説明

燃料電池システムおよびその運転方法

【課題】改質器を備えていても、出力する電力の変動幅が大きく、停電時に迅速に起動できる燃料電池システムおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】燃料電池システム10は、原料を改質して水素を含有する改質ガスを生成する、複数の改質器Rn(n=1〜3)と、前記改質器Rnから供給される前記改質ガスを用いて発電する、少なくとも1つの燃料電池スタックFn(n=1〜3)と、前記燃料電池スタックFnと並列に接続される蓄電池S0と、前記蓄電池S0の充電量に応じて前記改質器Rnの運転を制御する制御器Ctとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムおよびその運転方法に関し、特に、商用電源のバックアップ電源として用いられる燃料電池およびその運転方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信基地局およびデータセンター等の通信設備、病院ならびに放送局等では、災害等の非常時における停電に対応すべく、バックアップ電源が設置されている。このうち、燃料電池を用いたバックアップ電源としては、水素ボンベに貯蔵した水素を用いて燃料電池で発電を行う構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この構成のバックアップ電源は、燃料電池を迅速に起動できるという利点を有する。しかしながら、水素ボンベ内の水素が全て消費されれば、ユーザは当該水素ボンベを交換しなければならないので、ボンベ交換の手間とコストとが必要になるという難点がある。また、地震、台風、ハリケーン等の大きな災害が発生したときには、道路等の交通網が寸断され、水素ボンベの供給そのものが滞るおそれがある。このような場合、バックアップ電源が特に必要となる災害時の停電に、燃料電池が役に立たなくなる可能性がある。
【0004】
一方、燃料電池を用いた電源として、水素ボンベを用いない構成のものが知られている。代表的なものとしては、ガス事業者(ガス供給のインフラストラクチャ)により需要に応じて供給される炭化水素系ガスの燃料を利用する構成の電源が挙げられる。この構成では、典型的には、炭化水素系ガスの燃料を改質器で改質して水素を主成分とする改質ガスを生成し、この改質ガスを燃料電池スタックに供給することで、発電が行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
前記構成の燃料電池システムの一例について具体的に説明する。図17に示すように、燃料は、メタノールポンプ3を介して改質器1に供給され、改質器1において水素を主成分とする改質ガスに改質される。改質ガスは、燃料電池スタック10に供給され、ここで反応に用いられる。燃料電池スタック10を通過し残った改質ガス(オフガス)は、改質器バーナ6に供給され、燃焼される。この熱によって改質器1が加熱され、改質に必要な熱が供給される。
【0006】
また、燃料電池スタック10には、さらにファン15を介して空気が供給される。この燃料電池スタック10において改質ガスおよび空気が反応し、電気が発生する。
【0007】
燃料電池スタック10の出力は出力コントローラ17を介して蓄電池19および負荷20に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−333386号公報
【特許文献2】特開昭63−236269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、改質器を用いた燃料電池システムがバックアップ電源として利用される場合、以下のような課題がある。
【0010】
第1の課題は、負荷の消費電力に応じて燃料電池から出力される電力の変化量に制限がある。
【0011】
すなわち、バックアップ電源は、負荷の消費電力に応じた電力を供給することが求められる。これに対し、燃料電池スタックに供給される改質ガスの量により、燃料電池から出力される電力が調整される。このため、負荷の消費電力に応じた量の改質ガスが燃料電池スタックに供給されればよい。
【0012】
しかしながら、改質ガスは、燃料電池スタックにおける発電だけでなく、改質器の加熱にも用いられている。また、改質ガスの生成量は改質ガスの燃焼による改質器の加熱温度に影響される。このため、改質ガスの生成と改質ガスの燃焼とのバランスをとることが必要である。このバランスが崩れ、改質ガスの燃焼量が多いと、改質器が過熱し、内部の触媒が劣化したり、改質ガスの生成量が過剰になったりする。一方、改質ガスの燃焼量が少ないと、改質器の温度が下がり過ぎて、改質ガス中のCO濃度が上昇したり、改質ガスが不足したりする。
【0013】
よって、改質器における改質ガスの生成量の変動幅には限度があるため、燃料電池スタックの発電量を大きく変化させることが難しい。それゆえ、負荷の消費電力に応じて燃料電池から出力される電力を大きく変化させることができない。
【0014】
第2の課題は、停電時に負荷に電力を迅速に供給することができない。
【0015】
すなわち、バックアップ電源は、通常時には発電を停止し、商用電源からの送電が止まる停電時に起動して発電を行う。このため、停電時には迅速に発電できることが要求される。
【0016】
これに対し、燃料電池システムの起動には改質器を700℃程度まで加熱して暖機する必要がある。特に、改質器が停止し室温まで冷却されていれば、改質器の暖機に、通常、約1時間程度の加熱時間がかかる。このように起動時間が長ければ、停電時に即座に発電することができず、迅速な電力のバックアップを実現することが困難となる。
【0017】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、改質器を備えていても、出力する電力を大きく変化させることが可能な燃料電池システムおよびその運転方法を提供することを目的とする。また、本発明は、さらに停電時に迅速に起動できる燃料電池システムおよびその運転方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のある形態に係る、燃料電池システムは、原料を改質して水素を含有する改質ガスを生成する、複数の改質器と、前記改質器から供給される前記改質ガスを用いて発電する、少なくとも1つの燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックと並列に接続される蓄電池と、前記蓄電池の充電量に応じて前記改質器の運転を制御する制御器とを備える。
【0019】
本発明の他の形態に係る燃料電池システムの運転方法は、原料を改質して水素を含有する改質ガスを生成する、複数の改質器と、前記改質器から供給される前記改質ガスを用いて発電する、少なくとも1つの燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックと並列に接続される蓄電池を備える、燃料電池システムの運転方法であって、前記蓄電池の充電量に応じて前記改質器の運転を制御する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上のように構成され、燃料電池システムおよびその運転方法において、少なくとも、改質器を備えていても、出力する電力を大きく変化させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムを通信基地局のバックアップ電源として用いる場合の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図3】図2に示す燃料電池システムにおける改質器および燃料電池スタックの運転モードの一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す放電優先モード1における制御器の制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図3に示すバランスモード1における制御器の制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】図3に示す充電優先モード1における制御器の制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】図2に示す燃料電池システムの発電電力と外部負荷の消費電力との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図9】図8に示す燃料電池システムにおける改質器および燃料電池スタックの運転モードの一例を示すフローチャートである。
【図10】図9に示す放電優先モード2における制御器の制御の一例を示すフローチャートである。
【図11】図9に示すバランスモード2における制御器の制御の一例を示すフローチャートである。
【図12】図9に示す充電優先モード2における制御器の制御の一例を示すフローチャートである。
【図13】図10に示す燃料電池システムの発電電力と外部負荷の消費電力との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図17】従来の燃料電池システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、燃料電池システムを通信基地局のバックアップ電源として用いる場合の構成を模式的に示すブロック図である。
【0025】
本発明の実施の形態1に係る燃料電池システム10は、例えば、通信基地局81のバックアップ電源として設置される。
【0026】
通信基地局81は、電源切換器82を介して商用電力網84と燃料電池システム10とに切換可能に接続されている。
【0027】
商用電力網84は商用電源からの電力を供給するための電力系統である。商用電力網84には停電検知器83が設けられている。
【0028】
電源切換器82は、通信基地局81の接続先を商用電力網84と燃料電池システム10との間で切り替える。停電検知器83により停電が検知されていない通常時、通信基地局81が商用電力網84に接続され、商用電力網84から通信基地局81に電力が供給される。一方、停電検知器83により停電が検知された停電時、通信基地局81が商用電力網84に代えて燃料電池システム10に接続され、燃料電池システム10から通信基地局81に電力が供給される。
【0029】
以下の説明では、通信基地局を「外部負荷」と称する。
【0030】
なお、外部負荷は、燃料電池システム10をバックアップ電源として用いる対象であって、通信基地局81に限定されない。外部負荷は、通常時および停電時に関わらず、電力により稼働する必要がある電力消費設備であればよい。例えば、データセンター等の情報処理設備、病院、放送局、住宅等が外部負荷として挙げられる。
【0031】
さらに、「外部負荷」として、燃料電池システム10に抵抗素子等の模擬負荷を備え、後述する出力制御器を、この模擬負荷と電源切換器82とに切り換えて接続可能な構成としてもよい。
【0032】
また、燃料電池システム10は、電力を供給するバックアップ電源として利用されるだけでなく、電力および熱を供給するコジェネレーションシステムとしても利用される。
【0033】
さらに、通常時に通信基地局81が接続される給電系統は、商用電力網に限定されず、常時稼働する自家発電装置等であってもよい。
【0034】
[燃料電池システムの構成]
図2は、燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0035】
燃料電池システム10は、原料を改質して水素を含有する改質ガスを生成する、複数の改質器Rnと、改質器Rnから供給される改質ガスを用いて発電する、少なくとも1つの燃料電池スタックFnと、燃料電池スタック(以下、「スタック」と言う。)Fnと並列に接続される蓄電池S0と、蓄電池S0の充電量に応じて改質器Rnの運転を制御する制御器Ctとを備える。
【0036】
燃料電池システム10は、この他に、脱硫器D0、酸化剤ガス供給器C0、および複数の熱供給器Bnを備えている。但し、たとえば、後述する、原料供給ライン11から供給される原料に硫黄が含まれていない場合、脱硫器D0は不要である。この硫黄を含まない原料としては、硫黄以外の不臭剤が利用された原料などがある。また、改質器Rnがオートサーマル方式により改質するよう構成されている場合には、熱供給器Bnは不要である。
【0037】
ここで、これら構成要素の符号について説明する。改質器R1〜Rnを例に挙げれば、「R1」は「1つ目」の改質器を指し、「Rn」は「n個目」の改質器を指している。したがって、「改質器Rn」は、n個の改質器を備えていることを指す。図2の燃料電池システムは3つの改質器を備えているので、n=3となる。
【0038】
なお、以下の説明では、便宜上、n個の改質器のうちいずれでもよい場合を説明するときには、「改質器Rn」と表現する。
【0039】
また、以下の説明では、原料またはガスの流れ方向の上流または下流を、単に「上流」または「下流」と表現する。
【0040】
燃料電池システム10は、原料供給ライン11を備えている。
【0041】
原料供給ライン11は、原料ガス源(例えば、都市ガスや液化石油ガス(LPG)のインフラストラクチャ)に接続され、原料を供給する。原料としては、たとえば、天然ガス等の炭化水素系ガス、プロパンガス等の他の炭化水素系ガス、灯油等の常温で液体の炭化水素系燃料、メタノールなどの炭化水素以外の有機系燃料が挙げられる。
【0042】
原料供給ライン11は、3ラインに分岐し、3個の改質器R1〜R3に接続される。また、原料供給ライン11には、分岐点の上流側に脱硫器D0が設けられ、分岐点から3個の改質器R1〜R3までの間に原料遮断弁Va1〜Va3がそれぞれ設けられる。
【0043】
脱硫器D0は、原料供給ライン11に接続され、原料に含まれる硫黄成分を除去する。脱硫器D0としては、例えば、硫黄成分を吸着する吸着剤を備える構成のものが用いられる。脱硫された原料は、原料供給ライン11および原料遮断弁Va1〜Va3を介して改質器R1〜R3のそれぞれに供給される。
【0044】
改質器Rnは、脱硫器D0により脱硫された原料を改質し、水素含有ガスである改質ガスを生成する。改質器Rnとしては、例えば、水蒸気改質器が用いられる。この場合、炭化水素系ガスに水蒸気を加えたものが原料として当該改質器Rnに供給される。また、図示しないが、改質器Rnの下流側にCO除去器が設けられてもよい。CO除去器は、改質器Rnによって生成した改質ガス中の一酸化炭素(CO)の濃度を減少させるために用いられ、例えば、変成器、選択酸化器、メタン化器等の公知の反応器が用いられる。改質器R1〜R3は、改質ガス供給ライン12−1〜12−3にそれぞれ接続される。
【0045】
改質ガス供給ライン12−nは、複数の改質器Rnと複数のスタックFnとを一対一で接続する。改質ガス供給ライン12−nは、改質ガスを改質器RnからスタックFnに供給する。
【0046】
複数のスタックFnは複数の改質器Rnにそれぞれ対応する。スタックFnは、複数の発電セルをスタック化したものである。各発電セルの具体的な種類は特に限定されない。たとえば、固体高分子電解質形、固体酸化物形、りん酸形、溶融炭酸塩形等の公知のものがスタックFnとして用いられる。スタックFnは、改質器Rnに加えて、酸化剤ガス供給ライン14を介して酸化剤ガス供給器C0にも接続される。
【0047】
酸化剤ガス供給器C0は、例えば、公知のブロアであって、酸化剤ガスを供給する。酸化剤ガスとしては、空気および純酸素等が挙げられる。
【0048】
スタックFnには、改質器Rnからの改質ガスと、酸化剤ガス供給器C0からの酸化剤ガスが流入する。そして、スタックFnにおいて改質ガスおよび酸化剤ガスが反応し、発電が行われる。
【0049】
燃焼ガス供給ライン16−nは、改質器Rnに対応する熱供給器Bnに、当該改質器Rnで生成し、スタックFnで発電に供された残りの改質ガス(オフガス)を供給する。燃焼ガス供給ライン16−nは、たとえば、燃焼ガス弁Vbnを介してスタックFnと熱供給器Bnとをそれぞれ接続する。スタックFnで発電に用いられなかった改質ガス、すなわち、オフガスは、燃焼ガスとしてスタックFnから燃焼ガス供給ライン16−nに排出される。したがって、この燃焼ガスすなわちオフガスも改質ガスである。
【0050】
複数の熱供給器Bnは、複数の改質器Rnのそれぞれに対応して設けられ、改質ガスを燃焼することにより、対応する当該改質器Rnに熱を供給する。具体的には、熱供給器Bnは、改質器Rnの近傍に配置され、スタックFnから排出されるオフガスを燃焼して、改質器Rnに熱を与える。これにより、改質器Rnの温度は改質反応に必要な温度に保持される。この熱は、水蒸気改質器などの改質器Rnにおける水蒸気改質反応などの吸熱反応に利用される。この改質反応に好ましい温度としては、典型的には、700℃程度を挙げることができ、熱供給器Bnは、この温度を実現できる火力を備えていればよい。
【0051】
原料供給ライン11、改質ガス供給ライン12−n、酸化剤ガス供給ライン14としては、公知の配管が用いられるが、配管以外の他の公知の流路構築部材を用いてもよい。
【0052】
原料遮断弁Vanおよび燃焼ガス弁Vbnとしては、公知の開閉弁等が用いられる。
【0053】
なお、スタックFnには水通流経路が設けられているが、図2においては、水通流経路の具体的な構成については、その記載を省略している。水通流経路としては、改質水供給経路、冷却水循環経路、回収水循環経路、貯湯水循環経路等が挙げられるが、特に限定されない。
【0054】
図2に示すように、改質器RnとスタックFnとは改質ガス供給ライン12−nにより一対一で接続され、1つの改質器Rnから1つのスタックFnに改質ガスが供給される。この一対の改質器RnおよびスタックFnは、発電ユニットUnを構成する。燃料電池システム10は、複数の発電ユニットU1〜Unを備えている。
【0055】
燃料電池システム10は、さらに、出力制御器Inを備えている。出力制御器Inは、発電ユニットU1〜UnのスタックF1〜Fnおよび蓄電池S0のそれぞれの電気出力端子に接続されている。また、出力制御器Inは、図1に示す切換器82に接続されている。出力制御器Inは、外部負荷が通信基地局のように直流負荷である場合には、たとえばDC−DCコンバータで構成される。この場合、DC−DCコンバータの入力端子にスタックF1〜Fnのそれぞれの電気出力端子が接続され、DC−DCコンバータの出力端子に蓄電池S0と切換器82が接続される。なお、外部負荷が交流負荷である場合には、出力制御器Inには、DC−DCコンバータの出力端子に蓄電池S0と並列にインバータが接続され、このインバータの出力端子に切換器82が接続される。なお、制御器Inにおいて、良く知られているように、蓄電池S0とDC−DCコンバータの出力端子との間に昇降圧コンバータを設けてもよい。そのように構成すると、蓄電池S0の充放電制御を容易に行うことができる。これらの構成を用いて蓄電池S0の充放電を制御する方法は周知であるので、その説明を省略する。
【0056】
上述の発電ユニットU1〜Unと出力制御器Inとは制御器Ctにより制御される。
【0057】
制御器Ctは、発電ユニットU1〜U3および出力制御器Inを含む燃料電池システム10全体の運転を制御する。制御器Ctは、マイクロコントローラ、PLC(Programmable Logic Controller)等の公知の制御器で構成される。制御器Ctは、集中制御を行う単独の制御器で構成されてもよく、分散制御を行う複数の制御器で構成されてもよい。
【0058】
具体的には、制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する検知部として機能する。停電時に図1に示す切換器82を介して外部負荷(通信基地局81)に接続されると、外部負荷の消費電力を検知する。外部負荷の消費電力は公知の方法により検知される。たとえば、商用電力網84と切換器82との間に設置された電流センサ(図示せず)によって検知された電流値、および外部負荷からの運転状態の情報などがデータ伝達経路を介して制御器Ctに入力され、これらの検知データに基づいて、制御器Ctは消費電力を検知する。
【0059】
制御器Ctは、蓄電池S0の充電量を検知する検知部として機能する。充電量は、蓄電池S0の電圧や蓄電池内の電解質の比重を検知する等、公知の方法により検知され、それがデータ伝達経路を介して制御器Ctに入力される。この検知データに基づいて、制御器Ctは蓄電池S0の充電量を検知する。
【0060】
制御器Ctは、外部負荷の消費電力および蓄電池S0の充電量に応じて、出力制御器Inにより外部負荷へ出力する電力を調整する。この出力電力の調整に合わせて、発電ユニットUnの燃焼ガス弁Vbnを開閉して、原料供給ライン11からの原料供給量を制御する。これにより、発電ユニットU1〜Unの発電運転、すなわち、改質器RnおよびスタックFnの運転が制御される。
【0061】
なお、脱硫器D0、酸化剤ガス供給器C0、改質器Rn、スタックFn、熱供給器Bn、各ラインおよび各弁の具体的構成は特に限定されない。たとえば、改質器Rnは熱供給器Bnを備えるものに限定されず、オフガスまたは改質ガスまたは原料ガスを燃料として熱を発生させる公知の熱供給器を備えるものが用いられる。
【0062】
[燃料電池システムの運転方法]
図3は、燃料電池システムにおける改質器RnおよびスタックFnの運転モードの一例を示すフローチャートである。なお、以下では、蓄電池S0の充電量を許容充電量(定格充電量)に対するパーセンテージで表す。また、改質器Rnの運転状態を、定格ガス供給量(スタックFnの定格発電量(電力)に対応して定められた改質ガス供給量)に対する当該運転状態における改質ガス供給量のパーセンテージで表す。
【0063】
制御器Ctは、スタックFnおよび蓄電池S0の少なくともいずれか一方から負荷へ電力が供給される場合、蓄電池S0の充電量および外部負荷の消費電力に応じて運転する改質器Rnの数を変える。
【0064】
制御器Ctは、スタックFnおよび蓄電池S0の少なくともいずれか一方から外部負荷へ電力が供給される場合、蓄電池S0の充電量および外部負荷の消費電力に応じてスタックFnの発電量を変える。
【0065】
具体的には、まず、制御器Ctは蓄電池の充電量を検知する(S100)。この蓄電池S0の充電量に応じて、図3に示す改質器RnおよびスタックFnの運転モードを制御器Ctは選択する。
【0066】
蓄電池S0の充電量が多い、たとえば80%以上である場合(S101:YES)、放電優先モード1を実行する(S102)。蓄電池S0の充電量が中程度、たとえば20%以上80%未満である場合(S101:NO、S103:YES)、バランスモード1を実行する(S104)。蓄電池S0の充電量が少ない、たとえば20%未満である場合(S103:NO)、充電優先モード1を実行する(S105)。
【0067】
このように選択した運転モードに従って後述するように改質器RnおよびスタックFnが運転される。この運転中に蓄電池S0の充電量が適宜検知され、充電量に基づいて運転モードが選択される。選択した運転モードが実行中の運転モードと異なる場合、運転モードが切り替えられる。
【0068】
[放電優先モード1の運転方法]
図4は、放電優先モード1における制御器Ctの制御の一例を示すフローチャートである。図7(a)は、放電優先モード1において燃料電池システムから出力される電力と、外部負荷の消費電力との関係を示す面グラフである。図7(a)において、燃料電池システムの出力電力が縦軸に示され、外部負荷の消費電力が横軸に示される。なお、燃料電池システムの出力電力には、スタックFnの発電による電力と、蓄電池S0の放電による電力とがある。
【0069】
放電優先モード1では、制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する(S200)。
【0070】
外部負荷の消費電力が小さい、たとえば、1kW未満である場合(S201:YES)、制御器Ctは改質器R1〜R3を運転せず、外部負荷の消費電力に応じて蓄電池を放電する(S202)。
【0071】
具体的には、外部負荷の消費電力に相当する量の電流を蓄電池S0から出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。図7(a)に示すように、外部負荷の消費電力に等しい量の電力が燃料電池システム10の出力制御器Inから外部負荷に出力される。このように、燃料電池システム10から外部負荷に供給する電力が蓄電池の充電量に比べて十分に小さい場合、外部負荷の電力は蓄電池の放電のみでまかなわれる。
【0072】
外部負荷の消費電力が、たとえば1kW以上2kW未満の場合(S201:NO、S203:YES)、制御器Ctは改質器R1を100%で運転する(S204)。
【0073】
改質器R1が100%で運転されると、スタックF1の定格電力の発電に必要な改質ガス量と、熱供給器B1で改質反応の加熱に必要な改質ガス量とをまかなうガス量が改質器R1で生成される。そして、制御器Ctは、1kWに相当する電流をスタックF1から出力制御器Inに流すように、出力制御器Inを制御する。これにより、スタックF1では、定格電力、たとえば、1kWの発電が行われる(S205)。
【0074】
また、外部負荷の消費電力が1kWを超える場合、超える分の電力αに相当する電流を蓄電池S0から流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する(S206)。これにより、図7(a)に示すように、出力制御器Inを介して燃料電池システム10から外部負荷に1+αkWの電力が供給される。
【0075】
このように、外部負荷の消費電力が、1個のスタックFnの定格電力以上であって2個のスタックFnの定格電力の総和未満である場合、1個の改質器RnおよびスタックFnが運転される。そして、1個のスタックFnの定格電力より大きな外部負荷の消費電力は、蓄電池S0の電力で補われる。
【0076】
外部負荷の消費電力が、たとえば2kW以上3kW未満である場合(S203:NO、S207:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転する(S208)。
【0077】
この改質器R1およびR2から、定格電力の発電に必要な量の改質ガスをスタックF1およびF2は受ける。そして、スタックF1およびF2から合計2kWに相当する電流を出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これにより、2つのスタックF1およびF2で合わせて2kWの電力の発電が行われる(S209)。
【0078】
また、スタックF1およびF2の合計電力の2kWを外部負荷の消費電力が超えると、超える分の電力αに相当する電流を蓄電池S0から流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する(S210)。そして、図7(a)に示すように、2つのスタックF1およびF2および蓄電池S0からの電流により、燃料電池システム10の出力制御器Inから外部負荷に2+αkWの電力が供給される。
【0079】
このように、外部負荷の消費電力が、2個のスタックFnの定格電力以上であって、3個のスタックFnの定格電力未満である場合、2個の改質器RnおよびスタックFnが運転される。そして、2個のスタックFnの定格電力より大きな外部負荷の消費電力は、蓄電池S0の電力で補われる。
【0080】
外部負荷の消費電力が、たとえば3kW以上である場合(S207:NO)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S211)。
【0081】
この改質器R1、R2およびR3から、定格電力の発電に必要な量の改質ガスがスタックF1、F2およびF3にそれぞれ供給される。スタックF1、F2およびF3から合計3kWに相当する電流を出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これにより、3つのスタックF1、F2およびF3で合わせて3kWの発電が行われる(S212)。
【0082】
スタックF1、F2およびF3の合計電力の3kWを外部負荷の消費電力が超えると、超える分の電力αに相当する電流を蓄電池S0から流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する(S213)。そして、2つのスタックF1、F2およびF3と蓄電池S0とからの電流に相当する電力:3+αkWが、燃料電池システム10の出力制御器Inから外部負荷に与えられる。
【0083】
このように、外部負荷の消費電力が、3個のスタックFnの合計定格電力以上である場合、3個すべての改質器RnおよびスタックFnが運転される。そして、3個のスタックFnの定格電力より大きな外部負荷の消費電力は、蓄電池S0の電力で補われる。
【0084】
[バランスモード1の運転方法]
図5は、バランスモード1における制御器Ctの制御の一例を示すフローチャートである。図7(b)は、放電優先モード1において燃料電池システムから出力される電力と、外部負荷の消費電力との関係を示す面グラフである。縦軸および横軸については図7(a)と同様である。
【0085】
制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する(S300)。
【0086】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW未満である場合(S301:YES)、制御器Ctは改質器R1を100%で運転する(S302)。これにより、スタックF1の定格電力の発電に必要な改質ガス量と、熱供給器B1で改質反応の加熱に必要な改質ガス量とをまかなうガス量が改質器R1で生成される。
【0087】
制御器Ctは、1kWに相当する電流をスタックF1から出力制御器Inに流すように、出力制御器Inを制御する。これにより、スタックF1では、定格電力、たとえば、1kWの発電が行われる(S303)。
【0088】
この発電電力は、図7(b)に示すように、外部負荷の消費電力に比べて大きい。このため、消費電力に等しい電力については、この電力に相当する電流をスタックF1から外部負荷へ出力制御器Inを介して流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。
【0089】
また、発電電力のうち、消費電力を超える量の電力については、この電力に相当する電流を蓄電池S0に流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これにより、蓄電池S0が充電される(S304)。
【0090】
このように、外部負荷の消費電力が、1個のスタックFnの定格電力未満である場合、1個の改質器RnおよびスタックFnが運転される。そして、1個のスタックFnの電力は外部負荷へ供給されるとともに、この残りの電力は蓄電池S0の充電に利用される。
【0091】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW以上2kW未満である場合(S301:NO、S305:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転する(S306)。この改質器R1およびR2からの改質ガスはスタックF1およびF2にそれぞれ供給される。
【0092】
スタックF1およびF2から合計2kWに相当する電流を出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これによって、図7(b)に示すように、スタックF1およびF2において合計2kWの電力が発電される(S307)。
【0093】
この発電電力のうち、消費電力に等しい電力については、この電力に相当する電流がスタックF1およびF2から外部負荷へ流される。また、発電電力のうち、消費電力を超える量の電力については、この電力に相当する電流が蓄電池S0に流される(S308)。
【0094】
このように、外部負荷の消費電力が、1個のスタックFnの定格電力以上であって、2個のスタックFnの定格電力未満である場合、2個のスタックFnの電力は外部負荷への供給および蓄電池S0への充電に利用される。
【0095】
外部負荷の消費電力が、たとえば、2kW以上3kW未満である場合(S305:N0、S309:YES)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S310)。この改質器R1〜R3からの改質ガスはスタックF1、F2およびF3それぞれに供給される。
【0096】
スタックF1〜F3から合計3kWに相当する電流を出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。よって、図7(b)に示すように、スタックF1〜F3により合計3kWの電力が発電される(S311)。
【0097】
この発電電力のうち、消費電力に等しい電力については、この電力に相当する電流がスタックF1〜F3から外部負荷へ流される。また、発電電力のうち、消費電力を超える量の電力については、この電力に相当する電流が蓄電池S0に流される(S312)。
【0098】
このように、外部負荷の消費電力が、2個のスタックFnの定格電力以上であって、3個のスタックFnの定格電力未満である場合、3個のスタックFnの電力は外部負荷への供給および蓄電池S0への充電に利用される。
【0099】
外部負荷の消費電力が3kW以上である場合(S309:NO)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S313)。この改質器R1〜R3からの改質ガスはスタックF1〜F3のそれぞれに供給される。
【0100】
スタックF1〜F3から合計3kWに相当する電流を流すように、出力制御器Inは制御される。これにより、図7(b)に示すように、スタックF1〜F3において合計3kWの電力が発電される(S314)。
【0101】
この場合、全てのスタックF1〜F3の合計電力は外部負荷の消費電力に足りない。このため、スタックF1〜F3の発電に加えて、蓄電池S0が放電される(S315)。このスタックF1〜F3からの電流と、蓄電池S0からの電流とが出力制御器Inを介して外部負荷に供給される。
【0102】
このように、外部負荷の消費電力が、3個のスタックFnの定格電力以上である場合、3個のスタックFnの電力は外部負荷への供給および蓄電池S0への充電に利用される。
【0103】
[充電優先モード1の運転方法]
図6は、充電優先モード1における制御器Ctの制御の一例を示すフローチャートである。図7(c)は、放電優先モード1において燃料電池システムから出力される電力と、外部負荷の消費電力との関係を示す面グラフである。縦軸および横軸については図7(a)と同様である。
【0104】
制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する(S400)。
【0105】
負荷の消費電力が、たとえば、1kW未満である場合(S401:YES)、制御器Ctは改質器R1を100%で運転し(S402)、改質器R2を外部負荷の消費電力に相当する割合で運転する(S403)。
【0106】
制御器Ctは、1kWに相当する電流をスタックF1から出力制御器Inに流すように、出力制御器Inを制御する。これにより、改質器R1からの改質ガスに基づいて、定格電力、たとえば、1kWでスタックF1は発電する(S404)。そして、スタックF1の発電電力のすべてについては、この電力に相当する電流を蓄電池S0に流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これにより、1kWの電力が蓄電池S0に充電される(S406)。このとき、最大充電電流以下で電流がスタックF1から蓄電池S0へ出力制御器Inを介して流される。最大充電電流に比べて大きな電流が流されると、蓄電池S0の寿命が短くなってしまう。ただし、最大充電電流に比べて非常に小さな電流で充電されると、充電効率が低くなってしまう。
【0107】
なお、最大充電電流は、蓄電池SOの電極材料や構造に依存する。また、蓄電池SOの寿命が短くなることがある程度許容される場合には、蓄電池SOの充電電流を最大充電電流より大きくしてもよい。
【0108】
本実施例では、1kW(最大充電電流×蓄電池電圧=1kW)の電力に相当する最大充電電流が例示されている。
【0109】
また、制御器Ctは、外部負荷の消費電力に相当する電流をスタックF2から出力制御器Inに流すように、出力制御器Inを制御する。これによって、改質器R2からの改質ガスによりスタックF2は外部負荷の消費電力に対応する電力で発電する(S405)。この電力に相当する電流をスタックF2から外部負荷へ出力制御器Inを介して流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。
【0110】
このように、外部負荷の消費電力が、1個のスタックFnの定格電力未満である場合、2個の改質器RnおよびスタックFnが運転される。そして、一方のスタックFnの電力は外部負荷へ供給され、他方のスタックFnの電力は蓄電池S0の充電に利用される。
【0111】
外部負荷の消費電力が1kW以上2kW未満である場合(S401:NO、S407:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転し(S408)、改質器R3を外部負荷の消費電力に相当する割合で運転する(S409)。
【0112】
スタックF1およびF2から合計2kWに相当する電流を出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これによって、改質器R1およびR2からの改質ガスにより、定格電力でスタックF1およびF2が発電する(S410)。スタックF1およびF2における2kWの発電電力のうち、1kWの電力が蓄電池S0に最大充電電流で充電される(S412)。残りの1kWの電力が後述するように外部負荷に供給される。
【0113】
改質器R3からの改質ガスによりスタックF3は発電する(S411)。この発電電力は、外部負荷の消費電力に対応する電力から1kWの電力を引いた電力である。このため、スタックF3の電力と、前述の残りの1kWの電力とを合わせた電力は、外部負荷の消費電力に等しい。この電力が外部負荷に供給される。
【0114】
このように、図7(c)に示すように、外部負荷の消費電力:1+αkWが、1個のスタックFnの定格電力以上、2個のスタックFnの定格電力未満、たとえば、1kW以上2kW未満である。この場合、燃料電池システム10では、3個のスタックF1、F2およびF3の発電電力:2kWと、スタックF3の発電電力:αkWとの合計電力2+αkWが発電される。この発電電力:2+αkWのうち、1+αkWの電力が外部負荷への供給にあたられ、1kWの電力が蓄電池S0の充電にあてられる。
【0115】
外部負荷の消費電力が2kW以上3kW未満である場合(S407:NO、S413:YES)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S414)。改質器R1〜R3からスタックF1〜F3に改質ガスがそれぞれ供給される。
【0116】
スタックF1〜F3から合計3kWに相当する電流を流すように、出力制御器Inが制御される。これによって、改質器R1〜R3からの改質ガスによりスタックF1〜F3は合計3kWで発電する(S415)。スタックF1、F2およびF3における3kWの発電電力のうち、消費電力に相当する電力が外部負荷に供給される。この残りの電力が蓄電池S0に最大充電電流で充電される(S416)。
【0117】
このように、図7(c)に示すように、外部負荷の消費電力:2+αkWが、2個のスタックFnの定格電力以上、3個のスタックFnの定格電力未満、たとえば、2kW以上3kW未満である。この場合、燃料電池システム10では、3個のスタックF1、F2およびF3により合計で3kWの電力が発電される。この発電電力:3kWのうち、2+αkWの電力が外部負荷へ供給され、1−αkWの電力が蓄電池S0の充電に利用される。
【0118】
外部負荷が3kW以上である場合(S413:NO)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S417)。
【0119】
改質器R1、R2およびR3からの改質ガスによりスタックF1、F2およびF3において、合計3kWの電力が発電される(S418)。スタックF1、F2およびF3における3kWの発電電力に比べて外部負荷の消費電力が大きい。このため、燃料電池システム10から外部負荷へ供給される電力は不足する。よって、商用電源などの電力供給源から電力を取得することが可能であれば、スタックF1、F2およびF3の発電電力に他の電力供給源からの電力を加えた電力が外部負荷に供給される(S419)。一方、他の電力供給源から電力を取得することができなければ、スタックF1、F2およびF3の発電電力のみが外部負荷に供給される。
【0120】
このように、図7(c)に示すように、外部負荷の消費電力:3+αkWが、3個のスタックFnの定格電力以上、たとえば、3kW以上である。この場合、燃料電池システム10では、3個のスタックF1、F2およびF3の発電電力:3kWが発電される。この発電電力:3kWのすべてが外部負荷へ供給される。
【0121】
このように、外部負荷の消費電力に応じて、運転する改質器Rnの数が変化される。このため、燃料電池システム10における改質器Rnは改質ガスの生成量を大きく変動することができる。これにより、スタックFnで発電される発電量も大きく変化させることが可能である。それゆえ、燃料電池システム10から出力される電力を外部負荷の消費電力に対応させることができる。
【0122】
また、各スタックFnの発電可能な定格電力より小さな電力は蓄電池S0からの電力により調整される。このため、各スタックFnで定格電力が発電されるように、改質器Rnが100%で運転される。これにより、単位発電量あたりの改質器Rnの放熱が抑えられ、改質器Rnの効率が高められる。
【0123】
さらに、バランスモード1および充電優先モード1では、各スタックFnの発電電力のうち外部負荷の消費電力を超える量の電力が充電池S0の充電に利用される。このため、電力の無駄がなく、燃料電池システム10における電力が効率的に用いられる。
【0124】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る燃料電池システム10では、燃焼ガス供給ライン16−1〜16−3がそれぞれ独立していた。これに対し、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システム10では、燃焼ガス供給ライン16−1〜16−3がオフガス相互利用ライン13により互いに接続されている。この点以外は、実施の形態2に係る燃料電池システム10は実施の形態1の燃料電池システム10と同様の構成を有する。
【0125】
改質ガス相互利用ラインは、それぞれの改質器Rnから燃料電池スタックFnに供給され、かつ、当該燃料電池スタックFnから排出される改質ガスであるオフガスの一部を他の改質器Rnに対応する熱供給器Bnに供給する、オフガス相互利用ライン13である。
【0126】
[燃料電池システムの構成]
図8は、燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0127】
オフガス相互利用ライン13は、それぞれの改質器Rnで生成された改質ガスを、他の改質器Rnに対応する熱供給器Bnに供給する。
【0128】
オフガス相互利用ライン13は、それぞれの改質器RnからスタックFnに供給され、かつ、当該スタックFnから排出される改質ガスであるオフガスの一部を他の改質器Rnに対応する熱供給器Bnに供給する。
【0129】
オフガス相互利用ライン13は、各燃焼ガス供給ライン16−1〜16−3を互いに接続する。したがって、各燃焼ガス弁Vbnの開閉により、スタックFnからの燃焼ガスを対応する熱供給器Bnだけでなく、これ以外の熱供給器Bnにも選択的に供給される。
【0130】
制御器Ctは、少なくとも1つの改質器Rnを稼働させている間は他の改質器Rnを必要に応じて停止させる。停止中の改質器Rnのうち少なくとも1つについて稼働を開始させる場合に、オフガス相互利用ライン13を介して当該稼働を開始させる改質器Rnに対応する熱供給器Bnに、稼働中の改質器Rnで生成された改質ガスを供給して当該稼働を開始させる改質器Rnを当該熱供給器Bnにより暖機させる制御を行う。
【0131】
出力制御器Inに複数のDC−DCコンバータが設けられる。複数のDC−DCコンバータは、スタックF1〜Fnのそれぞれに対応する。スタックF1〜Fnの電気出力端子は、対応するDC−DCコンバータの入力端子にそれぞれ接続される。これにより、各スタックF1〜Fnの発電電力が個別に制御される。このため、後述するバランスモード2において、スタックF1を1kWで発電させ、スタックF2を0.75kWで発電させることができる。ただし、実施の形態1と同様に、スタックF1〜Fnの全てを1つのDC−DCコンバータに接続されてもよい。この場合、制御器Ctは、スタックF1およびF2の発電電力を個別に制御することができない。
【0132】
[燃料電池システムの運転方法]
図9は、燃料電池システムにおける改質器RnおよびスタックFnの運転モードの一例を示すフローチャートである。
【0133】
制御器Ctは、少なくとも1つの改質器Rnを稼働させている間は他の改質器Rnを停止させ、停止中の改質器Rnのうち少なくとも1つについて稼働を開始させる場合に、改質ガス相互利用ライン(オフガス相互利用ライン13)を介して当該稼働を開始させる改質器Rnに対応する熱供給器Bnに、稼働中の改質器Rnで生成された改質ガスを供給して当該稼働を開始させる改質器Rnを当該熱供給器により暖機させる制御を行う。
【0134】
制御器Ctは、まず、蓄電池の充電量を検知する(S500)。この蓄電池S0の充電量に応じて、図9に示す改質器RnおよびスタックFnの運転モードを制御器Ctは判断する。
【0135】
具体的には、蓄電池S0の充電量が多い、たとえば80%以上である場合(S501:YES)、運転モードが放電優先モード2であると判断される(S502)。蓄電池S0の充電量が中程度、たとえば20%以上80%未満である場合(S501:NO、S503:YES)、運転モードがバランスモード2であると判断される(S504)。蓄電池S0の充電量が少ない、たとえば20%未満である場合(S503:NO)、運転モードが充電優先モード2であると判断される(S505)。
【0136】
このように判断された運転モードに従って後述するように改質器RnおよびスタックFnが運転される。この運転中に蓄電池S0の充電量が適宜検知され、充電量から運転モードが判断される。判断された運転モードが実行中の運転モードと異なる場合、運転モードが切り替えられる。
【0137】
[放電優先モード2の運転方法]
図10は、放電優先モード2における制御器Ctの制御の一例を示すフローチャートである。図13(a)は、放電優先モード2において燃料電池システムから出力される電力と、外部負荷の消費電力との関係を示す面グラフである。図13(a)において、燃料電池システムの発電電力が縦軸に示され、外部負荷の消費電力が横軸に示される。なお、燃料電池システムにおける発電電力には、スタックFnの発電による電力と、蓄電池S0の放電による電力とがある。
【0138】
放電優先モード2では、制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する(S600)。
【0139】
外部負荷の消費電力が小さい、たとえば、1kW未満である場合(S601:YES)、制御器Ctは改質器R1を50%で運転する(S602)。
【0140】
具体的には、制御器Ctは原料遮断弁Va1および燃焼ガス弁Vb1を開ける。これにより、燃料ガスが、改質器R1およびスタックF1を通過し、熱供給器B1に供給される。なお、原料遮断弁Va1および燃焼ガス弁Vb1を開ける順序は、原料遮断弁Va1が先であっても、燃焼ガス弁Vb1が先であっても、これらが同時であってもよい。
【0141】
制御器Ctは、熱供給器B1を点火する。これにより、燃料ガスが燃焼されて、改質器R1が加熱される。改質反応温度に達した改質器R1は、改質ガスを生成しスタックF1に排出する。ここで、改質器R1が50%で運転される。これにより、100%で運転された改質器R1が生成する改質ガス量のおおよそ半分の量の改質ガスが生成される。
【0142】
この場合、スタックF1は発電を行わないので、改質ガスは、スタックF1で消費されずに、燃焼ガス供給ライン16−1を介して熱供給器B1にオフガスとして供給される。オフガスは熱供給器B1で燃焼され、改質器R1の温度が維持される。
【0143】
次に、制御器Ctは、発電ユニットU2の燃焼ガス弁Vb2を開ける。これにより、スタックF1からのオフガスは、熱供給器B1だけでなく、オフガス相互利用ライン13を介して熱供給器B2にも供給される。なお、このとき、原料遮断弁Va1は閉じられたままであるので、熱供給器B2はスタックF2からオフガスの供給を受けない。
【0144】
制御器Ctは熱供給器B2を点火する。これにより、燃焼ガスが燃焼されて、改質器R2が暖機される。
【0145】
さらに、制御器Ctは、発電ユニットU3の燃焼ガス弁Vb3を開ける。これにより、スタックF1からのオフガスは、オフガス相互利用ライン13を通り、熱供給器B3にも供給される。熱供給器B3が点火されると、オフガスが燃焼し、改質器R3が暖機される
(S603)。
【0146】
また、制御器Ctは蓄電池S0を放電する(S604)。これにより、外部負荷の消費電力に相当する電流が、蓄電池S0から出力制御器Inを介して外部負荷に供給される。
【0147】
このように、放電優先モード2では、停電などにより燃料電池システム10が外部負荷に接続されると、改質器R1〜R3の暖機と共に、蓄電池S0が放電される。このため、外部負荷の消費電力は、蓄電池S0からの電力により補われる。また、外部負荷の増大に備えて、暖機された改質器R1〜R3を待機させておくことができる。そして、外部負荷の消費電力が蓄電池S0からの電力より大きくなると、燃料電池システム10から外部負荷へ与えられる電力が不足する。このとき、スタックFnの発電が開始される。発電するスタックFnの数は、不足電力に応じて変化する。したがって、外部負荷の消費電力の増大に際して迅速に発電を行うことが可能である。
【0148】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW以上2kW未満である場合(S601:NO、S605:YES)、制御器Ctは改質器R1を100%で運転する(S606)。
【0149】
このとき、原料遮断弁Va1が開けられ、原料供給ライン11からの原料は改質器R1に供給される。改質器R1は改質ガスをスタックF1に供給する。燃焼ガス弁Vb1が開けられ、オフガスが熱供給器B1に供給される。
【0150】
ここで、定格電力、たとえば、1kWに相当する電流を流すように出力制御器Inが制御されると、スタックF1では1kWの発電が行われる(S607)。このため、改質器R1からの改質ガスのほとんど全てが、スタックF1の反応および熱供給器B1の燃焼に使用される。
【0151】
また、制御器Ctは、改質器R2を25%で運転する(S608)。ここで、原料遮断弁Va2および燃焼ガス弁Vb2およびVb3が開けられる。また、スタックF2およびF3では発電が行われない。よって、改質器R2からの改質ガスはスタックF2を通り熱供給器B2にオフガスとして与えられる。熱供給器B2は、オフガスを燃焼し、改質器R2を暖機する。また、改質器R2からの改質ガスは、オフガス相互利用ライン13を通り、熱供給器B3にも供給される。熱供給器B3は、オフガスが燃焼し、改質器R3を暖機する(S609)。
【0152】
また、外部負荷の消費電力が1kWを超える場合、超える分の電力:αkWに相当する電流が蓄電池S0から放電される(S610)。そして、図13(a)に示すように、スタックF1の電力:1kWおよび蓄電池S0の電力:αkWを合わせた1+αkWの電力が、燃料電池システム1から外部負荷に供給される。
【0153】
このように、スタックF1および蓄電池S0の電力が燃料電池システム10から外部負荷に供給される。これと共に、改質器R2およびR3が暖機される。よって、外部負荷の消費電力がスタックF1および蓄電池S0の電力より大きくなると、改質器R2およびR3の一方または両方が運転される。そして、スタックF2および/またはF3は、改質器R2および/またはR3からの改質ガスを基に発電する。したがって、外部負荷の消費電力の増大に際して迅速に発電を行うが可能である。
【0154】
外部負荷の消費電力が、たとえば、2kW以上3kW未満である場合(S605:NO、S611:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転する(S612)。このとき、原料遮断弁Va1およびVa2が開けられ、原料は改質器R1およびF2に供給される。燃焼ガス弁Vb1およびVb2が開けられ、改質器R1およびR2からの改質ガスはスタックF1およびF2にそれぞれ供給される。このスタックF1およびF2で合計2kWの電力に相当する電流を流すように出力制御器Inが制御されると、スタックF1およびF2で合計2kWの発電が行われる(S613)。
【0155】
ここで、原料遮断弁Va3および燃焼ガス弁Vb3が開けられる。これにより、燃料ガスがオフガスとして発電していないスタックF3を通過し熱供給器B3に供給される。熱供給器B3は、オフガスを燃焼し改質器R3を暖機する(S614)。
【0156】
さらに、外部負荷の消費電力がスタックF1およびF2の合計発電電力を超える場合、制御器Ctは、超える電力:αkWで蓄電池S0を放電させる(S615)。これにより、スタックF1およびF2からの電力:2kWと、蓄電池S0からの電力αkWとの合計電力:2+αkWが外部負荷に供給される。
【0157】
このように、スタックF1およびF2と、蓄電池S0との電力により外部負荷の消費電力が補われる。これと共に、改質器R3が暖機される。よって、外部負荷の消費電力がスタックF1およびF2と蓄電池S0との電力より大きくなると、改質器R3が運転される。そして、スタックF3は、改質器R3からの改質ガスを基に発電する。したがって、外部負荷の消費電力の増大に際し、迅速に発電を行い、外部負荷に供給する電力を増やすことができる。
【0158】
外部負荷の電力が、たとえば3kW以上である場合(S611:NO)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S616)。原料遮断弁Va1〜Va3および燃焼ガス弁Vb1〜Vb3が開けられている。このため、改質器R1〜R3のそれぞれは、原料を受けて、改質ガスを生成する。スタックF1〜F3から合計3kWに相当する電流を出力制御器Inに流すように、制御器Ctは出力制御器Inを制御する。これにより、スタックF1〜F3において、合計で3kWの電力が発電される(S617)。
【0159】
また、外部負荷の消費電力がスタックF1〜F3の合計電力を超える場合、制御器Ctは、超える電力:αkWで蓄電池S0を放電させる(S618)。これにより、スタックF1〜F3からの電力:3kWと、蓄電池S0からの電力αkWとの合計電力:3+αkWが外部負荷に供給される。
【0160】
このように、スタックF1〜F3と蓄電池S0との電力により外部負荷の消費電力が補われる。
【0161】
[バランスモード2の運転方法]
図11は、バランスモード2における制御器Ctの制御の一例を示すフローチャートである。図13(b)は、バランスモード2において燃料電池システムから出力される電力と、外部負荷の消費電力との関係を示す面グラフである。
【0162】
制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する(S700)。
【0163】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW未満である場合(S701:YES)、制御器Ctは改質器R1を100%で運転する(S702)。このとき、原料遮断弁Va1および燃焼ガス弁Vb1が開けられ、改質器R1は原料から改質ガスを生成している。制御器CtによりスタックF1から500Wに相当する電流を流すように、出力制御器Inが制御される。これにより、改質器R1からの改質ガスを基にスタックF1が500Wで発電する(S703)。
【0164】
このとき、改質器R1は、スタックF1が定格電力、たとえば、1kWを発電できる量の改質ガスを生成している。これに対し、スタックF1では、この定格電力の半分、たとえば、500Wの電力を発電している。このため、スタックF1では、改質器R1からの改質ガスがすべて消費されていない。スタックF1を通過したオフガスには、消費されなかった水素が含まれている。そこで、燃焼ガス弁Vb1に加えて、Vb2およびVb3が開けられる。オフガスは、燃焼ガスとしてオフガス相互利用ライン13および燃焼ガス供給ライン16−2および16−3を介して熱供給器B2およびB3に供給される。
【0165】
制御器Ctは熱供給器B2およびB3を点火すると、改質器R2およびR3が暖機される(S704)。
【0166】
さらに、外部負荷の消費電力がスタックF1の発電電力を超える場合、制御器Ctは、超える電力:αkWで蓄電池S0を放電させる(S705)。これにより、スタックF1からの電力:0.5kWと、蓄電池S0からの電力αkWとの合計電力:0.5+αkWが外部負荷に供給される。
【0167】
一方、外部負荷の消費電力に対してスタックF1の発電電力が余る場合、消費電力に相当する電力が外部負荷に供給される。また、余った電力で蓄電池S0は充電される(S705)。
【0168】
このように、外部負荷の消費電力に比べてスタックF1の発電電力が大きければ、スタックF1の電力は蓄電池S0の充電に利用される。このため、スタックF1の電力が無駄になることがなく、燃料電池システム10における電力が有効に利用される。
【0169】
また、改質器R2およびR3が暖機される。よって、外部負荷の消費電力がスタックF1および蓄電池S0の電力より大きくなると、改質器R2およびR3の一方または両方が運転される。そして、スタックF2および/またはF3は、改質器R3からの改質ガスを基に発電する。したがって、外部負荷の消費電力の増大に際し、迅速に発電を行い、外部負荷に供給する電力を増やすことができる。
【0170】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW以上2kW未満である場合(S701:NO、S706:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転する(S707)。このとき、原料遮断弁Va1およびVa2と、燃焼ガス弁Vb1およびVb2とが開けられる。改質器R1およびR2は、原料から改質ガスを生成し、改質ガスをスタックF1およびF2にそれぞれ供給する。
【0171】
スタックF1では1kWで発電が行われる(S708)。このため、改質器R1からの改質ガスのほとんどは、スタックF1の発電および熱供給器B1の燃焼に利用される。
【0172】
スタックF2では750Wで発電が行われる(S708)。よって、改質器R2からの改質ガスの一部は、スタックF2の発電および熱供給器B2の燃焼で消費されずに残る。そこで、燃焼ガス弁Vb3が開けられる。スタックF2から流出したオフガスは、燃焼ガスとしてオフガス相互利用ライン13および燃焼ガス供給ライン16−3を介して熱供給器B3に供給される。制御器Ctは熱供給器B3を点火すると、改質器R3が暖機される(S709)。
【0173】
さらに、外部負荷の消費電力がスタックF1およびF2の合計電力を超える場合、制御器Ctは、超える電力:αkWで蓄電池S0を放電させる(S710)。これにより、スタックF1およびF2からの電力:1.75kWと、蓄電池S0からの電力αkWとの合計電力:1.75+αkWが外部負荷に供給される。
【0174】
一方、外部負荷の消費電力に対してスタックF1およびF2の発電電力が余る場合、消費電力に相当する電力が外部負荷に供給される。また、余った電力で蓄電池S0は充電される(S710)。
【0175】
このように、外部負荷の消費電力に比べてスタックF1およびF2の発電電力が大きければ、スタックF1およびF2の電力は蓄電池S0の充電に利用される。このため、スタックF1の電力が無駄になることがなく、燃料電池システム10における電力が有効に利用される。
【0176】
また、改質器R3が暖機される。よって、外部負荷の消費電力が燃料電池システム10の電力より大きくなると、改質器R3が運転される。スタックF3は、改質器R3からの改質ガスを基に発電する。したがって、外部負荷の消費電力の増大に際し、迅速に発電を行い、外部負荷に供給する電力を増やすことができる。
【0177】
外部負荷の消費電力が、たとえば、2kW以上3kW未満である場合(S706:NO、S711:YES)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S712)。このとき、原料遮断弁Va1〜Va3と、燃焼ガス弁Vb1〜Vb3とが開けられる。改質器R1〜R3は、原料から改質ガスを生成し、改質ガスをスタックF1〜F3にそれぞれ供給する。
【0178】
スタックF1〜F3のそれぞれにおいて1kWで発電が行われる(S713)。
【0179】
また、外部負荷の消費電力に対してスタックF1〜F3の発電電力が余る場合、消費電力に相当する電力が外部負荷に供給される。また、余った電力で蓄電池S0は充電される(S714)。
【0180】
このように、スタックF1〜F3の発電電力のうち、外部負荷の消費電力より大きな電力は蓄電池S0の充電に利用される。このため、スタックF1〜F3の電力が無駄なく利用される。
【0181】
外部負荷の消費電力が、たとえば、3kW以上である場合(S711:NO)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S715)。ここで、原料遮断弁Va1〜Va3および燃焼ガス弁Vb1〜Vb3が開けられる。改質器R1〜R3で生成されたオフガスはスタックF1〜F3にそれぞれ供給される。スタックF1〜F3のそれぞれにおいて、1kWで発電され、合計で3kWの電力が発電される(S716)。
【0182】
さらに、外部負荷の消費電力がスタックF1〜F3の合計電力を超える場合、制御器Ctは、超える電力:αkWで蓄電池S0を放電させる(S717)。これにより、図13(b)に示すように、スタックF1〜F3からの電力:3kWと、蓄電池S0からの電力αkWとの合計電力:3+αkWが、燃料電池システム10で発電され、外部負荷に供給される。
【0183】
[充電優先モード2の運転方法]
図12は、充電優先モード2における制御器Ctの制御の一例を示すフローチャートである。図13(c)は、充電優先モード2において燃料電池システムから出力される電力と、外部負荷の消費電力との関係を示す面グラフである。
【0184】
制御器Ctは、外部負荷の消費電力を検知する(S800)。
【0185】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW未満である場合(S801:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転する(S802)。このとき、原料遮断弁Va1およびVa2と、燃焼ガス弁Vb1およびVb2が開けられる、改質器R1およびR2は、原料から改質ガスを生成し、スタックF1およびF2に供給する。
【0186】
改質器R1からの改質ガスを基にスタックF1が定格電力、たとえば、1kWを発電する(S803)。この電力で蓄電池S0は最大充電電流で充電される(S805)。
【0187】
また、スタックF2は、改質器R2からの改質ガスにより発電する(S804)。これにより発電される電力は、外部負荷の消費電力に相当し、外部負荷に供給される。この時に生成する改質ガスは、スタックF2の発電電力相当分よりも多いため、改質器R2からの改質ガスのすべてがスタックF2で消費されずに残る。そこで、燃焼ガス弁Vb3が開けられると、オフガスはオフガス相互利用ライン13および燃焼ガス供給ライン16−3を介して熱供給器B3に供給される。この熱供給器B3は、オフガスを燃焼し、改質器R3を暖機する(S806)。
【0188】
このように、改質器R2の改質ガスにより改質器R3が暖機される。よって、外部負荷の消費電力がスタックF1およびF2の電力より大きくなると、改質器R3が運転される。そして、スタックF3は、改質器R3からの改質ガスを基に発電する。したがって、外部負荷の消費電力の増大に際し、迅速に発電を行い、外部負荷に供給する電力を増やすことができる。
【0189】
外部負荷の消費電力が、たとえば、1kW以上2kW未満である場合(S801:NO、S807:YES)、制御器Ctは改質器R1およびR2をそれぞれ100%で運転する(S808)。改質器R1およびR2からの改質ガスによりスタックF1およびF2において1kWの電力がそれぞれ発電される(S810)。
【0190】
また、制御器Ctは改質器R3を運転する(S809)。ここで、外部負荷の消費電力のうち、スタックF1およびスタックF2の発電電力(この場合は2kW)で補えない電力分を発電するのに必要な改質ガスの量と、改質器R3の暖機に必要な改質ガスの量とが、改質器R3で生成される。このため、改質器R3からの改質ガスにより、スタックF3では、外部負荷の消費電力から2kWを引いた電力:αkWが発電される(S811)。
【0191】
よって、燃料電池システム10において2+αkWの電力が発電される。この電力のうち、1kWの電力が最大充電電流で蓄電池S0に充電される(S812)。残りの電力:1+αkWの電力が外部負荷に供給される。
【0192】
外部負荷の消費電力が、たとえば、2kW以上3kW未満である場合(S807:NO、S813:YES)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S814)。このとき、原料遮断弁Va1〜Va3と、燃焼ガス弁Vb1〜Vb3とが開けられる。改質器R1〜R3は、原料から改質ガスを生成し、改質ガスをスタックF1〜F3にそれぞれ供給する。
【0193】
スタックF1〜F3のそれぞれにおいて1kWで発電が行われる。これにより、合計で3kWの電力が発電される(S815)。
【0194】
このスタックF1〜F3の発電電力は、外部負荷の消費電力より大きい。このため、消費電力に相当する電力は外部負荷に供給され、残る電力は蓄電池S0の充電に利用される(S816)。
【0195】
このように、スタックF1〜F3の発電電力のうち、外部負荷の消費電力より大きな電力は蓄電池S0の充電に利用される。このため、スタックF1〜F3の電力が無駄なく利用される。
【0196】
外部負荷の消費電力が、たとえば、3kW以上である場合(S813:NO)、制御器Ctは改質器R1、R2およびR3をそれぞれ100%で運転する(S817)。これにより、改質器R1〜R3で生成されたオフガスはスタックF1〜F3にそれぞれ供給される。スタックF1〜F3のそれぞれにおいて、1kWで発電され、合計で3kWの電力が発電される(S818)。
【0197】
このスタックF1〜F3の合計電力が外部負荷の消費電力を超える場合、燃料電池システム10の電力は消費電力に対して不足する。このため、商用電源などの電力を供給するグリッドから電力を受けることができれば、制御器Ctは、不足する電力をグリッドからの電力で補って、外部負荷に供給する。
【0198】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る燃料電池システム10では、改質ガス相互利用ラインは、それぞれの改質器Rnで生成された燃料電池スタックFnに供給される改質ガスを、当該他の燃料電池スタックのオフガスと合わせて、他の改質器Rnに対応する熱供給器Bnに、オフガス相互利用ライン13および燃焼ガス供給ライン16−nを介して供給するように構成されている。
【0199】
図14は、燃料電池システム10の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0200】
改質ガス利用ライン17−1は、改質器R1から三方弁Vc1で分岐され、燃焼ガス供給ライン16−1に合流する。同様に、改質ガス利用ライン17−2、17−3は、改質器R2、R3から三方弁Vc2、Vc3で分岐され、燃焼ガス供給ライン16−2、16−3にそれぞれ合流する。
【0201】
三方弁Vc1が改質ガス利用ライン17−1側に切り替えられ、燃焼ガス弁Vb1が開けられる。これにより、改質器R1で生成した改質ガスは、燃料電池スタックF1に入ることなく、燃焼ガス供給ライン16−1に合流し、熱供給器B1に供給されて燃焼される。
【0202】
また、改質ガス利用ライン17−1は燃焼ガス供給ライン16−1を介してオフガス相互利用ライン13にも接続している。このため、燃焼ガス弁Vb2、Vb3が開けられると、改質器R1からの改質ガスは、他のスタックF2、F3のオフガスや他の改質器R2、R3の改質ガスと合流し、他の熱供給器B2、B3にも供給される。
【0203】
これにより、スタックF1が発電状態にない場合に、スタックF1に改質ガスを流すことなく、改質器R1を暖機できる。また、他の改質器R2、R3に改質ガスを供給した場合には、他の改質器R2、R3も暖機できる。
【0204】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る燃料電池システム10では、個々のスタックFnが、改質器Rnとともに断熱材Hnにより包まれている。これ以外の点は、実施の形態1および2に係る燃料電池システム10と同様である。
【0205】
図15は、燃料電池システム10の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0206】
スタックFnには、例えば固体電解質形燃料電池(S0FC)が用いられる。スタックFn、改質器Rnおよび熱供給器Bnが断熱材Hnにより覆われている。
【0207】
この構成によれば、スタックFnは改質器Rnおよび熱供給器Bnとともに断熱材Hnに覆われている。この熱供給器Bnにより改質器Rnが暖機されている際、これらの温度はほぼ一定である。また、断熱材Hnにより熱の出入りが遮られている。このため、スタックFnの温度変化は小さい。よって、S0FCのように、温度変化に応じて膨張および収縮するようなものであっても、頻繁な温度変化によるスタックFnのセルが破損する等の劣化が防止される。したがって、燃料電池システム10において、より安定した運転が可能となる。
【0208】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る燃料電池システム10は、複数のスタックF1〜F3に代えて、単一で大型のスタックF0を備えている。これ以外の点は、実施の形態1および2に係る燃料電池システム10と同様である。
【0209】
図16は、燃料電池システム10の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0210】
改質ガス供給ライン22は、複数の改質器Rnで生成された改質ガスを合流してスタックFnに供給するように、改質器RnおよびスタックFnを接続する。
【0211】
改質ガス供給ライン22の下流側の端はスタックF0に接続され、上流側の端は3つに分岐されて改質器R1〜R3にそれぞれ接続される。改質ガス供給ライン22は、改質器R1〜R3からの改質ガスをまとめて単一のスタックF0に供給する。
【0212】
酸化剤ガス供給ライン24の上流側の端は酸化剤ガス供給器COに接続され、下流側の端は単一のスタックFOに接続される。酸化剤ガス供給ライン24は、酸化剤ガス供給器COからスタックFOに酸化剤ガスを供給する。
【0213】
燃料電池システム30の運転方法では、スタックF0の発電量が、実施の形態1〜3のスタックF1、F2、F3の合計の発電量と同じになるように制御される。
【0214】
このような構成によれば、燃料電池システム10は大型のスタックF0を1つのみ備えているため、燃料電池システム10の全体構成は簡素である。
【0215】
また、燃焼ガス弁Vb1〜Vb3を開閉することにより、稼働中の改質器Rnからのオフガスを他の停止中の改質器Rnの暖機に用いることができる。
【0216】
なお、上記全実施の形態では、各運転モードにおいて蓄電池S0の最大充電電流が一定に設定された。これに対し、最大充電電流に応じてスタックFnの発電電力を変えることが望ましい。すなわち、外部負荷の消費電力と蓄電池S0の最大充電電流に相当する電力との合計電力に応じて、燃料電池システム10の発電電力となることが望ましい。これによって、できるだけ早く蓄電池を充電することができる。
【0217】
また、上記全実施の形態では、各運転モードにおいて、各スタックFnの発電可能な定格電力を1kWと例示したが、この定格電力はこれに限定されない。このため、外部負荷の消費電力を1kWごとに電力の発電および供給の方法が判断されたが、定格電力に応じて電力の発電および供給の方法が判断されてもよい。たとえば、各スタックFnあたりの発電可能な定格電力が2kWである場合、外部負荷の消費電力の判断基準は、2kW、4kWおよび6kWに設定される。
【0218】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明の燃料電池システムおよびその運転方法は、改質器を備えていても、出力する電力の変動幅が大きく、停電時に迅速に起動できる燃料電池システムおよびその運転方法として有用である。
【符号の説明】
【0220】
Bn、B1〜B3 熱供給器
Ct 制御器
In 出力制御器
S0 蓄電池
F0、Fn、F1〜F3 燃料電池スタック
Rn、R1〜R3 改質器
Un、U1〜U3 発電ユニット
10 燃料電池システム
12−n、12−1〜12−3 改質ガス供給ライン
13 オフガス相互利用ライン(改質ガス相互利用ライン)
16−n、16−1〜16−3 燃焼ガス供給ライン
17−1〜17−3 改質ガス利用ライン
22 改質ガス供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を改質して水素を含有する改質ガスを生成する、複数の改質器と、
前記改質器から供給される前記改質ガスを用いて発電する、少なくとも1つの燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックと並列に接続される蓄電池と、
前記蓄電池の充電量に応じて前記改質器の運転を制御する制御器とを備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御器は、前記燃料電池スタックおよび前記蓄電池の少なくともいずれか一方から負荷へ電力が供給される場合、前記蓄電池の充電量および前記負荷の消費電力に応じて運転する前記改質器の数を変える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御器は、前記燃料電池スタックおよび前記蓄電池の少なくともいずれか一方から負荷へ電力が供給される場合、前記蓄電池の充電量および前記負荷の消費電力に応じて前記燃料電池スタックの発電量を変える、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記複数の改質器にそれぞれ対応する複数の前記燃料電池スタックを備えているとともに、
複数の前記改質器と複数の前記燃料電池スタックとをそれぞれ一対一で接続する改質ガス供給ラインをさらに備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
複数の前記改質器のそれぞれに対応して設けられ、前記改質ガスを燃焼することにより、対応する当該改質器に熱を供給する熱供給器をさらに備え、
前記改質器に対応する前記熱供給器に、当該改質器で生成された改質ガスを供給する、燃焼ガス供給ラインをさらに備える、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
それぞれの前記改質器で生成された前記改質ガスを、他の前記改質器に対応する前記熱供給器に供給する改質ガス相互利用ラインをさらに備える、請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記改質ガス相互利用ラインは、それぞれの前記改質器から前記燃料電池スタックに供給され、かつ、当該燃料電池スタックから排出される改質ガスであるオフガスの一部を他の前記改質器に対応する前記熱供給器に供給する、オフガス相互利用ラインである、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記改質ガス相互利用ラインは、それぞれの前記改質器で生成された前記燃料電池スタックに供給される前記改質ガスの一部を、他の前記改質器に対応する熱供給器に、オフガス相互利用ラインと前記燃焼ガス供給ラインとを介して供給するように構成されている、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記制御器は、少なくとも1つの前記改質器を稼働させている間は他の前記改質器を停止させ、停止中の前記改質器のうち少なくとも1つの稼働を開始させる場合に、前記改質ガス相互利用ラインを介して当該稼働を開始させる前記改質器に対応する前記熱供給器に、稼働中の前記改質器で生成された改質ガスを供給して当該稼働を開始させる前記改質器を当該熱供給器により暖機させる制御を行う、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
複数の前記改質器で生成された改質ガスを合流して前記燃料電池スタックに供給するように、前記改質器および前記燃料電池スタックを接続する改質ガス供給ラインをさらに備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
原料を改質して水素を含有する改質ガスを生成する、複数の改質器と、前記改質器から供給される前記改質ガスを用いて発電する、少なくとも1つの燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックと並列に接続される蓄電池を備える、燃料電池システムの運転方法であって、
前記蓄電池の充電量に応じて前記改質器の運転を制御する、燃料電池システムの運転方法。
【請求項12】
前記燃料電池スタックおよび前記蓄電池の少なくともいずれか一方から負荷へ電力が供給される場合、前記蓄電池の充電量と前記負荷の消費電力に応じて運転する前記改質器の数および前記燃料電池スタックの発電量を決定する、請求項11に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項13】
前記燃料電池システムが、複数の前記改質器のそれぞれに対応して設けられ、前記改質ガスを燃焼することにより当該改質器に熱を供給する熱供給器と、それぞれの前記改質器で生成された前記改質ガスを、他の前記改質器に対応する前記熱供給器に供給する改質ガス相互利用ラインとをさらに備え、
前記燃料電池スタックの発電量に供する前記改質ガスに比べて多い稼働中の前記改質器で生成される前記改質ガスを、前記改質ガス相互利用ラインを介して停止中の前記改質器に対応する前記熱供給器に供給する、請求項12に記載の燃料電池システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−105706(P2013−105706A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250623(P2011−250623)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】