説明

燃料電池システム用のイオン交換フィルター

本発明は、燃料電池システムにおいて有用なイオン交換フィルター、イオン交換フィルターを含む燃料電池システム、および燃料電池の流体を処理するための方法を対象とする。本発明の一態様は、ビカーボネート形のアニオン交換樹脂を含有するカートリッジを包含する。本発明は、乗用物搭載燃料電池システムに関して特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
(1)発明の分野
本発明は、燃料電池システムにおいて有用なイオン交換フィルター、イオン交換フィルターを含む燃料電池システム、および燃料電池の燃料を処理する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
(2)関連技術の説明
燃料電池の設計および操作は当該分野で周知である。燃料電池は、燃料,例えば水素、メタノール等の電気化学的酸化によって電力を生成する。未反応の燃料および/または酸化剤(排出物)はしばしば燃料電池内に再循環および再導入される。再循環させた構成成分は、燃料電池内に再導入する前にイオン交換フィルターで濾過して汚染物を除去する場合がある。このような汚染物としては、燃料および酸化剤とともに導入される場合がある不純物を伴う種々のシステム構成要素,例えば膜、パイピング、冷却剤、触媒等の分解生成物および/または溶離生成物である。例として、第US2007/0259241号は、未反応水素排出物および水を燃料電池から気−液セパレーターに導くための水素再循環システムを含む燃料電池システムを記載する。次いで、得られる排ガスを、後続の反応のために燃料電池に再循環させて戻す前にイオン交換フィルターに通す。第JP2005/339814号は、イオン交換フィルターを含む水素再循環システムを含む同様の燃料電池システムを記載する。
【0003】
燃料電池システムは、しばしば冷却剤システムを含み、これは冷却剤流体を燃料電池と熱交換器との間で流通させる。イオン交換フィルターはまた、そのような冷却剤システムにおいて使用して、再流通冷却剤からの破片および溶離生成物を除去する。このようなシステムの例は、第US7,261,816号;第US6,673,482号;第US6,663,993号;第US2004/0028971号および第EP1791206号に記載されている。
【0004】
このような燃料電池用途で用いられるイオン交換フィルターは、典型的には、流体流路を含むカートリッジを含んで流体回路の流体の通過を可能にする。多様なカートリッジが公知であり、第US7,261,816号および第JP2005/339814号に記載されるものが挙げられる。カートリッジは、第US2007/0259241号に記載されるように、気−液セパレーターと組み合わせることができる。カートリッジは、イオン交換樹脂を含有し、これはイオンまたは他の帯電した成分を、樹脂に接触して通る流体から除去する。第JP2002−343388号は、リン酸燃料電池中の生成物水および/または冷却剤を濾過するためのイオン交換樹脂の混合床の使用を記載する。
【0005】
燃料電池の高い操作温度が与えられる場合、このようなシステムで用いられるイオン交換樹脂は高温安定性を有さなければならない。すなわち、樹脂は、長時間高温(例えば温度約80℃超、そして多くの場合温度100℃超、または更に120℃超)に曝された後にもイオン交換容量を維持しなければならない。第JP2002−343388号は、このような用途で用いるための、ある部類のアニオン交換樹脂(ヒドロキシド(OH-)形のもの)を記載する。
【0006】
高い操作温度に曝されることに加え、燃料電池システムのイオン交換フィルターはまた、繰り返しの凍結/融解条件−(特に、乗用物搭載燃料電池システムに関し)に曝される場合がある。繰り返しの凍結および融解は、機械力を生じさせ、これはイオン交換樹脂を分解させ、流体回路内の不所望の圧力降下をもたらす傾向がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の簡単な要約
本発明は、燃料電池システムにおいて有用なイオン交換フィルターを包含する。本発明は、イオン交換フィルターを含む燃料電池システム、および、燃料電池の流体を処理する方法を更に包含する。一態様において、主題のイオン交換フィルターは、少なくとも1つの流体流路を含むカートリッジ、および該カートリッジ内に配置された、ビカーボネート(炭酸水素)形および/またはカーボネート(炭酸)形のアニオン交換樹脂を含む。本発明の主題のアニオン交換樹脂は、高温安定性、および改善された機械的安定性を、繰り返しの凍結/融解条件への曝露後にも示す。多くの追加の態様、目的、利点および特徴もまた開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の態様に係る燃料電池システムの回路図である。
【図2】図2は、本発明の態様に係るイオン交換フィルターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい態様は、添付の図面を参照して記載する。記載される態様は発明の説明を目的とする。本発明は、記載される特定の態様に限定されず、本開示の精神および範囲の範囲内となる発明の改変、均等、および代替を網羅することが理解されよう。特定の特徴および下位組合せを用いることができ、他の特徴および下位組合せを参照することなく採用できることが更に理解されよう。
【0010】
簡潔のため、本記載は、水素燃料電池に焦点を合わせるが、本発明は、他の燃料電池(これらに限定するものではないが、炭化水素燃料電池、例えばディーゼル、メタノールおよび水素化化学物質のものが挙げられる)に適用可能である。
【0011】
一態様において、本発明は、燃料電池の流体を、ビカーボネートおよびカーボネートの少なくとも1つから選択されるアニオン形のアニオン交換樹脂にこのような流体を接触させることによって処理する方法を対象とする。好ましい様式において、該方法は、燃料電池から出る流体の少なくとも一部を、該流体の少なくとも一部を該燃料電池に戻す前にイオン交換フィルターに通すステップを含む。
【0012】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの燃料電池、少なくとも1つの流体回路およびイオン交換フィルターを含む燃料電池システムを対象とする。燃料電池の種類は特に限定されない。一般的用語で、好ましい分類の燃料電池は、電解質膜で分離された燃料電極(アノード)および酸化剤電極(カソード)を含む。操作において、燃料(例えば水素ガス)はアノードに隣接するチャンネルを通過する一方、酸化剤(例えば空気)は、カソードに隣接するチャンネルを通過する。アノードでは、白金触媒によって水素が正の水素イオン(プロトン)と負に帯電した電子とに分かれる。電解質膜は、正に帯電したイオンをカソードに通過させるのみである。負に帯電した電子は、外部回路に沿ってカソードまで移動することによって、電流を生じさせる。カソードにて、電子および正に帯電した水素イオンは、酸素と組合せて水を形成する。水は電池から流れる。電気化学的反応は下記式で表すことができる:
燃料電極(アノード)での反応: H2→2H++2e-
酸化剤電極(カソード)での反応: 2H++2e-+(1/2)O2→H2
反応全体: H2+(1/2)O2→H2
【0013】
殆どの態様において、複数の電池を組合せて燃料電池スタックを形成する。その例は第EP1 791 206号に記載されている。
【0014】
好ましい態様において、燃料電池システムは、少なくとも1つの流体回路を含む。流体回路は、燃料電池から遠隔位置まで伸びて燃料電池に戻る、連続する流体流路を規定する。本開示で用いる用語「連続」は、流体が流体流路に沿って常に流れることを意味しない。実際は、多くの態様において、回路を通る流体の流れは値(values)または他の同様の手段を用いることによって中断または方向を変えることができる。むしろ、用語は、流体を燃料電池からおよび燃料電池に再流通および/または再循環が可能な流体ループを説明することを意図する。流体回路は、当該分野で周知であるように、流体を移送するためのパイピング、バルブ、調節器および/またはポンプを含むことができる。流体回路の例としては、冷却剤システム、加湿システム、燃料再循環システム、および酸化剤再循環システムが挙げられる。燃料電池システムは、このような流体回路の1つ以上またはその任意の組合せを含むことができる。幾つかの場合において、個別の流体回路を組合せることができ、例えば、加湿システムを燃料再循環システムまたは酸化剤再循環システムと組合せることができる。このような組合せまたはハイブリッドのシステムにおいて、気−液セパレーターもまた含まれることができる。好ましい態様において、イオン交換フィルターは流体回路の流体流路に沿って位置する。しかし、1つより多い流体回路を燃料電池システム内で用いる場合、イオン交換フィルターは各流体回路には必要でない場合がある。
【0015】
本発明に適用可能な冷却システムは特に限定されず、典型的には、遠隔熱交換器と燃料電池との間のパイプ内またはチューブ内を再流通する冷却剤を含む。熱交換器は、ラジエーター、温度調節器、および/または流通する冷却剤を選択的に濾過するためのバイパス手段と流体連結できる(第US6,673,482号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されるように)。冷却システムの追加の例は、第US6,663,993号;第US7,261,816号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)で与えられる。冷却剤は、特に限定されないが、典型的には、低伝導流体,例えば純水または水性アルキレングリコール混合物等を含む。種々の添加剤が冷却剤中に含まれることができ、例えばオルトケイ酸誘導体(第US2004/0028971号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されるような)が挙げられる。他の設計および冷却剤は周知で使用でき、第EP1 791 206号に記載されるものが挙げられる。
【0016】
加湿システムは、燃料電池によって生成する水を捕捉して、水の少なくとも一部を燃料電池に戻すまたは「再循環」させるように設計される。加熱システムは、特定の電解質膜の操作性能を維持するのが望ましい場合がある、燃料電池に対する水分を提供する。具体的な燃料電池および操作要求に応じ、再循環された水を新しい水、燃料および/または酸化剤と、燃料電池への導入前に組合せることができる。燃料電池への導入前に、燃料電池から生成する水は、好ましくはイオン交換フィルターを通って(例えば、イオン交換樹脂を含むインラインカートリッジにより)流れて、汚染物,例えば燃料または酸化剤とともに電池内に導入される排出構成成分または汚染物を除去する。加湿システムの例は、第US 7,261,816号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)で与えられる。加湿システムは、別の流体回路,例えば燃料および/または酸化剤の再循環システムと一体化できる。このような組合せのシステムは、水素ガスまたは酸素ガスからの液体水の分離用の気−液セパレーターを含むことができる(第US2007/0259241号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されるように)。排ガスから分離されたならば、水は、燃料電池に再導入される前にイオン交換フィルターを通って導かれることができる。
【0017】
燃料再循環システムは、燃料電池内に含まれて燃料電池からの未反応燃料の少なくとも一部を捕捉して燃料を後続の反応のために燃料電池に再流通させることができる。再流通させた燃料は、新しい燃料源と組合せることができる。燃料再循環流は、好ましくはインラインイオン交換フィルターを汚染物除去用に含む。先に指摘したように、イオン交換フィルターは、気−液セパレーターと組合せることができる(第US2007/0259241号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されるように)。燃料から分離される水は、先に説明したように加湿システムに廃棄しまたは送ることができる。
【0018】
酸化剤再循環システムが燃料電池システム内に含まれて未反応酸化剤の少なくとも一部を回収することができる。多くの場合、空気は好ましい酸化剤であり回収が所望されない。しかし、酸素ガスまたは他の酸化剤を用いる場合にはこのようなシステムが所望される場合がある。酸化剤再循環システムは、好ましくは、汚染物を除去するためのインラインイオン交換フィルターを含む。先に指摘した通り、イオン交換フィルターは、気−液セパレーターと組合せることができる。酸化剤から分離された水は、先に説明したように、加湿システムに廃棄しまたは送ることができる。
【0019】
本発明を理解するのに決定的ではないが、本発明を、図1を参照して更に説明する。燃料電池システムは一般的には10で示され、燃料電池またはスタック12が燃料入口14、酸化剤入口16および水入口18を含む。燃料および酸化剤は電池12に加圧下でポンプ(図示せず)によって与えられる。燃料電池システムは、冷却剤システム20を含み、これは熱交換器22、イオン交換フィルター24およびバイパス回路26(冷却剤をイオン交換フィルター24の周りに選択的に充てるために)を含む。燃料電池システムはまた、燃料再循環システム28を含み、これは組合されたイオン交換フィルターおよび気−液セパレーター30を含む。未反応燃料は、出口32経由で燃料電池から出て、イオン交換フィルター30を通り、燃料入口14近傍で新しい燃料と再度組合される。水を燃料から分離し、加湿システム34に導く。燃料電池システムは、酸化剤再循環システム36を更に含み、これは組合されたイオン交換フィルターおよび気−液セパレーター38を含む。未反応酸化剤は、出口40経由で燃料電池から出て、イオン交換フィルター38を通り、そして酸化剤入口16近傍で新しい酸化剤と再度組合せる。水を酸化剤から分離して、加湿システム34に導く。加湿システム34は、燃料再循環システム、酸化剤再循環システムおよび水出口42を経由して燃料電池から生成した水を収集する。回収した水は、イオン交換フィルター44を通り、続いて水入口18近傍で新しい水と組合せる。流体が燃料電池システムを通って流れる方向は矢印で示している。
【0020】
先に述べたように、燃料電池システムは、好ましくは、流体回路の流体流路に沿って位置するイオン交換フィルターを含む。イオン交換フィルターはカートリッジを含み、該カートリッジは、流体がカートリッジ内を流れて、カートリッジ内に位置するアニオン交換樹脂と接触するようにするための、少なくとも1つ(しかし好ましくは2つ以上)の流体流路を含む。カートリッジ設計は、特に限定されず、多くの公知の設計を用いることができる。カートリッジの主な機能は、流体が流体回路の流体流路に沿って通りながら樹脂と接触するようにするという様式で、流体流路に沿ってアニオン交換樹脂を包囲することである。よって、樹脂の形状はカートリッジの設計に影響することになる。例えば、アニオン交換樹脂が多孔質のブロックまたはシリンダーの形状として提供される場合、カートリッジは単純に、流体回路に沿ったパイピングの区画(ここで樹脂はパイピングの内張りに接着または固定されている)を含むことができる。更に一般的には、樹脂は粒状またはビーズ形状(これはキャニスターまたは他の好適な包囲物の中に閉じ込められている)で提供される。以後、総括的にカートリッジという。同様に、流体の性質(例えば、気体、液体等)もまたカートリッジの設計に影響する。例えば、第JP2005−339814号は、未反応水素の少なくとも一部を燃料電池に再循環させるための水素ガス再循環システム内で使用するために好適なカートリッジを開示する。流体回路が気体および液体の両者を含む場合、カートリッジは、気−液セパレーターとともにまたはその一部として組込んで、使用できる(第US2007/0259241号で開示されるように)。他の好適な設計の例としては、第US7,261,816号に記載されるものが挙げられる。カートリッジは、追加の成分および特徴,例えば第US7,097,763号に記載されるバイパス通路を含むことができる。第US7,261,816号;第US7,097,763号および第US2007/0259241号の全開示を本明細書に組入れる。イオン交換フィルターは、好ましくは、燃料電池システムの1つ以上の流体回路の流体流路に沿って位置する。イオン交換フィルターは、主な流路に沿って、または主な流路からのバイパス路の一部として位置でき、ここでフィルターを通る流れは値(values)によって選択的に制御される。
【0021】
本発明を理解するのに決定的ではないが、本発明を、図2を参照して更に説明する。イオン交換フィルターは一般的には46で示され、これはカートリッジ48、流体入口50、流体出口52およびアニオン交換樹脂54(ビーズ形状)を含む。操作において、流体は、流体入口によってカートリッジ内に流れる。ここでこれはアニオン交換樹脂を通って流れ、最終的に流体出口52にてカートリッジから出る。
【0022】
イオン交換フィルターは、カートリッジ内に位置するアニオン交換樹脂を含む。フィルターは、追加的に、カチオン交換樹脂,例えばDOWEX MONOSPHERETM 650C交換樹脂(水素形)(The Dow Chemical Companyから入手可能)を含むことができる。アニオン交換樹脂はカーボネート形で調製できるが、樹脂はビカーボネート形で調製すること、すなわちビカーボネートアニオンがイオン交換樹脂のカウンターアニオンとして機能することが好ましい。当業者は、ビカーボネートイオンおよびカーボネートイオンの両者が動的平衡で存在すること(バルク流体のpH条件に応じて種々の比でではあるが)ことを理解するであろう。本発明のアニオン交換樹脂は、他には特に限定されないが、好ましくは、温度約80℃以下で、しかし好ましくは100℃以下で、幾つかの態様では120℃以下で、熱的に安定である。樹脂は多様な周知の形状,例えば繊維状、顆粒状、粒状、多孔質ブロック、多孔質シリンダー等で調製できるが、好ましくは、産業界で一般的であるように、球状ビーズ形状で調製する。ビーズサイズは特に限定されず、操作条件に基づいて選択できる。好ましいアニオン交換樹脂のビーズ径は、約300〜1000ミクロンである。必須ではないが、均一粒子サイズ(UPS)樹脂を使用でき、または混合物であるビーズサイズを使用できる。マクロ多孔質およびゲル状の両者のアニオン交換樹脂を使用できるが、ゲル状樹脂は、これらの強靭性により、殆どの態様で好ましい。本発明の好ましい態様において、アニオン交換樹脂は、強塩基形で調製するが、弱塩基形を、強塩基と弱塩基とのアニオン交換樹脂の組合せにて、使用できる。用語「強塩基」形および「弱塩基」形は、本明細書において、当該分野でこれらが理解される意味と一致して用いる。合計で、強塩基アニオン交換樹脂は、中性塩分解反応が可能である一方、弱塩基アニオン交換樹脂は、中性塩分解容量を殆どまたは全く示さない。強塩基アニオン交換樹脂は、高度にイオン化され、全pH範囲に亘って使用できる。弱塩基アニオン交換樹脂は、塩形である場合でのみ高度にイオン化され、従って、イオン交換活性をpH7未満で有する。しかし、弱塩基樹脂は、例えば側鎖3級アミン(例えばクロロメチル化ビニル芳香族ポリマーのアミノ化の間に)を介して、第2のクロロメチル化芳香族基と架橋する場合がある。得られる4級窒素基は、より大きい弱塩基アニオン交換樹脂中であっても、強塩基基として機能できる。よって、弱塩基アニオン交換樹脂は、強塩基基を含むことができる。本発明に関して用いる場合、このような強塩基基の主要部は、好ましくは、ビカーボネートまたはカーボネートのアニオン形に変換する。
【0023】
主題のアニオン交換樹脂は多様なポリマーを含むことができるが、ビニル芳香族ポリマーが好ましい。これらの種の樹脂は市販で入手可能であり、これらの製造および使用は当該分野で周知である。代表的な分類の適用可能なビニル芳香族ポリマーは、第US6,756,462号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されている。このようなポリマーは、典型的には、ビニル芳香族モノマーを懸濁重合によって重合させることによって調製する。このようなモノマーの例としては、モノ不飽和ビニル芳香族モノマー,例えばスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンおよびC1−C4アルキル置換スチレンおよびビニルナフタレン(例えば、α−メチルスチレンエチルビニルスチレン、イソプロピルスチレン、ジエチルスチレン、エチルメチルスチレン、およびジメチルスチレン)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。任意に、非芳香族コモノマーもまた使用でき、脂肪族不飽和モノマー,例えば塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸のC1−C4アルキルエステル(例えばメチルアクリレート)が挙げられる。用いる場合、非芳香族モノマーは、典型的には、ポリマーを形成するために用いる全モノマーの質量基準で約0〜20質量%含む。主題のポリマーは、好ましくは架橋される。架橋は、一般的には、多官能芳香族モノマー,例えばジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレンおよびジビニルキシレンを含ませることによって実現する。用いる場合、このような架橋モノマーは、ポリマーを形成するために用いる総モノマーの質量基準で約0.1〜20質量%、好ましくは約0.5〜10質量%含む。ジビニルベンゼンは好ましい架橋モノマーである。非芳香族架橋モノマーもまた使用でき、限定されるものではないが、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン、トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよびトリアリルイソシアヌレートが挙げられる。好ましいビニル芳香族ポリマーは、スチレンおよびジビニルベンゼンを含むモノマーに由来する。特に好ましいビニル芳香族ポリマーは、ポリマーを形成するために用いる総モノマーの質量基準で約0.1〜約20質量%のジビニルベンゼンモノマーおよび主要部(例えば、典型的には約50質量%超)のスチレンモノマーに由来する。
【0024】
ビニル芳香族ポリマーは、フリーラジカル開始剤を用いて調製でき、フリーラジカル開始剤としては、モノマー可溶性開始剤,例えばアゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド)、ヒドロペルオキシドおよび関連の開始剤(米国特許第4,192,921号;第4,246,386号;第4,283,499号および第6,756,462号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されるように)が挙げられる。好適な分散剤および懸濁安定剤もまた使用でき、ゼラチン、ポリビニルアルコール、水酸化マグネシウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロースおよび他の米国特許第4,419,245号(その全開示は参照により本明細書に組入れる)に記載されるようなものが挙げられる。
【0025】
主題のビニル芳香族ポリマーの架橋コポリマー種は、好ましくは、前記したモノマーの2種以上(好ましくは、架橋剤として作用する多官能モノマーを含む)、フリーラジカル開始剤および任意に相分離用希釈剤を含む微粉化有機相の懸濁重合によって調製する。相分離用希釈剤は、得られるコポリマーではなく反応のモノマー用の溶媒である。このように、コポリマーはこれが形成されるに従ってモノマー相から沈殿する。好適な相分離用希釈剤は、懸濁媒体、モノマーおよび得られるコポリマーに関して実質的に不活性な有機溶媒である。一般的に、沸点が少なくとも約60℃である有機溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素および脂肪族アルコールが挙げられる。具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、tert−アミルアルコールおよびn−ブタノールが挙げられる。更なる例は、米国特許第6,290,854号;第4,224,415号;および第3,176,482号(その全開示は各々参照により本明細書に組入れる)で与えられる。得られる架橋コポリマーは、相分離用希釈剤を用いるかによってミクロ多孔質,すなわちゲル状、またはマクロ多孔質であることができる。用語「マクロ多孔質」、「ミクロ多孔質」、および/または「ゲル状」は当該分野で周知であり、コポリマー多孔質の性質を意味する。ミクロ多孔質またはゲル状のコポリマーは、孔サイズ約20オングストローム(Å)またはそれ未満程度である一方、マクロ多孔質コポリマーは、典型的には、約20Å〜約500Åのメソ孔と、約500Å超のマクロ孔の両者を有する。ゲル状およびマクロ多孔質のコポリマー、更にはこれらの調製は、米国特許第5,231,115号および第4,256,840号(これらの両者はその全部を参照により本明細書に組入れる)に記載されている。
【0026】
アニオン交換樹脂を製造するために、前記したビニルポリマーは、典型的には、当該分野で周知であるように、クロロメチル化反応を介して官能化する。例として、単純化した反応を以下に再現する。ここで、用語「ビニル」は、ポリマー骨格の部分を表し、「Ar」は側鎖芳香族環を表し、そして組合せは、括弧内に示すポリマー繰り返し単位を表す。
[ビニル(Ar)]+CH3OCH2Cl→[ビニル(Ar−CH2Cl)]+CH3OH
【0027】
本発明の目的のために、1種または複数種のビニル芳香族ポリマーをクロロメチル化するための具体的な手段および条件は特に限定されず、多くの適用可能な方法が文献に記録されている。クロロメチル化は、典型的には、ビニル芳香族ポリマーをクロロメチル化反応剤と、触媒の存在下で、温度約15〜100℃、好ましくは35〜70℃で、約1〜8時間組合せることによって実施する。最も一般的で好ましいクロロメチル化反応剤は、クロロメチルメチルエーテル(CMME)および/またはCMME形成性反応剤,例えばホルムアルデヒド、メタノールおよび塩化水素またはクロロスルホン酸、または塩化水素とメチル化ホルマリンの組合せである。これらは典型的にはポリマーと、約0.5〜20モル、好ましくは約1.5〜8モルのCMME(ビニル芳香族ポリマー1モル当たり)の量で組合せる。より好ましくないものの、他のクロロメチル化反応剤を使用してもよく、これらに限定するものではないが:ビスクロロメチルエーテル(BCME)、BCME形成性反応剤,例えばホルムアルデヒドおよび塩化水素、ならびに長鎖アルキルクロロメチルエーテル(第US4,568,700号に記載されるような)が挙げられる。クロロメチル化反応を実施するために有用な触媒は周知であり、そしてしばしば当該分野で「ルイス酸」または「フリーデル−クラフツ」触媒という。非限定例としては:塩化亜鉛、酸化亜鉛、塩化第二鉄、酸化第二鉄、塩化スズ、酸化スズ、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウムおよび硫酸、ならびにこれらの組合せが挙げられる。塩化物以外のハロゲンもまた先の例において使用できる。好ましい触媒は塩化第二鉄である。触媒は、典型的には、約0.01〜0.2モル、好ましくは約0.02〜0.1モルの触媒(ビニル芳香族ポリマー繰り返し単位1モル当たり)に対応する量で使用する。触媒は、任意の触媒添加物,例えば塩化カルシウム、および活性化剤、例えば四塩化ケイ素、との組合せで使用できる。1種よりも多い触媒を用いて所望のクロロメチル化反応プロファイルを実現できる。
【0028】
溶媒および/または膨潤剤もまたクロロメチル化反応において使用できる。好適な溶媒の例としては、これらに限定するものではないが:脂肪族炭化水素ハライド,例えば二塩化エチレン、ジクロロプロパン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルおよびジイソアミルエーテル、の1種以上が挙げられる。CMMEをクロロメチル化剤として用いる場合、このような溶媒および/または膨潤剤は、しばしば所望されないし必要でもない。
【0029】
アニオン交換樹脂の調製において、クロロメチル化されたビニル芳香族ポリマーは、典型的には流出物から濾別、洗浄(例えばメタノール、メチラール、水で)し、そしてアミン(例えば、トリメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミン等)と反応させてアニオン交換樹脂を生成する。単純化した反応を下記式に記す。
[ビニル(Ar−CH2Cl)]+NHn(CH33-n→[ビニル(Ar−CH2+n(CH33-n)]Cl-
【0030】
得られるイオン交換樹脂は、ゲル状またはマクロ多孔質であることができ、一般的に弱塩基(n=1、2)および強塩基(n=0)のイオン交換樹脂として使用する;しかし、本発明の目的のために、強塩基アニオン交換樹脂が好ましい。本発明において用いるために、塩化形の樹脂は、樹脂を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄することによってビカーボネート形に変換する。これは下記式で一般的に記す通りである:
[ビニル(Ar−CH2+(CH33)]Cl-+NaHCO3→ビニル(Ar−CH2+(CH33)]HCO3-+NaCl
【0031】
変換の他のルートもまた周知であり、ヒドロキシド形のアニオン交換樹脂を、炭酸水素ナトリウムでの洗浄によって変換すること,例えばDOWEX MONOSPHERE 550ATM(The Dow Chemical Companyから入手可能)を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄することが挙げられる。例えば、水酸化物、塩化物、または他のアニオン形の、カーボネート形またはビカーボネート形への変換は、アニオン官能基の、好ましくは約50%またはそれ以上、好ましくは約80%超、およびより好ましくは約95%超である。
【0032】
本発明において用いるために有用なアニオン交換樹脂の例は、アルキレングリコールの調製における触媒として用いることが周知である(第US6,448,456号;第6,211,419号および第5,488,184号(その全開示を参照により本明細書に組入れる)に記載されるように)。これらの樹脂は、高温で良好な安定性を有することが公知である。例えば:Ion Exchange at the Millennium,Proceedings of IEX 2000,ed.JA Greig,ICP (2000),第253−260頁参照;Ion Exchange Developments and Applications,Proceedings of IEX 1996,ed.JA Greig,SCI(1996),第182−192頁参照;およびThermal Decomposition of Amberlite IRA−400,E.Baumann,Journal of Chemical and Engineering Data,Vol.5,No.3,July 1960,第376−382頁を参照のこと。
【0033】
アニオン交換樹脂の好ましいグループは、式I:
【0034】
【化1】

【0035】
で表される繰り返し単位を含むポリマーを含む。
【0036】
符号「L」は、環のメタ位またはパラ位(好ましくはパラ)に位置し:窒素原子と芳香族炭素原子との間の化学結合(例えばアニリン型構造)、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択される。Ion Exchange at the Millennium,Proceedings of IEX 2000,ed.JA Greig,ICP(2000),第253−260頁参照、およびIon Exchange Developments and Applications,Proceedings of IEX 1996,ed.JA Greig,SCI(1996),第182−192頁に指摘されるように、スペーサー手を有する樹脂、すなわち「L」が複数の炭素原子を含むアルキル基またはアルコキシ基(例えば、−CH2OCH2CH3)であるものは、優れた熱安定性を有することが公知である。しかし、本発明の多くの態様において、入手性および/またはより低いコストにより、エチル基およびメチル基がしばしば適切であり、または更には好ましい。符号「R1」、「R2」および「R3」は、各々独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等)、および1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、−CH2−OH,−CH2CH2−OH等)から選択されるが、メチル基およびエチル基が殆どの態様において好ましい。更に別の好ましい態様において、「R1」、「R2」および「R3」は全てメチル基である。符号「X」は、ビカーボネートアニオンおよびカーボネートアニオンから選択される。先に指摘したように、この形の樹脂は、ビカーボネート形とカーボネート形との間で動的平衡にある。当業者は、一般的にはいずれかの種を単独で考えるが、両アニオンが存在することが理解される。「X」がカーボネートアニオンである場合、形式電荷は−2である;一方、ビカーボネートの形式電荷は−1である。よって、式I中の「X」に関連する負の電荷符号は、具体的な形式電荷ではなく、負に帯電したアニオンを総括的に表すことを意図する。
【0037】
好ましい態様において、本発明のアニオン交換樹脂は、式II:
【0038】
【化2】

【0039】
で表される繰り返し単位を含むポリマーを含む。
【0040】
スチレンおよびDVBに由来する多くのアニオン交換樹脂を説明してきたが、他のモノマーを基にする樹脂、例えば塩化ビニルベンジルとジビニルベンゼンとの共重合物もまた使用できる。更なる例として、アニオン交換樹脂は、ベンジル環ではなく、式IIIで表されるような、ピリジンを基にする繰り返し単位を含むポリマーに由来できる。
【0041】
【化3】

【0042】
(式中、R4は:1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等)、および1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、−CH2−OH、−CH2CH2−OH等)から選択される;しかし、メチル基およびエチル基が殆どの態様で好ましい。
【0043】
式I、IIおよびIIIで表されるアニオン交換樹脂は、好ましくは、追加の繰り返し単位、例えばDVBおよび/またはエチルスチレン等のモノマーとの重合に由来する繰り返し単位を含む。
【0044】
好ましい態様において、アニオン交換樹脂は、スチレンおよびDVBを含むモノマーに由来するビニル芳香族ポリマーを含む強塩基アニオン交換樹脂であり、ゲル状およびビーズ形状である。
【0045】
例:
ビカーボネート形アニオン交換樹脂の機械的安定性を、樹脂を複数の凍結/融解サイクルに供することによって、ヒドロキシド形と比較した。より具体的には、DOWEX MONOSPHERETM 550Aの第1のサンプルは、樹脂を500mlの1NNaOHでリンスすることによってヒドロキシド形に変換した。次いで樹脂をNaOHから取り出し、脱イオン水でリンスした。DOWEX MONOSPHERETM 550Aの第2のサンプルは、樹脂を500mlの10%NaHCO3でリンスすることによってビカーボネート形に変換した。樹脂をNaHCO3から取り出し、脱イオン水でリンスした。各サンプルの幾つかのアリコートを、標準アイスキューブトレイの別個の区画に入れた。10mlの水を各サンプルの1つの区画に加えて樹脂が水中に浸漬されるようにした。各サンプルの他の部分を保持する区画では、過剰の水をいずれも除去し、加湿したのみであった。次いで、サンプルを、完全に凍るまで(すなわち約3時間)、−20℃の冷凍庫に入れた。続いてトレイを冷凍庫から取り出し、室温(約22℃)まで融解させた。この凍結/融解サイクルを、全部で15サイクル繰り返した。サンプルを5、10、および15サイクル後に残っている全ビーズのパーセントについて試験した。結果を下記表IおよびIIに纏める:
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表IおよびIIに与える比較データにより示されるように、ビカーボネート形の樹脂は、ヒドロキシド形のアニオン交換樹脂と比べて優れた機械的特性を示した。
【0049】
幾つかのビカーボネート形のアニオン交換樹脂の化学的安定性は、両形の樹脂のサンプルを高熱条件に供することによって、ヒドロキシド形と比較した。より具体的には、各樹脂の第1の25mlのサンプルは、樹脂を500mlの1NNaOHでリンスすることによってヒドロキシド形に変換した。次いで樹脂をNaOHから取り出し、脱イオン水でリンスした。別の25mlのサンプルは、樹脂を500mlの10%NaHCO3でリンスすることによってビカーボネート形に変換した。樹脂をNaHCO3から取り出し、脱イオン水でリンスした。ヒドロキシドおよびビカーボネートのサンプルの10mlアリコートを、別個の密閉ボトル中に入れ、そして120℃で19時間オーブン内に入れた。高温でのインキュベーション後、ボトルを室温まで冷やし、従来のイオン交換試験方法で樹脂を試験し、非加熱対照サンプル(ヒドロキシド形のもの)と比較した。結果を表IIIに纏める:
サンプルAは、DOWEX MONOSPHERETM 550A,スチレン強塩基(タイプ1)ゲル状型樹脂(The Dow Chemical Companyから市販で入手可能)に対応する。
サンプルBは、DOWEX MARATHONTM A2,スチレン強塩基(タイプ2)ゲル状型樹脂(The Dow Chemical Companyから市販で入手可能)に対応する。
サンプルCは、DOWEX MARATHONTM MSA,スチレン強塩基(タイプ1)マクロ多孔質型樹脂(The Dow Chemical Companyから市販で入手可能)に対応する。
サンプルDは、AMBERLITE IRATM 458,アクリル強塩基(タイプ1)ゲル状型樹脂(Rohm&Haas Companyから市販で入手可能)に対応する。
【0050】
【表3】

【0051】
表IIIで与える比較データにより示されるように、ビカーボネート形樹脂は、ヒドロキシド形アニオン交換樹脂と比べて優れた化学的安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流体流路を含むカートリッジ、および
該カートリッジ内に配置されたアニオン交換樹脂
を含み、該樹脂が、ビカーボネートおよびカーボネートの少なくとも1つから選択されるアニオン形である、燃料電池システム用のイオン交換フィルター。
【請求項2】
該アニオン交換樹脂が、スチレンおよびジビニルベンゼンを含むモノマーに由来するビニル芳香族ポリマーを含む、前掲の請求項のいずれかに記載のフィルター。
【請求項3】
該アニオン交換樹脂が、ゲル状である、前掲の請求項のいずれかに記載のフィルター。
【請求項4】
該カートリッジ内に配置されたカチオン交換樹脂を更に含む、前掲の請求項のいずれかに記載のフィルター。
【請求項5】
該アニオン交換樹脂が、式I:
【化1】

(式中:
Lは、環のメタ位またはパラ位に位置し、窒素原子と芳香族炭素原子との間の化学結合、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択され;
1、R2およびR3は、各々独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基から選択され;そして
Xは、ビカーボネートアニオンおよびカーボネートアニオンの少なくとも1つから選択される。)
で表される繰り返し単位を含むポリマーを含む、前掲の請求項のいずれかに記載のフィルター。
【請求項6】
L、R1、R2およびR3が、メチル基である、前掲の請求項のいずれかに記載のフィルター。
【請求項7】
燃料電池、
流体回路、
少なくとも1つの流路を含むカートリッジおよび該カートリッジ内に配置されたアニオン交換樹脂を含むイオン交換フィルター、
を含む燃料電池システムであって、該流体回路が、該燃料電池から遠隔位置まで連続する流体流路を規定し、そして該イオン交換フィルターが該流体流路に沿って位置しており、そして
該アニオン交換樹脂がビカーボネートおよびカーボネートの少なくとも1つから選択されるアニオン形である、燃料電池システム。
【請求項8】
該流体回路が、
熱交換器と該燃料電池との間を流通する冷却剤を含む冷却剤システム、
該燃料電池によって生成する水の少なくとも一部を該燃料電池に戻すための加湿システム、
未反応燃料の少なくとも一部を該燃料電池に再循環させるための燃料再循環システム、および
未反応酸化剤の少なくとも一部を該燃料電池に再循環させるための酸化剤再循環システム、
の少なくとも1つを含む、前掲の請求項のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項9】
該燃料再循環システムが、未反応水素排ガスを該燃料電池から移送し、そして該未反応水素の少なくとも一部を該燃料電池に戻すためのパイピングを含む、前掲の請求項のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項10】
燃料電池の流体を、ビカーボネートおよびカーボネートの少なくとも1つから選択されるアニオン形のアニオン交換樹脂に該流体を接触させることによって処理する、方法。
【請求項11】
燃料電池から出る流体の少なくとも一部を、該流体の少なくとも一部を該燃料電池に戻す前にイオン交換フィルターに通すステップを含み、該イオン交換フィルターが、少なくとも1つの流体流路を含むカートリッジおよび該カートリッジ内に配置されたアニオン交換樹脂を含む、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該アニオン交換樹脂が、式I:
【化2】

(式中:
Lは、環のメタ位またはパラ位に位置し、窒素原子と芳香族炭素原子との間の化学結合、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択され;
1、R2およびR3は、各々独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基から選択され;そして
Xは、ビカーボネートアニオンおよびカーボネートアニオンの少なくとも1つから選択される。)
で表される繰り返し単位を含むポリマーを含む、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−521633(P2012−521633A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501972(P2012−501972)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/038051
【国際公開番号】WO2010/110783
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】