熱される。処理容器24は、所定の温度・圧力になるように図示しない温度・圧力調整装置で制御される。パージ終了後、処理容器24内の水素により所定時間MEA21を活性化する。制御手段32は温度・圧力・時間・弁開閉などを制御する。
なお、パージ終了後図示しないパージラインを閉めずに水素を処理容器24内に供給しつつMEA21を活性化することもできる。
【0025】
(参考用の燃料電池用活性化装置20を用いてMEA21を活性化する例2)
この例2では、処理容器24内にMEA21を入れて加湿した水素を用いてMEA21を活性化する場合について説明する。
開閉弁30を閉じ、開閉弁29、31を開けて、手段25の水素供給源26から水素を水素供給ライン27を経て加湿手段28へ導入し、所定の加温・加湿を行い、加湿した水素を水素供給ライン27を経て処理容器24内に送って内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出する。パージ終了後図示しないパージラインを閉める。一方、処理容器24は加熱手段23により加熱される。処理容器24は、所定の温度・圧力になるように図示しない温度・圧力調整装置で制御される。パージ終了後、処理容器24内の加湿した水素により所定時間MEA21を活性化する。制御手段32は温度・圧力・時間・弁開閉などを制御する。
なお、パージ終了後図示しないパージラインを閉めずに加湿した水素を処理容器24内に供給しつつMEA21を活性化することもできる。
【0026】
燃料電池2やMEA21を活性化するに当たり、活性化するためのガスを流して内部にの空気などをパージして外部に排出するが、このパージガスの流量あるいはパージ終了後もこのパージガスを活性化するためのガスとして使用して流しつつ活性化する場合のガスの流量は、特に限定されるものではないが、MEA21の1cm2 当たり1ml/min.〜5ml/min.の範囲が好ましく、さらにMEA21の1cm2 当たり1ml/min.〜4ml/min.の範囲が特に好ましい。
【0027】
パージが完了したら、パージを停止し、燃料電池2や処理容器24の外部に活性化するためのガスが排出されないように、図示しない開閉弁を閉じた状態で燃料電池2やMEA21の活性化を行うこともできる。
【0028】
燃料電池2やMEA21の活性化を行う際の温度は、前記固体高分子電解質膜41のTgが約120℃である場合は、20℃から固体高分子電解質膜のTg以下の温度で行うことが好ましい。この範囲内でもなるべく高い温度側で行うことが短時間で活性化できるので好ましい。すなわち、50〜100℃の範囲が固体高分子電解質膜が劣化せず、活性化反応が良好に進行するのでさらに好ましい。また80〜90℃で行うことが固体高分子電解質膜が劣化せず、活性化反応がさらに短時間で良好に進行するので、特に好ましい。20℃未満では活性化反応が遅く、また進行しない恐れがあり、固体高分子電解質膜のTgを超えると、MEAが劣化する恐れがあり、いずれも好ましくない。
【0029】
本発明において電解質膜のTgが例えば180℃などと高い場合には、活性化時間が通常長くなるので、活性化を行う際の温度を高くする。すなわち熱処理して作製されたセルあるいは膜/電極接合体を、還元剤を含む還元性雰囲気中で50〜200℃の温度で処理することにより、大幅に活性化時間を短縮できる。
200℃を超えると電解質膜が損なわれる恐れがあり、50℃未満では大幅に活性化時間を短縮できない恐れがあるので好ましくない。したがって電解質膜のTgが高い場合には、60〜190℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。
【0030】
燃料電池2やMEA21の活性化を行う際の圧力は、大気圧〜セルの許容圧力の範囲内で行うことが好ましい。この範囲内でもなるべく高い圧力側で行うことが短時間で活性化できるので好ましい。大気圧〜燃料電池2の定常運転時の圧力で行うことがさらに好ましく、燃料電池2の定常運転時の圧力で行うことが特に好ましい。セルの許容圧力を超えるとセルが壊れるので、設計上、一定の値がある。例えば、家庭用であれば大気圧、自動車用であれば3気圧程度まで可能である。
【0031】
燃料電池2やMEA21の活性化を行う際の時間は、1分以上が好ましい。1分未満では活性化効果が極めて小さくなるので好ましくない。30分〜2時間が高い活性化効果がで易くさらに好ましい。2時間を超えても活性化が進むが、効果のわりにはコストや時間がかかる。活性化とコストを考慮すると1時間程度が特に好ましい。
【0032】
アノードAには、水素あるいは、過酸化水素水溶液、ヒドラジン水溶液、アスコルビン酸水溶液、クエン酸水溶液などの還元剤から選択される少なくとも1つの還元剤あるいは水素を含む窒素ガスなどの水素を含むガスを供給するが、これらの中でも水素を好ましく使用できる。
【0033】
水素はドライでもよく、またドライ〜100%RHでもよく、また100〜120%RHの過加湿でも使用できる。しかし低加湿では活性化反応が進み難いので、90〜120%RHに加湿した水素を用いることが好ましく、中でも100%RH以上110%RHに加湿した水素を用いることが特に好ましい。例えば110%RHの過加湿の水素を用いることにより水の浸透が容易に行われるため、活性化時間をより短縮することができる。
【0034】
カソードCには、窒素、アルゴンあるいはその他の不活性ガスから選択される少なくとも1つの不活性ガスを供給する。
【0035】
不活性ガスはドライでもよく、またドライ〜100%RHでもよく、また100〜120%RHの過加湿でも使用できる。しかし低加湿では活性化反応が進み難いので、90〜120%RHに加湿した不活性ガスを用いることが好ましく、中でも100%RH以上110%RHに加湿した不活性ガスを用いることが特に好ましい。例えば110%RHの過加湿の不活性ガスを用いることにより水の析出が容易に行われるため、活性化時間をより短縮することができる。
【0036】
図3は、図1に示した本発明の燃料電池用活性化装置を用い、カソードとアノード間に固有抵抗を配設して活性化する1例を説明する説明図である。
なお、これらの図において同一符号の部分は同一機能をもつ部分である。
図3に示した本発明の燃料電池用活性化装置1Aは、カソードCとアノードA間に固定抵抗Rを配設して短絡し、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下に制御するようにした以外は図1に示した本発明の燃料電池用活性化装置1と同じに構成されている。
【0037】
図3に示した本発明の燃料電池用活性化装置1AのアノードAに還元剤を供給するとともに、カソードCに不活性ガスを供給し、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下に制御することで触媒などの性能を損なうことなくセルあるいは膜/電極接合体をさらに早急に活性化できる。
【0038】
好ましくは、図3に示した固定抵抗Rの替わりに導電体を配設して短絡し、カソード電位とアノード電位の電位差をなるべく0mVに近い値に制御することで触媒などの性能を損なうことなくセルあるいは膜/電極接合体をさらにより早急に活性化できる。
【0039】
カソードCとアノードA間に固定抵抗Rもしくは導電体を配設する方法は図3に示した方法に特に限定されるものではない。
本発明で用いる固定抵抗Rとしては、通常使用される抵抗の他に、システム内の補機や電子負荷を使用することもできる。
【0040】
前記電位差の上限値が100mVを超えると活性化時間が少し長くなる恐れがあり、下限値は0mVが好ましいが現実的でなく、実際は制御して下限値は10〜50mVである。
【0041】
図6は、カソードCに窒素を供給し、アノードAに水素を供給して活性化を行った際の、水素標準電極(NHE)に対するカソード電位(例えば0.7V)およびアノード電位(0V)およびカソードCとアノードA間に固定抵抗Rもしくは導電体を配設して短絡するとカソード電位が変動すること説明するグラフである。
【0042】
図6に示すように、カソードCとアノードA間に固定抵抗Rもしくは導電体を配設して短絡するとカソード電位が変動してアノード電位に近づく。
【0043】
燃料電池を組み立て直後、または燃料電池を長時間未使用のまま放置するとカソード側電極触媒およびアノード側電極触媒である貴金属粒子[主として白金(Pt)など]の表面には酸化物が発生しており、前記酸化物によって活性が損なわれ、活性化処理を行わずにそのまま燃料電池を作動させると、高性能の電池出力が得られるまでには長時間を要すると考えられる。
本発明の活性化方法により、前記酸化物を還元して容易に除去でき、かつ触媒表面を濡らすことができるので、活性化でき、いち早く高性能の電池出力を得ることができたものと考えられる。
【0044】
アノードAに水素などの還元剤を供給し、カソードCに不活性ガスを供給して、アノードAとカソードC間に固定抵抗または導電体を配設して、活性化する場合は、アノードAに供給した水素などの還元剤が電解質膜を経てカソードCに不活性ガスを供給して活性化させる場合は、アノードAに供給した水素などの還元剤が電解質膜を経てカソードCに移行し、移行した水素などの還元剤がカソードCの触媒の表面の酸化物を還元して容易に除去でき、かつ触媒表面を濡らすことができるので、活性化できたこと、および電気化学的反応によりカソードCの触媒表面の酸化物の還元が行われることによるものと考えられる。
アノードAに水素などの還元剤を供給し、カソードCに不活性ガスを供給しないで、アノードAとカソードC間に固定抵抗または導電体を配設して、活性化する場合についても、カソードCとアノードA間に固定抵抗もしくは導電体を配して短絡するとカソードの酸素濃度が減少しカソードC電位が変動する。このカソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下好ましくはなるべく0mVに近い値に制御することで前記のようにアノードAとともにカソードCについても活性化できるものと考えられる。
【0045】
勿論、本発明の活性化方法により容易に短時間で活性化でき、いち早く高性能の電池出力を得ることができる理由は上記の考えに限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り実施例に限定されるものではない。
(参考用実施例1)
公知の方法(特開2006−278038に記載の方法)で自動車用固体高分子形燃料電池を作製した。
図1に示した燃料電池用活性化装置1を用いて、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードおよびカソードともに80℃で加湿した水素ガスを供給してパージ後、引き続き1時間、80℃で加湿した水素ガス(100%RH)をアノードおよびカソードに供給して活性化を行った。その後、水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、発電を開始した。発電開始後からの時間(h)(横軸)と電圧(V)(縦軸)との関係を図4、図5に示す。
【0047】
(比較例1)
活性化を行わなかった以外は参考用実施例1と同様にして発電を行った結果を図4、図5に示す。
【0048】
図4から、比較例1の燃料電池は、作動後、約10〜20時間経過しないと高性能の電池出力が得られないのに対して、参考用実施例1の燃料電池は、活性化して、作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができたことが判る。
【0049】
(参考用実施例2)
公知の方法(特開2006−278038に記載の方法)で家庭用固体高分子形燃料電池を作製した。
図1に示した燃料電池用活性化装置1を用いて、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードおよびカソードともに80℃で加湿した水素ガスを供給してパージ後、引き続き1時間、80℃で加湿した水素ガス(100%RH)をアノードおよびカソードに供給して活性化を行った。その後アノードへ水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、カソードに空気を供給して発電を開始した。参考用実施例1の燃料電池と同様に作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができた。
【0050】
(参考用実施例3)
公知の方法(特開2006−338932に記載の方法)で、携帯用ダイレクトメタノール形固体高分子形燃料電池を作製した。
図1に示した燃料電池用活性化装置1を用いて、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードおよびカソードに80℃で加湿した水素ガスを供給してパージ後、引き続き1時間、80℃で加湿した水素ガス(100%RH)をアノードおよびカソードに供給して活性化を行った。その後、30℃まで温度を下げた後、アノードへメタノールを供給し、カソードに空気を供給して発電を開始した。参考用実施例3の燃料電池は、参考用実施例1の燃料電池と同様に活性化して、作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができた。
【0051】
(参考用実施例4)
公知の方法(特開2006−278038に記載の方法)で自動車用固体高分子形燃料電池を作製した。
図1に示した燃料電池用活性化装置1を用いて、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードに80℃で加湿した水素ガスを供給し、カソードに80℃で加湿した窒素を供給してパージ後、アノードおよびカソードともにそのまま1時間、加湿した水素ガス(100%RH)および加湿した窒素(100%RH)をそれぞれ供給して活性化を行った。その後、アノードへ水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、カソードに空気を供給して発電を開始した。参考用実施例4の燃料電池は参考用実施例1の燃料電池と同様に活性化して、作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができた。
【0052】
(参考用実施例5)
公知の方法(特開2006−278038に記載の方法)で家庭用固体高分子形燃料電池を作製した。
図1に示した燃料電池用活性化装置1を用いて、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードに80℃で加湿した水素ガスを供給し、カソードに80℃で加湿した窒素を供給してパージ後、アノードおよびカソードともにそのまま1時間、加湿した水素ガス(100%RH)および加湿した窒素(100%RH)をそれぞれ供給して活性化を行った。その後、アノードへ水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、カソードに空気を供給して発電を開始した。参考用実施例5の燃料電池は、参考用実施例1の燃料電池と同様に活性化して、作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができた。
【0053】
(参考用実施例6)
公知の方法(特開2006−338932に記載の方法)で、携帯用ダイレクトメタノール形固体高分子形燃料電池を作製した。
図1に示した燃料電池用活性化装置1を用いて発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードに80℃で加湿した水素ガスを供給し、カソードに80℃で加湿した窒素を供給してパージ後、引き続き1時間、80℃で加湿した水素ガス(100%RH)および加湿した窒素(100%RH)をアノードおよびカソードそれぞれ供給して活性化を行った。その後、30℃まで温度を下げた後、アノードへメタノールを供給し、カソードに空気を供給して発電を開始した。参考用実施例6の燃料電池は、参考用実施例1の燃料電池と同様に活性化して、作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができた。
【0054】
(参考用実施例7)
公知の方法(特開2006−278037に記載の方法)で、MEAを作製した。
図2に示した燃料電池用活性化装置20を用い処理容器24中にMEA21を入れ活性化した。
すなわち、蓋22を開けて処理容器24内にMEA21を入れて蓋22を密閉して閉める。開閉弁29を閉じ、開閉弁30、31を開けて、手段25の水素供給源26から、水素供給ライン27を経て、水素を処理容器24内に送って内部をパージし、パージガスは図示しないパージラインから排出した。パージ終了後図示しないパージラインを閉めた。処理容器24は加熱手段23により80℃に加熱され、1時間、水素雰囲気中でMEA21を活性化した。
この活性化したMEA21を用いて作製した燃料電池は、参考用実施例1の燃料電池と同様に活性化して、作動後いち早く高性能の電池出力を得ることができた。
【0055】
(実施例1)
図3に示した本発明の燃料電池用活性化装置1Aを用い、カソードCとアノードA間に100mΩの固有抵抗を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を50mVに制御して活性化した以外は参考用実施例4と同様にして、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードに80℃で加湿した水素ガスを供給し、カソードに80℃で加湿した窒素を供給してパージ後、アノードおよびカソードともにそのまま1時間、加湿した水素ガス(100%RH)および加湿した窒素(100%RH)をそれぞれ供給して活性化を行った。その後、アノードへ水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、カソードに空気を供給して発電を開始した。発電開始後からの時間(h)(横軸)と電圧(V)(縦軸)との関係を図5に示す。
【0056】
図5から、実施例1の燃料電池は、参考用実施例1の燃料電池に比較して、作動後よりいち早く高性能の電池出力を得ることができたことが判る。
【0057】
(実施例2)
図3に示した本発明の燃料電池用活性化装置1Aを用い、カソードCとアノードA間に導電体を配設して短絡し、カソード電位とアノード電位の電位差を10mVに制御して活性化した以外は参考用実施例4と同様にして、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードに80℃で加湿した水素ガスを供給し、カソードに80℃で加湿した窒素を供給してパージ後、アノードおよびカソードともにそのまま1時間、加湿した水素ガス(100%RH)および加湿した窒素(100%RH)をそれぞれ供給して活性化を行った。その後、アノードへ水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、カソードに空気を供給して発電を開始した。発電開始後からの時間(h)(横軸)と電圧(V)(縦軸)との関係を図5に示す。
【0058】
図5から、実施例2の燃料電池は、実施例1の燃料電池に比較して、作動後よりいち早く高性能の電池出力を得ることができたことが判る。
【0059】
(実施例3)
図3に示した本発明の燃料電池用活性化装置1Aを用い、カソードCとアノードA間に導電体を配設して短絡し、カソード電位とアノード電位の電位差を10mVに制御して活性化した以外は参考用実施例4と同様にして、発電を行う前に、セル温度80℃とし、アノードに90℃で加湿した水素ガスを供給し、カソードに90℃で加湿した窒素を供給してパージ後、アノードおよびカソードともにそのまま1時間、加湿した水素ガス(110%RH)および加湿した窒素(110%RH)をそれぞれ供給して活性化を行った。その後、アノードへ水素ガスを供給したまま30℃まで温度を下げた後、カソードに空気を供給して発電を開始した。発電開始後からの時間(h)(横軸)と電圧(V)(縦軸)との関係を図5に示す。
【0060】
図5から、実施例3の燃料電池は、実施例2の燃料電池に比較して、作動後よりいち早く高性能の電池出力を得ることができたことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の燃料電池の活性化方法により燃料電池を簡単に活性化できるので、燃料電池を組み立て直後、または長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などにおいても、いち早く高性能の電池出力を容易に得ることができる。
カソードとアノード間に固定抵抗もしくは導電体を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下好ましくはなるべく0mVに近い値に制御することで触媒などの性能を損なうことなく早急に容易に経済的に活性化できるので、燃料電池を組み立て直後、または、長時間未使用のまま放置した電池を作動させる場合などにおいても、より早く高性能の電池出力を容易に得ることができるという顕著な効果を奏する。
本発明は上記のような顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の燃料電池用活性化装置の1例を説明する説明図である。
【図2】参考用の燃料電池用活性化装置の例を説明する説明図である。
【図3】図1に示した本発明の燃料電池用活性化装置を用い、カソードとアノード間に固有抵抗を配設して活性化する1例を説明する説明図である。
【図4】参考用実施例1および比較例1の発電開始後からの時間(h)(横軸)と電圧(V)(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図5】参考用実施例1、実施例1〜3および比較例1の発電開始後からの時間(h)(横軸)と電圧(V)(縦軸)との関係を、図4に示したX部分を拡大して示すグラフである。
【図6】カソードCに窒素を供給し、アノードAに水素を供給して活性化を行った際の、水素標準電極(NHE)に対するカソード電位(0.7V)およびアノード電位(0V)、およびカソードCとアノードA間に固定抵抗Rもしくは導電体を配設して短絡するとカソード電位が変動すること説明するグラフである。
【図7】固体高分子型燃料電池の単セルの基本構成を示す分解説明図である。
【図8】固体高分子形燃料電池スタック(積層体)の基本構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1、1A、20 燃料電池用活性化装置
2 燃料電池
3 還元剤供給手段
4、26 水素供給源
5、27 水素供給ライン
6、28 加湿手段
7、8、9、13、29、30、31 開閉弁
10 不活性ガス供給手段
11 窒素供給源
12 窒素供給ライン
14、32 制御手段
21、58、MEA 膜/電極接合体
22 蓋
23 加熱手段
25 供給手段
A、47 アノード
C、46 カソード
R 固定抵抗
41 固体高分子電解質膜
42 カソード側電極触媒層
43 アノード側電極触媒層
44 カソード側ガス拡散層
45 アノード側ガス拡散層
50 セパレータ
51 単セル
60 固体高分子形燃料電池スタック(積層体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を含む酸化剤をカソードに供給し、水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料をアノードに供給して発電する燃料電池の活性化方法であって、
アノードに還元剤を供給するとともに、カソードに不活性ガスを供給するか、もしくはカソードに不活性ガスを供給せずに、カソードとアノード間に固定抵抗もしくは導電体を配設して、カソード電位とアノード電位の電位差を100mV以下に制御することにより活性化することを特徴とする燃料電池の活性化方法。
【請求項2】
前記還元剤あるいはさらに前記不活性ガスが相対湿度90%以上の加湿ガスであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の活性化方法。
【請求項3】
前記還元剤が加湿した水素ガスであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の燃料電池の活性化方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池の活性化方法を行うための燃料電池用活性化装置であって、
アノードに還元剤を供給する還元剤供給手段と、
カソードに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
これらを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池用活性化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−256611(P2012−256611A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188732(P2012−188732)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2007−58748(P2007−58748)の分割
【原出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】